(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部カバー層の厚さ(D)と前記下部カバー層の厚さ(B)との割合D/Bが0.021≦D/B≦0.425の範囲を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
前記セラミック本体の厚さの1/2(A)に対する前記下部カバー層の厚さ(B)の割合B/Aが0.365≦B/Aの範囲を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
前記下部カバー層の厚さ(B)に対する前記アクティブ層の厚さの1/2(C)の割合C/Bが0.146≦C/B≦2.176の範囲を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
電圧印加時に前記アクティブ層の中心部で発生する変形率と前記下部カバー層で発生する変形率との差により、前記セラミック本体の両端面に形成される変曲点が前記セラミック本体の厚さの中心部以下に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
電圧印加時に前記アクティブ層の中心部で発生する変形率と前記下部カバー層で発生する変形率との差により、前記セラミック本体の両端面に形成される変曲点が前記半田付けの高さ以下に形成されることを特徴とする、請求項7に記載の積層セラミックキャパシタの回路基板実装構造。
複数の誘電体層が積層されるセラミック本体と、前記誘電体層を挟んで前記セラミック本体の両端面から交互に露出するように形成され、前記誘電体層の上部または下部にそれぞれ配置された複数の第1及び第2内部電極を有するアクティブ層と、前記アクティブ層の上部に形成される上部カバー層と、前記アクティブ層の下部に前記上部カバー層より厚く形成される下部カバー層と、前記セラミック本体の両端面に形成されて前記第1及び第2内部電極の露出した部分と電気的に連結される第1及び第2外部電極と、前記アクティブ層の内部において前記第1及び第2外部電極から長さ方向の内側に延長して前記第1及び第2内部電極にそれぞれ対向する複数の第1及び第2ダミー電極と、を含み、前記セラミック本体の全体厚さの1/2をA、前記下部カバー層の厚さをB、前記アクティブ層の全体厚さの1/2をC、前記上部カバー層の厚さをDと規定したときに、A>B、および、前記アクティブ層の中心部が前記セラミック本体の中心部から外れる割合(B+C)/Aが1.063≦(B+C)/A<1.5の範囲を満たし、前記下部カバー層がダミーパターンを含み、前記ダミーパターンは、前記第1及び第2外部電極から長さ方向の内側にそれぞれ延長して互いに対向する第1及び第2ダミーパターンからなり、前記ダミーパターンの全体厚さを(E)と規定したときに、前記下部カバー層の厚さ(B)に対する前記ダミーパターンの全体厚さ(E)の割合E/Bが0.3≦E/B<1の範囲を満たす少なくとも一つの積層セラミックキャパシタと、
前記それぞれの積層セラミックキャパシタを下部カバー層が底面に向かうように収納する複数の収納部が形成された包装シートと、を含む、積層セラミックキャパシタの包装体。
前記積層セラミックキャパシタが収納された収納部を密封するように前記包装シートの一面に付着された包装膜をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタの包装体。
【背景技術】
【0002】
積層チップ電子部品の一つである積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP;Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末機(PDA;Personal Digital Assistants)及び携帯電話などの各種電子製品の印刷回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる機能を果すチップ形態のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタ(MLCC;Multi‐Layered Ceramic Capacitor)は、小型でかつ高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。
【0004】
上記積層セラミックキャパシタは、複数の誘電体層と、上記誘電体層の間に互いに異なる極性の内部電極が交互に積層された構造を有することができる。
【0005】
このような誘電体層は圧電性及び電歪性を有するため、積層セラミックキャパシタに直流又は交流電圧が印加される際に上記内部電極の間で圧電現象が生じ、振動が起こり得る。
【0006】
このような振動は、積層セラミックキャパシタの外部電極を介して上記積層セラミックキャパシタが実装された印刷回路基板に伝達され、上記印刷回路基板の全体が音響反射面となり、雑音となる振動音を発生させる。
【0007】
上記振動音は人に不快感を与える20〜20000Hz領域の可聴周波数に該当するおそれがあり、このように人に不快感を与える振動音をアコースティックノイズ(acoustic noise)と言う。
【0008】
上記アコースティックノイズを減少させるために、積層セラミックキャパシタ内に形成される内部電極の印刷回路基板への実装方向に対する研究が進められてきた。
【0009】
より詳細には、内部電極が上記印刷回路基板に垂直な方向性を有するように積層セラミックキャパシタを印刷回路基板に実装すると、内部電極が印刷回路基板に水平な方向性を有するように実装する場合よりもアコースティックノイズが減少するということである。
【0010】
しかし、内部電極が印刷回路基板に垂直な方向性を有するように積層セラミックキャパシタを印刷回路基板に実装してアコースティックノイズを測定しても騒音水準が一定水準以上になるため、アコースティックノイズをさらに低減させることができる方法が求められている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0029】
但し、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
【0030】
また、本発明の実施形態は当技術分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0031】
従って、図面における要素の形状及び大きさ等はより明確な説明のために誇張されることがある。
【0032】
また、各実施例の図面に示された同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素には同一の参照符号を用いて説明する。
【0033】
本発明の実施例を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上に表示されたL、W及びTはそれぞれ、長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は誘電体層が積層された積層方向と同一の概念に用いられることができる。
【0034】
また、本実施形態において、説明の便宜上、セラミック本体の長さ方向に第1及び第2外部電極が形成される面を左右両端面と設定し、これと垂直に交差する面を左右側面と設定して併せて説明する。
【0035】
[積層セラミックキャパシタ]
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック本体110と、複数の第1及び第2内部電極121、122を有するアクティブ層115と、アクティブ層115の上部及び下部にそれぞれ形成される上部及び下部カバー層112、113と、セラミック本体110の両端面を覆うように形成される第1及び第2外部電極131、132と、を含む。
【0036】
アクティブ層115の内部には、第1及び第2外部電極131、132から長さ方向の内側に延長して第1及び第2内部電極121、122にそれぞれ対向する複数の第1及び第2ダミー電極123、124が形成されることができる。
【0037】
セラミック本体110は、複数の誘電体層111を積層してから焼成して形成され、このようなセラミック本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数は、本実施形態に図示されたものに限定されない。
【0038】
また、セラミック本体110を形成する複数の誘電体層111は焼結された状態であり、隣接する誘電体層111の間の境界は走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)を利用しなくては確認できないほど一体化されることができる。
【0039】
このようなセラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としてのアクティブ層115と、上下マージン部としてアクティブ層115の上部及び下部にそれぞれ形成される上部及び下部カバー層112、113と、で構成されることができる。
【0040】
アクティブ層115は、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返して積層して形成されることができる。
【0041】
この際、誘電体層111の厚さは積層セラミックキャパシタ100の容量設計に合わせて任意に変更することができ、好ましくは、1層の厚さは焼成後に0.01〜1.00μmになるように構成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
また、誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック粉末、例えばチタン酸バリウム(BaTiO
3)系又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
上部及び下部カバー層112、113は、内部電極を含まないこと以外は、誘電体層111と同一の材質及び構成を有することができる。
【0044】
上部及び下部カバー層112、113は、単一の誘電体層又は二つ以上の誘電体層をアクティブ層115の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的に、物理的又は化学的なストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する機能を果たすことができる。
【0045】
また、下部カバー層113は、上部カバー層112より誘電体層の積層数を増やすことにより、上部カバー層112より大きい厚さを有することができる。
【0046】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する一対の電極であって、誘電体層111上に所定の厚さで導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して、誘電体層111の積層方向に沿って両端面から交互に露出するように形成されることができ、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0047】
このように形成される第1及び第2内部電極121、122は、セラミック本体110の両端面から交互に露出する部分が、第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0048】
従って、第1及び第2外部電極131、132に電圧を印加すると、互いに対向する第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積され、この際、積層セラミックキャパシタ100の静電容量は、第1及び第2内部電極121、122が互いに重なる領域の面積に比例する。
【0049】
このような第1及び第2内部電極121、122の厚さは用途に応じて決定されることができる。例えば、セラミック本体110の大きさを考慮して、0.2〜1.0μmの範囲内であるように決定されることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれらの合金であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
また、上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
第1及び第2ダミー電極123、124は、アクティブ層115の内部において、好ましくは、第1及び第2内部電極121、122と同一の水平面上に位置し、第1及び第2内部電極121、122と同一の方法により誘電体層111上に所定の厚さで導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して、誘電体層111の第1及び第2内部電極121、122が露出する一面と反対の端面から交互に露出するように形成されることができる。
【0053】
従って、第1内部電極121と第1ダミー電極123との間のギャップと、第2内部電極122と第2ダミー電極124との間のギャップが積層方向に沿ってオフセットされることができる。
【0054】
このような第1及び第2ダミー電極123、124は、積層セラミックキャパシタのマージン部の電界が長さ方向に印加されると、既存のポアソン効果による第1及び第2外部電極131、132の頭部の長さ方向への収縮とは反対方向に膨張が発生する。このような膨張作用が第1及び第2外部電極131、132の収縮作用と互いに相殺して第1及び第2外部電極131、132の頭部で発生する振動を減少させ、結局、アコースティックノイズをさらに低減させることができる。
【0055】
第1及び第2外部電極131、132は、導電性金属を含む導電性ペーストにより形成されることができ、上記導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)又はこれらの合金であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
以下、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100に含まれる構成要素の寸法とアコースティックノイズの関係について説明する。
【0057】
図3を参照してセラミック本体110の全体厚さの1/2をA、下部カバー層113の厚さをB、アクティブ層115の全体厚さの1/2をC、上部カバー層112の厚さをDと規定する。
【0058】
ここで、セラミック本体110の全体厚さは、セラミック本体110の上面S
Tから下面S
Bまでの距離を意味し、アクティブ層115の全体厚さは、アクティブ層115の最上部に形成された第1内部電極121の上面からアクティブ層115の最下部に形成された第2内部電極122の下面までの距離を意味する。
【0059】
また、下部カバー層113の厚さ(B)は、アクティブ層115の厚さ方向の最下部に形成された第2内部電極122の下面からセラミック本体110下面S
Bまでの距離を意味し、上部カバー層112の厚さ(D)は、アクティブ層115の厚さ方向の最上部に形成された第1内部電極121の上面からセラミック本体110の上面S
Tまでの距離を意味する。
【0060】
積層セラミックキャパシタ100の両端部に形成された第1及び第2外部電極131、132に異なる極性の電圧が印加されると、誘電体層111の逆圧電効果(Inverse piezoelectric effect)によってセラミック本体110が厚さ方向に膨張及び収縮するようになり、第1及び第2外部電極131、132の両端部は、ポアソン効果(Poisson effect)によってセラミック本体110の厚さ方向の膨張及び収縮とは反対に収縮及び膨張するようになる。
【0061】
ここで、アクティブ層115の中心部は、第1及び第2外部電極131、132の長さ方向の両端部で最大に膨張及び収縮される部分であり、アコースティックノイズが発生する原因となる。
【0062】
即ち、本実施形態では、アコースティックノイズを減少させるために、電圧が印加されてアクティブ層115の中心部CL
Aで発生する変形率と下部カバー層113で発生する変形率との差により、セラミック本体110の両端面に形成された変曲点(PI;point of inflection)がセラミック本体110の厚さの中心部CL
C以下に形成されることができる。
【0063】
この際、アコースティックノイズをさらに減少させるために、アクティブ層115の中心部CL
Aがセラミック本体110の中心部CL
Cから外れる割合(B+C)/Aが1.063≦(B+C)/A≦1.745の範囲を満たすことが好ましい。
【0064】
また、上部カバー層112の厚さ(D)と下部カバー層113の厚さ(B)との割合D/Bが0.021≦D/B≦0.425の範囲を満たすことができる。
【0065】
また、セラミック本体110の厚さの1/2(A)に対する下部カバー層113の厚さ(B)の割合B/Aが0.365≦B/A≦1.523の範囲を満たすことができる。
【0066】
また、下部カバー層113の厚さ(B)に対するアクティブ層115の厚さの1/2(C)の割合C/Bが0.146≦C/B≦2.176の範囲を満たすことができる。
【0067】
[積層セラミックキャパシタの変形例]
図4は本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示すものである。
【0068】
図4を参照すると、本実施形態の積層セラミックキャパシタは、下部カバー層113に厚さ方向に沿って複数のダミーパターン125をさらに含むことができる。
【0069】
ダミーパターン125は、第1及び第2外部電極131、132から長さ方向の内側にそれぞれ延長して互いに対向する第1及び第2ダミーパターン125a、125bを厚さ方向に所定間隔をおいて形成して構成されることができる。
【0070】
この際、それぞれの第1及び第2ダミーパターン125a、125bは同一の長さに形成されて下部カバー層113の中央に厚さ方向にギャップを形成することができる。
【0071】
上記のように下部カバー層113の内部にダミーパターン125がさらに適用されると、積層セラミックキャパシタ100で発生する振動が印刷回路基板に伝達されることをより効果的に遮断してアコースティックノイズをさらに減少させることができる。
【0072】
[実験例]
本発明の実施例と比較例による積層セラミックキャパシタは、下記のように製作された。
【0073】
チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んでなるスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して、1.8μmの厚さに製造された複数個のセラミックグリーンシートを準備する。
【0074】
次に、上記セラミックグリーンシート上に、スクリーンを利用してニッケル内部電極用導電性ペーストを塗布して内部電極を形成する。
【0075】
上記セラミックグリーンシートを約370層程度に積層するが、内部電極が形成されていないセラミックグリーンシートを内部電極が形成されたセラミックグリーンシートの下部に、上部より多く積層した。その後、上記積層体を85℃及び1000kgf/cm
2(9800N/cm
2)の圧力条件で等圧圧縮成形(isostatic pressing)した。
【0076】
次に、圧着が完了したセラミック積層体を個別チップの形態に切断し、切断したチップは大気雰囲気で230℃にて60時間維持して脱バインダを行った。
【0077】
次に、1200℃にて内部電極が酸化されないように、Ni/NiO平衡酸素分圧より低い10
−11〜10
−10atm(1.013×10
−12〜10
−11MPa)の酸素分圧下の還元雰囲気で焼成し、外部電極形成及びメッキなどの工程を経て、積層セラミックキャパシタを製作した。
【0078】
この際、焼成後の積層セラミックキャパシタのチップサイズは、長さ×幅(L×W)が約2.03mm×1.26mm(L×W、2012サイズ)であった。ここで、製作公差は長さ×幅(L×W)が±0.1mm内の範囲となるように定め、これを満たすと、実験を行ってアコースティックノイズを測定した。
【0080】
上記表1のデータは、
図3のように、積層セラミックキャパシタ100のセラミック本体110の幅方向(W)の中心部を長さ方向(L)及び厚さ方向(T)に切開した断面を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)で撮影した写真を基準として、それぞれの寸法を測定したものである。
【0081】
ここで、A、B、C及びDは、上述したように、セラミック本体110の全体厚さの1/2をA、下部カバー層113の厚さをB、アクティブ層115の全体厚さの1/2をC、上部カバー層112の厚さをDと規定したものである。
【0082】
また、下部カバー層113にダミーパターン125が備えられる他の実施形態において、ダミーパターン125の全体厚さをEと規定した。
【0083】
アコースティックノイズを測定するために、アコースティックノイズ測定用基板当たり一つのサンプル(積層セラミックキャパシタ)を上下方向に区分して印刷回路基板に実装した後、その基板を測定用治具(Jig)に装着した。
【0084】
そして、DCパワーサプライ(Power supply)及び信号発生器(Function generator)を用いて、測定治具に装着されたサンプルの両端子にDC電圧及び電圧変動を印加した。
【0085】
その後、上記印刷回路基板の真上に設けられたマイクを用いてアコースティックノイズを測定した。
【0086】
上記表1において、サンプル1‐1〜1‐3は、下部カバー層113の厚さ(B)と上部カバー層112の厚さ(D)がほぼ類似したカバー対称構造を有する比較例であり、サンプル1‐4〜1‐14は、上部カバー層112の厚さ(D)が下部カバー層113の厚さ(B)より厚い構造を有する比較例である。
【0087】
また、サンプル1‐15は、下部カバー層113の厚さ(B)が上部カバー層112の厚さ(D)より厚い構造を有するがその割合D/Bが0.552であり、本実施形態の上限値である0.425から外れる比較例である。また、サンプル1‐35〜1‐37は、下部カバー層113の厚さ(B)が上部カバー層112の厚さ(D)より厚い構造を有するが、その割合D/Bが0.021未満である比較例である。
【0088】
また、サンプル1‐38及び1‐39は、積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の数値関係が本発明の好ましい数値範囲を全て満たすが、アクティブ層115にダミー電極123、124が形成されていない構造を有する比較例である。
【0089】
さらに、サンプル1‐16〜1‐34は、本発明の一実施形態によってアクティブ層115にダミー電極123、124が形成され、本発明の積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の数値関係が好ましい数値範囲を全て満たす実施例である。
【0090】
サンプル2‐1及び2‐6は、本発明の他の実施形態によってアクティブ層115にダミー電極123、124を有するとともに、下部カバー層113にダミーパターン125が形成された構造を有する積層セラミックキャパシタであって、このうち、サンプル2‐1及び2‐2は、下部カバー層113に対するダミーパターン125の全体厚さの割合が本実施形態の好ましい数値範囲の下限値である0.4を外れる比較例であり、サンプル2‐2〜2‐6は、本発明の他の実施形態における下部カバー層113に対するダミーパターン125の全体厚さの割合が好ましい数値範囲を満たす実施例である。
【0091】
ここで、(B+C)/Aの値がほぼ1である場合にはアクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部からあまり外れていないことを意味する。
【0092】
下部カバー層113の厚さ(B)と上部カバー層112の厚さ(D)がほぼ類似したカバー対称構造を有するサンプル1‐1〜1‐3の(B+C)/A 値がほぼ1であり、アコースティックノイズが30dB以上と高いことが分かる。
【0093】
(B+C)/A 値が1より大きい場合にはアクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から上部方向に外れていることを意味し、(B+C)/A 値が1より小さい場合にはアクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から下部方向に外れていることを意味することができる。上記表1を参照すると、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から外れる割合(B+C)/Aが1.063≦(B+C)/A≦1.745の範囲を満たす実施例であるサンプル1‐16〜1‐34において、アコースティックノイズが30dB未満に著しく減少することを確認することができる。
【0094】
また、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から外れる割合(B+C)/Aが1.063未満であるサンプル1‐1〜1‐15は、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部からほとんど外れていないか、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から下部方向に外れた構造を有する。
【0095】
この際、上記(B+C)/Aが1.063未満であるサンプル1‐1〜1‐15は、アコースティックノイズが30dB以上であり、本発明による実施例としてのサンプル1‐16〜1‐34に比べてアコースティックノイズの減少効果がほとんどないことが分かる。
【0096】
また、アクティブ層115の中心部がセラミック本体110の中心部から外れる割合(B+C)/Aが1.745を超えるサンプル1‐35〜1‐37の場合にはアコースティックノイズが30dB以下と安定しているが、目標容量に対する静電容量が低すぎて容量不良が発生した。
【0097】
上記表1において、サンプル1‐35〜1‐37における容量具現率(即ち、目標容量に対する静電容量の割合)が「NG」と表示されたものは、目標容量値を100%としたときに、目標容量に対する静電容量値が80%未満である場合の容量不良を意味する。
【0098】
一方、このような結果は上部カバー層112の厚さと下部カバー層113の厚さの割合にも適用されることが分かる。
【0099】
即ち、上部カバー層112の厚さ(D)と下部カバー層113の厚さ(B)との割合D/Bが0.021≦D/B≦0.425の範囲を満たす実施例は、アコースティックノイズが著しく減少することが分かる。
【0100】
反面、上部カバー層112の厚さ(D)と下部カバー層113の厚さ(B)との割合D/Bが0.425を超える比較例としてのサンプル1‐1〜1‐15は、アコースティックノイズの減少効果がほとんどないことが分かる。
【0101】
また、上部カバー層112の厚さ(D)と下部カバー層113の厚さ(B)との割合D/Bが0.021未満である場合には、上部カバー層112の厚さ(D)より下部カバー層113の厚さ(B)が大きすぎてクラック又はデラミネーションが発生する可能性があり、目標容量に対する静電容量が低くて容量不良が発生する可能性もある。
【0102】
また、実施例のうち、セラミック本体110の厚さ(A)に対する下部カバー層113の厚さ(B)の割合B/A及び下部カバー層113の厚さ(B)に対するアクティブ層115の厚さ(C)の割合C/Bそれぞれが0.365≦B/A≦1.523及び0.146≦C/B≦2.176の範囲を満たす実施例であるサンプル1‐20〜1‐34は、アコースティックノイズが28.5dB未満であり、サンプル1‐16〜サンプル1‐19より減少することが分かる。
【0103】
反面、セラミック本体110の厚さ(A)に対する下部カバー層113の厚さ(B)の割合B/Aが1.523を超えるか、下部カバー層113の厚さ(B)に対するアクティブ層115の厚さ(C)の割合C/Bが0.146未満であるサンプル1‐35〜1‐37の場合には、目標容量に対する静電容量が低くて容量不良が発生する問題点があった。
【0104】
一方、アクティブ層115の内部に第1及び第2ダミー電極123、124を形成し、下部カバー層113の内部にダミーパターン125が形成された他の実施形態としてのサンプル2‐1〜2‐6は、アコースティックノイズが30dBであり、上述した比較例であるサンプル1‐1〜1‐15より減少することが分かる。
【0105】
特に、下部カバー層113の厚さ(B)に対するダミーパターン125の全体厚さ(E)の割合が0.3以上であるサンプル2‐3〜2‐6は、アコースティックノイズが25dB未満であり、サンプル2‐1及び2‐2より減少することが分かる。
【0106】
従って、下部カバー層113の内部にダミーパターン125を形成し、下部カバー層113の厚さ(B)に対するダミーパターン125の全体厚さ(E)の割合を0.3以上とする場合、アコースティックノイズ改善に効果的であることが分かる。
【0107】
[積層セラミックキャパシタの回路基板実装構造]
図5及び
図6を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100の実装基板200は、積層セラミックキャパシタ100が水平に実装される印刷回路基板210と、印刷回路基板210の上面に互いに離隔するように形成された第1及び第2電極パッド221、222と、を含む。
【0108】
この際、積層セラミックキャパシタ100は、下部カバー層113が下側に配置され、第1及び第2外部電極131、132がそれぞれ第1及び第2電極パッド221、222上に接触するように位置した状態で、半田付け230により印刷回路基板210と電気的に連結されることができる。
【0109】
上記のように積層セラミックキャパシタ100が印刷回路基板210に実装された状態で電圧を印加すると、アコースティックノイズが生じ得る。
【0110】
この際、第1及び第2電極パッド221、222の大きさは、積層セラミックキャパシタ100の第1及び第2外部電極131、132と第1及び第2電極パッド221、222を連結する半田付け230の量を決定する指標になることができ、このような半田付け230の量に応じてアコースティックノイズの大きさが調節されることができる。
【0111】
図7を参照すると、積層セラミックキャパシタ100が印刷回路基板210に実装された状態で積層セラミックキャパシタ100の両端部に形成された第1及び第2外部電極131、132に異なる極性の電圧が印加されると、誘電体層111の逆圧電効果(Inverse piezoelectric effect)によってセラミック本体110は厚さ方向に膨張及び収縮するようになり、第1及び第2外部電極131、132の両端部は、ポアソン効果(Poisson effect)によってセラミック本体110の厚さ方向の膨張及び収縮とは反対に収縮及び膨張するようになる。
【0112】
ここで、アクティブ層115の中心部は、第1及び第2外部電極131、132の長さ方向の両端部で最大に膨張及び収縮される部分であり、アコースティックノイズが発生する原因となる。
【0113】
積層セラミックキャパシタ100の長さ方向の両端面が最大に膨張されると、半田付け230の上部には膨脹によって外部に押し出される力(丸1)が生じ、半田付け230の下部には膨脹によって外部に押し出される力によって外部電極の方に押す、収縮される力(丸2)が生じる。
【0114】
従って、本実施形態のように、電圧が印加されてアクティブ層115の中心部CL
Aで発生する変形率と下部カバー層113で発生する変形率との差により、セラミック本体110の両端面に形成された変曲点が半田付け230の高さ以下に形成されると、アコースティックノイズをさらに減少させることができる。
【0115】
また、第1及び第2ダミー電極123、124は、積層セラミックキャパシタのマージン部の電界が長さ方向に印加されると、既存のポアソン効果による第1及び第2外部電極131、132の頭部の長さ方向への収縮とは反対方向に膨張が発生する。このような膨張作用が第1及び第2外部電極131、132の収縮作用と互いに相殺して第1及び第2外部電極131、132の頭部で発生する振動を減少させ、結局、アコースティックノイズをさらに低減させることができる。
【0116】
[積層セラミックキャパシタの包装体]
図8を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタの包装体300は、それぞれの積層セラミックキャパシタ100を収納するために積層セラミックキャパシタ100に対応する形状からなる複数の収納部311が形成された包装シート310を含むことができる。
【0117】
この際、それぞれの積層セラミックキャパシタ100は、電子部品整列装置420によって第1及び第2内部電極121、122が水平に整列された状態を維持し、移送装置410によって包装シート310に運搬されることができる。
【0118】
このように運搬された積層セラミックキャパシタ100は、下部カバー層113が収納部311の底面311aに向かうように収納部311に収納されることができる。
【0119】
また、包装シート310の一面には、それぞれの積層セラミックキャパシタ100が収納された収納部311を密封するように覆う包装膜320が付着されることができる。
【0120】
一方、
図9を参照すると、このように形成された包装シート310はリールタイプに連続して巻線して形成されることができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的事項から外れない範囲内で様々な修正及び変形が可能であるということは当技術分野において通常の知識を有する者にとって自明であろう。