(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操作対象とその電子キーとの間で当該電子キーの通常操作に準じて実行される無線のID照合の成立を条件に前記操作対象が操作可能であり、かつ前記通常操作とは異なり前記電子キーに発生する動きを動作検出部により検出して検出結果のみに準じて実行される無線のID照合の成立を条件に前記操作対象が操作可能な当該電子キーの動き検出操作でも前記操作対象が操作可能な電子キーシステムにおいて、
キー操作を判定する操作判定部と、
前記キー操作が前記通常操作のときには、前記電子キーの電波の送信レベル、又は前記操作対象の受信機の受信レベルを、通常のレベルに設定し、前記キー操作が前記動き検出操作のときには、前記電子キーの電波の送信レベル、又は前記操作対象の受信機の受信レベルを、通常よりも低いレベルに設定する出力切替部と
を備えたことを特徴とする電子キーシステム。
操作対象との間で通常操作に準じて実行される無線のID照合の成立を条件に前記操作対象が操作可能であり、かつ前記通常操作とは異なり電子キーに発生する動きを動作検出部により検出して検出結果のみに準じて実行される無線のID照合の成立を条件に前記操作対象が操作可能な動き検出操作でも前記操作対象が操作可能な電子キーにおいて、
キー操作を判定する操作判定部と、
前記操作判定部の判定結果を基に、前記キー操作が動き検出操作のときには、前記電子キーから送信される電波の送信レベルを、前記キー操作が前記通常操作のときよりも低いレベルに設定する出力切替部と
を備えたことを特徴とする電子キー。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、電子キーシステム及び電子キーの一実施形態を
図1〜
図3に従って説明する。
図1に示すように、電子キー1の操作対象(例えば車両2)は、電子キー1と無線によりID照合を実行する電子キーシステム3を備える。電子キーシステム3は、電子キー1からの通信を契機に、狭域無線(通信距離:数m)によりID照合を行なうワイヤレスキーシステムが好ましい。以降、ワイヤレスキーシステムにおけるID照合を「ワイヤレス照合」と記し、その通信を「ワイヤレス通信」と記す。
【0015】
車両2は、電子キー1との間で各種照合を実行する照合ECU(Electric control unit )4と、車載電装品の電源を管理するボディECU5と、エンジン7の動作を制御するエンジンECU6とを備える。これらECUは、車内の通信線8を通じて電気接続される。照合ECU4のメモリ9には、車両2に登録が済まされた電子キー1の電子キーIDが書き込み保存されている。車両2は、電子キー1から送信される電波を受信可能な車両受信機10を備える。車両受信機10は、電気配線を通じて照合ECU4に接続される。車両受信機10が受信する電波は、例えばUHF(Ultra High Frequency)帯の電波が好ましい。ボディECU5は、車両ドアを施解錠するドアロック機構11の動作を制御する。
【0016】
電子キー1は、電子キー1の動作を制御するキー制御部12と、車両2を電子キー1側から遠隔操作するときに操作する遠隔操作部13と、車両2に電波を送信可能な送信部14とを備える。キー制御部12のメモリ15には、キー固有のIDである電子キーIDが書き込み保存されている。遠隔操作部13は、例えば押下スイッチ(プッシュ式モーメンタリスイッチ)であることが好ましい。遠隔操作部13は、例えば車両ドアを施錠するときに操作するロックボタンや、車両ドアを解錠するときに操作するアンロックボタンであることが好ましい。送信部14は、電気配線を通じてキー制御部12に接続される。送信部14は、例えばUHF帯の電波を送信可能であることが好ましい。
【0017】
遠隔操作部13が操作されると、遠隔操作部13から例えばオン信号がキー制御部12に出力される。キー制御部12は、遠隔操作部13からオン信号を入力すると、操作された遠隔操作部13に応じた機器制御信号Swlを送信部14から送信して、ワイヤレス通信を開始する。機器制御信号Swlは、いわゆるワイヤレス信号であって、操作された遠隔操作部13に応じた車載機器の作動開始を要求するコマンドと、メモリ15に登録された電子キーIDとを含む信号である。
【0018】
照合ECU4は、電子キー1から送信された機器制御信号Swlを車両受信機10で受信すると、機器制御信号Swlに含まれる電子キーIDの正当性を確認する。照合ECU4は、電子キー1から受信した電子キーIDと、自身に登録された電子キーIDとが一致して、ワイヤレス照合が成立することを確認すると、同一信号内に含まれるコマンドに従って動作することにより、車載機器の作動を開始する。例えば、機器制御信号Swlとしてロック要求信号を受信すると、車両ドアを施錠し、機器制御信号Swlとしてアンロック要求信号を受信すると、車両ドアを解錠する。
【0019】
電子キーシステム3は、電子キー1に特定の動きを生じさせることにより、機器(例えば車載機器)を遠隔操作することを可能とする遠隔操作機能(遠隔操作システム16)を備える。本例の電子キーシステム3は、電子キー1における車両操作の態様に応じて、電子キーシステム3の通信態様を切り替える通信態様切替機能を備える。通信態様切替機能は、キー操作の第1操作及び第2操作の各々に応じて、電子キーシステム3の通信態様を切り替える。第1操作は、例えば電子キー1の通常操作が好ましい。通常操作は、例えばワイヤレス操作が好ましい。第2操作は、電子キー1に特定動作を発生させることにより車両2を遠隔操作する動き検出操作が好ましい。通信態様切替機能は、キー操作の態様に応じて、電子キー1から送信する電波の送信レベル(出力レベル)を切り替える機能であることが好ましい。
【0020】
電子キー1は、電子キー1に発生する動きを検出可能な動作検出部17を備える。動作検出部17は、例えばGセンサ(加速度センサ)であることが好ましい。動作検出部17は、電子キー1に発生する動きを検出すると、その検出信号をキー制御部12に出力する。
【0021】
キー制御部12は、動作検出部17の検出信号を基に電子キー1に特定の動きが発生したか否かを判定する動き判定部18と、動き判定部18の判定結果を基に電波送信の可否を切り替える送信可否設定部19とを備えることが好ましい。例えば、動き判定部18は、動作検出部17から入力する検出信号が、ある特定の動きに準じた波形変化をとるか否かを確認することにより、電子キー1に発生する動きの正当性を判定する。送信可否設定部19は、電子キー1に正当な動きが発生したと判定されたとき、電子キー1からの機器制御信号Swlの送信を許可する。
【0022】
キー制御部12は、操作対象(本例の車両2)を操作するために電子キー1においてなされたキー操作を判定する操作判定部20と、操作判定部20の判定結果を基に電波の送信出力を切り替える出力切替部21とを備える。例えば、操作判定部20は、遠隔操作部13から入力する検出信号と、動き判定部18の判定結果とに基づき、車両操作がワイヤレス操作又は動き検出操作のいずれであるのかを判定する。出力切替部21は、例えば送信部14に配設されたICの出力切替機能を調整することにより、送信部14の電波出力の切り替えを実現する。出力切替部21は、ワイヤレス操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を標準レベルに設定し、動き検出操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を、低レベルに設定することが好ましい。
【0023】
次に、
図2及び
図3を用いて、本例の遠隔操作システム16の動作を説明する。
図2(a)に示すように、電子キー1の遠隔操作部13がユーザにより操作されると、遠隔操作部13から検出信号がキー制御部12に出力される。操作判定部20は、遠隔操作部13から入力した検出信号を基に、いま電子キー1においてワイヤレス操作が実行されたと認識する。出力切替部21は、電子キー1での車両操作がワイヤレス操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を標準レベル(通常レベル)に設定する。つまり、送信部14の電波送信強度が強く、遠くからであっても、電子キー1の電波が車両2に届く。
【0024】
電子キー1の遠隔操作部13が操作されたとき、電子キー1からは機器制御信号Swlが送信部14から送信される。照合ECU4は、電子キー1から送信された機器制御信号Swlを車両受信機10で受信すると、機器制御信号Swlに含まれる電子キーIDの正当性を確認する。照合ECU4は、電子キー1から受信した電子キーIDと、自身に登録された電子キーIDとが一致して、ワイヤレス照合が成立することを確認すると、同一信号内に含まれるコマンドに従って動作することにより、車載機器を作動させる。例えば、機器制御信号Swlとして施錠要求信号が送信されれば、車両ドアが施錠され、機器制御信号Swlとして解錠要求信号が送信されれば、車両ドアが解錠される。
【0025】
図3に示すように、ユーザが電子キー1ではなく身体の動きにより車両ドアを施解錠するには、例えば電子キー1を衣服のポケットに入れたまま、身体を使った操作(動き検出操作)を実行する。動き検出操作は、例えば電子キー1を複数回叩く「タップ操作」が好ましい。このとき、電子キー1が瞬間的に大きく複数回揺れ、その動きに準じた検出信号が動作検出部17からキー制御部12に出力される。動き判定部18は、動作検出部17の検出信号を基に、車両ドアを遠隔操作するための特定の動作があったことを確認すると、例えば特定動作の検出通知(トリガ信号等)を送信可否設定部19に出力する。送信可否設定部19は、動き判定部18から特定動作の検出通知を入力すると、電子キー1における電波送信を許可する。
【0026】
図2(b)に示すように、操作判定部20は、動き判定部18から特定動作の検出通知を入力すると、いま電子キー1において動き検出操作が実行されたと認識する。出力切替部21は、電子キー1での車両操作が動き検出操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を低レベルに設定する。つまり、送信部14の電波送信強度が標準時よりも低く、車両2に近づかないと、電子キー1の電波が車両2に届かない。このため、偶発的に電子キー1が動き検出操作に準ずる動きをとっても、車両2の近くにないと、機器制御信号Swlが車両2に到達しないので、ユーザの意図しないところで、車両ドアが施解錠されることがない。
【0027】
なお、特定動作の動きの態様に応じて、制御できる車載機器を切り替えてもよい。例えば、電子キー1を1回叩くと、車両ドアが施錠され、電子キー1を2回叩くと、車両ドアが解錠されてもよい。さらに、電子キー1を3回叩くと、車両2のスライドドアが開作動されてもよい。この構成の場合、特定動作に応じた機器制御信号Swlが電子キー1から車両2に送信され、その機器制御信号Swlに基づき車両2が作動することにより実現される。
【0028】
動き検出操作時の電波送信レベルは、例えば通常操作時に対して1/2以下のレベル(強度)に設定されることが好ましい。更に好ましくは、例えば通常操作時に対して1/3以下のレベル(強度)に設定されるとよい。いずれにせよ、動き検出操作において意図しない通信確立を防止でき、かつ動き検出操作時に車両2に過度に近づかなくても通信確立できるように、動き検出時の電子キー1の出力を設定することが好ましい。
【0029】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)電子キー1で車両2を遠隔操作するときのキー操作を判定し、電子キー1から送信される電波(機器制御信号Swl)の送信レベルを、キー操作に応じて切り替える。つまり、ワイヤレス操作のときには、電子キー1の電波の送信レベルを標準レベルにし、動き検出操作のときには、電子キー1の電波の送信レベルを低レベルにする。このため、電子キー1が電波を送信するとき、電子キー1の通信エリアを、キー操作の種類に応じた適切なエリアで形成することが可能となる。これにより、動き検出操作の場合、電子キー1が車両2の近くに位置していなければ、車両2は作動しない。よって、ユーザの意図しないところで車両2が作動してしまう状況を生じ難くすることができる。
【0030】
(2)第1操作は電子キー1の通常操作であり、第2操作は電子キー1の動き検出操作である。よって、通常操作と動き検出操作とを、それぞれ精度よく実行するのに有利となる。
【0031】
(3)動き検出操作のときの電子キー1の電波送信レベルを通常操作のときよりも低く設定するので、電子キー1が車両2から離れた場所で、仮に電子キー1に発生した動きが動き検出操作に準じた動きをとってしまっても、このときに電子キー1から送信される機器制御信号Swlは車両2まで届かない。よって、この点からしてみても、キー操作に応じて電子キー1の電波の送信レベルを切り替えることは利点が高いと言える。
【0032】
(4)ワイヤレス操作時の電子キー1の電波送信レベルを標準レベルに設定し、動き検出操作時の電子キー1の電波送信レベルを低レベルに設定する。このため、ワイヤレス操作のときには、電子キー1の電波を遠くまで送信することが可能となり、動き検出操作のときには、電子キー1の電波を近傍のみに送信することが可能となる。よって、各キー操作に適した通信エリアを各々形成することができる。
【0033】
(5)電子キー1が車両2から離れた場所で、仮に電子キー1に発生した動きが動き検出操作に準じた動きをとってしまっても、施錠状態の車両ドアが意図せずに解錠されずに済む。よって、車両盗難防止などのセキュリティ性を確保することができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を
図4及び
図5に従って説明する。本例は、通信態様切替機能を変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0035】
図4に示すように、本例の通信態様切替機能は、キー操作の態様に応じて車両受信機10の受信レベル(受信感度)を切り替える機能であることが好ましい。この場合、キー制御部12は、操作判定部20の判定結果に基づく通知を操作対象(車両2)に送信可能な通知出力部31を備えることが好ましい。通知出力部31は、例えば電子キー1において動き検出操作がなされたと判定されたとき、その旨の操作有り通知Smvを車両2に無線により通知することが好ましい。出力切替部21は、車両2の照合ECU4に設けられることが好ましい。出力切替部21は、通知出力部31から受信した操作有り通知Smvを基に、車両受信機10の受信レベルを切り替える。
【0036】
次に、
図5を用いて、本例の遠隔操作システム16の動作を説明する。
図5(a)に示すように、車両受信機10は、通常の動作時において、例えば標準の受信レベルをとることにより、電子キー1から送信される電波に対して待機する。このため、車両受信機10は、ある程度の範囲の受信エリアをとることになるので、例えばワイヤレス操作のときに電子キー1から送信された電波を、この広い範囲の受信エリアで滞りなく受信することが可能である。ちなみに、車両受信機10は、間欠的に受信準備動作をとり、電子キー1から送信される電波に待機する。
【0037】
図5(b)に示すように、電子キー1で動き検出操作が実行されたとする。このとき、操作判定部20は、動き検出操作が実行されたことを通知出力部31に通知する。通知出力部31は、電子キー1が機器制御信号Swlを送信するのに先立ち、操作有り通知Smvを送信部14から送信させる。操作有り通知Smvは、例えば動き検出操作があったことを通知するコマンドと、電子キー1に登録された電子キーIDとを含む信号であることが好ましい。操作有り通知Smvは、例えばUHF電波であることが好ましい。
【0038】
出力切替部21は、電子キー1から送信された操作有り通知Smvを車両受信機10で受信すると、操作有り通知Smvに基づき、車両受信機10の受信レベルを切り替える。このとき、まず照合ECU4は、操作有り通知Smv内の電子キーIDの正当性を確認し、電子キーIDが正当であると判断できれば、その旨を出力切替部21に通知する。出力切替部21は、操作有り通知Smv内の電子キーIDの正当性を確認できると、同一信号内のコマンドに従い、車両受信機10の受信レベルを、通常よりも感度が低いレベルに切り替える。
【0039】
電子キー1で動き検出操作が実行されたとき、電子キー1は、操作有り通知Smvの送信後、車載機器を制御する機器制御信号Swlを送信部14から送信する。このとき、車両受信機10の受信感度は低く設定されているので、電子キー1が車両2の近くに位置していれば、車両受信機10は機器制御信号Swlを受信でき、一方、電子キー1が車両2から離れた位置にあれば、車両受信機10は機器制御信号Swlを受信できない。よって、ユーザが意図しないところで動き検出操作により車両2が作動してしまう状況を生じ難くすることが可能となる。なお、本例の機器制御信号Swlは、必ずしも電子キーIDを含む信号である必要はなく、これが省略された信号でもよい。
【0040】
出力切替部21は、機器制御信号Swlによる車載機器の作動が完了すると、車両受信機10を元の通常の受信感度に戻すことが好ましい。また、出力切替部21は、車両受信機10の受信感度を低いレベルに切り替えた後、機器制御信号Swlを受信できなくても、受信感度を低いレベルに切り替えた後から一定時間が経過すれば、受信レベルを元の通常の感度に戻すようにしてもよい。
【0041】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(2),(5)に加え、以下の効果を得ることができる。
(6)ワイヤレス操作のときには、車両受信機10の受信レベルを標準レベルにし、動き検出操作のときには、車両受信機10の受信レベルを低レベルにする。よって、動き検出操作の場合、電子キー1が車両2の近くに位置していなければ、電子キー1の電波を車両受信機10は受信することができず、車両2は作動しない。よって、ユーザの意図しないところで車両2が作動してしまう状況を生じ難くすることができる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を
図1及び
図6に従って説明する。本例では、動き検出操作が、車両ドアを施解錠する操作と、エンジンを始動する操作とに細分化して規定される。例えば、電子キー1を1回叩く操作が、車両ドアを施錠する操作と規定され、電子キー1を2回叩く操作が、車両ドアを解錠する操作と規定され、電子キー1を5回叩く操作が、エンジンを始動する操作と規定される。
【0043】
出力切替部21は、1回のタップ操作又は2回のタップ操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を、ワイヤレス操作のときの標準レベルよりも低い中間レベルに設定し、5回のタップ操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を、中間レベルよりもさらに低い低レベルに設定することが好ましい。尚、1回のタップ操作のときと、2回のタップ操作のときとで、送信部14の電波送信レベル(送信強度)が差別化されてもよい。
【0044】
次に、
図6を用いて、本例の遠隔操作システム16の動作を説明する。
図6(a)に示すように、電子キー1の遠隔操作部13がユーザにより操作されると、遠隔操作部13から検出信号がキー制御部12に出力される。操作判定部20は、遠隔操作部13から入力した検出信号を基に、いま電子キー1においてワイヤレス操作が実行されたと認識する。出力切替部21は、電子キー1での車両操作がワイヤレス操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を標準レベル(通常レベル)に設定する。つまり、送信部14の電波送信強度が強く、遠くからであっても、電子キー1の電波が車両2に届く。
【0045】
電子キー1の遠隔操作部13が操作されたとき、電子キー1からは機器制御信号Swlが送信部14から送信される。照合ECU4は、電子キー1から送信された機器制御信号Swlを車両受信機10で受信すると、機器制御信号Swlに含まれる電子キーIDの正当性を確認する。照合ECU4は、電子キー1から受信した電子キーIDと、自身に登録された電子キーIDとが一致して、ワイヤレス照合が成立することを確認すると、同一信号内に含まれるコマンドに従って動作することにより、車載機器を作動させる。例えば、機器制御信号Swlとして施錠要求信号が送信されれば、車両ドアが施錠され、機器制御信号Swlとして解錠要求信号が送信されれば、車両ドアが解錠される。
【0046】
図6(b)に示すように、操作判定部20は、動き判定部18から特定動作(ここでは1回のタップ操作又は2回のタップ操作)の検出通知を入力すると、いま電子キー1において車両ドアを施解錠する操作が実行されたと認識する。出力切替部21は、電子キー1での車両操作が車両ドアを施解錠する操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を中間レベルに設定する。つまり、送信部14の電波送信強度が標準時よりも低く、車両2に近づかないと、電子キー1の電波が車両2に届かない。このため、偶発的に電子キー1が車両ドアを施解錠する操作に準ずる動きをとっても、車両2の近くにないと、機器制御信号Swlが車両2に到達しないので、ユーザの意図しないところで、車両ドアが施解錠されることがない。
【0047】
図6(c)に示すように、操作判定部20は、動き判定部18から特定動作(ここでは5回のタップ操作)の検出通知を入力すると、いま電子キー1においてエンジンを始動する操作が実行されたと認識する。出力切替部21は、電子キー1での車両操作がエンジンを始動する操作のとき、送信部14の電波送信レベル(送信強度)を低レベルに設定する。つまり、送信部14の電波送信強度が中間レベルよりもさらに低く、車内に進入しないと、電子キー1の電波が車両2に届かない。このため、偶発的に電子キー1がエンジンを始動する操作に準ずる動きをとっても、車内に進入しないと、機器制御信号Swlが車両2に到達しないので、ユーザの意図しないところで、エンジンが始動されることがない。
【0048】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(5)に加え、以下の効果を得ることができる。
(7)エンジン始動時には車両ドアの施解錠時よりも狭いエリアでキー操作(5回のタップ操作)を行う必要がある。よって、ユーザの意図しないところでエンジンが始動してしまう状況を生じ難くすることができる。
【0049】
(8)第三者によるエンジン始動が抑制されるため、セキュリティ性が向上する。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を
図4及び
図7に従って説明する。本例では、動き検出操作が、車両ドアを施解錠する操作と、エンジンを始動する操作とに細分化して規定される。例えば、電子キー1を1回叩く操作が、車両ドアを施錠する操作と規定され、電子キー1を2回叩く操作が、車両ドアを解錠する操作と規定され、電子キー1を5回叩く操作が、エンジンを始動する操作と規定される。
【0050】
通知出力部31は、電子キー1において1回のタップ操作又は2回のタップ操作がなされたことが操作判定部20で判定されたとき、車両ドアを施解錠する操作の操作有り通知Smvを車両2に無線により通知することが好ましい。同様に、通知出力部31は、電子キー1において5回のタップ操作がなされたことが操作判定部20で判定されたとき、エンジンを始動する操作の操作有り通知Smvを車両2に無線により通知することが好ましい。尚、1回のタップ操作のときと、2回のタップ操作のときとで、操作有り通知Smvが差別化されてもよい。出力切替部21は、通知出力部31から受信した操作有り通知Smvを基に、車両受信機10の受信レベルを切り替える。
【0051】
次に、
図7を用いて、本例の遠隔操作システム16の動作を説明する。
図7(a)に示すように、車両受信機10は、通常の動作時において、例えば標準の受信レベルをとることにより、電子キー1から送信される電波に対して待機する。このため、車両受信機10は、ある程度の範囲の受信エリアをとることになるので、例えばワイヤレス操作のときに電子キー1から送信された電波を、この広い範囲の受信エリアで滞りなく受信することが可能である。
【0052】
図7(b)に示すように、電子キー1で動き検出操作(ここでは1回のタップ操作又は2回のタップ操作)が実行されたとする。このとき、操作判定部20は、車両ドアを施解錠する操作が実行されたことを通知出力部31に通知する。通知出力部31は、電子キー1が機器制御信号Swlを送信するのに先立ち、操作有り通知Smvを送信部14から送信させる。操作有り通知Smvは、例えば車両ドアを施解錠する操作があったことを通知するコマンドと、電子キー1に登録された電子キーIDとを含む信号であることが好ましい。
【0053】
出力切替部21は、電子キー1から送信された操作有り通知Smvを車両受信機10で受信すると、操作有り通知Smvに基づき、車両受信機10の受信レベルを切り替える。このとき、まず照合ECU4は、操作有り通知Smv内の電子キーIDの正当性を確認し、電子キーIDが正当であると判断できれば、その旨を出力切替部21に通知する。出力切替部21は、操作有り通知Smv内の電子キーIDの正当性を確認できると、同一信号内のコマンドに従い、車両受信機10の受信レベルを、通常よりも感度が低い中間レベルに切り替える。
【0054】
電子キー1で車両ドアを施解錠する操作が実行されたとき、電子キー1は、操作有り通知Smvの送信後、車載機器を制御する機器制御信号Swlを送信部14から送信する。このとき、車両受信機10の受信感度は中間レベルに設定されているので、電子キー1が車両2の近くに位置していれば、車両受信機10は機器制御信号Swlを受信でき、一方、電子キー1が車両2から離れた位置にあれば、車両受信機10は機器制御信号Swlを受信できない。よって、ユーザが意図しないところで車両ドアを施解錠する操作により車両2が作動してしまう状況を生じ難くすることが可能となる。
【0055】
図7(c)に示すように、電子キー1で動き検出操作(ここでは5回のタップ操作)が実行されたとする。このとき、操作判定部20は、エンジンを始動する操作が実行されたことを通知出力部31に通知する。通知出力部31は、電子キー1が機器制御信号Swlを送信するのに先立ち、操作有り通知Smvを送信部14から送信させる。操作有り通知Smvは、例えばエンジンを始動する操作があったことを通知するコマンドと、電子キー1に登録された電子キーIDとを含む信号であることが好ましい。
【0056】
出力切替部21は、電子キー1から送信された操作有り通知Smvを車両受信機10で受信すると、操作有り通知Smvに基づき、車両受信機10の受信レベルを切り替える。このとき、まず照合ECU4は、操作有り通知Smv内の電子キーIDの正当性を確認し、電子キーIDが正当であると判断できれば、その旨を出力切替部21に通知する。出力切替部21は、操作有り通知Smv内の電子キーIDの正当性を確認できると、同一信号内のコマンドに従い、車両受信機10の受信レベルを、中間レベルよりも感度がさらに低い低レベルに切り替える。
【0057】
電子キー1でエンジンを始動する操作が実行されたとき、電子キー1は、操作有り通知Smvの送信後、車載機器を制御する機器制御信号Swlを送信部14から送信する。このとき、車両受信機10の受信感度は低レベルに設定されているので、電子キー1が車内に位置していれば、車両受信機10は機器制御信号Swlを受信でき、一方、電子キー1が車外にあれば、車両受信機10は機器制御信号Swlを受信できない。よって、ユーザが意図しないところでエンジンを始動する操作により車両2が作動してしまう状況を生じ難くすることが可能となる。
【0058】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(2),(5)及び第2実施形態に記載の(6)に加え、第3実施形態に記載の(7),(8)の効果を得ることができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0059】
・各実施形態において、車両2が電子キーシステム3としてキー操作フリーシステムを備え、電子キー1はスマート照合及びワイヤレス照合の両方を実行可能なキーであってもよい。キー操作フリーシステムは、車両2からの通信を契機に狭域無線によりID照合(スマート照合)を行うものである。キー操作フリーシステムでは、車両2から例えばLF(Low Frequency )帯の電波で送信されたリクエスト信号を電子キー1が受信すると、電子キー1が起動してID信号を車両2にUHF送信し、このID信号でスマート照合を実行する。そして、スマート照合が成立すれば、車載機器の作動を許可又は実行される。
【0060】
・各実施形態において、機器制御信号Swlは、複数フレームから構築された信号としてもよい。
・各実施形態において、機器制御信号Swlは、通常操作と動き検出操作とで各々異なる信号内容としてもよい。
【0061】
・各実施形態において、遠隔操作システム16でユーザに課す特定の動作(動き検出操作)は、タップ操作に限らず、身体を使った動きを伴う動作であれば、種々の態様に変更可能である。
【0062】
・各実施形態において、ワイヤレス操作は、車両ドアの施解錠の遠隔操作に限らず、例えばスライドドアの開閉操作や、パニック機能の開始操作など、種々の操作に変更可能である。これに伴い、遠隔操作部13も施解錠ボタンに限らず、スライドドア開閉ボタンやパニックボタンなどに変更可能である。
【0063】
・第1実施形態又は第3実施形態において、出力切替部21は、動き検出操作を認識でき、かつフリーシステムに準じた電波(リクエスト信号)を車両2から受信していない条件を満足しているとき、電子キー1の送信レベルを低レベルに切り替えてもよい。この場合、電子キー1の送信レベルを精度よく低レベルに切り替えることができる。また、第2実施形態又は第4実施形態において、通知出力部31は、動き検出操作を認識でき、かつキー操作フリーシステムに準じた電波(リクエスト信号)を車両2から受信していない条件を満足しているとき、操作有り通知Smvを車両2に送信するようにしてもよい。この場合、操作有り通知Smvを精度よく電子キー1から車両2に送信することができる。
【0064】
・第2実施形態又は第4実施形態において、操作有り通知Smvは、複数フレームから構築された信号としてもよい。
・第2実施形態又は第4実施形態において、操作有り通知Smvは、電子キー1で動き検出操作があったことを車両2に通知できる信号であればよく、例えば数ビットから構築された信号でもよい。
【0065】
・各実施形態において、第1操作は、スマート操作としてもよい。つまり、動き検出操作とスマート操作とで、電子キーシステム3の通信態様を切り替えてもよい。スマート操作は、キー操作フリーシステムで車両2を作動させる操作である。
【0066】
・各実施形態において、通常操作は、ワイヤレス操作やスマート操作に限らず、電子キー1に元から存在する操作機能であれば、種々のものが採用可能である。
・各実施形態において、第1操作をスマート操作とし、第2操作をワイヤレス操作としてもよい。つまり、動き検出操作を判定の対象とせず、例えばスマート操作とワイヤレス操作とで、電子キーシステム3の通信態様を切り替えてもよい。
【0067】
・第1実施形態又は第3実施形態において、通常操作時の電子キー1の電波送信レベルを低レベルとし、動き検出操作時の電子キー1の電波送信レベルを高レベルとしてもよい。また、第2実施形態又は第4実施形態において、通常操作時の車両受信機10の受信レベルを低レベルとし、動き検出操作時の車両受信機10の受信レベルを高レベルとしてもよい。
【0068】
・各実施形態において、動作検出部は、加速度センサ(Gセンサ)に限定されず、電子キー1に発生する動きを検出できるものであれば、種々の部材に変更可能である。
・各実施形態において、操作対象は、車両2に限定されず、例えば住宅のドアなど、他の機器や装置に変更可能である。
【0069】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記電子キーシステムにおいて、前記出力切替部は、通信回路のICに設けられた通信機能を変更することにより、電波の送信レベルを切り替える。この構成によれば、通信回路のICの通信機能を変更するという簡素な態様により、電子キーの電波の送信レベルを切り替えることが可能となる。
【0070】
(ロ)前記電子キーシステムにおいて、前記出力切替部は、前記キー操作が前記動き検出操作のときの前記受信機の受信レベルを、前記キー操作が通常操作のときの前記受信機の受信レベルよりも低く設定する。この構成によれば、受信機の受信レベルを切り替えるという方法で、ユーザの意図しないところでの動き検出操作の作動を生じ難くすることが可能となる。
【0071】
(ハ)前記電子キーは、前記操作判定部と、その判定結果に基づく通知を前記操作対象に送信する通知出力部とを備え、前記操作対象は、前記電子キーから受信した前記通知に基づき、前記受信機の受信レベルを切り替える前記出力切替部を備えた。この構成によれば、受信機の受信レベルを切り替えるという方法で、ユーザの意図しないところでの動き検出操作の作動を生じ難くすることが可能となる。