(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258527
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】大型パイプ高速切断機
(51)【国際特許分類】
B23D 45/12 20060101AFI20171227BHJP
B23D 53/08 20060101ALI20171227BHJP
B23D 47/04 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
B23D45/12 A
B23D53/08
B23D47/04 Z
B23D47/04 H
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-571308(P2016-571308)
(86)(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公表番号】特表2017-516675(P2017-516675A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】KR2015002249
(87)【国際公開番号】WO2016013743
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0093898
(32)【優先日】2014年7月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516362067
【氏名又は名称】サムヨン フィッティング シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】SAMYOUNG FITTING CO.,LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】516362078
【氏名又は名称】ジョン、テヨン
【氏名又は名称原語表記】JUNG, Tae−young
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、テヨン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、ヨンサン
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−085976(JP,A)
【文献】
実開昭51−081485(JP,U)
【文献】
実開昭58−026501(JP,U)
【文献】
実開昭60−181121(JP,U)
【文献】
実開昭61−148522(JP,U)
【文献】
特開平03−035925(JP,A)
【文献】
特開平10−180609(JP,A)
【文献】
特開2001−162439(JP,A)
【文献】
特開2005−090629(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0172769(US,A1)
【文献】
特開2007−127184(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0150266(US,A1)
【文献】
特表2014−522734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 21/00−21/14
B23D 45/00−65/04
B23Q 7/00−7/18
B26D 1/00−1/24
B26D 3/00−3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに設置された昇降手段の上部に設けられ、パイプを長手方向に移動可能に支持する移送ローラー(120)と、前記フレーム上に設けられ、前記昇降手段の下降により前記パイプが装着され、モーターの動力に連結されて前記パイプを回転および支持する回転ローラー(140)とからなる移送部(100);
前記移送部の一側に設けられるもので、往復移動手段(220)によって前進して前記パイプの一側端に密着して移動および回転支持するように端部にボールキャスター(242)が備えられた加圧部材(240)からなる加圧部(200);
前記移送部の他側に設けられもので、位置調節手段(320)により前記パイプの他側端方向に移動し、前記加圧部により移動したパイプの移動を制限し回転支持するように端部にボールキャスター(342)が備えられた水平移動部材(340)からなるストッパー部(300);
前記移送部の上部に設けられるもので、昇降手段により下降してパイプの上部を回転支持するローラー(422)が備えられた1次クランプ(420)と、前記1次クランプから離隔し、昇降手段により下降してパイプの上部を回転支持するローラーが備えられた2次クランプ(440)とからなるパイプ固定部(400);および
前記移送部の上部で上下移動するように設けられ、前記1次クランプと前記2次クランプとの間に下降して、前記回転ローラーによるパイプの回転と同時に回転する切断刃(522)により前記パイプを切断可能にする切断部(500);を含んでなることを特徴とする、大型パイプ高速切断機。
【請求項2】
前記往復移動手段(220)は、
正逆モーター(222)と、前記フレームに設けられ、前記正逆モーターに動力が連結されるチェーン(224)と、前記チェーン上に固定され、上部に前記加圧部材が固定されたブラケット(226)とから構成されることを特徴とする、請求項1に記載の大型パイプ高速切断機。
【請求項3】
前記位置調節手段(320)は、
下部フレーム(322)と、前記下部フレームの上部にハンドルノブ(323)により回転するスクリュー軸(324)と、前記スクリュー軸の回転により噛み合って前後進する受け台(326)と、前記受け台に設置され、前記水平移動部材を上下移動するようにする垂直シリンダー(328)とから構成されることを特徴とする、請求項1に記載の大型パイプ高速切断機。
【請求項4】
前記切断刃(522)は、
両側ロールにより無限軌道で回転するバンドソウ(band saw)または丸鋸であることを特徴とする、請求項1に記載の大型パイプ高速切断機。
【請求項5】
前記移送部(100)の上部には、
前記パイプの切断部分を加圧して前記回転ローラーから離脱させる離脱シリンダーがさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載の大型パイプ高速切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型パイプ高速切断機に係り、特に、長さの長い大型パイプを回転させ、回転する切断刃によってパイプを直径方向に容易に切断することができる大型パイプ高速切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプを直径方向に切断するために通常使用する方法はバンドソウ(band saw)による直径貫通方法であるが、この方法は、大型パイプを切断するには容易でないという問題点があった。
【0003】
大型パイプを切断するための従来技術の一つが特許文献1の「大口径パイプ切断装置」に開示されている。
【0004】
図1は従来の大口径パイプ切断装置の平面図を示す。
図1を参照すると、一定の長さを有する作業台11の上に、表面がV字状からなる多数のパイプ回転支持台12を一定の間隔で設けてパイプを回転させ、前記作業台11の一側にはレール32を敷設した移送案内台31を有し、前記移送案内台31のレール32にはレールに乗って左右に移動する台車33を有し、所望の位置に切断機41を移動させて切断することができるように構成されている。
【0005】
ところが、従来では、台車が移動式となっており、パイプが回転するので、切断の際に発生する摩擦振動により台車が長手方向に揺れたり、台車自体が揺れたりして切断精度に劣るという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、回転するパイプの切断の際にパイプの揺れなく高精度で直径方向に切断することができる大型パイプ高速切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、フレームに設置された昇降手段の上部に設けられ、パイプを長手方向に移動可能に支持する移送ローラーと、前記フレーム上に設けられ、記昇降手段の下降により前記パイプが装着され、モーターの動力に連結されて前記パイプを回転および支持する回転ローラーとからなる移送部;前記移送部の一側に設けられるもので、往復移動手段によって前進して前記パイプの一側端に密着して移動および回転支持するように端部にボールキャスターが備えられた加圧部材からなる加圧部;前記移送部の他側に設けられるもので、位置調節手段により前記パイプの他側端方向に移動し、前記加圧部により移動したパイプの移動を制限し回転支持するように端部にボールキャスターが備えられた水平移動部材からなるストッパー部;前記移送部の上部に設けられるもので、昇降手段により下降してパイプの上部を回転支持するローラーが備えられた1次クランプと、前記1次クランプから離隔し、昇降手段により下降してパイプの上部を回転支持するローラーが備えられた2次クランプとからなるパイプ固定部;および前記移送部の上部で上下移動するように設けられ、前記1次クランプと前記2次クランプとの間に下降して、前記回転ローラーによるパイプの回転と同時に回転する切断刃により前記パイプを切断可能にする切断部;を含んでなることを特徴とする。
【0008】
前記往復移動手段は、正逆モーターと、前記フレームに設けられ、前記正逆モーターに動力が連結されるチェーンと、前記チェーン上に固定され、上部に前記加圧部材が固定されたブラケットとから構成されることを特徴とする。
【0009】
前記位置調節手段は、下部フレームと、前記下部フレームの上部にハンドルノブにより回転するスクリュー軸と、前記スクリュー軸の回転により噛み合って前後進する受け台と、前記受け台に設置され、前記水平移動部材を上下移動するようにする垂直シリンダーとから構成されることを特徴とする。
【0010】
前記切断刃は、両側ロールにより無限軌道で回転するバンドソウ(band saw)または丸鋸(circular saw)であることを特徴とする。
【0011】
前記移送部の上部には、前記パイプの中央部を加圧して前記回転ローラーから離脱させる離脱シリンダーがさらに備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前述したような構成の本発明によれば、次の効果が期待できるだろう。
パイプを下部、上部および両端で回転支持できるようにして、パイプの回転と同時に回転するバンドソウ(band saw)によりパイプの切断を速く且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来に係る大口径パイプ切断装置の平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る大型パイプ高速切断機の正面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0015】
図2は本発明の実施形態に係る大型パイプ高速切断機の正面構成図、
図3は
図2の移送部の拡大図、
図4は
図2の加圧部の拡大図、
図5は
図2のストッパー部の拡大図、
図6は
図2の1次クランプの側面構成図、
図7は
図2の2次クランプの側面構成図、
図8は
図2の切断部の側面構成図、
図9は離脱シリンダーの例示図である。
【0016】
図2を参照すると、本発明の大型パイプ高速切断機は、移送部100、加圧部200、ストッパー部300、パイプ固定部400および切断部500から構成されてなる。
【0017】
本発明の大型パイプ高速切断機について要約して説明すると、前記移送部100はパイプを移動および回転可能にし、前記加圧部200はパイプを切断部側へ移動するようにし、前記ストッパー部300はパイプの移動位置を制限するようにし、パイプ固定部400は、パイプを上側で回転可能に固定支持するようにして、前記切断部500によってパイプを切断するようにすることができる。
【0018】
図2は大型パイプ高速切断機の全体システムを示す。
図2の全体システムを参照しながら、必要に応じて、各構成要部を示した
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8または
図9を参照して説明し、別途記載がない場合には
図2を参照して理解することができる。
【0019】
前記移送部100は、パイプを長手方向に沿って前記切断部側へ移動可能にし、且つパイプ切断の際にパイプを回転可能にする機器であり、
図3に詳細に示している。
【0020】
図3を参照すると、前記移送部100は、フレームFに設置された昇降手段110の上部に設けられ、パイプを長手方向に移動可能に支持する移送ローラー120と、前記フレームF上に設けられ、前記昇降手段の下降により前記パイプが装着され、モーターMの動力に連結されて前記パイプを回転及び支持する回転ローラー140とから構成される。
【0021】
ここで、前記フレームFは、パイプPの長さを支えることができる分だけ分割されて長く形成され、一定の間隔で、油圧シリンダーにより垂直上昇及び下降するようにするシリンダー装置からなる前記昇降手段110が設置され、該昇降手段の端部には、前記パイプの下部を両側で支えて回転する移送ローラー120が設けられるが、これにより、初期パイプをアンロード(unloading)することができ、前記パイプPを長手方向に移送することができる。
【0022】
前記パイプPをアンロードし且つ長手方向に移送することができることにより、パイプアンロードの際に干渉がなく、前記パイプ固定部400及び切断部500側へ速く移送することができるという長所がある。
【0023】
移送ローラー120によってパイプを移送した後、昇降手段が下降すると、パイプは、前記フレームF上に設置された回転ローラー140に装着されて回転をすることができる。
【0024】
前記回転ローラー140は、パイプを回転させて切断するための構成であるので、切断部500の説明で後述することにする。パイプを移動させるために加圧部200が必要とされる。
【0025】
前記加圧部200は、パイプを押して前記パイプ固定部400及び切断部500側へ移動させることができるものである。
図4は
図2の加圧部を拡大して詳細に示している。
【0026】
図4を参照すると、前記加圧部200は、前記移送部の一側に設けられるもので、往復移動手段220によって前進して前記パイプの一側端に密着して移動及び回転支持するように端部にボールキャスター242が備えられた加圧部材240とから構成される。
【0027】
前記往復移動手段220は、正逆モーター222と、前記フレームに設置され、前記正逆モーターに動力連結されるチェーン224と、前記チェーン上に固定され、上部に前記加圧部材が固定されたブラケット226とから構成され、正逆モーター222の回転によりブラケットが前後進可能となり、これに連結された加圧部材240でパイプの一側を加圧して押すことができる。
【0028】
加圧部材240は、棒(bar)状に水平方向に設けられ、端部に備えられたボールキャスター242がパイプの端部に位置するようにして回転を支持することができる。
【0029】
前記加圧部材240によりパイプを加圧移動させて、反対側にあるストッパー部300によって移動を制限する。
【0030】
前記ストッパー部300は、
図2のストッパー部の拡大図である
図5を参照すると、前記移送部の他側に設けられるもので、位置調節手段320により前記パイプの他側端方向に移動して、前記加圧部により移動したパイプの移動を制限し回転支持するように端部にボールキャスター342が備えられた水平移動部材340とから構成される。
【0031】
前記位置調節手段320は、下部フレーム322と、前記下部フレームの上部にハンドルノブ323により回転するスクリュー軸324と、前記スクリュー軸の回転により噛み合って前後進する受け台326と、前記受け台326に設置され、前記水平移動部材を上下移動可能にする垂直シリンダー328とから構成される。
【0032】
すなわち、前記ハンドルノブ323の回転により前記水平移動部材の水平方向に前後進して位置調節を行うことができ、垂直シリンダー328の上昇により前記水平移動部材の高さを調節することができることにより、パイプの大きさに応じて適切な位置に前記水平移動部材の位置を定めることができる。
【0033】
そして、受け台326の移動距離を確認するために、下部フレーム322にルーラーを形成する。
【0034】
前記加圧部200とストッパー部300によってパイプの両側端を支持し、ボールキャスターにより回転を容易にした後、パイプ固定部400によってパイプの上側を回転支持することができる。
【0035】
前記パイプ固定部400は、前記移送部の上部に設けられるもので、
図2の1次クランプの側面構成図を示す
図6を参照すると、シリンダー装置からなる昇降手段により下降してパイプの上部を回転支持するローラー422が備えられた1次クランプ420と、
図2の2次クランプの側面構成図を示す
図7を参照すると、前記1次クランプから離隔し、シリンダー装置からなる昇降手段により下降してパイプの上部を回転支持するローラー442が備えられた2次クランプ440とから構成される。
【0036】
前記パイプ固定部400によりパイプの上側を回転支持することができるようにした後、切断部500によって切断することができる。
【0037】
前記切断部500は、前記移送部の上部で上下移動するように設けられ、前記1次クランプと2次クランプとの間に下降して、前記回転ローラーによるパイプの回転と同時に回転する切断刃により前記パイプを切断することを可能にする。
【0038】
図8に示すように、前記切断刃522は、両側ロールにより無限軌道で回転するバンドソウ(band saw)であることを特徴とし、また、丸鋸(circular saw)も使用可能である。
【0039】
一方、
図9に示すように、前記移送部100の上部には、前記パイプの切断部分を加圧して前記回転ローラーから離脱させる離脱シリンダー600がさらに備えられることを特徴として、バンドソウにより切断されたパイプを離脱させる。
【0040】
したがって、本発明は、特に大型パイプを長手方向に移送した後、下部、上部および両端で回転支持することができるようにして、パイプの回転と同時に回転するバンドソウ(band saw)によってパイプを切断して切断速度及び切断精度を高めることができる。
【0041】
以上のように、本発明は、大型パイプ高速切断機を提供することを基本的な技術的思想としていることが分かり、このような本発明の基本的思想の範疇内で、当該分野における通常の知識を有する者であれば他の様々な変形が可能であるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、大型パイプ高速切断機に関するもので、長さの長い大型パイプを回転させ、回転する切断刃によりパイプを直径方向に容易に切断することができる大型パイプ高速切断機分野に利用可能である。