特許第6258346号(P6258346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258346
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】流体流路を通る流体流れの選択的制御
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20171227BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   A61M5/168 506
   A61M5/168 504
   A61M5/168 540
   A61M5/172 500
【請求項の数】4
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-545174(P2015-545174)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-504072(P2016-504072A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2013071891
(87)【国際公開番号】WO2014085395
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】61/731,469
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エム.プリンス
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター ジェイ.ボチェンコ
(72)【発明者】
【氏名】ウィンスロップ デ チルダース
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−066004(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0060874(US,A1)
【文献】 特開平05−317421(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/126744(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0069743(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14− 5/172
A61M 39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ポートを備えたシステムであって、
該流体ポートが、
流体チャネルと、
手動投与可能な流体供給源の出口に連結するように構成された、前記流体チャネルの第1の端部にある流体入口と、
流体を、前記手動投与可能な流体供給源から前記流体を患者に提供する流体流路に送達するように構成された、前記流体チャネルの第2の端部にある流体出口と、
前記手動投与可能な流体供給源からの前記流体の少なくとも1つの属性を判定するように構成された少なくとも1つのセンサであって、前記流体入口の下流側の前記流体であって前記流体流路を通る流体流れが抑止された後、依然として前記流体チャネル内にある前記流体の、抜き取られた下流側流体体積を自動的に測定するように構成されている少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサと通信し、少なくとも1つのルールによって指定された少なくとも1つの条件に整合する前記判定された少なくとも1つの属性に応答して、少なくとも1つの動作変更信号を生成する制御装置と、
前記動作変更信号を少なくとも1つの装置にワイヤレスで送信し、前記動作変更信号は前記少なくとも1つの装置によって受信された場合、前記少なくとも1つの装置に少なくとも1つの動作パラメータを変更させる送信機と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの装置は、流量制御弁を備え、前記動作変更信号は、前記流量制御弁を通る流体の流体流れ制限のレベルを変更させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの装置は、医療装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記医療装置は、前記流体流路を通る流体流れが制限されるようにすることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された主題は、流体流路を通る患者への流体流れを制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に輸液が必要な入院、外来、在宅ケア、救急医療サービス(EMS)を含むいくつかの患者の臨床状況がある。標準的な臨床の最良の実践は、患者に送達されることが意図される流体に標識を付けて、誤りの可能性を低減することである。しかし、特定の患者に対する流体の適合性の間違い、不正確な用量測定、不適切な投薬のシーケンス、標識付け情報の不正確な伝達、およびその他の要因が、安全な患者のケアを提供する際に克服すべき主な障害となり続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0112473号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0111794号
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0112474号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に説明されたシステム、装置、方法、および品目は患者の輸液の誤りを防止および/または緩和するための機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、流体ポート、少なくとも1つのセンサ、流量制御装置、および流量制御弁を含むシステムが提供される。流体ポートは、流体チャネル、手動投与可能な流体供給源の出口に連結するように構成された流体チャネルの第1の端部にある流体入口、および手動投与可能な流体供給源から患者に提供する流体流路に流体を送達するように構成された流体チャネルの第2の端部にある流体出口を含むことができる。少なくとも1つのセンサが、手動投与可能な流体供給源からの流体の少なくとも1つの属性を特徴づける。流量制御装置は、少なくとも1つのセンサと通信し、少なくとも1つのルールによって指定された少なくとも1つの条件に整合する、特徴づけられた少なくとも1つの属性に応答して少なくとも1つの流れ変更信号を生成する。流量制御弁は、流量制御装置と通信し、流体ポートから分離した別個の位置に流体流路に沿って配置される。流量制御弁は、それを通る手動投与可能な流体供給源からの流体の流れ制限のレベルを少なくとも1つの流れ変更信号を受信することに応答して変更する。
【0006】
少なくとも1つのセンサは、(i)手動投与可能な流体供給源が流体入口に連結されている場合、(ii)手動投与可能な流体供給源が流体入口に連結された場合、および/または(iii)流体が流体チャネルを通過している場合、手動投与可能な流体供給源からの流体の少なくとも1つの属性を特徴づけることができる。
【0007】
少なくとも1つのセンサは、流体ポートと一体であり、または流体ポートに連結され得る。その他の変形形態では、少なくとも1つのセンサは、流体ポートから分離し、別個になっていることができる。さらに、流体流路に沿った異なる点にある流量制御弁は、いくつかの変形形態で実施され得る。さらに、流量制御弁は、流体ポートから下流側および/または流体ポートから上流側の流体流路にあることができる。
【0008】
流量制御弁を通過する手動投与可能な流体供給源からの流体の流れ制限のレベルを変更することは、(i)すべての流体が流量制御弁を通過するのを抑止すること、および/または(ii)流量制御弁を通過する流体の現在の流量をより高いまたはより低い流量に調整することを含むことができる。
【0009】
流量制御装置は、(実施されるソフトウェアおよび/またはハードウェアであることができる)ルールエンジンを含み、または(たとえば、コンピュータネットワーク、ワイヤレスネットワークなどを介して)ルールエンジンと通信することができる。そのようなルールエンジンは、複数のルールを使用して、少なくとも1つの属性が少なくとも1つのルールによって指定された少なくとも1つの条件に整合するかどうかを判定することができる。流量制御装置は、いくつかの変形形態では、少なくとも1つの遠隔データソースをポーリングして、ルールの少なくとも一部分を取得することができる。ルールエンジンは、ルールを適用する場合、少なくとも1つの条件に整合があるかどうかを判定するために、(i)少なくとも1つの属性、(ii)手動で入力されたユーザ入力、および(iii)流体情報、患者固有の情報、医療オーダ情報、診療ガイドライン情報、環境要因、流量制御弁ステータス、および履歴情報からなる群から選択された流れ制御入力データを使用することができる。
【0010】
流体ポートは、データを流量制御装置に送信し、流量制御装置から受信するためのワイヤレス送受信機を含むことができ、流量制御装置は、データを流体ポートに送信し、流体ポートから受信するワイヤレス送受信機をさらに備える。さらに、流量制御装置は、流量制御弁の状態を特徴づける流体ポート以外の外部の装置にデータを送信することができる。
【0011】
手動投与可能な流体供給源の出口は、その上にエンコードされた流体供給源情報を含むことができる。そのような場合、少なくとも1つのセンサは、手動投与可能な流体供給源が流体ポート入口に連結されている、または連結された場合、手動投与可能な流体供給源情報を検出する識別センサを含むことができる。流体供給源情報は、手動投与可能な流体供給源内に含まれた流体の特性である二次データセットを参照するために使用されるコードまたは識別子であることができる。二次データセットは、(任意選択で流体ポートの一部分を形成することができる)メモリに格納され得る。二次データセットは、通信ネットワークを介して流量制御装置に連結された遠隔データソースに格納され得る。遠隔データソースは、医療装置および/または医療情報システムの一部分を形成することができる。少なくとも1つの流れ変更信号が、検出された流体供給源情報を処理するルールエンジンを使用して生成され得る。
【0012】
少なくとも1つのセンサは、流体の組成を特徴づける流体組成センサであることができる。流体組成センサは、流体入口と流体出口の間の流体チャネルに沿って配置され得る。少なくとも1つの属性が、チャネルを通って流れる流体内にある少なくとも1つの構成成分を示すことができる。少なくとも1つの流れ変更信号が、第2の感知された流体組成情報の結果を処理するルールエンジンを使用して生成され得る。
【0013】
手動投与可能な流体供給源からの内容物は、手動投与可能な流体供給源が流体入口内に流体の送達を開始した後、少なくとも時間T1の間は患者に到達しない。この構成に対応するために、流量制御装置および流量制御弁は手動投与可能な流体供給源が流体入口内に流体送達を開始した後、時間T2<T1以内に流体流路内の流れを制限するように構成され得る。
【0014】
システムの一部分を形成する様々な要素は、ワイヤレス送信機、受信機、および/または送受信機を有することができる。ワイヤレス送信機が提供されて、少なくとも1つのセンサから流量制御装置にデータを送信することができる。ワイヤレス送受信機が流量制御装置に連結されて、流量制御弁の動作に関係するデータを受信および送信することができる。ワイヤレス受信機は、流量制御装置から流れ変更信号を受信するために、流量制御弁に連結され得る。ワイヤレス送信機が流量制御弁に連結されて、流量制御装置から少なくとも1つの流れ変更信号を受信することに応答して、流量制御弁を通過する流体に適用されている流体流れ制限のレベルの変更を示す情報を流量制御装置に送ることができる。
【0015】
少なくとも1つのセンサは、識別センサ、流量センサ、および組成センサを含む任意の多様なセンサであることができる。
【0016】
流体は投薬であることができ、少なくとも1つの属性は、1または複数の、投薬のタイプ、投薬の濃度、投薬体積、投薬有効期限日、投薬の剤形、投薬に関する用量指示、特定の患者に関する投与指示、投薬調合、投薬製造業者情報、投薬のリパッケージャ、投薬の販売代理店、投薬包装形態、投薬包装寸法、投薬包装シリアル番号、投薬ロット番号、血液型、標準医薬品用語集(RxNorm)識別コード、NCDコード(全米医薬品コード)、対応する投薬製品を識別するNDCコードのセグメント、対応する投薬包装を識別するNDCコードのセグメント、一意の識別子コード、人間が可読な英数字文字列、および機械可読コードを特徴づけることができる。
【0017】
少なくとも1つの流れ変更信号は、ユーザの介入なしで流量制御装置によって自動的に開始され、実行され得る。少なくとも1つの流れ変更信号は、手動投与可能な流体供給源の出口を流体入口に連結した結果として、および/または流体入口への流体流れの開始を感知した結果として流量制御装置によって自動的に開始され、実行され得る。
【0018】
手動投与可能な流体供給源内に含まれる少なくとも1つの属性および/または流体を特徴づけるユーザに聴覚的および/または視覚的なフィートバックを提供するインターフェース(たとえばディスプレイ、GUIなど)が含まれ得る。インターフェースは、流量制御弁の状態のユーザへの指示を提供することができる。インターフェースは、ユーザが、流量制御装置によって使用される情報を、少なくとも1つのセンサからの情報と組み合わせて入力することを可能にして、少なくとも1つの流れ変更信号を生成するかどうかを判定することができる。流体が投薬である場合、インターフェースは、投薬と関連付けられた投与情報および/または投与指示を表示することができる。そのような投与情報および/または投与指示は、システムの一部を形成するメモリ内に格納され得る。通信モジュールが提供されて、遠隔データソースに、または遠隔データソースから投与情報および/または投与指示を送信および/または受信することができる。インターフェースは、流体ポートに隣接し、または流体ポートから遠隔にあることができる。インターフェースは、流量、組成などの流体流れの様々な態様に関する情報を表示することができる。
【0019】
ユーザによって作動された場合、流量制御装置に、流量制御弁に第1の状態では流体流れを抑止させ、または第2の状態では流体が流れることを可能にさせる、手動のオーバーライド要素が提供され得る。
【0020】
通信モジュールが提供されて、流れ制御入力データ、ルールエンジン出力データ、および/または流体供給源を特徴づけるデータを遠隔データ処理システムへ、または遠隔データ処理システムから送信および/または受信することができる。
【0021】
複数の流体入口があり、それぞれが複数の手動投与可能な流体供給源のうちの1つの出口に連結するように構成され得る。流量制御装置に連結されて、複数の流体入口のうちの少なくとも1つから流体が流れるのを選択的に防止する対応する数の流量制御弁があり得る。
【0022】
流量制御装置は、特に患者に関係するデータを受信することができ、そのデータは、少なくとも1つのセンサからの情報および/またはユーザによって手動で入力された情報と組み合わせて使用されて、少なくとも1つの流れ変更信号を生成するかどうかを判定することができる。患者に関係するデータは、少なくとも1つの投薬オーダを含むことができる。少なくとも1つの投薬オーダが使用されて、手動投与可能な流体供給源内の流体が少なくとも1つの投薬オーダによって指定された少なくとも1つのルールによって指定された少なくとも1つの条件に整合するかどうかを確認することができる。患者を特徴づけるデータは、患者識別子を含むことができ、流量制御装置は、患者識別子を使用して少なくとも1つの遠隔データ格納部をポーリングして、少なくとも1つの流れ変更信号を生成するかどうかを判定するための参照情報を得ることができる。
【0023】
少なくとも1つのセンサは、流体流量センサであることができる。流体流量センサによって感知された流体流れ情報は、流体流量センサによって測定された第1の所定の体積が送達された場合、流量制御装置に第1の流れ変更信号を生成させて、流量制御弁に第1の状態に移行させることができ、所定の期間の後に、流量制御装置に第2の流れ変更信号を生成させて、流量制御弁に第1の状態とは異なる第2の状態に移行させる。
【0024】
少なくとも1つのセンサは、光学センサ、磁気センサ、機械センサ、電導センサ、スイッチ式センサ、赤外線センサ、スイッチ式RFIDセンサ、および近接センサを含む群から選択された1または複数の技術を使用して少なくとも1つの属性を生成する識別センサであることができる。
【0025】
少なくとも1つのセンサは、光分析、電気分析、クロマトグラフィ、質量分析、物性測定、または技術の組合せに基づいたパラメトリック分析を含む群から選択された1または複数の技術を使用して少なくとも1つの属性を生成する組成センサであることができる。
【0026】
少なくとも1つのセンサは、パドルホイール流量計、タービン流量計、熱式流量計、超音波流量計、圧力センサ、差圧センサ、光学センサ、超音波センサ、コリオリ流量計、変位センサを含む群から選択された1または複数の技術を使用した少なくとも1つの属性を生成する流体流量センサであることができる。
【0027】
システムのいくつかまたはすべては、ハウジングによって内包され得る。ハウジングは、異なる形状および寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、ハウジングは、流体入口、流体出口、流量制御装置、および少なくとも1つのセンサのそれぞれの少なくとも一部分を囲む。ハウジングは、ユーザが第1の手でハウジングをつかみ、一方、第2の手で手動投与可能な流体供給源を連結することを可能にする形状および寸法を有することができる。自立型電源がハウジング内に提供されて、少なくとも1つのセンサおよび/またはその他の構成要素に電源供給することができる。流体流路は、静脈内(IV)流体ラインであることができ、ハウジングはIV流体ラインに留められ得る。
【0028】
ハウジングは、再利用可能サブハウジングおよび使い捨て可能サブハウジングを含むことができる。再利用可能サブハウジングは、使い捨て可能サブハウジングに動作式に連結され得、再利用可能サブハウジングは、複数の患者による使用のために意図され、使い捨て可能サブハウジングは、単一の患者による使用のために意図されている。いくつかの変形形態では、少なくとも流体入口、流体出口、および流れチャネルが使い捨て可能サブハウジングによって内包され得る。使い捨て可能サブハウジングは、使い捨て可能サブハウジングを囲む滅菌パウチに含まれ得る。メモリが、流量制御装置によって使用されるデータを格納するために使い捨て可能サブハウジング内に配置され、少なくとも1つの流れ変更信号を生成するかどうかを判定することができる。
【0029】
手動投与可能な流体供給源は、任意の多様な投薬容器/送達機構のものであることができる。例は、限定はされないが、シリンジ、IVバッグ、使い捨て可能投薬カートリッジ、使い捨て可能投薬パウチ、およびIV配管を含む。
【0030】
相互に関連する態様では、システムは、流体ポート、少なくとも1つのセンサ、制御装置、および送信機を含む。流体ポートは、流体チャネルと、手動投与可能な流体供給源の出口を連結するように構成された、流体チャネルの第1の端部にある流体入口と、手動投与可能な流体供給源から患者に提供する流体流路に流体を送達するように構成された、流体チャネルの第2の端部にある流体出口とを含む。少なくとも1つのセンサは、手動投与可能な流体供給源からの流体の少なくとも1つの属性を特徴づける。制御装置は、少なくとも1つのセンサと通信し、それは、少なくとも1つのルールによって指定された少なくとも1つの条件に整合する、特徴づけられた少なくとも1つの属性に応答して少なくとも1つの動作変更信号を生成する。送信機は、動作変更信号を少なくとも1つの装置にワイヤレスで送信し、それによって、動作変更信号が少なくとも1つの装置によって受信された場合、少なくとも1つの装置に少なくとも1つの動作パラメータを変更させる。この変形形態では、流量制御装置以外の異なるタイプの装置を使用することができる(しかし、動作変更信号は流量制御装置に流体流れに関係するいくつかのパラメータを変更させる役割も果たすことができる)。たとえば、流体流路と連係する医療装置は、流体流路内の流体流れが調整され、および/または医療装置のその他の非流体流れ動作パラメータが変更され得るようにすることができる。
【0031】
別の変形形態では、異なるタイプの外部の装置(たとえば輸注ポンプ、シリンジポンプなど)が流量制御装置から動作変更信号を受信し、適切な動作を行うことができる。たとえば、流体流路と連係する医療装置は、動作変更信号に応答して流体流路内の流体流れが抑止されるようにすることができる。あるいは、警告の表示または流量のロギングなどの医療装置のその他の非流体流れ動作パラメータは、動作変更信号の受信に基づいて変更され(すなわち作用され)得る。
【0032】
さらに相互に関連する態様では、手動投与可能な流体供給源内の流体の少なくとも1つの属性を特徴づける流体ポートの少なくとも1つのセンサによって生成されたデータが受信される。流体ポートは、流体チャネル、手動投与可能な流体供給源の出口に連結するように構成された流体チャネルの入口の第1の端部にある流体入口、手動投与可能な流体供給源から患者に提供する流体流路に流体を送達するように構成された流体チャネルの第2の端部にある流体出口、および少なくとも1つのセンサを含む。その後、受信されたデータ内の少なくとも1つの属性が少なくとも1つのルールによって指定された少なくとも1つの条件に整合することが判定され得る。それに応答して、少なくとも1つの流れ変更信号が生成される。少なくとも1つの流れ変更信号は、流量制御弁によって受信された場合、流量制御弁に、流量制御弁を通過している流体に適用されている流体の流れ制限のレベルを変更させる。
【0033】
別の態様では、装置は、流体入口、流体出口、流量制御弁、識別センサ、および流量制御装置を含む。流体入口は、流体供給源情報をエンコードされた手動投与可能な流体供給源の出口に連結されるように構成される。流体出口は、手動投与可能な流体供給源から患者につながる流体ライン(流路)に流体を送達するように構成される。流量制御弁は、流体入口と流体出口の間に配置され、第1の状態では流体流れを防止し、第2の状態では流体流れを可能にする。識別センサは、手動投与可能な流体供給源が流体入口に連結されている、または連結された場合、流体供給源情報を検出するように配置される。流量制御装置は、選択的に流量制御弁に識別センサによって検出された流体供給源情報に基づいて第1の状態と第2の状態との間で移行させる。
【0034】
流量制御装置は、複数のルールを使用して、流量制御弁の現在の状態をその他の状態に移行するかどうかを判定することができる。いくつかまたはすべてのルールは、流量制御装置によってポーリングされた遠隔データソースから得ることができる。ルールエンジン(すなわちルールを適用するためのソフトウェアおよび/またはハードウェアなど)が、流体供給源情報、流れ制御入力データ、および1または複数の患者の属性および彼らの履歴、臨床状況、環境要因、臨床の最良の実践などを考慮に入れることができる。ルールエンジンは、(たとえば装置のインターフェースを介する、または遠隔コンピュータシステム/インターフェースを介するなど)ユーザ入力済仕様、患者固有データ、および/または投薬固有データのうちの1または複数に従って構成可能およびプログラム可能であることができる。
【0035】
流体組成センサがさらに組み込まれて、手動投与可能な流体供給源が流体入口に連結された場合、流体の組成を特徴づけることができる。いくつかの場合には、識別センサの代わりに流体組成センサが使用され得、一方その他の実施形態では、それは識別センサと組み合わせて使用される。いずれの構成でも、流量制御装置は、さらに選択的に流量制御弁に、流体組成センサによって検出された流体組成に基づいて第1の状態と第2の状態の間で移行させることができる。
【0036】
流量制御装置は、識別センサによって検出された流体供給源情報を特徴づけるデータを、流量制御弁の現在の状態を変更するかどうかを示す信号を送る遠隔のルールエンジンに送信することができる。流体供給源情報は、その中に含まれる流体(たとえば投薬など)の特性を示すことができ、標準医薬品用語集(RxNorm)識別コード、NCDコード(全米医薬品コード)、投薬製品を識別するNDCコードのセグメント、薬物包装を識別するNDCコードのセグメント、一意の識別子コード、人間が可読な英数字文字列、機械可読コード、投薬の名称、投薬の製造業者、投薬のリパッケージャ、投薬の販売代理店、投薬の強さ、投薬の剤形、投薬に関する用量指示、特定の患者に関する投与指示、投薬調合、投薬包装形態、投薬包装寸法、投薬が含まれる体積、投薬包装シリアル番号、投薬ロット番号、および投薬失効期限、流体のタイプ、および血液型のうちの1または複数を含むことができる。流体供給源情報は、その中に含まれる流体の特性である二次データセットを参照(ルックアップテーブル、データベースオブジェクト、URLなどへの参照)するために使用されるコードまたは識別子を含むことができる。装置は、ローカルで二次データセットを格納するメモリを含むことができ、および/または遠隔データ格納部が二次データセットを格納する流量制御装置に連結され得る。遠隔データ格納部は、医療装置または医療情報システムの一部分を形成することができる。
【0037】
状態間の移行は、ユーザの介入なしに流量制御装置によって自動的に開始および実行され得る。状態間の移行は、流体供給源出口を流体入口に連結した結果として、流量制御装置によって自動的に開始および実行され得る。
【0038】
インターフェースが、流体供給源情報、輸液の体積、ルールエンジン情報、および/またはルールエンジン出力のうちの1または複数を特徴づける、ユーザへの聴覚的および/または視覚的なフィードバックを提供するために含まれ得る。インターフェースは、流量制御弁が第1の状態にある場合のユーザへの指示、流量制御弁の状態の移行を生じるルールエンジンによって使用される1または複数のルールのユーザへの指示、および/または流量制御弁の状態の移行のないユーザへの指示を提供することができる。インターフェースは、流体入口に隣接することができ、および/またはそれは(たとえば流量制御装置にワイヤレスで連結された表示モニタなど)流体入口から遠隔にあることができる。
【0039】
インターフェースは、流体と関連付けられた投薬投与情報を表示することができる。そのような投薬投与情報は、ローカルメモリに格納され得る。通信モジュールが、遠隔データソースに、または遠隔データソースから投薬投与情報を送信および/または受信するために含まれ得る。インターフェースは、流体入口に隣接し、または流体入口から遠隔にあることができる。
【0040】
手動のオーバーライド要素は、ユーザによって作動された場合、流量制御装置を、流量制御弁に第1の状態から第2の状態に移行させることができる。
【0041】
通信モジュールが、流れ制御入力データ、流体供給源、ルールまたはルールの一部分、および/または患者のうちの1または複数を特徴づけるデータを遠隔データソースへ、またはその遠隔データソースから、送信および/または受信するために含まれ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、それぞれが流体供給源情報をその上に有する複数の手動投与可能な流体供給源のうちの1つの出口に、それぞれが連結されるように構成された複数の流体入口があり得る。これらの構成では、それぞれが流量制御装置に連結されて、複数の流体入口のうちの少なくとも1つに流体が流れるのを選択的に防止する複数の流量制御弁があり得る。
【0043】
流量制御弁は、流体供給源情報を使用することによって流量制御弁を第2の状態に移行することが判定されるまで、第1の状態に維持され得る。流量制御弁は、流体供給源情報を使用することによって流量制御弁を第1の状態に移行することが判定されるまで、第2の状態に維持され得る。流量制御装置は、流体流れ供給源情報と組み合わせて使用される患者を特徴づけるデータを受信し、流量制御弁の現在の状態を移行させるかどうか判定することができる。患者を特徴づけるデータは、たとえば、流体供給源内の流体が少なくとも1つの投薬オーダによって指定された1または複数のパラメータに整合するかどうかを確認するのに使用される投薬オーダを含むことができる。患者を特徴づけるデータは、流量制御装置が使用する患者識別子を含み、患者識別子を使用して少なくとも1つの遠隔データ格納部をポーリングして、流量制御装置のための参照情報を得て、流量制御弁の現在の状態を移行させるかどうかを判定することができる。
【0044】
どれほどの量の流体が流体供給源から流体入口に送達されたかを測定する流体流量センサが利用され得る。流量制御装置は、流体流量センサによって測定された所定の体積が送達された場合、流量制御弁を第2の状態から第1の状態に移行させることができる。インターフェースが、流体流量センサによって測定されたどれほどの量の流体が送達されたかを示す聴覚的および/または視覚的なフィードバックを提供することができる。流量制御装置は、流体流量センサによって測定された第1の所定の体積が送達された場合、流量制御弁を第2の状態から第1の状態に移行させることができ、所定の期間の後、流量制御弁を第1の状態から第2の状態に移行させることができる。ルールは、流体情報、患者固有の情報、医療オーダ情報、診療ガイドライン情報、禁忌、時間を含む環境要因情報、流量制御弁ステータス、および履歴情報などの流れ制御入力データ情報を利用することができる。
【0045】
識別センサは、光学センサ、磁気センサ、機械センサ、電導センサ、スイッチ式センサ、赤外線センサ、スイッチ式RFIDセンサ、および近接センサを含む群から選択された1または複数の技術を使用して流体供給源情報を検出することができる。いくつかの場合には、識別センサは、手動で注入可能な(以下、手動注入可能)投薬容器の先端/出口にエンコードされた識別子を検出する光学素子を含むことができる。
【0046】
ハウジングが、流体入口、流体出口、流量制御弁、識別センサ、および流量制御装置のそれぞれの少なくとも一部分を囲むことができる。そのようなハウジングは、ユーザが第1の手でハウジングをつかみ、一方、第2の手で手動注入可能投薬容器を作動させることを可能にするコンパクトな形状/寸法を有することができる。ハウジングは、自立型電源もハウジング内に含むことができ、流量制御弁、識別センサ、および流量制御装置に電源供給し、流体ラインは静脈内(IV)流体ラインであることができる。コンパクトなハウジングは、たとえば、IV流体ラインから留められ得る。
【0047】
ハウジングは再利用可能サブハウジングおよび使い捨て可能サブハウジングに細分され得る。再利用可能サブハウジングは、使い捨て可能サブハウジングに動作式に連結され、再利用可能サブハウジングは、複数の患者による使用のために意図され、使い捨て可能サブハウジングは、単一の患者による使用のために意図される。使い捨て可能サブハウジングは、少なくとも流体入口、流体出口、流れチャネル、および流量制御弁を含むことができる。使い捨て可能サブハウジングは、使い捨て可能サブハウジングを囲む滅菌パウチを含むキットの一部分であることができる。使い捨て可能サブハウジングは、流れ抑止構成情報、流量センサ、較正情報、および/またはシリアル番号もしくは一意の識別番号を含むことができる、データを記憶するためのメモリを含むことができる。
【0048】
相互に関連する態様では、手動投与可能な流体供給源の流体供給源情報は、流体送達装置の識別センサによって検出される。その後、検出された流体供給源情報を使用して、流量制御弁の現在の状態をその他の状態に移行させるかどうかが判定される。次いで、流体送達装置の流量制御装置は、流量制御弁がその他の状態に移行すべきであると判定された場合、流量制御弁をその他の状態(たとえば開いたまたは閉じられた)に移行させる。そうでなければ、流量制御弁がその他の状態に移行すべきでないと判定された場合、流量制御弁の現在の状態が維持される。
【0049】
別の変形形態では、自立型流体流路が、手動で投与された投薬を受け取るための流体入口、手動で投与された投薬を患者につながる配管セグメントに送達するための流体出口、投薬の注入の1または複数の態様を感知する1または複数のセンサ、およびセンサ情報を外部の電子機器にワイヤレスで通信する電子機器を含む。1または複数のセンサは、流体供給源識別読取り装置、組成センサ、および流体流量センサのうちの1または複数を含むことができる。自立型流体ポートは、1個の一体に収容されたユニットであってもよく、またはそれは電子機器部分および流体部分を含むことができる。電子機器部分は、電子機器を含み、読取り装置などのセンサを含んでいてもよい。流体部分は、また流体流量センサを含んでいてもよい。
【0050】
別の変形形態では、流体流れアレスタ(流量制御弁)が、自立型流体注入ポート、および/または流体識別センサおよび/または流体組成センサから物理的に分離され得る。流体流れアレスタは、流体注入ポートの上流側または下流側に配置され得る。流体流れアレスタは、輸注ポンプのような外部の装置内にあることができる。流量制御装置および/またはルールエンジンが含まれて、流体流れアレスタの適切な状態(開いたまたは閉じられた)を判定することができる。流量制御弁は、流体識別センサおよび/または流体組成センサによって提供された情報に基づいた、流量制御装置および/またはルールエンジンからのコマンドに応答することができる。流量制御弁は、流量制御装置にワイヤレスで接続され、または有線接続され得る。流量制御弁は、二進法の様式で(開いたまたは閉じられた)流量を制御することができ、またはそれは流れを抑制し、流量を特定のレベルに制限することができる。流量制御装置および/またはルールエンジンは、システムの外部にあり、かつ/あるいはいくつかのシステム要素全体にわたって分散され得る。分散された場合、論理がシステム全体にわたってカスケードすることができる(たとえば外部ルールが適合し、かつ内部ルールが適合すると、トリガ流れ制御コマンドが作動される)。流量制御弁は、自立型電源によって電源供給され、または外部電源に接続され得る。流量制御弁は、ワンタイム作動式の装置(以下、ワンタイム作動装置)であり得、または繰返し作動を可能にするリセット可能なものであることができる。流量制御装置コマンド信号は、任意の適切なコマンドが流量制御弁を作動させることができるように、オープンソースとして発行され得る。
【0051】
別の変形形態では、流量制御弁は患者を不適切な流体投与指示から保護するためのシステムの一部であることができる。システムは、既知の体積および流量を伴う流体流れ経路を含むことができる。既知の体積の流体が、流れのある流体流路に注入された場合、注入された流体が患者に到達する時間が計算され得る。流量制御弁は、不適切な流体が患者に到達し得る前に作動され得る。流体抑止の安全性確認が、患者の介護者に提供され得る。さらに、注入ポートから下流側の流体体積は、上流側の流体流路が閉鎖された(締め付けられた)状態で、シリンジ内に流体を抜き取ることによって測定され得る(注入ポートに接続された空のシリンジを引き、流体をシリンジ内に抜き取る)。抜き取られた下流側の流体体積がシリンジの目盛の点検によって手動で測定され、または注入ポート装置内の流体体積測定センサによって自動的に測定され得る。測定された下流側の体積は、ルールエンジンに通信され、格納され得る。次いで、下流側の体積は、流量制御装置への入力として使用され得る。
【0052】
別の変形形態では、流体流れアレスタは、使い捨て可能サブセクションと再利用可能サブセクションの間に含まれおよび/または分散され得る。これらのサブセクションの間のインターフェースは、電気式、磁気式、機械式、流体式、光学式、静電容量式であることができる。使い捨て可能サブセクションは、流量制御弁のみを含むことができ、再利用可能サブセクションはすべてのその他の構成要素を含むことができる。あるいは、使い捨て可能サブセクションは、流量制御弁、電源、ワイヤレスまたは有線式通信、および流体経路を含むすべての構成要素を含むことができる。1つの変形形態では、使い捨て可能サブセクションは、流体と接触された流体流れアレスタの部分を含み、再利用可能サブセクションは、再利用可能サブセクションを交換する費用を最低限に抑えるために、流体に接触しない流体流れアレスタの部分を含む。
【0053】
1または複数のコンピューティングシステムの少なくとも1つのデータプロセッサによって実行された場合、少なくとも1つのデータプロセッサに本明細書の動作を行わせる指示を格納する非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品も説明される。同様に、1または複数のデータプロセッサおよび1または複数のデータプロセッサに連結されたメモリを含むことができるコンピュータシステムも説明される。メモリは、少なくとも1つのプロセッサに本明細書に説明された動作のうちの1または複数を行わせる指示を一時的にまたは永続的に格納することができる。さらに、方法が、単一のコンピューティングシステム内の、または2つ以上のコンピューティングシステムの間に分散された、1または複数のデータプロセッサによって実施され得る。たとえば、ルールエンジンは、ソフトウェアベース、またはソフトウェアベースとハードウェアベースの組合せであることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部分を構成する添付の図面は、本明細書に開示される主題のいくつかの態様を示し、説明と共に開示された実施形態と関連付けられた原理の一部を説明するのを助ける。
【0055】
図1】流体送達流路内の流れを制御するためのシステムを示す図である。
図2A】1または複数の流量制御弁およびセンサを有する流体送達流路の代替構成を示す図である。
図2B】1または複数の流量制御弁およびセンサを有する流体送達流路の代替構成を示す図である。
図2C】1または複数の流量制御弁およびセンサを有する流体送達流路の代替構成を示す図である。
図2D】1または複数の流量制御弁およびセンサを有する流体送達流路の代替構成を示す図である。
図2E】1または複数の流量制御弁を有する流体送達流路の代替構成を示す図である。
図2F】1または複数の流量制御弁を有する流体送達流路の代替構成を示す図である。
図2G】1または複数の流量制御弁を有する流体送達流路の代替構成を示す図である。
図3図1のシステムのための流れ制御入力データの例を示す図である。
図4】流体送達経路内の流れを制御するためのシステムの動作モードの実施形態を示す流れ図である。
図5】流体送達流路内の流れを制御するためのシステムの動作モードの別の実施形態を示す流れ図である。
図6】患者に接続された流体送達配管の1つの構成を示す図である。
図7図6の流体送達配管の様々な位置での物理的に分離された流量制御弁を示す図である。
図8】流れ制御コマンドの発生に関する様々な代替を示す図である。
図9】ルールおよびデータの様々な代替の位置を示す図である。
図10】流体送達流路の様々な体積および流量構成要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
様々な図における同様の参照符号は、同様または類似の要素を示す。
【0057】
流体送達流路を介した患者への流体送達を制御するためのシステムおよび方法が本明細書に説明される。本明細書に説明されたシステムおよび方法は、ポートに接続された流体が特定の患者に送達するのに適切であるか否かの(医療オーダ、受け入れられた送達プロトコル、患者固有の特性などと整合した)判定に基づいて、患者につながる流体流れ流路に沿って流量制御弁を駆動するためのルールベースの臨床的な判断をサポートする論理(以下、ルールベース臨床判断サポート論理)を組み込む。代替構成では、流体流路に沿って流量制御弁を制御するために使用される判断論理は、特定の体積の流体が、流体が患者投与に適切であるという判定ではなく、またはその判定に加えて、ポートを通して患者に送達されたか否かに基づくことができる。
【0058】
流量制御弁を作動させるために使用されるルールおよび流れ抑止基準とは別に、流量制御弁は、限定はされないが、流量制御弁を閉じると流体ポートに入る流体が患者に到達するのを防止するように、流体ポートそれ自体の中を含む、流体流路に沿ったいずれの場所にも物理的に配置され得る。さらに、流量制御弁は、本明細書に説明されたシステムの一体の部分であることができ、またはそれは本明細書に説明されたシステムから受信されたトリガ信号に応答して弁を作動させる外部の装置および/またはシステム(たとえば輸注ポンプ、ワイヤレス、IV配管クランプなど)と関連付けられ得る。
【0059】
本明細書での「流体」という用語の使用は、どのような特定の流体にも限定されず、任意のタイプの治療流体を含むことができることが理解されるべきである。本明細書で使用される流体は、限定はされないが、投薬、血液ベースの製品、栄養溶液、電解液、緩衝液、乳酸加リンゲル、炭酸水素ナトリウム、晶質、コロイド、食塩液を含む。血液ベースの製品は、限定はされないが、輸血、全血、新鮮凍結血漿、クライオプレシピテート、代用血液、人工血液、酸素運搬代用物に使用するための血液の任意の成分を含むことができる。投薬は、静脈を通して投与され、または動脈内、骨内、脳内、心臓内、皮下、または腹腔内などの投与の別の適切な非経口経路を介して投与され得る任意の治療流体を含むことができる。
【0060】
患者に質問し、患者ファイル内に血液型、既知の薬物アレルギー、患者が現在服用している薬物、食餌制限などの医療記録情報を配置することが標準的な実践である。このデータは、そのような流体を投与する時に特定の患者が経験し得る可能性のある有害反応に関する情報を介護者に提供する。入院の状況では、この患者固有の情報は、患者が最初に病院に入院を許可された時に、入院、退院、および転院(ADT)システムまたはその他の臨床記録システムに典型的に記入され、安全なケアを確実にするのを助けるために滞在期間全体を通して使用される。診療ガイドラインおよび最良の実践も、IV投薬/流体の処方者によって日常的に考慮され得る多くの非患者固有の医療情報もサポートし、それによって投与する臨床医は患者に有害事象を引き起こすのを回避することができる。この情報は、限定はされないが、薬物間相互作用干渉、血液型整合、適切な薬物用量限界、現在のバイタルサインの処置への影響、代謝因子、および/または検査結果を含むことができる。
【0061】
流体が処方医師によって定義される医療オーダに従って送達され得る。送達オーダは、流体のタイプ、投薬用量、用量の頻度、投与経路などの情報を特定することができる。入院の状況では、これらのオーダはコンピュータ化された医師のオーダエントリ(CPOE)システム、薬局情報システム(PIS)、血液銀行情報システム(BBIS)、または手術室(ORIS)から発生し、および/またはそれらを介してアクセス可能である。患者への投薬またはその他の流体の安全な送達は、患者固有の健康特性(たとえば血液型)および履歴(たとえば以前に投与された投薬、アレルギー)、薬物固有の診療ガイドライン、および現在のバイタルサイン時間などの多くの環境状況などを同時に考慮しながら、臨床医に処方された医療オーダに従って実行することを要求する可能性がある。
【0062】
次に、図1に注目すると、システム100は、流体送達出口110に接続された流体送達入口105、および入口105と出口110の間の流体流れ流路120内に配置された1または複数のプログラム可能流量制御弁115(流量制御弁)を含むことができる。システム100は、構成可能ルールエンジン130と双方向に連係するマイクロプロセッサ125を含むことができる。構成可能ルールエンジン130は、流れ状態コマンド122を流体流れ流路120内の流量制御弁115に送ることができる。マイクロプロセッサ125は、また内部メモリ150と通信し、電源155によって電源供給され得る。システム100は、また送信機/受信機157を含むことができる。図7(後節でより詳しく説明される)に示されるように、1または複数の流量制御弁115は、患者につながる流れ経路をそれぞれが有するいくつかの代替の流体配管位置で流体流れ流路120の外側にあることができる。
【0063】
マイクロプロセッサ125は、1または複数の外部システム135と通信することができる。本明細書に説明されたシステム100と1または複数の外部システム135の間の通信は、有線またはワイヤレス通信方法を含むことができる。1または複数の外部システム135の特質は、IV輸注ポンプなどの有形の医療装置および/またはシステムの形、または限定はされないが、PIS、BBIS、ORIS、またはADTシステムなどの健康管理情報システムを含むソフトウェアアプリケーションの形であることができる。システム100は、入口105に連結され、入口105に接続された流体供給源によって担持された1または複数の情報ソースを検出するように構成された流体供給源読取り装置145を含むことができる。流体供給源読取り装置145によって検出された情報は、タイプ、体積、濃度、有効期限、内容物に関する製造業者の情報などの関連付けられた流体供給源容器内に含まれた流体の特性を示すことができる。情報は、限定はされないが、光学センサ、磁気センサ、機械センサ、電導センサ、スイッチ式センサ、近接センサ、IrDA、RFDDなどを含む多様な方法に従って、流体供給源読取り装置145によって検出され得る。入口、流体供給源読取り装置、および流体供給源識別システムの間の通信システムは、それぞれが全体として本明細書に参照によって組み込まれる2009年11月6日に出願された米国特許出願公開第2011/0112473号、2010年4月22日に出願された米国特許出願公開第2011/0111794号、2010年11月2日に出願された米国特許出願公開第2011/0112474号に詳細に記載されている。
【0064】
マイクロプロセッサ125と1または複数の外部システム135の間の通信は双方向であることができ、それによってマイクロプロセッサ125が流れ制御入力データ140を受信および送信の両方を行うことができる。流れ制御入力データ140は、限定はされないが、1)流体の情報、流体の体積、流体の濃度などの流体供給源についての情報、2)患者の識別番号、薬物アレルギー、血液型などの固定的な患者固有の情報、3)患者のバイタルサイン、検査結果、現在の病気の状態および/または臨床診断、以前に投与された薬物などの可変の患者固有の情報、4)薬物、用量、投与の経路、治療スケジュールなどの医療オーダ、5)既知の薬物間相互作用干渉、推奨された処置プロトコル、用量限界などの臨床ガイドライン、6)治療が送達されているケア領域、時刻、日付、温度などの環境要因、7)現在開いた(第2の状態)、現在閉じられた(第1の状態)、または臨床医が手動のオーバーライドを開始したことなどの弁ステータス、8)病気の状態、臨床診断、用量履歴などの履歴的な患者の情報、および9)特定の輸液が患者に対して安全かつ適切か否かを判定するために適用可能な任意のその他の関連情報を含むことができる。システム100と1または複数の外部システム135の間の通信は、下記により詳細に論じられる。
【0065】
本明細書に説明されたシステムは、流体送達流路を通る流れを制御することによる深刻な医療過誤および死のリスクを低減することができる、一般に小型かつ軽量のシステムである。本明細書に説明されたシステムは、流体が、病院、診療所、外来外科センター、医師のオフィス、在宅医療状況、EMS、救急車などを含む、流体が患者に送達されるケア管状に適用され得ることが理解されるべきである。
【0066】
本明細書に説明されたシステム100は、流体入口105および出口110が外部接続に関して利用可能になるように、小型のプラスチックハウジングによって内包され得る。ハウジングは、流体流れ経路120、1または複数の流量制御弁115、および電源155を内包することができる。ハウジングは、マイクロプロセッサ125、メモリ150、送信機/受信機157、ルールエンジン130、流体供給源読取り装置145、および流体流量センサ149、および/または組成センサ148(後述される)のうちの1または複数をさらに内包することができる。ハウジングは、低コスト、単一患者の使用、滅菌、使い捨て可能アセンブリであることができる。あるいは、ハウジングはほとんどまたはすべてのシステム構成要素を含むことができ、再利用可能かつ再充電可能であることができる。システム100は、流体入口に隣接して、または流体入口から遠隔に配置されて、流体および/または投薬、聴覚的/視覚的なフィードバック、流れ抑止弁115のステータス、およびその他のケアに関連した詳細に関する情報をユーザに/から提供するユーザインターフェース160を含むことができる。システム100の構成要素の任意の1または複数は、任意の数の代替実施形態においてハウジングに含まれ、またはハウジングから除外され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、システム100は、細分され、ある部分が使い捨て可能サブハウジング内にあり、残りの部分使い捨て可能サブハウジングの外部にあるように分散された構成要素を有することができる。使い捨て可能サブハウジング104(図6を参照のこと)は、滅菌してパッケージングされ、保護パウチ内に提供される。1つの変形形態では、たとえば、電源155、マイクロプロセッサ125、メモリ150、送信機/受信機157、ルールエンジン130、および流体供給源読取り装置145を内包する第1の再利用可能サブハウジング102(図6を参照のこと)は、流体流れ流路120および流量制御弁115を内包する第2の使い捨て可能サブハウジング104と噛み合い、装着する。さらに、使い捨て可能サブハウジング104は、使い捨て可能および再利用可能サブハウジングが組み合わされて、完全なシステム100を形成する場合、適切な動作に関連する使い捨て可能サブハウジング104内の構成要素の特性(たとえば流体経路特性、流体入口の数、流体入口の数、流量制御弁の数および構成、シリアル番号など)を格納するメモリ150のサブセットを含むことができる。
【0068】
上記に示したように、システム100は、入口105と出口110の間の流体流れ流路120内に配置された流量制御弁115を含むことができる。流量制御弁115は、構成可能ルールエンジン130からの流れ状態コマンド122に応答して2つの状態の間をトグルすることができるプログラム可能な弁であることができる。流量制御弁115は、2つの動作モードに限定され得、第1のものはすべてオン「開いた」状態であり、第2のものはすべてオフ「閉じられた」状態である。あるいは、流量制御弁115は、限定はされないが、可変および間欠流れ制御モードを含む複数の動作モードを有することができる。使用される特定のタイプの弁は、限定はされないが、ゲート弁、グローブ弁、T弁、バタフライ弁、ボール弁、逆止弁、プラグ弁、ピンチ弁、ダイヤフラム弁などを含むことができる。
【0069】
図1は、多くの可能性のある構成要素の構成のうちの1つを示し(可能性のある代替の構成については図7を参照のこと)、単一の流量制御弁115が単一の流体出口110から上流側、かつ単一の流体入口105から下流側に配置され得る。図2A〜2Gは、様々な代替変形形態を示し、1または複数の流量制御弁115が流体流れ流路120の1または複数の配管セグメント内に配置され得、そのような配管セグメントは、構成に関わらず集合的に輸液「セット」として参照される。流体送達流路120は、図7に示された流体ポートから上流側または下流側の、たとえば単一の流れ経路延長セットとして構成された流体流れ流路120(図2A)、「Y部位」流体セット(図2B〜2D)、複数投入部から単一の送出部への流体セット(たとえばトリプルルーメンIVカテーテル)(図2E〜2G)、および当分野で知られているその他のものを含む、一般的に使用される輸液セットと整合した多様な構成を有することができる。
【0070】
流量制御弁115は、投入流体コネクタ205aと送出流体コネクタ210の間の単一の流体流れ流路120内に配置され得る(図2Aを参照のこと)。流量制御弁115は、投入部205bを有するYサイトの下流側の単一の流体流れ流路120内に配置され得る(図2Bを参照のこと)。流量制御弁115は、投入部205aの近くの投入部205bを有するYサイトの上流側の単一の流体流れ流路120内に配置され得る。流量制御弁115は、投入部205bの近くのYサイト内に配置され得る(図2Dを参照のこと)。流量制御弁115は、送出部(送出流体コネクタ)210の上流側、かつ複数の投入部205a、205b、205c、205dの下流側の単一の流体流れ流路120内に配置され得る(図2Eを参照のこと)。流量制御弁115は、単一の流体流れ流路120の上流側、かつ複数の投入部205a、205b、205c、205dのうちの1または複数の下流側に配置され得る(図2Fおよび2Gを参照のこと)。
【0071】
同様に、流体供給源読取り装置145(および/または組成センサ148)はセット内の構成要素の構成に応じて流体流れ流路120の様々なセグメントに配置され得る。いくつかの実施形態では、流体供給源読取り装置145は流量制御弁115として流れ経路に沿って上流側の位置に配置され得る(図2A)。いくつかの実施形態では、流体供給源読取り装置145は、流量制御弁115として流体流れ流路120の異なる部分に沿って配置され得る。たとえば、図2Bに示されるような「Y部位」構成では、流量制御弁115は、送出部(送出流体コネクタ)210の上流側かつY部位の下流側の単一の流体流れ流路120内に配置され得る。この実施形態では、流体供給源読取り装置145は、同じ流体流れ流路120内の流量制御弁115の上流側、またはY部位の上流側の異なる流れ経路に配置され得る。流体供給源読取り装置145も、Y部位の下流側の同じ流体流れ流路120内の流量制御弁115の上流側に配置され得る。代替として、組成センサ148(または流体供給源読取り装置145)は、図2Cに示されるようにY部位の下流側に配置され、または図2Dに示されるようにY部位の上流側に配置され得る。任意の数の構成要素位置の組合せが特定の用途に対して構成され得る。
【0072】
マイクロプロセッサ125は、処置内容または流体送達プロトコルの前または間の任意の所与の時間における流量制御弁115の適切な状態を判定するために構成可能な論理に対する流れ制御入力データ140の組合せを評価する、ルールエンジン130と組み合わせた流量制御弁ソフトウェアアプリケーションを含むことができる。マイクロプロセッサ125、ルールエンジン130、およびルールエンジン130によって使用される任意の関連付けられた流量制御弁ソフトウェアアプリケーションおよび/または構成可能なルールは、集合的に「流量制御装置」として参照されることもあり得る。関連する流れ制御入力データ140へのアクセスは、システム100が、システム100に連結された特定の流体が流体流れ流路120を通って患者に流れることを可能にすべきか否かに関係する臨床的な判断をサポートし、案内し、指令し、または行うことを可能にする。上記に説明したように、流れ制御入力データ140は、患者固有であるか非患者固有であるかに関わらず、たとえば特定の輸液が患者に対して安全かつ適切であるか否かを判定するために適用可能な任意のデータであることができる。データ140は、手動で入力され、外部の装置および/またはシステム(たとえばバイタルサインモニタ、検査室情報システム、温度センサなど)から入力され、またはシステム100または外部システム135からのフィードバックに基づいて、医療情報システム、医療データベースに格納され得る。データ140は、静的または動的であることができる。一般に、データ140は、流体を患者に送達する適切さおよび/または安全性についての判断を行うために適用可能であり、その判断を行うためのサポートを提供することができる。
【0073】
システム100は、異なる動作的モードで動作するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム100は常閉モードで動作することができ、流量制御弁115のベースライン状態は閉じられており(第1の状態)、流体流れ流路120が流体送達の間は開かれ、次いで送達が完了すると再び閉じられる(図4)。常閉モードは、たとえば介護者の経験が少なく、またはケアの送達に関する判断の権限が限定されている場合、より多くのチェックを必要とする輸液が、より高いコストの処置の流体送達、もしくは適合性のない血液製品を輸注するなどの間違いが深刻な結果をもたらす流体治療の投与を伴う場合、あるいは高い効力のあるおよび/または毒性のある物質(たとえば化学療法)が伴う場合など、より高いリスクのシナリオにおいて有利であり得る。その他の実施形態では、システム100は常開モードで動作することもでき、流量制御弁115のベースライン状態は開いており(第2の状態)、識別された可能性のある安全性のリスクがある場合にのみ閉じる(図5を参照のこと)。常開モードは、たとえば介護者が、より経験が豊富であり、または流体送達に関するより多くの手動制御を望み、もしくは輸液および時間フレームがより少ないチェックを必要とする場合などのシナリオにおいて望ましくまたは有利であり得る。システム100は、動作モードに関わらず、手動のオーバーライド機構を含み、それによって特定の輸液の間の任意の時間に、臨床医がシステムをオーバーライドし、流量制御弁115を開いた状態にして、システム100が患者の流体ラインの定位置にないかのように、従来の輸液を行うことを可能にすることが理解されるべきである。オーバーライド機構は、臨床医によって手動でリセットされ、または時間切れもしくはその他の適用可能なルールに基づいて流量制御装置によって自動的にリセットされ得る。
【0074】
図4のプロセス流れ図400に示されるように、常閉モードが、通常は閉じられた状態にあり、一時的に開かれて流体が流体流れ流路120を通過することを可能にする流量制御弁115によって特徴づけられる。流体供給源は、弁115は閉じられた状態にある間、流体入口105と接続され得る(402)。流体供給源の様々な関連する流体の特性は、システム100によって識別され得る(404)。現在の時間およびその他の関連する環境要因が判定され得る(406)。安全性チェックの連続が流れ制御ソフトウェアアプリケーションによって行われ、たとえば入口105に連結された流体が、その流体を患者に送達する現在の医療オーダに整合するかどうか(408)、患者が流体入口105に接続された流体に対してアレルギー性であるかどうか(410)、薬物間相互作用干渉が少しでも存在するかどうか(412)、現在の時間が取り付けられた流体の投与に関して正確な時間かどうか(414)、または流体を患者に投与することに対するその他の禁忌が存在するかどうか(416)にアクセスすることができる。システム100が安全性チェックのうちの1または複数に失敗した場合、安全性のリスクが流れの抑止を正当化するかどうかの判定がなされ得る(420)。このリスクが流れの抑止を正当化しない場合、流量制御弁が開かれ得、介護者は用量を投与することができ(422)、そうでなければ流量制御弁115が、たとえば弁115が閉じられたままになるべきであることを示す流れ状態コマンド122を送ることによって閉じられた位置に維持される(424)。その後、流体供給源が取り外され得(426)、結果が外部システム135に送信され得(428)、弁が開かれている場合、弁は閉じられ得る(430)。さらに、安全性チェックが臨床医に警告または警報をトリガすることができる(418)。結果として生じる警告または警報(たとえば可能性のある安全性のリスク)に関連付けられた情報も、外部システム135に送信され得る。システム100がすべての安全性チェックに合格した場合、流れ状態コマンド122が流量制御弁115に送られて開かれ、患者に流体送達を可能にする。
【0075】
システム100は、安全性チェックのうちの1または複数に失敗しない場合、流量制御弁115は、閉じられている場合、閉じられている状態から開いた状態に変更され得る(432)。いくつかの実施形態では、システム100は、流体の送達の間リアルタイムで流体体積を測定し(434)、送達された実際の用量を計算し、それをオーダされた用量と比較することができる(436)。オーダされた「用量」は特定の流体体積(たとえば1リットルの血液)または流体体積と流体供給源濃度を掛けることによって計算された量(たとえば2mLの1mg/mL濃度のモルヒネ流体供給源)を含むことができる。オーダされた用量が到達されると、システム100は、流体供給源がシステム100から取り外され、または用量投与が完了すると流体流量制御装置がみなすことができるほど流体流れが十分長い間抑止されていることを検出し、流れ状態コマンド122が送られて、次の輸液に備えて流量制御弁115を閉じることができる(440)。投与条件および結果は、記録のためにシステムメモリ150および/または外部システム135に通信され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、ルールエンジン130の論理は警告または警報メッセージをトリガして臨床医に警告することは、流れ状態コマンド122を流量制御弁115に送ることとは独立のものであるように定義され得る。ルールの論理は、可能性のある安全性のリスクの重大さに基づいた複数のトリガ閾値を使用して、段階状のメッセージおよび/または流れ状態コマンド122を生成することができる。たとえば、流体に関する医師がオーダした用量が100mLである場合、ルールエンジン130は、投与された用量が105mLの流体に到達した時に流量制御弁115を閉じずに臨床医に警報メッセージを送ることができる。しかし、用量投与が続き、累積の用量体積が110mLの流体に到達する場合、ルールエンジンは、警告メッセージを臨床医に送ることができ、一方同時に流れ状態コマンド122を送って流量制御弁115を閉じることができる。ルールエンジンは遠隔データ格納部をポーリングして、ルールおよび/または流れ制御入力データを得ることができる。ポーリングプロセスは、流れ制御入力データのサブ要素を関連する外部データにアクセスするための参照パラメータとして直接的または間接的に利用することを含むことができる。そのような流れ制御入力データは、限定はされないが、患者識別子情報を含むことができる。
【0077】
次に、図5のプロセス流れ図500を参照すると、常開モードが、通常は開いた位置にあり、流体が流体流れ流路120を通過することを可能にする流量制御弁115によって特徴づけられる。流体供給源は、流量制御弁115が開いた状態にある間、流体入口105と接続され得る(502)。流体供給源の様々な関連する流体の特性は、システム100(504)ならびに現在の時間および関連する環境要因によって識別され得る(506)。図4に関連して説明されたそれらのものと同様の安全性チェックの連続(508〜516)が、図3〜4に対して上記に説明された、現在の流れ制御入力データ140を使用して流量制御装置ソフトウェアアプリケーションによって行われ得る。安全性チェックのうちの1または複数が失敗した場合、警告が臨床医に送られ得(518)、安全性のリスクが患者への流体流れを防止することを正当化した場合(520)、流れ状態コマンド122が送られて、流量制御弁115を閉じることができる(524)。次いで、流体供給源は、取り外され得(526)、結果が外部システム135に送信され得(528)、流量制御弁115の状態が開いた位置に切り替えられて戻り得る(530)。1または複数の安全性チェックが可能性のあるリスクを識別するが、流量制御弁115を閉じることを正当化しない場合、流体が投与され得(522)、シリンジが取り外され得(526)、結果が外部システム135に送信され得る。
【0078】
安全性チェックがトリガされない場合、投与の間流体体積がリアルタイムで測定され得る(532)。オーダされた用量が達成されたことが判定されると、流体供給源が取り外され、または用量投与が完了すると流体流量制御装置がみなすことができるほど流体流れが十分長い間抑止され(534)、次いで結果が外部システム135に送信され得る(536)。
【0079】
上記に説明されたように、ルールエンジンは、データを送信して条件をシステム100のメモリ150および/または1または複数の外部システム135に記録することを含むことができる、流れ状態コマンド122とは独立のメッセージもトリガすることができる。そのようなトリガは、ユーザインターフェース160の入力および出力を駆動することもできる。たとえば、ユーザインターフェース160を介するユーザへの出力は、聴覚的フィードバック、ステータスインジケータへの変更、流体供給源情報、流体組成情報、投与された流体の体積、流体(たとえば投薬)投与に関連付けられた情報、ルールエンジン情報および/または出力、誤りメッセージ、流量制御弁の状態のフィードバック、またはその他の同様のパラメータを含むことができる。同様に、ユーザからの入力は、限定はされないが、行為の確認、警告の認識の確認、流量制御弁に関する手動のオーバーライド要求のエントリ、または弁のリセットを含むことができる。
【0080】
図4〜5で利用される安全性チェックの組およびシーケンスは、流れ制御入力データ140の要素がどのようにシステム100の流量制御装置によって使用されて、患者に流体を送達する適切さを判定することができるかの1つの実施形態を示すが、その他の実施形態が、流れ制御入力データ140の任意の混合および/またはサブセットを含むことができ、そのようなデータ要素は、判断論理ステップの任意のシーケンスにおいて動作される。さらに、図4〜5に示される判断論理は、単純な二進法判断チェックの直線的なシーケンスに基づくことができるが、さらなる実施形態が、複数のデータ要素を同時に考慮することを伴う複雑なアルゴリズム、および/または流量制御弁115に送るための妥当な流れ状態コマンド122を判定するために使用される固定または構成可能な閾値を有する確率ベースの判断論理を含むことができる。
【0081】
図6は、適切な流体の送達のために患者に接続された流体送達配管セグメント202、204、206、および216の様々な例示の構成を示す図である。一次流体供給源200が、配管セグメント202、および配管セグメント204を介して患者に接続され得る。セグメント204は、カテーテルまたは針などのアクセス装置220によって患者に取り付けられ得る。さらに、配管セグメント206は、流体供給源200と患者の中間で上流側セグメント202および下流側セグメント204に接合され得る。システム100は、手動で投与された流体の送達のためにセグメント206に取り付けられ得る。たとえば、流体供給源210が手動注入可能シリンジであることができる。流体供給源210内に含まれた流体212は、流体流れ経路120を通して注入され、セグメント206に入り、セグメント204に入り、最後に患者アクセス装置220を通り、それによって患者に投与される。流体送達ポンプ218は、連続した流体の輸注のためにセグメント202に接続され得る。二次流体供給源214は、配管セグメント216に接続され得る。配管セグメント216は、間欠的な二次流体の送達のために、セグメント202に接合され得る。システム100は、再利用可能サブセクション102および使い捨て可能なサブセクション104に分離され得る。流量制御弁115は、使い捨て可能サブセクション104内に示される。
【0082】
いくつかの変形形態では、システム100のいくつかの要素が、収容され自立型の流体ポート100として参照され得る。システム100の要素は、最低限、流体送達入口105、流体流れ流路120、少なくとも1つのセンサ(流体識別センサ145、および/または組成センサ148、および/または流体流量センサ149)、およびセンサ145、および/または148、および/または149とインターフェース接続および/または通信するワイヤレス通信電子機器157を含み、流量制御弁115の作動を可能にするために流体ポート100の外部にあるシステムと通信する。流体流量制御弁115は、図7に示されるように流体ポート100の外部にあることができる。マイクロプロセッサ125、メモリ150、およびルールエンジン130を含むことができる流量制御装置のいくつかの部分も、流体ポート100に含まれ得る。したがって、いくつかの変形形態では、自立型流体ポート100が、システム100に関して示された要素のいくつかまたはすべてを含むことができる。流体ポート100は、投薬およびその他の流体を流体入口105に、次いで患者アクセス装置220につながる配管セグメント204に手動で注入するためのコンパクトな自立型ポートとして機能することができる。流体ポート100は、小型であり、流体ポート100が配管セグメント202から留められるのを可能にするのに十分に軽量である。流体ポート100は、再利用可能サブセクション102および使い捨て可能サブハウジング104を含むことができる。コンパクトなハウジング(102および104の組合せ)がポート100のすべての要素を含むことができる。
【0083】
図6は、3つの個別のセンサタイプ、すなわち流体判定センサ145、流体組成センサ148、および流体流量センサ149の使用を示す。変形形態は、単一のセンサタイプ、またはセンサの混合を含むことができる。複数のセンサを伴う変形形態では、センサは独立に、または前後に並んで使用されて、入力をルールエンジン130に提供する。1つの実施形態では、システム100は、手動投与可能な流体供給源からの流体送達の開始に続いて、流量制御装置が、組成センサ148によって感知された流体の構成成分のタイプおよび相対濃度が患者への投与に適切であるという確認に基づいて、流れ状態コマンド122の特質を判定することができるようにする、組成センサ148のみを含むことができる。組成センサ148は、限定はされないが、光分析、電気分析、クロマトグラフィ、質量分析、物性測定を含む多様な技術を組み込むことができ、またはそれはそのような技術の組合せに基づいたパラメトリック分析を利用することができる。別の例では、システム100は、識別センサ145および流体流量センサ149を含むことができ、識別センサ145は、患者に関する正確な流体タイプを確認するために使用され、流体流量センサ149は、流量制御弁115が処方された流体の投与量に基づいて閉じられるべきであるときを判定するために使用される。流体流量センサ149は、限定はされないが、パドルホイール流量計、タービン流量計、熱式流量計、圧力センサ、差圧センサ、光学センサ、超音波センサ、コリオリ流量計、変位センサを含む技術に基づいたものであることができる。
【0084】
分離して、または並列に使用される複数のセンサタイプの使用は、図2A〜2Gに説明される様々な流体送達の組の構成に完全に適用可能であることが理解されるべきである。さらに、図2A〜2Gに示された流量制御弁115は、流体の組の中に一体化され、システム100のサブ構成要素として依然として存在しながら組の外側にあり、または独立であるがシステム100と通信していることができる。図2Bでは、「Y部位」入口205aおよび205bは、それぞれ、いずれかの入口に不適切な流体供給源を流体連結したことを識別するのに使用される場合、流量制御装置が流量制御弁115を含む外部のシステムと通信できるようにして患者につながる経路内の流体流れの流量変更、または遮断を開始することができる識別センサ145を含むことができる。いくつかの実施形態では、流量制御弁115は、弁ステータスの変更を(たとえば弁に関連付けられたワイヤレス送信機を介して)流量制御装置に通信し、流れ状態コマンド122を受信したことに応答してフィードバックを提供することができる。
【0085】
図7は、流体送達配管の様々な位置に物理的に分離された流量制御弁115を示す図である。このシステムでの流量制御弁115は、この流体送達構成に対して示された(破線の)位置のうちの1または複数であることができる。この変形形態では、流量制御弁115はシステム100から物理的に分離され得る。流量制御弁115はセグメント206および流体ポート100の上流側(位置230および240)または下流側(位置250)に配置され得る。流量制御弁115は、輸注ポンプなどの外部の装置218内(位置230)にあることができる。あるいは、流量制御弁115は「Y」部位の下(位置240)にあり、一次流体供給源200および二次供給源214の両方を制御することができる。あるいは、流量制御弁115は、患者の近く(位置250)に配置され、一次流体供給源200、二次流体供給源214、および流体供給源210(入口105に注入するためのシリンジ)を制御することができる。あるいは、流量制御弁115は、配管セグメント206と流体供給源210の間に接続された、図6で論じられたようなシステム100内にあることができる。
【0086】
図8は、外部の装置/システム135からの流れ状態コマンド122の発生に関する様々な代替を示す図である。流量制御装置および/またはルールエンジン130が、流量制御弁115(開いたまたは閉じられた)の適切な状態を判定するために含まれ得る。流量制御装置および/またはルールエンジン130は、システムの外部にあり、かつ/あるいはいくつかのシステム要素全体にわたって分散され得る。分散された場合、論理がシステム全体にわたってカスケードすることができる(たとえば外部ルールが適合し、かつ内部ルールが適合した場合、トリガ流れ制御コマンド280が作動される)。流量制御弁115は、流体識別センサ145および/または流体組成センサ148および/または流量センサ149によって提供された情報に基づいた、流量制御装置および/またはルールエンジン130からのコマンド280に応答することができる。流量制御弁115は、外部システム135、流量制御装置および/またはルールエンジン130にワイヤレスで接続され、または有線接続され得る。1つの代替は、位置230で流量制御弁115を制御する流れ状態コマンド280aを含むことができる。第2の代替は、位置240で流量制御弁115を制御する流れ状態コマンド280bを含むことができる。第3の代替は、位置250で流量制御弁115を制御する流れ状態コマンド280cを含むことができる。第4の代替は、位置260で流量制御弁115を制御する流れ状態コマンド280dを含むことができる。第5の代替は、マイクロプロセッサ125から発生する流れ状態コマンド280(図示されないコマンド280a、280b、280c、または280d)を含むことができる。その他の代替が、流体流量制御弁115を様々な流れ経路セグメントに、様々な流量制御装置コマンド280によって制御されて配置するために想定され得る。
【0087】
いくつかの変形形態では、流量制御弁115は、二進法の様式で(開いたまたは閉じられた)流量を制御することができ、またはその他の変形形態では、それは部分的に流れを抑制し、したがって流量を特定の流量レベルに制限することができる。流量制御弁115は、自立型電源によって電源供給され、または外部電源に接続され得る。流量制御弁115は、ワンタイム作動装置であり得、または繰返し作動を可能にするリセット可能なものであることができる。流量制御装置コマンド信号280は、任意の適切なシステムまたは装置がコマンド280を送り、流量制御弁115を作動させることができるように、オープンソースとして発行され得る。
【0088】
図9は、ルールおよびデータの様々な代替の位置を示す図である。ルールエンジン130(130a、130b、130c)は様々な位置にあり、および/またはいくつかのルールをシステム100内部に有し、いくつかのルールをシステム100の外側に有して分散され得る。1つの代替では、ルールエンジン130aが、システム100の内部にあることができる。別の代替では、ルールエンジン130bが、外部の装置(輸注ポンプ)218の内部にあることができる。別の代替では、ルールエンジン130cが、外部システム135の内部にあることができる。分散された場合、ルール論理がシステム全体にわたってカスケードし、流量制御弁115を作動させることができる。同様に、流れ制御データ140(140a、140b、140c)がシステム全体にわたって分散され得る。1つの代替では、流れ制御データ140aが流量制御装置内にあり得る。第2の代替では、流れ制御データ140bは、外部の装置(輸注ポンプ218)にあることができる。第3の代替では、流れ制御データ140cは外部の流れ制御データソースにあることができる。
【0089】
図10は、流体送達流路の様々な体積および配管構成要素の図である。配管システムは、既知の体積および流量を伴う流れ経路を含むことができる。一次配管セグメント202は、既知の体積V1および流量R1を有し、側部配管セグメント206の体積と流体流れ流路120(体積208)とを加えたものは既知の体積V2および流量R2(流体供給源210を使用した注入の速度)を有し、下方の配管セグメント204は既知の体積V3および流量R3(R1とR2を加えた合計)を有する。既知の体積の流体212が、流れのある流体流路(配管セグメント)202/204に注入された場合、注入された流体が患者に到達する時間T1が計算され得る。流量制御弁115(115a、115b、115c、または115d)は、不適切な流体212が患者に到達し得る前に作動され得る。流体抑止の安全性確認が、ユーザインターフェース160によって患者の介護者に提供され得る。
【0090】
時間計算の例の1つは、以下のとおりである。
【0091】
配管セグメント202は、V1=10mLの流体体積を含むことができ、R1=60mL/時間の流量を流すことができる。
【0092】
配管セグメント206に配管セグメント208(流体流れ流路120)を加えたものは、典型的に小さく、V2=1mLの流体体積を含むことができる。
【0093】
配管セグメント204は、適度な寸法にされ、流量R3=R1(流体212の注入の前および後)、またはR1+R2(流体212の注入の間)で流れるV3=3mLの流体体積を含むことができる。
【0094】
流体212の注入体積=V4=3mLの流体体積であり、3mL/3秒=R2=1mL/秒=60mL/分の流量で注入される。
【0095】
シリンジ210が完全に注入された場合に流量R3は=R1に戻る。
【0096】
したがって、注入流体212が患者に到達するための時間tx=t1+t2を計算する。
ここで、t1=注入流体212が一次配管セグメント202に入る時間とすると、
t1=体積/流量=(V2+V3)/R2=(1mL+3mL)/60mL/分=4mL/60mL/分
t1=1/15分=4秒
ここで、t2=注入流体212が患者貫通セグメント204に流入するための時間とすると、
t2=V3/R1=3mL/(60mL/時間)=3mL/1mL/分=3分
すべての流体212が患者に到達するための時間tx=t1+t2=4秒+3分=184秒となる。
【0097】
流体のうちのある程度は患者により早く到達し、流量制御弁115に関する応答時間が、不適切な輸液への患者の露出を制限するために重要であることに留意すべきである。したがって、流量制御弁115を患者の近くに配置することが重要である。さらに、不適切な流体を早く検出することも、患者を保護するために重要である。手動の投与の流体流れの前に、流体入口105への取り付け時に流体供給源210を検出するために識別センサ145が動作することが望ましい。あるいは、組成センサ148が流体212を識別することができ、および/または流量センサ149が流体212の体積を測定することができ、流量制御装置にデータを提供する。
【0098】
さらに、注入ポートから下流側の流体体積V2+V3は、上流側の流体流路(配管セグメント)202が閉鎖された(締め付けられた)状態で、シリンジ210内に流体を抜き取ることによって測定され得、(注入ポートに接続された空のシリンジを引き、流体をシリンジ内に抜き取る)。抜き取られた下流側の流体体積V2+V3がシリンジの目盛の点検によって手動で測定され、または(逆流を検出することを可能にされた場合)注入ポート装置内の流体体積測定センサ149によって自動的に測定され得る。測定された下流側の体積は、ルールエンジンに通信され、格納され得る。次いで、下流側の体積は、流量制御装置への入力として使用され得る。
【0099】
別の変形形態では、流量制御弁115は、使い捨て可能サブセクションと再利用可能サブセクションの間に分散され得る。これらのサブセクションの間のインターフェースは、電気式、磁気式、機械式、流体式、光学式、静電容量式であることができる。使い捨て可能サブセクションは、流量制御弁115および流体流れ流路120のみを含むことができ、再利用可能サブセクションはすべてのその他の構成要素を含むことができる。この構成では、弁アクチュエータが、流体流れ流路120によって使い捨て可能サブセクション弁115の機構に連結された再利用可能サブセクション内にある。あるいは、使い捨て可能サブセクションは、流量制御弁115、電源、ワイヤレスまたは有線式通信、および流体経路を含むすべての構成要素を含むことができる。
【0100】
本明細書に説明されたシステムは、必ずしも必要ではないが、データを記録し、ロギングするために外部システム135にデータを送信することができることが理解されるべきである。たとえば、システム100は、プログラム可能な流量制御弁115の知能的流れ制御の特徴を組み込み、データを外部システム135に送信および/または記録することなく、ユーザフィードバック(ユーザインターフェース160へのアラームおよびその他の警告メッセージなど)を提供することができる。
【0101】
システム100は、外部システム135とのオンデマンド接続を使用して使用前に、リアルタイムで、またはその2つの組合せでシステムメモリ150内にダウンロードされた情報によってプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、システム100は、患者の流体ラインに接続する前、または接続時に静的流れ制御データ140のサブセットに従ってあらかじめプログラムされ得る。システム100は、ドッキング可能なクレイドル、ワイヤレス通信インターフェース、または有線式コネクタを使用してプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、低コスト、非ワイヤレスバージョンのシステム100が、任意の患者に一般的に使用するために、薬物間相互作用干渉、ハード用量限界などの非患者固有のルールのみによってあらかじめプログラムされ得る。システム100は、あらかじめプログラムされた非患者固有の情報を含むか、または刊行された臨床ガイドラインおよび基準に従って、購入者に提供され得る。非患者固有の情報は、臨床使用の前に、製造業者、ケア提供者、もしくは病院薬剤師、または提供者固有のルールおよび業務手順に基づいたその他のケア状況によってプログラムされ得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、システム100は、ワイヤレス送信157を使用して1または複数の外部システム135に情報をリアルタイムでプログラムされ、および/または通信し得る。RF、IrDA(赤外線)、ブルートゥース、ジグビー、Continue、ワイヤレスUSB、IEEE802関連規格(たとえば802.11、802.15、または802.16など)、ダイレクトシーケンススペクトラム拡散、周波数ホッピングスペクトラム拡散、セルラー/ワイヤレス/コードレス電気通信プロトコル、ワイヤレスホームネットワーク通信プロトコル、ページングネットワークプロトコル、磁気誘導、衛星データ通信プロトコル、ワイヤレス、病院または健康管理施設ネットワークプロトコル、およびその他の方法などの多様なワイヤレス送信ハードウェアおよびプロトコルが使用され得る。データ送信は、いくつかの実施形態では、患者のプライバシーを確実にし、および/または医療データの扱いに関係する様々な法律を遵守するために暗号化され得る。送信機は、そのような暗号化機能を有することができ、または1または複数のさらなるチップセットがシステム100の領域内に組み込まれて、そのような暗号化を提供することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、構成可能なルールエンジン130は、システム100に対して遠隔でマイクロプロセッサ125上で実行することができる。流れ状態コマンド122または280が、ワイヤレスまたは有線式でシステム100に送られ、流量制御弁115を開きまたは閉じることを流量制御弁115に指示することができる。
【0104】
本明細書で説明されたシステム100は、ユーザインターフェース160を介してユーザから入力を受信するように構成された1または複数の機構を含み、システム100の動作を制御し、および/またはシステム100からユーザにフィードバックを提供することができる。たとえば、ユーザインターフェース160は、1または複数のキー、ボタン、スイッチ、ダイヤル、またはタッチスクリーンなどの1または複数のユーザ入力を組み込むことができる。ユーザインターフェース160は、1または複数のLED,グラフィカルディスプレイ、音響、音声合成技術、または振動機構などの1または複数のユーザフィードバック機構を組み込むことができる。視覚、触覚、または聴覚フィードバックは、体積、色彩、数、強度などの通知のシーケンスを含むことができ、または特定のフォードバック機構のその他の特徴が多様な形にされて、システム100の特定の状態を示す。ユーザインターフェース160を介してユーザによって提供される情報は、流量制御弁115への適切な流れ状態コマンド122を判定する際に流量制御装置によって使用され得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース160のユーザ入力および/またはフィードバック機構のうちの1または複数は、送信機/受信機157を使用した有線式またはワイヤレス接続によるなどのシステム100と通信したコンピューティング装置上などの、システム100に対して遠隔であることができる。
【0105】
電源155は、電池などの自立型電源、使い捨てもしくは再充電可能電池、電池アレイ、または当分野で知られたその他のタイプの電源を含むことができる。電池が再充電可能である場合、装置をコンセント、ドッキングステーション、携帯再充電器、または電池を再充電するための同様なものに取り付けるためのコネクタまたはその他のインターフェースがあることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、システム100は、流体供給源の流体組成および濃度が実験的に判定されることが可能になるように構成され得る内部流体組成センサ148を含むことができる。センサ148は、流体入口105の下流側、および流量制御弁115の上流側に配置され得る。内部流体組成センサ148は、流体タイプ検出の唯一の供給源であることができる。いくつかの実施形態では、組成センサ148は、流体供給源容器によって得られ、流体供給源読取り装置145によって検出された流体供給源情報を補足するものであることができる。
【0107】
システム100は、単一の患者の医療オーダの望ましい処置プロトコルを履行するための、分割用量、または複数の流体供給源接続を含む、多様な体積および用量に対応することができる。たとえば、医師は患者に対して2mgの用量のモルヒネをオーダすることができる。看護師は、シリンジの半分を送達することを意図して、1つの4mgシリンジのモルヒネを接続し、残りの半分を捨てることができる。この例では、システム100は、4mgシリンジがシステム100に接続され、患者に送達される可能性のある用量が多すぎることを臨床医に警告することができる。システム100は、第1の2mgのモルヒネが患者に送達された後、流れ状態コマンド122または280を送り、流量制御弁115を閉じ、残りの2mgのモルヒネを患者に対して送達するのを防止することによって、過量投与を防止することもできる。あるいは、医師は2mgのモルヒネを患者に対してオーダすることができる。ケア提供者は、第1に1mgシリンジのモルヒネをシステム100に接続し、シリンジの内容物全部を患者に送達し、次いで第2の1mgシリンジのモルヒネをシステム100に接続し、第2のシリンジの内容物全部を患者に送達することによってオーダを履行することができる。いずれのシナリオにおいても、2mgに対する医師のオーダが履行され、システム100は、さらなるモルヒネシリンジがシステム100に連結されない限り、警告を提供し、または流体流れを抑制することがない。
【0108】
いくつかの場合には、流量制御弁以外の異なる流れ制限機構が使用され得る。そのような場合、動作変更信号が(様々なルールに対して適用されたセンサによって検出された属性に基づいて)生成され得、それが1または複数の装置に、動作的パラメータを変更させ、それが(流体流路に沿った様々な点において)流体流路内の流体流れに直接的または間接的に影響する。その他の変形形態では、流体ポートが(様々なルールに対して適用されたセンサによって検出された属性に基づいて)動作変更信号を生成することができ、それが外部の装置のその他の動作的パラメータを変更する。そのような動作的パラメータは、必ずしも流体流路を通る流体流れに影響しない。
【0109】
同様に、本明細書に説明されたシステムは、任意の種類の手動で投与された流体供給源を使用することができ、特定のIV流体供給源タイプに限定されず、シリンジ、IVバッグ、使い捨て可能投薬カートリッジまたはパウチ、IV配管などを含むことができる。
【0110】
本明細書に説明されたシステムは、投与の多様な経路によって流体の送達に使用され得ることが理解されるべきである。別段に指定されない限り、患者に流体を導入することに関連する、注入、投与、または送達という用語は、手動投与(すなわちポンプとは反対に人間によって行われる投与)の特定の経路に限定することが意図されていない。
【0111】
本発明に説明された主題の様々な態様は、デジタル電子回路、集積回路、専用に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはその組合せで実現され得る。これらの様々な実施形態は、格納システム、少なくとも1つの入力装置(たとえばマウス、タッチスクリーンなど)、および少なくとも1つの出力装置からデータおよび指示を受信し、データおよび指示を送信するために連結された、専用または汎用であることができる少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含む、プログラム可能なシステムで実行可能および/または解釈可能である1または複数のコンピュータプログラムでの実施形態を含むことができる。
【0112】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、またはコードとしても参照され得るこれらのコンピュータプログラムは、プログラム可能なプロセッサに対する機械命令を含み、上位手続き型プログラミング言語および/またはオブジェクト指向プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械言語で実施され得る。本明細書で使用されるように、「機械読取り可能媒体」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラム可能なプロセッサに提供するために使用される、機械命令を機械読取り可能な信号として受信する機械読取り可能な媒体を含む、たとえば磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、およびプログラム可能論理デバイスなどの任意のコンピュータプログラム製品、装置、および/またはデバイスを参照する。「機械読取り可能な信号」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラム可能なプロセッサに提供するために使用される任意の信号を参照する。機械読取り可能な媒体は、そのような機械命令を、たとえば非一時的ソリッドステートメモリもしくは磁気ハードドライブまたは任意の等価な格納媒体などがそうであるように、非一時的に格納することができる。機械読取り可能な媒体は、あるいはまたはさらに、そのような機械命令を、たとえば1または複数の物理的なプロセッサコアに関連付けられたプロセッサキャッシュまたはその他のランダムアクセスメモリなどがそうであるように、一時的に格納することができる。
【0113】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、またはコードとしても参照され得るこれらのコンピュータプログラムは、プログラム可能なプロセッサに対する機械命令を含み、上位手続き型言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理型プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械言語で実施され得る。本明細書で使用されるように、「機械読取り可能媒体」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラム可能なプロセッサに提供するために使用される、機械命令を機械読取り可能な信号として受信する機械読取り可能な媒体を含む、たとえば磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、およびプログラム可能論理デバイスなどの任意のコンピュータプログラム製品、装置、および/またはデバイスを参照する。「機械読取り可能な信号」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラム可能なプロセッサに提供するために使用される任意の信号を参照する。機械読取り可能な媒体は、そのような機械命令を、たとえば非一時的ソリッドステートメモリもしくは磁気ハードドライブまたは任意の等価な格納媒体などがそうであるように、非一時的に格納することができる。機械読取り可能な媒体は、あるいはまたはさらに、そのような機械命令を、たとえば1または複数の物理的なプロセッサコアに関連付けられたプロセッサキャッシュまたはその他のランダムアクセスメモリなどがそうであるように、一時的に格納することができる。
【0114】
ユーザに連係を提供するために、本明細書に説明された主題は、たとえばユーザに情報を表示するための陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)モニタなどのディスプレイ装置、ならびにユーザがそれによってコンピュータに入力を提供することができる、キーボードおよび、たとえばマウスまたはトラックボールなどのポインディングデバイスを有するコンピュータで実施され得る。その他の種類の装置が、同様にユーザに連係を提供するために使用され得る。たとえば、ユーザに提供されたフィードバックは、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックなどの任意の形の感覚フィードバックであることができ、ユーザからの入力は、限定はされないが、音響、音声、触覚入力を含む任意の形で受信され得る。その他の可能性のある入力デバイスは、限定はされないが、単一またはマルチポイントの抵抗式または静電容量式のトラックパッド、音声認識ハードウェアおよびソフトウェア、光学スキャナ、デジタル画像キャプチャ装置、および関連付けられた解釈ソフトウェアなどのタッチスクリーンまたはその他のタッチ感知装置を含む。
【0115】
本明細書に説明された主題は、(たとえばデータサーバのような)バックエンドコンポーネント、もしくは(たとえばアプリケーションサーバなどの)ミドルウェアコンポーネント、もしくは(たとえばユーザがそれを介して本明細書に説明された主題の実施形態と連係することができるグラフィカルユーザインターフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータなどの)フロントエンドコンポーネント、またはそのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含む、コンピューティングシステムで実施され得る。システムの構成要素は、任意の形または媒体のデジタルデータ通信(たとえば通信ネットワーク)によって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、およびインターネットを含む。
【0116】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に互いに遠隔にあり、典型的に通信ネットワークを介して連係する。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータで実行し、互いにクライアント−サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0117】
前述の説明で明記された実施形態は、本明細書に説明された主題と整合するすべての実施形態を示すのではない。その代わりに、それらは説明された主題に関連する態様と整合するいくつかの例にすぎない。可能な場合は常に、同じ参照番号は、同じまたは同様の部品を参照するために図面全体を通じて使用される。
【0118】
少数の変形形態が上記に詳細に説明されてきたが、その他の変更または追加が可能である。特に、さらなる特徴および/または変形形態が、本明細書に明記されたそれらのものに加えて提供され得る。たとえば、上記に説明された実施形態は、開示された特徴の様々な組合せおよびサブコンビネーション、かつ/または上記に開示された、いくつかのさらなる特徴の組合せおよびサブコンビネーションに向けられ得る。さらに、本明細書に説明された、使用するための論理フローおよびステップは、望ましい結果を達成するために、示された特定のオーダ、またはシーケンス型オーダを必要としない。その他の実施形態は、特許請求の範囲の範囲内にあることができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10