特許第6258558号(P6258558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258558
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】発光ダイオードに用いられる発光材料
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20171227BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171227BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   C09K11/06 660
   C09K11/06 690
   H05B33/14 B
   H05B33/10
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-519759(P2017-519759)
(86)(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公表番号】特表2017-521546(P2017-521546A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】CN2015074265
(87)【国際公開番号】WO2016004772
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】201410332281.0
(32)【優先日】2014年7月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】支 志明
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−331508(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0264625(US,A1)
【文献】 特開2004−335122(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0210828(US,A1)
【文献】 特開2008−103535(JP,A)
【文献】 特表2007−535807(JP,A)
【文献】 特開2003−123981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/06
H01L 51/50
H05B 33/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードに用いられる発光材料であって、その構造は式(I)に示され、
【化1】
〜R26は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、非置換アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、非置換アリール基、置換アリール基、アシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、アラルキル基、シアノ基、カルボキシル基、チオ基、スチレン基、アミノカルボニル基、カルバモイル基、アリルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、またはアルコキシカルボニル基であり、R〜R26は、隣接するその他のR〜R26基と独立に5〜8員環を形成することが可能な、発光ダイオードに用いられる発光材料。
【請求項2】
〜R26は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、五員或いは六員シクロアルキル基、五員或いは六員アリール基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、またはカルボキシル基であり、R〜R26は、隣接するその他のR〜R26基と独立に5〜6員環を形成することが可能な、請求項1に記載の発光材料。
【請求項3】
3〜8、R17〜22は、独立に水素である、請求項2に記載の発光材料。
【請求項4】
、R11、R16、R24は、独立に水素であり、R、R23、R9〜10、R25〜26は、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基である、請求項3に記載の発光材料。
【請求項5】
12〜15は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、五員或いは六員シクロアルキル基、五員或いは六員アリール基、アミノ基、ニトロ基、またはシアノ基であり、R13、R14は、独立に5〜6員芳香環を形成する、請求項4に記載の発光材料。
【請求項6】
13、R14は、独立に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル基、アミノ基、ニトロ基、またはシアノ基であり、またはR13、R14は、独立にベンゼン環を形成する、請求項5に記載の発光材料。
【請求項7】
12、R15は、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基である、請求項6に記載の発光材料。
【請求項8】
【化2】
の構造のうちの何れかの化合物である、請求項7に記載の発光材料。
【請求項9】
1種または複数種の、請求項1〜8のいずれか1項に記載の、発光ダイオードに用いられる発光材料を含有する有機発光ディバイス。
【請求項10】
熱沈積を通じて前記有機発光ディバイスにおいて層の形式で、前記発光ダイオードに用いられる発光材料を付与し、または、回転塗装を通じて前記有機発光ディバイスにおいて層の形式で、前記発光ダイオードに用いられる発光材料を付与し、または、インクジェット印刷を通じて前記有機発光ディバイスにおいて層の形式で、前記発光ダイオードに用いられる発光材料を付与する、請求項9に記載の有機発光ディバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料に関し、特に新型プラチナ(II)錯化合物発光材料及びその有機発光ダイオード(OLED)における用途に関する。
【背景技術】
【0002】
前世紀80年代、C. W. Tangは、二層構造OLED(有機発光ディバイス)(米国特許No. 4, 356, 429; Appl. Phys. Lett. 1987, 51, 12, 913)を公開した。このような発見は、発光電子輸送層(emissive electron-transporting layer)及び、適合の有機材料の正孔輸送層を含む多層構造を使用することに基づいている。Alq(q:脱プロトン8-ヒドロキシキノリン)を選択して発光電子輸送材料とする。その時から、OLEDに使用される材料を持続的に研究している。OLEDは、(1)低い稼動電圧、(2)薄い全体構造、(3)発射光であり調製光ではなく、(4)良好な発光効率、(5)全色潜在力及び高い対比及び解像度を含む利点を供給し、前記利点は、OLEDが平面パネル型ディスプレイに使用される可能性があることを表した。
【0003】
有機小分子について研究を行うことによって、OLEDの性能を改善する。普通、燐光材料を使用してOLED発光層中の発射体とするが、異なる燐光材料において、イリジウムを有する錯化合物、及び、プラチナを有する錯化合物が主流材料である。イリジウムを有する材料は、八面体の幾何配置を有する。そのため、イリジウムを有する材料によって製造されたOLEDは、高効能を有する以外に、一般的に、極大な効率減衰を有することが無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許No. 4, 356, 429
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それに対し、プラチナを有する材料は、平面の幾何配置を有する。そのため、プラチナを有する材料によって製造されたOLEDは、高効能を有することも可能であるが、同時に、極大な効率減衰を有する。言い換えると、これらのディバイスは、極低い明度の状況下でのみ高効能を得ることができ、正常な運行の明度、例えば1000cdm-2下で、ディバイスの効能は、普通非常に低いレベルまで下げることができる。例えば、我々は、2007年にてプラチナを有する1種の燐光材料を開発した。これらの材料によって製造されたディバイスは、51.8cdA-1までも達する高い効能を有することができるが、これらのディバイスの効能が急速に最高効能の50%まで下げる(Appl. Phys. Lett. 91, 2007, 063508)。これも現在、イリジウムを有する材料のみが、OLED商品に用いられることができる1つの主な原因である。
【0006】
一般的に言うと、材料が高い消光定数(10dmmol-1-1以上)を有する場合、厳重な三重項状態に至る可能性を有し、三重項状態が隠滅すると快速な効率減衰を発生する。効率減衰以外に、高い消光定数は、プラチナを有する材料によって製造されたディバイスを非常に狭いドーピング窓にのみ運行できることにする。言い換えると、高効能及び高色純度のディバイスは、1つの非常に小さいドーピング範囲(例えば、1%〜2%)内にのみ達することができる。これも、プラチナの有する材料の工業分野に受け入れられていなかった原因の1つである。
【0007】
この問題を解決するため、異なる学者が、異なる案を提出し、且つ、異なる材料を製造した。2010年、我々は、大きいグループ(基)を加え、Huoは、非平面グループを加え、2012年、Xieは、非平面グループを、プラチナを有する材料の中に加えた(Chem. Eur. J. 2010, 16, 233-247;Inorg.Chem. 2010, 49, 5107-5119; Chem. Commun. 2012, 48, 3854-3856)。
【0008】
但し、上述の問題は、顕著に改善されず、製造されたディバイスは、依然50%よりも高い効率減衰を有する。これは、大きいグループ及び非平面グループを加えることが、上述の問題を解決する通常実行可能な方法ではないことを表した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の分野における欠陥に対し、本発明は、新型プラチナ(II)錯化合物発光材料を供給し、低い消光定数を有し、高効率且つ低効率減衰の赤光OLEDを製造することができる。
【0010】
本発明は、さらに発光材料の製造方法を供給する。
【0011】
本発明は、さらに前記発光材料により製造された発光ディバイスを供給する。
【0012】
発光ダイオードに用いられる発光材料であって、その構造は、式(I)に示される。
【0013】
【化1】
【0014】
そのうち、R〜R26は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、非置換アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、非置換アリール基、置換アリール基、アシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、アラルキル基、シアノ基、カルボキシル基、チオ基、スチレン基、アミノカルボニル基、カルバモイル基、アリルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、またはアルコキシカルボニル基であり、R〜R26は、隣接するその他のR〜R26基と独立に5〜8員環を形成することができる。
【0015】
そのうち、R〜R26は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、五員或いは六員シクロアルキル基、五員或いは六員アリール基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、またはカルボキシル基であり、R〜R26は、隣接するその他のR〜R26基と独立に5〜6員環を形成することができる。
【0016】
そのうち、R3〜8、R17〜22は、独立に水素である。
【0017】
そのうち、R、R11、R16、R24は、独立に水素であり、R、R23、R9〜10、R25〜26は、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基である。
【0018】
そのうち、R12〜15は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基、五員或いは六員シクロアルキル基、五員或いは六員アリール基、アミノ基、ニトロ基、またはシアノ基であり、R13、R14は、独立に5〜6員芳香環を形成する。
【0019】
13、R14は、独立に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル基、アミノ基、ニトロ基、またはシアノ基であり、またはR13、R14は、独立にベンゼン環を形成する。
【0020】
そのうち、R12、R15は、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基である。
【0021】
構造Iの化学構造を有する有機金属錯化合物は、環状金属化錯化合物と呼ばれる。構造Iにおけるプラチナ中心は、+2酸化状態であり、且つ、正方形の平面幾何形状を有する。プラチナ中心の配位サイトは、1つの四座によって配位子される。四座配位子は、2つの窒素供与体結合、及び、2つの酸素供与体結合を通じて、プラチナ中心に結合配位される。赤光を発出するニーズに達するため、四座配位子の基本構造は、シッフ塩基である。
【0022】
背景資料にて言及されたように、シッフ塩基を有するプラチナ錯化合物は、共に高い消光定数を有し、それらによって製造されたディバイスは、共に高効率減衰を有し、例え大きいグループを加えても、上述の問題を解決できない。
【0023】
本発明において、フェノールに付加されるダブル環は、そのうちの1つの重要な点であり、消光定数を有効に低減できる。構造Iを通じ、我々は、この2つの方法を1つにし、且つ、その他のグループを通じて得られない効果を得た。この発明において、構造Iにおける中心部分(以下の図中の太線部分)が、材料に赤光を発出させ、且つ、低い消化定数を有させる要因である。
【0024】
【化2】
【0025】
一方、構造Iにおいて、その他の基(R〜R26)は、材料の発光性質及び消光定数に激しく影響を与えないため、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、非置換アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、非置換アリール基、置換アリール基、アシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、アラルキル基、シアノ基、カルボキシル基、チオ基、スチレン基、アミノカルボニル基、カルバモイル基、アリルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、またはアルコキシカルボニル基であってもよい。各R〜R26は、隣接するR基と独立に5〜8員環を形成することができる。
【0026】
本出願の目的のため、別に指定する以外に、専門用語である、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基及び複素環芳香族構造または複素環芳香族基は、以下の意味を含んでいてもよい。
【0027】
本文に使用されるハロゲン、または、ハロゲン化物は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを含み、F、Cl、Brが好ましく、特にFまたはClが好ましく、Fが最も好ましい。
【0028】
本文に使用されるアリール基、アリール基部分または芳香族構造は、6〜30個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子、より好ましくは6〜8個の炭素原子を有し、且つ、1つの芳香環または複数の縮合された芳香環によって構成されたアリール基を含む。適当なアリール基は、例えばフェニル基、ナフチル基、アセナフテン基(acenaphthenyl)、アセナフチレン基(acenaphthylenyl)、アントラセン基、フルオレニル基、フェナレニル基(phenalenyl)である。アリール基は、非置換(即ち、全ての置換可能な炭素原子には、水素原子を有する)またはアリール基の1つ、1つより多くまたは全ての置換可能な位置に置換されても良い。適当な置換基は、例えばハロゲン、F、BrまたはClが好ましく、アルキル基、1〜20個、1〜10個または1〜8個の炭素原子の有するアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基またはtert−ブチル基が特に好ましく、アリール基、再び置換可能な、または非置換のC−アリール基またはフルオレニル基が好ましく、ヘテロアリール基、少なくとも1つの窒素原子を含有するヘテロアリール基が好ましく、ピリジン基が特に好ましく、アルケニル基が適当な置換基であり、1つの二重結合の有するアルケニル基が好ましく、二重結合及び1〜8個の炭素原子を有するアルケニル基が特に好ましい。アリール基は、F及びtert-ブチルを有する置換基が特に好ましく、所定のアリール基または任意の少なくとも前記置換基によって置換されたC−アリール基であるアリール基が好ましく、C-アリール基は、0、1または2つの置換基を有するものが特に好ましく、C-アリール基は、非置換フェニル基または置換フェニル基、例えばビフェニル基、2つのtert−ブチルによって好ましくメタ位で置換されたフェニル基が最も特に好ましい。本文に使用されるアリール基またはアリール基部分は、フェニル基であることが好ましく、それは非置換、または、置換基、好ましくはハロゲン、アルキル基またはアリール基によって置換されていても良い。
【0029】
本文に使用されるアルキル基またはアルキル基部分は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に好ましくは1〜6個の炭素原子のアルキル基を含む。前記アルキル基は、側鎖または直鎖であってもよく、且つ、1つまたは複数のヘテロ原子、好ましくはN、OまたはSによって中断されても良い。且つ、前記アルキル基は、1つまたは複数の言及されたアリール基に関する置換基によって置換されることができる。同様に、アルキル基にとって、1つのまたは複数のアリール基を有することが可能であり、全ての言及されたアリール基が共に、上述の目的に用いられることに適し、アルキル基は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、sec-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、正ヘキシル、イソヘキシル及びsec−ヘキシルが特に好ましく、tert−ブチル、C、C13が最も特に好ましい。
【0030】
本文に使用されるように、シクロアルキル基は、環状のアルキル基が望ましく、3〜7個の炭素原子を含有するシクロアルキル基であって、且つ、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むことが好ましい。また、シクロアルキル基は、ハロゲン化物、アルキル基、例えばtert−ブチル、C、及びC13から選ばれた1つまたは複数の置換基によってランダムに置換されても良い。
【0031】
本文に使用されるように、アシル基は、単一結合によってCO基に連接された、例えば本文に使用されるアルキル基である。
【0032】
本文に使用されるように、アルコキシ基は、酸素と連接された、例えば本文に使用されるアルキル基である。
【0033】
本文に使用されるように、複素環芳香族構造または複素環芳香族基が芳香族、C〜C環基に関することとして理解されてもよく、且つさらに1つの酸素または硫黄原子または1〜4個の窒素原子または1つの酸素または硫黄原子と多くとも2つの窒素原子との組合せ、及びそれらの置換された及びベンゾとピリジノ−縮合された誘導体を含み、例えば、そのうちの1つの環形成された炭素原子の連接することによって、前記複素環芳香族構造または複素環芳香族基は、1つのまたは複数の言及されたアリール基に関する置換基によって置換されても良い。
【0034】
一部の技術的解決手段において、ヘテロアリール基が互いに同様または異なる0、1、または2つの置換基を有する5-及び6員-複素環芳香族構造であっても良い。ヘテロアリール基の典型的な実例は、非置換フラニル、ベンゾフラニル、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、インドリル、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾ、インダゾール、テトラゾール、キノリン、イソキノリン、ピリダジニル、ピリミジニル、プリン及びピラジン、フラニル、1,2,3−ジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、プテリジン、ベンゾオキサゾール、ジアゾール、ベンゾピラゾール、キノリジジン、シンノリン、フタラジン、キナゾとキノキサリン及びそのシングル−またはダブル−置換誘導体を含んでいるが、これらに限定されない。一部の技術解決手段において、置換基がハロゲン化物、ヒドロキシ基、シアノ基、O〜C1−6−アルキル基、C1−6-アルキル基、ヒドロキシ-C1−6-アルキル基及びアミノ-C1−6-アルキル基である。
【0035】
プラチナ(II)錯化合物の具体的な実施例は、以下のように示されるが、以下の錯化合物に限定されない。
【0036】
【化3】
【0037】
構造Iを有する錯化合物を採用すれば、熱沈積及び溶液処理のOLEDを製造できる。
【0038】
1種または複数種の、発光ダイオードに用いられる発光材料を含有する有機発光ディバイスを含む。
【0039】
そのうち、熱沈積を通じて、前記有機発光ディバイスにおいて層の形式で前記発光ダイオードに用いられる発光材料を付与する。
【0040】
そのうち、回転塗装を通じて、前記有機発光ディバイスにおいて層の形式で前記発光ダイオードに用いられる発光材料を付与する。
【0041】
そのうち、インクジェット印刷を通じて、前記有機発光ディバイスにおいて層の形式で前記発光ダイオードに用いられる発光材料を付与する。
【0042】
前記有機発光ディバイス、そのうち、層に対して電流を加える時に前記有機発光ディバイスが単色−赤色を発射する。
【発明の効果】
【0043】
本発明におけるプラチナ(II)錯化合物は、高い発光量子効率、良好な熱安定性及び低い消光定数を有し、高効率且つ低効率減衰の赤光OLEDを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】構造IIの化学構造を有する配位子の合成手段である。
図2】構造Iの化学構造を有する錯化合物の合成手段である。
図3】錯化合物101の吸収及び発射スペクトルである。
図4】錯化合物101のサイクリックボルタンメトリである。
図5】錯化合物101によって製造されたOLEDのデータである。
図6】錯化合物101によって製造されたOLEDのスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下は、本文に説明されたプラチナ(II)錯化合物(発光ダイオードに用いられる発光材料)の製造、物理性質及びエレクトロルミネセンスデータの実例である。実例を提出する目的は、本発明の理解に役立つことであるが、意欲的ではなく、且つ、いずれの方法でその後に添付している請求項に記載される本発明に対する限定であることとして解釈されるわけではない。
【0046】
以下の実施例及び明細書並びに請求項のうちに別途で指摘する以外に、全ての部数及び百分比が重量によって計算され、全ての温度が℃で表され、圧力が大気圧または大気圧に近いことになっている。
【0047】
操作実例のうちではなく、または別途で指摘されないうちに、言及された本明細書及び請求項に用いられる成分、反応条件等の量の全てのデータ、値及び/または表示は、全ての状況下で専門用語である「約」によって修飾されているとして理解されるべきである。
【0048】
特徴を与えるいずれの図またはデータ範囲について、1つの範囲における図またはパラメータから、同様な特徴の異なる範囲の図またはパラメータと合併することよって、データ範囲を形成する。
【0049】
実施例201−構造IIの化学構造を有する配位子の汎用調製方法
図1を参照し、o−フェニレンジアミン基(構造III)を含有する化合物と、フェノール及びビス環を有する化合物(構造IV)とを、縮合反応することによって2つのイミド結合を形成した後、構造IIの化学構造を有する配位子を生成した。(構造III、構造IVの化合物は、市販製品である。)
【0050】
実施例202−配位子301の製造
【0051】
【化4】
【0052】
実施例201における方法を通じて配位子301を調製した。そのうち、R〜R26は、水素である。収率100%。 H NMR(500MHz,CDCl)δ13.33(s, 2H), 8.54(s, 2H), 7.34?7.22(m, 2H), 7.22?7.11(m, 2H), 7.09(s, 2H), 6.87(s, 2H), 3.32(d, J=11.0Hz, 4H), 1.90(d, J=7.5Hz, 4H), 1.73(d, J=8.1Hz, 2H), 1.54(d, J=8.6Hz, 2H), 1.20(d, J=5.7Hz, 4H)であった。
【0053】
実施例203−構造Iの化学構造を有する錯化合物の汎用調製方法
図2を参照し、まず、構造II(301)の化学構造を有する配位子及び2倍部の量の弱アルカリを少量の熱いジメチルホルムアミドに溶かし、その後、1倍部の量のプラチナの塩を有するジメチルスルホキシド溶液をそのうちに加えた。一夜反応させた後、ろ過方法で沈殿物を収集し、最後に、再結晶法を使用して精製した。
【0054】
実施例204−錯化合物101の調製
【0055】
【化5】
【0056】
実施例203における方法によって錯化合物101を調製した。そのうち、弱アルカリが酢酸ナトリウムで、プラチナを有する塩が塩化第一白金酸カリウムで、収率が32%であった。H NMR(500MHz, CDCl) δ 8.76(s, 2H), 7.97(dd, J=6.0, 3.2Hz, 2H), 7.32(dd, J=6.1, 3.2Hz, 2H),7.28(s, 2H), 7.08(s, 2H), 3.36(d, J=6.4Hz, 4H), 1.97(d, J=8.3Hz, 4H), 1.80(d, J=8.0Hz, 2H), 1.62(d,J=8.8Hz, 2H), 1.31(d, J=7.5 Hz, 4H)であった。
【0057】
実施例205−錯化合物101の光物理性質
【0058】
【表1】
【0059】
実施例206−錯化合物101の電気物理性質
【0060】
【表2】
【0061】
実施例207−汎用熱解離OLED製造方法
高い真空環境(圧力<1x10−6トル)において、カバー透明物質、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の陽極及び金属陰極にて、順に沈積を行った。
【0062】
実施例208−実施例207を使用して装置を製造した。そのうちの正孔輸送層が40nmの4,4'−シクロヘキシル−ビス[N,N−ジ(4-メチルフェニル)アニリン](TAPC)である。発光が2層の異なる分層によって構成され、第1層が、主にトリ(4−カルバゾイル−9イル−フェニル)アミン(TcTa)(主体材料)の発光層であり、少量の錯化合物101(ドーピング剤)がドーピングされ、第2層が、主に9,9’−(2,6−ピリジンジイルジ−3,1−フェニレン)ビス−9H−カルバゾイル(26DczPPy)(主体材料)の発光層であり、少量の錯化合物101(ドーピング剤)がドーピングされる。電子輸送層が40nmの3,3’−[5’−[3−(3−ピリジル基)フェニル基][1,1’:3’,1’’−テルフェニル]−3,3’’−ジイル]ジピリジン(TmPyPB)である。電子注入層が1nmのフッ化リチウムであり、及び、金属陰極が100nmのアルミニウムである。
【0063】
実施例209−実施例209は、実施例208に記載される方法によって錯化合物101を発光材料として製造されたOLEDディバイスのディバイス性能
【0064】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6