【実施例1】
【0020】
図1及び
図2は工具の好ましい一実施形態である。本実施形態では、工具はレンチ100であり、ヘッド10、握り部40、トルク調節装置101、及びトルク構造102を備える。ある実施形態では、工具はトルク式スクリュードライバーである。
【0021】
ヘッド10の下方には挿入部11を有し、直接的或いは間接的にボルトやナット等の固定部材に結合される。なお、前記握り部40には2つの開口部42及び開口部49を有し、各開口部42及び開口部49の形状はレンズ21及びレンズ29を嵌め込むのに適合し、レンズ21及びレンズ29の下方の物品を透視可能になる。何れか1つのレンズ21には2つの異なる単位の目盛りが規定され、レンズ21の下方で移動する目盛り指標部材28に組み合わされ、トルク値の判読に利用される。この箇所の目盛り単位とは、ヤード・ポンド法のlb−ft(ポンド−ヤード)及びメートル法のN−m(ニュートンメートル)である。当然ながら、kg−m(キログラム−メートル)単位系も範囲に含まれる。
【0022】
レンチ100の作用力は、トルク構造102によりヘッド10の挿入部11に伝達される。トルク構造102は柄部20、アーム部30、駆動棒34、従動部材35、圧縮バネ36、及びロール座32で構成され、各部材については下述する。
【0023】
前記柄部20と握り部40とは連結され、内部は中空になると共に軸受け38が固定され、駆動棒34は軸受け38により柄部20内に装設されると共に自転運動を行う。前記アーム部30とヘッド10とは一体になるように設計されると共に従動部材35が柄部20に挿入され、二者は枢設関係を維持させる。前記従動部材35は柄部20内に納置され、従動部材35は駆動棒34に螺接されるのみならず前述の目盛り指標部材28に連結され、柄部20に制限を受けていなければ、従動部材35は柄部20に対して往復運動を行い、目盛り指標部材28を連動させて同調させて作動させる。前記圧縮バネ36は柄部20内に納置されると共に一端は従動部材35に当接され、他端はロール座32に当接され、ロール座32を支持させてアーム部30に接触させ柄部20の部位に進入させる。
【0024】
アーム部30、ロール座32及び圧縮バネ36の具体的な構造、相互の連結関係及び機能に関しては、台湾第I300740号及びアメリカ第7、182、006号等の特許案に大方相似する。これら特許案と本案とは発明者が同じであるため、詳述は省く。
【0025】
前記トルク調節装置101は握り部40内に装設されると共にトルク構造102の後方に位置されてノブ70に連結され、レンチ100のトルク値の調節を行う。
図3及び
図4では、トルク調節装置101は、スリーブ44、本体50、操作レバー60、及び係合ユニットで構成され、各部材の細部構造及び連結関係については後述する。
【0026】
図5によれば、スリーブ44の中央は内孔41であり、内孔41は直径の大きい大径部43と直径の小さい小径部45に区分される。ネジ用孔47は大径部43の壁を貫通させ、小径部43の壁に穴部48を形成させる。このほか、スリーブ44の内孔41の壁面には複数の内歯車46が円列され、これら内歯車46及びスリーブ44の開口は隣接する。
【0027】
図6及び
図7に示すように、前記本体50の一端には凹部51が形成され、他端には凸部52が延出される。本体50の周囲には2つの凹部53が埋入され、これら凹部53は開口は反対になり、本体50から隆起するフランジ54の同一側に隣接する。いくつかの実施形態では、本体50の周囲には1つの凹部53のみ有し、これも本案の範囲に含まれる。
【0028】
また、本体50の2つの凹部53の間には貫通孔55を有し、凸部52の中央を貫通させる軸向空洞58に連通され、貫通孔55は凹部53及び軸向空洞58の連通箇所に位置され、3つの管路を形成させる。本体50はネジ用孔56及び複数の結合溝57を更に有し、ネジ用孔56は半径方向に沿って凹部51の壁に形成され、これら結合溝57はフランジ54の他側に分布されると共に凸部52の周囲を包囲させる。
【0029】
さらに、
図3及び
図4によれば、前記操作レバー60は径向孔61及び収納部62を有する。本実施形態では、収納部62は操作レバー60を貫通する孔である(
図11及び
図13参照)。いくつかの実施形態では、収納部62は操作レバー60に埋入される溝であり、これも本案の範囲内である。
【0030】
前記係合ユニットは、2つの係合爪65、2つのキャップ部63、及び弾性部材64を備え、各キャップ部63は中空の弾性キャップ部形状になり、弾性部材64は圧縮バネである。これら係合爪65の形状は大方同じであり、各係合爪65の外表面には1個或いは1個以上の外歯車66が形成される。
【0031】
次に、前記ノブ70の一端には外部溝71が埋入され、他端にはキャビティ75が形成される。ノブ70の中間部位には中心孔78及び中心孔78の周囲に分布される複数の結合孔73が形成され、外部溝71及びキャビティ75はこれら結合孔73及び中心孔78を通して互いに連通される。ノブ70は内歯車76を更に有し、これら内歯車76はキャビティ75の壁面に連続的に円列される(
図8参照)。
【0032】
図3乃至
図9にはトルク調節装置101の装設構造を示し、本体50の一部がスリーブ44に納置され、フランジ54により本体50のスリーブ44に挿入される深度が制限され、凸部52はスリーブ44の外に露出されるとわかる。操作レバー60の一部は凸部52の軸向空洞58に納置され、枢軸67は凸部52に形成される2つの径向孔59により操作レバー60を凸部52に枢設させ、収納部62は貫通孔55に位置されると共に凹部53に正対する。
【0033】
2つの係合爪65は本体50対応する凹部53に納置される。各係合爪65はフランジ54の側面に並列されると共に二者はピン68に貫通される。係合爪65と本体50とは枢設関係を維持させ、外歯車66をスリーブ44の内歯車46に対向させる。2つのキャップ部63は弾性部材64の両端を被覆させ、弾性部材64により圧縮される方式により操作レバー60の収納部62に収納され、弾性部材64が押されると、各キャップ部63の一部は操作レバー60の収納部62から露出され、係合爪65の対応する部位に接触する。
【0034】
ノブ70のキャビティ75にはフランジ54が収納され、凸部52は同時にノブ70の中心孔78を通過させる。ノブ70の結合孔73は本体50の結合溝57に位置を合わせ、ネジ74等の固定部材により結合される。押しボタン72はノブ70の外部溝71に納置されると共に操作レバー60の凸部52から露出される箇所に固定される。
【0035】
前記トルク調節装置101のスリーブ44は握り部40に納置され、柄部20及び駆動棒34を遮蔽させ、駆動棒34は軸受け38の部位からはみ出して本体50の凹部51に挿入される。ネジ等が埋め込まれる複数の固定部材の1つは、スリーブ44のネジ用孔47を通して柄部20に固装され、他の固定部材はスリーブ44の穴部48を貫通させるとと共に本体50のネジ用孔56に螺入され、駆動棒34に緊迫して凹部51の部位に進入し、本体50を駆動棒34に連結させると共に同方向に回転させる。
【0036】
この際、ノブ70の内歯車76は微調節目盛りリング22の外囲を包囲させる。前記微調節目盛りリング22の外周面には複数の数字24及び若干の外歯車26を有し(
図9参照)、且つ、これら外歯車26及び数字24は微調節目盛りリング22の同一側には位置せず、外歯車26はノブ70の内歯車76に噛合される。ノブ70は本体50により駆動棒34に連結され、駆動棒34は軸受け38の抵抗を受け外に移動しないため、ノブ70が外に引っ張られることはない。加えて、本体50のフランジ54は軸受け38に阻害され、ノブ70は内圧を受けず、微調節目盛りリング22を連動させて時計回り、或いは反時計回りの方向に回転させるのみである。
【0037】
使用に際しては、押しボタン72の上端はフランジ54に近接され、操作レバー60を
図10の点線のようにスリーブ44の下方に向け擺動させ、これは制限位置と呼ばれる。操作レバー60が本体50に対して制限位置まで移動すると、係合爪65はキャップ部63に押されて外歯車66をスリーブ44の対応する内歯車46に噛合させ、本体50をスリーブ44に対して回転させず、
図11に示すようになる。この際、ノブは回転しない。
【0038】
押しボタン72の下端はフランジ54に近接され、操作レバー60を
図12の点線のようにスリーブ44の下方に擺動させ、これは自由位置と呼ばれる。操作レバー60が本体50に対して自由位置まで移動すると、係合爪65はキャップ部63に押されて外歯車66をスリーブ44の内歯車46から離し、本体50はスリーブ44に対して自由回転を行う(
図13参照)。
【0039】
図3及び
図4に示すように、ノブ70は本体50により駆動棒34を連動させて回転させ、従動部材35は圧縮バネ36を圧縮或いは解放して、目盛り指標部材28によりトルクの改変された値を判読させる。また、微調節目盛りリング22はノブ70に同調して作動し、トルク値の判読のためのデータを補助する。
【実施例2】
【0040】
図14ないし
図16は本発明に係るトルク調節装置の二実施形態である。一実施形態と大方同様であり、差異は、本体50の軸向空洞58は多辺形であり、容積は操作レバー60の対応する部位の体積より大きい点である。さらには、凸部52の壁面には2つの狭長孔90が形成され、各
狭長孔90は本来の径向孔を代替させ、操作レバー60の周囲から隆起する突出ピン92を収納させる。突出ピン92は多辺形に設計され、その体積は
狭長孔90の容積より小さい。
【0041】
続いて、スイッチ80は本来の押しボタンを代替させ、トルク調節装置のスイッチとなる。スイッチ80のトルク調節装置に対向する箇所には収納用溝82が形成されると共に操作レバー60の本体50からはみ出る凸部52の部位に連結される。これにより、スイッチ80はノブ70の外部溝71に装設され、操作レバー60を連動させて上下に滑動させる。
【0042】
スイッチ80が下に向け制限位置まで滑動すると、操作レバー60を連動させてスリーブ44に対して
図14の点線の箇所まで移動させる。スイッチ80が上に向け自由位置まで移動すると、操作レバー60を
図15の点線の箇所まで移動させる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。