特許第6258081号(P6258081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258081
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20171227BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20171227BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20171227BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20171227BHJP
   B62D 7/14 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   A01D34/64 A
   A01D67/00 A
   A01B69/00 302
   B62D5/04
   B62D7/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-46676(P2014-46676)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-167539(P2015-167539A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】相原 幸枝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健太
(72)【発明者】
【氏名】黒見 晃志
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 博紀
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−015728(JP,U)
【文献】 特開2005−225343(JP,A)
【文献】 特開平10−297529(JP,A)
【文献】 特開2013−006499(JP,A)
【文献】 実開昭63−024057(JP,U)
【文献】 特開2013−215126(JP,A)
【文献】 米国特許第06089343(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/64
A01D 67/00−69/12
B62D 5/04
B62D 7/14
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームの機体前後方向での端部から機体横外向きに延出された車輪支持フレームと、
前記車輪支持フレームの延出端部に機体上下向きの操向軸芯まわりに操向操作できるように支持された車輪とを備え、
前記車輪支持フレームよりも上方に機体前後向きに配置され、かつ機体前後方向での一端側が前記車輪支持フレームのうちの前記機体フレームよりも機体横外側に位置する部位に連結され、前記車輪支持フレームを支持する補強フレームを備え
前記車輪が操向操作された際、前記車輪のうち、前記操向軸芯よりも機体横内側に入り込んだ車輪部分が前記補強フレームの下方に入り込む作業機。
【請求項2】
機体フレームの機体前後方向での端部から機体横外向きに延出された車輪支持フレームと、
前記車輪支持フレームの延出端部に機体上下向きの操向軸芯まわりに操向操作できるように支持された車輪とを備え、
前記車輪支持フレームよりも上方に機体前後向きに配置され、かつ機体前後方向での一端側が前記車輪支持フレームのうちの前記機体フレームよりも機体横外側に位置する部位に連結され、前記車輪支持フレームを支持する補強フレームを備え、
前記操向軸芯と回転軸芯が同軸芯になる状態で前記車輪の機体横内側に機体上下向きに配置され、かつ下端側が前記車輪の車軸に連動連結された回転伝動軸を備え、
前記回転伝動軸の上端側を前記補強フレームよりも上方に突出させ、
前記回転伝動軸に伝動する伝動ケースを、前記回転伝動軸の上端側に装着した状態で、前記補強フレームよりも上方に配備してある作業機。
【請求項3】
前記補強フレームは、前記車輪支持フレームと前記機体フレームとにわたって連結されている請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記機体フレームの角部に、操向操作された前記車輪の機体前後方向での端部が入り込む凹入空隙部を設け、
前記補強フレームが前記凹入空隙部の上方を通っている請求項1から3のいずれか一項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体フレームの機体前後方向での端部から機体横外向きに延出された車輪支持フレームと、前記車輪支持フレームの延出端部に機体上下向きの操向軸芯まわりに操向操作できるように支持された車輪とを備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した作業機は、車輪を横向きに操向操作した際、車輪の機体前後方向での端部が車輪支持フレームの延出端部よりも機体横内側に入り込むものである。この種の作業機として、従来、たとえば特許文献1に開示された乗用型芝刈機があった。この乗用型芝刈機では、機体の後部に機体横向きの車輪支持フレームが設けられ、車輪支持フレームの端部に後車輪を操向操作できるように支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−89447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記作業機において、機体フレームのうちの車輪支持フレームが連結する端部の横幅を他の部位よりも狭くするとか、車輪支持フレームの機体方向長さを長くすることにより、車輪支持フレームの機体フレームからの延出長さを長くするほど、車輪を操向操作した際、車輪支持フレームの延出端部よりも機体横内側に入り込む車輪端部の入り込み量が多くなり、車輪の中立向きから横向きへの切れ角を大きくできる。
車輪支持フレームの延出長さを長くしても、車輪支持フレームによる車輪の支持が接地反力に抗して強固に行われるように、車輪支持フレームの径を大にするとか、優れた強度を備える素材によって車輪支持フレームを構成した場合、重量面や経済面で不利になる。
【0005】
本発明の目的は、車輪支持フレームの延出長さを長くして車輪の切れ角を大にしても、車輪の強固な支持を軽量かつ安価にできる作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明による作業機は、
機体フレームの機体前後方向での端部から機体横外向きに延出された車輪支持フレームと、
前記車輪支持フレームの延出端部に機体上下向きの操向軸芯まわりに操向操作できるように支持された車輪とを備え、
前記車輪支持フレームよりも上方に機体前後向きに配置され、かつ機体前後方向での一端側が前記車輪支持フレームのうちの前記機体フレームよりも機体横外側に位置する部位に連結され、前記車輪支持フレームを支持する補強フレームを備え、
前記車輪が操向操作された際、前記車輪のうち、前記操向軸芯よりも機体横内側に入り込んだ車輪部分が前記補強フレームの下方に入り込む
【0007】
本第1発明の構成によると、車輪支持フレームのうちの機体フレームよりも機体横外側に位置する部位に機体前後向きの補強フレームが連結され、車輪支持フレームを補強フレームよって効果的に補強できるから、車輪支持フレームの延出長さを長くしても、かつ、車輪支持フレームの径を大きくするなどに比して、車輪支持フレームを軽くかつ安価に得ながら、車輪支持フレームによる車輪の支持を強固に行わせられる。
【0008】
補強フレームが車輪支持フレームよりも上方に位置することにより、車輪を操向操作した際、車輪支持フレームの延出端部よりも機体横内側に入り込んでいく車輪部分が補強フレームの下方に入り込み、補強フレームが車輪の操向に対する障害にならなくて、車輪の切れ角を大きくできる。
【0009】
従って、本第1発明によると、車輪支持フレームの延出長さを長くして車輪の切れ角を大にしても、強固な車輪支持を軽量かつ安価に行わせられる。
本第2発明による作業機は、
機体フレームの機体前後方向での端部から機体横外向きに延出された車輪支持フレームと、
前記車輪支持フレームの延出端部に機体上下向きの操向軸芯まわりに操向操作できるように支持された車輪とを備え、
前記車輪支持フレームよりも上方に機体前後向きに配置され、かつ機体前後方向での一端側が前記車輪支持フレームのうちの前記機体フレームよりも機体横外側に位置する部位に連結され、前記車輪支持フレームを支持する補強フレームを備え、
前記操向軸芯と回転軸芯が同軸芯になる状態で前記車輪の機体横内側に機体上下向きに配置され、かつ下端側が前記車輪の車軸に連動連結された回転伝動軸を備え、
前記回転伝動軸の上端側を前記補強フレームよりも上方に突出させ、
前記回転伝動軸に伝動する伝動ケースを、前記回転伝動軸の上端側に装着した状態で、前記補強フレームよりも上方に配備してある
本第2発明によると、車輪を操向操作した際、車輪支持フレームの延出端部よりも機体横内側に入り込む車輪部分が伝動ケースの下方に入り込み、車輪駆動力を回転伝動軸に伝達するものでありながら、伝動ケースが車輪操向に対する障害物にならず、車輪の切れ角を大きくできる。
【0010】
本第発明は、前記補強フレームは、前記車輪支持フレームと前記機体フレームとにわたって連結されている。
【0011】
本第発明によると、補強フレームによって車輪支持フレームを支持させるのに、機体フレームを反力部材にして支持させることができ、補強フレームによる車輪支持フレームの支持を強固に行わせられる。
【0012】
本第発明は、前記機体フレームの角部に、操向操作された前記車輪の機体前後方向での端部が入り込む凹入空隙部を設け、前記補強フレームが前記凹入空隙部の上方を通っている。
【0013】
本第発明によると、車輪を操向操作した際、車輪の機体前後方向での端部が機体フレームの凹入空隙部に入り込むことによって、車輪支持フレームの延出端部よりも機体横内側に入り込むことになる。従って、機体フレームに凹入空隙部を設けず、車輪支持フレームを機体フレームから延出させるだけで、車輪の所定の切れ角を確保するに比べ、機体フレームの最横外端から横外側への車輪の出代を少なくしながら、車輪の所定の切れ角を確保することができ、トレッドが小さいコンパクトな作業機を得られる。
【0014】
【0015】
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】作業機の全体を示す側面図である。
図2】作業機の全体を示す平面図である。
図3】作業機の全体を示す正面図である。
図4】伝動構造を示す縦断後面図である。
図5】伝動構造を示す横断平面図である。
図6】右前車輪の支持構造及び駆動構造を示す縦断正面図である。
図7】右後車輪の支持構造及び駆動構造を示す縦断後面図である。
図8】走行機体を示す斜視図である。
図9】フレーム部を示す斜視図である。
図10】走行機体を示す平面図である。
図11】操向操作機構を示す平面図である。
図12】障害物センサーを示す側面図である。
図13】障害物センサーを示す斜視図である。
図14】伝動構造を示す線図である。
図15】走行機体の移動方法を示す説明図である。
図16】遠隔操作及び自動停止の制御系を示すブロック図である。
図17】(a)は、前輪操向用の操作経路に位置させた2輪操向操作具を示す正面図、(b)は、前輪操向用の操作経路に位置した2輪操向操作具を示す側面図、(c)は、後輪操向用の操作経路に位置した2輪操向操作具を示す正面図、(d)は、後輪操向用の操作経路に位置した2輪操向操作具を示す側面図、(e)は、両輪同操向制御モード及び両輪逆操向制御モードにおける操作経路に位置した4輪操向操作具を示す正面図、(f)は、両輪同操向制御モード及び両輪逆操向制御モードにおける操作経路に位置した4輪操向操作具を示す側面図である。
図18】別の実施構造を備えた作業機の前部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る作業機の全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係る作業機の全体を示す平面図である。図3は、本発明の実施例に係る作業機の全体を示す正面図である。図8は、走行機体を示す斜視図である。図10は、走行機体を示す平面図である。図1,2,3,8,10に示すように、本発明の実施例に係る作業機は、フレーム部1に左右一対の前車輪2及び左右一対の後車輪3が操向操作できるように、かつ駆動できるように装備された走行機体を備えている。走行機体の前車輪2と後車輪3との間の下部に草刈装置4を装備してある。走行機体の前車輪2と後車輪3との間における草刈装置4よりも上方の部位に、前車輪2、後車輪3及び草刈装置4を駆動するエンジン5、エンジン用の燃料タンク6、エンジン5によって伝動ベルト7aを介して駆動されるダイナモ7、電源用のバッテリー8を搭載してある。ダイナモ7は、エンジン5よりも後方に配置してある。バッテリー8は、エンジン5の左横側方に配置してある。走行機体の左横側部に横カバーCを設けてある。走行機体の後部に、前車輪2及び後車輪3の操向操作などを行なう制御装置9を設けてある。制御装置9による前車輪2及び後車輪3の操向操作などは、制御装置9が遠隔操作装置10からの操作指令としての電波信号を受信することによって行なわれるように構成してある。
【0018】
作業機は、走行機体が遠隔操作装置10によって遠隔操作されて走行し、走行機体の走行に伴い、草刈装置4によって草刈作業を行なうものである。
【0019】
走行機体のフレーム部1について説明する。
図9は、フレーム部1を示す斜視図である。図8,9,10に示すように、走行機体のフレーム部1は、機体前後方向での中間部に刈り刃ハウジング11が形成されている機体フレーム12と、機体フレーム12の前端部に連結された機体横方向に長い前輪用の支持フレーム13と、機体フレーム12の後端部に連結された機体横方向に長い後輪用の支持フレーム13と、機体フレーム12の左端側部位及び右端側部位の上方に位置する機体前後方向に長い補強フレーム14とを備えている。
【0020】
機体フレーム12は、刈り刃ハウジング11の部位での横幅が広く、刈り刃ハウジング11よりも前側及び後側の部位での横幅が狭い形状、すなわち平面視形状が前細りかつ後細りの形状になるように形成された板金部材によって構成してある。機体フレーム12のうちの刈り刃ハウジング11の部位での横幅の長さを走行機体の全幅又はほぼ全幅に亘る長さに設定してある。機体フレーム12のうちの刈り刃ハウジング11の部位に、ミッションケース15(図4参照)の下部が入る切欠き孔11aを設けてある。機体フレーム12のうちの切欠き孔11aよりも前後側の部位に機体横向きの補強フレーム16を連結してある。
【0021】
左右の機体前後向きの補強フレーム14及び前後の機体横向きの補強フレーム16は、縦断面形状が円形の鋼管材によって構成してある。
【0022】
刈り刃ハウジング11のうちの左側端部にバッテリー載置部11bを形成してある。前後の横向きの補強フレーム16のバッテリー載置部側の端部がバッテリー載置部11bの下側に入り込み、バッテリー載置部11bのバッテリー支持強度を横向きの補強フレーム16によって向上させている。
【0023】
前輪用の支持フレーム13の左側部分は、機体フレーム12の前端部から機体左横外向きに延出した左前輪用の車輪支持フレーム17を構成し、前輪用の支持フレーム13の右側部分は、機体フレーム12の前端部から機体右横外向きに延出した右前輪用の車輪支持フレーム17を構成している。左前輪用及び右前輪用の車輪支持フレーム17の延出端部にボス部17aを設けてある。このボス部17aは、前輪駆動ケース18の前車輪2よりも機体横内側の部位を機体上下向きの操向軸芯Pまわりに相対回動可能に支持している。
従って、左前輪用及び右前輪用の車輪支持フレーム17は、延出端部で前車輪2を操向軸芯Pまわりに操向操作できるように支持している。操向軸芯Pは、前車輪2よりも機体横内側に位置している。
【0024】
後輪用の支持フレーム13の左側部分は、機体フレーム12の後端部から機体左横外向きに延出した左後輪用の車輪支持フレーム17を構成し、後輪用の支持フレーム13の右側部分は、機体フレーム12の後端部から機体右横外向きに延出した右後輪用の車輪支持フレーム17を構成している。左後輪用及び右後輪用の車輪支持フレーム17の延出端部にボス部17aを設けてある。このボス部17aは、後輪駆動ケース19の後車輪3よりも機体横内側の部位を機体上下向きの操向軸芯Pまわりに相対回動可能に支持している。
従って、左後輪用及び右後輪用の車輪支持フレーム17は、後車輪3を操向軸芯Pまわりに操向操作できるように支持している。操向軸芯Pは、後車輪3よりも機体横内側に位置している。
【0025】
機体フレーム12の前端部における左右の角部に、横外向きに操向操作された前車輪2の後部が入り込む凹入空隙部Sとしての切欠きを設けてある。機体フレーム12の後端部における左右の角部に、横外向きに操向操作された後車輪3の前部が入り込む凹入空隙部Sとしての切り欠きを設けてある。
【0026】
左の前後向きの補強フレーム14は、左前輪用及び左後輪用の車輪支持フレーム17よりも上方に機体前後方向に位置するように、かつ機体フレーム12の左側の前後の凹入空隙部Sの上方を機体前後方向に通るように配置してある。左の前後向きの補強フレーム14の前端部は、左前輪用の車輪支持フレーム17のうちの機体フレーム12よりも機体横外側に位置する部位に連結してある。左の前後向きの補強フレーム14の後端部は、左後輪用の車輪支持フレーム17のうちの機体フレーム12よりも機体横外側に位置する部位に連結してある。左の前後向きの補強フレーム14の前後方向での中間部は、機体フレーム12のうちの刈り刃ハウジング11の部位の上面側に連結してある。
【0027】
右の前後向きの補強フレーム14は、右前輪用及び右後輪用の車輪支持フレーム17よりも上方に機体前後方向に位置するように、かつ機体フレーム12の右側の前後の凹入空隙部Sの上方を機体前後方向に通るように配置してある。右の前後向きの補強フレーム14の前端部は、右前輪用の車輪支持フレーム17のうちの機体フレーム12よりも機体横外側に位置する部位に連結してある。右の前後向きの補強フレーム14の後端部は、右後輪用の車輪支持フレーム17のうちの機体フレーム12よりも機体横外側に位置する部位に連結してある。右の前後向きの補強フレーム14の前後方向での中間部は、機体フレーム12のうちの刈り刃ハウジング11の部位の上面側に連結してある。
【0028】
左右の前後向きの補強フレーム14と車輪支持フレーム17との連結は、車輪支持フレーム17にブラケットを取り付けて形成した連結部17bに補強フレーム14を連結ボルトによって締め付け連結することによって行なってある。左右の前後向きの補強フレーム14と刈り刃ハウジング11との連結は、補強フレーム14に板部材を取り付けて形成した連結部14aを刈り刃ハウジング11の上面側にブラケットを取り付けて形成した支持部に連結ボルトによって締め付け連結することによって行なってある。
【0029】
従って、左前輪用及び左後輪用の車輪支持フレーム17の延出端側が左の前後向きの補強フレーム14によって支持され、右前輪用及び右後輪用の車輪支持フレーム17の延出端側が右の前後向きの補強フレーム14によって支持され、機体フレーム12による各車輪支持フレーム17の接地反力に抗しての支持が強固に行われる。
【0030】
エンジン5の駆動力を左右の前車輪2及び左右の後車輪3に伝達する走行伝動系について説明する。
図6,10に示すように、左前輪用の車輪支持フレーム17に操向軸芯Pまわりに操向操作できるように支持された前輪駆動ケース18、及び、右前輪用の車輪支持フレーム17に操向軸芯Pまわりに操向操作できるように支持された前輪駆動ケース18それぞれに、機体上下向きの回転伝動軸20を相対回転するように支持してある。図7,10に示すように、左後輪用の車輪支持フレーム17に操向軸芯Pまわりに操向操作できるように支持された後輪駆動ケース19、及び、右後輪用の車輪支持フレーム17に操向軸芯Pまわりに操向操作できるように支持された後輪駆動ケース19それぞれに、機体上下向きの回転伝動軸20を相対回転するように支持してある。
【0031】
左右の前輪駆動ケース18それぞれに相対回転するよう支持されている回転伝動軸20の回転軸芯は、前車輪2の操向軸芯Pと同軸芯になっている。左右の後輪駆動ケース19それぞれに相対回転するよう支持されている回転伝動軸20の回転軸芯は、後車輪3の操向軸芯Pと同軸芯になっている。
【0032】
図6は、右の前車輪2の支持構造及び駆動構造を示す縦断正面図である。左の前車輪2の支持構造及び駆動構造の図示は省略するが、左の前車輪2の支持構造及び駆動構造は、右の前車輪2の支持構造及び駆動構造と同じ構成を備えている。図7は、右の後車輪3の支持構造及び駆動構造を示す縦断後面図である。左の後車輪3の支持構造及び駆動構造の図示は省略するが、左の後車輪3の支持構造及び駆動構造は、右の後車輪3の支持構造及び駆動構造と同じ構成を備えている。図6に示すように、左右の前輪駆動ケース18それぞれに支持されている回転伝動軸20は、下端側に設けた前輪用のベベルギヤ機構21によって前車輪2の車軸2aに連動連結されている。図7に示すように、左右の後輪駆動ケース19それぞれに支持されている回転伝動軸20は、下端側に設けた後輪用のベベルギヤ機構21によって後車輪3の車軸3aに連動連結されている。
【0033】
各ベベルギヤ機構21は、回転伝動軸20に一体回転するように支持された回転軸側ベベルギヤ21aと、回転軸側ベベルギヤ21aに噛み合う状態で車軸2a,3aに一体回転するように支持された車軸側ベベルギヤ21bとを備えている。図6,14に示すように、左前輪用及び右前輪用の車軸側ベベルギヤ21bは、前車輪2の中立向きにおいて、回転伝動軸20に対して機体横内側に位置する。図7,14に示すように、左後輪用及び右後輪用の車軸側ベベルギヤ21bは、後車輪3の中立向きにおいて、回転伝動軸20に対して機体横内側に位置する。
【0034】
図4,5に示すように、走行機体の右横端部に、刈り刃ハウジング11の上方に配置した中継伝動ケース22を設けてある。中継伝動ケース22は、刈り刃ハウジング11の上面側に設けたブラケットに支持されている。中継伝動ケース22には、機体上下向きの中継伝動軸23が相対回転可能に支持されている。刈り刃ハウジング11の上面側にブラケットを介して支持されたミッションケース15に、エンジン5から中継伝動軸23に伝動するミッション30を収容してある。左右の前車輪2及び左右の後車輪3それぞれの回転伝動軸20、及び中継伝動軸23にわたって装着してある伝動ケース25に、中継伝動軸23から左右の前車輪2の回転伝動軸20に伝動する前輪側の伝動軸用伝動機構40、及び中継伝動軸23から左右の後車輪3の回転伝動軸20に伝動する後輪側の伝動軸用伝動機構41を収容してある。
【0035】
つまり、エンジン5の出力軸5aの駆動力がミッション30によって中継伝動軸23に伝達され、中継伝動軸23に一体回転するように設けた前輪用出力スプロケット23aと後輪用出力スプロケット23bとによって前輪駆動力と後輪駆動力とに分岐される。前輪駆動力は、前輪側の伝動軸用伝動機構40によって左右の前車輪2の回転伝動軸20に伝達され、左の前車輪2の回転伝動軸20からベベルギヤ機構21を介して左の前車輪2に伝達され、右の前車輪2の回転伝動軸20からベベルギヤ機構21を介して右の前車輪2に伝達される。後輪駆動力は、後輪側の伝動軸用伝動機構41によって左右の後車輪3の回転伝動軸20に伝達され、左の後車輪3の回転伝動軸20からベベルギヤ機構21を介して左の後車輪3に伝達され、右の後車輪3の回転伝動軸20からベベルギヤ機構21を介して右の後車輪3に伝達される。
【0036】
図3,4,6,7に示すように、伝動ケース25は、左右の前後向きの補強フレーム14よりも上方に配置し、左右の前車輪2及び左右の後車輪3それぞれの回転伝動軸20の補強フレーム14よりも上方に突出した上端側、及び中継伝動軸23の補強フレーム14よりも上方に突出した上端側に装着してある。図5,8に示すように、伝動ケース25は、右の前車輪2の回転伝動軸20、中継伝動軸23及び右の後車輪3の回転伝動軸20にわたって位置する機体前後向きの伝動上手側ケース部25aと、右の前車輪2の回転伝動軸20及び左の前車輪2の回転伝動軸20にわたって位置する機体横向きの前伝動下手側ケース部25bと、右の後車輪3の回転伝動軸20及び左の後車輪3の回転伝動軸20にわたって位置する機体横向きの後伝動下手側ケース部25cとを備えており、伝動ケース25の機体上下方向視での形状が機体左横向きに開口したコ字形状になっている。
【0037】
伝動ケース25のうちの前伝動下手側ケース部25bは、左前輪用の車輪支持フレーム17及び右前輪用の車輪支持フレーム17が備える連結部17bの上部に連結ボルトによって締め付け連結してある。伝動ケース25のうちの後伝動下手側ケース部25cは、左後輪用の車輪支持フレーム17及び右後輪用の車輪支持フレーム17が備える連結部17bに連結ボルトによって締め付け連結してある。
【0038】
図4,5,14に示すように、ミッション30は、エンジン5の機体上下向きの出力軸5aに自動遠心クラッチ31を介して機体上下向きの入力軸32aが連動連結される減速ミッション部32と、減速ミッション部32の出力ギヤ32bに入力軸33aが連動連結された変速ミッション部33と、変速ミッション部33の出力軸33bに入力ギヤ34aが連動連結された前後進切換えの伝動機構34とを備えている。前後進切換えの伝動機構34の機体横向きの出力軸34bがベベルギヤ機構35を介して中継伝動軸23の下端側に連動連結されている。
【0039】
減速ミッション部32は、入力軸32aの駆動力が減速伝動ギヤ部32cによって減速して伝達される機体上下向きの中間伝動軸32dと、中間伝動軸32dに一体回転するように支持されたウオーム32eとを備えている。ウオーム32eに噛み合ったホィールによって減速ミッション部32の出力ギヤ32bを構成してある。
【0040】
変速ミッション部33は、高速伝動状態と低速伝動状態の2段階の伝動状態に変速できるように構成してある。変速ミッション部33は、バッテリー8の前方に設けた変速レバー33c(図1,2参照)の揺動操作によって変速され、前車輪2及び後車輪3の駆動速度を高速と低速とに切り換える。変速レバー33cは、変速ミッション部33の変速操作部に操作ケーブルを介して連動連結されている。
【0041】
前後進切換えの伝動機構34は、出力軸34bに摺動操作できるように支持されたシフト部材34cを備え、シフト部材34cが摺動操作されることにより、前車輪2及び後車輪3を前進側に駆動する前進伝動状態、前車輪2及び後車輪3を後進側に駆動する後進伝動状態、及び前車輪2及び後車輪3を停止させる中立状態に切り換わるように構成してある。
【0042】
シフト部材34cは、前進位置に摺動操作されることによって前進伝動ギヤ34dに噛み合い操作され、後進位置に摺動操作されることによって後進伝動ギヤ34eに噛み合い操作され、中立位置に摺動操作されることによって前進伝動ギヤ34d及び後進伝動ギヤ34eに対して噛み合い解除されるように構成してある。
【0043】
図4,5,6,14に示すように、前輪側の伝動軸用伝動機構40は、中継伝動軸23の駆動力を右の前車輪2の回転伝動軸20に伝達する伝動方向上手側の伝動チェーン42と、伝動方向上手側の伝動チェーン42の駆動力を入力する回転調節伝動部43と、回転調節伝動部43の出力を左の前車輪2の回転伝動軸20に伝達する伝動方向下手側の伝動チェーン44とを備えている。
【0044】
図4,5,7,14に示すように、後輪側の伝動軸用伝動機構41は、中継伝動軸23の駆動力を右の後車輪3の回転伝動軸20に伝達する伝動方向上手側の伝動チェーン42と、伝動方向上手側の伝動チェーン42の駆動力を入力する回転調節伝動部43と、回転調節伝動部43の出力を左の後車輪3の回転伝動軸20に伝達する伝動方向下手側の伝動チェーン44とを備えている。
【0045】
前輪側の伝動軸用伝動機構40が備える伝動方向上手側の伝動チェーン42は、機体上下向きの中継伝動軸23に一体回転するように設けられた前輪用出力スプロケット23aと、右の前車輪2の機体上下向きの回転伝動軸20に一体回転するように設けられた入力スプロケット20aとに巻回されている。後輪側の伝動軸用伝動機構41が備える伝動方向上手側の伝動チェーン42は、中継伝動軸23に一体回転するように設けられた後輪用出力スプロケット23bと、右の後車輪3の機体上下向きの回転伝動軸20に一体回転するように設けられた入力スプロケット20aとに巻回されている。前輪側の伝動軸用伝動機構40及び後輪側の伝動軸用伝動機構41が備える伝動方向上手側の伝動チェーン42は、往行チェーン部と復行チェーン部とが中継伝動軸23及び回転伝動軸20の軸芯に対して直交する方向に並ぶ回動形態で回動する。
【0046】
前輪側の伝動軸用伝動機構40及び後輪側の伝動軸用伝動機構41が備える回転調節伝動部43は、右の前車輪2あるいは右の後車輪3の回転伝動軸20に一体回転するように支持された入力側ギヤ43aと、入力側ギヤ43aに噛み合った出力側ギヤ43bとを備えている。出力側ギヤ43bの回転支軸43cに出力スプロケット43dを相対回転不能に支持してある。
【0047】
前輪側の伝動軸用伝動機構40及び後輪側の伝動軸用伝動機構41が備える回転調節伝動部43は、中継伝動軸23から伝動方向上手側の伝動チェーン42によって伝達される駆動力を、入力側ギヤ40a及び出力側ギヤ40bによって回転方向が逆方向の駆動力に変換し、変換後の出力側ギヤ40bの駆動力を出力スプロケット43dから伝動方向下手側の伝動チェーン44に出力する。
【0048】
左右の前車輪2及び左右の後車輪3それぞれの回転伝動軸20が中継伝動軸23から伝動上手側の伝動チェーン42によって伝達される駆動力によって駆動されるのであるが、前輪側の伝動軸用伝動機構40が備える回転調節伝動部43は、左の前車輪2の回転伝動軸20の回転方向と、右の前車輪2の回転伝動軸20の回転方向とが逆回転方向になるように、左の前車輪2の回転伝動軸20に伝達される駆動力の回転方向を調節する。後輪側の伝動軸用伝動機構41が備える回転調節伝動部43は、左の後車輪3の回転伝動軸20の回転方向と、右の後車輪3の回転伝動軸20の回転方向とが逆回転方向になるように、左の後車輪3の回転伝動軸20に伝達される駆動力の回転方向を調節する。
【0049】
前輪側の伝動軸用伝動機構40が備える伝動方向下手側の伝動チェーン44は、回転調節伝動部43の出力スプロケット43dと、左の前車輪2の回転伝動軸20に一体回転するように設けられた入力スプロケット20aとに巻回されている。後輪側の伝動軸用伝動機構41が備える伝動方向下手側の伝動チェーン44は、回転調節伝動部43の出力スプロケット43dと、左の後車輪3の回転伝動軸20に一体回転するように設けられた入力スプロケット20aとに巻回されている。
【0050】
走行機体の操向操作について説明する。
図11に示すように、前輪用の車輪操向操作機構50は、左の前車輪2の前輪駆動ケース18及び右の前車輪2の前輪駆動ケース18それぞれに操向軸芯Pまわりに一体に揺動するように設けられ、左の前車輪2及び右の前車輪2の前後一対の操向操作部を構成する一対のアーム部18aのうちの前側のアーム部18aを連動連結するタイロッド51と、左の前車輪2の前輪駆動ケース18の後側のアーム部18aに操作ロッド52を介して出力アーム部53aが連動連結された操向操作体53と、操向操作体53を操作する前輪操向アクチュエータ54とを備えている。
【0051】
図11に示すように、後輪用の車輪操向操作機構55は、左の後車輪3の後輪駆動ケース19及び右の後車輪3の後輪駆動ケース19それぞれに操向軸芯Pまわりに一体に揺動するように設けられ、左の後車輪3及び右の後車輪3の前後一対の操向操作部を構成する一対のアーム部19aのうちの後側のア−ム部19aを連動連結するタイロッド51と、右の前車輪2の後輪駆動ケース19の前側のアーム部19aに操作ロッド52を介して出力アーム部53aが連動連結された操向操作体53と、操向操作体53を操作する後輪操向アクチュエータ56とを備えている。
【0052】
前輪用の車輪操向操作機構50の操向操作体53は、機体フレーム12のうちの刈り刃ハウジング11の部位よりも前側部位の上面側に設けられた支持部材57に機体上下向きの揺動軸芯Yまわりの揺動操作できるように支持されている。
【0053】
後輪用の車輪操向操作機構55の操向操作体53は、機体フレーム12のうちの刈り刃ハウジング11の部位よりも後側部位の上面側に設けられ支持部材57に機体上下向きの揺動軸芯Yまわりの揺動操作できるように支持されている。
【0054】
前輪操向アクチュエータ54及び後輪操向アクチュエータ56は、操向操作体53に備えられた扇形ギヤ部53bに出力ギヤ54a,56aが噛み合った正逆転駆動が可能な電動操向モータによって構成してある。電動操向モータは、機体フレーム12の上面側に支持されている。
【0055】
以下において、前輪操向アクチュエータ54を前輪操向モータ54と称して説明し、後輪操向アクチュエータ56を後輪操向モータ56と称して説明する。
【0056】
前輪用の車輪操向操作機構50は、前輪操向モータ54によって左右一対の前車輪2を連動させて操向操作する。すなわち、前輪操向モータ54が操向操作体53を揺動軸芯Yまわりに揺動操作し、操向操作体53の操作力を操作ロッド52によって左の前車輪2の前輪駆動ケース18に伝達してこの前輪駆動ケース18を揺動させ、左の前車輪2を操向操作する。左の前車輪2の前輪駆動ケース18の操作力をタイロッド51によって右の前車輪2の前輪駆動ケース18に伝達してこの前輪駆動ケース18を揺動させ、右の前車輪2を左の前車輪2と連動させて、左の前車輪2と同じ操向方向に操向操作する。
【0057】
後輪用の車輪操向操作機構55は、後輪操向モータ56によって左右一対の後車輪3を連動させて操向操作する。すなわち、後輪操向モータ56が操向操作体53を揺動軸芯Yまわりに揺動操作し、操向操作体53の操作力を操作ロッド52によって右の後車輪3の後輪駆動ケース19に伝達してこの後輪駆動ケース19を揺動させ、右の後車輪3を操向操作する。右の後車輪3の後輪駆動ケース19の操作力をタイロッド51によって左の後車輪3の後輪駆動ケース19に伝達してこの後輪駆動ケース19を揺動させて、右の後車輪3を左の後車輪3と連動させて、左の後車輪3と同じ操向方向に操向操作する。
【0058】
図16に示すように、制御装置9は、内蔵されたアンテナ(図示せず)によって遠隔操作装置10からの操作指令としての電波信号を受信するように構成してある。制御装置9には、マイクロコンピュータを利用して構成された操向制御部9aを備えてある。
【0059】
操向制御部9aは、操向操作装置としての遠隔操作装置10からの操作指令としての電波信号を基に、前輪操向制御モード[2FS]、後輪操向制御モード[2RS]、両輪同操向制御モード[4DS]及び両輪逆操向制御モード[4GS]を設定する。
【0060】
操向制御部9aは、前輪操向制御モード[2FS]を設定すると、後輪操向モータ56を中立状態に制御して左右の後車輪3を中立向き(直進向き)に維持しながら前輪操向モータ54を制御し、左右の前車輪2のみを遠隔操作装置10の操作状態に対応した操向向きに、かつ遠隔操作装置10の操作状態に対応した操向角に操向操作する。
【0061】
操向制御部9aは、後輪操向制御モード[2RS]を設定すると、前輪操向モータ54を中立状態に制御して左右の前車輪2を中立向き(直進向き)に維持しながら後輪操向モータ56を制御し、左右の後車輪3のみを遠隔操作装置10の操作状態に対応した操向向きに、かつ遠隔操作装置10の操作状態に対応した操向角に操向操作する。
【0062】
操向制御部9aは、両輪同操向制御モード[4DS]を設定すると、前輪操向モータ54及び後輪操向モータ56を制御し、左右一対の前車輪2及び左右一対の後車輪3を遠隔操作装置10の操作状態に対応した同じ操向向きに、かつ遠隔操作装置10の操作状態に対応した操向角に操向操作する。
【0063】
操向制御部9aは、両輪逆操向制御モード[4GS]を設定すると、前輪操向モータ54及び後輪操向モータ56を制御し、左右一対の前車輪2及び左右一対の後車輪3を遠隔操作装置10の操作状態に対応した逆操向向きに、かつ遠隔操作装置10の操作状態に対応した操向角に操向操作する。
【0064】
図16に示すように、操向操作装置としての遠隔操作装置10は、2輪操向操作具60、4輪操向操作具61及びモード選択操作具62を備えたジョイスティックによって構成してある。
【0065】
モード選択操作具62は、遠隔操作装置10の縦方向に沿った軸芯まわりに回転操作できるダイヤルによって構成されている。モード選択操作具62を回転操作することにより、遠隔操作装置10の発信状態として、2輪操向操作具60の操作状態に対応した操向指令としての電波信号を発信する2輪操向用の発信状態、両輪同操向制御モード[4DS]において4輪操向操作具61の操作状態に対応した操向指令としての電波信号を発信する4輪操向用かつ同操向用の発信状態、両輪逆操向制御モード[4GS]において4輪操向操作具61の操作状態に対応した操向指令としての電波信号を発信する4輪操向用かつ逆操向用の発信状態を選択できるように構成してある。
【0066】
2輪操向操作具60は、遠隔操作装置10の横方向及び縦方向に揺動操作できるスティックレバーによって構成してある。図17(a)は、前輪操向用の操作経路[K1]に位置した2輪操向操作具60を示す正面図である。図17(b)は、前輪操向用の操作経路[K1]に位置した2輪操向操作具60を示す側面図である。図17(c)は、後輪操向用の操作経路[K2]に位置した2輪操向操作具60を示す正面図である。図17(d)は、後輪操向用の操作経路[K2]に位置した2輪操向操作具60を示す側面図である。
【0067】
図17(a),(b),(c),(d)に示すように、2輪操向操作具60を操作するための前輪操向用の操作経路[K1]と後輪操向用の操作経路[K2]とを、遠隔操作装置10の縦方向に位置ずれした別の操作経路に設定してある。遠隔操作装置10の2輪操向用の発信状態を選択した状態において、図17(a),(b)に示す如く2輪操向操作具60を前輪操向用の操作経路[K1]に位置させると、操向制御部9aが遠隔操作装置10からの電波信号を基に、前輪操向制御モード[2FS]の設定状態になる。遠隔操作装置10の2輪操向用の発信状態を選択した状態において、図17(a),(b)に示す如く2輪操向操作具60を後輪操向用の操作経路[K2]に位置させると、操向制御部9aが遠隔操作装置10からの電波信号を基に、後輪操向制御モード[2RS]の設定状態になる。
【0068】
遠隔操作装置10の2輪操向用の発信状態を選択した場合、2輪操向操作具60を前輪操向用の操作経路[K1]において中立位置から左横方向及び右横方向に傾動操作することにより、操向制御部9aよる前輪操向制御モードでの制御により、前輪操向モータ54が左右の前車輪2を中立向き(直進向き)から2輪操向操作具60の操作方向に対応した横向きに操向操作し、走行機体を前車輪2のみによる操向操作によって2輪操向操作具60の操作方向に対応した方向に操向操作できる。2輪操向操作具60の左横方向及び右横方向への傾動ストロークを大にするほど、前車輪2の左横向き及び右横向きへの操向角が大になる。
【0069】
遠隔操作装置10の2輪操向用の発信状態を選択した場合、2輪操向操作具60を後輪操向用の操作経路[K2]において中立位置から左横方向及び右横方向に傾動操作することにより、操向制御部9aよる後輪操向制御モードでの制御により、後輪操向モータ56が左右の後車輪3を中立向き(直進向き)から2輪操向操作具60の操作方向に対応した横向きに操向操作し、走行機体を後車輪3のみによる操向操作によって2輪操向操作具60の操作方向に対応した方向に操向操作できる。2輪操向操作具60の左横方向及び右横方向へ傾動ストロークを大にするほど、後車輪3の左横向き及び右横向きへの操向角が大になる。
【0070】
4輪操向操作具61は、遠隔操作装置10の横方向に揺動操作できるスティックレバーによって構成してある。図17(e)は、両輪同操向制御モード[4DS]及び両輪逆操向制御モード[4GS]における操作経路[K3]に位置した4輪操向操作具61を示す正面図である。図17(f)は、両輪同操向制御モード[4DS]及び両輪逆操向制御モード[4GS]における操作経路[K3]に位置した4輪操向操作具61を示す側面図である。
【0071】
図17(e),(f)に示すように、両輪同操向制御モード[4DS]において4輪操向操作具61を操作するための操作経路[K1]と、両輪逆操向制御モード[4GS]において4輪操向操作具61を操作するための操作経路[k1]とを同じ操作経路に設定してある。
【0072】
遠隔操作装置10の4輪操向用かつ同操向用の発信状態を選択した場合、4輪操向操作具61を操作経路[K3]において中立位置から左横方向及び右横方向に傾動操作することにより、両輪同操向制御モード[4DS]の設定状態にある操向制御部9aによる制御により、前輪操向モータ54が左右の前車輪2を中立向き(直進向き)から4輪操向操作具61の操作方向に対応した横向きに操向操作し、後輪操向モータ56が左右の後車輪3を中立向き(直進向き)から4輪操向操作具61の操作方向に対応した横向きであって、左右の前車輪2と同じ横向きに操向操作し、走行機体を左向きや右向きに平行移動するように操向操作できる。4輪操向操作具61の左横方向及び右横方向への傾動ストロークを大にするほど、前車輪2及び後車輪3の左横向き及び右横向きへの操向角が大になる。
【0073】
遠隔操作装置10の4輪操向用かつ逆操向用の発信状態を選択した場合、4輪操向操作具61を操作経路[K3]において中立位置から左横方向及び右横方向に傾動操作することにより、両輪逆操向制御モード[4GS]の設定状態にある操向制御部9aによる制御により、前輪操向モータ54が左右の前車輪2を中立向き(直進向き)から4輪操向操作具61の操作方向に対応した横向きに操向操作し、後輪操向モータ56が左右の後車輪3を中立向き(直進向き)から4輪操向操作具61の操作方向に対応した横向きであって、左右の前車輪2の横向きとは逆の横向きに操向操作し、走行機体を小半径で旋回するように操向操作できる。4輪操向操作具61の左横方向及び右横方向への傾動ストロークを大にするほど、前車輪2及び後車輪3の左横向き及び右横向きへの操向角が大になる。
【0074】
2輪操向操作具60及び4輪操向操作具61は、左横方向及び右横方向へ傾動操作が解除されると、中立位置に自動的に復帰し、前車輪2及び後車輪3は、中立向き(直進向き)に操作される。
【0075】
遠隔操作装置10に備えてある前後進スイッチ63は、前進指令及び後進指令としての電波信号を遠隔操作装置10から発信させ、制御装置9に備えてある前後進制御部9bを作動させるものである。前後進制御部9bは、遠隔操作装置10からの電波信号を基に、前後進切換えの伝動機構34の操作部に連動連結された伝動切換えアクチュエータとしての伝動切換えモータ64を制御し、前後進切換えの伝動機構34を前進状態、後進状態及び中立状態に切換え操作するものである。
【0076】
走行機体の自動停止について説明する。
図1,2,8に示すように、走行機体の前部及び後部に障害物センサー70を設けてある。図16に示すように、前部及び後部の障害物センサー70と前後進切換えの伝動機構34とを、制御装置9を備えた連係機構80によって連係させてある。
【0077】
つまり、走行機体を前進走行させている場合、進行方向前方に存在する樹木などの障害物が前部の障害物センサー70によって検出されると、走行機体が自動的に機体後方側に少し逆走してから停止するように構成してある。走行機体を後進走行させている場合、進行方向前方に存在する樹木などの障害物が後部の障害物センサー70によって検出されると、走行機体が自動的に機体前方側に少し逆走してから停止するように構成してある。詳しくは、次の如く構成してある。
【0078】
図1,2,12,13に示すように、前部及び後部の障害物センサー70は、機体横方向に長いバー形状を備えるように構成してある。前部及び後部の障害物センサー70は、長手方向の両端側から延出した支持アーム71、及び左右の支持アーム71の延出端部にわたって連結された機体横向きの支軸72を備えている。支軸72を相対回転可能に支持するブラケット73が左右の補強フレーム14の端部に設けられており、前部及び後部の障害物センサー70は、支軸72の機体横向き軸芯を揺動軸芯Xとして揺動し、走行機体のフレーム部1に対して機体前後方向に移動する。
【0079】
以下において、前部及び後部の障害物センサー70、並びに、前部及び後部の障害物センサー70に関係する部材の移動や部位の説明に、機体外側及び機体内側と表現して説明するが、前部の障害物センサー70及び前部の障害物センサー70に関係する部材の説明における機体外側及び機体内側は、機体前方側及び機体後方側に相当し、後部の障害物センサー70、及び後部の障害物センサー70に関係する部材の説明における機体外側及び機体内側は、機体後方側及び機体前方側に相当する。
【0080】
前部及び後部の障害物センサー70の長手方向の両端側に、付勢機構65を装着してある。前部及び後部の障害物センサー70それぞれに装着してある左右の付勢機構65は、支持アーム71に一端側が相対回転するように支持され、他端側が補強フレーム14の端部に設けられたブラケット14bに機体前後方向にスライドするように支持された機体前後向きのストローク規制杆66を備えている。ストローク規制杆66のうちのブラケット14bよりも機体内側に位置する部位にピン形のストッパー66aを設けてある。ストローク規制杆66のうちのブラケット14bよりも機体外側に位置する部位にばね力調節ねじ67を設けてある。ブラケット14bとばね力調節ねじ67との間に配置した付勢ばね68をストローク規制杆66に装着してある。
【0081】
前部及び後部の障害物センサー70それぞれの左右の付勢機構65では、障害物センサー70の機体外側への移動によってストローク規制杆66が機体外側に移動するに伴い、ストッパー66aがブラケット14bに当接し、ストローク規制杆66のそれ以上の機体外側へ移動が規制され、障害物センサー70のそれ以上の機体外側への移動がストローク規制杆66によって規制される。障害物センサー70の機体内側への移動によってストローク規制杆66が機体内側に移動するに伴い、付勢ばね68がばね力調節ねじ67によって弾性変形されながらブラケット14bに押し付けられ、ばね力調節ねじ67が付勢ばね68によって受け止め支持されてストローク規制杆66のそれ以上の機体内側への移動が規制され、障害物センサー70のそれ以上の機体内側への移動がストローク規制杆66によって規制される。
【0082】
前部及び後部それぞれの障害物センサー70は、ストッパー66aがブラケット14bに当接する機体外側のストロークエンドE1と、ばね力調節ねじ67が付勢ばね68によって受け止め支持される機体内側のストロークエンドE2とにわたって機体前後方向に移動する。障害物センサー70の全ストロークHのうちの機体外側のストロークエンドE1と機体内側のストロークエンドE2との間の位置を障害物センサー70の検出位置Tとして設定してある。詳述すると、全ストロークHのうちの中心位置よりも機体外側のストロークエンドE1に寄った位置を検出位置Tとして設定してある。全ストロークHのうちの検出位置Tよりも機体外側の位置を障害物センサー70の非検出位置Nとして設定してある。実施例では、非検出位置Nと機体外側のストロークエンドE1とが一致又はほぼ一致している。全ストロークHのうちの検出位置Tよりも機体内側の領域を、検出位置Tに位置した障害物センサー70がその後において検出位置Tを越えて非検出位置Nとは反対側に障害物によって移動操作されることを可能にする緩衝領域Wとして設定してある。障害物センサー70は、左右の付勢ばね68によって非検出位置Nに付勢され、障害物による押圧操作を受けない通常時は非検出位置Nに位置する。
【0083】
図16に示すように、連係機構80は、前部の障害物センサー70の位置検出を行なう前部センサー用の検出スイッチ81と、後部の障害物センサー70の位置検出を行なう後部センサー用の検出スイッチ82と、前後進切換えの伝動機構34を切換え操作する伝動切換えアクチュエータとしての伝動切換えモータ64と、伝動切換えモータ64及び各検出スイッチ81,82に連係された制御装置9とを備えている。
【0084】
図1,12,13に示すように、前部センサー用の検出スイッチ81は、左右の前後向きの補強フレーム14の前端部を連結する連結フレーム83に支持されている。前部の障害物センサー70の支軸72に、前部センサー用の検出スイッチ81のためのスイッチ操作部84を一体回転するように設けてある。
【0085】
後部センサー用の検出スイッチ82は、左右の前後向きの補強フレーム14の後端部を連結する連結フレーム83に支持されている。後部の障害物センサー70の支軸72に、後部センサー用の検出スイッチ82ためのスイッチ操作部84を一体回転するように設けてある。
【0086】
前部センサー用及び後部センサー用の検出スイッチ81,82は、連結フレーム83の下部側に支持されている。連結フレーム83は、検出スイッチ81,82の上方を覆うガード機能を備えている。
【0087】
前部センサー用及び後部センサー用それぞれの検出スイッチ81,82は、障害物センサー70が非検出位置Nに位置していると、感圧部がスイッチ操作部84による押圧操作を受けず、切り状態にあり、障害物センサー70が非検出位置Nから検出位置Tに移動することにより、感圧部がスイッチ操作部84による押圧操作を受けて、切り状態から入り状態に切り換わる。検出スイッチ81,82は、障害物センサー70が緩衝領域Wに位置すると、感圧部がスイッチ操作部84による押圧操作を継続して受けるが、感圧部の位置変化が発生するだけで、スイッチ機能に支障が生じない。
【0088】
制御装置9に停止制御部9cを備えてある。停止制御部9cは、前部センサー用の検出スイッチ81から前部の障害物センサー70の位置情報を入力し、後部センサー用の検出スイッチ82から後部の障害物センサー70の位置情報を入力し、これらの入力情報と、制御装置9に予め入力されたプログラムとを基に、前後進制御部9bに操作指令を出力して前後進制御部9bによる伝動切換えモータ64の制御を行わせることにより、前部及び後部の障害物センサー70による障害物の検出に対応した走行機体の前後進切換え操作及び停止操作を行なう。
【0089】
すなわち、停止制御部9cは、前部の障害物センサー70及び後部の障害物センサー70が共に非検出位置Nにある場合、前後進制御部9bに遠隔操作装置10からの操作指令に基づく伝動切換えモータ64の制御を行わせる操作指令を出力し、遠隔操作装置10による走行機体の前後進操作を可能にする。
【0090】
停止制御部9cは、前部の障害物センサー70が検出位置Tに位置した場合、前後進制御部9bに遠隔操作装置10からの操作指令に優先して伝動切換えモータ64を後進操作状態に制御させて、伝動機構34を前進伝動状態から後進伝動状態に切換え操作し、走行機体を前進走行から後進走行に切り換える。
【0091】
停止制御部9cは、伝動機構34を予め設定された設定継続時間、後進伝動状態に維持させた後、前後進制御部9bに伝動切換えモータ64を中立状態に制御させて、伝動機構34を後進伝動状態から中立状態に切換え操作し、走行機体を停止させる。この走行機体の停止は、後に遠隔操作装置10からの前進指令及び後進指令を受けるまで継続させる。
【0092】
停止制御部9cは、後部の障害物センサー70が検出位置Tに位置した場合、前後進制御部9bに遠隔操作装置10からの操作指令に優先して伝動切換えモータ64を前進操作状態に制御させて、伝動機構34を後進伝動状態から前進伝動状態に切換え操作し、走行機体を後進走行から前進走行に切り換える。
【0093】
停止制御部9cは、伝動機構34を予め設定された設定継続時間、前進伝動状態に維持させた後、前後進制御部9bに伝動切換えモータ64を中立状態に制御させて、伝動機構34を前進伝動状態から中立状態に切換え操作し、走行機体を停止させる。この走行機体の停止は、後に遠隔操作装置10からの前進指令及び後進指令を受けるまで継続させる。
【0094】
前部及び後部それぞれの障害物センサー70は、障害物との当接によって非検出位置Nから検出位置Tに移動しても、検出位置Tに停止したままにならず、検出位置Tを越えて緩衝領域Wに移動し、障害物センサー70と障害物との当たりに起因する走行機体の行き止まりが生じない。
【0095】
つまり、障害物センサー70による障害物の検出が行われると、停止制御部9cの停止制御に基づく伝動切換えモータ64による伝動機構34の切換え操作が行われる。しかし、非検出位置から検出位置に切り換わった障害物センサー70がストロークエンドに位置する場合、障害物センサー70と障害物との当たりによって走行機体の行き止まりが発生し、伝動機構34の切換え操作に掛かる負荷が増加して、伝動機構34の切換えがスムーズに行われないことがある。
【0096】
これに対し、前部及び後部の障害物センサー70による障害物の検出に伴う伝動機構34の前進伝動状態と後進伝動状態との一方から他方への切換え、及びこの切換え後の中立状態への切換えが、障害物センサー70の緩衝領域Wへの移動によって走行機体の行き止まりが発生しない間に行われ、伝動機構34の切換え操作が軽く行わるように構成してある。
【0097】
草刈装置4について説明する。
図1,3に示すように、草刈装置4は、機体フレーム12の機体前後方向での中間部位に備えられた刈り刃ハウジング11、及び、刈り刃ハウジング11の内部に機体上下向きの回転軸芯Zまわりに回転駆動されるように設けた刈り刃90を備えている。図4,5に示すように、刈り刃90は、刈り刃支軸97に相対回転不能に支持された平面視で円形の刈り刃ベース90aと、刈り刃ベース90aの周方向での複数個所に揺動可能に支持されたバー形の刈り刃本体90bとを備えている。
【0098】
刈り刃ハウジング11に、機体フレーム12の前端側部分の下方で機体前方向きに開口した前向きの作業用開口91、及び、機体フレーム12の後端側部分の下方で機体後方向きに開口した後向きの作業用開口92を設けてある。図4,10に示すように、刈り刃ハウジング11の機体右横側の横側壁部93に、機体右横外向きに開口した向きの作業用開口94を設けてある。横向きの作業用開口94は、走行機体のうちのバッテリー8が位置する横端側とは反対の横端側部位に位置している。
【0099】
横向きの作業用開口94は、刈り刃ハウジング11の横端部に支持された蓋体95によって開閉できる。すなわち、蓋体95の上端側に設けた機体前後向きの支軸95aが刈り刃ハウジング11に設けた前後一対の支持部96に相対回転可能に支持されている。蓋体95は、支軸95aの軸芯を機体前後向きの開閉軸芯Qとして機体上方向きに揺動操作されることにより、上昇開き姿勢になって横向きの作業用開口94を開き、開閉軸芯Qまわりに機体下方向きに揺動操作されることにより、下降閉じ姿勢になって右横向きの作業用開口94を閉じる。
【0100】
図11に示すように、蓋体95と後輪用の車輪操向操作機構55とを、操作ケーブル101を備えた連係機構100によって連係させてある。
【0101】
連係機構100は、蓋体95の支軸95aに相対回転不能に支持された揺動自在な操作アーム102、操作アーム102の一端側が連結されたインナーケーブルを有した操作ケーブル101と、インナーケーブルの他端側が連結された揺動リンク103とを備えている。揺動リンク103は、操向操作体53の回転支軸53cに相対回転不能に支持されている。
【0102】
左右の後車輪3が直進向きの操向状態から右の後車輪3の後端側を機体外側に出す横向き操向状態に操向操作されると、揺動リンク103が操向操作体53の回動力によって回転支軸53cの軸芯まわりに揺動操作され、操作ケーブル101のインナーケーブルが揺動リンク103によって引き操作されて操作アーム102を開き操作姿勢に揺動操作する。
【0103】
左右の後車輪3が右の後車輪3の後端側を機体外側に出す横向き操向状態から直進向きの操向状態に操向操作されると、揺動リンク103が操向操作体53の回動力によって回転支軸53cの軸芯まわりに揺動操作され、操作ケーブル101のインナーケーブルが揺動リンク103によって緩め操作されて操作アーム102を閉じ操作姿勢に揺動操作する。
【0104】
左右の後車輪3が直進向きの操向状態から右の後車輪3の後端側を機体内側に入れる横向き操向状態に操向操作された場合、揺動リンク103が操向操作体53の回動力によって回転支軸53cの軸芯まわりに揺動操作され、操作ケーブル101のインナーケーブルが揺動リンク103によって緩め操作されるが、蓋体95が下降閉じ姿勢になっていてインナーケーブルに弛みが発生するため、操作アーム102が閉じ操作姿勢に維持される。
【0105】
従って、左右の前車輪2及び左右の後車輪3が両輪同操向制御モード4DSで右の前車輪2及び右の後車輪3の後端側を機体外側に出す横向き操向状態に操向操作されると、これに連動して蓋体95が開き操作される。左右の前車輪2及び左右の後車輪3が両輪同操向制御モードで直進向きの操向状態、及び、右の前車輪2及び右の後車輪3の後端側を機体内側に入れる横向き操向状態に操向操作されると、これに連動して蓋体95が閉じ操作される。
【0106】
従って、草刈装置4は、走行機体が前進走行する場合、処理対象の草を前向きの作業用開口91から刈り刃ハウジング11の内部に導入し、刈り刃90によって切断処理する。
この場合、横向きの作業用開口94は、蓋体95によって閉じられている。
【0107】
草刈装置4は、走行機体が後進走行する場合、処理対象の草を後向きの作業用開口92から刈り刃ハウジング11の内部に導入し、刈り刃90によって切断処理する。この場合、横向きの作業用開口94は、蓋体95によって閉じられている。
【0108】
草刈装置4は、前車輪2及び後車輪3が両輪同操向制御モード4DSによって右の前車輪2及び右の後車輪3の後端側を機体外側に出す横向き操向状態に操向操作され、走行機体が右横向きに走行する場合、横向きの作業用開口94が連係機構100によって自動的に開き操作され、処理対象の草を横向きの作業用開口94から刈り刃ハウジング11の内部に導入し、刈り刃90によって切断処理する。このように処理対象の草を横向きの作業用開口94から刈り刃ハウジング11に導入する草刈り作業を行なう際の走行機体の走行が、横向きの作業用開口94を傾斜地の低レベル側に位置させた走行であっても、横向きの作業用開口94が位置する機体横端側とは反対の機体横端側にバッテリー8が位置し、走行機体のうちの傾斜地の高レベル側に位置する横端側に荷重を掛けるウエイト機能をバッテリー8に発揮させ、作業用開口側を揺動支点にした走行機体の横揺れを抑制できる。
【0109】
図15は、走行機体の移動方法を示す説明図である。図15では、走行機体の移動を理解し易くするために、作業済みの作業走行域A1と次の作業走行域A2との間隔を草刈装置4の刈り幅Dに比して広く記載してあるが、実際に作業を行なう場合、作業済みの作業走行域A1と次の作業走行域A2との間に刈り残りが生じないように、作業済みの作業走行域A1と次の作業走行域A2との中心間隔を刈り幅Dとほぼ同じにする。
【0110】
すなわち、走行機体が作業走行域A1の終点に到達すると、前車輪2及び後車輪3を両輪同操向制御モード4DSで横外向きの操向状態に操向操作し、横向きの作業用開口94が進行方向を向く状態で走行機体を次の作業走行域A2へ横向き走行させる。このとき、前車輪2及び後車輪3の両輪同操向制御モード4DSでの横向きの操向状態への操向操作のために連係機構100が蓋体95を開き操作するので、草を横向きの作業用開口94から刈り刃ハウジング11に導入でき、移動経路に位置する草の刈取り処理をできる。走行機体が次の作業走行域A2に到達すると、前車輪2及び後車輪3を次の作業走行域A2における走行方向に沿った操向状態に操向操作し、走行機体を次の作業走行域A2において、作業済みの作業走行域A1における走行方向とは逆向きの走行方向に走行させる。
【0111】
草刈装置4の駆動構造について説明する。
図4,14に示すように、刈り刃90を下端部で相対回転不能に支持する機体上下向きの刈り刃支軸97がミッションケース15の筒状の刈り刃支持部15aに相対回転するように支持されている。刈り刃支軸97は、減速ミッション部32の中間伝動軸32dの下方に同軸芯状に位置している。刈り刃支軸97と中間伝動軸32dとにわたって刈り刃クラッチ98を設けてある。
【0112】
刈り刃クラッチ98が入り状態に切換え操作されることにより、刈り刃支軸97と中間伝動軸32dとが相対回転不能に連結され、刈り刃支軸97が中間伝動軸32dによって駆動され、刈り刃90が刈り刃支軸97の軸芯を回転軸芯Zとして刈り刃支軸97によって回転駆動される。
【0113】
刈り刃クラッチ98が切り状態に切換え操作されることにより、刈り刃支軸97と中間伝動軸32dとの連結が解除され、刈り刃支軸97への伝動が絶たれて刈り刃90が停止する。
【0114】
刈り刃クラッチ98の入り状態と切り状態との切換え操作は、バッテリー8の前方に設けたクラッチレバー98a(図1,2参照)の揺動操作によって行なうように構成してある。クラッチレバー98aは、刈り刃クラッチ98の操作部に対して操作ケーブルを介して連動連結してある。
【0115】
〔別実施例〕(1)図18は、別の実施構造を備えた作業機の前部を示す側面図である。
図18に示すように、別の実施構造を備えた作業機では、走行機体の前部にバンパー110を設けてある。前部のバンパー110は、前輪用の支持フレーム13から機体前方向きに延出したステー111に支持され、前部の障害物センサー70よりも下方に、かつ、前向きの作業用開口91の機体前方に位置している。
【0116】
別の実施構造を備えた作業機の走行機体の後部の図示を省略するが、走行機体の後部にも、後部の障害物センサー70よりも下方に配置し、かつ後向きの作業用開口92よりも機体後方に配置したバンパーを設けてある。後部のバンパーは、後輪用の支持フレーム13から機体後方向きに延出したステー111に支持されている。
【0117】
処理対象の草がバンパー110によって走行機体の進行方向前方に押し操作され、処理対象の草を立ち姿勢や進行方向前方向きの傾斜姿勢になった状態で刈り刃ハウジング11の内部に導入することができ、刈り刃90による切断ミスなどの切断不良を回避や抑制できる。また、障害物センサー70よりも低い箇所に位置し、障害物センサー70による検出ができない土塊などがあれば、バンパー110が障害物の押し退けや押し崩しを行ない、障害物の刈り刃ハウジング11への入り込みを回避や抑制できる。
【0118】
(2)上記した実施例では、機体フレーム12に凹入空隙部Sを設けた例を示したが、凹入空隙部Sを設けず、車輪支持フレーム17を機体フレーム12から延出させるだけで実施してもよい。
【0119】
(3)上記した実施例では、前車輪側の車輪支持フレーム17に対する補強フレーム16と、後車輪側の車輪支持フレーム17に対する補強フレーム16とを一体に形成した例を示したが、前車輪側の補強フレーム16と後車輪側の補強フレームとを別部材に構成して実施してもよい。
【0120】
(4)上記した実施例では、前車輪1、後車輪2及び草刈装置4をエンジン5によって駆動するよう構成した例を示したが、エンジン5に替えて電動モータを原動機として実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、草刈装置4を備えた作業機の他、薬剤や肥料の散布装置など各種の作業装置を備えた作業機に利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
2 車輪(前車輪)
2a 車軸(前車軸)
3 車輪(後車輪)
3a 車軸(後車軸)
12 機体フレーム
14 補強フレーム
17 車輪支持フレーム
20 回転伝動軸
25 伝動ケース
P 操向軸芯
S 凹入空隙部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18