(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を用いる電子部品には、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタ又はサーミスタ等がある。
【0003】
このようなセラミック電子部品のうちインダクタは、抵抗及びキャパシタと共に電子回路をなす重要な受動素子の一つであり、ノイズを除去するか又はLC共振回路をなす部品として用いられる。上記セラミック電子部品は、磁性体組成物を用いて製作される。
【0004】
インダクタは、構造によって積層型、巻線型及び薄膜型等の多様な型に分けられ、それぞれ適用範囲及び製造方法に差異がある。
【0005】
巻線型インダクタは、例えば、フェライト(ferrite)コアにコイルを巻いて形成されるが、コイル間に浮遊容量、即ち、導線間に静電容量が発生するため、高インダクタンスを得るために巻線数を増加させる場合は高周波特性が劣化してしまうという問題がある。
【0006】
積層型インダクタは、多数のフェライト又は低誘電率の誘電体からなるセラミックシートが積層された積層体の形に製造され、上記セラミックシート上にコイル状の金属パターンが形成され、それぞれのセラミックシート上に形成されたコイル状の金属パターンがそれぞれのセラミックシートに形成された導電性ビアによって順次接続されて積層方向に沿って重なる構造をなす。
【0007】
積層型インダクタは、巻線型と比べて構造が簡単且つ小型で原価競争力があるが、直流バイアス(DC-bias)によるインダクタンスの変化率が大きいという短所がある。これを改善するために、非磁性体である誘電体材料をインダクタの中間に挿入すると、有効透磁率は減少するが、インダクタンスの変化率が非常に小さくなるため、高電流で用いる積層型パワーインダクタの製作が可能となる。
【0008】
このような積層型インダクタにおいては、非磁性体である誘電体と磁性体材料が異種接合して誘電体と磁性体材料とのマッチングが可能でなければならない。異種接合による欠陥としては、デラミネーション、拡散及びクラック、磁性体と挿入物との剥離等が挙げられる。デラミネーションは、焼成前には層間接着力が弱いため切断時に発生する。しかしながら、焼成後には挿入物部分とセラミック本体との焼成収縮挙動の差による応力によって発生する。クラックと層間剥離も、挿入物とセラミック本体との焼成収縮挙動の差による内部応力の差によって焼成過程や焼成後の冷却過程で発生する。
【0009】
例えば、磁性体層の材料がZn-Cuフェライト系の場合は、非磁性体層の材料が(Zn,Cu)Ti
2O
4である。Zn-Cuフェライト系材料及び(Zn,Cu)Ti
2O
4は全てスピネル(spinel)構造を有し、同じ元素であるZn又はCuを含む材料であるため、磁性体層と非磁性体層との界面で拡散を起こして接合を容易にする。しかしながら、磁性体層と非磁性体層との間で拡散が起こることから、非磁性体の厚さが薄くなってチップの容量又はRDC等が変わり、磁性体層と非磁性体層との収縮挙動が異なるため、薄い非磁性体層によってデラミネーション又はクラックが発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、非磁性体である誘電体と磁性体との異種接合によるデラミネーション、拡散及びクラック、磁性体と挿入物との剥離を防止することができる積層型電子部品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、複数の磁性体層を含むセラミック本体と、上記磁性体層の間に配置される非磁性体層と、上記セラミック本体の内部に配置され、上記複数の磁性体層及び上記非磁性体層のうち少なくともいずれか一つの層に配置され、複数の内部コイルパターンが電気的に接続される内部コイル部と、上記セラミック本体の端面に配置され、上記内部コイル部と接続する外部電極と、を含み、上記非磁性体層はNb
2O
5系誘電体を含む積層型電子部品が提供される。
【0013】
上記Nb
2O
5系誘電体は、ZnO-Nb
2O
5、ZnO-TiO
2-Nb
2O
5、BaO-Nb
2O
5、BaO-TiO
2-Nb
2O
5及びBi
2O
3-Nb
2O
5系のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0014】
上記非磁性体層は、V
2O
5を含むことができる。
【0015】
上記非磁性体層に含まれるNb
2O
5とV
2O
5のモル比が0.9:0.1〜0.6:0.4であれば良い。
【0016】
上記非磁性体層は、ガラスフリットを7〜20wt%含むことができる。
【0017】
上記ガラスフリットは、CaO及びBaOのうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0018】
上記非磁性体層は、上記内部コイル部の内部に配置されることができる。
【0019】
上記非磁性体層の一部の領域は上記誘電体を含み、上記誘電体を含まない領域は上記磁性体層の物質と同じ物質からなることができる。
【0020】
上記非磁性体層の一部の領域は上記誘電体を含み、上記誘電体を含まない領域は空いていることができる。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、複数の磁性体シートを製造する段階と、単一又は複数のNb
2O
5系誘電体を含む非磁性体シートを製造する段階と、上記磁性体シート及び上記非磁性体シートのうち少なくともいずれか一つのシート上に内部コイルパターンを形成する段階と、上記磁性体シート及び非磁性体シートを積層して内部コイル部及びセラミック本体を形成する段階と、セラミック本体の端面に上記内部コイル部と接続する外部電極を形成する段階と、を含む積層型電子部品の製造方法が提供される。
【0022】
上記Nb
2O
5系誘電体は、ZnO-Nb
2O
5、ZnO-TiO
2-Nb
2O
5、BaO-Nb
2O
5、BaO-TiO
2-Nb
2O
5及びBi
2O
3-Nb
2O
5系のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0023】
上記非磁性体シートは、V
2O
5を含むことができる。
【0024】
上記非磁性体シートに含まれるNb
2O
5とV
2O
5のモル比が0.9:0.1〜0.6:0.4であれば良い。
【0025】
上記非磁性体シートは、ガラスフリットを7〜20wt%含むことができる。
【0026】
上記ガラスフリットは、CaO及びBaOのうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0027】
上記非磁性体シートは、上記内部コイル部の内部に形成されることができる。
【0028】
上記非磁性体層の一部の領域は上記誘電体を含み、上記誘電体を含まない領域は上記磁性体層の物質と同じ物質からなることができる。
【0029】
上記非磁性体層の一部の領域は上記誘電体を含み、上記誘電体を含まない領域は空いていることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施形態による積層型電子部品及びその製造方法によれば、磁性体層と非磁性体層の焼成収縮プロファイルを一致させて内部残留応力を最小化させることによりデラミネーション、拡散、剥離、クラック、層間剥離等のような欠陥を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0033】
積層型電子部品
以下では、本発明の一実施形態による積層型電子部品を説明するが、これに制限されるものではない。
【0034】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品100の斜視図であり、
図2a〜
図2dは本発明の第1〜第4の実施形態による積層型電子部品100の
図1のA-A’線に沿う断面図であり、
図3a〜
図3dは本発明の第5〜第8の実施形態による積層型電子部品100の分解斜視図であり、
図4a〜
図4cは本発明の第9〜第11の実施形態による積層型電子部品100の
図1のA-A’線に沿う断面図であり、
図5a〜
図5cは第9〜第11の実施形態による非磁性体層112を示す図である。
【0035】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の磁性体層が積層されて形成されたセラミック本体110と、磁性体層111’と、セラミック本体の内部に配置される内部コイル部120と、磁性体層の間に配置される非磁性体層112と、セラミック本体110の端面に形成される外部電極130と、を含む。
【0036】
セラミック本体110を形成する複数の磁性体層111’及び非磁性体層112は焼結された状態で、隣接する磁性体層111’間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いなくては確認できないほどに一体化されることができる。
【0037】
セラミック本体110は六面体状であれば良い。本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、
図1に表示されたL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向、厚さ方向を示す。
【0038】
磁性体層111’の製造に用いられる磁性体は、特に制限されず、例えば、フェライト(ferrite)材料を含むことができる。磁性体層111’は、通常、Fe
2O
3、ZnO、NiO、CuO、MgO、MnO、CoO等の組成からなり、MFe
2O
4(M:Zn、Ni、Cu、Mn、Mg)の化学式を有し、組成比によって多様な透磁率を有することができる。
【0039】
磁性体層111’の組成のうちZnOとCuO組成は、1100℃以下の温度で溶融されることができる。磁性体層111’に含まれたZnOとCuOの添加量が高いほど、磁性体層111’の組成物はより低い温度で合成及び焼結されることができる。磁性体層111’に含まれたZnOとCuOを合わせた含量は15〜36mol%であれば良い。
【0040】
磁性体層において、NiOの含量が多いほど、透磁率は上昇する。
【0041】
図6は、CuOが9mol%含まれた(Ni,Mn,Cu,Zn)Fe
2O
4フェライト磁性体組成物のか焼温度及び維持時間による焼成収縮カーブを示すものである。
【0042】
図6を参照すると、低温(780℃)で維持時間を長くしたフェライト磁性体組成物を焼成した方が、高温(900℃)で維持時間を短くしたフェライト(ferrite)磁性体組成物を焼成した方より粒界エネルギーが高くて低温で速やかに収縮される。
【0043】
図3a、3b、3c、3dを参照すると、複数の磁性体シート111’上に形成された内部コイルパターン121がビア電極によって電気的に接続されて内部コイル部120を形成することができる。また、複数の磁性体シート111’の間に積層される非磁性体シート112’上に形成された内部コイルパターン121を含んで内部コイル部120が形成されることができる。
【0044】
上記内部コイルパターン121は、導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して形成されることができる。上記導電性金属は、電気伝導度に優れた金属であれば特に制限されず、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)又は白金(Pt)等の単独又は混合型であれば良い。
【0045】
上記内部コイル部120の上部及び下部に複数の磁性体シート111’がさらに積層されて上部及び下部カバー層を形成することができる。
【0046】
上記非磁性体層112は、磁性体層111’と非磁性体層112の焼成収縮プロファイルを一致させて内部残留応力を最小化させることによりデラミネーション、拡散、剥離、クラック、層間剥離等のような欠陥を減少させることができるようにセラミック本体110の内部に配置されることができる。
【0047】
図2a、
図2b、
図3a、
図3bを参照すると、非磁性体層112は、磁性体層111’の間に単一で配置されても良く、複数で配置されても良い。
【0048】
図2c、
図2d、
図3a、
図3bを参照すると、非磁性体層112は、内部コイル部120の内部に配置されても良く、内部コイル部120の外部に配置されても良く、内部コイル部120の内部及び外部に配置されても良い。
【0049】
図4a〜
図4cを参照すると、非磁性体層112は、一部の領域が誘電体を含むことができる。誘電体は、多様な形で非磁性体層112の一部の領域に含まれることができ、
図4a〜
図4cの例に限定されない。非磁性体層112をなす誘電体は、
図4aのように一部の領域に含まれても良く、
図4bのように磁性体層111’を横切る形で含まれても良く、
図4cのように一定のパターンを有する領域に含まれても良い。非磁性体層112の一部の領域が誘電体を含む場合、誘電体を含まない領域は、磁性体層111’をなす物質と同じ物質を含んでも良く、空いていても良い。
【0050】
磁性体層111’と非磁性体層112の異種接合によって発生する欠陥を最小化するために、非磁性体層112の材料の選定を固相焼結と液相焼結によって異ならせても良く、非磁性体層112の材料として異種接合時に低温焼結が可能な素材を選定するか又は非磁性体層112の材料として磁性体層111’の材料と同じような構造を有するセラミック素材を選定しても良い。
【0051】
本発明の一実施形態による非磁性体層112は、Nb
2O
5(ニオブ酸塩、niobate)系誘電体を含むことができる。非磁性体層112がNb
2O
5系誘電体を含むことにより、磁性体層111’と非磁性体層112との間の拡散を抑制し、内部残留応力を最小化し、磁性体層111’と非磁性体層112との焼成収縮挙動を一致させることができる。
【0052】
Nb
2O
5系誘電体は、ZnO-Nb
2O
5、ZnO-TiO
2-Nb
2O
5、BaO-Nb
2O
5、BaO-TiO
2-Nb
2O
5、Bi
2O
3-Nb
2O
5系のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。ZnO-Nb
2O
5、ZnO-TiO
2-Nb
2O
5、BaO-Nb
2O
5、BaO-TiO
2-Nb
2O
5、Bi
2O
3-Nb
2O
5系セラミック組成を含むことにより、1200℃以下の温度で合成されることができる。
【0053】
非磁性体層112に含まれたNb
2O
5の一部をV
2O
5に置換することができる。非磁性体層112に含まれたNb
2O
5の一部をV
2O
5に置換すると、より低い温度での合成及び焼結が可能となり、磁性体層111’の焼成収縮カーブのプロファイルと非磁性体層112の焼成収縮カーブのプロファイルとを一致させることができる。Nb
2O
5からV
2O
5に置換する置換量は0.1〜0.4モルであれば良い。この場合、非磁性体層112のNb
2O
5とV
2O
5の成分比は0.9:0.1〜0.6:0.4であれば良い。
【0054】
非磁性体層112は、CaO又はBaO等のアルカリ土類酸化物が含まれたガラスフリットを含むことができる。非磁性体層112に含まれたガラスフリットは、低温焼結剤として用いられることができる。非磁性体層112にガラスフリットが含まれることにより、界面拡散を抑制させて焼結温度を低めることができ、インダクタ本体の磁性体層111’の焼成収縮カーブのプロファイルと非磁性体層112の焼成収縮カーブのプロファイルとを一致させることができる。
【0055】
図7は、Ba
5(Nb
0.8V
0.2)
4O
15のガラスフリット添加量によるフェライト磁性体組成物と誘電体との焼成収縮カーブのマッチングを示すものである。
【0056】
図7を参照すると、Ba
5(Nb
0.8V
0.2)
4O
15に10wt%のCa-ボロシリケイト(Ca-borosilicate)ガラスフリットを含む誘電体の焼成収縮カーブのプロファイルがフェライト磁性体組成物の焼成収縮カーブのプロファイルと一致することが確認できる。
【0057】
表1は、本発明の一実施例を示したものであって、磁性体層111’の組成物である(Ni,Mn,Cu,Zn)Fe
2O
4磁性体組成物及び非磁性体層112の材料についての界面接合性及び欠陥の有無を確認して示したものである。
【0058】
30μmの同一の厚さを有する磁性体シートAと非磁性体シートBを成形してA-B-A構造で接合させて焼成したときの、デラミネーション、クラック又は剥離、界面での拡散の発生程度を観察した。
【0060】
非磁性体層112の材料におけるV
2O
5置換量が0.4モル以上の場合は、非置換のV
2O
5が生じて界面での拡散が発生した。
【0061】
焼成収縮カーブのプロファイルが一致しない場合は、デラミネーション、クラック又は剥離が発生した。
【0062】
低温焼結剤としてCa
2+又はBa
2+のアルカリ土類が含有されたガラスフリットが用いられる場合は、フェライトのNi、Mn、Cu、Znが全て2+陽イオンであるため、インダクタ本体と非磁性体層112との界面から二次相を析出させて界面拡散を抑制させることができる。
【0063】
但し、界面接合性が不良となるため、ガラスフリットを7wt%〜20wt%添加して初めて接合性が良好となることが分かる。
【0064】
外部電極130は、セラミック本体110の対向する両端面に形成され且つ内部コイル部120と接続するように形成されることができる。
【0065】
外部電極130は、セラミック本体110の厚さ方向(T方向)の両端面及び幅方向(W方向)のうち少なくともいずれか一つの面に伸びて形成されることができる。
【0066】
外部電極130は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)又は銀(Ag)等の単独又はこれらの合金等で形成されることができる。
【0067】
積層型電子部品の製造方法
図8は、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の製造方法を示す工程図である。
【0068】
図8を参照すると、まず、複数の磁性体シートを製造することができる。
【0069】
磁性体シートの製造に用いられる磁性体は、特に制限されず、例えば、フェライト(ferrite)材料を含むことができる。磁性体シートは、通常、Fe
2O
3、ZnO、NiO、CuO、MgO、MnO、CoO等の組成からなり、MFe
2O
4(M:Zn、Ni、Cu、Mn、Mg)の化学式を有し、組成比によって多様な透磁率を有することができる。
【0070】
次に、非磁性体シートを製造することができる。
【0071】
非磁性体シートの製造に用いられる非磁性体は、Nb
2O
5系誘電体を含むことができる。非磁性体シートにNb
2O
5系誘電体が含まれることにより、磁性体層111’と非磁性体層112との間の拡散を抑制し、内部残留応力を最小化し、磁性体層111’と非磁性体層112との焼成収縮挙動を一致させることができる。
【0072】
Nb
2O
5系誘電体は、ZnO-Nb
2O
5、ZnO-TiO
2-Nb
2O
5、BaO-Nb
2O
5、BaO-TiO
2-Nb
2O
5、Bi
2O
3-Nb
2O
5系のうち少なくともいずれか一つであれば良い。ZnO-Nb
2O
5、ZnO-TiO
2-Nb
2O
5、BaO-Nb
2O
5、BaO-TiO
2-Nb
2O
5、Bi
2O
3-Nb
2O
5系セラミック組成を含むことにより、1200℃以下の温度で合成されることができる。
【0073】
非磁性体シートに含まれたNb
2O
5の一部をV
2O
5に置換することができる。非磁性体シートに含まれたNb
2O
5の一部をV
2O
5に置換すると、より低い温度での合成及び焼結が可能となり、磁性体層111’の焼成収縮カーブのプロファイルと非磁性体層112の焼成収縮カーブのプロファイルとを一致させることができる。Nb
2O
5からV
2O
5に置換する置換量は0.1〜0.4モルであれば良い。この場合、非磁性体シートのNb
2O
5とV
2O
5の成分比は0.9:0.1〜0.6:0.4であれば良い。
【0074】
非磁性体シートは、CaO又はBaO等のアルカリ土類酸化物が含まれたガラスフリットを含むことができる。非磁性体シートに含まれたガラスフリットは、低温焼結剤として用いられることができる。非磁性体シートにガラスフリットが含まれることにより、界面拡散を抑制させて焼結温度を低めることができ、インダクタ本体の磁性体層111’の焼成収縮カーブのプロファイルと非磁性体層112の焼成収縮カーブのプロファイルとを一致させることができる。非磁性体シートにNb
2O
5系誘電体が含まれることにより、磁性体層111’と非磁性体層112との間の拡散を抑制し、内部残留応力を最小化し、磁性体層111’と非磁性体層112との焼成収縮挙動を一致させることができる。
【0075】
次に、磁性体シート及び非磁性体シートのうち少なくともいずれか一つのシート上に内部コイルパターン121を形成することができる。
【0076】
内部コイルパターン121は、導電性金属を含む導電性ペーストを磁性体シート上に印刷工法等で塗布して形成されることができる。
【0077】
導電性金属は、電気伝導度に優れた金属であれば特に制限されず、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)又は白金(Pt)等の単独又は混合型であれば良い。
【0078】
導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法等を用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0079】
次に、磁性体シート及び非磁性体シートを積層して内部コイル部120及びセラミック本体110を形成することができる。
【0080】
図2a及び
図2bを参照すると、非磁性体シートは、磁性体層111’の間に単一で積層されても良く、複数で積層されても良い。
【0081】
図2c及び
図2dを参照すると、非磁性体シートの積層工程は、非磁性体シートが内部コイル部120の内部に積層されるように内部コイル部120の形成段階中に行われても良く、非磁性体シートが内部コイル部120の外部に積層されるように内部コイル部120の形成段階の前後に行われても良い。
【0082】
図4a〜
図4cを参照すると、非磁性体シートは、一部の領域が誘電体を含むことができる。非磁性体シートをなす誘電体は、
図4aのように非磁性体シートの一部の領域に含まれても良く、
図4bのように磁性体層111’を横切る形で含まれても良く、
図4cのように一定のパターンを有する領域に含まれても良い。非磁性体シートの一部の領域が誘電体を含む場合、誘電体を含まない領域は、磁性体シートをなす物質と同じ物質を含んでも良く、空いていても良い。
【0083】
外部電極130は、セラミック本体110の対向する両端面に形成され且つ内部コイル部120と接続するように形成されることができる。
【0084】
外部電極130は、セラミック本体110の厚さ方向(T方向)の両端面及び/又は幅方向(W方向)の両端面に伸びて形成されることができる。
【0085】
外部電極130は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)又は銀(Ag)等の単独又はこれらの合金等で形成されることができる。
【0086】
外部電極130を形成する方法としては、外部電極の形状によってプリンティング法のみならずディッピング(dipping)法等を用いても良い。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。