(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6258561
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/06 20060101AFI20171227BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20171227BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20171227BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20171227BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20171227BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20171227BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20171227BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20171227BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20171227BHJP
H01L 29/866 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/78 652T
H01L29/78 657C
H01L29/78 655B
H01L27/04 H
H01L29/91 K
H01L29/90 D
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-521166(P2017-521166)
(86)(22)【出願日】2016年5月26日
(86)【国際出願番号】JP2016065645
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】小谷 涼平
(72)【発明者】
【氏名】松原 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】石塚 信隆
(72)【発明者】
【氏名】三川 雅人
(72)【発明者】
【氏名】押野 浩
【審査官】
棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−217152(JP,A)
【文献】
特開2003−188381(JP,A)
【文献】
特開2014−187071(JP,A)
【文献】
米国特許第6762440(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 21/329
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 29/12
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 29/861
H01L 29/866
H01L 29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の主面と他方の主面との間に主電流が流れる半導体装置であって、
前記半導体基板の前記一方の主面には、活性領域と、前記活性領域を取り囲み、前記半導体基板の周縁部を含む耐圧領域とが設けられ、
前記半導体装置は、
前記耐圧領域の前記一方の主面に選択的に形成され、前記活性領域を取り囲む第2導電型の拡散層と、
前記拡散層上、および当該拡散層の外側に位置する第1導電型の周辺半導体領域上に形成された絶縁膜と、
前記活性領域側から前記半導体基板の周縁部へ向かって前記絶縁膜上に交互に隣接配置された第1導電型の半導体層と第2導電型の半導体層とを有する過電圧保護ダイオードと、
前記絶縁膜上に前記耐圧領域に沿って形成された第1の導体部および第2の導体部と、を備え、
前記第1の導体部は、前記絶縁膜を介して前記拡散層の上方に配置され、前記第2の導体部は、前記絶縁膜を介して前記周辺半導体領域の上方に配置されており、
逆バイアス印加状態において前記絶縁膜近傍の前記拡散層が空乏化するように前記第1の導体部の端部が前記過電圧保護ダイオードに電気的に接続され、
前記第1導電型がN型であり、前記第2導電型がP型であり、
前記第1の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第1の導体部の電位が自身の直下における前記拡散層の電位よりも高くなるように前記過電圧保護ダイオードの側面の第1の部位に電気的に接続され、
前記第2の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第2の導体部の電位が自身の直下における前記周辺半導体領域の電位よりも低くなるように前記過電圧保護ダイオードの前記側面の第2の部位に電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記半導体基板の側端側に寄るように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記活性領域側に寄るように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の導体構成部は、前記過電圧保護ダイオードに近づくにつれて太くなることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板の一方の主面と他方の主面との間に主電流が流れる半導体装置であって、
前記半導体基板の前記一方の主面には、活性領域と、前記活性領域を取り囲み、前記半導体基板の周縁部を含む耐圧領域とが設けられ、
前記半導体装置は、
前記耐圧領域の前記一方の主面に選択的に形成され、前記活性領域を取り囲む第2導電型の拡散層と、
前記拡散層上、および当該拡散層の外側に位置する第1導電型の周辺半導体領域上に形成された絶縁膜と、
前記活性領域側から前記半導体基板の周縁部へ向かって前記絶縁膜上に交互に隣接配置された第1導電型の半導体層と第2導電型の半導体層とを有する過電圧保護ダイオードと、
前記絶縁膜上に前記耐圧領域に沿って形成された第1の導体部および第2の導体部と、を備え、
前記第1の導体部は、前記絶縁膜を介して前記拡散層の上方に配置され、前記第2の導体部は、前記絶縁膜を介して前記周辺半導体領域の上方に配置されており、
逆バイアス印加状態において前記絶縁膜近傍の前記拡散層が空乏化するように前記第1の導体部の端部が前記過電圧保護ダイオードに電気的に接続され、
前記第1導電型がP型であり、前記第2導電型がN型であり、
前記第1の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第1の導体部の電位が自身の直下における前記拡散層の電位よりも低くなるように前記過電圧保護ダイオードの側面の第1の部位に電気的に接続され、
前記第2の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第2の導体部の電位が自身の直下における前記周辺半導体領域の電位よりも高くなるように前記過電圧保護ダイオードの前記側面の第2の部位に電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記第1の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記活性領域側に寄るように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記半導体基板の側端側に寄るように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2の導体構成部は、前記過電圧保護ダイオードに近づくにつれて太くなることを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体基板はシリコン基板であり、前記絶縁膜はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の導体部および/または前記第2の導体部は、隣接する前記第1導電型の半導体層と前記第2導電型の半導体層の接合境界を跨ぐようにして前記過電圧保護ダイオードに接続されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記拡散層中に形成された第1導電型の拡散領域と、
前記拡散領域上に形成されたエミッタ電極と、
前記過電圧保護ダイオード上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の前記他方の主面に形成された第2導電型のコレクタ領域と、
前記コレクタ領域上に形成されたコレクタ電極と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記拡散層中に形成された第1導電型の拡散領域と、
前記拡散領域上に形成されたエミッタ電極と、
前記過電圧保護ダイオード上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の前記他方の主面に形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域上に形成され、前記ドレイン領域とショットキー障壁を形成するコレクタ電極と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記拡散層中に形成された第1導電型の拡散領域と、
前記拡散領域上に形成されたソース電極と、
前記過電圧保護ダイオード上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の前記他方の主面に形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域上に形成されたドレイン電極と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記耐圧領域の前記一方の主面に選択的に形成され、前記拡散層を取り囲む1本または複数本の第2導電型のガードリングをさらに備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるMOS(Metal−Oxide−Semiconductor)構造を有する半導体装置が知られている。このMOS構造を有する半導体装置(以下「MOS型半導体装置」という。)には、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、MOSFET(MOS Field Effect Transistor)がある。
【0003】
従来、MOS型半導体装置では過電圧保護対策として、直列接続されたツェナーダイオードが設けられる。具体的には、MOS型半導体装置の耐圧よりも低い電圧でブレークダウンするように設計されたツェナーダイオードをコレクタ−ゲート間に設けている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
MOS型半導体装置では、耐圧を確保するために半導体基板の周縁部に耐圧領域を設け、この耐圧領域に沿って導体部(フィールドプレートとも呼ばれる。)を形成する。この導体部は、半導体基板上に形成された絶縁膜の上に設けられる。これにより、耐圧領域の表面電位を安定化させて半導体装置の信頼性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−111304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の半導体装置において、導体部と半導体基板との間に介在するシリコン酸化膜等の絶縁膜中には、Naイオン等の可動イオンが含まれる。このため、例えばIGBTのコレクタ電極を高電位に接続し且つエミッタ電極を接地した場合、絶縁膜中の可動イオンが移動することによって、半導体装置の耐圧が局所的に低下するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、耐圧の低下を抑制し、信頼性を向上させることが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、
半導体基板の一方の主面と他方の主面との間に主電流が流れる半導体装置であって、
前記半導体基板の前記一方の主面には、活性領域と、前記活性領域を取り囲み、前記半導体基板の周縁部を含む耐圧領域とが設けられ、
前記半導体装置は、
前記耐圧領域の前記一方の主面に選択的に形成され、前記活性領域を取り囲む第2導電型の拡散層と、
前記拡散層上、および当該拡散層の外側に位置する第1導電型の周辺半導体領域上に形成された絶縁膜と、
前記活性領域側から前記半導体基板の周縁部へ向かって前記絶縁膜上に交互に隣接配置された第1導電型の半導体層と第2導電型の半導体層とを有する過電圧保護ダイオードと、
前記絶縁膜上に前記耐圧領域に沿って形成された第1の導体部および第2の導体部と、を備え、
前記第1の導体部は、前記絶縁膜を介して前記拡散層の上方に配置され、前記第2の導体部は、前記絶縁膜を介して前記周辺半導体領域の上方に配置されており、
逆バイアス印加状態において前記絶縁膜近傍の前記拡散層が空乏化するように前記第1の導体部の端部が前記過電圧保護ダイオードに電気的に接続され、および/または、前記逆バイアス印加状態において前記絶縁膜近傍の前記周辺半導体領域が空乏化するように前記第2の導体部の端部が前記過電圧保護ダイオードに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記半導体装置において、
前記第1導電型がN型であり、前記第2導電型がP型であり、
前記第1の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第1の導体部の電位が自身の直下における前記拡散層の電位よりも高くなるように前記過電圧保護ダイオードの側面の第1の部位に電気的に接続され、
前記第2の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第2の導体部の電位が自身の直下における前記周辺半導体領域の電位よりも低くなるように前記過電圧保護ダイオードの前記側面の第2の部位に電気的に接続されているようにしてもよい。
【0010】
また、前記半導体装置において、
前記第1の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記半導体基板の側端側に寄るように設けられているようにしてもよい。
【0011】
また、前記半導体装置において、
前記第2の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記活性領域側に寄るように設けられているようにしてもよい。
【0012】
また、前記半導体装置において、
前記第2の導体構成部は、前記過電圧保護ダイオードに近づくにつれて太くなるようにしてもよい。
【0013】
また、前記半導体装置において、
前記第1導電型がP型であり、前記第2導電型がN型であり、
前記第1の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第1の導体部の電位が自身の直下における前記拡散層の電位よりも低くなるように前記過電圧保護ダイオードの側面の第1の部位に電気的に接続され、
前記第2の導体部の端部は、前記逆バイアス印加状態において前記第2の導体部の電位が自身の直下における前記周辺半導体領域の電位よりも高くなるように前記過電圧保護ダイオードの前記側面の第2の部位に電気的に接続されているようにしてもよい。
【0014】
また、前記半導体装置において、
前記第1の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記活性領域側に寄るように設けられているようにしてもよい。
【0015】
また、前記半導体装置において、
前記第2の導体部は、
前記半導体基板の周縁部に沿って延在する第1の導体構成部と、
前記第1の導体構成部に一端が接続され、前記過電圧保護ダイオードの近傍まで延在する第2の導体構成部と、
前記第2の導体構成部と前記過電圧保護ダイオードを電気的に接続する第3の導体構成部と、を有し、
前記第2の導体構成部は、前記第1の導体構成部よりも幅広に形成され、
前記第3の導体構成部は、前記第2の導体構成部の他端の幅よりも幅狭に形成され、かつ前記半導体基板の側端側に寄るように設けられているようにしてもよい。
【0016】
また、前記半導体装置において、
前記第2の導体構成部は、前記過電圧保護ダイオードに近づくにつれて太くなるようにしてもよい。
【0017】
また、前記半導体装置において、
前記半導体基板はシリコン基板であり、前記絶縁膜はシリコン酸化膜であるようにしてもよい。
【0018】
また、前記半導体装置において、
前記第1の導体部および/または前記第2の導体部は、隣接する前記第1導電型の半導体層と前記第2導電型の半導体層の接合境界を跨ぐようにして前記過電圧保護ダイオードに接続されていてもよい。
【0019】
また、前記半導体装置において、
前記拡散層中に形成された第1導電型の拡散領域と、
前記拡散領域上に形成されたエミッタ電極と、
前記過電圧保護ダイオード上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の前記他方の主面に形成された第2導電型のコレクタ領域と、
前記コレクタ領域上に形成されたコレクタ電極と、
をさらに備えてもよい。
【0020】
また、前記半導体装置において、
前記拡散層中に形成された第1導電型の拡散領域と、
前記拡散領域上に形成されたエミッタ電極と、
前記過電圧保護ダイオード上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の前記他方の主面に形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域上に形成され、前記ドレイン領域とショットキー障壁を形成するコレクタ電極と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の半導体装置。
【0021】
また、前記半導体装置において、
前記拡散層中に形成された第1導電型の拡散領域と、
前記拡散領域上に形成されたソース電極と、
前記過電圧保護ダイオード上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の前記他方の主面に形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域上に形成されたドレイン電極と、
をさらに備えてもよい。
【0022】
また、前記半導体装置において、
前記耐圧領域の前記一方の主面に選択的に形成され、前記拡散層を取り囲む1本または複数本の第2導電型のガードリングをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、逆バイアス印加状態において絶縁膜近傍の拡散層が空乏化するように第1の導体部の端部が過電圧保護ダイオードの側面に電気的に接続され、および/または、逆バイアス印加状態において絶縁膜近傍の周辺半導体領域が空乏化するように第2の導体部の端部が過電圧保護ダイオードの側面に電気的に接続されている。これにより、逆バイアス印加時においては、空乏化した半導体領域の不純物の電荷によって上記絶縁膜中に分極電荷が生じる。この分極電荷に、絶縁膜中の可動イオンがトラップされるため、可動イオンの移動が抑制されることになる。よって、本発明によれば、逆バイアス印加時における耐圧の低下を抑制し、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置1(IGBT)の平面図である。
【
図4】導体部6,7,8,9と過電圧保護ダイオード5との間の接続領域を拡大した平面模式図である。
【
図5】逆バイアス印加状態における各領域の電位の一例を示す図である。
【
図6A】実施形態に係る導体部31〜35と過電圧保護ダイオード5の一部を示す平面図である。
【
図7】2本のガードリング25が設けられた半導体装置1の断面図である。
【
図8】拡散層3の導電型がN型、周辺半導体領域10の導電型がP型になった場合における、逆バイアス印加状態における各領域の電位の一例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る半導体装置1A(縦型MOSFET)の断面図である。
【
図10】第1の実施形態の変形例に係る半導体装置1B(IGBT)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態に係る半導体装置1は、IGBTである。
【0027】
半導体装置1では、半導体基板2の上面2a(一方の主面)と下面2b(他方の主面)との間に主電流が流れる。なお、半導体基板2は、本実施形態ではシリコン基板である。ただし、本発明はこれに限るものではなく、その他の半導体基板(例えばSiC基板、GaN基板等)であってもよい。また、半導体基板2の導電型は、本実施形態ではN型であるが、これに限定されない。
【0028】
図1に示すように、半導体基板2の上面2aには、主電流が流れる活性領域Aと、この活性領域Aを取り囲む耐圧領域Bとが設けられている。耐圧領域Bは、半導体基板2の周縁部を含む。ここで、「周縁部」とは、半導体基板2の側面を含む、半導体基板2の周縁の部分のことである。なお、
図1では、絶縁膜15、表面保護膜16、エミッタ電極21、ゲート電極22、ストッパ電極24は図示していない。
【0029】
図1〜
図3に示すように、半導体装置1は、P型の拡散層3と、絶縁膜4と、過電圧保護ダイオード5と、導体部6,7,8,9と、P型のコレクタ領域12と、N型の拡散領域13と、N型のストッパ領域14と、エミッタ電極21と、ゲート電極22と、コレクタ電極23と、ストッパ電極24とを備えている。なお、半導体基板2の上面2aには、ゲートパット(図示せず)が設けられる。
【0030】
拡散層3は、耐圧領域Bの上面2aに選択的に形成されており、活性領域Aを取り囲んでいる。この拡散層3は、p型ベース領域とも呼ばれる。なお、
図1の境界P1とP2で囲まれた領域がp型ベース領域である。境界P2が活性領域Aと耐圧領域Bの境界となっている。なお、拡散層3の深さは、例えば2μm〜10μmである。拡散層3の不純物濃度は、例えば1×10
14cm
−3〜1×10
16cm
−3である。
【0031】
絶縁膜4は、
図2に示すように、拡散層3上、および周辺半導体領域10上に形成されている。ここで、周辺半導体領域10は、拡散層3の外側に位置するN型の半導体領域である。この周辺半導体領域10の不純物濃度は、例えば1×10
13cm
−3〜1×10
15cm
−3である。
【0032】
絶縁膜4は、例えばフィールド酸化膜である。本実施形態では、絶縁膜4は、シリコン酸化膜(SiO
2膜)である。絶縁膜4の厚さは、例えば200nm〜2000nmである。
【0033】
過電圧保護ダイオード5は、活性領域A側から半導体基板2の周縁部へ向かって絶縁膜4上に交互に隣接配置されたN型の半導体層5aとP型の半導体層5bとを有する。この過電圧保護ダイオード5は、複数のツェナーダイオードが直列接続されたものである。
【0034】
拡散領域13は、拡散層3中に形成されたN型の半導体領域である。
図2に示すように、この拡散領域13上にエミッタ電極21が形成されている。なお、拡散領域13の不純物濃度は、例えば1×10
19cm
−3〜1×10
21cm
−3である。
【0035】
N型のストッパ領域14は、半導体基板2の側端における上面2aに形成されている。ストッパ領域14の不純物濃度は周辺半導体領域10よりも高い。ストッパ領域14上に、ストッパ電極24が形成されている。このストッパ電極24は、過電圧保護ダイオード5の他端に電気的に接続されている。
【0036】
ゲート電極22は、絶縁膜4を介して拡散層3の上方に設けられている。このゲート電極22は、本実施形態では、過電圧保護ダイオード5上に形成されている。より詳しくは、
図2に示すように、ゲート電極22は過電圧保護ダイオード5の活性領域A側の一端に電気的に接続されている。
【0037】
P型のコレクタ領域12は、半導体基板2の下面2bに形成されている。このコレクタ領域12の不純物濃度は、例えば1×10
17cm
−3〜1×10
19cm
−3である。
図2に示すように、コレクタ領域12上にコレクタ電極23が形成されている。なお、コレクタ領域12の上にN型のバッファ領域11が設けられてもよい。このバッファ領域11の不純物濃度は、例えば1×10
16cm
−3〜1×10
18cm
−3である。
【0038】
また、
図1および
図2に示すように、半導体装置1は、過電圧保護ダイオード5を被覆する絶縁膜15と、半導体装置1の上面2a側全体を被覆する表面保護膜16とをさらに備えている。絶縁膜15は、例えばBPSG(Boron Phosphorous Silicate Glass)膜である。表面保護膜16は、
図2に示すように、半導体基板2の上面2a側全体を被覆している。表面保護膜16は、例えばポリイミド膜である。
【0039】
次に、耐圧領域Bに設けられた導体部6,7,8,9について詳しく説明する。
【0040】
図1に示すように、導体部6,7(第1の導体部)および導体部8,9(第2の導体部)は、絶縁膜4上に耐圧領域Bに沿って形成されている。導体部6,7,8,9(より正確には、導体構成部6a,7a,8a,9a)は、互いに平行に形成されている。導体部6,7,8,9は、例えばポリシリコンまたはアルミニウム等から構成される。なお、導体部の本数は4本に限るものではない。
【0041】
図3に示すように、導体部6,7は、絶縁膜4を介して拡散層3の上方に配置されており、導体部8,9は、絶縁膜4を介して周辺半導体領域10の上方に配置されている。
【0042】
図4に示すように、導体部6,7,8,9は、導体構成部6a,7a,8a,9a(第1の導体構成部)と、導体構成部6b,7b,8b,9b(第2の導体構成部)と、導体構成部6c,7c,8c,9c(第3の導体構成部)とを有している。なお、
図4は、導体部6,7,8,9の概略構成を説明するための模式図であり、
図1の平面図と対応するものではない。
【0043】
導体構成部6a,7a,8a,9aは、導体部6,7,8,9のうち、半導体基板2の周縁部(側端)に沿って延在する部分である。導体構成部6b,7b,8b,9bは、導体構成部6a,7a,8a,9aに一端が接続され、過電圧保護ダイオード5の近傍まで延在している。導体構成部6c,7c,8c,9cは、導体構成部6b,7b,8b,9bと過電圧保護ダイオード5を電気的に接続する。
【0044】
図4に示すように、導体構成部6b,7b,8b,9bは、導体構成部6a,7a,8a,9aよりも幅広に形成されている。また、導体構成部6c,7c,8c,9cは、導体構成部6b,7b,8b,9bの他端(過電圧保護ダイオード5側の端部)の幅よりも幅狭に形成されている。そして、導体構成部6c,7c,8c,9cは、拡散層3と周辺半導体領域10間のpn接合境界P1側に寄るように設けられている。すなわち、
図4において、導体構成部6c、7cは右側に寄るように設けられ、導体構成部8c,9cは左側に寄るように設けられている。より一般的には、導体構成部6c,7cは半導体基板2の側端側(高電位側)に寄るように設けられ、導体構成部8c,9cは、半導体基板2の活性領域A側(低電位側)に寄るように設けられている。
【0045】
次に、
図5を参照して、上記半導体装置1の逆バイアス印加状態における各領域の電位について具体的に説明する。ここで、「逆バイアス印加状態」は、第1の実施形態では、コレクタ電極23が高電位(例えば直流電源の正極)に接続され、エミッタ電極21が接地され、ゲート電極22にIGBTがオンしない程度の低電圧が印加された状態のことである。また、
図5中の数値は、コレクタ電極23に400Vの高電位を接続し、エミッタ電極21を接地し、ゲート電極22に10〜20VのOFF電圧を印加した場合の例を示している。
【0046】
逆バイアス印加状態において、
図5に示すように、絶縁膜4近傍の拡散層3が空乏化するように、導体部6,7の端部は過電圧保護ダイオード5の側面に電気的に接続されている。より具体的には、逆バイアス印加状態において導体部6,7の電位が自身の直下における拡散層3の電位よりも高くなるように、導体部6,7の端部は過電圧保護ダイオード5の側面の第1の部位に電気的に接続されている。これは、導体構成部6c、7cがpn接合境界P1側(すなわち、高電位側)に寄るように設けられていることに対応する。
【0047】
同様に、逆バイアス印加状態において絶縁膜4近傍の周辺半導体領域10が空乏化するように、導体部8,9の端部は過電圧保護ダイオード5の側面に電気的に接続されている。より具体的には、逆バイアス印加状態において導体部8,9の電位が自身の直下における周辺半導体領域10の電位よりも低くなるように、導体部8,9の端部は過電圧保護ダイオード5の当該側面の第2の部位に電気的に接続されている。これは、導体構成部8c、9cがpn接合境界P1側(すなわち、低電位側)に寄るように設けられていることに対応する。
【0048】
上記のように導体部6,7,8,9の端部が過電圧保護ダイオード5に接続されることにより、
図5のように絶縁膜4の近傍に空乏領域が発生する。
【0049】
すなわち、導体構成部6aの電位(125V)は、導体構成部6aの直下における拡散層3の電位(100V)より高いため、絶縁膜4近傍におけるP型の拡散層3が空乏化する。同様に、導体構成部7aの電位(225V)は、導体構成部7aの直下における拡散層3の電位(200V)より高いため、絶縁膜4近傍の拡散層3が空乏化する。そして、このように空乏化した半導体領域における不純物の電荷(すなわち、アクセプタの負電荷)によって、絶縁膜4中に正の分極電荷が生じる。
【0050】
導体構成部8aの電位(275V)は、導体構成部8aの直下における周辺半導体領域10の電位(300V)より低いため、絶縁膜4近傍におけるN型の周辺半導体領域10が空乏化する。同様に、導体構成部9aの電位(375V)は、導体構成部9aの直下における周辺半導体領域10の電位(400V)より低いため、絶縁膜4近傍の周辺半導体領域10が空乏化する。そして、このように空乏化した半導体領域における不純物の電荷(すなわち、ドナーの正電荷)によって、絶縁膜4中に負の分極電荷が生じる。
【0051】
上記のようにして絶縁膜4中に分極電荷が生じる。この分極電荷に、絶縁膜4中のNaイオン等の可動イオンがトラップされるため、可動イオンの移動が抑制されることになる。これにより、本実施形態によれば、耐圧の低下を抑制し、信頼性を向上させることができる半導体装置1を提供することができる。
【0052】
上記のように、導体部6,7は、導体構成部6b,7bにより過電圧保護ダイオード5の高電位側(半導体基板2の側端側)に変位して接続され、導体部8,9は、導体構成部8b,9bにより過電圧保護ダイオード5の低電位側(活性領域A側)に変位して接続される。
【0053】
なお、導体部6,7,8,9の全てが上記構成を有することは必須ではなく、必要に応じて導体部6,7,8,9のうち少なくともいずれか一つが上記構成を有するようにしてもよい。
【0054】
また、導体部の形状について、
図4で説明したものの他にも様々なものが想定可能である。例えば、
図6Aでは、5本の導体部、すなわち、導体部31,32,33(第1の導体部)および導体部34,35(第2の導体部)が図示されている。これら導体部31,32,33,34,35は、導体構成部31a,32a,33a,34a,35a(第1の導体構成部)と、導体構成部31b,32b,33b,34b,35b(第2の導体構成部)と、導体構成部31c,32c,33c,34c,35c(第3の導体構成部)とを有する。
【0055】
図6Aに示すように、導体構成部31b,32b,33b,34b,35bは、活性領域Aに近づきつつ過電圧保護ダイオード5の近傍まで延在している。換言すれば、導体構成部31b,32b,33b,34b,35bは、過電圧保護ダイオード5から遠ざかるにつれて半導体基板2の側端に寄るように設けられている。これにより、導体構成部31a,32a,33a,34a,35a間の距離を短くして活性領域Aの面積を広く確保しつつ、
図5で説明したのと同様に、逆バイアス印加状態における空乏化領域を形成することができる。
【0056】
また、導体構成部31b,32b,33b,34b,35bは、
図6Aに示すように、過電圧保護ダイオード5に近づくにつれて太くなるように形成されている。これにより、過電圧保護ダイオード5の延在方向(
図6Aの上下方向)に導体構成部31c,32c,33c,34c,35cとの接続点から離れるにつれて、逆バイアス印加状態における電位差が大きくなる。電位差とは、導体部6,7の電位と直下の拡散層3の電位との差、あるいは、逆バイアス印加状態における導体部8,9の電位と直下の周辺半導体領域10の電位との差のことである。
【0057】
例えば、
図6Bにおいて、導体構成部31bの端点E1における電位差は導体構成部31c側の端点E2における電位差よりも大きくなるため、絶縁膜4中に分極電荷が大きくなって可動イオンの移動をより効果的に抑制することができる。
【0058】
図6Aおよび
図6Bに示すように、導体構成部31c〜35cは、過電圧保護ダイオード5の半導体層5aまたは半導体層5bに接続されている。例えば導体構成部31c〜35cがポリシリコン等の半導体から構成される場合、導体構成部31c〜35cは、半導体層5aおよび半導体層5bのうち、自身の導電型と同じ導電型の半導体層に接続されている。また、導体構成部31c〜35cは、互いに異なる導電型であってもよい。
【0059】
なお、導体部31,32,33および/または導体部34,35は、隣接する半導体層5aと半導体層5bの接合境界を跨ぐようにして過電圧保護ダイオード5に接続されてもよい。すなわち、導体部31〜35は、隣接する半導体層5aと半導体層5bの両方に接続されてもよい。ここで、隣接する半導体層5aと半導体層5bの接合境界を跨ぐとは、隣接する2つの半導体層を跨ぐ場合に限らず、隣接する3つ以上の半導体層(例えば、隣接する半導体層5a、半導体層5bおよび半導体層5a)を跨ぐ場合も含まれる。このように導体部31〜35は少なくとも一部分で自身の同じ導電型の半導体層に接続することで、導体部31〜35の下方に位置する半導体領域の表層部分を空乏化させることが可能である。
【0060】
また、半導体装置1には、
図7に示すように、高耐圧化のために、P型のガードリング25が拡散層3を取り囲むように設けられていてもよい。このガードリング25は、耐圧領域Bの上面2aに選択的に形成されている。ガードリングの本数は、2本に限らず、1本または3本以上であってもよい。ガードリング25の上方に導体部が配置される場合、当該導体部は過電圧保護ダイオード5のうち高電位側に変位した部位に電気的に接続される。
【0061】
また、半導体装置1の各半導体領域の導電型は上記したものと逆であってもよい。すなわち、拡散層3がN型、周辺半導体領域10がP型であってもよい。この場合、
図8に示すように、逆バイアス印加状態において導体部6,7の電位が自身の直下における拡散層3の電位よりも低くなるように、導体部6,7の端部は過電圧保護ダイオード5の側面の第1の部位に電気的に接続される。同様に、逆バイアス印加状態において導体部8,9の電位が自身の直下における周辺半導体領域10の電位よりも高くなるように、導体部8,9の端部は過電圧保護ダイオード5の当該側面の第2の部位に電気的に接続される。このことは、導体構成部6c,7c,8c,9cはそれぞれ、pn接合境界P1から遠ざかるように設けられることを意味する。
【0062】
したがって、一般的に言えば、P型半導体領域の上方に位置する導体部は、過電圧保護ダイオード5のうち高電位側に変位した部位に電気的に接続され、N型半導体領域の上方に位置する導体部は、過電圧保護ダイオード5のうち低電位側に変位した部位に電気的に接続される。これにより、逆バイアス印加状態において、導体部の下方に位置する半導体領域の表層部分を空乏化させることができる。
【0063】
上記のように、本実施形態では、導体部6,7,8,9の過電圧保護ダイオード5への接続先を直下の半導体層の導電型に応じて変えることで、絶縁膜4近傍の周辺半導体領域10が空乏化するように積極的に導体部6,7,8,9の電位を制御する。これにより、絶縁膜4の可動イオンの移動を十分に抑制することができる。
【0064】
なお、IGBTの構成は上記の半導体装置1に限らない。例えば、変形例に係る半導体装置1Bは、
図10に示すように、P型のコレクタ領域12に代えてN型のドレイン領域12Bを有し、かつ、このドレイン領域12Bとショットキー障壁を形成するコレクタ電極23を有するものであってもよい。この場合、コレクタ電極23は、白金、モリブデン等からなるバリアメタルを有する。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る半導体装置1Aは、縦型MOSFETである。半導体装置1Aの平面図は、
図1と同様である。
図9は、半導体装置1Aの断面図であり、第1の実施形態で説明した
図2に対応する。なお、
図9において、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付している。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
半導体装置1Aは、P型の拡散層3と、絶縁膜4と、過電圧保護ダイオード5と、導体部6,7,8,9と、N型のドレイン領域12Aと、N型の拡散領域13と、N型のストッパ領域14と、ソース電極21Aと、ゲート電極22と、ドレイン電極23Aと、ストッパ電極24とを備えている。ドレイン領域12Aは、半導体基板2の下面2bに形成されており、このドレイン領域12A上にドレイン電極23Aが形成されている。また、ソース電極21Aは、拡散領域13上に形成されている。
【0067】
半導体装置1Aにおいて、導体部6,7の端部は逆バイアス印加状態において絶縁膜4近傍の拡散層3が空乏化するように過電圧保護ダイオード5の側面に電気的に接続されており、また、導体部8,9の端部は絶縁膜4近傍の周辺半導体領域10が空乏化するように過電圧保護ダイオード5の側面に電気的に接続されている。なお、第2の実施形態において、「逆バイアス印加状態」は、ドレイン電極23Aが高電位(例えば直流電源の正極)に接続され、ソース電極21Aが接地され、ゲート電極22に縦型MOSFETがオンしない程度の低電圧が印加された状態のことである。
【0068】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の場合と同様の作用が得られるため、耐圧の低下を抑制し、信頼性を向上させることができる半導体装置1Aを提供することができる。
【0069】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,1B 半導体装置
2 半導体基板
2a 上面
2b 下面
3 拡散層
4 絶縁膜
5 過電圧保護ダイオード
5a,5b 半導体層
6,7,8,9,31,32,33,34,35 導体部
6a,7a,8a,9a,6b,7b,8b,9b,6c,7c,8c,9c 導体構成部
10 周辺半導体領域
11 バッファ領域
12 コレクタ領域
12A,12B ドレイン領域
13 拡散領域
14 ストッパ領域
15 絶縁膜
16 表面保護膜
21 エミッタ電極
21A ソース電極
22 ゲート電極
23 コレクタ電極
23A ドレイン電極
24 ストッパ電極
25 ガードリング
A 活性領域
B 耐圧領域
E1,E2 端点
P1,P2 (拡散層3の)境界
R 領域
【要約】
【課題】耐圧の低下を抑制し、信頼性を向上させることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置1では、逆バイアス印加状態において絶縁膜4近傍の拡散層3が空乏化するように導体部6,7の端部が過電圧保護ダイオード5に電気的に接続され、および/または、逆バイアス印加状態において絶縁膜4近傍の周辺半導体領域10が空乏化するように導体部8,9の端部が過電圧保護ダイオード5に電気的に接続されている。