特許第6258518号(P6258518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6258518LTEアンテナ・システムを較正する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258518
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】LTEアンテナ・システムを較正する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/26 20060101AFI20171227BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   H01Q3/26
   H04B7/10 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-552198(P2016-552198)
(86)(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公表番号】特表2017-505077(P2017-505077A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】US2014062432
(87)【国際公開番号】WO2015065912
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年6月28日
(31)【優先権主張番号】14/071,263
(32)【優先日】2013年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515353143
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント シャンハイ ベル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】カティパリー,ラジャ,レディ
(72)【発明者】
【氏名】タスキラ,ジャリ
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,アーロン
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−279900(JP,A)
【文献】 特開平08−226962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/02
H01Q 3/26
H04B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号分配器/合成器の回路網であって、前記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれが1つの信号入力点および複数の信号出力点を形成する、複数の信号分配器/合成器の回路網と、
複数の較正ソース入力および1つの較正信号出力を形成する信号合成回路網を有する較正回路網であって、前記入力のそれぞれに印加されるRF信号が、前記信号合成回路網により合成され、前記較正信号出力で較正信号になる、較正回路網と
を備え、
前記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれは、前記信号入力点および前記信号出力点と電気的に通信する較正信号サンプリング点を有し、各較正信号サンプリング点は、前記信号分配器/合成器の実質的な電気的中間点に位置し、且つ前記較正回路網の各々の較正ソース入力に結合される、
アンテナ・アレイ較正システム。
【請求項2】
各前記較正信号サンプリング点は、各々の較正ソース入力に容量結合される、請求項1に記載のアンテナ・アレイ較正システム。
【請求項3】
複数の較正信号伝送線路をさらに備え、前記較正信号伝送線路のそれぞれは、前記較正ソース入力のうちの1つに接続される第1の端部と、前記信号分配器/合成器の回路網のうちの対応する1つに容量結合される第2の端部とを備える、請求項1に記載のアンテナ・アレイ較正システム。
【請求項4】
各前記信号分配器/合成器の回路網は、前記較正信号サンプリング点との電気的接続において配置される容量結合を備え、各較正信号サンプリング点は、前記容量結合を介して前記較正回路網の各々の較正ソース入力に結合される、請求項1に記載のアンテナ・アレイ較正システム。
【請求項5】
前記容量結合は、回路基板上または回路基板上部に形成される伝送線路導電通信路と、前記伝送線路導電通信路に近接して配置されかつ前記較正回路網と通信して較正信号伝送線路の導体を受けるように構成されるエア・ギャップとを備える、請求項4に記載のアンテナ・アレイ較正システム。
【請求項6】
前記較正回路網は、前記入力のそれぞれに関連づけられる位相調整素子をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ・アレイ較正システム。
【請求項7】
前記較正回路網は、前記入力のそれぞれに関連づけられる振幅調整素子をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ・アレイ較正システム。
【請求項8】
前記複数の信号分配器/合成器の回路網は、少なくとも1つの移相回路網を備える、請求項1に記載のアンテナ・アレイ較正システム。
【請求項9】
少なくとも2列を有するアレイに配置される複数のアンテナ素子であって、各列が複数のアンテナ素子を有する、複数のアンテナ素子と、
前記列のそれぞれに関連づけられる信号分配器/合成器の回路網であって、前記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれが1つの信号入力点、および前記関連づけられる列の各々のアンテナ素子に接続される複数の信号出力点を形成する、信号分配器/合成器の回路網と、
前記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれに関連づけられるRF送受信器であって、各RF送受信器が、前記関連づけられる信号分配器/合成器の回路網の前記信号入力点に接続されることによって、各RF送受信器が、前記列のうちの1つとさらに関連づけられる、RF送受信器と、
複数の較正ソース入力および1つの較正信号出力を定める信号合成回路網を有する較正回路網であって、前記入力のそれぞれに印加されるRF信号は、前記信号合成回路網により合成されて、前記較正信号出力で較正信号になり、振幅調整素子および位相調整素子は、前記較正ソース入力のそれぞれに関連づけられる、較正回路網と
を備え、
前記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれは、前記信号入力点および前記信号出力点と電気的に通信する較正信号サンプリング点を有し、各較正信号サンプリング点は、前記信号分配器/合成器の実質的な電気的中間点に位置し、且つ前記較正回路網の各々の較正ソース入力に結合される、
アンテナ・アレイ・システム。
【請求項10】
複数の信号分配器/合成器の回路網を形成するステップであって、前記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれが1つの信号入力点および複数の信号出力点を形成する、ステップと、
複数の較正ソース入力および1つの較正信号出力を形成する信号合成回路網を有する較正回路網を形成するステップと、
前記入力のそれぞれに印加されるRF信号を前記信号合成回路網により合成し、前記較正信号出力で較正信号にするステップであって、前記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれは、前記信号分配器/合成器の実質的な電気的中間点に位置し、且つ前記信号入力点および前記信号出力点と電気的に通信する較正信号サンプリング点を有する、ステップと、
各較正信号サンプリング点を、前記較正回路網の各々の較正ソース入力に結合するステップと
を含む、アンテナ・システムを較正する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTEアンテナ・システムを較正する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
「配列された」(arrayed)アンテナ構造において、複数のアンテナ素子がアレイ(array)構成に配置される。配列されたアンテナ構造のうちで、複数列のアレイ・アンテナ(multi−column array antennas)が、基地局と移動無線装置間の通信において、ある種の優位性を提供する。基本的な複数列のアレイ・アンテナ・アーキテクチャにおいて、複数列のアンテナ素子が提供され、各列は単一の送受信器によって動かされる複数のアンテナ素子を含み、列のそれぞれは個別の送受信器によって動かされる。
【0003】
列の中の、それぞれの信号通信路間の望ましくないばらつきにより、通常は、ある程度の振幅誤差および/または位相誤差がアンテナ・アレイで生じる。したがって、各送受信器通信路を調整するように配置を可能にすることにより、信号の振幅調整および位相調整がなされ得る。アンテナ構成および動作を補正または最適化するために使用され得る帰還信号または較正信号を提供するようなアンテナ構造内に、通常は、較正回路網が組み込まれる。
【0004】
図4を参照すると、従来の較正回路網構成を図示する、従来の複数列のアンテナ・アーキテクチャが一部示されている。示されているように、較正回路網400は8列のアンテナ・アレイで構成されている。したがって、較正回路網400は、各入力コネクタ412が送受信器に接続され、各出力コネクタ414が、関連づけられるアンテナ列アレイに接続される、入力コネクタ412と出力コネクタ414との間を接続する8つの信号通信路411を含む。示されているアーキテクチャでは、出力コネクタ414のそれぞれが、信号分配器416に接続され、この分配器に列アンテナ・アレイのアンテナ素子418が接続される。
【0005】
較正回路網400は、プリント回路基板420上にまたは他の方法で形成され得、かつ各信号結合器422が信号通信路411中にある、1つまたは複数の信号結合器422を備え得る。信号結合器422が信号合成回路網に接続され得ることにより、列のそれぞれの送信/受信信号は信号結合器422によりサンプリングされ、サンプリングされた信号は、較正ポート424で較正信号になるように合成される。
【0006】
この構成において、較正回路網400は、信号ソース(送受信器)とアンテナ・アレイとの間で直線上に並んで(in−line)構成される。このように、較正回路網400はアンテナ・アレイに対して較正機能および同調機能を提供するが、信号通信路に挿入される、追加回路、プリント回路トレース、ハンダ接合部、コネクタなどを使用すなわち挿入することにより、較正回路網400はさらに望ましくない挿入損(insertion losses)を生じさせ、振幅誤差および位相誤差を発生させ、さらに受動相互変調歪み(PIM)作用を増大させ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第13/952,197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、信号通信路内での誤差の発生を低減する較正回路網構成が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態により、較正回路網が信号ソースとアンテナ・アレイのアンテナ素子との間の直線上に並ぶ通信路(in−line path)から取り除かれて、較正回路網が複数列のアンテナ・アレイにおいて提供されることにより、挿入損、振幅誤差および位相誤差ならびにPIM作用を低減する。
【0010】
一実施形態では、信号分配器/合成器の回路網のそれぞれが1つの信号入力点および複数の信号出力点を形成する、複数の信号分配器/合成器の回路網が提供される。さらに、複数の較正ソース入力および1つの較正信号出力を形成する信号合成回路網を含む、較正回路網も提供され得、この中で、較正ソース入力のそれぞれに印加されるRF信号は、信号合成回路網により合成されて、較正信号出力において較正信号になる。信号分配器/合成器の回路網のそれぞれは、信号入力点と電気的通信を行う較正信号サンプリング点、および信号出力点を備え得る。較正信号サンプリング点のそれぞれは、較正回路網の各々の較正ソース入力に結合され得る。
【0011】
ある実施形態では、較正信号サンプリング点のそれぞれは、それに対応する各々の較正ソース入力に容量結合され得る。追加の実施形態では、さらに、較正信号伝送線路のそれぞれが、上記較正ソース入力のうちの1つと接続される第1の端部と、上記信号分配器/合成器の回路網のうちの対応する1つと容量結合される第2の端部とを含む、複数の較正信号伝送線路を備え得る。
【0012】
さらに他の実施形態では、各信号分配器/合成器の回路網は、較正信号サンプリング点と電気的に接続して配置される容量結合を備え得、容量結合を介して各較正信号サンプリング点が較正回路網のそれぞれの較正ソース入力と結合される。このような実施形態では、容量結合は、回路基板上または回路基板上部に形成された伝送線路導電通信路と、伝送線路導電通信路に近接して配置されかつ較正回路網との通信において較正信号伝送線路の導体を受けるように構成されるエア・ギャップとを備え得る。
【0013】
またさらに、例示的な較正回路網は、較正ソース入力のそれぞれに関連づけられる、位相調整素子、振幅調整素子、または位相および振幅の両方の調整素子をさらに備え得る。
【0014】
ある実施形態では、信号分配器/合成器の回路網は、移相回路網として具体化され得る。
【0015】
上記の実施形態は、さらに、少なくとも2列を有する1つのアレイに配置される、複数のアンテナ素子を組み合わせることができ、各列は、複数のアンテナ素子および各信号分配器/合成器の回路網と関連づけられるRF送受信器を有する。各RF送受信器が、関連づけられる信号分配器/合成器の回路網の信号入力点に接続され得ることにより、それに応じて、各RF送受信器が、列の1つに関連づけられる。
【0016】
上記のシステムおよび回路網に加えて、本明細書において本発明は関連方法も提供する。例えば、一実施形態では、アンテナ・システムを較正する方法は、信号分配器/合成器の回路網のそれぞれが1つの信号入力点および複数の信号出力点を形成する、複数の信号分配器/合成器の回路網を形成することと、複数の較正ソース入力および1つの較正信号出力を形成し、較正ソース入力のそれぞれに印加されるRF信号を信号合成回路網により合成して、較正信号出力で較正信号にする、較正回路網を形成することとを含み、信号分配器/合成器の回路網のそれぞれは、上記信号入力点と電気的通信を行う較正信号サンプリング点、および上記信号出力点を有し、各較正信号サンプリング点を較正回路網の各々の較正ソース入力に結合する。
【0017】
さらなる実施形態では、そのような方法は、さらに、各較正信号サンプリング点を各々の較正ソース入力に容量結合すること、および/または上記信号分配器/合成器の回路網のそれぞれを上記較正信号サンプリング点に容量結合し、各較正信号サンプリング点を較正回路網の各々の較正ソース入力に結合すること、および/または、伝送線路導電通信路を回路基板上または回路基板上部に形成し、上記伝送線路導電通信路に近接しかつ上記較正回路網と通信して較正信号伝送線路の導体を受けるように構成されるエア・ギャップを配置することを含む。
【0018】
代替の実施形態では、較正回路網は、さらに、上記較正ソース入力のそれぞれに関連づけられる、振幅調整素子および位相調整素子を備え得、複数の信号分配器/合成器の回路網は、少なくとも1つの移相回路網を備え得る。
【0019】
本発明の、これらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面に関して一層よく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による、複数列のアンテナ・アレイ内部に配置される較正回路網の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、較正回路網内の位相調整回路および振幅調整回路の概略図である。
図3】本発明の一実施形態による、移相回路網内の電磁結合素子または容量結合素子の図である。
図4】複数列のアンテナ・アレイ内部の較正回路網についての従来構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による、例えば、LTE(Long Term Evolution)ネットワークのアンテナ・システム内部の一部として使用される、複数列のアンテナ・アレイ内部の、較正回路網100の構成が示されている。図4で説明される従来のアーキテクチャと対比すると、較正回路網100が直線上に並ぶ位置から取り除かれていることが見てとれる。
【0022】
図示された実施形態では、複数の信号分配器/合成器の回路網が、複数列のアンテナ・アレイのそれぞれと連結して提供され、信号分配器/合成器の回路網のそれぞれは、送受信器信号ソース104と1列のアンテナ・アレイのアンテナ素子106との間の1対N/N対1(1−N/N−1)の接続性を提供する。図示された実施形態では、信号分配器/合成器の機能に加え、信号分配器/合成器の内部に移相すなわち「ライン・ストレッチャ(line stretcher)」素子を含むことにより実現される移相機能を提供する移相回路網102として、信号分配器/合成器の回路網が具体化される。
【0023】
移相回路網102の1つの可能な実施形態では、複数素子のアンテナ・アレイの入力点に印加されるRF信号を分配する、電力分割器または信号分配器の回路網を形成するように、複数の移相回路素子が順次配置され得る。例えば、複数素子アンテナ・アレイは、複数列のアレイ・アーキテクチャの列アレイであり得る。
【0024】
移相回路素子自体は、回路基板上に形成される第1の素子を含んでもよく、第1の素子は回路基板の表面に形成される細長い導電通信路と、導電通信路上に渡って配置され、導電通信路に電気的に接続するキャパシティブ・カバー(capacitive cover)とを有し、その間の細長い受信空間を画定する。第2の素子は、受信空間内で摺動して受信可能であり、かつ第1の素子と容量結合される、導電同調部品であり得る。受信空間内部で同調部品を摺動可能に配置することで、回路素子を横断する信号の移相すなわちライン・ストレッチング調整を行う。このような移相回路網の一例は米国特許出願第13/952,197号に説明されており、その内容は本明細書内で全て説明されたものとして、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
再び図1を参照すると、較正回路網100は、複数の較正ソース入力116、信号合成回路網112および1つの較正信号出力114を備える。較正ソース入力116のそれぞれは、移相回路網102のうちの対応する1つに接続され得る。より詳細には、較正信号伝送線路118または信号通信のための他の手段は、(例えば)移相回路網102からのRF信号が較正ソース入力116で受信されるように、較正ソース入力116のそれぞれと、対応する移相回路網102との間で接続され得る。
【0026】
位相および振幅調整回路120は、信号分配器/合成器の回路網112への信号入力の接続の前に、各較正ソース入力116と関連づけられ得る。代替的に、位相および振幅調整回路120は、位相のみの調整回路、または振幅のみの調整回路に置き換えられ得る。位相および振幅調整回路120を、図2を参照してより詳しく考察すると、各位相および振幅調整回路120は、位相調整素子122および振幅調整素子124を含み得る。位相調整素子122は、例えば、可動誘電素子128が重なる、ある長さの回路トレース126を備える「ライン・ストレッチャ」として、回路基板上で形成され得る。振幅調整素子124は、1組の抵抗器134と共に配置される可変抵抗器132を従来通り備える、調整可能なパイ型(Pi)減衰器130を備え得る。
【0027】
再び図1を参照すると、主要信号伝送線路108は、移相回路網102を対応する送受信器に接続し得、送信されたRF信号を送受信器から移相回路網102に提供し、受信されたRF信号を列アンテナ素子から送受信器に返す。
【0028】
主要信号伝送線路108は、移相回路網102の電気的な中間点に接続され得る。さらに、較正回路網100に信号サンプルを与える信号サンプリング点を設けるために、移相回路網102内に、しかも移相回路網102の中間点に、電磁または容量(非接触)結合110が設けられ得る。
【0029】
図3を参照すると、電磁または容量結合110の一構成が示されている。伝送線路導電通信路312は、回路基板上または回路基板上部であり、かつ通常は接地板に近接するかまたはその間に形成され得る。空間またはエア・ギャップ314は、較正信号伝送線路118との電気的通信において結合素子316を受けるように構成され得る。結合素子316は、導電通信路312に近接して配置され得るが、電気的な接触はない。導電通信路312および導体部316の一方もしくは他方、もしくは両方は、絶縁体もしくは誘電材料で塗装され得、またはこれらの素子は、例えば、単にエア・ギャップによって分離され得る。
【0030】
再び図1を参照し、説明されたシステム全体を考察すると、送受信器により生成されるRF信号は、主要信号伝送線路108を介して、関連づけられる移相回路網102に伝達され、ここで、移相回路網102に接続される列アンテナ素子に対して、信号が分割され得かつ分配され得る。さらに、信号サンプルは、較正信号伝送線路118により、較正回路網100に通信され得、この中で、信号サンプルは、容量結合110を介して、較正信号伝送線路118に送信される。較正回路網100の較正ソース入力116で受信する信号サンプルは、較正信号出力114で較正信号を生成するために、信号分配器/合成器の回路網112により合成される。
【0031】
較正回路網100は、移相回路網102に容量結合され、送受信器信号ソース104および移相回路網102に対して直線上に並んで配置されないため、かつ移相回路網102のそれぞれは、対応する信号ソース104に直接接続されるため、較正回路網100に関連づけられる、挿入損、振幅誤差および移相誤差ならびにPIM作用の低減が実現され得る。
【0032】
本発明の上記実施形態は本来例示であり、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、このような実施形態に対する修正は当業者に考え得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書で開示された実施形態に制限されると考えられるべきではない。その代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で記載する通りである。
図1
図2
図3
図4