特許第6258595号(P6258595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258595
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】カップホルダー
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
   B60N3/10 A
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-73730(P2013-73730)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-198490(P2014-198490A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年9月11日
【審判番号】不服2017-3000(P2017-3000/J1)
【審判請求日】2017年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊池 真実
【合議体】
【審判長】 黒瀬 雅一
【審判官】 吉村 尚
【審判官】 畑井 順一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−46036(JP,A)
【文献】 特開2011−57170(JP,A)
【文献】 特開2009−35038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を上方から挿入して収容保持可能なカップホルダー本体と、
該カップホルダー本体に収容保持された飲料容器の側面を保持可能な容器側面保持部と、を有すると共に、
該容器側面保持部が、
カップホルダー本体の側面に形成された側面開口部を介してカップホルダー本体内へ出入自在となるように設置された可動フラップと、
該可動フラップを前記側面開口部からカップホルダー本体内へ突出する方向へ向けて付勢可能な付勢部材と、を有し、
更に、前記可動フラップが、回転軸を中心に揺動可能に軸支されたカップホルダーにおいて、
前記カップホルダー本体における前記側面開口部には、外側へ向かって突出する周壁部が形成され、
前記回転軸が、前記カップホルダー本体の外面側で、且つ、前記側面開口部の上縁部よりも上側の位置に設置されたことを特徴とするカップホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車などの車内に設置されるカップホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内に飲料容器を保持するためのカップホルダーが設けられている。
【0003】
このようなカップホルダーには、飲料容器を上方から挿入して収容保持可能なカップホルダー本体と、このカップホルダー本体に収容保持された飲料容器の側面を保持可能な容器側面保持部と、を有するものが存在している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、この容器側面保持部には、カップホルダー本体の側面に形成された側面開口部を介してカップホルダー本体内へ出入自在となるように設置された可動フラップと、この可動フラップを側面開口部からカップホルダー本体内へ突出する方向へ付勢可能な付勢部材とを有し、更に、上記した可動フラップが、回転軸を中心に揺動可能に軸支されたものが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−255865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したカップホルダーには、以下のような問題があった。
【0007】
即ち、可動フラップの回転軸が、側面開口部に臨む位置(で可動フラップの上部よりも下側の位置)に設置されることが多かったため、走行中の車両振動や乗員の不注意などによって、飲料容器から飲料がこぼれてしまったような場合に、飲料容器からこぼれた飲料が、側面開口部を通って可動フラップの回転軸に掛かるおそれが高かった。
【0008】
このように、回転軸に飲料が掛かると、回転軸にかかった飲料が乾いて回転軸に粘り付いたり、回転軸に粘り付いた飲料に更にホコリや異物が付着して固着したりするなどして、回転軸の動きが悪化してしまう。よって、容器側面保持部の機能を長期間に亘って初期状態に保つことができなくなり、メンテナンスの必要が生じることになる。
【0009】
しかるに、回転軸廻りは、外部から手や工具が届き難い構造になっているので、メンテナンスは容易ではなく、単に外部から覗ける範囲をこすった程度では、回転軸に固着した飲料の固まりなどを完全に除去することができなかった。
【0010】
よって、可動フラップは、動きが悪いまま長期間に亘って放置されてしまい、カップホルダーは、その機能性が低下したまま、我慢して使い続けられるようなことが多かった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、
飲料容器を上方から挿入して収容保持可能なカップホルダー本体と、
該カップホルダー本体に収容保持された飲料容器の側面を保持可能な容器側面保持部と、を有すると共に、
該容器側面保持部が、カップホルダー本体の側面に形成された側面開口部を介してカップホルダー本体内へ出入自在となるように設置された可動フラップと、
該可動フラップを前記側面開口部からカップホルダー本体内へ突出する方向へ向けて付勢可能な付勢部材と、を有し、
更に、前記可動フラップが、回転軸を中心に揺動可能に軸支されたカップホルダーにおいて、
前記カップホルダー本体における前記側面開口部には、外側へ向かって突出する周壁部が形成され、
前記回転軸が、前記カップホルダー本体の外面側で、且つ、前記側面開口部の上縁部よりも上側の位置に設置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、飲料容器から飲料がこぼれて、側面開口部からカップホルダー本体の外側に出てしまったような場合であっても、回転軸が、カップホルダー本体の外面側で、且つ、側面開口部の上縁部よりも上側の位置に設置されているので、上記開口上部壁によって、飲料が回転軸に掛かることをほぼ確実に防止することができる。これにより、回転軸に掛かった飲料が乾いて回転軸に粘り付いたり、回転軸に粘り付いた飲料に更にホコリや異物が付着したりすることによって、回転軸の動きが悪化されるのを防止することができる。以って、容器側面保持部の機能を長期間に亘って初期状態に保つことができ、メンテナンスの必要をなくすことができる。即ち、メンテナンスフリー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例にかかるカップホルダーを斜め上方から見た斜視図である。
図2図1のカップホルダーに飲料容器を収容した状態を示す斜視図である。
図3図1のカップホルダーに収容される各種の飲料容器の斜視図である。
図4図1のカップホルダーの分解斜視図である。
図5図4の容器側面保持部の分解斜視図である。
図6図4の容器側面保持部のカップホルダー本体に対する取付状況を示す側方断面図である。
図7図4の容器側面保持部の機能を説明する概略側方断面図である。
図8】大型カップを収容したカップホルダーの側方断面図である。
図9A】くびれ付容器を収容したカップホルダーの側方断面図である。そして、(a)(b)は、くびれ付容器を取出す状態を順に示したものである。
図9B】くびれ付容器を収容したカップホルダーの側方断面図である。そして、(c)(d)は、くびれ付容器を取出す状態を順に示したものであり、図9A(a)(b)に続くものである。
図10A図9Aのくびれ部を拡大した側方断面図である。そして、(a)(b)は、くびれ付容器を取出す状態を順に示したものである。
図10B図9Bのくびれ部を拡大した側方断面図である。そして、(c)(d)は、くびれ付容器を取出す状態を順に示したものであり、図10A(a)(b)に続くものである。
図11】小型円筒状容器を収容したカップホルダーの側方断面図である。
図12】回転軸部が、側面開口部に臨むように設けられた場合の図7と同様の概略側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態、および、それを具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図11は、この実施の形態の実施例およびその変形例を示すものである。
【実施例1】
【0015】
<構成>以下、構成について説明する。
図1図2に示すように、自動車などの車両には、車室内に各種の飲料容器1(図3参照)を保持するためのカップホルダー2が設けられている。
【0016】
そして、図4の分解斜視図に示すように、このカップホルダー2を、少なくとも、飲料容器1を上方から挿入して収容保持可能なカップホルダー本体3と、このカップホルダー本体3に収容保持された飲料容器1の側面を保持可能な容器側面保持部4と、を有するものとする。
【0017】
そして、図5の分解斜視図に示すように、この容器側面保持部4を、カップホルダー本体3の側面3cに形成された側面開口部5を介してカップホルダー本体3内へ出入自在となるように設置された可動フラップ7と、この可動フラップ7を上記した側面開口部5からカップホルダー本体3内へ突出する方向へ向けて付勢可能な付勢部材8とを有するものとする。更に、上記した可動フラップ7が、回転軸9を中心に揺動可能に軸支されるようにする。
【0018】
ここで、上記についての補足説明を行うと、上記した「飲料容器1」は、文字通り、飲料を収納する容器のことである。この飲料容器1には、図3に示すような、大型カップ1aや、くびれ付容器1bや、中型円筒状容器1cや、小型円筒状容器1dなどの各種のものが存在している。これらについては、後述する。
【0019】
上記した「カップホルダー2」は、文字通り、飲料容器1を保持するためのものであり、カップホルダー2には様々な種類のものが存在しているが、この場合には、据置型のものとされている。このカップホルダー2は、例えば、図示しないセンターコンソール(車体パネル)などに対して取付けられる。カップホルダー2は、ほぼ全体が樹脂製の部品によって構成される。
【0020】
上記した「カップホルダー本体3」は、図4に示すように、その上端部に飲料容器1を挿入可能な開口部3aを有し、その下端部に飲料容器1の底部を保持可能な底面3bを有すると共に、その側面3cが飲料容器1の側面を周方向に連続して取囲む有底容器状のものとされている。この場合、カップホルダー本体3は、飲料容器1を2個並べて同時に収容できるようにした2連形状のものとされている。このカップホルダー本体3は、樹脂製の部品とされている。なお、カップホルダー本体3の開口部3aには、必要に応じ、その縁部に沿って延びる加飾リング11などが取付けられる。この場合、加飾リング11は、開口部3aの形状に沿った平面視ほぼ瓢箪型のものなどとされている。この加飾リング11は、爪嵌合などによって、カップホルダー本体3の開口部3aに取付けられる。
【0021】
上記した「容器側面保持部4」は、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cの部分に設けられて、飲料容器1の側面を押圧保持するための可動部品である。この容器側面保持部4は、カップホルダー本体3に対して直接取付けるようなものとしても良いが、この場合、図5に示すように、容器側面保持部4は、カップホルダー本体3とは別体の組立部品として構成され、図6に示すように、カップホルダー本体3の側面3cの外側に後付けされるものとなっている。そのために、容器側面保持部4は、上記した可動フラップ7を保持すると共に、可動フラップ7をカップホルダー本体3の側面3cに対して取付けるためのハウジング12を有するものとされる。
【0022】
この「ハウジング12」は、ほぼ上下方向へ延びるほぼ箱枠状をしたものなどとされている。このハウジング12は、カップホルダー本体3の側面3cと対向する面に開口部12aを有しており、この開口部12aの部分をカップホルダー本体3の側面3cに当接させた状態で設置されるようになっている。また、ハウジング12の開口部12aと反対側の面(背面)には、必要に応じて、可動フラップ7との干渉を防止するための開口部などが形成される。
【0023】
そして、このハウジング12の側面開口部5よりも上側となる位置には、ハウジング12の両側面から外側方へ向けて一対の取付用軸部14が一体に突設される(図5参照)。これに対し、カップホルダー本体3の側面3cにおける側面開口部5の上部には、取付用軸部14を係止保持可能、および、回動自在に支持可能な上向きフック状をした一対の軸保持部15が一体に突設される(図4参照)。そして、この取付用軸部14と軸保持部15とによって、上部取付部(回動支持部)が構成されている。
【0024】
また、カップホルダー本体3の側面開口部5よりも下側となる位置には、面外方向へ向けて係止用爪部17が一体に突設される(図6参照)。これに対し、ハウジング12の下部には、係止用爪部17が挿入係止される爪穴部18が形成される。そして、この係止用爪部17と爪穴部18とによって、下部取付部(爪固定部)が構成されている。なお、係止用爪部17と爪穴部18とは、ハウジング12とカップホルダー本体3とに対し逆に設けても良い。また、係止用爪部17と爪穴部18とは、多重に設けても良い。容器側面保持部4の上記以外の構成については、後述する。
【0025】
上記した「側面開口部5」は、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cに形成された、カップホルダー本体3の内外間を連通するための開口部分のことである。この場合、側面開口部5は、上下方向へ延びる矩形状のものとされている。この側面開口部5は、カップホルダー本体3の側面3cにおける、上下方向の中間部(中央部よりも若干上側)に設けられている。
【0026】
上記した「可動フラップ7」は、容器側面保持部4を構成する主要部品であり、飲料容器1の側面を直接押圧保持する可動部品のことである。この可動フラップ7の本体部分は、上記した側面開口部5とほぼ等しい幅寸法を有することにより、側面開口部5の側部との間にほとんど隙間が生じない状態で可動するようなものとされている。この可動フラップ7は、カップホルダー本体3の側面3cに対し、1箇所、または、周方向に所要の間隔を有して複数箇所設けられている。この場合には、周方向にほぼ均等な間隔を有して3箇所(またはそれ以上)設けられている。なお、可動フラップ7は、余り多くすると構造が複雑になると共に、飲料容器1を周方向に均等に押さえることがかえって難しくなるので、3箇所または4箇所程度までとするのが最適である。可動フラップ7の構成については、後述する。
【0027】
上記した「付勢部材8」は、文字通り、可動フラップ7を突出方向へ向けて付勢する部材であり、この付勢部材8の付勢力によって、可動フラップ7は、飲料容器1の側面に弾接されて、飲料容器1の側面を押圧保持することができるようになっている。この場合には、付勢部材8には、金属製のトーションスプリングなどが使用されている。このトーションスプリングは、コイル部と、このコイル部の両端部から接線方向に延設された二本の腕部とを有するものなどとされる。この場合、付勢部材8は、一対の回転軸9の間に設けられた付勢部材支持軸部7aによってそのコイル部の両端部が軸支された状態で、その両腕部がハウジング12の背面と可動フラップ7の後部との間にそれぞれ介装されるようにして設置されている。但し、付勢部材8は、トーションスプリングに限るものではなく、板バネやコイルスプリングや樹脂バネなどの他の弾性部材を使用しても良いことは勿論である。
【0028】
上記した「回転軸9」は、文字通り、可動フラップ7の回動または揺動の中心となる軸部のことである。
【0029】
そして、以上のような基本的な構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0030】
(構成1)
図7に示すように、上記回転軸9が、上記カップホルダー本体3の外面側で、且つ、上記側面開口部5の上縁部よりも上側の位置に設置されるようにする。
【0031】
(補足説明1)
ここで、上記した「カップホルダー本体3の外面側」とは、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cの外面側のことである。
【0032】
上記した「側面開口部5の上縁部よりも上側の位置」とは、文字通り、側面開口部5の上縁部よりも高い位置のことである。回転軸9の位置は、高ければ高い程、この実施例の目的にとっては効果的となるが、構造的には、カップホルダー本体3の開口部3aの位置までが限界となる。これにより、回転軸9の位置は、可動フラップ7の本体部分(カップホルダー本体3の内部に突出する部分)よりも高い位置に設置されることになる。
【0033】
そして、上記カップホルダー本体3の側面開口部5の上縁部よりも上側の開口上部壁21が、上記回転軸9への液掛かりを防止可能な遮蔽壁(保護壁)として使用されることになる。
ここで、上記した「回転軸9への液掛かり」は、文字通り、可動フラップ7の回転軸9に、飲料容器1からこぼれた飲料などが掛かることである。このように、可動フラップ7の回転軸9に液掛かりが生じると、乾いて固まった飲料によって可動フラップ7がスムーズに動かなくなるなどの不具合が発生するおそれが高い。
【0034】
上記した「開口上部壁21」は、文字通り、側面開口部5の上部に位置する壁部のことであり、この開口上部壁21は、カップホルダー本体3の側面3cと面一になるように、カップホルダー本体3に一体に形成されている。
【0035】
そして、上記のより詳細な構造について説明すると、図5に示すように、上記した回転軸9は、可動フラップ7の(側面開口部5からカップホルダー本体3内へ突出されない部分の)上部からほぼ上方へ向けて一体に突設された上方延長部22の上端外側面から外側方向へ向けて一体に突設された短軸となっている。この場合、上方延長部22および回転軸9は、左右一対設けられている。なお、上記した付勢部材支持軸部7aは、この上方延長部22の上端内側部から内方へ向けて一体に突設された一対の短軸となっている。
【0036】
そして、上記したハウジング12の上端部分の両側部内面に対し、回転軸9を軸支するための軸穴部23が設けられている。この場合、回転軸9は、上記した取付用軸部14の近傍で、取付用軸部14よりも若干低い位置(例えば、ハウジング12の肉厚分程度低い位置)などに設けられている。
【0037】
また、可動フラップ7の上方延長部22の下端外側部から外側方へ向けてガイド突起24が一体に突設されている。この場合、ガイド突起24も、上方延長部22および回転軸9と共に、左右一対設けられる。このガイド突起24もまた、回転軸9と同じ短軸とされている。そして、上記したハウジング12の上半部分の両側部には、ガイド突起24を案内するためのガイド部25が設けられている。このガイド部25の両端部は、ガイド突起24の停止位置を規制するためのストッパ面とされる。このガイド部25は、回転軸9を中心とする円弧状の長穴部または溝部などとされる。そして、ガイド突起24とガイド部25との間には、万一、上記した液掛かりが生じた場合でも固着が生じない程度の大きさのクリアランスが形成される。
【0038】
更に、図4に示すように、カップホルダー本体3の外側面(側面3cの外面側)における、側面開口部5の周縁部には、この周縁部を全周に亘って取囲むように、高さ調整用および液掛かり防止用の周壁部26が外方へ向けて立設されている。そして、上記したハウジング12の開口部12aは、この周壁部26よりも一回り大きいものとされて、周壁部26の外側を取り囲むようにカップホルダー本体3の外側面に取付けられるようになっており、これによって、周壁部26が、回転軸9や付勢部材支持軸部7aやガイド突起24などへの液掛かりを防止する機能を有するようになっている。
【0039】
加えて、カップホルダー本体3の外側面における、側面開口部5の周縁部には、上記したハウジング12の開口部12aが当接される高さ調整用の当接部27が適宜立設されている。この当接部27は、周壁部26と一体に設けられた当てリブなどとされている。この場合、当接部27は、周壁部26の上下方向のほぼ中間部分などに対し、片側または両側に上下二段となるように設けられている。但し、当接部27の設置位置や設置個数については、これ限るものではない。
【0040】
更に、カップホルダー本体3と容器側面保持部4のハウジング12との間には、カップホルダー本体3に対してハウジング12が横方向へガタ付くのを防止可能なガタ付防止部が設けられる。このガタ付防止部は、例えば、カップホルダー本体3に設けられて、ハウジング12の側面を押圧保持するようにした押圧保持部28を有するものとされている。この押圧保持部28は、ハウジング12の一側面に対して設けられるか(片側保持部)、または、ハウジング12の両側面を挟着保持し得るように一対設けられる(挟着保持部)。
【0041】
この押圧保持部28は、上記した周壁部26の側部に対して、一体に設けられる。この押圧保持部28は、例えば、ハウジング12の上下方向の中間部で、上記した上下二段の当接部27の間の位置などに設けられる。この押圧保持部28は、上記した当接部27よりも面外方向へ高く突出するものとされて、その内面(内方縁部)がハウジング12の側面に圧接されるようになっている。そのために、この押圧保持部28は、その内面が寸法公差分だけ長くなるように形成して(即ち、マイナス公差に設定して)、意図的に後述する受部29と干渉させるように設定しておく。
【0042】
なお、押圧保持部28は、一対設けるようにするのが好ましいが、カップホルダー本体3の構造上、押圧保持部28を対にして設けることができないような場合には、ガタ付防止部は、一対の押圧保持部28(挟着保持部)に替えて、ハウジング12の一側部のみを係止保持するようにした上記片側保持部などとする。
【0043】
これに対し、ハウジング12の両側部には、図5に示すように、一対の押圧保持部28によって挟着保持される一対の受部29が設けられる。そして、この受部29の少なくとも一方が、一対の押圧保持部28の挟着力により弾性変形してガタ付きを吸収可能な弾性受部とされる。この弾性受部は、ハウジング12の両側部に一対の切込部12bを形成することによって、切込部12bの間に設けられる。この場合には、両方の受部29が弾性受部とされている。なお、上記したように、ハウジング12の一側部に対して押圧保持部28(片側保持部)を設けた場合には、受部29は、押圧保持部28が設けられた一側部に対して設けるようにすれば良い。
【0044】
(構成2)
上記可動フラップ7が、図8に示すように、飲料容器1のうちの大型カップ1aの側面を保持可能な大型カップ保持部31と、図9A図10Aに示すように、飲料容器1のうちのくびれ付容器1bの側面のくびれ部32を保持可能なくびれ容器保持部33と、を上側から順に有するものとされる。
そして、上記くびれ容器保持部33の途中に、図11に示すように、飲料容器1のうちの小型円筒状容器1dの側面を保持可能な小型円筒状容器保持部34を有するものとされる。
【0045】
(補足説明2)
ここで、上記した「大型カップ1a」は、文字通り、下端側が小径で上端側が大径の円錐台状をしたカップ状の飲料容器1のうちの大型のもののことである。この大型カップ1aは、例えば、ファーストフード店のLサイズ、LLサイズ、または、これらに類する大きなサイズの(大型)マグカップなどの飲料容器1を想定したものである。この場合、カップホルダー本体3は、大型カップ1aのほぼ下半部分がほぼ隙間なく収容される大きさおよび形状のほぼ逆円錐台状をしたものとなされている。但し、若干の隙間の存在は許容される。
【0046】
上記した「大型カップ保持部31」は、文字通り、大型カップ1aの側面を保持するためのものである。この大型カップ保持部31は、カップホルダー本体3の内側へ突出された可動フラップ7の本体部分の上部を構成するものとされている。この大型カップ保持部31は、カップホルダー本体3に大型カップ1aを収容することによって、付勢部材8の付勢力に抗してカップホルダー本体3の外側へ引っ込められた(退避されたまたは押出された)状態の可動フラップ7における、側面開口部5に臨む部分であり、カップホルダー本体3の側面3cとほぼ平行でほぼ平坦な形状の部分を有するものとされる。
【0047】
上記した「くびれ付容器1b」は、文字通り、側面にくびれ部32を有する飲料容器1のことである。このくびれ付容器1bは、例えば、炭酸飲料を収容した500ミリリットル入りのペットボトルを想定したものである。くびれ付容器1bの下部は、大型カップ1aの下部よりは若干小径のものとなる。これにより、カップホルダー本体3の側面3cとくびれ付容器1bの側面との間には、若干の隙間が形成されることになる。
【0048】
上記した「くびれ部32」は、文字通り、くびれた部分のことであり、くびれ部32には、各種の形状が考えられるが、この場合には、側面視ほぼ円弧状のものとされている。
【0049】
上記した「くびれ容器保持部33」は、文字通り、くびれ付容器1bの側面のくびれ部32の部分を保持するためのものである。このくびれ容器保持部33は、カップホルダー本体3の内側へ突出された可動フラップ7の(本体部分の上下方向の)中間部または内方突出端部分(出入方向の先端部)を構成するものとされている。くびれ容器保持部33は、概ね、くびれ部32の形状にほぼ沿ったほぼ円弧状の部分を有するものなどとされる。そして、くびれ容器保持部33がくびれ部32を保持している時に、可動フラップ7は、付勢部材8の付勢力に抗して僅かに引っ込められる、または、僅かに下方傾動された状態となる。このくびれ容器保持部33の詳細については、後述する。
【0050】
上記した「小型円筒状容器1d」は、文字通り、小型のほぼ円筒状をした飲料容器1のことである。この小型円筒状容器1dは、例えば、190ミリリットル入りの缶飲料または250ミリリットル入りの缶飲料を想定したものである。より具体的には、例えば、この小型円筒状容器1dはほぼ52ミリ径のものを想定しており、くびれ付容器1bのくびれ部32の径よりも小さなものとなる。これにより、カップホルダー本体3の側面3cと小型円筒状容器1dの側面との間には、比較的大きな隙間が形成されることになる。
【0051】
上記した「小型円筒状容器保持部34」は、文字通り、小型円筒状容器1dの側面を保持するためのものである。この小型円筒状容器保持部34は、カップホルダー本体3の内側へ突出された可動フラップ7の(本体部分の上下方向の)中間部または内方突出端部分(出入方向の先端部)の更にその一部(最も先端となる部分)を構成するものとされている。この小型円筒状容器保持部34は、僅かな範囲のフラット面などとして形成される。そして、小型円筒状容器保持部34が小型円筒状容器1dを保持している時に、可動フラップ7は、0.5ミリ程度のラップ代を有することにより、付勢部材8の付勢力に抗して極く僅かに引っ込められた状態となる。なお、大型カップ1aや、くびれ付容器1bなどと、上記した小型円筒状容器1dとの間には、比較的大きな径寸法の差があるので、小型円筒状容器1dを押さえられるまでの突出量を有する可動フラップ7は、まだ稀である。
【0052】
なお、その他の構成として、可動フラップ7は、その本体部分の下部に、引掛防止用傾斜部35を有している。この引掛防止用傾斜部35は、乗員が、カップホルダー本体3を物入れとして使用し、例えば、キーホルダーなどの小物を入れたような場合に、この小物が可動フラップ7の下部に引掛って取出し難くならないようにするなどのために形成されたものである。この引掛防止用傾斜部35は、カップホルダー本体3の内側へ突出された可動フラップ7の下部形状を構成するものとされている。この引掛防止用傾斜部35は、概ね45°程度の傾斜角度を有するものとなどとされる。但し、この傾斜角度は45°に限るものではなく、45°に対して±10°程度の範囲を有して設けることができる。また、引掛防止用傾斜部35は、直線形状のみならず曲線形状などとすることができる。
【0053】
また、引掛防止用傾斜部35の下端部には、下端屈曲部36が屈曲形成されている。この下端屈曲部36は、可動フラップ7がカップホルダー本体3の内側へ突出した状態で、側面開口部5の下縁部の直上方へ向けて、カップホルダー本体3の側面3cとほぼ直交する方向(ほぼ水平方向など)へ延びるものなどとされている。この下端屈曲部36は、側面開口部5を小さくする(側面開口部5の下縁部の位置をより高くできるようにする)と共に、ハウジング12を小型化する(ハウジング12の厚みをより薄くする)などのために設けられるものである。
【0054】
大型カップ保持部31、くびれ容器保持部33、小型円筒状容器保持部34、および、引掛防止用傾斜部35、下端屈曲部36は、それぞれ、所要の大きさまたは領域を有するものとされる。
【0055】
(構成3)
図10A(特に、図10A(a)、図7図10Bも併せて参照)に示すように、可動フラップ7の、くびれ付容器1bの側面に形成されたくびれ部32を保持可能なくびれ容器保持部33が、その上端側に、上記くびれ部32に対する保持点としての、くびれ部保持点41を有するものとされる。
そして、このくびれ部保持点41における、上記可動フラップ7に面直な方向と、上記回転軸9を中心とする円42の接線方向とが成す角度である圧力角α(図7参照)が、くびれ付容器1bを取出す力Fによって上記可動フラップ7が退避されるようするのに必要な退避限界角度以下に設定されるようにする。
【0056】
(補足説明3)
ここで、上記した「保持点」は、文字通り、可動フラップ7が飲料容器1を保持する点のことである。この保持点は、保持する飲料容器1によって位置が異なるものである。また、上記した保持点は、飲料容器1を取出す過程で変位して行くものである。なお、可動フラップ7が飲料容器1の側面に対して完全に点接触するようになっていると、飲料容器1に対する保持状態が不安定になるおそれがあるため、可動フラップ7は飲料容器1の側面に対して線接触や面接触されるようにするのが好ましく、また、そのような(幅を持たせた)設計とされる。よって、この場合には、上記したほぼ線接触や面接触の状態における、最も保持力が強い点が、上記した保持点である。
【0057】
上記した「くびれ部保持点41」は、文字通り、カップホルダー本体3にくびれ付容器1bを収容した時に、可動フラップ7のくびれ容器保持部33がくびれ部32を最も強く押圧保持する点のことである。
【0058】
上記した「くびれ部保持点41における、可動フラップ7に面直な方向」とは、くびれ部保持点41の位置における可動フラップ7の表面と垂直な方向であり、可動フラップ7に作用する付勢部材8の付勢力の反力や、飲料容器1を引上げる力Fの分力Nなどが向かう方向である。
【0059】
上記した「円42」は、図7図10Aなどに示すようなものである。
【0060】
上記した「くびれ部保持点41における、回転軸9を中心とする円42の接線方向」とは、くびれ部保持点41における、可動フラップ7が退避するまたは引っ込む方向であり、くびれ付容器1bに取出す方向または引上げる方向の力F(取出力)を加えた時に、可動フラップ7に発生する回転モーメントMの方向である。
【0061】
上記した「圧力角α」は、カム機構やリンク機構や歯車機構などが、滑らかに動くことのできる力の角度(移動方向に対する入力方向の角度)のことである。圧力角αは、通常、30°〜60°などとされている。
【0062】
なお、圧力角αは、くびれ容器保持部33の全域に亘って一定としても良いが、一定以外の角度としても良い。特に、圧力角αは、図9A(a)、図10A(a)に示すような、くびれ付容器1bを取出す前の保持状態における角度(初期角度)が最も小さくなるようにするのが、くびれ付容器1bをスムーズに取出せるようにする上では好ましい。
【0063】
例えば、図9A(a)、図10A(a)は、くびれ付容器1bを持ち上げる前の保持状態、図9A(b)、図10A(b)は、くびれ付容器1bを上へ2ミリ持ち上げた状態、図9B(c)、図10B(c)は、くびれ付容器1bを上へ4ミリ持ち上げた状態、図9B(d)、図10B(d)は、くびれ付容器1bを上へ9ミリ持ち上げた状態である。一例として、上記した図9A(a)、図10A(a)の場合の圧力角αが35°、図9A(b)、図10A(b)の場合の圧力角αが43°、図9B(c)、図10B(c)の場合の圧力角αが52°、図9B(d)、図10B(d)の場合の圧力角αが56°となるように、それぞれ設定されている。即ち、いずれの場合も、上記した30°〜60°の範囲内に収められると共に、圧力角αは、初期角度が最も小さくなるように設定されている。
【0064】
上記した「退避限界角度」は、くびれ付容器1bに取出方向の力Fを加えた時に(または、この力Fによって可動フラップ7に分力Nが作用された時に)、可動フラップ7に発生する退避方向の回転モーメントMが、所定の値よりも大きくなって、可動フラップ7がスムーズに退避されるようになるための、限界となる角度のことである。上記したように、圧力角αの限界角度は、通常、60度とされており、この場合の退避限界角度も60度となる。
【0065】
なお、上記した退避限界角度は圧力角αの上限値である。圧力角αの下限値は、上記したように、通常、30度とされる。
【0066】
そして、圧力角αを退避限界角度以下に設定するためには、上記した力Fの分力Nを、より下向きにして回転モーメントMの方向により近づけることが必要になる。そのためには、図9A(a)、図10A(a)に示すような、くびれ付容器1bの保持状態でのくびれ部保持点41(即ち、静止状態でのくびれ部保持点41)が、可動フラップ7が最も内方に突出している部分の位置lよりも上側となることや、当該くびれ部保持点41よりも下側の部分が、上記した円42よりも大きく外方へハミ出る形状(退避助勢形状部43)を有することなどが必要となる。そして、このようにするためには、回転軸9の位置をより高くすることや、可動フラップ7のカップホルダー本体3内方への突出量を大きくすることが、構造的に有利となる。
【0067】
これに対し、図12の場合には、回転軸9の位置が可動フラップ7の本体部分の上部よりも低くなっており(即ち、回転半径が短くなっており)、また、可動フラップ7の(最も内方へ突出している部分の位置よりも)下側にくびれ部保持点41が設定されていたり、当該くびれ部保持点41よりも下側の部分が、上記した円42にほぼ沿った形状とされていたりすることなどによって、構造的に、圧力角が退避限界角度以上(例えば、85°以上)に成り易いことから、くびれ付容器1bに取出方向の力Fを加えた時に、可動フラップ7に発生する退避方向の回転モーメントM´が小さなものとなり、くびれ付容器1bが可動フラップ7に突っ掛からないようにするのが難しい。
【0068】
上記した「退避助勢形状部43」は、文字通り、上記したくびれ容器保持部33における、上記した円42の外側に大きくハミ出している部分のことである。この退避助勢形状部43は、可動フラップ7に大きな退避方向の回転モーメントMを発生させるために意図的に大きくハミ出させた形状であり、上記した円42からのハミ出量やハミ出形状によって、圧力角αを最適に設定している点で、上記した円42から偶然僅かにハミ出てしまったような意図しない形状とは本質的に異なっている。
【0069】
(構成4)
図1に示すように、カップホルダー本体3が、その上部に、カップホルダー本体3の側面3cが内側へ倒れるのを防止可能な内倒防止部51を有するものとされる。
【0070】
(補足説明4)
ここで、上記した「内倒防止部51」は、文字通り、カップホルダー本体3の側面3cが内側へ倒れないように、外部の図示しない車体パネル(センターコンソールなど)に対して保持させるための保持部である。この内倒防止部51は、2連形状のカップホルダー本体3の開口部3aにおける、くびれた部分の外側の位置に、開口部3aが細長く潰れてしまうことがないように設けられている。この内倒防止部51は、車体パネルに対するカップホルダー本体3の取付点とは別に、或いは、取付点を補助するものとして追加的に設けられる。
【0071】
これに対し、図示しない車体パネルには、この内倒防止部51に嵌合可能なカップホルダー上部固定部が設けられる。
【0072】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
図8に示すように、カップホルダー本体3に大型カップ1aを挿入すると、可動フラップ7は、大型カップ1aの側面に押されて大きく引っ込められると共に、可動フラップ7の上部を構成する大型カップ保持部31が、ほぼ垂直状態となり、側面開口部5に臨んで、カップホルダー本体3の側面3cとほぼ平行な状態で、大型カップ1aの側面を押圧保持することになる。
【0073】
また、図9A(a)、図10A(a)に示すように、カップホルダー本体3にくびれ付容器1bを挿入すると、可動フラップ7は、くびれ付容器1bの側面に押されて若干引っ込められ、くびれ部32の部分で再び僅かに突出されると共に、可動フラップ7の中間部の、くびれ容器保持部33(のくびれ部保持点41)が、くびれ部32を押圧保持することになる。
【0074】
そして、図11に示すように、カップホルダー本体3に小型円筒状容器1dを挿入すると、可動フラップ7は、小型円筒状容器1dの側面に押されて極く僅かに(それぞれ0.5ミリ程度)引っ込められて、(くびれ容器保持部33の途中に形成された)小型円筒状容器保持部34が、小型円筒状容器1dの側面を押圧保持する。
【0075】
また、特に図示しないが、カップホルダー本体3に中型円筒状容器1cを挿入すると、可動フラップ7は、中型円筒状容器1cの側面に押されて若干(小型円筒状容器1dの場合よりも大きく)引っ込められて、中型円筒状容器1cの側面を押圧保持する。
【0076】
このように、上記した可動フラップ7は、それぞれ異なる位置などを使って、全ての飲料容器1をそれぞれしっかり保持することができる。なお、可動フラップ7がカップホルダー本体3に対して引っ込められる際には、可動フラップ7は、回転軸9を中心として下方回動されることになる。
【0077】
そして、大型カップ1aや、中型円筒状容器1cや、小型円筒状容器1dについては、その側面が直線形状となっているため、特に、可動フラップ7に引っ掛かることはないので、カップホルダー本体3からスムーズに取出すことができる。
【0078】
これに対し、くびれ付容器1bは、その側面が直線形状ではないため、カップホルダー本体3から取出す時に、くびれ部32に可動フラップ7が引っ掛かってスムーズに取出せないおそれがある。
【0079】
しかし、この実施例では、図9A図9Bおよび図10A図10Bに示すように、くびれ付容器1bを上へ引抜こうとして力Fを加えた時に、上記したように、くびれ容器保持部33のくびれ部保持点41に発生する下向きの回転モーメントMが大きくなるようにしているので、可動フラップ7が引っ掛かることなく、くびれ付容器1bをスムーズにカップホルダー本体3から取出すことができる。
【0080】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)
飲料容器1から飲料がこぼれて、側面開口部5からカップホルダー本体3の外側に出てしまったような場合であっても、回転軸9が、カップホルダー本体3の外面側で、且つ、側面開口部5の上縁部よりも上側の位置(可動フラップ7の本体部分の上部よりも上側の位置)に設置されているので、カップホルダー本体3の側面開口部5の上縁部よりも上側の開口上部壁21を、回転軸9への液掛かりを防止可能な遮蔽壁として使用することができ、上記開口上部壁21によって、飲料が回転軸9に掛かることをほぼ確実に防止することができる。これにより、回転軸9に掛かった飲料が乾いて回転軸9に粘り付いたり、回転軸9に粘り付いた飲料に更にホコリや異物が付着したりすることによって、回転軸9の動きが悪化されるのを防止することができる。以って、容器側面保持部4の機能を長期間に亘って初期状態に保つことができ、メンテナンスの必要をなくすことができる。即ち、メンテナンスフリー化を図ることができる。
【0081】
これに対し、図12に示すように、回転軸9aが側面開口部5に臨む位置(可動フラップ7の本体部分の上部よりも下側の位置)に設置されていると、回転軸9aに対する飲料の引掛かりを防止することは困難となる。
【0082】
また、回転軸9が、側面開口部5の上縁部よりも上側に設置されることから、回転軸9と、可動フラップ7の飲料容器1の側面に対する保持点との間の上下方向の距離を長くすることができるので、即ち、可動フラップ7の回転半径を長くし、また、回転軸9の位置も高くなるようにすることができるので、可動フラップ7の上記した保持点を横方向へほぼ一定の高さに保った状態で移動させることができるようになり、常に安定した状態(ほぼ一定の高さ)で飲料容器1の側面を保持することができる。また、可動フラップ7の上下方向への変位量が小さくなるので、可動フラップ7のカップホルダー本体3内部への突出量も容易に大きくすることができる。
【0083】
更に、回転軸9が、側面開口部5の上縁部よりも上側に設置されることから、可動フラップ7の回転半径を長くすることができるので、飲料容器1を上に取出す力Fによって可動フラップ7に作用される、可動フラップ7と面直な方向の分力Nが、回転軸9と保持点とを結ぶ線よりも下向きとなるようにして、可動フラップ7に発生される回転モーメントMを大きくすることができ、以って、飲料容器1をカップホルダー本体3から上方へ取出す時に、可動フラップ7が下向きの回転モーメントMによって自発的に引込むような構造にすることが容易となる。
【0084】
これにより、例えば、側面にくびれ部32を有する飲料容器1(くびれ付容器1b)をカップホルダー本体3に保持している場合であっても、飲料容器1を真っ直ぐ上に引抜くだけで、可動フラップ7がくびれ部32に引掛かることなくスムーズに引込められるようになるので、例えば、可動フラップ7のくびれ部32への引掛かりを回避するために、飲料容器1を傾けたり、飲料容器1をカップホルダー本体3の側面3cへ押し付けたりするような無駄な動作を伴うことなく、飲料容器1を簡単にスッと取出すことが可能となる。
【0085】
加えて、上記により、可動フラップ7の回転半径を長くすることができるので、可動フラップ7をカップホルダー本体3内へ出入させるための可動フラップ7の回動角度を小さくすることができ、その分、容器側面保持部4のコンパクト化(薄型化)を図ることができる。なお、上記した可動フラップ7の回転半径は、上方延長部22の長さによって比較的自由に設定することができる。
【0086】
(効果2)
上記した可動フラップ7が、大型カップ保持部31と、くびれ容器保持部33と、小型円筒状容器保持部34とを有することにより、様々な種類の飲料容器1に対してそれぞれ最適となる保持部を、可動フラップ7の各部位に分散して形成することができる。これにより、ほとんど全ての種類の飲料容器1に対してジャストフィットする可動フラップ7を容易に得ることができる。
【0087】
特に、上記くびれ容器保持部33の途中に小型円筒状容器保持部34を有することにより、飲料容器1のうちの小型円筒状容器1dの側面を確実に押圧保持することができる。
【0088】
(効果3)
くびれ部保持点41における、上記可動フラップ7に面直な方向と、上記回転軸9を中心とする円42の接線方向とが成す角度である圧力角αが、くびれ付容器1bを取出す力Fによって上記可動フラップ7が退避されるようするための退避限界角度以下に設定されたことにより、くびれ付容器1bを取出す時に、可動フラップ7に下向きの大きな回転モーメントMが発生して可動フラップ7が自発的に引込められる構造を具体的に実現することができる。
【0089】
(効果4)
カップホルダー本体3が、その上部に、カップホルダー本体3の側面3cが内側へ倒れるのを防止可能な内倒防止部51を有することにより、内倒防止部51でカップホルダー本体3の形状を維持して、例えば、カップホルダー本体3の側面3cが内側へ倒れることによって、可動フラップ7と飲料容器1との相互位置関係がズレて、可動フラップ7の上記した各保持部が持つ機能が損なわれてしまうような不具合を防止することができる。
【0090】
また、カップホルダー本体3の上部を、内倒防止部51を介して、図示しない車体パネルに取付けることにより、車体パネルを利用してカップホルダー本体3の水平方向の剛性を上げると共に、カップホルダー本体3を利用して車体パネルの上下方向の剛性を上げることができるようになり、即ち、両者の剛性を相互補完によって確保・向上することができるようになり、その分、カップホルダー本体3および車体パネルの構造簡略化や軽量化などを図ることが可能となる。
【0091】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0092】
1 飲料容器
1a 大型カップ
1b くびれ付容器
1d 小型円筒状容器
2 カップホルダー
3 カップホルダー本体
3c 側面
4 容器側面保持部
5 側面開口部
7 可動フラップ
8 付勢部材
9 回転軸
21 開口上部壁
31 大型カップ保持部
32 くびれ部
33 くびれ容器保持部
34 小型円筒状容器保持部
41 くびれ部保持点
42 円
51 内倒防止部
α 圧力角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12