特許第6258597号(P6258597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シチズン電子株式会社の特許一覧 ▶ シチズンホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6258597-LED装置の製造方法 図000002
  • 特許6258597-LED装置の製造方法 図000003
  • 特許6258597-LED装置の製造方法 図000004
  • 特許6258597-LED装置の製造方法 図000005
  • 特許6258597-LED装置の製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6258597
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】LED装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20171227BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L21/60 311Q
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-83654(P2013-83654)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-207307(P2014-207307A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】小山田 和
(72)【発明者】
【氏名】今津 健二
(72)【発明者】
【氏名】望月 周作
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−338640(JP,A)
【文献】 特開2005−038892(JP,A)
【文献】 特開2006−281292(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0208364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合サブマウント基板の上面に有する複数の基板電極と、集合サブマウント基板の上面に載置される複数の発光素子の下面に有する素子電極との間に溶融材を介在させた後、
前記集合サブマウント基板上に載置された複数の発光素子を熱可塑性の樹脂シートで被覆し、
樹脂シートと集合サブマウント基板との間を減圧した後、前記基板電極と素子電極との間に介在させた溶融材を加熱溶融することで、基板電極の上面から側面までを前記溶融材で覆うようにして素子電極との電気的接続を図ることを特徴とするLED装置の製造方法。
【請求項2】
前記溶融材は、前記素子電極を基板電極に接合させる際の最初の加熱によって溶融する第1の金属粒子と、前記最初の加熱時の温度では溶融しない第2の金属粒子とを含有している請求項に記載のLED装置の製造方法。
【請求項3】
前記各基板電極は、素子電極よりも小さく形成される請求項1又は2に記載のLED装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融材の加熱によって形成される導通接合部を介して発光素子をサブマウント基板上に実装したLED装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDなどの電子素子を基板に実装する際、素子側の電極と基板側の電極との間にペースト状の溶融材を介在させることによって導通接合している。前記溶融材は、所定の温度によって溶融する金属粒子の結合体によって形成され、リフロー等の加熱処理によって溶融させた後、固化することによってブロック状の導通接合部が形成され、この導通接合部によって電気的接続を図っている(特許文献1)。
【0003】
前記溶融材は、含有する金属粒子の種類や分量によって、所定の融点を有するように形成されている。電子部品のリフロー用として用いるものであれば、一般的に220℃〜260℃の融点を有する錫(Sn),銀(Ag)からなる金属粒子が主として用いられる。このような溶融材による接合は、特許文献1の第6図に示されているように、土台となる基板側の電極を素子側の電極に対して表面を広く設定し、この基板側の電極に溶融材をより多く盛るようにすることで素子側の電極との接合の安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4553982号公報 第6図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発光素子は、マザーボード等の回路基板に実装する際、専用のサブマウント基板に実装した後、このサブマウント基板を介して行われる場合がある。サブマウント基板のような発光素子と一体化される小型の基板にあっては、サブマウント基板側に形成される基板電極が発光素子の素子電極と同様に小さく、また、配置間隔も密になっている。このため、溶融材の塗布量が多すぎると隣接する電極間でのショートが起こり易く、逆に塗布量が少なすぎると、接合強度が十分に確保できないといった問題があった。
【0006】
また、前記発光素子とサブマウント基板とが一体となったLED装置を回路基板に実装する際には、再びリフロー加熱処理が施されることになる。このため、LED装置を形成する際に使用される溶着材は、回路基板へ実装する際における再度のリフロー加熱処理によって全溶融しないことが必要である。このような溶融材は、最初のリフロー加熱処理条件で発光素子とサブマウント基板とを導通接合できる低融点の金属粒子と、この導通接合後は、後の回路基板への実装時におけるリフロー加熱処理条件では溶融しない高融点の金属粒子とが含まれている。
【0007】
前記溶融材は、融点の異なる金属粒子を多く含むため、リフロー加熱処理を繰り返すことによって、接合の表面が粗くなり、接合強度が低下するといった問題があった。特に、発光素子をサブマウント基板上に一体形成されてなるLED装置にあっては、前述したように、素子側の電極と基板側の電極との接合面が狭くなっているので、リフロー加熱処理を繰り返すうちに、発光素子が傾いたり、導通不良等を引き起こしたりするなどのおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、回路基板への実装のための再度のリフロー加熱処理を施した場合であっても、発光素子とサブマウント基板との接合強度及び電気的接続性の低下を抑えることが可能な導通接合部を備えたLED装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明LED装置の製造方法は、集合サブマウント基板の上面に有する複数の基板電極と、集合サブマウント基板の上面に載置される複数の発光素子の下面に有する素子電極との間に溶融材を介在させた後、前記集合サブマウント基板上に載置された複数の発光素子を熱可塑性の樹脂シートで被覆し、樹脂シートと集合サブマウント基板との間を減圧した後、前記基板電極と素子電極との間に介在させた溶融材を加熱溶融することで、基板電極の上面から側面までを前記溶融材で覆うようにして素子電極との電気的接続を図ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るLED装置の製造方法によれば、集合サブマウント基板の上面に有する複数の基板電極と、各発光素子の下面に有する素子電極との間に溶融材を介在させた後、前記集合サブマウント基板上に載置された複数の発光素子を熱可塑性の樹脂シートで被覆するので、複数の発光素子を集合サブマウント基板上に位置ずれすることなく固定させることができる。また、前記樹脂シートと集合サブマウント基板との間を減圧した後、前記基板電極と素子電極との間に介在させた溶融材を加熱溶融するため、発光素子とサブマウント基板との導電率も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るLED装置の断面図である。
図2】溶融材の成分構成を示す概念図である。
図3】上記LED装置の導電接合部における拡大断面図である。
図4】サブマウント基板の上面にレジスト材を形成した後、導通接合部を介して発光素子を実装させたLED装置の断面図である。
図5】上記LED装置の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明のLED装置11の断面構造を示したものである。このLED装置11は、下面に素子電極14を有する発光素子12と、上面に基板電極15を有するサブマウント基板13とを導通接合部20を介して電気的に接合させたものである。前記導通接合部20は、図2に示すように、融点の異なる種類の金属粒子16a,16bを含んだ溶融材16をリフロー加熱処理によってブロック状に固化することによって形成されている。なお、前記サブマウント基板13上には、発光素子12を覆うように透明な封止樹脂が形成されるが、この封止樹脂については図示を省略する。
【0015】
前記構造によるLED装置11は、発光素子12とサブマウント基板13とが導通接合部20を介して一体となった状態で、下面に設けられる外部電極19を回路基板17に形成されている所定の電極パターン23上に載置し、再びリフロー加熱処理を施すことによって電気的に接続される。
【0016】
前記発光素子12は、白色発光の一般照明用であれば、窒化ガリウム系化合物半導体からなる青色発光素子(青色LED)が用いられる。この青色LEDは、サファイアガラスからなるサブストレートと、このサブストレートの下にn型半導体、p型半導体を拡散成長させた拡散層とからなっている。前記n型半導体及びp型半導体はそれぞれn型電極及びp型電極からなる一対の素子電極14を備えている。この一対の素子電極14は、一方がアノードで、他方がカソードとなる。
【0017】
前記サブマウント基板12は、一般的なエポキシ樹脂やBTレジン等の絶縁材料で四角形状に形成され、上面に前記一対の素子電極14に対応する一対の基板電極15が形成されている。前記一対の基板電極15は、溶融材16を介して接合する際に、隣接する電極間同士のショート等を防止するため、対応する素子電極14よりも小さく形成されている。
【0018】
前記溶融材16は、図2に示したように、Sn(錫)及びAg(銀)を主成分とする低融点の第1の金属粒子16aと、Cu(銅)を主成分とする高融点の第2の金属粒子16bとによって構成されている。本発明では、第1の金属粒子16aが210℃〜250℃の範囲の第1の融点を有し、第2の金属粒子16bが480℃〜530℃の範囲の第2の融点を有するように設定されている。前記第1の金属粒子16aが溶融して第2の金属粒子16bに結合すると、融点が上昇するため、再度第1の融点においては溶融しない性質を有している。
【0019】
図3に示すように、発光素子12とサブマウント基板13とを電気的に接合させるための最初のリフロー加熱処理においては、第1の金属粒子16aが溶融する。この溶融によって、素子電極14と基板電極15とが接合される。このとき、前記導通接合部20の内部には、溶融しないで固体のままの第2の金属粒子16bが分散された状態となっている。
【0020】
このように、最初のリフロー加熱処理によって固化された導通接合部20は、内部に導電性の高いCuからなる第2の金属粒子16bが固体のまま残っているので、導電性が良好な状態で導通接合部20全体を一定のブロック形状に保持されている。一方、溶融しないで固体の状態となっている第2の金属粒子16bが多く混在しているため、接合に関与している第1の金属粒子16aの割合が低く、導通接合部20の表面が粗くなる。このため、接合の強度が単一の融点を有した溶融材を用いたものに比べて若干低下することになる。
【0021】
この接合の強度の問題を改善するため、本発明では、図3に示したように、導通接合部20の形成範囲を少なくとも基板電極15の上面15aから側面15bまでをカバーするようにした。これによって、素子電極14と基板電極15との接合面積が増えるので、接合の強度の向上効果が得られると共に、導電率の向上効果も得ることができる。このように、前記導通接合部20が基板電極15の側面15bまでをカバーすることは、本実施形態のように、サブマウント基板13側に設けられる基板電極15が、発光素子12側に設けられる素子電極14より小さい場合にあっては、接合強度を向上させる上で最も有効な手段となる。
【0022】
前記導通接合部20を形成するには、サブマウント基板13上における溶融材16の広がりを一定範囲に規制する必要がある。このため、図4に示したように、基板電極15の側面15bが露出する範囲だけを残して、サブマウント基板13の上面全体にレジスト材で被覆したレジスト層18を形成する。これによって、溶融材16を各基板電極15の上面15a及び側面15bに限定した範囲に溶融させることができ、隣接する他の基板電極とのショートを防止することができる。
【0023】
上記構成からなるLED装置11は、図1に示したように、回路基板17上に実装する際、この回路基板17上に形成されている電極パターン23と、LED装置11側のサブマウント基板13の下面に形成されている外部電極19とを位置決めし、回路基板17への実装用の溶融材を介してLED装置11を載置する。そして、このLED装置11を載置した回路基板17ごと再びリフロー加熱処理することによって、前記溶融材が溶融してLED装置11と回路基板17との導通接合が図られることになる。一方、LED装置11における導通接合部20は、前述したように、溶融材16に含まれている第1の金属粒子16aが溶融して第2の金属粒子16bに結合されているため、融点が上昇し、回路基板17との接合におけるリフロー加熱処理によっては再溶融することがない。これによって、LED装置11の内部に影響を及ぼすことなく、LED装置11を回路基板17上に実装することができる。
【0024】
次に、上記LED装置11を製造するための製造方法を図5に基づいて説明する。ここでは、集合サブマウント基板21を用いて、発光素子12を一括して複数実装した後、個々のLED装置11にダイシングする方法について示す。
【0025】
最初に所定サイズの集合サブマウント基板21を形成し、この集合サブマウント基板21の上面に個々の発光素子12に対応した基板電極15を複数所定間隔にエッチング等によって形成する(工程a)。前記基板電極15が形成された後、この基板電極15を露出するようにして、集合サブマウント基板21の上面にレジスト層18を形成する。そして、前記基板電極15上にボール状に形成した溶融材16を載置し、この溶融材16の上に発光素子12の素子電極14を載置する(工程b)。
【0026】
前記発光素子12を集合サブマウント基板21上に複数載置した後、この複数の発光素子12を覆うようにしてポリイミド等による熱可塑性の透明な樹脂シート22を集合サブマウント基板21の上面全体に被せる(工程c)。そして、樹脂シート22と集合サブマウント基板21との間を減圧して、樹脂シート22を発光素子12に沿って密着させた後、集合サブマウント基板21全体を所定の温度でリフロー加熱処理して、溶融材16を溶融させる(工程d)。これによって、各基板電極15の上面15aから側面15bまでを覆うようにして素子電極14と繋がるブロック状の導通接合部20が形成される。
【0027】
前記リフロー加熱処理が完了した後、各発光素子12の外周に設けられるダイシングラインに沿って集合サブマウント基板21をダイシングする(工程e)。これによって、LED装置11を一括して量産することができる。
【0028】
上記一連の工程によって形成されたLED装置11は、樹脂シート22によって真空ラミネートされた状態で製品として出荷することができ、使用する際もそのまま回路基板17上に載置し、リフロー等の熱処理を施すことができる。
【0029】
本発明のLED装置11は、製造段階における最初のリフロー加熱処理によって発光素子12がサブマウント基板13に溶融材16を介して接合され、この最初のリフロー加熱処理における温度では再溶融しないで導通接合部20が保持される。このため、前記LED装置11を所定の回路基板17上に部品として実装する際の再度のリフロー加熱処理によってLED装置11内の導通接合部20が再溶融することなく、LED装置11を回路基板17に確実に実装させることが可能となる。
【0030】
なお、本実施形態では、発光素子とサブマウント基板とからなるLED装置の接合構造について説明したが、この電極間の溶融材による接合構造は、発光素子に限らず、面実装用の全ての半導体素子や電子部品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
11 LED装置
12 発光素子
13 サブマウント基板
14 素子電極
15 基板電極
15a 上面
15b 側面
16 溶融材
16a 第1の金属粒子
16b 第2の金属粒子
17 回路基板
18 レジスト層
19 外部電極
20 導通接合部
21 集合サブマウント基板
22 樹脂シート
23 電極パターン
図1
図2
図3
図4
図5