特許第6258148号(P6258148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258148
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20171227BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20171227BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20171227BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20171227BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20171227BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20171227BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20171227BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   H01L29/80 F
   H01L29/80 H
   H01L29/50 J
   H01L29/44 S
   H01L29/44 L
   H01L29/44 P
   H01L29/50 M
   H01L21/28 301B
   H01L29/78 301B
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-159280(P2014-159280)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-39161(P2016-39161A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】筒井 一生
(72)【発明者】
【氏名】岩井 洋
(72)【発明者】
【氏名】角嶋 邦之
(72)【発明者】
【氏名】若林 整
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−227014(JP,A)
【文献】 特開2009−239144(JP,A)
【文献】 特開2007−227409(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0223317(US,A1)
【文献】 特開2006−253559(JP,A)
【文献】 特開2013−229458(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0233520(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0146095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 21/28
H01L 29/41
H01L 29/417
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaN系半導体の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に設けられ、前記第1の半導体層よりもバンドギャップの大きい、GaN系半導体の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層上に設けられるソース電極およびドレイン電極であって、前記ソース電極および前記ドレイン電極の少なくともいずれか一方の前記第2の半導体層に接する側に、複数の凸部を有する前記ソース電極および前記ドレイン電極と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の前記第2の半導体層上に設けられるゲート電極と、
を備え
前記凸部の、前記ソース電極または前記ドレイン電極の前記第2の半導体層に接する側に占める割合が、前記ソース電極または前記ドレイン電極から前記ゲート電極に向かう方向に減少し、
前記凸部が前記ソース電極または前記ドレイン電極から前記ゲート電極に向かう方向に伸長する半導体装置。
【請求項2】
前記第1の半導体層がAlGa1−XN(0≦X<1)であり、前記第2の半導体層がノンドープ又はn型のAlGa1−YN(0<Y≦1、X<Y)である請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凸部が周期性を有する請求項1または請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凸部がストライプ状である請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記凸部の幅が、前記ソース電極または前記ドレイン電極から前記第1の半導体層に向かって狭くなる請求項1ないし請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記凸部の幅が、隣接する2つの前記凸部の間隔よりも狭い請求項1ないし請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記凸部と前記第1の半導体層との距離が0nmより大きく10nm以下である請求項1ないし請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
隣接する2つの前記凸部の間の領域と前記第1の半導体層との距離が15nm以上である請求項1ないし請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項9】
隣接する2つの前記凸部の間の領域と前記第1の半導体層との距離が、前記凸部と前記第1の半導体層との距離の2倍以上である請求項1ないし請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項10】
前記凸部の周期が、隣接する2つの前記凸部の間の領域と前記第1の半導体層との距離の100倍以上である請求項3記載の半導体装置。
【請求項11】
前記凸部を有する前記ソース電極または前記ドレイン電極と、前記第1の半導体層との間の前記第2の半導体層に引張応力が発生している請求項1ないし請求項10いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の半導体層と前記ゲート電極との間に、ゲート絶縁膜を、さらに備える請求項1ないし請求項11いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源やインバータなどの回路には、スイッチング素子やダイオードなどのパワー半導体素子が用いられる。これらのパワー半導体素子には高耐圧・低オン抵抗が求められる。そして、耐圧とオン抵抗の関係は、素子材料で決まるトレードオフ関係がある。
【0003】
これまでの技術開発の進歩により、パワー半導体素子は、主な素子材料であるシリコンの限界近くまで低オン抵抗が実現されている。オン抵抗を更に低減するには素子材料の変更が必要である。GaNやAlGaNなどの窒化物半導体や炭化珪素(SiC)などのワイドバンドギャップ半導体をスイッチング素子材料として用いることで、材料で決まるトレードオフ関係を改善でき、飛躍的に低オン抵抗化が可能である。
【0004】
GaNやAlGaNなどの窒化物半導体を用いた素子で、低オン抵抗が得られやすい素子として、例えば、AlGaN/GaNへテロ構造を用いたヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)が挙げられる。このHFETは、ヘテロ界面チャネルの高移動度と、分極により発生する高電子濃度により、低オン抵抗を実現する。これにより、素子のチップ面積が小さくとも低オン抵抗が得られる。
【0005】
しかし、AlGaNやGaNと電極の金属材料との間に合金を形成することで、界面の抵抗を低減することは困難である。これは、AlGaNやGaN中での金属の拡散係数が小さいからである。このため、ソース電極およびドレイン電極のコンタクト抵抗が低減できず、オン抵抗が高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−214625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ソース電極またはドレイン電極のコンタクト抵抗が低減された半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の半導体装置は、GaN系半導体の第1の半導体層と、第1の半導体層上に設けられ、第1の半導体層よりもバンドギャップの大きい、GaN系半導体の第2の半導体層と、第2の半導体層上に設けられるソース電極およびドレイン電極であって、ソース電極およびドレイン電極の少なくともいずれか一方の第2の半導体層に接する側に、複数の凸部を有するソース電極およびドレイン電極と、ソース電極とドレイン電極との間の第2の半導体層上に設けられるゲート電極と、を備え、凸部の、ソース電極またはドレイン電極の第2の半導体層に接する側に占める割合が、ソース電極またはドレイン電極からゲート電極に向かう方向に減少し、凸部がソース電極またはドレイン電極からゲート電極に向かう方向に伸長する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の作用を示す図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の効果を示す図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の効果を示す図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の効果を示す図。
図6】第2の実施形態の半導体装置の模式平面図。
図7】第3の実施形態の半導体装置の模式平面図。
図8】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図9】第5の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図10】第6の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図11】第8の実施形態の半導体装置の模式平面図。
図12】第9の実施形態の半導体装置の模式平面図。
図13】第10の実施形態の半導体装置の模式平面図。
図14】第11の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図15】第13の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中、同一または類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
本明細書中、「GaN系半導体」とは、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)およびそれらの中間組成を備える半導体の総称である。
【0012】
本明細書中、「ノンドープ」とは、意図的に不純物を導入していない状態であり、通常、不純物の濃度が1×1015cm−3以下である。
【0013】
また、本明細書中、「上」、「下」とは、構成要件の相対的位置関係を示す用語であり、必ずしも重力方向に対する上下関係を示すものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、GaN系半導体の第1の半導体層と、第1の半導体層上に設けられ、第1の半導体層よりもバンドギャップの大きい、GaN系半導体の第2の半導体層と、第2の半導体層上に設けられるソース電極およびドレイン電極であって、ソースおよびドレイン電極の少なくともいずれか一方の第2の半導体層に接する側に、複数の凸部を有するソース電極およびドレイン電極と、ソース電極とドレイン電極との間の第2の半導体層上に設けられるゲート電極と、を備える。
【0015】
図1は、本実施形態の半導体装置の模式図である。本実施形態の半導体装置は、ショットキーゲート構造のHFETである。図1(a)は模式平面図、図1(b)は図1(a)のA−A’模式断面図、図1(c)は図1(a)のB−B’模式断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の半導体装置は、GaN系半導体のチャネル層(第1の半導体層)10上に、チャネル層10よりもバンドギャップの大きい、GaN系半導体のバリア層(第2の半導体層)12が設けられる。また、バリア層(第2の半導体層)12上にソース電極14およびドレイン電極16が設けられる。そして、ソース電極14とドレイン電極16との間のバリア層12上に、ゲート電極18が設けられる。
【0017】
ソース電極14はバリア層12に接する側に、複数の凸部14aを備える。複数の凸部14aは、チャネル層10に向かって凸となっている。
【0018】
また、ドレイン電極16はバリア層12に接する側に、複数の凸部16aを備える。複数の凸部16aは、チャネル層10に向かって凸となっている。
【0019】
チャネル層(第1の半導体層)10は、例えば、ノンドープのAlGa1−XN(0≦X<1)である。例えば、チャネル層10は、ノンドープのGaNである。なお、チャネル層10に、n型またはp型の不純物が含有されていてもかまわない。
【0020】
バリア層(第2の半導体層)12は、例えば、ノンドープ又はn型のAlGa1−YN(0<Y≦1、X<Y)である。バリア層12は、例えば、ノンドープのAl0.25Ga0.75Nである。バリア層12は、チャネル層10よりもアルミニウム(Al)の濃度が高い。
【0021】
ソース電極14およびドレイン電極16は、金属電極である。ソース電極14およびドレイン電極16は、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、または、タングステン(W)等を含む。ソース電極14およびドレイン電極16は、複数の金属の積層構造であってもかまわない。ソース電極14およびドレイン電極16と、チャネル層10との間は、オーミックコンタクトであることが望ましい。
【0022】
複数の凸部14aおよび複数の凸部16aは、それぞれ周期性を備える。複数の凸部14aおよび複数の凸部16aは、ソース電極14またはドレイン電極16からゲート電極18に向かう方向に伸長するストライプ状である。複数の凸部14aおよび複数の凸部16aは、周期性を備える。
【0023】
ゲート電極18は、例えば、金属電極である。ゲート電極18は、バリア層12に対してショットキー接触する。ゲート電極18は、例えば、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、または、金(Au)等を含む。ゲート電極18は、複数の金属の積層構造であってもかまわない。
【0024】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。図示しない支持基板、例えば、シリコン(Si)基板を準備する。次に、例えば、Si基板上にエピタキシャル成長により、チャネル層10となるノンドープのGaN、バリア層12となるノンドープのAl0.25Ga0.75Nを成膜する。
【0025】
次に、ノンドープのAl0.25Ga0.75Nをエッチングし、後に凸部14a、16aとなる溝を形成する。形成した溝を含むノンドープのAl0.25Ga0.75N上に、金属膜の成膜とパターニングにより、ソース電極14およびドレイン電極16を形成する。
【0026】
その後、ソース電極14とドレイン電極16の間のノンドープのAl0.25Ga0.75N上に、金属膜の成膜とパターニングにより、ゲート電極18を形成する。
【0027】
上記、製造方法により図1に示す半導体装置が製造される。
【0028】
次に、本実施形態の半導体装置の作用および効果について説明する。
【0029】
本実施形態のHFETでは、チャネル層10とバリア層12との間の界面のチャネル層10側には、バリア層12の分極に起因する二次元電子ガス(2DEG)が生成される。この二次元電子ガスがHFETのキャリアとなる。
【0030】
ソース電極凸部14aとチャネル層10との間の距離(d)は、ソース電極の隣接する2つの凸部の間の領域14bとバリア層12との間の距離(d)よりも小さい。言い換えれば、ソース電極凸部14aとチャネル層10との間のバリア層12の厚さは、ソース電極の凸部の間の領域14bとチャネル層10との間のバリア層12の厚さよりも薄い。
【0031】
ソース電極凸部14aとチャネル層10との間のバリア層12の厚さが薄くなることにより、ソース電極14とチャネル層10間の障壁幅が短くなる。したがって、ソース電極凸部14aとチャネル層10との間では、ソース電極14の凸部の間の領域14bとチャネル層10との間に比較して、キャリアのトンネリングが生じやすくなる。ドレイン電極16とチャネル層10間についても同様である。
【0032】
図2は、本実施形態の半導体装置の作用を示す図である。GaN/AlGaNの積層構造上の電極のAlGaN側に凸部を設けた場合の、二次元電子ガス(2DEG)濃度のシミュレーション結果を示す。図2(a)がシミュレーションを行ったデバイス構造の模式断面図、図2(b)がd/d=5nm/25nmの場合の二次元電子ガス濃度を示す図、図2(c)がd/d=10nm/25nmの場合の二次元電子ガス濃度を示す図である。
【0033】
図2(b)、(c)からも明らかなように、凸部の下ではAlGaN層が薄いため分極作用が弱まり、二次元電子ガスの濃度が低下する。このため、単純に電極下のAlGaN層を薄くするだけでは、キャリアのトンネリングが生じやすくなったとしても、キャリア量が低下し電極とGaN層との間の抵抗が低減できない。
【0034】
もっとも、図2(b)、(c)から明らかなように、電極の凸部の角部の二次元電子ガス濃度(図中円で囲んだ部分)は、高い濃度が維持される。したがって、キャリアのトンネリングが生じやすい電極の凸部の角部と、電極の凸部が無く二次元電子ガス濃度の高い領域との間にキャリアが流れることで、電極とGaN層との間の抵抗が低減する。言い換えれば、電極の凸部の角部と二次元電子ガスとのアクセス抵抗が低減する。
【0035】
本実施形態の半導体装置において、ソース電極凸部14aとチャネル層10(第1の半導体層)との間の距離(d)、および、ドレイン電極凸部16aとチャネル層(第1の半導体層)10との間の距離(d)は、トンネリングを生じやすくする観点から、10nm以下であることが望ましく、5nm以下であることがより望ましい。
【0036】
また、本実施形態の半導体装置において、ソース電極の凸部の間の領域14bとチャネル層(第1の半導体層)10との間の距離(d)、および、ドレイン電極の凸部の間の領域16bとチャネル層(第1の半導体層)10との間の距離(d)は、二次元電子ガスの濃度を高く維持する観点から、15nm以上であることが望ましく、20nm以上であることがより望ましい。
【0037】
また、本実施形態の半導体装置において、凸部の間の領域14bとチャネル層(第1の半導体層)10との距離(d)が、凸部14aとチャネル層(第1の半導体層)10との距離(d)の2倍以上であることが、ソース電極14のコンタクト抵抗を低下させる観点から望ましい。同様に、凸部の間の領域16bとチャネル層(第1の半導体層)10との距離(d)が、凸部16aとチャネル層(第1の半導体層)10との距離(d)の2倍以上であることが、ドレイン電極16のコンタクト抵抗を低下させる観点から望ましい。
【0038】
ソース電極凸部14aとチャネル層10との間の距離(d)、および、ドレイン電極凸部16aとチャネル層10との間の距離(d)は、凸部14a、16aからチャネル層10までの最短部分と定義する。また、ソース電極の凸部の間の領域14bとチャネル層10との間の距離(d)、および、ドレイン電極の凸部の間の領域16bとチャネル層10との間の距離(d)は、凸部の間の領域14b、16bからチャネル層10までの最長部分と定義する。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による画像上で、それぞれ複数の箇所を測長して平均し、半導体装置の代表値とすれば良い。
【0039】
図3図4図5は、本実施形態の半導体装置の効果を示す図である。電極の半導体層側に凸部を設けた場合のコンタクト抵抗の測定結果である。なお、本明細書では、電極下部の二次元電子ガス(2DEG)の抵抗も含めてコンタクト抵抗と称する。
【0040】
図3は、測定に用いたデバイス構造の模式断面図である。図4は、測定に用いた電極の凸部のパターンを示す模式図である。図5は、コンタクト抵抗と凸部のパターンとの関係を示す図である。
【0041】
図3に示すように、GaN/AlGaNの積層構造上に2つの電極(電極1および電極2)を形成し、2つの電極間の抵抗を測定した。2つの電極間の距離を変化させたデバイス構造で抵抗を測定することにより、電極とGaN層との間のコンタクト抵抗を求めるTLM(Transfer Length Method)法を用いた。
【0042】
図4に示すような、異なる凸部のパターンを用いて電極のコンタクト抵抗を評価した。図4中、破線で囲まれるハッチングされた領域が凸部の平面形状を示す。
【0043】
電極には窒化チタン(TiN)とチタンシリサイド(TiSi)の積層構造を用いた。電極のサイズは、80μm×140μmとした。AlGaN層の厚さは30nm、d/d=5nm/20nm、W/W=5μm/5μmとした。
【0044】
図4(a)は凸部のないパターン、図4(b)は凸部がドット状のパターン、図4(c)は凸部がオフセットのあるドット状のパターン、図4(d)は凸部が対向する電極に向かう方向に伸長するストライプ状のパターン、図4(e)は凸部が対向する電極に向かう方向と直交する方向に伸長するストライプ状のパターンである。
【0045】
図5に示すように、(c)および(d)のパターン、特に、(d)のパターンでは、凸部のないパターンの半分以下のコンタクト抵抗になり、顕著なコンタクト抵抗の低下が確認された。(d)のパターンで顕著なコンタクト抵抗の低下がみられるのは、キャリアの走行する方向に、AlGaN層が厚く二次元電子ガス濃度の高い領域が伸長していることによると考えられる。一方、キャリアの走行する方向に直交して凸部を設けた(e)のパターンでは、コンタクト抵抗の上昇が見られた。
【0046】
本実施形態では、電極の半導体層に接する側に凸部を設けることによる接触面積の増大に起因したコンタクト抵抗の低減も期待し得る。今回試作したサンプルのうち、例えば(d)のパターンでは、凸部を設けることによる接触面積の増大は、0.3%にとどまる。したがって、本実施形態によるコンタクト抵抗の低減が、単に、接触面積の増大に起因するものでないことは明らかである。
【0047】
上記コンタクト抵抗の測定結果からも明らかなように、複数の凸部14aがソース電極14からゲート電極18に向かう方向に伸長するストライプ状であることが、コンタクト抵抗を低減する観点から望ましい。同様に、複数の凸部16aがドレイン電極16からゲート電極18に向かう方向に伸長するストライプ状であることが、コンタクト抵抗を低減する観点から望ましい。
【0048】
また、複数の凸部14aおよび複数の凸部16aは、周期性を備えることが望ましい。周期性を備えることで、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗に極端な偏りが生じない。したがって、ソース電極14およびドレイン電極16での電流密度が均一化する。よって、極端な電力集中が生じず、半導体装置の信頼性が向上する。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、ソース電極およびドレイン電極の金属材料と半導体層との界面の抵抗が十分低減できない場合であっても、ソース電極およびドレイン電極のコンタクト抵抗が低減可能な半導体装置を提供することできる。したがって、オン抵抗の低減した半導体装置が実現される。
【0050】
(第2の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、ソース電極またはドレイン電極のバリア層に接する側に設けられる凸部の、ソース電極またはドレイン電極のバリア層に接する側に占める割合が、ソース電極またはドレイン電極からゲート電極に向かって減少すること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0051】
図6は、本実施形態の半導体装置の模式平面図である。第1の実施形態の図1(a)に相当する図である。
【0052】
図6に示すように、ソース電極14に設けられる複数の凸部14aは、ソース電極14からゲート電極18に向かって幅(W)が狭くなるストライプ状である。このため、ソース電極14のバリア層12に接する側に設けられる凸部14aのソース電極14のバリア層12に接する側に占める割合が、ソース電極14からゲート電極18に向かって減少する。ここで、凸部14aのソース電極14のバリア層12に接する側に占める割合とは、ソース電極14を平面的に見た場合の単位面積内において、その単位面積内に含まれる凸部14aの平面的に見た総面積の割合を意味する。
【0053】
また、ドレイン電極16に設けられる複数の凸部16aは、ドレイン電極16からゲート電極18に向かって幅(W)が狭くなるストライプ状である。このため、ドレイン電極16のバリア層12に接する側に設けられる凸部16aのドレイン電極16のバリア層12に接する側に占める割合が、ドレイン電極16からゲート電極18に向かって減少する。ここで、凸部16aのドレイン電極16のバリア層12に接する側に占める割合とは、ドレイン電極16を平面的に見た場合の単位面積内において、その単位面積内に含まれる凸部16aの平面的に見た総面積の割合を意味する。
【0054】
本実施形態によれば、ソース電極14およびドレイン電極16下で、バリア層(第2の半導体層)12が薄い領域の割合が、ゲート電極18に向かって減少する。言い換えれば、二次元電子ガスの濃度が低く抵抗が高い領域の割合がゲート電極18に向かって減少する。よって、第1の実施形態と比較して、さらにソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0055】
(第3の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、凸部のパターンが異なること以外は第2の実施形態と同様である。
【0056】
図7は、本実施形態の半導体装置の模式平面図である。第1の実施形態の図1(a)に相当する図である。
【0057】
図7に示すように、ソース電極14に設けられる複数の凸部14aは、ソース電極14からゲート電極18に向かって幅(W)が狭くなる階段形状を備える。このため、ソース電極14のバリア層12に接する側に設けられる凸部14aのソース電極14のバリア層12に接する側に占める割合が、ソース電極14からゲート電極18に向かって減少する。
【0058】
また、ドレイン電極16に設けられる複数の凸部16aは、ドレイン電極16からゲート電極18に向かって幅(W)が狭くなる階段形状を備える。このため、ドレイン電極16のバリア層12に接する側に設けられる凸部16aのドレイン電極16のバリア層12に接する側に占める割合が、ドレイン電極16からゲート電極18に向かって減少する。
【0059】
本実施形態によれば、第2の実施形態同様、ソース電極14およびドレイン電極16下で、バリア層(第2の半導体層)12が薄い領域の割合が、ゲート電極18に向かって減少する。言い換えれば、二次元電子ガスの濃度が低く抵抗が高い領域の割合がゲート電極18に向かって減少する。よって、第1の実施形態と比較して、さらにソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0060】
(第4の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、凸部の幅が、ソース電極またはドレイン電極から第1の半導体層に向かって狭くなること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0061】
図8は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の図1(c)に相当する図である。
【0062】
図8に示すように、ソース電極14に設けられる複数の凸部14aの断面が三角形の形状を備える。したがって、ソース電極14に設けられる複数の凸部14aの幅(W)が、チャネル層(第1の半導体層)12に向かって狭くなっている。
【0063】
図示しないが、ドレイン電極16に設けられる複数の凸部16aの断面も三角形の形状を備える。したがって、ドレイン電極16に設けられる複数の凸部16aの幅(W)も、チャネル層(第1の半導体層)12に向かって狭くなっている。
【0064】
本実施形態の凸部の形状は、凸部を形成するための溝をバリア層のエッチングにより形成する際に、例えば、エッチングのマスク材をテーパ形状にしたり、エッチングのマスク材とバリア層との選択比を低くしたりすることで製造することが可能である。
【0065】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。そして、二次元電子ガスの濃度が低く抵抗が高い領域の割合が低下することで、第1の実施形態と比較して、さらにソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0066】
(第5の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、凸部の断面が楔形状であること以外は第4の実施形態と同様である。
【0067】
図9は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の図1(c)に相当する図である。
【0068】
図9に示すように、ソース電極14に設けられる複数の凸部14aの断面が楔形状を備える。したがって、ソース電極14に設けられる複数の凸部14aの幅(W)が、チャネル層(第1の半導体層)12に向かって狭くなっている。
【0069】
図示しないが、ドレイン電極16に設けられる複数の凸部16aの断面も楔形状を備える。したがって、ドレイン電極16に設けられる複数の凸部16aの幅(W)も、チャネル層(第1の半導体層)12に向かって狭くなっている。
【0070】
本実施形態の凸部の形状は、凸部を形成するための溝をバリア層のエッチングにより形成する際に、例えば、エッチングのマスク材をテーパ形状にしたり、エッチングのマスク材とバリア層との選択比を低くしたりすることで製造することが可能である。
【0071】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。そして、二次元電子ガスの濃度が低く抵抗が高い領域の割合が低下することで、第1の実施形態と比較して、さらにソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0072】
(第6の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、凸部の幅が、隣接する2つの凸部の間隔よりも狭いこと以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0073】
図10は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の図1(c)に相当する図である。
【0074】
図10に示すように、ソース電極14に設けられる凸部14aの幅(W)が、隣接する2つの凸部14aの間隔(W)よりも狭い。図示しないが、ドレイン電極16に設けられる凸部16aの幅(W)も、隣接する2つの凸部16aの間隔(W)よりも狭い。
【0075】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。そして、二次元電子ガスの濃度が低く抵抗が高い領域の割合が低下することで、第1の実施形態と比較して、さらにソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0076】
(第7の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、複数の凸部が周期性を有し、凸部の周期が、隣接する2つの凸部の間の領域と第1の半導体層との距離の100倍以上であること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0077】
ここで、凸部の周期とは、凸部が配置される周期であり、例えば、第1の実施形態の図1(c)では、W+Wの値に相当する。したがって、図1(c)を参照して説明すると、本実施形態では、凸部の周期(W+W)が、凸部の間の領域14bとチャネル層(第1の半導体層)10との距離(d)の100倍以上である。
【0078】
なお、凸部の幅(W)、隣接する2つの凸部の間隔(W)は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による画像上で、それぞれ複数の箇所を測長して平均し、半導体装置の代表値とすれば良い。
【0079】
例えば、図4(d)のパターンでは、凸部の周期(W+W)が10μmであり、凸部の間の領域14bとチャネル層(第1の半導体層)10との距離(d)は20nmである。したがって、凸部の周期が、凸部の間の領域と第1の半導体層との距離の500倍となる。
【0080】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。そして、凸部の周期が緩和されることにより、凸部のパターンの形成が容易となる。
【0081】
(第8の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、複数の凸部がオフセットしたドット状であること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0082】
図11は、本実施形態の半導体装置の模式平面図である。第1の実施形態の図1(a)に相当する図である。
【0083】
図11に示すように、ソース電極14およびドレイン電極16に設けられる凸部14a、16aが、オフセットしたドット状である。
【0084】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0085】
(第9の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、ソース電極またはドレイン電極の第2の半導体層に接する側に設けられる凸部の、ソース電極またはドレイン電極の第2の半導体層に接する側に占める割合が、ソース電極またはドレイン電極からゲート電極に向かって減少すること以外は第8の実施形態と同様である。
【0086】
図12は、本実施形態の半導体装置の模式平面図である。第1の実施形態の図1(a)に相当する図である。
【0087】
図12に示すように、ソース電極14に設けられる凸部14aが、オフセットしたドット状である。そして、ソース電極14に設けられるドット状の凸部14aは、ソース電極14からゲート電極18に向かって数が減少する。このため、ソース電極14のバリア層12に接する側に設けられる凸部14aのソース電極14のバリア層12に接する側に占める割合が、ソース電極14からゲート電極18に向かって減少する。
【0088】
また、ドレイン電極16に設けられる凸部16aが、オフセットしたドット状である。そして、ドレイン電極16に設けられるドット状の凸部16aは、ドレイン電極16からゲート電極18に向かって数が減少する。このため、ドレイン電極16のバリア層12に接する側に設けられる凸部16aのドレイン電極16のバリア層12に接する側に占める割合が、ドレイン電極16からゲート電極18に向かって減少する。
【0089】
本実施形態によれば、ソース電極14およびドレイン電極16下で、バリア層(第2の半導体層)12が薄い領域の割合が、ゲート電極18に向かって減少する。言い換えれば、二次元電子ガスの濃度が低く抵抗が高い領域の割合がゲート電極18に向かって減少する。よって、第8の実施形態と比較して、さらにソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0090】
(第10の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、複数の凸部が、ソース電極またはドレイン電極からゲート電極に向かう方向と直交する方向に伸長するストライプ状であること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0091】
図13は、本実施形態の半導体装置の模式平面図である。第1の実施形態の図1(a)に相当する図である。
【0092】
図13に示すように、ソース電極14およびドレイン電極16に設けられる凸部14a、16aは、ソース電極14またはドレイン電極16からゲート電極18に向かう方向と直交する方向に伸長するストライプ状である。凸部14a、16aは、ソース電極14またはドレイン電極16からゲート電極18に向かう方向と直交する方向に断続的に配置される。複数の凸部14aおよび複数の凸部16aは、周期性を備える。
【0093】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。特に、複数の凸部14aおよび複数の凸部16aは、ソース電極14およびドレイン電極16からゲート電極18に向かう方向と直交する方向に断続的に配置される。このため、ソース電極14およびドレイン電極16からゲート電極18に向かう方向に二次元電子ガス濃度の高い領域がつながり、二次元電子ガスの抵抗が上昇することを抑制している。
【0094】
(第11の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、ソース電極およびドレイン電極の断面が、階段状になること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0095】
図14は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の図1(c)に相当する図である。
【0096】
図14に示すように、ソース電極14の断面が階段状となっている。図示しないが、ドレイン電極16の断面も階段状となっている。
【0097】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0098】
(第12の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、凸部を有するソース電極またはドレイン電極と、第1の半導体層との間の第2の半導体層に引張応力が発生していること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0099】
本実施形態においては、例えば、図1に示される凸部14aを備えるソース電極14と、チャネル層(第1の半導体層)10との間のバリア層(第2の半導体層)12に引張応力が発生している。同様に、凸部16aを備えるドレイン電極16と、チャネル層(第1の半導体層)10との間のバリア層(第2の半導体層)12にも引張応力が発生している。
【0100】
例えば、ソース電極14やドレイン電極16の材料として、バリア層12に引張応力を発生させる材料を選択する。例えば、バリア層12がAlGaNの場合、ソース電極14やドレイン電極16の材料として、タングステン(W)や銅(Cu)を選択することで、バリア層12に引張応力を発生させることが可能である。また、例えば、バリア層12がAlGaNの場合、バリア層12上にチタン(Ti)とアルミニウム(Al)を形成した後、凸部形成のための溝内をタングステン(W)で埋め込むことで、バリア層12に引張応力を発生させることが可能である。
【0101】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。また、バリア層12に引張応力が発生していることで、バリア層12の分極が大きくなり、ソース電極14およびドレイン電極16下の二次元電子ガスの濃度が高くなる。したがって、第1の実施形態と比較して、さらに、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。
【0102】
(第13の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第2の半導体層とゲート電極との間に、ゲート絶縁膜を、さらに備えること以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0103】
図15は、本実施形態の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の図1(b)に相当する図である。本実施形態の半導体装置は、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ゲート構造のHFETである。
【0104】
図15に示すように、本実施形態の半導体装置は、バリア層(第2の半導体層)12とゲート電極18との間に、ゲート絶縁膜20を備える。ゲート絶縁膜20は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)または酸化アルミニウム(Al)である。
【0105】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ソース電極14およびドレイン電極16のコンタクト抵抗が低減する。また、ゲート絶縁膜20を備えることで、HFETのノーマリーオフ化が容易となる。
【0106】
実施形態では、ソース電極およびドレイン電極の両方のバリア層に接する側に凸部を設ける場合を例に説明したが、ソース電極およびドレイン電極のいずれか一方のみのバリア層に接する側に凸部を設ける構造とすることも可能である。
【0107】
実施形態では、半導体層の材料としてGaNやAlGaNを例に説明したが、例えば、インジウム(In)を含有するInGaN、InAlN、InAlGaNを適用することも可能である。また、半導体層の材料としてAlNを適用することも可能である。
【0108】
実施形態では、バリア層として、ノンドープのAlGaNを例に説明したが、n型のAlGaNを適用することも可能である。
【0109】
実施形態では、チャネル層およびバリア層の支持基板について、シリコン(Si)基板を例に説明したが、支持基板としてSi基板以外に、SiC基板、GaN基板等を適用することも可能である。また、支持基板とチャネル層との間に、格子歪を緩和させるためのバッファ層を挿入する構造とすることも可能である。
【0110】
実施形態では、ショットキーゲート構造およびMISゲート構造を例に説明したが、その他のゲート構造、例えば、p型ゲート構造を適用することも可能である。
【0111】
実施形態では、凸部が周期性を備える場合を例に説明したが、凸部が周期性を備えないランダムな構造とすることも可能である。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換えまたは変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
10 チャネル層(第1の半導体層)
12 バリア層(第2の半導体層)
14 ソース電極
14a 凸部
14b 凸部の間の領域
16 ドレイン電極
16a 凸部
16b 凸部の間の領域
18 ゲート電極
20 ゲート絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15