特許第6258154号(P6258154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6258154ボルト軸への取着体、及び配線・配管材支持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258154
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】ボルト軸への取着体、及び配線・配管材支持装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20171227BHJP
   F16L 3/12 20060101ALI20171227BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20171227BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20171227BHJP
   F16L 3/00 20060101ALI20171227BHJP
   F16B 37/08 20060101ALN20171227BHJP
   F16B 37/10 20060101ALN20171227BHJP
   F16B 2/08 20060101ALN20171227BHJP
【FI】
   H02G3/30
   F16L3/12 Z
   F16L1/00 D
   F16B5/02 Z
   F16L3/00 Z
   !F16B37/08 B
   !F16B37/10
   !F16B2/08 S
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-168905(P2014-168905)
(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公開番号】特開2016-46898(P2016-46898A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳二
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−217410(JP,A)
【文献】 特開2011−241977(JP,A)
【文献】 特開2016−44735(JP,A)
【文献】 特開2016−44736(JP,A)
【文献】 特開2016−44783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
F16B 5/02
F16L 1/00
F16L 3/00
F16L 3/12
F16B 2/08
F16B 37/08
F16B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト軸の軸心方向の任意の位置に取着位置を変更して取着可能なボルト軸取着部と、配線・配管材を支持するために当該ボルト軸取着部に一体に設けられる支持部との2つの部分から成るボルト軸への取着体であって、
前記ボルト軸取着部は、前記ボルト軸が挿通される貫通孔状のボルト軸挿通部と、当該ボルト軸挿通部の挿通軸心と交差する方向に螺回動軸心を有していて、相互に螺着される被螺着部及び螺着体と、前記ボルト軸の外周面の螺子溝に係合する係合部を有し、前記螺着体の螺回動に基づく進退によって、前記ボルト軸挿通部の軸心と直交する方向に進退移動するように前記螺着体に連結された係合体と、当該係合体の進退移動を可能とするための移動空間とを備え、
前記係合体は、螺着体の螺回動に対して相対的に空回り可能なように当該螺着体に連結され、しかも、当該係合体は、前記移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動可能なように、前記移動空間に配置されていることを特徴とするボルト軸への取着体。
【請求項2】
前記支持部は、前記螺着体の螺回動操作の邪魔をしない位置で配線・配管材を支持することを特徴とする請求項1に記載のボルト軸への取着体。
【請求項3】
ボルト軸が挿通されるボルト軸挿通部と、当該ボルト軸挿通部の挿通軸心と交差する方向に螺回動軸心を有していて、相互に螺着される被螺着部及び螺着体と、前記ボルト軸の外周面の螺子溝に係合する係合部を有し、前記螺着体の螺回動に基づく進退によって、前記ボルト軸挿通部の軸心と直交する方向に進退移動するように前記螺着体に連結された係合体と、当該係合体の進退移動を可能とするための移動空間とを備えたボルト軸への取着体であって、
前記ボルト軸挿通部は、前記ボルト軸を端部からのみ内部に受け入れ可能となるように貫通孔状に設けられ、
前記係合体は、螺着体の螺回動に対して相対的に空回り可能なように当該螺着体に連結され、しかも、当該係合体は、前記移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動可能なように、前記移動空間に配置されていることを特徴とするボルト軸への取着体。
【請求項4】
前記ボルト軸への取着体は、配線・配管材を支持する支持部を備え、
前記支持部は、ボルト軸に対して前記被螺着部及び螺着体と異なる側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のボルト軸への取着体。
【請求項5】
前記支持部は、前記ボルト軸挿通部を挟んで前記係合体と反対側に配置されていることを特徴とする請求項1、2又は4のいずれかに記載のボルト軸への取着体。
【請求項6】
前記係合体が摺接して進退移動を可能とする移動空間が一対の突出部の間に形成され、前記一対の突出部の外周面に、前記螺着体が螺着される雄螺子が設けられることで、前記被螺着部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のボルト軸への取着体。
【請求項7】
前記係合体が摺接して進退移動を可能とする移動空間が一対の突出部の間に形成され、前記姿勢維持手段は、前記係合体が摺接して進退移動を可能とする前記一対の突出部の間の移動空間により構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト軸への取着体。
【請求項8】
前記螺着体と被螺着部とは、前記係合体の係合部が前記ボルト軸の螺子溝に係合した状態から、前記螺着体の一回の捻り操作で、前記係合部が前記螺子溝から離脱する構成であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のボルト軸への取着体。
【請求項9】
一対のボルト軸と、当該一対のボルト軸を床面から立設又は天井面から垂下させるベース体と、配線・配管材を支持するために前記一対のボルト軸の間に配設された状態で、当該一対のボルト軸に取着される配線・配管材支持体とから成る配線・配管材支持装置であって、
前記配線・配管材支持体は、前記配線・配管材を支持する支持部と、前記一対のボルト軸の螺子溝に対する係合により当該支持部を前記一対のボルト軸に取着すべく、当該支持部の両側にそれぞれ設けられた一対の係合手段とを備え、
前記係合手段は、
前記ボルト軸が挿通される貫通孔状のボルト軸挿通部と、当該ボルト軸挿通部の挿通軸心と交差する方向に螺回動軸心を有していて、相互に螺着される被螺着部及び螺着体と、前記ボルト軸の外周面の螺子溝に係合する係合部を有し、前記螺着体の螺回動に基づく進退によって、前記ボルト軸挿通部の軸心と直交する方向に進退移動するように前記螺着体に連結された係合体と、当該係合体の進退移動を可能とするための移動空間とを備え、
前記係合体は、螺着体の螺回動に対して相対的に空回り可能なように当該螺着体に連結され、しかも、当該係合体は、前記移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動可能なように、前記移動空間に配置されていることを特徴とする配線・配管材支持装置。
【請求項10】
前記係合体の係合部、及び前記ボルト軸挿通部の近傍には、前記螺着体が前記ボルト軸の螺子溝に押圧状態で係合することで、互いに嵌合する嵌合凸部、及び嵌合凹部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項9に記載の配線・配管材支持装置。
【請求項11】
前記各螺着体の回動軸心である各螺回動軸心は、同一線上に配置されて、前記ボルト軸挿通部の軸心に対して直交しており、
前記一対の係合手段と配線・配管材支持体とは、一方の係合手段、一方のボルト軸挿通部、配線・配管材支持体、他方のボルト軸挿通部、他方の係合手段の順序で並んで配置され、前記各螺着体は、各ボルト軸挿通部に挿通された各ボルト軸の外側において螺回動の操作が可能であることを特徴とする請求項9又は10に記載の配線・配管材支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト軸に対する取着体の取着構造に特徴を有するボルト軸への取着体、及び配線・配管材支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、床下に配管される排水管を支持する配線・配管材支持装置の一つとして、特許文献1の図22に記載のものが知られており、配管方向に沿った複数の位置において排水管を支持している。このような排水管の支持装置としては、排水の流れ勾配を確保するために、各支持装置の部分において、排水管の支持位置を微妙に調整する必要がある。
【0003】
上記した排水管の支持は、特許文献1の図22に示されるように、当該排水管を上下から支持する一対の半リング状の分割支持体の両端の支持板部を、床面に立設された一対のボルト軸に対してナットを介して所定高さ位置に支持させることで、支持される排水管の支持高さの調整を行っていた。よって、上下一対の半リング状の分割支持体は、その両端の支持板部において、それぞれ上下から計4個のナットを介して前記一対のボルト軸に支持される。
【0004】
このため、排水管の支持高さの調整には、計4個のナットを螺回動(ボルトに螺合されているナットを回動させてボルトの軸心方向に移動させる操作)させることが必要であって、その調整が大変に面倒であり、特に、各ボルト軸において下方に配置されたナットの螺回動の操作は、突っ込んだ手の指先を上方に曲げる窮屈な形で行わざるを得ないために、面倒であった。
【0005】
そこで、特許文献1においては、上記した計4個のナットのうち、下方に配置された2個のナットを、当該ナットの上方において螺回動操作が可能なように改良がなされている。しかし、ナットの螺回動操作は、依然として必要であるために、排水管の支持高さの位置の調整に手間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−241977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ボルト軸に対する取着体又は配線・配管材支持部(体)の取着位置の変更を、当該ボルト軸に対する螺回動操作を必要とせずに、ワンタッチで行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、ボルト軸の軸心方向の任意の位置に取着位置を変更して取着可能なボルト軸取着部と、配線・配管材を支持するために当該ボルト軸取着部に一体に設けられる支持部との2つの部分から成るボルト軸への取着体であって、前記ボルト軸取着部は、前記ボルト軸が挿通される貫通孔状のボルト軸挿通部と、当該ボルト軸挿通部の挿通軸心と交差する方向に螺回動軸心を有していて、相互に螺着される被螺着部及び螺着体と、前記ボルト軸の外周面の螺子溝に係合する係合部を有し、前記螺着体の螺回動に基づく進退によって、前記ボルト軸挿通部の軸心と直交する方向に進退移動するように前記螺着体に連結された係合体と、当該係合体の進退移動を可能とするための移動空間とを備え、前記係合体は、螺着体の螺回動に対して相対的に空回り可能なように当該螺着体に連結され、しかも、当該係合体は、前記移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動可能なように、前記移動空間に配置されていることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、ボルト軸取着部が、前記したボルト軸挿通部、被螺着部及び螺着体、係合体、並びに移動空間を備えることで、当該ボルト軸挿通部にボルト軸を挿通した状態で、螺着体の螺回動により、当該螺着体を被螺着部に螺着させると、当該螺着体に対して空回り可能に連結されている係合体は、前記移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動することで、前記螺着体の最終部の螺回動により、係合体の前面の係合部は、ボルト軸における当該係合部と対向する螺子溝に係合されて、ボルト軸に対してボルト軸取着部が、当該ボルト軸の軸心方向にずれることなく、しっかりと取着される。一方、ボルト軸に対してボルト軸取着部が取着されている状態において、前記螺着体を逆方向に螺回動させると、前記係合体は、ボルト軸に対して後退することで、当該係合体の前面の係合部とボルト軸の螺子溝との係合が解除されて、ボルト軸に対してボルト軸取着部が非取着状態となる。
【0010】
従って、請求項1の発明によれば、螺着体の正逆の螺回動により、当該螺着体に空回り可能に連結された係合体の係合部をボルト軸の螺子溝に対して係合・離脱させることで、ボルト軸に対する螺回動操作を行うことなく、ボルト軸の軸心方向に沿ったボルト軸取着部の取着位置の大きな変更をワンタッチ操作で行えて、ボルト軸の高さ方向(軸心方向)に対する配線・配管材を支持する支持部の配置位置の変更操作が容易となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記支持部は、前記螺着体の螺回動操作の邪魔をしない位置で配線・配管材を支持することを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、配線・配管材を支持する支持部がボルト軸取着部に一体に設けられていても、当該支持部は、前記螺着体の螺回動操作の邪魔をしない位置で配線・配管材を支持する構成であるため、ボルト軸に対してボルト軸取着部を取着させたり、或いは当該取着を解除させるために、前記螺着体の正逆方向に螺回動操作を、前記支持部の配置空間とは異なる操作空間において、支持部と干渉することなく行える。
【0013】
請求項3の発明は、ボルト軸が挿通されるボルト軸挿通部と、当該ボルト軸挿通部の挿通軸心と交差する方向に螺回動軸心を有していて、相互に螺着される被螺着部及び螺着体と、前記ボルト軸の外周面の螺子溝に係合する係合部を有し、前記螺着体の螺回動に基づく進退によって、前記ボルト軸挿通部の軸心と直交する方向に進退移動するように前記螺着体に連結された係合体と、当該係合体の進退移動を可能とするための移動空間とを備えたボルト軸への取着体であって、前記ボルト軸挿通部は、前記ボルト軸を端部からのみ内部に受け入れ可能となるように貫通孔状に設けられ、前記係合体は、螺着体の螺回動に対して相対的に空回り可能なように当該螺着体に連結され、しかも、当該係合体は、前記移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動可能なように、前記移動空間に配置されていることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明を、配線・配管材の支持部を考慮せずに、ボルト軸に対するボルト軸取着部の取着構造の面のみから把握したものであって、その実質的な作用効果は、請求項1の発明と同等である。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記ボルト軸への取着体は、配線・配管材を支持する支持部を備え、前記支持部は、ボルト軸に対して前記被螺着部及び螺着体と異なる側に設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明によれば、前記ボルト軸に対してボルト軸取着部を取着したり、その解除を行うために前記螺着体の正逆方向に螺回動操作を、配線・配管材を支持する支持部の配置空間とは異なる操作空間において、支持部と干渉することなく行える。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1、2又は4のいずれかの発明において、前記支持部は、前記ボルト軸挿通部を挟んで前記係合体と反対側に配置されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明によれば、ボルト軸の螺子溝に対する係合体の係合、及びその解除を行う螺着体は、前記ボルト軸挿通部を挟んで支持部と反対側に配置されることになって、当該螺着体の螺回動操作のための空間を最大に確保できる。よって、螺着体の螺回動操作を周辺部材と全く干渉することなく、確実に行える。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし5の発明において、前記係合体が摺接して進退移動を可能とする移動空間が一対の突出部の間に形成されて、前記一対の突出部の外周面に、前記螺着体が螺着される雄螺子が設けられることで、前記被螺着部が形成されていることを特徴としている。
【0020】
請求項6の発明によれば、一対の突出部によって、当該一対の突出部の間に、係合体の移動空間を形成できると共に、当該一対の突出部の外周面に雄螺子を形成することで、螺着体が螺着される被螺着部を形成できる。このように、一対の突出部によって、係合体の移動空間と、螺着体が螺着される被螺着部との全く機能の異なる二つの部分を同時に形成できて、ボルト軸取着部の構成が簡単となる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1ないし6の発明において、前記係合体が摺接して進退移動を可能とする移動空間が一対の突出部の間に形成され、前記姿勢維持手段は、前記係合体が摺接して進退移動を可能とする前記一対の突出部の間の移動空間により構成されることを特徴としている。
【0022】
請求項7の発明によれば、一対の突出部の間を係合体が摺接して進退移動することで、進退移動時における係合体が側方に傾いたりすることなく姿勢を維持できるため、一対の突出部の間の係合体の移動空間自体が、当該係合体の進退移動時の姿勢を維持する姿勢維持手段となる。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記螺着体と被螺着部とは、前記係合体の係合部が前記ボルト軸の螺子溝に係合した状態から、前記螺着体の一回の捻り操作で、前記係合部が前記螺子溝から離脱する構成であることを特徴としている。
【0024】
請求項8の発明によれば、前記螺着体と被螺着部とは、螺着体の一体の捻り操作により、前記係合体の係合部をボルト軸の螺子溝から離脱させて、両者の係合を解除できるので、当該係合の解除を迅速にできる。この結果、ボルト軸に対する配線・配管材の支持部の配置位置の高さ調整等を迅速に行える。
【0025】
請求項9の発明は、一対のボルト軸と、当該一対のボルト軸を床面から立設又は天井面から垂下させるベース体と、配線・配管材を支持するために前記一対のボルト軸の間に配設された状態で、当該一対のボルト軸に取着される配線・配管材支持体とから成る配線・配管材支持装置であって、前記配線・配管材支持体は、前記配線・配管材を支持する支持部と、前記一対のボルト軸の螺子溝に対する係合により当該支持部を前記一対のボルト軸に取着すべく、当該支持部の両側にそれぞれ設けられた一対の係合手段とを備え、前記係合手段は、前記ボルト軸が挿通される貫通孔状のボルト軸挿通部と、当該ボルト軸挿通部の挿通軸心と交差する方向に螺回動軸心を有していて、相互に螺着される被螺着部及び螺着体と、前記ボルト軸の外周面の螺子溝に係合する係合部を有し、前記螺着体の螺回動に基づく進退によって、前記ボルト軸挿通部の軸心と直交する方向に進退移動するように前記螺着体に連結された係合体と、当該係合体の進退移動を可能とするための移動空間とを備え、前記係合体は、螺着体の螺回動に対して相対的に空回り可能なように当該螺着体に連結され、しかも、当該係合体は、前記移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動可能なように、前記移動空間に配置されていることを特徴としている。
【0026】
請求項9の発明は、一対のボルト軸と、当該一対のボルト軸を床面から立設又は天井面から垂下させるベース体と、前記一対のボルト軸の間に配設された状態で、当該一対のボルト軸に取着される配線・配管材支持体とから成る配線・配管材支持装置において、当該配線・配管材支持体を構成する配線・配管材の支持部を前記一対のボルト軸に取着させるための一対の係合手段は、被螺着部に対する螺着体の正逆の螺回動により、姿勢維持手段により姿勢を維持された係合体が移動空間を進退移動して、各ボルト軸の螺子溝に対する係合体の係合部の係合及びその解除が行われる構成であるので、各ボルト軸に対する螺回動操作を行うことなく、各ボルト軸に対して係合体の係合及びその解除が可能となって、一対のボルト軸に対する配線・配管材支持体の取着位置の変更操作が容易となる。
【0027】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記係合体の係合部、及び前記ボルト軸挿通部の近傍には、前記螺着体が前記ボルト軸の螺子溝に押圧状態で係合することで、互いに嵌合する嵌合凸部、及び嵌合凹部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0028】
請求項10の発明によれば、係合体の係合部とボルト軸の螺子溝とが互いに押圧して係合した状態において、当該係合体の係合部、及び前記ボルト軸挿通部の近傍にそれぞれ設けられた嵌合凸部と嵌合凹部とが互いに嵌合する構成であるため、前記係合状態がしっかりと維持されて、一対のボルト軸に対する配線・配管材支持体の取着状態が緩むことがない。
【0029】
請求項11の発明は、請求項9又は10の発明において、前記各螺着体の回動軸心である各螺回動軸心は、同一線上に配置されて、前記ボルト軸挿通部の軸心に対して直交しており、前記一対の係合手段と配線・配管材支持体とは、一方の係合手段、一方のボルト軸挿通部、配線・配管材支持体、他方のボルト軸挿通部、他方の係合手段の順序で並んで配置され、前記各螺着体は、各ボルト軸挿通部に挿通された各ボルト軸の外側において螺回動の操作が可能であることを特徴としている。
【0030】
請求項11の発明によれば、配線・配管材支持体の両側のボルト軸挿通部及び係合手段が、当該配線・配管材支持体に支持される配線・配管材の軸心に直交する垂直線に対して対称配置されることになって、一対のボルト軸に対する配線・配管材支持体の支持バランスが良好になると共に、両側の螺着体は、同一高さにおいて同一軸心上に配置されることで、前記配線・配管材支持体に対して曲げ力、捻り力等を生じさせないので、螺回動操作を行うことができて、当該操作が容易となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、螺着体に対して空回り回転可能に連結されている係合体は、移動空間内において進退移動する際に、当該係合体の姿勢を定める姿勢維持手段によって、前面の係合部がボルト軸の外周面の螺子溝に対して平行を維持して移動することで、前記螺着体の最終部の押圧状態の螺回動により、係合体の前面の係合部は、ボルト軸における当該係合部と対向する螺子溝に係合されて、ボルト軸に対してボルト軸取着部が、当該ボルト軸の軸心方向にずれることなく、しっかりと取着される。一方、ボルト軸に対してボルト軸取着部が取着されている状態において、前記螺着体を逆方向に螺回動させると、前記係合体は、ボルト軸に対して後退することで、当該係合体の前面の係合部とボルト軸の螺子溝との係合が解除されて、ボルト軸に対してボルト軸取着部が非取着状態となる。
【0032】
よって、本発明によれば、係合体の係合部をボルト軸の螺子溝に対して係合・離脱させることで、ボルト軸に対する螺回動操作を行うことなく、ボルト軸の軸心方向に沿ったボルト軸取着部の取着位置の大きな変更をワンタッチ操作で行えて、ボルト軸の高さ方向(軸心方向)に対する配線・配管材を支持する支持部の配置位置の変更操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一対の螺着体Sを分離させた本発明の一実施例の配線・配管材支持装置K1 の斜視図である。
図2】管体Pを支持している状態の配線・配管材支持装置K1 の斜視図である。
図3】同じく正面図である。
図4】左右一対のボルト軸取着部Aに設けられた各ボルト軸挿通孔33に、立設された一対のボルト軸Bが挿通された状態の縦断面図である。
図5】ボルト軸取着部Aが一体に設けられた管支持部Dの斜視図である。
図6】ボルト軸取着部Aの正面図である。
図7】同じく平面図である。
図8】(a),(b)は、それぞれ螺着体Sに係合体Eが空回り可能に連結された状態を異なる方向から見た斜視図であり、(c)は、螺着体Sと係合体Eとを分離させた状態の斜視図である。
図9】(a),(b)は、それぞれ螺着体Sに係合体Eが空回り可能に連結された状態の正面図及び背面図であり、(c),(d)は、それぞれ(a)のX1 −X1 線及びX2 −X2 線断面図である。
図10】係合体Eの雌螺子部(係合部)53の近傍、及びボルト軸取着部Aのボルト軸挿通孔33の近傍にそれぞれ設けられた複数の嵌合凸部54と嵌合凹部35との嵌合関係を主体に示す斜視図である。
図11】(a),(b)は、それぞれ係合体Eを前進させて、前部の雌螺子部53がボルト軸Bの外周の雄螺子溝91に係合する前後の状態の横断面図である。
図12図11(b)のY−Y線断面図である。
図13】(a),(b)は、それぞれボルト軸取着部Aの係合フランジ部32に対して螺着体Sがロック及びアンロックされた状態をボルト軸挿通孔33の側から見た図である。
図14】本発明の別の実施例の配線・配管材支持装置K2 の正面図である。
図15】ボルト軸取着部Aの係合フランジ部32に対する螺着体Sの別のロック構造を示す部分分解斜視図である。
図16】同じくロック状態の斜視図である。
図17】基部31のボルト軸挿通孔33に、その挿通軸心C1 と直交する方向からボルト軸Bを挿通可能な構造の部分斜視図である。
図18】係合体Eの移動空間38’の全周に雄螺子部37が形成された構造の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0035】
本発明の配線・配管材支持装置K1 は、建物の床下に配管される排水管等の管体Pを支持するものであって、図1図4に示されるように、建物の床面F1 図3及び図4参照)に固定ボルト(図示せず)を介して固定されるベース体Vと、下端部が当該ベース体Vに固定されることで、当該ベース体Vに対して所定間隔をおいて立設される一対のボルト軸Bと、管体Pを支持する管支持部Dと、当該管支持部Dの左右の対向部の外側に一体に設けられて、前記各ボルト軸Bに解除可能に取着される左右一対のボルト軸取着部Aと、各ボルト軸取着部Aの一対の突出部36の外側に形成された雄螺子部37に螺着される螺着体Sと、当該螺着体Sに対して空回り可能に連結されて、当該螺着体Sの正逆の螺回動により、前部の雌螺子部(山)53が前記ボルト軸Bの雄螺子部(溝)91に対して係合・離脱することで、各ボルト軸Bに対して前記ボルト軸取着部Aの取着及びその解除を行う係合体Eとを備えている。
【0036】
ベース体Vは、両端から所定距離の部分を折り曲げることで、両端部の固定板部1を除くボルト軸取付板部2は、当該固定板部1よりも高く形成され、ボルト軸取付板部2の上下に配置されたナット3とボルト軸Bの頭部5とで、当該ボルト軸取付板部2を挟持することで、ベース体Vのボルト軸取付板部2に一対のボルト軸Bが所定間隔をおいて立設されている。なお、ベース体Vの固定板部1には、床面F1 にベース体Vを固定する固定ボルトの挿通孔4が形成されている。なお、ボルト軸取付板部2に対するボルト軸Bの立設は、上下一対のナット3によりボルト軸取付板部2を挟持する構成であってもよい。
【0037】
管支持部Dは、図1図5に示されるように、管体Pを支持した状態で、所定幅の円環状をなしていて、中心角が180°よりも大きくて、管体Pの略下半部を保持する支持本体部11と、当該支持本体部11の一方の端部に連続して形成された弾性変形可能な閉塞片12とから成る。支持本体部11における支持する管体Pの軸心C0 よりも下方の中心角が略180°の部分は、容易に変形しないような剛性を有していて、当該支持本体部11の上部の開口は、管体Pを挿入するための管体挿入開口13となっている。前記支持本体部11における剛性を有する中心角が略180°の部分の両端に接続されている部分は、管体Pの挿入が可能なように外方に弾性変形可能な第1及び第2の各弾性変形可能部14,15となっている。前記支持本体部11の第1弾性変形可能部14には、前記管体挿入開口13を閉塞する弾性変形可能な閉塞片12が連続して設けられている。閉塞片12の先端部の外面、及び前記第2弾性変形可能部15の先端部の内面には、重なり合った状態で互いに係止する複数の係止突条16,17が周方向(長手方向)に沿って僅かの間隔をおいて幅方向に形成されている。
【0038】
前記支持本体部11の第2弾性変形可能部15の先端部における幅方向の両端部には、当該第2弾性変形可能部15の内側の部分に、前記閉塞片12を幅方向にずれることなく挿入可能とする挿入空間を形成するための挿入空間形成突起21,22がそれぞれ内側に向けて突設されている。また、図3に示されるように、支持本体部11に管体Pを挿入して保持した後に、前記閉塞片12を、管体Pの外周面と第2弾性変形可能部15との間に挿入して、各係止突条16,17を係止させることで、管体Pを支持した状態において、前記支持本体部11から当該管体Pを取り出す際に、第2弾性変形可能部15の内面と管体Pの外周面との間から前記閉塞片12を引き出す(引き抜く)操作を容易にするための突起体23,24が、前記閉塞片12の外面における先端から所定長だけ内側に入り込んだ部分、及び前記第2弾性変形可能部15の外面の先端部にそれぞれ設けられている。例えば、管支持部Dで管体Pを支持した状態において、前記突起体23,24の間にペンチ(プライヤ)の各把持部の先端部を引っ掛けて押し拡げることで、管体Pの外周面と第2弾性変形可能部15の内面との間から閉塞片12が容易に引き出されて、支持本体部11からの管体Pの取り出しを行える。
【0039】
次に、図1図10を参照して、一対のボルト軸取着部Aについて詳細に説明する。一対のボルト軸取着部Aは、前記管支持部Dの支持本体部11の両側の対向部分に外側に突出して一体に設けられていて、ベース体Vに所定間隔をおいて立設された一対のボルト軸Bに対して解除可能に取着される部分である。一対のボルト軸取着部Aは、図3に示されるように、管支持部Dの支持本体部11で管体Pを支持した状態で、当該管体Pの軸心C0 の下方に配置されると共に、管支持部Dの支持本体部11に支持された管体Pの軸心C0 を通る垂直線に対して対称に配置されている。
【0040】
ボルト軸取着部Aは、管支持部Dの支持本体部11に一体に設けられている一体部と、当該一体部に螺回動により螺着される別体部との二つの部分から構成される。ボルト軸取着部Aの前記一体部は、図5図7に示されるように、管支持部Dの支持本体部11の外周面の対向部分に、当該管支持部Dと等幅であって、横断面が縦長の長方形状の基部31が水平方向にそれぞれ一体に突設され、当該基部31の前端面には、前記螺着体Sの螺回動のロック及びアンロックを行う係合フランジ部32が一体に設けられ、基部31における前記係合フランジ部32と接続する部分には、横断面が長方形状のボルト軸挿通孔33が上下に貫通して形成され、更に、当該ボルト軸挿通孔33における管支持部Dの側には、ボルト軸Bの外周の雄螺子部91の螺子山の一部を当接させて、前記ボルト軸挿通孔33に挿通されるボルト軸Bの位置決めを行うための断面割円状のボルト軸位置決め孔34が前記挿通孔33に接続した状態で、上下に貫通して設けられている。ボルト軸位置決め孔34には、ボルト軸Bにおける中心角がほぼ90°の部分が当接され、当該ボルト軸Bの残りの部分は、ボルト軸挿通孔33に配置される。ボルト軸位置決め孔34は、横断面におけるボルト軸Bの一部が配置されるため、当該ボルト軸位置決め孔34も、前記ボルト軸挿通孔33と協働してボルト軸Bを挿通しているので、ボルト軸挿通孔33の一部を構成している。なお、図7において、C1 は、前記ボルト軸挿通孔33及びボルト軸位置決め孔34にボルト軸Bが挿通された状態において、当該ボルト軸Bの軸心が配置されるボルト軸挿通孔33の挿通軸心を示す。
【0041】
また、図10に示されるように、ボルト軸挿通孔33の管支持部Dの側の内側面であって、前記ボルト軸位置決め孔34の両側の当接面39には、前記係合体Eに設けられた後述の嵌合凸部54と嵌合される複数の嵌合凹部35が上下方向に沿って形成されている。係合体Eの係合部である雌螺子部53の両側に設けられた複数の嵌合凸部54を、前記基部31に設けられた複数の嵌合凹部35に嵌合させて、ボルト軸取着部Aの一体部を構成する基部31に対する係合体Eの組み付けの一体性を高めることで、ボルト軸Bの外周面の雄螺子部(溝)91と係合体Eの雌螺子部(山)53との係合状態を確実にしている。なお、螺着体Sの螺回動により係合体Eが螺回動軸心C2 の方向に直線移動して、係合体Eに設けられた嵌合凸部54が、ボルト軸取着部Aの基部31に設けられた嵌合凹部35に嵌合される際に、基部31の側に設けられた前記当接面39は、係合体Eの係合体本体52の前端の当接面55と当接する。
【0042】
基部31に一体に設けられた係合フランジ部32の外側面には、横断面が長方形状をした前記ボルト軸挿通孔33における基部31の幅方向に沿った内寸法(L1 )と同一間隔をおいて横断面が割円状をした一対の突出部36が当該基部31の突出方向に沿って突設されている。一対の突出部36の外周面には、螺着体Sの螺着体本体41の内周面に形成された雌螺子部42に螺合される雄螺子部37が形成されている。螺着体Sの一回の螺回動による軸心方向に沿った移動距離を大きくするために、前記雌螺子部42及び雄螺子部37は、二条螺子が採用されている。螺着体Sに空回り可能に連結されている係合体Eにおける当該螺着体Sの前端面から突出している係合体本体52は、横断面が縦長の長方形状をなしている。一対の突出部36の外周面の雄螺子部37に対して螺着体Sの雌螺子部42を螺合させて螺回動させることで、係合体Eの前記係合体本体52は、一対の突出部36の間の移動空間38を通過した後に、前記係合フランジ部32に形成された長方形状の方形孔部32aを通過して、前記ボルト軸挿通孔33に入り込むことで、前記係合体本体52の前端面に設けられた複数の嵌合凸部54は、ボルト軸取着部Aの基部31に設けられた複数の嵌合凹部35に嵌合されて、当該基部31に対して係合体本体52が組み付けられて、一体化される。図6に示されるように、前記係合フランジ部32の方形孔部32aの横寸法は、前記ボルト軸挿通孔33における基部31の幅方向に沿った内寸法と同一の(L1 )であり、縦寸法は、(L2 )である(L2 >L1 )。
【0043】
図7図11及び図12に示されるように、割円状をした一対の突出部36の対向内側面は、当該一対の突出部36の間の移動空間38を移動する係合体Eの姿勢を維持させるための姿勢維持面40となっていて、ボルト軸挿通孔33の挿通軸心C1 に対して平行に形成されている。
【0044】
ボルト軸取着部Aの別体部は、図8及び図9に示されるように、有底短円筒状をした螺着体本体41の内周面に雌螺子部42が形成されて、当該螺着体本体41のリング板状の底板部41aに係合体Eが空回り可能に連結された構成である。螺着体本体41の外周部における開口側(底板部41aと反対の端面に臨む側)には、周方向に沿って位相が180°異なる部分に、弾性変形可能な一対のアーム片43が周方向に沿って設けられ、各アーム片43の先端部(自由端部)には、ボルト軸取着部Aの基部31に設けられた係合フランジ部32の外周面に対して係合する係合突部44が、螺着体本体41の開口側の端面から当該螺着体本体41の軸方向に沿って当該螺着体本体41から離れる側に向けて突出して設けられている。螺着体本体41の外周面における互いに対向する部分には、当該螺着体本体41を滑ることなく螺回動させるべく、親指と人指し指又は中指の2本の指先を配置させる一対の指先配置部45が形成されている。各指先配置部45は、螺着体本体41の外周面の周方向に沿って所定間隔をおいた部分に、軸方向に沿って一対のリブ部46が設けられ、螺着体本体41の外周面における各リブ部46の間に複数の滑り止め突条47が軸方向に設けられた構成である。なお、実施例では、左右一対の螺着体Sは、一対のアーム片43を除いて同一構造であって、左右一対の螺着体Sの各アーム片43は、互いに対称に配置されている。
【0045】
螺着体Sに一体に設けられた前記一対のアーム片43による当該螺着体Sのロック及びアンロックを可能にするために、ボルト軸取着部Aの基部31に設けられた前記係合フランジ部32の全体形状は円形であるが、相対向する2箇所の部分には、一般部よりも外径の小さな凹状のロック部32bが所定の中心角で設けられている。一対の突出部36の外周に設けられた雄螺子部37に対する螺着体Sの螺回動により、係合体Eの前部の雌螺子部(山)53がボルト軸Bの雄螺子部(溝)91に部分螺合状態で係合することで、当該螺着体Sの各アーム片43の先端部に設けられた係合突部44が一般部からロック部32bに達すると、各アーム片43の弾性変形量が少なくなって、凹状の当該ロック部32bに係合される。これにより、係合体Eの雌螺子部53とボルト軸Bの雄螺子溝91との係合が解除されることなく維持される。そして、螺着体Sに上記と逆方向の大きな回動力(螺着力)を作用させると、当該螺着体Sに一体に設けられた一対のアーム片43の先端の係合突部44は、係合フランジ部32のロック部32bから外れて、ロック状態が解除される(アンロック状態となる)。
【0046】
係合体Eは、螺着体本体41の内部に収容される内部収容部51の前側に係合体本体52が一体に設けられた構成であって、内部収容部51と係合体本体52の幅寸法は、同一であって、(L1') 〔図9参照〕であり、前記ボルト軸挿通孔33の内寸法(L1 )より僅かに小さい。内部収容部51は、螺着体本体41の内部に雌螺子部(山)42と干渉することなく、当該螺着体本体41に対して空回り可能なように、外周面の一部が円弧面に形成されていて、対向する二つの円弧面の部分の最大高さ(寸法)は、係合体本体52の縦寸法(L2') 〔図9参照〕よりも僅かに小さくなっていて、両者の間に小さな段差が形成されている。なお、係合体本体52の縦寸法(L2') は、係合フランジ部32の方形孔部32aを通過可能なように、当該方形孔部32aの縦寸法(L2 )よりも僅かに小さくなっている。
【0047】
係合体本体52の前面(内部収容部51が一体に設けられた側と反対の面)の幅方向の両端部を除く部分は、横断面が半円状の凹部に形成されて、当該凹部に、前記ボルト軸Bの外周面の雄螺子部(溝)91に部分螺合状態で係合可能な雌螺子部(山)53が形成されている。係合体本体52の前面に形成された雌螺子部(山)53は、ボルト軸Bの雄螺子部(溝)91に係合される係合部となっている。係合体本体52の前面の雌螺子部(山)53の両側には、ボルト軸取着部Aの基部31のボルト軸位置決め孔34の両側に設けられた各嵌合凹部35と嵌合可能な複数の嵌合凸部54が前方に突設されている。
【0048】
図9に示されるように、螺着体本体41の底板部41aの中央部には、内周面が軸方向に沿って段差状の連結孔41bが形成され、係合体Eの内部収容部51における係合体本体52と反対側の面には、段差状の前記連結孔41bに対して空回り可能であって、しかも軸方向への抜け出しを防止して連結される係合連結板部51aが段差状となって形成されている。螺着体本体41の内部に係合体Eの内部収容部51を挿入した状態で、当該係合体Eを押圧すると、前記係合連結板部51aが弾性変形した後に復元することで、螺着体本体41の連結孔41bに係合体Eの係合連結板部51aが係合状態で連結されて、螺着体本体41に対して係合体Eが空回り可能であって、しかも軸方向への抜け出しを防止して連結される。なお、内部収容部51と係合連結板部51aとの間には、当該係合連結板部51aよりも僅かに小径の小径部51bが設けられていて、当該小径部51bには、螺着体Sの内側から係合体Eを押圧することで、前記係合連結板部51aを螺着体Sの連結孔41bに係合連結させる際に、当該小径部51bを変形し易くするための複数の変形補助溝51cが直径方向に対して平行に設けられている。
【0049】
図1図3図11及び図12に示されるように、管支持部Dに一体に設けられた一対のボルト軸取着部Aの各ボルト軸挿通孔33に、ベース体Vに立設された一対のボルト軸Bが挿通され、各ボルト軸取着部Aの係合フランジ部32の外側に突出された一対の突出部36の間の移動空間38に係合体Eが嵌め込まれた状態で、前記一対の突出部36の外周面に形成された台形螺子から成る雄螺子部37と、螺着体Sの内周面に形成された同じく台形螺子から成る雌螺子部42とが螺着(螺合)される。この状態で、螺着体Sを螺回動させると、一対の突出部36の間に嵌め込まれている係合体Eに対して螺着体Sが空回りすることで、当該係合体Eは、一対の突出部36の内側の各垂直面により配置姿勢が維持された状態で、当該螺着体Sの軸心C2 に沿って直線移動される。図11(a)に示されるように、ボルト軸Bに対して係合体Eが離間している状態では、係合体Eの前面の雌螺子部(山)53とボルト軸Bの雄螺子部(溝)91とが非係合となっている。この状態から、螺着体Sを更に螺回動させると、図11(b)及び図12に示されるように、係合体Eの雌螺子部(山)53とボルト軸Bの雄螺子部(溝)91とが係合すると共に、係合体Eの前面の各嵌合凸部54が、ボルト軸取着部Aの基部31のボルト軸位置決め孔34の両側に設けられた各嵌合凹部35に嵌合されて、基部31の側の当接面39と係合体Eの側の当接面55とが押圧状態で当接することで、当該係合体Eがボルト軸取着部Aの基部31に組み付けられた状態となって、両者が一体化される。この構造によって、係合体Eの雌螺子部(山)53とボルト軸Bの雄螺子部(溝)91との係合状態がしっかりと維持される。
【0050】
螺着体Sを上記と逆の方向に螺回動させると、ボルト軸Bに対して係合体Eが一定距離だけ離間することで、係合体Eの雌螺子部(山)53とボルト軸Bの雄螺子部(溝)91との係合が解除されると共に、ボルト軸取着部Aの基部31の嵌合凹部35から係合体Eの嵌合凸部54が抜け出ることで、各ボルト軸Bに対して螺回動操作を行うことなく、ベース体Vに立設された一対のボルト軸Bに対して管支持部D及び一対のボルト軸取着体Aを上下動させることができて、一対のボルト軸Bに対する管体Pの支持位置(配管高さ)の調整が可能となる。
【0051】
また、係合体Eの雌螺子部(山)53とボルト軸Bの雄螺子部(溝)91との係合している状態では、図2図3及び図13(a)に示されるように、螺着体Sに設けられた一対のアーム片43は、非弾性変形状態となっていて、各アーム片43の先端部の各係合突部44は、ボルト軸取着部Aの基部31に一体に設けられた係合フランジ部32の外周面のロック部32bに係合されていて、螺着体Sに回動力を加えない限り、当該係合が解除されない構造になっている。よって、係合体Eの雌螺子部(山)53とボルト軸Bの雄螺子部(溝)91との「係合状態」がしっかりと維持されてロックされるため、使用中において当該係合が解除される恐れはない。
【0052】
一方、上記の「係合状態」が維持されている状態において、螺着体Sを上記と逆方向に螺回動させると、図13(b)に示されるように、一対のアーム片43が外方に弾性変形されることで、螺着体Sの一対のアーム片43の先端部の各係合突部44は、係合フランジ部32のロック部32bから一般部に乗り上げられる。これにより、上記の「係合状態」が解除される。なお、図13は、右側の螺着体Sをボルト軸挿通孔33の側から見た図であって、同(b)は、同(a)において、螺着体Sを反時計方向にほぼ90°回動させた状態を示している。そして、「係合状態」から螺着体Sを逆方向に螺回動させる角度が一定値を超えると、係合フランジ部32に対する螺着体Sの螺回動軸心C2 に沿った離間量(離間距離)が大きくなって、一対のアーム片43の各係合突部44は、係合フランジ部32に対して離間して、各係合突部44と係合フランジ部32とが係合しなくなる。
【0053】
ここで、左右一対の螺着体Sの螺回動軸心C2 は、同一線上に配置され、しかも左右一対のボルト軸挿通孔33の軸心C1 に対して直交している。また、配線・配管材支持装置K1 は、管支持部Dの部分を除いて、管支持部Dで支持された管体Pの軸心C0 を含む垂直面に対して対称な形状になっていて、左右方向に沿って、一方の螺着体S、一方のボルト軸挿通孔33、管支持部D、他方のボルト軸挿通孔33、他方の螺着体Sの順序に並んで配置されている。このため、一対のボルト軸Bに対する管支持部Dの支持バランスが良好になると共に、両側の螺着体Sは、同一高さにおいて同一軸心上に配置されることで、管支持部Dに対して曲げ力、捻り力等を生じさせないので、螺回動操作を行うことができて、当該操作が容易となる。
【0054】
実施例では、左右一対の螺着体Sは、左右一対のボルト軸挿通孔33に対して管支持部Dと反対側に配置された構成であって、当該管支持部Dが全く障害とならずに、各螺着体Sの螺回動操作を行える利点がある。
【0055】
このため、左右一対の螺着体Sを一対の突出部36の外周に形成された雄螺子部37に対して締付け時と逆方向(反時計方向)に螺回動させて緩めることで、左右一対のボルト軸Bの雄螺子部(溝)91と係合体Eの雌螺子部(山)53とが係合しておらず、しかもボルト軸取着部Aの側の嵌合凹部35から係合体Eの嵌合凸部54が完全に脱出している状態では、左右一対のボルト軸取着部Aは、一対のボルト軸Bに対して取着されていないために、管支持部Dは、一対のボルト軸Bに対して螺回動操作を行うことなく当該一対のボルト軸Bの軸方向(上下方向)に沿って移動させられる。螺着体Sの内周面に形成された雌螺子部42及び一対の突出部36の外周の雄螺子部37は、二条螺子で形成されていて、螺着体Sの回動角度に対する螺回動軸心C2 の方向に沿った移動量が大きいので、螺着体Sの一回の捻り操作により、ボルト軸Bの雄螺子部(溝)91に対する係合体Eの雄螺子部(山)53の係合が解除されるので、当該係合の解除を迅速にできて、ボルト軸Bに対する管支持部Dの配置位置の高さ調整等を迅速に行える。
【0056】
また、一対のボルト軸Bに対して管支持部Dを最適の高さに配置しておいて、左右一対の螺着体Sを正方向(時計方向)に螺回動させて螺子込むと、上記したように、左右一対のボルト軸Bの雄螺子部(溝)91と係合体Eの雌螺子部(山)53とが係合すると共に、ボルト軸取着部Aの側の嵌合凹部35に係合体Eの嵌合凸部54が嵌合されて、ボルト軸取着部Aの側の当接面39に係合体Eの当接面55が押圧状態で当接することで、一対のボルト軸Bに対して左右一対の各ボルト軸取着部Aが取着される。
【0057】
次に、管支持部Dの管体挿入開口13から内部に管体Pを挿入して、当該管体Pが支持本体部11で支持された状態で、管体Pの外周面と第2弾性変形可能部15の内面との間に形成された挿入空間に閉塞片12の先端部を挿入すると、当該閉塞片12の外面と前記第2弾性変形可能部15の内面にそれぞれ設けられた係止突条16,17が互いに係止することで、閉塞片12が抜け出なくなって、図2及び図3に示されるように、管支持部Dを構成する支持本体部11と閉塞片12とによって管体Pが抜け出ないように支持される。なお、管支持部Dに支持された管体Pを支持本体部11から取り出すには、閉塞片12と第2弾性変形可能部15とにそれぞれ設けられた突起体23,24の間に、ペンチ(プライヤ)の各把持部の先端部を挿入した状態で、押し拡げることで、管体Pの外周面と第2弾性変形可能部の内面との隙間から閉塞片12を引き出して行う。
【0058】
また、上記実施例では、ベース体Vは床面F1 に固定され、管支持部D及び一対のボルト軸取着部Aは、前記ベース体Vに立設された一対のボルト軸Bに取着された構成であって、管体Pは、一対のボルト軸Bに両端支持される形態となるので、支持状態が安定する利点がある。しかし、本発明においては、図14に示されるように、天井面F2 に垂直下方に向けて1本のボルト軸Bを垂設させることで、管支持部D及び一対のボルト軸取着部Aは、当該1本のボルト軸Bに取着することも可能である。
【0059】
図14に示される配線・配管材支持装置K2 は、管支持部Dには、支持本体部11の一方の側部のみにボルト軸取着部Aが一体に設けられて、1本のボルト軸Bの上端部は、ベース板V’に溶接により一体に固定され、当該ベース板V’が天井面F2 に固定されることで、当該1本のボルト軸Bにボルト軸取着部Aが一体に取着されている。このため、管支持部Dに支持された管体Pは、1本のボルト軸Bに片持ち状となって支持される。管体Pが軽量である場合には、片持ち支持であっても、十分な支持力が得られる。
【0060】
全く同様に、ボルト軸Bが床面F1 に対して立設状態となる場合においても、管体Pが軽量の場合には、1本のボルト軸Bで当該管体Pの支持を行うことが可能となる。
【0061】
また、一対の突出部36の外周面の雄螺子部37に対して螺着体Sの雌螺子部42を押圧状態で螺着することで、ボルト軸Bの雄螺子部(溝)91に対する係合体本体52の雌螺子部(山)53の係合状態をロックするための構造は、螺着体Sに設けられたアーム片43の先端の係合突部44と、ボルト軸取着部Aに設けられた係合フランジ部32のロック部32bとの係合に係るものに限定されない。図15及び図16に示されるロック構造は、上記とは逆に、係合フランジ部32’の側に、後方に弾性変形可能なL字形の一対の係合片61が180°位相の異なる対向位置に設けられ、螺着体S’の前端部の部分フランジ部62に凹状をした一対のロック部63が設けられた構成である。このため、螺着体S’を螺回動させて、ボルト軸Bの雄螺子部(溝)91に対して係合体本体52の雌螺子部(山)53が係合した状態では、図16に示されるように、螺着体S’の各ロック部63に基部31の側の各係合片61が係合して、ロック状態が維持される。なお、図15では、螺着体S’に空回り可能に連結される係合体Eは図示しておらず、支持本体部11の一方の端部に連結された第2弾性変形可能部15の連結位置は、上記した配線・配管材支持装置K1 とは、左右において逆の関係にある。
【0062】
また、上記実施例では、ボルト軸取着部Aのボルト軸挿通孔33に対してボルト軸Bは、挿通軸心C1 の方向のみに挿通されるものであるが、図17に示されるように、一対の突出部36の間に形成された係合体Eの移動空間38を、ボルト軸挿通孔33と連結することで、当該ボルト軸挿通孔33に対してボルト軸Bは、挿通軸心C1 と直交する方向からも挿通可能となる。配線・配管材支持装置K2 のように、天井面F2 から垂設されたボルト軸Bに管支持部Dを取着する場合に便利である。なお、図17に示される配線・配管材支持装置は、上記した配線・配管材支持装置K1 に対して支持本体部11に対する第1及び第2の各弾性変形可能部14,15の左右の配置が逆の関係にある。
【0063】
また、上記した配線・配管材支持装置K1 では、一対の突出部36の間の空間が係合体Eの移動空間38となっていたため、当該移動空間38の上下は、いずれも開放されているが、図18に示されるように、全体を短筒状にしてその外周面に雄螺子部37を形成する構成にすると、係合体Eの移動空間38’は、全周が閉塞された空間となる。周囲が閉塞された移動空間38’の場合には、係合体Eの移動が安定する利点がある。
【0064】
本発明は、床面F1 に立設されるか、或いは天井面F2 に垂設されたボルト軸Bに対する管体Pを支持する管支持部Dの取着、及びその解除を螺回動操作を行うことなく、当該ボルト軸Bの雄螺子部(溝)91と、当該ボルト軸Bを挿通するボルト軸挿通孔33の挿通軸心C1 に対して交差する方向に直線移動する係合体Eの雌螺子部(山)53との係合・離脱によって、ワンタッチで行えることに特徴がある。前記ボルト軸Bに対して前記管支持部Dの取着、及びその解除を行う手段を係合手段とした場合には、当該係合手段は、ボルト軸取着部Aに設けられたボルト軸挿通孔33、相互に螺着される関係にある一対の突出部36の外周に形成された雄螺子部37、当該雄螺子部37に螺着される螺着体S、当該螺着体Sに空回り可能に連結されて、前記ボルト軸挿通孔33の挿通軸心C1 と交差する方向に進退移動する係合体E、当該係合体Eの進退移動を可能とする移動空間38とを備えるものとなる。
【符号の説明】
【0065】
A:ボルト軸取着部(ボルト軸取着体)
B:ボルト軸
1 :ボルト軸挿通孔の挿通軸心
2 :螺着体の螺回動軸心
D:管支持部(配線・配管材支持体)
E:係合体
1 ,K2 :配線・配管材支持装置
P:管体
S,S’:螺着体
V,V’:ベース体
33:ボルト軸挿通孔(ボルト軸挿通部)
34:ボルト軸位置決め孔(ボルト軸挿通部)
35:嵌合凹部
36:突出部(姿勢維持手段)
37:一対の突出部の外周に形成された雄螺子部(被螺着部)
38,38’:係合体の移動空間
40:一対の突出部に形成された姿勢維持面(姿勢維持手段)
53:係合体に形成された雌螺子部(係合部)
54:嵌合凸部
図1
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