(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258461
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】冷凍コンテナにおける除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法
(51)【国際特許分類】
F25D 21/06 20060101AFI20171227BHJP
F25D 21/08 20060101ALI20171227BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20171227BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
F25D21/06 N
F25D21/08 A
F25D11/00 101D
F25B47/02 D
F25B47/02 570G
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-248313(P2016-248313)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-122569(P2017-122569A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】PA201570889
(32)【優先日】2015年12月29日
(33)【優先権主張国】DK
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516205948
【氏名又は名称】マースクライン エーエス
【氏名又は名称原語表記】Maersk Line A/S
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライン ヨハネス シャープ リュコッセ
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
実公平07−028548(JP,Y2)
【文献】
特開2012−112620(JP,A)
【文献】
実開昭49−103043(JP,U)
【文献】
特開2002−107048(JP,A)
【文献】
実開昭51−112268(JP,U)
【文献】
実開昭53−036745(JP,U)
【文献】
特開2011−252702(JP,A)
【文献】
特開2003−329338(JP,A)
【文献】
特開2013−057489(JP,A)
【文献】
特開昭63−183335(JP,A)
【文献】
特開2005−282952(JP,A)
【文献】
特開2000−161821(JP,A)
【文献】
特開2006−300510(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/147076(WO,A1)
【文献】
米国特許第03465534(US,A)
【文献】
米国特許第6672086(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F25D 11/00
F25D 21/06 − 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍輸送コンテナ(1)における除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法であって、前記コンテナ(1)は:
− 輸送ボリューム(45)と、
− 冷却空間(41)に配置された、少なくとも蒸発器(16)と蒸発器ファン(10)を備える冷却ユニットと、
− 前記冷却空間(41)を前記輸送ボリューム(45)から分離させるように配置された還気グリッド(42)と、
− 前記輸送ボリューム(45)から前記冷却空間(41)に戻る空気の還気温度または前記還気グリッド(42)の温度を示す温度を検知する手段と、
− 除霜サイクルの間、前記蒸発器(16)を能動的に加熱する手段と、
− 少なくとも前記除霜サイクルの持続時間を制御するように構成されたプロセッサとを備え、
前記蒸発器ファン(10)は、前記除霜サイクルの間オフであり、
前記方法は、
− 前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す1つまたは複数の指標を確立するステップと、
− 前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す1つまたは複数の指標が、前記還気グリッド(42)に霜および/または氷がないことを示す場合にのみ、除霜サイクルを終了させると決定するステップと
をさらに含み、
前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す前記1つまたは複数の指標は、除霜サイクル開始時または開始前の期間中の冷却動作中の前記還気温度よりも高い給気温度の検出を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
冷凍輸送コンテナ(1)における除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法であって、前記コンテナ(1)は:
− 輸送ボリューム(45)と、
− 冷却空間(41)に配置された、少なくとも蒸発器(16)と蒸発器ファン(10)を備える冷却ユニットと、
− 前記冷却空間(41)を前記輸送ボリューム(45)から分離させるように配置された還気グリッド(42)と、
− 前記輸送ボリューム(45)から前記冷却空間(41)に戻る空気の還気温度または前記還気グリッド(42)の温度を示す温度を検知する手段と、
− 除霜サイクルの間、前記蒸発器(16)を能動的に加熱する手段と、
− 少なくとも前記除霜サイクルの持続時間を制御するように構成されたプロセッサとを備え、
前記蒸発器ファン(10)は、前記除霜サイクルの間オフであり、
前記方法は、
− 前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す1つまたは複数の指標を確立するステップと、
− 前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す1つまたは複数の指標が、前記還気グリッド(42)に霜および/または氷がないことを示す場合にのみ、除霜サイクルを終了させると決定するステップと
をさらに含み、
前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す1つの指標は、前記蒸発器(16)に供給される加熱能力は減少させない状態で、除霜サイクル中に発生する還気温度の0℃超への上昇後の還気温度の低下により確立されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法は、現在の除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法を構成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記還気温度または前記還気グリッド(42)の温度を示す温度を検知する手段は、前記冷却空間(41)内部で前記蒸発器(16)と前記還気グリッド(42)の上端との間の高さに配置されている、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記還気温度または前記還気グリッド(45)の温度を示す温度を検知する手段は、前記還気グリッド(42)に、もしくはその下流に、および/または前記蒸発器(16)の上流に配置された、還気温度センサ(5)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す前記1つまたは複数の指標は、除霜サイクル開始時または除霜サイクル開始前の期間または除霜サイクル中の0℃未満の還気温度の検出を含む、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す前記1つまたは複数の指標は、除霜サイクル開始時の検知された還気温度と検知された給気温度の差を含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す前記1つまたは複数の指標は、最後の除霜サイクルが終了してからの経過時間を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記還気グリッド(42)は、前記輸送ボリューム(45)と前記冷却空間(41)の間に配置されるバルクヘッドの上部に配置される、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積を示す1つの指標は、除霜開始からの経過時間である、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記除霜サイクルの延長が、前記除霜サイクルの開始時の前記還気温度が0℃未満である場合にのみ行われるように構成される、請求項1から10のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項12】
前記蒸発器ファン(10)は、前記還気グリッド(42)の下流かつ前記蒸発器(16)の上流に配置されている、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記還気グリッド(42)における霜および/または氷の堆積の指標が与えられた除霜サイクル後、前記還気グリッド(42)から水ならびに/または部分的に溶けた霜および/もしくは氷を吹き飛ばすために、前記蒸発器ファン(10)を所定の期間順方向または逆方向に稼働させるステップをさらに含む、請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
冷凍輸送コンテナ(1)における除霜サイクルをいつ終了させるかを決定するデバイスであって、請求項1から13の何れか一項に記載の方法に従って動作するように構成されることを特徴とする、デバイス。
【請求項15】
コンピュータ実行可能命令を有するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されたとき、前記1つまたは複数のコンピュータプロセッサに、請求項1から13の何れか一項の冷凍輸送コンテナにおける除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法を提供させることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様によると、本発明は、冷凍輸送コンテナにおける除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法に関する。
【0002】
冷凍輸送コンテナは、
− 輸送ボリューム(45)と、
− 冷却空間(41)に配置された少なくとも蒸発器(16)を備える冷却ユニットと、
− 当該冷却空間(41)を当該輸送ボリューム(45)から分離させるように配置された還気グリッド(42)と、
− 当該輸送ボリューム(45)から当該冷却空間(41)に戻る空気の還気温度または還気グリッド(45)の温度を示す温度を検知する手段と、
− 除霜サイクルの間、当該蒸発器(16)を能動的に加熱する手段と、
− 少なくとも当該除霜サイクルの持続時間を制御するように構成されたプロセッサと
を備える。
【0003】
本発明の第2の態様によると、冷凍輸送コンテナにおける除霜サイクルをいつ終了させるかを決定するように構成されたデバイスまたはシステムまたはコントローラが提供される。
【0004】
本発明の第3の態様によると、冷凍輸送コンテナにおける除霜サイクルをいつ終了させるかを決定するように構成されたソフトウェアを備えたコンピュータ可読媒体が提供される。ソフトウェアは、冷凍輸送コンテナ用のソフトウェア/ファームウェアを構成してもよい。
【0005】
冷凍輸送コンテナは、インターモーダル輸送コンテナを構成してもよい。
【0006】
本開示を通して、用語「氷」は凍結した水、すなわち脆く透明な結晶質固体を表す。用語「霜」は、水が飽和した空気から水蒸気が析出するときに形成される小さな白色のまたは輝く結晶を意味する。霜は、固体の表面が、隣接する空気のいわゆる露点未満まで、また水の凝固点未満まで冷却されたときに形成される。温風の流れは、霜よりもずっとゆっくりと氷を溶かす。これは、氷がはるかに小さな表面積対体積比を有するからである。
【背景技術】
【0007】
冷凍輸送コンテナ、またはいわゆる冷凍コンテナは、貨物輸送のために使用される運送用コンテナである。コンテナは温度に敏感な貨物の輸送のために冷却または保冷される。典型的な冷凍コンテナは、外部電源に通常頼る能動冷却ユニットに接続された冷凍輸送ボリュームからなる。
【0008】
冷凍輸送コンテナの社会への影響は広大であり、世界中の消費者は年中いつでも新鮮な製品を楽しみ、世界のさまざまな地方からの以前は入手不可能であった新鮮な製品を体験することができるようになった。ほとんどの消費者は、あらゆる種類の新鮮な製品が一年中どの食料品店でも入手可能であり、手頃な価格であることを当然のことであると思っている。
【0009】
消費者の期待に添って消費者に提供するには、信頼性が高い自動温度調節システムおよび高度なロジスティクスソリューションを備えた技術的に進んだ冷凍コンテナが必要とされる。
【0010】
蒸発器は、冷媒が輸送ボリュームから熱を吸収することによって、1つまたは複数の蒸発器ファンにより蒸発器または蒸発器コイルの上を流れるか、またはこれらを通って流れる空気を冷却する冷凍システムの一部である。このプロセスにおいて、蒸発器の上を通るかまたは蒸発器を通過する空気により運ばれる湿気および水は、蒸発器の冷たい表面上に付着し得るため、霜および/または氷が蒸発器の表面上に堆積し始める。霜および/または氷の堆積は、適切な除霜対策によって阻止されなければ、冷却ユニットの適切な動作を妨げ得るレベルまで時間の経過とともに蓄積する。
【0011】
したがって、除霜コントローラ、または冷却ユニットの動作を制御するプロセッサに組み込まれた除霜機能が通常提供される。
【0012】
以下では、簡潔さのために、「除霜コントローラ」という名称は、そのような除霜コントローラおよび/または冷却ユニットの動作を制御するプロセッサに組み込まれた当該除霜機能を意味する。
【0013】
通常のいわゆる除霜サイクル、または除霜期間について、除霜コントローラは通常、以下の2つの決定機会を有する:
a)第1の決定機会は、除霜サイクルを始めるときであり、
b)第2の決定機会は、除霜サイクルを終了させるときである。
【0014】
第2の決定機会は、現在の除霜サイクル中、または第1の決定機会の前に設定されてもよい。
【0015】
第1および第2の決定機会は、従来技術によれば、例えば、特定のパラメータが所定のしきい値に達することで、および/または所定の期間の経過によって、トリガされてもよい。
【0016】
冷凍コンテナの凍結モード動作は、0℃もしくは−5℃を下回る、またははるかに下回る温度設定値における動作である。
【0017】
凍結モード動作中に、または還気温度が約0℃以下である動作モード中に、以下の3つの状況が生じ得る:
i.蒸発器の表面上における霜および/もしくは氷の形成および堆積、ならびに/または
ii.蒸発器の上方もしくは上流の冷却空間内の部品における霜および/もしくは氷の形成および堆積、ならびに/または
iii.蒸発器の下方、すなわち、給気ダクト内の床の1つもしくは複数の面における氷の形成および堆積
である。
【0018】
第1の状況(i.)は一般的な状況であると考えられる。除霜のための従来技術の方法およびシステムは、この状況に対応するために構成され、したがって、上述のような第1の決定機会a)および第2の決定機会b)は、この状況に対応するために設定または制御される。
【0019】
上述の状況(ii.)のような、蒸発器の上方またはその上流の空間内に格納または収容されており、蒸発器から最も離れた部品は、還気グリッドである。還気グリッドは、空気の流れを実質的に妨げることなく、貨物空間または輸送ボリュームから冷却空間を分離するように構成されている。場合によっては、還気グリッドにも霜および/または氷が形成および堆積しやすいことがあり、この場合、霜および/または氷は空気の流れに関連する問題を生じ、これは最終的には、冷凍コンテナの適切な動作を確実なものとするために、解決する必要がある。
【0020】
還気グリッドが完全に遮断された場合には、コンテナ内の空気循環は不可逆的に遮断され得、これにより貨物を別の冷凍コンテナに積み直す必要が生じ得る。
【0021】
蒸発器の上方またはその上流に配置された冷却空間内の部品、特に還気グリッドにおける氷の形成は通常、冷凍輸送コンテナ内の空気の状態が還気流中に存在する過冷却された霧および/または氷晶の存在を含む場合に生じる。
【0022】
上述の状況(iii.)のような蒸発器の下方、すなわち給気ダクトの床上または床内における霜および/または氷の形成および堆積は、コンテナ内の空気循環を不可逆的に遮断する可能性があり、貨物の別の冷凍コンテナへの積み直しを必要とし得る。
【0023】
温度に敏感な貨物の積み直しは、温度に関する不適切な扱い、時間の浪費、および輸送会社への相当の追加費用の原因となりうる。
【0024】
空気循環の不可逆的な遮断は通常、凍結モードの輸送では回避可能であるが、偶発的に起こることがある。特に、不可逆的な遮断は、非常に湿った積荷がある輸送において生じ、このような積荷はコンテナに積まれた後も絶えず冷却される必要がある。
【0025】
エアダクトまたは他の場所に氷が蓄積するという問題に対して考えられる解決策は、単純に、氷が蓄積し得る場所に熱を供給することである。氷は主として、冷凍輸送コンテナの床と、冷却空間の内壁に設けられた融解水収集ガイド部に蓄積する傾向がある。氷が蓄積する問題に対する解決策は、除霜サイクルの間、十分な量の熱を前述の場所に供給することにより氷の形成を回避することである。しかしながら、前述の場所への熱供給には、氷が問題となるレベルまで蓄積すると認められる場所、すなわち、主に給気ダクト領域の内部またはその近傍へのトレース加熱素子等の発熱体の設置を必要とすることになる。
【0026】
冷凍輸送コンテナは、使用される輸送産業の要望により高度に規格化される必要があるため、一部のコンテナだけを非常に湿った積荷を運ぶために特別に改変することはできそうにもない。特に、特定の事実上の輸送産業の要望、例えば、規模の経済、グローバルな利用、およびコンテナフリートの無制限の汎用性は、冷凍コンテナのごく一部のこのような改変に不利に働く。
【0027】
国際公開第2014/147076号A1は、パレット貨物輸送用の冷凍コンテナを開示する。このコンテナは冷凍機械を備えており、冷凍機械を循環または通過する空気がコンテナの両側にあるダクトに分かれる。この発明はさらに、冷凍コンテナにパレットを積む方法に関する。
【0028】
米国特許第3,465,534号Aは、蒸発器を通る空気の流れが霜によって比較的阻害される場合に、冷凍装置の蒸発器を除霜する装置を開示している。蒸発器を通る空気の流れは、蒸発器を迂回する基準経路内の空気の流れについて測定される。流量は、一対の自己加熱サーミスタにより検知される。サーミスタは各々の経路に配置される。サーミスタは、遷移温度を有する半導体材料で構成される。この遷移温度を超えると、材料の抵抗が突然に大きくなる。したがって、電流をサーミスタに印加し、サーミスタを自己発熱させると、突然に大きくなる抵抗特性により、サーミスタを遷移温度で自己調整させる。
【0029】
米国特許出願公開第2003/202557号Aは、輸送温度制御ユニットと、輸送温度制御ユニットの蒸発器コイルを除霜する方法とを開示している。輸送温度制御ユニットは、蒸発器コイル、周囲空気温度を検知する周囲空気温度センサ、還気温度を検知する還気温度センサ、排気温度を検知する排気温度センサ、蒸発器コイル温度を検知する蒸発器コイル温度センサ、およびコントローラを備える。大きな温度差が蒸発器に生じるとコントローラは除霜サイクルを開始させる。
【0030】
米国特許出願公開第2006/248904号Aは、車両積載空間における空調方法を開示している。この方法は、蒸発器を含む冷媒回路を提供することと、冷媒に冷媒回路を通過させることと、積載空間の空気を蒸発器と交差させることと、蒸発器の上流における冷媒回路内の冷媒の温度および圧力の一方に基づき第1状態を検知することと、蒸発器内の冷媒の温度および圧力の一方に基づき第2状態を決定することと、第1状態と第2状態との差を決定することと、この差がしきい値より大きいときに蒸発器の除霜プロセスを開始することとを含む。
【0031】
米国特許第6,672,086号BBは、意図的に霧を冷却器に供給する結霜冷却器を開示している。このことは、冷却器内に保管される飲料ボトル等の低温製品に霜を生成および維持する目的で行われる。このことにより、喉の渇いた消費者には非常に魅力的であることが意図された飲料の冷たい状態の視覚的表示が提供される。当該冷却器は、ボトルに入った液体を凍結させることなく周囲空気中の湿度が低い環境で霜が生成できるように湿気を冷却器内の製品に供給する能力を有する。冷却器は、一旦製品に霜が形成されるとその霜を制御および保護するように動作する。加えて、当該文献は、製品ボリュームと蒸発器との間の気流経路にある物体について、それらの部品を単に省略または再配置することにより、それらの物体への霜形成を防ぐ設計を開示している。結果として、前述の明細書は還気グリッドを記述していない。第2に、空気がまず蒸発器コイル、その後、ファンに当たるように、1つまたは複数の蒸発器ファンを配置する。これはファンへの霜形成を回避する効果的な方法であるが、これは冷凍能力の低下およびエネルギー消費の増大につながる。
【0032】
たとえ、前述の米国特許第6,672,086号BBに記載される結霜冷却器が製品を保管する断熱キャビネット内の蒸発器およびファンへの霜の蓄積を防止するように設計および制御されるとしても、その環境は、多目的冷凍輸送コンテナとは異なる。上記のように、冷凍コンテナは、どんなタイプの温度制御された貨物も運搬するのに適していなければならないタイプの設備である。記載された結霜冷却器もまた、冷凍輸送コンテナにおいて不可欠な設備である還気グリッドを欠いており、これを通過した還気は途中でファンを通り、その後に蒸発器コイルを通過する。
【0033】
改変することなく多目的冷凍輸送コンテナを利用するという商業的に動機付けられた要望に加えて、余分な機械設備には購入費用を伴い、設置、保守を必要とし、空気の流れ等のために必要とされる物理的空間を占めてしまう。
【0034】
さらに、米国特許第6,672,086号BBが提案するように、空気がまず蒸発器、次に蒸発器ファンを通過するように、すなわち、蒸発器の下方に1つまたは複数の蒸発器ファンを配置することは、冷凍ユニットの冷却能力およびエネルギー効率を抑制するであろう。これは、霜が蒸発器ファンに蓄積するという現在の設計において稀な状況において蒸発器ファンへの霜形成の課題を解決するために、すべての輸送においてエネルギー上で不利になることを意味する。蒸発器ファンの位置を変えないのであれば、還気グリッドは、梱包材または人の指等の物体が回転中の蒸発器ファンに当たることを回避するために、所定位置に配置される必要がある。
【0035】
結論として、特に凍結モード動作または還気温度が約0℃以下の動作モードにおける上記の問題への有効な解決策が必要とされている。この課題は、湿った積荷の温度が0℃未満の輸送温度まで引き下げられるという状況でも顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明が解決する第1の課題とは、蒸発器の上方または上流の冷却空間内の部品、特に還気グリッドへの霜および/または氷の形成および/または堆積を防止することである。
【0037】
本発明が解決する第2の課題とは、蒸発器の下方、すなわち、給気ダクト、または貨物が置かれるT形床板/格子の入口への氷の形成および/または堆積を防止および/または阻止することである。
【0038】
経験によれば、第2の課題は、第1の課題に適切に対処しなかった結果であり、すなわち、還気グリッドに氷および/または霜がない状態が維持されれば、上述の冷凍輸送コンテナの残りの部品も氷および/または霜がない状態が本質的に維持されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明の目的は、本明細書の導入部にあるように、冷凍輸送コンテナ1における除霜サイクルをいつ終了させるかを決定する方法を提供することによって、前述のような氷および/または霜の形成および堆積という問題を解決することである。本方法は、
− 還気グリッド42における霜および/または氷の堆積を示す1つまたは複数の指標を確立するステップと、
− 当該還気グリッド42における霜および/または氷の堆積を示す当該1つまたは複数の指標が、当該還気グリッドに霜および/または氷がないことを示す場合にのみ、除霜サイクルを終了させると決定するステップと
を含む。
【0040】
このことにより、従来技術が提案するような蒸発器だけでなく、特定の条件下で霜および/または氷が蓄積すると知られているさらなる部品も除霜する方法が述べられる。
【0041】
除霜サイクルを終了させる決定は、蒸発器の除霜サイクル等の除霜サイクルを延長または拡張する決定を構成してもよい。
【0042】
当該還気グリッド42における霜および/または氷の堆積を示す指標は、還気グリッドが霜および/または氷により遮断または部分的に遮断されているかどうかを示すように構成または選択されてよい。
【0043】
したがって、前述の第1の課題(ii.)、したがって、内在する第2の課題(iii.)もまた、蒸発器の除霜サイクルを延長し、蒸発器に加えられる熱を、おそらくは自然対流によって蒸発器の上方の部品、例えば、還気グリッド42へと伝搬させ、当該部品から蓄積した霜および/または氷をすべて溶かすことによって解決される。
【0044】
所定の状態と一致する還気グリッドにおける霜および/または氷の堆積を示す指標に応じて、除霜サイクルは、除霜のための加熱をオフにし、冷却ユニットの非除霜の動作モードを再開することによって終了される。
【0045】
したがって、延長または拡張された除霜サイクルは、所定の指標の1つまたは複数が所定の状態に一致したときに終了する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、霜および/または氷の堆積を示す指標は、冷却ユニットの下方および/または貨物空間の下方のエアダクトならびに冷却ユニットの下部における霜および/または氷の堆積を表す指標を構成してもよい。
【0047】
本発明によって、理想的には冷却空間41全体に霜および/または氷がない状態を維持することを達成することができる。拡張された除霜サイクルの間、霜および/または氷はすべて蒸発器16、還気グリッド42、その間にあるすべての部品から溶け、融解水はすべて1つまたは複数の水収集ガイド部21を通ってコンテナ外部に排出される。除霜および除氷するプロセスは、以下の発明を実施するための形態に、より詳細に記載されている。
【0048】
本発明によると、温度に敏感な貨物を運搬するのに適した多目的冷凍輸送コンテナは、冷却プロセスの中断による貨物の損傷リスクなしで、温度を引き下げた凍結モードで、非常に湿った積荷を輸送するために使用することができ、これはいかなる機械設備の改変も必要としない。
【0049】
すでに利用可能な現在の冷凍コンテナの動作モードは通常、本発明に係る方法が組み込まれたソフトウェアの更新により再構成されてもよいため、機械設備の購入に典型的な余分な費用が伴わず、設置または保守が必要なく、貨物または空気の流れに必要とされる物理的空間が余分な機械設備に占められることがない。
【0050】
還気グリッド42および標準的な冷凍コンテナにおける給気ダクト46は、コンテナが一旦貨物でいっぱいになると、特に、コンテナがコンテナ船のコンテナホールド内のセルガイドに積み込まれると、視認することができず、容易にアクセスすることもできない。結果として、霜および/または氷のこれらの場所における形成は、容易に視認することも機械的に除去することもできない。
【0051】
蒸発器の下方の給気ダクトは、輸送ボリュームを通してのみアクセス可能である。したがって、本発明が解決しようとする状況において残っている貨物を回収する手順は、この状況に完全に気付いており、かつコンテナが概ねアクセス可能であれば、まずドアロックにある税関封印を切り、ドアを開け、次に貨物を別の冷凍コンテナに積み直し、冷凍コンテナの識別番号の変更および新たな税関封印に起因する、関税に関する書類作業を行なうというものである。
【0052】
本発明によって、上述の非常に望ましくない手順を回避できる。この手順の回避は、冷凍輸送コンテナの冷凍または冷蔵貨物の輸送に関わる利害関係者全員にとって非常に望ましい。
【0053】
全面的な積み直し手順の代わりとして、貨物の少なくとも一部を下ろしてから、蓄積した氷および霜を機械的に除去することがしばしば試みられる。明らかに、コンテナがコンテナ船上の貨物ホールド、典型的には間にあるセルガイドに積み込まれているときには、そうするのは不可能である。
【0054】
本発明の種々の代替的実施形態によると、本方法は、経験的であれそうでなかれ、実質的にすべての霜および/または氷が、少なくとも1つの蒸発器ファン10から、ならびに/または蒸発器16から、ならびに/または蒸発器16の上方もしくは上流の他のすべての部品から、ならびに/または冷却空間41内に配置された還気温度センサ5および除霜温度センサ17のいずれからも溶けた状態を表すことができる、所定の状態を表す指標の適用を含んでいてもよい。これにより、本発明に係る方法が、従来技術が提案するような蒸発器だけでなく、他の部品にも霜および/または氷が蓄積し得る状態に影響を及ぼすさまざまな状況に適合可能であるということが達成される。
【0055】
本発明の代替的実施形態によると、本方法は、所定の指標のうち1つまたは複数を決定することを含むことができる。所定の指標は、好ましくは少なくとも1つの蒸発器ファンの高さまたはそれ以上の高さに配置される温度センサによる、またはその代わりもしくはそうでなくとも、所望により冷却空間の蒸発器の最も高い点よりも高い位置に配置された温度センサによる、またはさらなる代替として、還気グリッド42にもしくはその両側面に配置された少なくとも1つの温度センサによる温度であってもよい。これにより、本方法が、還気グリッド42または冷却空間41、46の下部または貨物の下方のエアダクト内の霜および/または氷の堆積を示す指標を測定および/または確立するための所定のまたは代表的な条件に影響を及ぼすさまざまな状況に適合可能となることが達成される。
【0056】
本発明のさらに別の代替的実施形態によると、還気グリッドの輸送ボリューム側に温度センサが配置された場合に、温度センサを収容するために、保護凹部が冷凍輸送コンテナの内壁または天井に設けられてもよい。損傷のリスクを冒したり、または取り扱いに注意を要する測定機器を破壊したりすることなく、冷凍輸送コンテナの簡略化した効率的な荷積みまたは関連する管理を容易にするために、この凹部は温度センサに保護を与える。特に、これは、1つまたは複数の温度センサが還気グリッド42の輸送ボリューム側に収容されたときに重要である。凹部の保護機能は、還気グリッド42の両側または測定機器が設置される冷凍輸送コンテナ内のどこかで利用されてもよい。
【0057】
本発明のさらに別の代替的実施形態によると、本方法は所定の指標のうちの1つは、除霜サイクル開始からの経過時間であってもよいことを利用できる。この指標は、除霜サイクルを終了させるさらなる選択肢を提供すること、ならびに/または冷凍輸送コンテナの必須部品から溶ける霜および/または氷についての除霜サイクルが有する効果を制御するという利点を有する。さらに、この指標のさらなる利点は、以下のように経過時間の関数として温度を測定する選択肢に関連する。
【0058】
本発明のさらに別の代替的実施形態によると、除霜終了制御の方法は、所定の指標のうちの1つが除霜開始から記録された温度の関数であってもよいことを含んでいてもよい。このことは、実質的にすべての霜および/または氷が蒸発器だけでなく他の部品からも溶けた状態を表す指標を判断することができるようになった後、除霜サイクルを終了させるというさらなる選択肢を提供するという利点を有する。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態では、本方法は、実質的にすべての霜および/または氷が輸送ボリューム45と冷却空間41との間の還気流中に配置された還気グリッド42から溶けたという指標に従って、除霜サイクルまたは拡張もしくは延長された除霜サイクルをいつ終了させるかを自動で決定し、最終的に制御するステップを含んでもよい。これは、手動入力および支援の必要性、したがってオペレータ入力の必要性を小さく、またはなくしさえもする一方で、不必要に長い除霜期間を回避する利点を有する。
【0060】
一実施形態によると、本出願による除霜のために構成された手段を備えたインターモーダル輸送コンテナ等のコンテナが提供される。
【0061】
概して、本発明は、単に氷の形成の影響に対処しようとするのではなく、給気ダクト46における氷の形成の問題の根本的原因に対処する方法および種々の相互に関係のある方法を提供する。
【0062】
給気ダクト46における氷の形成の問題の根本的原因の軽減には、氷の形成につながる事象の連鎖の完全な理解を必要とする。
【0063】
給気ダクト46における氷の形成につながる一連の段階は以下のようである。第1段階において蒸発器16の上方の還気グリッド42のような場所に霜および/または氷がまず蓄積した後、第2段階で除霜サイクルが終了したときにこの霜および/または氷はまだ溶けており、次に第3段階で1つまたは複数の融解水収集ガイド部21が着氷し、第4段階で給気ダクト46が着氷する。その結果、給気ダクト46における氷の堆積および最終的な遮断の根本的原因は、還気グリッド42における霜および/または氷の堆積であり得る。
【0064】
前述の事象の連鎖は、前述のように、輸送中に劣化させないために積まれた後も冷却の必要があるブライン凍結魚、特にブライン凍結マグロ等の、非常に湿った積荷の輸送で生じ得る。
【0065】
本明細書で提案される解決策は、自然対流、すなわち、温風が上昇し、蒸発器へ加えられる熱がさらに上方のユニットまたは冷却空間41へ運ばれるという現象に頼りながら、延長または拡張された除霜サイクルを呼び出し、還気グリッド42を含む蒸発器16の上方の場所に蓄積した実質的にすべての霜および/または氷が溶けたときにだけ、除霜サイクルを終了させる。このことは、特に上述の事象の連鎖の第2段階に照準を合わせていることを説明している。
【0066】
本発明に係る方法は、延長または拡張された除霜サイクルを呼び出す必要がある場合の選択を以下のように可能にする。コンテナへと貨物を積まれた後も冷却する必要がある非常に湿った積荷の輸送開始時に、オペレータがコントローラに入力を行うか、または自動アルゴリズムが延長された除霜サイクルの必要性を検出する。この自動検出は、冷凍ユニットの異常な挙動の観察に基づくことができ、この異常な挙動の1つは、蒸発器への際立って速い霜形成の検出であり、その結果異常に頻繁な除霜を必要とする。このような際立って速い霜形成は、還気温度の測定および/または還気温度曲線および/または除霜サイクルの完了に必要とされる経過時間をはじめとする、種々の検出技術により検出可能な特定のパターンを残す。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、本開示の態様による冷凍輸送コンテナの簡略化された縦断面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、除霜サイクルの開始時に還気グリッドが霜で覆われているか、または少なくとも部分的に遮断されている場合の、除霜サイクルの還気温度曲線を示す。
【
図3】
図3は、霜および/または氷の形成を低減および/または回避する本発明の方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、蒸発器から霜および/または氷がすべて溶けたときに除霜サイクル(本明細書では「蒸発器の除霜」と呼ぶ)を終了させる従来技術の蒸発器の除霜終了法を適用する場合と、還気グリッドから霜および/または氷が実質的にすべて溶けたときにのみ除霜サイクル(本明細書では「還気グリッドの除霜」と呼ぶ)を終了させる本発明による延長または拡張された除霜サイクルを適用する場合を、自動で制御または決定する方法のフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、自動除霜終了タイプの制御アルゴリズムの動作例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本開示は、概して、標準的な冷凍輸送コンテナに関するものであり、言及される特徴は通常、種類に関係なく標準化された冷凍輸送コンテナに存在するものである。しかしながら、冷凍輸送コンテナに関連して使用されるその他の典型的な冷却ユニットまたは冷凍ユニットの構造は、本発明に関連する特許請求の範囲の範囲から逸脱することなくいくつかの点で異なり得る。
【0069】
図1は、冷却または冷凍ユニットまたはシステム40を有する前方セクションと、積荷/貨物セクションまたは輸送ボリューム45を備えた冷凍輸送コンテナ1を示す。
【0070】
冷凍輸送コンテナ1の輸送ボリューム45は、例えば、複数の積み重ね可能な輸送カートンまたはクレート35を含む商品または貨物積荷を備える。商品または貨物積荷は、積荷の上を十分な還気流が確実に通過できるように天井と積荷との間に適切なまたは十分な隙間を残すように、輸送ボリューム45内に配置される。
【0071】
本実施例の冷却ユニット40は、いわゆる蒸気圧縮冷凍回路および冷却空間41を備える。冷凍回路は、少なくとも、圧縮機6、1つまたは複数の凝縮器ファン9を有する凝縮器7、膨張装置または絞り弁8、1つまたは複数の蒸発器ファン10が上流側に配置された蒸発器16を備える。
【0072】
圧縮機6および1つまたは複数の凝縮器ファン9を有する凝縮器7は通常、輸送コンテナ1の断熱容器外部に位置する。
【0073】
蒸発器16は、蒸発器16の外面の温度を測定するいわゆる除霜温度センサ17をさらに含むか収容してもよい。除霜温度センサ17は、蒸発器の空気側の表面温度またはそれを表すものを測定する。
【0074】
冷却空間41は、冷凍輸送コンテナ1の断熱容器内部に位置する。
【0075】
冷却空間41は通常、パネルまたは隔壁により輸送ボリューム45から分離される。パネルの上部は、いわゆる還気グリッド42を備える。還気グリッド42は、空気が通過できるように、貫通している、または開口している。蒸発器ファン10が回転すると、蒸発器ファン10は輸送ボリューム45からの還気流50をこの還気グリッド42を通して冷却空間41内へと引き込む。同時に、給気流55は、冷却空間41の下端に位置する給気ダクト46を通して輸送ボリューム45へと排出される。冷却空間および輸送ボリューム45を通る気流は、1つまたは複数の蒸発器ファン10により維持される。
【0076】
還気グリッド42は、輸送ボリューム45から冷却空間41内への空気の入口を示す。冷却空間41を通る途中、空気は還気グリッド42、還気温度センサ5、気流を維持する1つまたは複数の蒸発器ファン10、内部またはその上に除霜温度センサ17を有する蒸発器コイル16、場合によっては1つまたは複数の電気ヒータ素子20、除霜融解水収集ガイド部21、および給気ダクトの内部に配置された給気温度センサ25を順に通過し、その後空気は冷凍輸送ボリューム45のT形床に供給される。
【0077】
蒸発器16の下端からT形床の入口までの空間は給気ダクト46と示される。
【0078】
還気グリッド42は、動作時に、梱包材または人の指等の物体が、回転している蒸発器ファン10に当たることを回避する予防機能を有する。
【0079】
1つまたは複数の除霜融解水収集ガイド部21は、蒸発器16および場合によっては加熱ユニット20の下に位置する。除霜融解水収集ガイド部21は、一連のドレンガターまたは受け皿を備え、蒸発器または冷却空間45内の蒸発器16より上方の部品から垂れ落ちる除霜融解水を収集し、その水をいわゆるドレンパンに誘導する。ドレンパンは、排水管に接続している開口部を下端に有する。融解水は、排水管を通ってコンテナの外部に排出される
【0080】
制御システムは、プログラムされたマイクロプロセッサまたは同等物を備える。マイクロプロセッサまたは同等物は、とりわけ、圧縮機6および加熱ユニット20を一組のマイクロプロセッサプログラム命令によって定義された制御アルゴリズムに従って制御する。制御システムは、ユーザインタフェース、例えば、LCDディスプレイ、およびキーパッドを追加で備えてもよい。この場合、オペレータまたは船舶技術者は、制御アルゴリズムの特定のパラメータ値、例えば、複数の変更可能なパラメータのうち1つのパラメータのみについて言えば、冷凍輸送コンテナ1の温度設定値を入力または変更することができる。
【0081】
動作中、いくらか霜が蒸発器16に蓄積するのは通常のことである。したがって、この霜の形成に対処するために、除霜コントローラは定期的に、冷却動作を中断して除霜サイクルにより蒸発器16を除霜する。
【0082】
1回の除霜サイクルでは、前述のように、除霜コントローラは、除霜サイクルを開始するときと除霜動作期間を終了させるときとの、2つの決定機会を有する。理想的には、通常の除霜サイクルの間、霜はすべて蒸発器16から溶け、融解水はすべて少なくとも1つの除霜融解水収集ガイド部21を通してコンテナの外部に排出され、除霜開始から除霜終了までの期間は厳密には必要とされるものよりも長くならないように調節される。
【0083】
不必要に長い除霜サイクルは、エネルギーの損失につながり得、さらに輸送ボリューム45内に配置された貨物、特に、還気グリッド42近傍に配置された慎重に扱うべき貨物についての、温度に関する不適切な扱いのリスクを増大させ得る。
【0084】
制御システムが除霜サイクルを開始させる必要性を示すかまたは見出す場合、システムは蒸発器ファン10を停止させる。さらに、膨張装置8を介した蒸発器16への液体冷媒の供給も停止する。さらに、制御システムは、場合により存在する加熱ユニット20により、および/または圧縮機6を出る温かい冷媒ガスが蒸発器16の冷媒側へと流れ込むように冷媒流路を変更することにより、蒸発器16への熱供給を開始する。
【0085】
一般的な除霜終了のロジックは、霜がすべて蒸発器から溶けた(「蒸発器の除霜」)直後に除霜動作期間を終了させることを目的とする。典型的には、これは、2つの終了基準を適用し、そのうち少なくとも1つが満たされたときに除霜サイクルを終了させることによって達成される。
【0086】
2つの通常の終了基準は:
− 設定された最長除霜持続時間が経過したとき、または
− 除霜温度センサ17が、0℃をはるかに超えた所定の除霜終了温度設定値、例えば+18℃に達したとき
である。
【0087】
霜がすべて蒸発器から溶けた直後に除霜動作期間を終了させるために、時間的基準は、除霜温度センサ基準が決定的となるように設定される。除霜温度センサ17は、蒸発器16の霜が通常最後に溶ける部分の内部またはその部分に配置される。冷凍輸送コンテナにおいて、この部分は、蒸発器の上側または直上のどこかであることが好ましい。
【0088】
還気温度が0℃未満である一部の輸送において、霜は蒸発器16の上方またはその上流の冷却空間41内の場所に形成される。特に、これは、コンテナに積まれた後も絶えず冷却する必要がある非常に湿った貨物の輸送において生じる。極端な場合には、還気グリッド42にはひどく霜がつくため、輸送ボリューム45を通る空気循環を損ない、なおかつ、給気ダクト等における氷の蓄積を引き起こすそれほど明白ではない事象の連鎖が起こり始める。還気グリッド42における霜形成は、還気流中に存在する過冷却された霧および/または氷晶が存在する場合にのみ起こり、これは、コンテナに積まれた後も絶えず冷却される必要がある非常に湿った貨物において起こり得ると考えられている。
【0089】
霜が蒸発器16の上方またはその上流の場所に形成されると、通常の「蒸発器の除霜」終了手順では、除霜サイクルを途中で終了させてしまう。このことは、還気グリッド42が霜または氷が蓄積し得る最も高い位置にあるのに対して、除霜サイクルの終了が、蒸発器16の上方に蓄積した霜の除去、すなわち、融解には早過ぎことを意味する。いくらかの霜が蒸発器コイルの上に蓄積した場合、その一部は、「蒸発器の除霜」手順が除霜サイクルを終了させる間に溶けるであろう。
【0090】
除霜サイクルが途中で、すなわち、融解水収集ガイド部の方へ向かいこれを通って流れる融解水がまだある間に、終了してしまう場合、このことによりこれらのガイド部に氷が堆積するリスクを有する。これは、液体の水がまだ存在する間に、凍結環境に戻るからである。次の除霜サイクルでは、この氷は、その密な性質のために霜よりもはるかに溶けにくい。さらに、収集ガイド部21は通常熱源、すなわち、おそらくは加熱ユニットまたは熱ガスで満たされた蒸発器チューブの下方に位置するため、除霜のための熱を収集ガイド部21に導くのは困難である。
【0091】
一連の1つまたはそれ以上の途中で終了された除霜サイクルの間、収集ガイド部21の一部における氷は、ガイド部21を完全に詰まらせるレベルまで蓄積し得る。その瞬間から、融解水はすべて給気ダクト46の床に落ち、その場で水が凍る。極端なシナリオでは、この床の氷は、冷却空間41を通る空気循環を完全に遮断するレベルまで蓄積し、輸送ボリューム45内の貨物はもはや冷却されず、その温度が上昇し始める。
【0092】
本発明の制御システムまたはユニットは、実質的にすべての霜および氷が、蒸発器16と、還気グリッド42を含めた冷却空間41内の蒸発器16より上方にある部品から溶けるまで、除霜終了を延期することによって、「還気グリッドの除霜」、すなわち、延長または拡張された除霜サイクルを適用するかどうかを決定する。
【0093】
本発明の一態様は、蒸発器の除霜サイクルの終了段階よりも期間を遅らせた段階でいつ除霜サイクルを終了させるかを決定することによって、除霜サイクルを延長および/または拡張および/または維持する方法を構成する。
【0094】
本発明の別の関連態様は、延長された除霜サイクルを適用する必要があるかどうかの決定である。前述のように、本発明によって、理想的には冷却空間41全体に氷がない状態となることを達成する。
【0095】
図2は、除霜サイクルの開始時に還気グリッド42が霜で覆われているか、または少なくとも部分的に遮断されている場合の、除霜サイクルの典型的な還気温度曲線を示す。曲線は還気温度センサ5により記録されたものであるが、冷却空間内で蒸発器の最も高い点よりも高い位置に配置された任意の他の温度センサは同等の温度曲線を記録するであろう。
【0096】
除霜サイクルは時間0から開始する。
図2では、段階Aは、熱を蒸発器に供給しているにもかかわらず還気温度がほとんど上がらない期間である。段階Aでは、還気温度はゆっくりとしか上がらないが、これは蒸発器16に供給された感知可能な熱のほとんどが、蒸発器16から溶ける霜または氷の潜熱に変換されるためである。蒸発器16から霜または氷がなくなると、より多くの感知可能な熱は、自然対流で運ばれることにより冷却空間41の上部に流れ、その結果、還気温度曲線の傾きが大きくなる(段階B参照)。還気温度が0℃に達すると、還気温度センサ5のすぐ近くの霜は溶け始め、還気温度センサ5に達する感知可能な熱のほとんどは潜熱に変換され、その結果、還気温度曲線の傾きは段階Cの約0℃/分まで小さくなる。還気温度センサ5から霜がなくなるとすぐに還気温度曲線の傾きは再度大きくなる(段階D参照)。還気グリッド42は霜または氷で塞がれているため、熱は冷却空間41内に閉じ込められたままになる。還気グリッド42で融解が進むと、還気グリッド42が開放されて、空気の流れが許容されるので、温風が冷却空間から輸送ボリュームの方に逃げ始める。このことは還気温度曲線の一時的な負の傾きをもたらし得る(段階E参照)。すべての霜が融解した後、空気の流れの抵抗は一定となり、自然対流により上向きの気流が冷却空間を通る。
【0097】
その一方で、還気温度が比較的ゆっくりとしたペースで徐々に上昇するが、これは温風が容易に輸送ボリューム45へと逃げるためである(段階F)。
【0098】
蒸発器以外の部品に霜が蓄積していなければ、
図2の温度曲線は徐々に段階Aから段階Fへと滑らかに推移する。
【0099】
「蒸発器の除霜」は通常、段階Aの終わりまたは段階Bの始め、すなわち、実質的にすべての霜が蒸発器16から溶けたときに終了する。
【0100】
測定された還気温度を所定の指標として使用し、これを所定の状態と比べることにより、実質的にすべての霜および/または氷が蒸発器16だけでなく他の部品からも溶けたということが示された後に、除霜サイクルを終了させることができる。
図2に関連するいくつかの実施例は以下である:
− 実質的にすべての霜または氷が少なくとも1つの蒸発器ファン10から溶けた状態は、還気温度が、
図2の段階Cを十分に超える、0℃を十分上回る値、例えば、2℃を超えるときである。
− 実質的にすべての霜または氷が還気グリッド42と、冷却空間41内部の蒸発器16の上方にあるすべてのその他の部品とから溶けたときの状態は、最後の例えば5分間の還気温度が例えば1℃よりも大きくなり、その間、還気温度曲線の傾きが常に正であるが急峻ではなく、例えば、5分間にわたる平均が0から例えば1℃/分であり、
図2の段階Fに典型的な傾きであるときである。
【0101】
測定された温度とは別に、除霜開始からの経過時間を所定の指標として使用し、これを所定の条件である所定の最長除霜持続時間と比較することができる。その際に、通常、それまでの経験に基づいて、所定の最長除霜持続時間を最悪の霜形成の場合に調整する。
図2の場合、34分間の所定の最長除霜持続時間が有効な所定の条件となる。
【0102】
図3は、冷凍輸送コンテナの制御システムのマイクロプロセッサにより実施される除霜終了制御法またはアルゴリズムまたはプログラムによって実行される例示的なステップを示すフローチャートである。
図3の手順は、「還気グリッドの除霜」サイクルの間、ある頻度で、例えば、5分に1度以上であるが、好ましくは5秒間に1度以上呼び出される。
【0103】
図3に示すフローチャートは、「還気グリッドの除霜」タイプによる除霜終了手順300の動作の一例を提供する。この動作例によると、「還気グリッドの除霜」タイプという名称は、所定の指標を所定の温度および/または時間に関連した状態と比較し、所定の指標の1つまたは複数が所定の状態と一致するときに熱供給をオフにすることにより除霜サイクルを終了させる方法を意味する。この所定の状態とは、実質的にすべての霜および/または氷が輸送ボリュームと冷却空間41の間の還気流中に配置された還気グリッド42から溶けた状態を表す。
【0104】
アルゴリズムはステップ302で開始され、現在の除霜が例えば34分前以内に開始されたかどうかを判断するステップ303に進む。ステップ303のテストがNOである場合、本方法は、ステップ312に進んでタイマーによる除霜終了を適用する。
【0105】
ステップ312では、本方法は、蒸発器への熱供給をオフにすることにより現在の除霜サイクルを終了させ、冷却システムは、凍結動作に戻る。ステップ303のテストがYESである場合、本方法は、ステップ304に進む。
【0106】
ステップ304では、本方法は、還気温度が例えば2℃超まで上昇したかどうかを確認する。ステップ304のテストがNOである場合、還気グリッドは霜で覆われたままであり得るため、本方法はステップ303に戻る。
【0107】
ステップ304のテストがYESである場合、還気温度センサには霜がなく、本方法は、ステップ306に進む。ステップ306では、本方法は、還気温度が例えば5分間以上、例えば1℃超まで上昇したかどうかを確認する。
【0108】
ステップ306のテストがNOである場合、還気温度曲線が段階F(
図2参照)に入っているかをテストするのは早過ぎるため、本方法はステップ303に戻る。
【0109】
ステップ306のテストがYESである場合、本方法は、ステップ308に進む。ステップ308では、本方法は、還気温度曲線の傾きが、最後の例えば5分間、常に正であったかどうかを確認する。
【0110】
ステップ308のテストがNOである場合、段階E(
図2参照)が最後の5分間の一部であり、還気グリッドから完全に霜がなくなっているかを判断するにはまだ早過ぎるため、本方法はステップ303に戻る。ステップ308のテストは、還気温度が最後の5分間、段階DまたはF(
図2参照)にあり、段階Eは最後の5分間の一部ではない場合にのみYESとなり得る。
【0111】
ステップ308のテストがYESである場合、本方法は、ステップ310に進む。ステップ310では、本方法は、最後の5分間にわたる還気温度曲線の平均傾斜が、段階Dと段階F(
図2参照)を区別するために、例えば1℃/分未満であったかどうかを確認する。
【0112】
ステップ310のテストがNOである場合、還気温度曲線は明らかに依然として段階D(
図2参照)にあるため、本方法はステップ303に戻る。
【0113】
ステップ310のテストがYESである場合、本方法はステップ312に進んで除霜サイクルを終了させるが、これは、還気温度曲線が段階F(
図2参照)にあり、実質的にすべての霜が還気グリッドから溶けたからである。
【0114】
蒸発器16よりも高い位置の部品への霜形成は稀であるため、所定の指標が還気グリッド42に霜および/または氷がないことを示す所定の状態と一致するまで、あらゆる除霜サイクルを継続させるのはエネルギーの無駄となる。通常、蒸発器16に霜が実質的にない場合、すなわち、
図2の段階Aの終わり頃に、「蒸発器の除霜」を適用する、すなわち、既存の標準的な手順に従って除霜サイクルを単に終了させることは問題ないであろう。したがって、「還気グリッドの除霜」または「蒸発器の除霜」またはその中間の何かを適用するかを決定する、除霜終了タイプについてのコントローラが必要である。これは、手動で、例えば、ユニットコントローラのキーパッドにより、人間のオペレータに入力フラグをコントローラに設定させることにより、制御してもよい。この場合、この除霜終了タイプのフラグは、例えば「蒸発器の除霜」および「還気グリッドの除霜」の2つの値を有するであろう。除霜終了タイプのフラグが値「蒸発器の除霜」を有する場合、所定の指標が、蒸発器に実質的に霜または氷がないと示すときに、除霜サイクルは現在の手順に従って終了し、そうでなければ除霜サイクルが「還気グリッド」のロジックに従って終了する。この1つの可能な実施形態が
図3に記される。この場合、輸送中に、状態が霜または氷が還気グリッド42に形成されるようなものであり得るかどうかを先験的に判断するのはオペレータの責任である。新規輸送が開始されることが指標により示される場合、例えば、電源オフの期間が4日を超える場合(これは、搬送が終了したという、冷凍コンテナ産業における従来からの指標である)、自動でこの除霜終了タイプのフラグをそのデフォルト値である「蒸発器の除霜」にリセットするのが自然であろう。
【0115】
あるいは、自動コントローラが、「蒸発器の除霜」または「還気グリッドの除霜」を適用するかどうかを決定する。これは複数の方法で行うことが可能である。通常、以下の予備知識を使用するであろう:
1.還気グリッドの霜または氷は、温度が下降する状況、すなわち、ユニットの電源を入れた後の第1の期間、および水分負荷が高いとき、すなわち、除霜を頻繁にする必要があるときに、特に生じ得る。
2.還気グリッドは、還気温度が0℃未満であるときにのみ、霜または氷で覆われ得る。
3.霜または氷で覆われた還気グリッドは、気流を阻害するため、グリッドが霜で覆われると空気流量が少なくなる。
【0116】
図4に示すフローチャートは特に上述の予備知識1に依存する、自動除霜終了タイプの制御アルゴリズム400の動作の一実施例を提供する。この手順は、除霜サイクルのちょうど開始時に呼び出される。
【0117】
この場合、アルゴリズムはステップ402で開始され、現在の除霜が冷却ユニットの電源を最後に入れてから最初の除霜であるかどうか、すなわち、ユニットが、温度が下降する状況で動作する十分な可能性があるかどうかをテストするステップ404に進む。
【0118】
ステップ404のテストがYESである場合、本方法は、ステップ414、すなわち、「還気グリッドの除霜」の適用の決定に進む。この場合、除霜サイクルは、還気グリッドに実質的に霜がない場合にのみ終了することが確実となる。
【0119】
ステップ414では、除霜終了タイプ「還気グリッドの除霜」により、
図3のフローチャートに概説されるロジックに従って、除霜サイクルを終了させ得る。
【0120】
ステップ404のテストがNOである場合、本方法はステップ405に進み、ここで、最後の除霜が例えば3時間前以内に終わったかどうか、すなわち、水分負荷が極めて高い、したがって還気グリッド着霜のリスクが高いかどうかをテストする。
【0121】
ステップ405のテストがYESである場合、本方法は、ステップ414に進む。
【0122】
ステップ405のテストがNOである場合、本方法はステップ406に進み、ここで、最後の除霜タイプが「還気グリッドの除霜」であったかどうかをテストする。
【0123】
ステップ406のテストがYESである場合、本方法は、この前の除霜サイクル中に収集した還気温度センサおよび/または還気グリッドの霜の兆候についてのデータを分析する。
【0124】
本方法はまずステップ408に進み、ここで、最後の除霜の段階C(
図2)の持続時間が例えば3分間よりも長く継続したかどうかをテストする。
【0125】
ステップ408のテストがYESである場合、前の除霜サイクル中に還気温度センサには霜または氷があり、本方法は、ステップ414に進む。
【0126】
ステップ408のテストがNOである場合、還気温度センサのすぐ近くには前の除霜開始時に霜がなく、本方法はステップ410に進み、ここで、段階E(
図2参照)が0分間よりも長かったか、すなわち、還気温度曲線の傾きが、還気グリッドの開放により負であった期間が生じたかどうかをテストする。
【0127】
ステップ410のテストがYESである場合、還気グリッドは、前の除霜サイクルの開始時に霜に覆われており、本方法は、ステップ414に進むことによって「還気グリッドの除霜」タイプの除霜サイクルを再び使用すると決定する。
【0128】
ステップ410のテストがNOである場合、「還気グリッドの除霜」のタイプであった前の除霜により蒸発器以外の位置から霜が除去されたと示されないため、「還気グリッドの除霜」の必要がなく、本方法はステップ412に進む。
【0129】
ステップ412では、除霜終了タイプ「蒸発器の除霜」は、従来技術の方法を用いて、実質的にすべての霜が蒸発器から溶けたときに、除霜サイクルを終了させる。フローチャートのステップ412よりも前のステップで還気グリッドに霜がない、したがって、「還気グリッドの除霜」が冗長であることを示す場合にのみ、ステップ412に到達することに留意されたい。
【0130】
ステップ406のテストがNOである、すなわち、最後の除霜が「蒸発器の除霜」であった場合、本方法は、ステップ416に進む。ステップ416では、最後の例えば5回の除霜サイクルがすべて、除霜終了タイプ「蒸発器の除霜」に従って終了したかどうかをテストする。
【0131】
ステップ416のテストがNOである場合、本方法は、ステップ412に進むことにより、除霜終了タイプ「蒸発器の除霜」を再び呼び出す。
【0132】
ステップ416のテストがYESである場合、本方法は、ステップ414に進み、これにより、例えば6回の各除霜のうち少なくとも1回が、実質的にすべての霜が還気グリッドから溶けたときにだけ終了したことを確実にして、一種のセーフティネットを提供する。
【0133】
図5に示すフローチャートは、自動除霜終了タイプの制御アルゴリズムの動作の別の実施例を提供する。この場合、アルゴリズムは前述の予備知識2および3により依存する。
【0134】
図5に係る手順は、除霜サイクルまたは蒸発器の除霜サイクルの開始後に呼び出すことができる。
【0135】
図5に係るアルゴリズムは、開始後、給気温度と還気温度との大きな温度差(RTS−STSによる除霜)に続いて現在の除霜手順が開始されたかどうかテストすることにより開始する。このテストがNOの場合、アルゴリズムはSTS(給気温度)>RTS(還気温度)かどうかのテストに進む。このテストがNOの場合、通常の蒸発器の除霜サイクルを選択する。STS>RTSテストがYESである場合、最初の(RTS−STSに起因する除霜)テストがYESであった場合と同様に、アルゴリズムは、RTS(還気温度)<0.0℃であるかどうかのテストに進む。このテストがNOの場合、通常の蒸発器の除霜サイクルを選択する。RTS<0.0℃テストがYESの場合、拡張または延長された除霜サイクルが呼び出される。
【0136】
拡張または延長された除霜サイクルを呼び出すとすぐに、アルゴリズムはRTS>+0.5℃かつRTS(今/現在)<RTS(今/現在−10秒)であるかをテストする。このテストがNOの場合、アルゴリズムはRTS>+10.0℃かどうかをテストする。このテストがNOの場合、アルゴリズムは前のテストに戻る。前のテストがYESの場合と同様に、このテストがYESである場合、アルゴリズムは、所望によりDTS(除霜終了センサ(
図1の17の位置))>DTT(除霜終了温度)であるかどうかのテストに進んでもよい。このテストがYESの場合、アルゴリズムは、残っている霜および/または氷をすべて還気グリッドから吹き飛ばすために蒸発器ファンを稼働させ、その後、除霜サイクルを終了する。
【0137】
同じ趣旨のその他のフローチャートも同等の結果を達成できる。
【0138】
本発明のその他の態様によると、冷凍輸送コンテナにおいて、蒸発器の除霜サイクルまたは拡張された除霜サイクルを選択する方法が開示される。冷凍輸送コンテナは:
− 輸送ボリューム45と、
− 冷却空間41に配置された少なくとも蒸発器16を備える冷却ユニット40と、
− 冷却空間41を当該輸送ボリューム45から分離させるように構成された還気グリッド42と、
− 蒸発器16と還気グリッド42の間の高さに配置された、還気温度を検知する手段と、
− 除霜サイクルの間、蒸発器16を能動的に加熱する手段と、
− 少なくとも除霜サイクルの持続時間を制御するように構成されたプロセッサと
を備え、
本方法は、
− 還気グリッド42における霜および/または氷の堆積を示す1つまたは複数の指標を確立するステップと、
− 還気グリッド42における霜および/または氷の堆積を示す1つまたは複数の指標が還気グリッド42における霜および/または氷の堆積を示していれば、拡張された除霜サイクルを選択するステップと
を含む。
【0139】
本発明の任意の態様のいくつかの実施形態によると、冷却ユニットの現在の設定値が、過去の除霜サイクルの開始前の冷却ユニットの設定値に等しい場合にのみ、除霜サイクルは延長または拡張されてもよい。
【0140】
本発明の任意の態様のいくつかの実施形態によると、還気グリッド42における霜および/または氷の堆積を示す1つの指標は、除霜開始から還気温度が0℃超まで上昇する(
図2の段階Cの終了)までの経過時間により確立されてもよい。
【0141】
本発明の教示は多数の利点を有する。さまざまな実施形態または実施態様が、詳述した利点の1つまたは複数をもたらし得る。本明細書は網羅的なリストであると考えるべきではなく、本明細書で記載されていないその他の利点があってもよいことに留意すべきである。
【0142】
本出願の教示は例示のために詳細に記述されたが、このような詳細は単に例示を目的としており、当業者によって本出願の教示の範囲を逸脱することなく変更することができると理解すべきである。
【0143】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「備える(comprising)」および/または「含む(including)」は、その他の要素またはステップを排除するものではない。さらに、特許請求の範囲で使用される用語「1つの(a、an)」は、複数を排除するものではない。