(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここでは、本発明に係る例示的な実施形態及び添付の図面の例を詳細に説明する。同一の参照番号は、可能な限り、同一又は同様の部品を指すために図面全体を通して使用される。また、各実施形態に記載された任意の態様は、本明細書に記載された任意の他の実施形態で使用することができる。
【0016】
システム及び方法の検討は、便宜のために「外科手術用ツール」、「外科」又は「外科手術部位」に関連するが、説明されるシステム及びそれらの使用方法は組織の切除又は修復に限定されるものではない。特に、説明されるシステム及び装置は、追加的に検査及び診断のため、又は選択的に外科手術のために使用することができる。さらに、本明細書において説明されるシステム及び装置は、機械の点検や修理のような非医療的な適応も実現可能である。
【0017】
例示的な実施形態によれば、
図1は装置10を示している。装置10は、治療又は診断手順を含む外科的方法とともに使用するために構成された医療機器を含むことができる。例えば、装置10は、内視鏡、ガイドチューブ、アクセスカテーテル、又は患者の体にアクセスするように構成された他のタイプの装置とともに使用するために構成することができる。装置10は、例えば食道、心臓、胃、骨盤領域、膀胱、腸、又は胃腸の他の部分、尿、又は肺管等の様々な身体器官の内部又はそれらに隣接する処置のために使用することができる。
【0018】
装置10は、解剖学的開口部を通して患者の体内への挿入のために構成されてもよい。他の実施形態では、装置10は、自然開口部越経管腔的内視鏡手術(NOTES)の処置又は単孔式腹腔鏡下手術(SILS)の処置で使用してもよい。従って、装置10は、体腔又は切開を介して患者の体内に配置するための形状及びサイズに形成することができる。
【0019】
図2に示すように、装置10は、システム15の一部として使用することができる。例えば、装置10は、患者(図示せず)に対する装置10の移動を許容するために移動可能にフレーム11に連結することができる。フレーム11は、ガイドチューブ17、患者内に配置可能な部分に連結することができる。また、システム15は、内視鏡7などの光学システムを含むことができる。例示的なシステムは、本明細書にその全体が参考として組み込まれる米国特許出願公開第2008/0188868号明細書に記載されている。
【0020】
手術において、システム15と組み合わせて使用した場合、ユーザは、
図2に示されるように、第1の手で第1のコントローラ12を把持し、第2の手で第2のコントローラ12´を把持することができる。ユーザは遠位端部エフェクタ16,16´の前方及び後方又は回転運動を制御するためフレーム11に対して前方及び後方又は回転するようにコントローラ12,12´を移動させることができる。また、ユーザは、遠位端部エフェクタ16,16´が左右に連接運動するように、フレーム11に対して時計回り及び反時計回りにコントローラ12、12´を回転させることができる。フレーム11に対して前後にコントローラ12、12´を傾けることで、遠位端部エフェクタ16,16´を上下に連接運動させることができる。これら4自由度における遠位端部エフェクタ16,16´の連接運動は、同時に、かつユーザがコントローラ12,12´と接触を失うことなく達成することができる。また、コントローラは12、12´は、5自由度を提供するべく、開く及び閉じるように遠位端部エフェクタ16,16´を作動可能である。さらに、コントローラ12、12´は、左利き又は右利き操作用に構成される。
図2においては、両手利き対応の装置10は、右利き操作用として構成されており、両手利き対応の装置が10‘は、左利きの操作用として構成されている。
【0021】
装置10は、
図3に例示するように、異なる様々な端部エフェクタ16の使用のために構成することができる。これら及び端部エフェクタの他のタイプは、シャフト14上の遠位側に配置されるとともに、コントローラ12(
図1に示す)によって連接運動又は駆動することができる。装置10の1つ以上のコントローラ部材35は、操舵部30の連接運動を制御するように移動させることができる。装置10内の1つ以上の異なるコントローラ部材35は端部エフェクタ16の作動を制御するように動かされる。
【0022】
装置10は、
図3に示すように、一つ以上のコントローラ部材35を介してコントローラ12から長尺状シャフト14への動き又は力を機械的に伝達するように構成することができる。少なくとも1つ以上のコントローラ部材35の一部は、コントローラ12又は長尺状シャフト14を通って延出する。コントローラ部材35は、例えば操舵部30のように、長尺状シャフト14の1つ以上の部分を、連接運動するように移動させることができる1つ以上の連接部材を含む。コントローラ部材35は、例えば、把持器又は解剖器具の顎部材が開閉するように、長尺状シャフト14上の1つ以上の端部エフェクタ16を駆動するように移動する1つ以上の作動部材を含む。
【0023】
コントローラ部材35は、ケーブル、ワイヤ、リボン、ロッド、ボーデンケーブル、又は運動若しくは機械的な力を伝達するように構成された他のタイプの延出要素を含む。例えば、コントローラ部材35は、金属合金、編組糸、合成ポリマー、コイル、又は引張力を伝達するように構成された同様の可撓性材料を含む。ボーデンケーブルは、例えば、引張力を伝達するように構成された内側部材と、圧縮力を伝達するように構成された外側部材とを含む。いくつかの実施形態では、外側部材は、非圧縮性のヘリカルコイルを含む。
【0024】
コントローラ部材35は、引張力、圧縮力、又はこれら両方の力を伝達するように構成することができる。コントローラ部材35は、延出要素の一種以上を含み、一つ以上のギア、プーリー、キャプスタン、又は機械的力又は運動を伝達するように構成された他の機械装置に機械的に連結されてもよい。さらに、コントローラ部材35は、負荷要件及び幾何学的拘束に応じた形状及びサイズで形成されてもよい。
【0025】
図3において、解剖器具23及び一対のはさみ25が示され、これら解剖器具23及びはさみ25の両方は、端部エフェクタ16の両タイプの連接運動及び作動を提供するように構成された複数のコントローラ部材35を含むことができる。また、端部エフェクタ16は、組織に切除に係るエネルギーを印加するように構成されたフック27を有する電気外科用フック21を含む。電気外科用フック21は、連接運動を必要とし、作動を必要としない場合がある。別の端部エフェクタ(図示せず)は、器具10の遠位領域に灌注又は吸引を提供するように構成されたベントチューブを含む。このチューブは、連接運動又は駆動を必要としない。
【0026】
いくつかの実施形態においては、装置10は製造中に装置10の1つ以上の要素が1つ以上の他の要素で置換され得るモジュール式となる。このようなモジュール式装置10は、装置10の種類や機能に応じて装置10の異なるタイプを製造するために使用することができる。装置10は、装置10のフレーム又は構造の一部を形成する一般的なシャーシを含む。
【0027】
様々な交換可能な要素は、一般的なシャーシとともに機能するように構成される。例えば、装置10が連接運動及び駆動を必要とする端部エフェクタ16を含む場合、コントローラ12は、連接運動及び駆動を提供するように構成されたコントロール要素を含むことができる。装置10が連接運動のみを必要とする場合、コントローラ12の作動用コントロール要素は、インサート要素に交換可能である。装置10が電気外科用フック21を含む場合、コントローラ12の様々な要素は、意図しないショックから患者又は外科医を保護するために防護用であり得る。また、同一のコントローラ12は、外科医によって、左利き又は右利き操作用に構成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、コントローラ12は、ベース19に移動可能に連結されたハンドル18を含む。ハンドル18が両手利き用であってもよいし、利き手の変化を可能にするために、シャフト20から取り外すことができるようにしてもよい。例えば、ハンドル18はシャフト20から取り外され、左利き用から右利き用に利き手の設定を切り替えるために反転可能である。様々な例示的なハンドルは、その全体が参考として組み込まれる米国特許出願公開第2008/0287862号明細書に記載されている。
【0029】
図6A及び
図6Bは、
図1における組み立て前に現れる一般的なハンドルシャーシ118を備えたハンドル18を示す。シャーシ118はコントロール要素及びインサート要素の何れも含まない。一つ以上のコントロール要素又はインサート要素が
図7A〜
図9Cに示されるハンドル218,318,418を形成するようにシャーシ118に追加される。
【0030】
後述するように、コントロール要素40(
図8B、
図8Cに示されている)及びインサート要素50(
図9B、9Cに示されている)は、シャーシ118とともに動作するように構成された種々の可動又は静止部品を含む。例えば、コントロール要素40は、サムホイール、レバー、プルリング、ハンドル、ボタン、スライド、ターンキー、ラチェットギア、トリガ、又はスイッチを含む。コントロール要素40は、装置10の機能を制御するための構造体を介してシャーシ118に移動可能に連結することができる。例えば、コントロール要素40は、シャフト14又は遠位端部エフェクタ16の遠位領域を移動又は制御するように構成することができる。コントロール要素40は、ベース19に対するハンドル18の取り付けを制御するように構成することができる。また、コントロール要素40は、装置10の機能を制御するように構成された他の部品を含む。
【0031】
インサート要素50は、シャーシ118に固定的に取り付けられる固定部品を含む。インサート要素50は、インサート要素50をシャーシ118に固定的に取り付けるように構成されたフランジ又は他の構造を含む。インサート要素50は、
図9A〜
図9Cに示されるように、ハンドル418と同一平面に設置してもよいし、任意の形状を取る開口428から突出していてもよい。インサート要素50は、ハンドル418における開口428,430を少なくとも部分的に密封(シール)するように機能することができる。例えば、ハンドル418は、手や指のサポート、ハンドル418を把持するための他の有用な構成を形成するためのフック又はラッチを提供するためにモールドされたインサート要素50を含む、又はハンドル418の機能を制御する以外の目的を果たすことができる。インサート要素50は、電気アダプター、流体ポート、又はグラウンド用ワイヤのための出口カバーを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、装置10は、異なるコントロール要素40又はインサート要素50を受容するように構成された一つ以上の開口部を備えるモジュール式コントローラ12を含む。ある実施形態では、ハンドル18は、少なくとも1つのハンドル18の面上に配置された少なくとも1つの開口部を含む。開口部は、構造体を少なくとも部分的に横切って延びてもよいし、1つ以上のコントロール要素40及びインサート要素50を受容するように構成されてもよい。装置10における他の開口部は、装置10の周りの様々な位置に配置することができ、例えば、開口部はコネクター、ケーブル、又は装置10の一部を出入りする他の部品を受容するように構成され得る。
【0033】
ハンドル18を係合及び解放することは、例えば、機械的又は摩擦的な様々な係合機能を含む。
図6Aに示すように、係合機能はシャフト20(図示せず)の一部を受容するために、シャーシ118における開口部140を含むことができる。開口部140は、シャーシ118の第1の面から反対側の第2の面に延出する。別の実施形態では、2つの係合機能は、シャーシ118の異なる側面上に異なるように配置することができる。また、シャーシ118はシャフト20にスナップ係合してもよい。さらに、シャーシ118は、
図7Aに示されるように、多数の異なる取り付け機構202、例えばつまみねじ254によって、所定の位置に保持することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、
図1におけるハンドル18は、ハンドル18がベース19を基準としたセット位置におけるシャフト20上の所定位置でロックするように、シャフト20と係合するように構成されてもよい。ベース19に対して正しい向きへのハンドル18の位置決めを支援するために、ハンドル18はセルフセンタリング機構を含む。
図4Bにおけるハンドル18は、
図4Aに示されるシャフト120を受容するように構成された開口部140を含む。
図4A及び
図4Bに示すように、シャフト120の近位領域の少なくとも一部は、ハンドル18の係合領域上の相補的傾斜面に係合する傾斜面を備える。シャフト120上における
図1のベース19を基準としたセット位置にハンドル18が常に配向されるように、ハンドル18がシャフト120に取り付けられたとき、この相補的面は互いに係合する。
【0035】
例えば、セルフセンタリング機構は、平坦面121を含む半円形の遠位領域を有するシャフト120を備える。ハンドル18は、シャフト120上の平坦面121と係合するように構成された相補的平坦面119を含む。ハンドル開口部140の平坦面119とともにシャフト120上の平坦面121を配向することで、ベース19の長手方向軸に対してセット位置にハンドル18を配向する。
【0036】
また、ハンドル18は、シャフト120と係合するように構成されたハンドル18の一部にテーパ状窪み123を含む。ハンドル18上の窪み123は、シャフト20上のテーパ突出部124と相補的に係合するように構成される。シャフト120上のテーパ突出部124の相補的面及びハンドル18上の窪み123が係合することで、セット位置において、シャフト120に対してハンドル18を配向することができる。
【0037】
ハンドル開口部140は、つまみねじ154がハンドル18の側面の開口部から突出する態様で、つまみねじ154におけるねじ開口部117と連結している。ハンドル18の相補的傾斜面119,123がシャフト120上の相補的傾斜面121,124に整合及び係合するとき、シャフト120の遠位領域のねじ締結部115は、ハンドル開口部140及びつまみねじ154のねじ開口部117内を通じて通過する。一旦、ハンドル18はシャフト120上に設置されると、ユーザはハンドル18を所定の位置に締結するためにつまみねじ154を回転可能であるとともに、つまみねじ154のねじ開口部117は、シャフト120にハンドル18を機械的に締結する。従って、ハンドル18及びシャフト120の係合領域におえる相補的傾斜面は、予め設定されたベース19に対する向きでハンドル18がシャフト120に係合するセルフセンタリング機構として作用することができる。
【0038】
他の実施形態では、ハンドル18は、ベース19に対して複数の向きでシャフト20に所定の位置で係合及び固定可能である。
図2においては、ハンドル18がベース19の長手方向軸と直接的に平行にならず、又は軸ずれしないように、ハンドル18がシャフト20に取り付けられた状態を示す。特定の実施形態では、ユーザは、ユーザに快適性を提供するように、ベース19に対して多数の異なる位置でシャフト20にハンドル18を取り付けることができる。例えば、ハンドル18はベース19の長手方向軸線と平行に延びるようにシャフト20に固定可能である。又はハンドル18はベース19に対して軸ずれしている他の異なる別の位置にハンドル18を固定するためにシャフト20の軸線回りに回転させることができる。いくつかの実施形態では、ハンドル18は、ベース19に対してシャフト20上の2つ以上の異なる位置に固定可能である。
【0039】
ユーザがベース19及びシャフト20に対して複数の向きでシャフト20上の所定位置にハンドル18を固定可能にするために、シャフト20の近位領域は、1つ以上の向きでハンドル18上の傾斜面と係合可能な傾斜面を含む。
図5に示すように、シャフト120は、ハンドル18内の開口部140の周囲に位置する雌スプライン領域127に対して相補的なスプライン領域126を含む。従って、ハンドル18及びシャフト120の近位係合領域は、ベース19に対して複数の別々の取り得る角度で、互いに係合するように構成される多数の相補的傾斜面を含む。本実施形態において、相補的スプライン領域126,127の傾斜部の対称性は、ハンドル18をシャフト120上でセンタリングしつつ所定の位置にハンドル18をベース19に対して固定している状態であっても、ハンドル18を複数の別々な角度でシャフト120と係合可能とする。
【0040】
一旦、整合させると、シャフト120上のねじ領域125はハンドル開口部140を通過し、つまみねじ(図示せず)のねじ部に螺合することができる。そして、ユーザは、ハンドル18をシャフト120に固定するために、つまみねじを回転させることができる。従って、ハンドル18及びシャフト20の係合領域上の相補的スプライン領域126,127は、ベース19に対する複数の取り得る角度でシャフト120上にハンドル18を位置決めするセルフセンタリング機構として作用可能である。
【0041】
両手利き用におけるハンドル18の実施形態では、ハンドル18の両側面に、部材番号123,119,127のような係合傾斜面を含む開口部140を有していてもよい。さらに、ハンドル18は、シャフト120の係合領域上の傾斜面に対して相補的に構成された傾斜面について、任意の数、配置又は形状を有することができる。例えば、傾斜面は、平坦状、鋭角状、曲面状又は不規則な形状であってもよい。ハンドル18の傾斜面及びシャフト120上のそれらの相補的傾斜面は、ハンドル18の面から内側又は外側に突出、又は開口部140から突出若しくは開口部140内へ突入していてもよい。
【0042】
上述したように、
図7A〜
図7Cにおいては、例えば、取付機構202は、ねじシャフト(図示しない)と嵌合するためのつまみねじ254を含む。取付機構202に加えて、様々な他のコントロール要素40は、ハンドル18をシャフト20に取り付けるために使用される。つまみねじ254は、
図7A〜
図7Cに示されるように、ハンドル218の内部中央領域に配置されるとともに、ハンドル開口部232,234から外側へ突出する。つまみねじ254の開口部は、ねじシャフトが通過するハンドル218の開口部240と整合する。つまみねじ254は、ハンドル218の幅全体に及ぶ。開口部240は、ハンドル28の全体の高さの少なくとも一部に亘って延出する。
【0043】
他の実施形態では、つまみねじ254がハンドル218の幅全体に及ばない。ハンドル218の開口部240及びつまみねじ254がハンドル218の幅全体に及ばない場合には、ねじシャフトはハンドル218の両側面の開口部に係合する。また、レバー、スライド、又は他の取付け機構202は、シャフト20にハンドル18を着脱可能に連結することが検討されている。
【0044】
図7B及び
図7Cに示すように、つまみねじ254は、開口部232,234を通ってハンドル218の側壁から突出する。ユーザは、ねじシャフトに対してハンドル218を取り付け又は取り外しするため時計回り又は反時計回り方向につまみねじ254を回転させるためのつまみねじ254を操作することができる。使用を容易にするために、つまみねじ254は、ハンドル218がシャフト上に右利き用又は左利き用の向きで構成されている場合に、つまみねじ254の両側からユーザ操作を可能とするために、ハンドル28の両側面から突出する。同一方向につまみねじ254を回転させることで、両手利きの使用を容易にするために、右利き用及び左利き用の構成でハンドル218をシャフトに固定することができる。
【0045】
また、
図1におけるハンドル18は、シャフト20に固定されて取り付けられるように構成することができる。このような構成では、ハンドル18における開口部134、132は、開口部134、132(
図6B)内に配置するために構成される少なくとも一つのインサート要素50(図示せず)を含む。この実施形態では、ハンドル18は、シャフト20に対して移動不能又は移動可能に固定されている。ハンドル18は、移動不能で固定された場合には、シャフト20に対して移動することができず、一つの位置のみにおいてシャフト20と嵌合可能となる。
【0046】
別の実施形態において、ハンドル18が移動可能に固定されている場合、それはシャフト20に対して移動することができるが、シャフト20から完全に取り外すことはできない。例えば、ハンドル18はシャフト20のより近位領域まで上方にシフトし、その後、この上方向の位置で一度回転、スライドし、その後、シャフト20上の新しい向きで所定の位置に固定するために下方向に戻ってシフトする。例えば、ハンドル18は、ハンドル18をシャフト20側(下方向)へ付勢するスプリングを含む。ユーザは、ハンドル18に力を加えるとともに、ハンドル18をシャフト20上で上方向へ移動させ、ハンドル18を再配置するためにシャフト20上で回転させ、そして上記スプリングがハンドル18をシャフト20へ向かって下方向へ引っ張られることを許容するために、ハンドル18への上記力を解放する。ハンドル18は、移動可能及び固定的にシャフト20に連結して構成された多数のコントロール要素40を含む。例えば、ハンドル18の部分は、シャフト20内を延出するとともに、ハンドル18がシャフト20の開口部に対してシフトすることを可能とするプッシュピン(図示せず)を含む。
【0047】
完全に取り外し可能な実施形態における取り外し及び配向を容易にするために、ハンドル218は、
図7Aに示すように、ハンドル218の利き手を示すマーキング227を含む。例えば、ハンドル218の少なくとも一方の側面(サイド)は、マーキングされた側面がユーザに向くように配向されたことを示す右利き又は左利きマーキング227を含み、ハンドル218は右利き又は左利きの使用をそれぞれ容易にするようにシャフトに連結される。また、ハンドル218は、シャフト20(
図1に示されている)からハンドル218を着脱する方法を示すマーキング225を含む。例えば、ハンドル218がつまみねじ254を介してねじシャフト20上の所定の位置で保持された場合、ハンドル218はハンドル218をねじシャフト20から解放するために、つまみねじ254を回転させる方法を示すマーキング225を含む。ハンドル218は、ハンドル218の複数の側面上の1つ以上のマーキング227,225を含む。
【0048】
図6Bに示すように、ハンドル18は、ハンドル18に対向する壁に位置する追加の開口部128,130を含む。本実施形態では、開口部128,130はハンドル18の対向する側壁に沿って延びている。第1の開口部130は、ハンドル18の長手方向軸102(
図6Aに示される)から直交して延出する突起103上に配置することができる。第2の開口部128は、ハンドル18の長手方向軸102から突出するハンドル18の対向部分104に位置する。ユーザが対向部分104に親指を置くことができ、突起103に人差し指又は中指を置くことができる。ユーザは、残りの指でハンドル18の細い中央近位部を把持することができる。このハンドル18における他の構成も可能である。
【0049】
ハンドル18上の一つ以上の開口部128、130は、装置10の機能を制御するためのコントロール要素40及び開口部128,130の少なくとも一部を覆うためのインサート要素50のいずれかを受容するように構成することができる。開口部128,130は、コントロール要素40を受容する、又はその代わりに、製造されるハンドル18の構成に応じてインサート要素50と交換されるように構成される。ハンドル18のそれぞれ異なる構成は、一般的なシャーシ及び様々なコントロール要素40又はインサート要素50を含む。
【0050】
図7A〜
図9Cは、3つの可能な操作構成におけるコントローラ12のハンドル18を示す。
図7A〜
図7Cにおいては、ハンドル218の一つの開口部228が第1のタイプのコントロール要素243を受容することが示される一方、開口部230が第1のタイプのインサート要素260を受容することが示されている。従って、ハンドル218は、コントロール要素243及びインサート要素260を含むように構成することができる。この構成は、例えば、端部エフェクタ16を利用して1つのタイプの動作(例えば開閉)のみを必要とするために使用されてもよい。
【0051】
図7A〜
図7Cとは対照的に、
図8A〜
図8Cは、コントロール要素343、363を受容する両開口部328,330を示す。従って、ハンドル318は、2つのコントロール要素343、363とともに示されている。この構成は、例えば、2つのタイプの動作(例えば、開閉動作及び開又は閉状態の維持)を必要とする端部エフェクタ16とともに使用することができる。
【0052】
図9A〜
図9Cは、インサート要素443,460を受容する開口部428、430におけるハンドル418の第3の構成を示す。従って、このハンドル418は、作動を制御するためのコントロール要素40なしで示されている。そして、コントロール要素402のみがシャフト20にハンドル418の取り付けを制御するために示されている。この構成は、例えば、動作しない端部エフェクタ16(例えば、吸引/洗浄管)とともに使用される。
図7A〜
図9Cに示した3つの全てのハンドルの構成は、
図6A及び
図6Bに示されるように、同一の開口部128,228,328,428及び130,230,330,430を有する同一の基本的なハンドルシャーシを使用して達成される。
【0053】
コントローラ20の開口部は、様々な適切なコントロール要素40を受容するように構成される。
図7A〜
図7Cにおいて、コントロール要素243は作動トリガを含む。トリガ243は、コントローラ部材252の動きを介して端部エフェクタ16を駆動することができる。
図7Bに示すように、トリガ243は、レバー242と、ユーザによる操作用に構成されたフィンガーグリップ244とを含む。
図7A及び7Cに示すように、作動レバー242は、ハンドル218の内部領域からハンドル開口部228を通ってハンドル218の外部領域位置に延出する。グリップ244は、作動レバー242の端部領域に配置されるとともに、ハンドル218における開口228から突出する。
【0054】
作動レバー242は、ハンドル218に回転可能に連結されるとともに、ハンドル218内において近位側及び遠位側にコントローラ部材を移動させるように構成されている。
図7Bに示すように、作動レバー242は、フィンガーグリップ244が突出する方向のハンドル218の側部に対して反対側のハンドル218の内部領域に位置するピボット点233を中心に回転することができる。作動レバー242は、ユーザが開口228の近位端から遠位端へ(又はその逆へ)グリップ244を移動させたときに回転可能である。作動レバー242は、ハンドル218内に位置するレバー242の中間領域を通って延びる開口246を含む。ピン248は、レバー242における開口部246に係合するように構成される。
図7Bにおいて、ピン248は、レバー242の開口部246を通って延出する。ピン248は作動ケーブルを含むコントローラ部材252に作動可能に連結される。
【0055】
また、
図7B及び
図7Cに示すように、作動ケーブル252は第2の遠位ピン250に取り付けられる。ケーブル252は、遠位ピン250から近位ピン248(レバー開口部246を通って延びる)へハンドル218を介して長手方向に延出し、ハンドル218の長さ方向に沿って継続し、ハンドル218の近位領域から出る。
図1に示すように、作動コントローラ部材22は、ハンドル18から出て、ベース19へと続いている。その作動コントローラ部材22の弛みは、ハンドル18とベース19の近位端との間に示されている。部材22は、ベース19を通って継続するとともに、長尺状シャフト14を通って延びて、遠位端部エフェクタ16に動作可能に連結される。
【0056】
図7Bを参照するように、ユーザがスライドグリップ244を通じてレバー242を近位又は遠位側にハンドル開口部228に沿って動かしたとき、レバー242はピボット点233を中心に回転することができる。レバー242が旋回するにつれて、レバー開口246は近位ピン248に係合し、近位ピン248は遠位ピン250に対し接近又は離間するように動かされる。固定ピン250に対する非固定ピン248の移動は、作動ケーブルコントローラ部材252に張力を加えることができる。この張力は、器具シャフト14を介して、器具10の遠位領域にコントローラ部材252に沿って伝達することにより、端部エフェクタ16を駆動する駆動することができる。
図7A〜
図7Cのようなトリガコントロール要素243は、
図1の端部エフェクタ16を駆動することができる。
【0057】
図7A〜
図7Cにおける作動ケーブルコントローラ部材252はボーデンケーブルを含む。遠位ピン250はボーデンケーブル252の内側部分に動作可能に接続され、そして、近位ピン248は、ボーデンケーブル252の外側部分に動作可能に接続される。近位ピン248にドリガレバー242によってトリガレバー250に対して接近又は離間する力が加えられたとき、ボーデンケーブル252の外側部分は、内側部分に対して延長又は短縮することで、
図1における端部エフェクタ16を駆動することができる。
【0058】
図8Bにおいて、トリガレバー要素343は、開口部330と反対側の開口部328内に配置され、それは別のコントロール要素40及びトリガ解放要素363を受容するように構成することができる。本実施形態では、トリガ解放要素363は、トリガ解除ボタン362を含む。
図8Aにおいて、トリガ解放要素363のトリガ解除ボタン362は、ハンドル318の内側の領域から開口330を通じて突出可能である。トリガ解除ボタン362はハンドル318に移動可能に連結されている。例えば、トリガ解除ボタン362は押下、回転、又はスライド可能にハンドル318に連結されている。
【0059】
図8Bに示すように、トリガ解放要素363は、開口330及びコントロール要素343を通って延出する。本実施形態では、開口330内に配置されるトリガ解放要素363と、開口328内に配置される作動トリガレバー342とは作動可能に連結されている。
【0060】
ある実施形態では、トリガ解放要素363はラチェット370を含む。ラチェット370はピボット点371の周りを回転可能である。
図8Cに示されるように、ラチェット370は、スプリング366及びトリガ解放要素363間のハンドル318内に配置される。トリガ解放要素363は、開口330から延びるとともに、ユーザの操作用に構成されたトリガ解除ボタン362と、遠位側の楕円形の軸受面364とを含む。軸受面364は、作動レバー342のピボット点333を取り囲むように構成することができる。トリガ解放要素363におけるトリガ解放ボタン362及び楕円形の軸受面364は1つの部品で形成してもよいし、トリガ解放要素363は別々の部品で形成してもよい。
【0061】
楕円形軸受面364の領域は、ラチェット370に接触可能である。
図8Cにおいては、トリガ解放要素363に面したラチェット370の長方形の突起がトリガ解放要素363の楕円形軸受面364の領域に接触可能である。他の実施形態では、ラチェット370が直接的又は間接的にスプリング366のいずれかの部分に接触してもよい。ラチェット370の反対側面は、スプリング366に接触可能である。
図8Cに示すように、ラチェット370は、その円形収容部におけるスプリング366に接触可能である。他の実施形態では、ラチェット370のいずれかの部分が直接的又は間接的にスプリング366のいずれかの部分に接触してもよい。
【0062】
作動レバー342は、
図8Bにおいて示されるように、スプリング366、ラチェット370及びトリガ解放要素363の部分を横切るように配置されている。スプリング366は壁336に付勢するように設置され、ラチェット370を押圧し、トリガ解放要素363に向けてラチェット370を偏移させる。ラチェット370は、その中心領域に延出する円弧状の開口部373を有する。開口部373の周囲の少なくとも一部に沿ってラチェット歯374の列が延びている。本実施形態では、ラチェット歯374は、一方向への移動を可能にするように形成される。
【0063】
作動レバー342は、ラチェット370の開口部373内に突出する延長部を含む。このレバー延長部(図示せず)がラチェット歯374の一部に接触するように構成される。スプリング366がラチェット370を作動レバーピボット点333に向かって押圧するようにラチェット370に付勢したとき、レバー342上の延長部は、ラチェット370の歯374に係合する。ユーザは、グリップ344及び回転レバー342を近位方向に操作すると、作動レバー342の延長部分がラチェット歯374の僅かな急斜面に沿って移動する。ユーザがレバーグリップ344への力を解除すると、ラチェット歯374の急な後方斜面は、レバー342のレバー延長部がラチェット歯374に亘って逆方向に移動することを防ぐことができる。その結果、レバー延長部は、所定の位置にレバー342を保持し、作動位置にあるレバー開口部346の近位ピン348を捕捉することで所定の位置に留まる。レバーグリップ344への力を除去すると、レバー342が所定の位置に留まるとともに、端部エフェクタ16(
図1)が固定された位置に留まる。この構成により、ユーザは、端部エフェクタ6の開閉に影響を与えることなく、コントローラ12から手を放すことが可能となる。
【0064】
また、トリガ解除要素363は、ユーザによって開口部328内において前後自由にグリップ344をラチェット370と係合することなく移動可能とするべく、作動レバー342がピボット点333の周りで自由に回転可能となるように構成することができる。
【0065】
トリガ解除要素363の楕円形の軸受面364は、レバーピボット点333周りを回転可能に構成される。押下トリガ解除ボタン362は、楕円形の軸受面364をさらにハンドル318に対して内部方向に押すことができる。楕円形の軸受面364がラチェット370に接触するため、押下ボタン362は、ラチェット370を押圧し、ラチェット370をピボット点333周りで回転させることができる。ラチェット370が回転するとき、ラチェット370はスプリング366を圧縮する。ラチェット370がスプリング366を圧縮し、かつレバー342のグリップ部344に近づく方向に移動した場合には、レバー342上の延長部は、ラチェット開口部373の歯374に接触しなくなるとともに、トリガレバー342に固定されていた急ラチェット歯374の斜面からレバー342の延長部が解放される。従って、レバーグリップ344は、開口部328内の近位及び遠位方向に自由に回転可能となる。
【0066】
別の態様では、ユーザは、開口部330内の近位又は遠位方向にトリガ解放ボタン362を移動させることによってピボット点333を中心にトリガ解除要素363を回転させることができる。本発明のいくつかの態様において、ラチェット370を回転させるために、トリガ解放ボタン362を回転させることで、トリガ解除要素363の楕円形の軸受面364への接触を介してラチェット370に力を加える、又はラチェット370への力を解除することができる。これによって、ラチェット構成から自由移動構成に作動レバー342を移動可能となる。
【0067】
2つの開口部が
図7A〜
図9Cに示される実施形態に関して説明されているが、ハンドル18は、任意の数の開口部を含むように構成可能である。例えば、1つ、3つ、4つ、又はそれ以上の開口部を装置10上に配置することができる。加えて、本実施形態の開口部がハンドル18の二つの対向する側壁上に設けられる一方、開口部128,130はハンドル18の任意の面に設けられてもよい。例えば、一以上の開口部128,130は、ハンドル18の遠位壁、近位壁、頂面又は底面に設けられてもよい。
【0068】
また、開口部128,130は、上記実施形態に示されているサイズ及び形状に加えて、任意のサイズ又は形状であってもよい。また、開口部128,130は不規則な形状、長方形、正方形、円形、楕円形等であってもよく、さらに、コントロール要素40又は交換可能なインサート要素50のどちらかを受容するように構成された開口部128,130はコントローラ12上の任意の位置又は装置10の任意の位置に設けてもよい。
【0069】
装置10上の種々の要素の複数の構成は、ハンドル18について上述したものに限られず、例えば、装置10の別の部分は、コントロール要素40又はインサート要素50を受容するように構成された開口部128を含むことができる。コントローラ12のベース19、シャフト20、長尺状シャフト14、又は端部エフェクタ16は、例えば、交換可能にコントロール要素40又はインサート要素50のいずれかを受容するように構成された開口部128、130を含むことができる。
【0070】
上述したように、装置10は、電気的な安全性を強化するために構成されてもよい。一実施形態では、装置10は、迷走電流からユーザを保護するように構成されている。例えば、ハンドル18は、迷走電流が装置10に沿って移動し、ユーザにショックを与える可能性があるため、オープンエアギャップの数を最小にするように形成されてもよい。例えば、コントローラ12内の1つ以上の開口部は、コントロール要素40、例えば、作動トリガレバー及びトリガ解除ボタンの何れかを受容することができる、さもなければ上述したように、実質的に開口部を覆うように、インサート要素50に置き換えることができる。これにより、ユーザへの電気ショックの可能性を低減するためにコントローラ12内のエアギャップを最小化することができる。
【0071】
電気的安全性は、装置10内で非導電性材料を使用することによって高めることができる。例えば、ベース19の全て又は一部、シャフト20、又はハンドル18は非導電性材料で形成されてもよい。さらに、任意のハンドル開口部内に設置されたコントロール要素40又はインサート要素50は、非導電性材料で形成することができる。一実施形態では、コントローラ12を非導電性材料で形成することができる。種々の非導電性材料は、装置10又はその構成要素の動作及び構造要件に応じて使用することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ホット器具及びコールド器具は、同様に非導電性部品又は絶縁部品から形成されている。従って、静電結合により又は転送の他のいくつかの方法を介して、ホット器具との接触を介してコールド器具に電気エネルギーが誤って移動された場合、絶縁材はホット器具であるかのようにコールド器具を保護する。本発明の態様は、受動的な電気導体を使用するコールド器具のための保護の追加層を提供し、浮遊電圧や電流に関連するリスクを減らす。従って、能動的導電性及び受動的導電性装置の両方は、非導電性又は絶縁性材料で形成され、又は接地することができる。
【0073】
他の実施形態では、装置10の長尺状シャフト14における部分又は遠位端部エフェクタ16内の部分は、非導電性材料で形成することができる。例えば、装置10のシャフト14は、機器ステアリングを提供するように構成された複数の連接運動セグメントから形成することができる。これらのセグメントは、非導電性材料で形成することができる。また、遠位端部エフェクタ16は、非導電性材料から形成することができる。また、ケーブルガイド、ねじ、又は装置10に含まれる任意の他の機械部品は、さらに、装置10を通って移動する不要な電流、及び患者又は使用者の負傷を防止するために非導電性材料で形成することができる。
【0074】
他の実施形態では、非導電性材料で装置10のいくつかの部分を形成することは不可能又は望めない。代替的に、非導電性材料で導電部を絶縁することが可能である。例えば、ケーブル、ワイヤ、リボン、ロッド、又は装置10内の他の延出コントローラ部材を含み得る作動コントローラ部材は絶縁材料を含むことができる。コントローラ部材は、その全長又は、その長さの一部にわたって絶縁性を有していてもよい。又はコントローラ部材は、一部又はその全長を覆う絶縁体の複数の層を有していてもよい。
【0075】
例えば、
図7Bは、絶縁体256,258の2つの別々のセクションを備えるコントローラハンドル218内に収容されるコントローラ部材252を示している。絶縁体256は、ユーザに対して電気ショックを与える可能性を低減するために開口部232に隣接して配置することができる。絶縁体258は、ユーザと導電部材との間の直接的な接触によるショックの可能性を低減するためにハンドル218の近位領域を通って延出可能である。
【0076】
装置10の長尺状シャフト14の一部(
図1に示されている)は導電性材料を含む。例えば、長尺状シャフト14は、剛性近位セクション24及び可撓性遠位セクション26を含む。剛性近位シャフト部24は、非導電性材料及び導電性材料(例えば、ステンレス鋼)の何れかで形成される。剛性近位シャフト部24が導電性材料から形成される場合には、絶縁材料で覆われ、他の導電性部品から絶縁され又は接地される。可撓性遠位セクション26は、弾性的に様々なタイプの可撓性材料を含むことができる。
【0077】
特定の実施形態では、装置10の1つ以上の部品は、例えば、作動部材のような導電性要素を含んでいてもよい。
図7Bに示すように、コントローラ部材252は、ハンドル218の開口部228に挿入されたコントロール要素243に接続されてもよい。コントローラ部材252は、少なくとも部分的に導電性材料から形成することができる。例えば、コントローラ部材252は、例えばステンレス鋼である導電性材料で形成することができるコントロールケーブルを含むことができる。
【0078】
あるいは、コントローラ部材252は、非導電性材料から形成することができる。このような非導電性材料は、スチールケーブルとほぼ同様の引張強度及び弾性率などの特性を有することができる。コントローラ部材252を形成するのに適した他の非導電性材料は、例えば、超高分子量ポリエチレンなどの熱可塑性ポリエチレン、又はケブラーなどのポリアミドを含むことができる。
【0079】
導電性部品を含む装置10の実施形態では、導電性部品は、不要な電気は容易に装置10に沿ってコントローラ12内に移動せず、ユーザにショックを与えないように絶縁することができる。例えば、装置10は、編組メッシュ、連接運動セグメント、ロッド、又は装置10の長尺状シャフト14を支援及び案内するコントローラ部材のような導電性構造要素を含む。これらの構造要素は、互いに接触する、又はコントローラ部材のような装置10の長さに沿って延びている構成要素と接触する場合、それらは、自身に沿って流れるように不要な電気のための連続した経路を形成してもよい。従って、いくつかの実施形態では、不要な電流の流れを遮断するために、装置10に含まれる種々の導電性要素間のギャップの作成を試みることができる。
【0080】
例えば、導電性部品は、導電性表面を取り囲む部位との接触を最小限にするために研磨された表面を含む。一実施形態では、コントローラ部材の近位領域は、それがコントローラ12に入る位置において摩耗されてもよい。他の実施形態では、コントローラ部材の近位領域は、非導電性バッファ、シール、又はエンドキャップを含むことができる。さらに他の実施形態では、コントローラ部材の他の領域、又は編組メッシュ又は長尺状シャフト14における他の導電性部品は、研磨され、シールされ、又は装置10の長さに沿うコントロール要素又は他の部品に接触するのを防止するように絶縁される。装置10内の導電性部品を絶縁することで、装置10の長さ方向を通ってコントローラ部材又は他の導電部品に沿ってユーザに流れる不要な電気の防止を補助する。
【0081】
電動器具は、
図2に示すように、内視鏡システムと組み合わせて使用される。
図2において、二つの装置10,10´は、ユーザのために構成された中央空間3の側方に示される。装置10は、端部エフェクタ16又はシャフト14の遠位端に電気エネルギーを提供するように構成されたホット器具を含む。このホット器具は、その他の電気器具又はコールド器具とともに単独で使用することができる。コールド器具は1つ以上の導電性部材を含む。本明細書における導電性部材は、能動的又は受動的に伝導性を有する。これらの導電性部材は能動的に電気エネルギーを伝達するように設計されなくてもよいが、それらはホット器具又は他の電気エネルギー源に触れられた場合に伝導可能となる。
【0082】
従来の腹腔鏡システムは、単一のポートを介した複数の器具を導入することで、剛性の器具が一般的にその単一の入口で互いに交差する。この器具は、交わる点で互いに旋回するように隣接する器具間でX字形をなす関係にある。特定の実施形態では、全ての器具の一つ(ホット器具を含む)は、ガイドチューブ17内に1つ以上のチャンネルを介して挿入される。これらの器具は、少なくとも1フィート(約0.3m)の距離で長手方向に延びるようにガイドチューブ17の長さ方向において互いに平行に延出する。いくつかの実施形態では、ガイドチューブ17の可撓性領域は、1〜2フィートの長さであってもよく、長尺状シャフト14の可撓性遠位セクション26は、少なくとも2フィートの長さであってもよい。
【0083】
ホット器具及びコールド器具の近位側の近接部においては、両器具が近接して平行な関係にあるため、安全性の問題が存在する。
図10に示すように、ガイドチューブ717は、1つ以上のチャンネル611を含む。複数のチャンネル611は、互いの向きにおいて、発散、その逆に収束、又は平行する態様となり得る。装置710、710‘はチャンネル611に位置するとともに、互いに収束、発散又は平行な向きにおいてガイドチューブ717の遠位領域から延びてもよい。本発明の実施形態は、近位側で近接し、かつ平行となる器具の構成のための電気的安全性を向上させることができる。
【0084】
さらに、装置10の導電性部品は、患者、装置及びユーザから離れた共通の戻り経路を利用して不要な電流を供給するために接地される。絶縁体に代えて導電性部品又は絶縁不良が発生した場合における保護のためのエキストラ層を追加するための絶縁体が使用されて接地される。例えば、コントローラ部材の一部は、絶縁体で覆われ、かつ接地される。一実施形態では、コントローラベース19は、少なくとも一つの接地された導電性部材、例えば、器具又はユーザから離間するように不要な電流を供給するための絶縁導電性作動ケーブルを含むことができる。
【0085】
本発明の他の態様は、装置10又はシステム15内への血液、粘液、便、又は組織のような流体及び外部の物質の侵入を制限することにより電気的安全性を高めることができる。ユーザは内視鏡システムを湿潤環境、例えば手術部位へ挿入する必要がある。体液、生理食塩水、及び患者の組織は電気を伝導可能であるため、装置10又はガイドチューブ17からそれらへの電気伝導を防止することは、意図しない電圧の印加又は蓄積を排除することによって電気的安全性を高めることができる。従って、本発明の特定の実施形態は、液体の進入を阻止するように設計されている。これは、液体に対して不浸透性であるシール又は被覆材料の使用によって達成することができる。
【0086】
例えば、装置10内の作動又は連接運動ケーブル、ワイヤ、リボン、延出構造体、滑車、ギア(総称して、コントローラ部材)及びガイドチューブ17は、液体不浸透性材料で形成することができる。液体が装置10又はガイドチューブ17に入った場合は、コントローラ部材は、潜在的にユーザに電気ショックを与える可能性がある、コントローラ部材に沿ってかつコントローラ12中に流れる電流の防止を補助するために、流体と接触させない。さらに、コントローラ部材の中、又はその周辺の流体の蓄積は、連接運動及び駆動するための器具の能力を抑制するおそれがある。例えば、血液又は他の流体は、器具を詰まらせるように、かつその運動範囲を低減するようにコントローラ部材上に凝固することがある。
【0087】
一つの態様において、
図11A〜
図11C及び
図12A〜
図12Cに示すように、シール(密閉)されたボーデンケーブルは、流体が装置又はガイドチューブのコントロールケーブルに到達することを防ぐことを促すために使用される。例えば、ボーデンケーブルは、本発明において連接運動ケーブル及び作動ケーブルの少なくとも何れかとして使用される。ボーデンケーブルは、他の制御ワイヤ、ケーブル、又はコントローラ部材を囲むために使用することができる。従って、ボーデンケーブルは、それ自体で、又は他のコントローラ部材と組み合わせて使用することができる。ボーデンケーブルは、コントローラ12、長尺状シャフト14、端部エフェクタ16、ガイドチューブ17又は手術システム15における何れかにおいて使用することができる。
【0088】
図11A〜
図11Cにおいて、ボーデンケーブル1001上のシーラント1002は、流体が配線及び中央コントロールケーブル空間1003を介して吸収されることを防止するために、ボーデンケーブル1001のヘリカルワイヤ間の隙間に架設されている。シーラント1002は、ボーデンケーブル1001の内面又は外面に、又はボーデンケーブル100の端部をシールするために使用される。当業者は、種々のシーラント、例えばシリコーン、ウレタン、テフロン(登録商標)、又は他の適切なポリマー又は材料がボーデンケーブルを形成するために使用可能であることに想到できる。
【0089】
本発明の別の態様は、密封されたボーデンケーブルの製造に関する。一実施形態では、ボーデンケーブルが組み立てられ、次いで、低粘度の溶液を作成するために、低デュロメータ可撓性シーラント及び溶媒を混合することでシールされる。低粘度溶液はボーデンケーブルのワイヤ間におけるシーラントの十分な流れ及び堆積を可能にすることができる。シーラントがその自然な状態、すなわち延性状態に戻った時点で、この溶液がボーデンケーブルの外面に適応すること、及び溶液を蒸発させることができる。あるいは、溶液は、ボーデンケーブルの内面に、又は外面及び内面の両方に塗布されてもよい。この方法は、従来技術の方法よりも優れたシールを形成するべくボーデンケーブルワイヤ間のシーラントを拡散するためにシーラント溶液粘度の低い溶液媒体を使用する。この方法により、流体に対して不透過性のシールされたボーデンケーブルを形成することで、ワイヤ間の隙間を埋める可撓性フィルムが得られる。
【0090】
様々な異なるシーラント及び溶液は、上記の方法において使用するために適切である。例えば、シーラントは、シリコーン、ウレタン、又は他の適切なポリマーを含む。溶液は、例えば、メチルエチルケトン(MET)又はトルエンを含む。
【0091】
図12A〜
図12Cに示されている別の実施例では、シーラント1102は、流体がボーデンケーブル1101の中央コントロールケーブル空間1103に入ることを防ぐためにボーデンケーブル1101の内面に圧入される。あるいは、シーラント1102は、ボーデンケーブル1101の外面、又は外面及び内面の両方に適用することができる。多数の異なるシーラントは、圧入に適している。シーラントは、例えば、シリコーン押出成形、押出成形ウレタン、又は任意の適切なポリマー押出成形を含む。一実施形態では、器具の組み立て前に押出加工が行われる。
【0092】
別の実施形態では、1つ以上のライナーは、ボーデンケーブルの内面及び外面の少なくとも一方に使用することができる。当業者は、多数の異なる材料が、例えば、テフロンライナーとしての使用に適切であることを認識可能である。さらに別の実施形態では、グリース、例えば、シリコングリースは、ボーデンケーブルをシールするためにその外面又は内面に塗布することができる。
【0093】
別の実施形態では、コントローラ部材の周りの空間は、コントローラ部材の領域内への流体の進入を防ぐためにシールすることができる。
図13に示すように、中空のドーム状のシール1202は、コントローラ部材1201の周りにフィットさせることができる。コントローラ部材1201は、上記の方法に従って、ボーデンケーブル又は他のコントロールケーブルやワイヤ、絶縁又は非絶縁部材、又は密封、非密閉部材となり得る。
【0094】
ドームシール1202の幅広底はコントローラ部材1201が延出する壁1204を押圧可能である一方、ドームシール1202の狭い頂部はコントローラ部材1201を囲むことができる。ドームシール1202及びコントローラ部材1201間、ドームシール1202及び壁1204間の締まり嵌めは、コントローラ部材1201を収容する内側シール空間1205から入る液体を少なくとも部分的に遮断することができる。中空のドーム形状は、ドームシール1202がユーザの入力に応答してコントローラ部材1201における適切な張力を実現するためにコントローラ部材1201に張力が掛けられて弾性変形可能となるように、コントローラ部材1201及び壁1204間に内側シール空間1205を形成することができる。この構成は、コントローラ部材1201が連接運動又は作動中に自由に移動することを可能にする。一実施形態では、ドームシール1202の幅広底は、コントローラ部材1201の遠位端を通じて、
図13に示されるように、遠位端部エフェクタ1216の内壁1204に密閉的にフィット可能である。これにより、装置10内へのアクセスを得ること、及び部材2101を通じて内側シール空間1205から遠位端部エフェクタ1216に入力し得る流体を防止することができる。
【0095】
多くの材料は、ドーム状のシール1202を形成する際に使用するのに適切である。例えば、ドームシール1202は、ウレタン、シリコーン、又は任意の他の低デュロメータ材料を含む。
【0096】
また、
図13のような内部空間を提供する他の形状は、本発明に従ったシールを形成するために使用することができる。例えば、中空の正方形、長方形、三角形、球形、又は円錐状のシールを使用することができる。
【0097】
本明細書に記載の医療装置の様々な部品は、例えば、体内で湾曲した解剖学的構造を横断するように、適切な生体適合性材料及び可撓性材料で形成することができる。任意の実施形態に記載の任意の態様は、本明細書に記載された任意の他の実施形態で使用することができる。本明細書に記載されたすべての装置は、任意の適切な医療処置で使用することができ、任意の好適な身体の内腔、体腔を通って前進することができ、そして、可視取得、治療、又は任意の適切な身体部分から組織を除去するために使用されてもよい。
【0098】
様々な修正及び変更例が本発明の範囲から逸脱することなく、開示されたシステム及びプロセスになされ得ることは、当業者にとって明らかである。本発明に係る他の実施形態は、ここに開示される明細書及び本発明の実施を考慮することは当業者にとって明らかである。