【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行なった。
(1)粘度(mPa(25℃))
ウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物(主剤)100ccをビーカーに入れB形粘度計(東機産業製、TV25形粘度計(TVB−25L))にて測定した。
(2)ウレタン溶解性
目視により測定を行った。
ウレタン溶解性の評価基準は、ポリウレタンエラストマーが完全に溶解したものは○、相溶するが相分離したものは△、溶解しないものは×とした。
(3)乾燥速度
ウレタン樹脂系溶剤形接着剤をガラス板上に滴下して、厚み約30μmで幅30mmの丸棒(SUS10φ)をコーティングし、指先を押し当て、接着剤が付かなくなるまでの時間を測定した。
乾燥時間の評価基準は30秒以内に乾燥したものは○、60秒以内に乾燥したものは△、60秒を超えるものを×とした。
(4)接着強度
ウレタン樹脂系溶剤形接着剤の接着面を180度方向へ引張り速度500mm/minで引張り接着強度を測定した。厚みが15mm、幅が20mmのサンプルを用いて、自動引張り試験機(インストロン製)にて測定した。
接着強度の評価基準は、材料破壊(接着面では無く材料面で破断すること)した場合を○、接着面からの剥がれを×とした。
(5)スプレー塗布性
ウレタン樹脂系溶剤形接着剤を塗布した際にサンプル表面へ均一に塗布できるか否かを目視にて判断した(判断1)。更に、サンプル表面での液だれ又は浸み込みの有無を目視にて判断した(判断2)。
スプレー塗布性の評価基準は、メチレンクロライド使用接着剤と比較して、判断1として同程度に均一であるとの判断であり、判断2として無しの場合が○、判断1として均一性が無いとの判断であり、判断2として有りの場合が×とした。
(6)接着剤コスト
ウレタン樹脂系溶剤形接着剤を構成する混合物のコストの合計により評価した。
接着剤コストの評価基準は、経済性が優れているものは○、従来の接着剤と経済性が変わらないものは△、経済性が悪いものは×、経済性が極めて悪いものは××とした。
【0024】
<実施例1>
1−ブロモプロパン(アルベマール社製、商品名「PS Cleaner」)を40質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を50質量%、n−プロパノール(昭和化学社製、商品名「1−プロパノール」)を10質量%配合して溶剤成分を調製した。次いで、調製した溶剤成分100質量部に対して、ポリウレタンエラストマー(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名「デスモコール176」)を8.5質量部添加してウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物を得た。得られたウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物に対して、上記(1)、(2)の評価を行った。
次に、調製したウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物を主剤として、主剤100質量部に対して、硬化剤としてポリイソシアネート化合物を(バイエル社製、商品名「デスモジュールRFE」)を2.5質量部添加してウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。得られたウレタン樹脂系溶剤形接着剤に対して、上記(3)〜(6)の評価を行った。
(1)〜(6)の評価結果を下記の表2に示す。
【0025】
<実施例2>
不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」、1−ブロモプロパン93%含有/n−プロパノール7%含有)50質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を50質量%配合して溶剤成分を調製した。配合比率より算出した1−ブロモプロパンは46質量%、n−プロパノールは3.5質量%である。次いで、調製した溶剤成分100質量部に対して、ポリウレタンエラストマー(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名「デスモコール176」)を8.5質量部添加してウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物を得た。得られたウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物に対して、上記(1)、(2)の評価を行った。
次に、調製したウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物を主剤として、主剤100質量部に対して、硬化剤としてポリイソシアネート化合物を(バイエル社製、商品名「デスモジュールRFE」)を2.5質量部添加してウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。得られたウレタン樹脂系溶剤形接着剤に対して、上記(3)〜(6)の評価を行った。
(1)〜(6)の評価結果を下記の表2に示す。
【0026】
<実施例3>
実施例2において、ポリウレタンエラストマー(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名「デスモコール176」)を13質量部添加した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表2に示す。
【0027】
<実施例4>
実施例2において、不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」)を60質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を40質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表2に示す。
【0028】
<実施例5>
実施例2において、不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」)を70質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を30質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表2に示す。
【0029】
<実施例6>
実施例2において、不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」)を80質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を20質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表2に示す。
【0030】
<実施例7>
実施例2において、不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」)を90質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を10質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表2に示す。
【0031】
<実施例8>
実施例2において、不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」)を95質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を5質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
<比較例1>
実施例1において、1−ブロモプロパン(アルベマール社製、商品名「PS Cleaner」)を5質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を94質量%、n−プロパノール(昭和化学株式会社製、商品名「1−プロパノール」)を1質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表3に示す。
【0034】
<比較例2>
実施例1において、1−ブロモプロパン(アルベマール社製、商品名「PS Cleaner」)を50質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を50質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表3に示す。
【0035】
<比較例3>
実施例1において、1−ブロモプロパン(アルベマール社製、商品名「PS Cleaner」)を90質量%、n−プロパノール(昭和化学社製、商品名「1−プロパノール」)を10質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表3に示す。
【0036】
<比較例4>
実施例1において、1−ブロモプロパン(アルベマール社製、商品名「PS Cleaner」)を88質量%、n−プロパノール(昭和化学社製、商品名「1−プロパノール」)を12質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表3に示す。
【0037】
<比較例5>
実施例1において、1−ブロモプロパン(アルベマール社製、商品名「PS Cleaner」)100質量%を溶剤成分とした以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
<比較例6>
実施例1において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を50質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を50質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0040】
<比較例7>
実施例1において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を45質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を55質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0041】
<比較例8>
実施例1において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を40質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を60質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0042】
<比較例9>
実施例2において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を10質量%、不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」)を90質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0043】
<比較例10>
実施例2において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を5質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を55質量%、不燃性臭素系洗浄剤(アルベマール社製、商品名「JE−100」)を40質量%配合して溶剤成分を調製し、ポリウレタンエラストマー(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名「デスモコール176」)を13質量部添加した以外は実施例2と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0044】
<比較例11>
実施例1において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を50質量%、HFC(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「エルノバVR2」)を50質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0045】
<比較例12>
実施例1において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を25質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を50質量%、HFC(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「エルノバVR2」)を25質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0046】
<比較例13>
実施例1において、シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)を35質量%、HFE(旭硝子株式会社製、商品名「AE−3000」)を20質量%、HFC(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「エルノバVR2」)を45質量%配合して溶剤成分を調製した以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂系溶剤形接着剤組成物及びウレタン樹脂系溶剤形接着剤を得た。各種評価を行った結果を下記の表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
<参考例>
参考例として、ウレタン樹脂系溶剤形接着剤の主剤として、アルコール混合共沸系C−HFC(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオローラHTA」)を配合して溶剤成分を調製した。ゼオローラHTAは、HFCと同様なフッ素系溶剤である。
ゼオローラHTAを配合した溶剤は、ウレタンを完全に溶解し、分離のない均一な液状を得られた。しかし、硬化剤添加時に反応して白濁ゲル化した。尚、溶剤単価が非常に高いため、接着剤のコストとしては実用に不向きである。