(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259079
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】ラッチングシステムを有するプラグコネクター
(51)【国際特許分類】
H01R 13/627 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
H01R13/627
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-523991(P2016-523991)
(86)(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公表番号】特表2016-533619(P2016-533619A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2014072370
(87)【国際公開番号】WO2015055845
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年5月17日
(31)【優先権主張番号】102013111506.3
(32)【優先日】2013年10月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・シュラーダー
【審査官】
板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−027674(JP,A)
【文献】
特開2001−250636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/627
H01R 13/635
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグインコネクター(1)であって、さらなるプラグインコネクター(12)内に収容されると共に前記さらなるプラグインコネクター(12)に対して掛止されるための、ラッチングシステムを備え、前記ラッチングシステムはコネクターハウジング(3)に配置されると共にラッチングラグ(9)を有する少なくとも一つのラッチングタブ(2)を具備し、前記ラッチングタブ(2)は、スプリング力を加えるために前記コネクターハウジング(3)に当接状態で配置することが可能な圧力タブ(8)を有し、
前記ラッチングタブ(2)は、V字形状であり、かつ、外側脚部(4)と、この外側脚部(4)よりも短い内側脚部(5)と、を具備し、
前記内側脚部(5)は、その第1の端部において、接続ブリッジ(6)によって前記コネクターハウジング(3)に対して接続されており、かつ、その第2の端部において、フィルムヒンジ(7)によって前記外側脚部(4)の第2の端部に連結されることを特徴とするプラグインコネクター。
【請求項2】
前記圧力タブ(8)は、前記コネクターハウジング(3)に面する側において前記外側脚部(4)の第1の端部に配置されることを特徴とする請求項1に記載のプラグインコネクター。
【請求項3】
前記ラッチングタブ(2)の前記ラッチングラグ(9)は、前記コネクターハウジング(3)に面する側において、前記内側脚部(5)の第2の端部に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラグインコネクター。
【請求項4】
前記内側脚部(5)は、その第1の端部にラッチング領域(10)を有し、かつ、前記外側脚部(4)は、前記内側脚部(5)に面するその側に、前記内側脚部(5)の前記ラッチング領域(10)に対して掛止するためのラッチングフック(11)を有し、前記圧力タブ(8)は、前記ラッチング領域(10)内に前記ラッチングフック(11)を掛止することによって前記コネクターハウジング(3)に当接状態で配置することが可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプラグインコネクター。
【請求項5】
前記圧力タブ(8)のスプリング力は、前記ラッチングラグ(9)の領域において、前記コネクターハウジング(3)に向って力を加えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラグインコネクター。
【請求項6】
前記圧力タブ(8)は前記内側脚部(5)に向って傾斜させられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のプラグインコネクター。
【請求項7】
前記プラグインコネクター(1)は前記ラッチングシステムと一体的に形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のプラグインコネクター。
【請求項8】
前記ラッチングシステムは複数のラッチングタブ(2)を具備することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のプラグインコネクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さらなるプラグインコネクター内に収容されると共にそれに対して掛止されるための、ラッチングシステムを備えたプラグインコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
電気技術の分野において、ラッチングシステムを有する、さまざまなプラグインコネクターが知られている。この種のプラグインコネクターはベースストリップ内に挿入することができ、かつ、付加的固定具によって、例えばその上に配置あるいは積み重ねることができるラッチングタブによって、ベースストリップに対して掛止されることができる。この種のラッチングタブのラッチング力は、圧力タブの長さおよびピッチを変更することによって変化させることができる。だが、その欠点は、ラッチングタブがプラグインコネクターのハウジングに対して直接連結されず、したがってベースストリップに対してプラグインコネクターを掛止するために、さらなる加工ステップが必要になることである。
【0003】
さらに、ラッチングタブがハウジング上に一体的に配置されるプラグ
インコネクターが知られている。だが、この種のプラグインコネクターに関する問題は、ラッチングタブはプラグインコネクターの射出成形製造プロセスの間に変形することがあり、したがってラッチングタブはベースストリップに対する掛止のために必要な対応するラッチング力を加えることができない、というものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ラッチングシステムを有するこの種のプラグインコネクターを提供することであり、当該コネクターにおいては、ラッチングシステムのラッチング力はプラグインコネクターの製造プロセスによって悪影響を受けない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の
対象事項によって達成される。本発明の有利な展開は従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明によれば、したがって、さらなるプラグインコネクター内に収容されると共にそれに対して掛止されるための、ラッチングシステムを備えたプラグインコネクターが提供され、ラッチングシステムはコネクターハウジングに配置されると共にラッチングラグを有する少なくとも一つのラッチングタブを具備し、ラッチングタブは、スプリング力を加えるためにコネクターハウジングに当接状態で配置することが可能な圧力タブを有することを特徴とする。
【0007】
したがって、ラッチングタブの圧力タブがプラグインコネクターの製造プロセス中にコネクターハウジングに対して既に直接連結されないことが本発明の本質的な態様である。圧力タブは、この圧力タブがコネクターハウジングに当接して配置されるときにだけ、スプリング力を加える。このようにして、プラグインコネクターの製造プロセスの間、圧力タブは、ラッチングタブのその後のスプリング力にとって問題となるプレストレスにさらされない。さらに、圧力タブは、ラッチングタブによって加えられる計画されたラッチング力に依存して、生産プロセスの間、調整することができる。
【0008】
本発明の別の好ましい展開によれば、ラッチングタブがV字形状でありかつ外側脚部と、この外側脚部よりも短い内側脚部とを具備する構成が提供される。
【0009】
さらに、本発明の別な好ましい展開によれば、内側脚部は、その第1の端部において、接続ブリッジによってコネクターハウジングに対して接続され、かつ、その第2の端部において、フィルムヒンジによって外側脚部の第2の端部に連結される構成が提供される。
【0010】
本発明の別な好ましい展開によれば、圧力タブが、コネクターハウジングに面する側において外側脚部の第1の端部に配置される構成が提供される。
【0011】
さらに、本発明の別な好ましい展開によれば、圧力タブのラッチングラグが、コネクターハウジングに面する側において内側脚部の第2の端部に配置される構成が提供される。
【0012】
本発明の別な好ましい展開によれば、内側脚部が、その第1の端部にラッチング領域を有し、かつ、外側脚部が、内側脚部に面するその側に、内側脚部のラッチング領域に対して掛止するためのラッチングフックを有し、圧力タブは、ラッチング領域内にラッチングフックを掛止することによってコネクターハウジングに当接状態で配置することが可能である構成が提供される。このようにして、圧力タブのスプリング力は、ラッチング領域に掛止されるラッチングフックによってのみ加えられる。したがって、ラッチングシステムを備えたプラグインコネクターが提供され、このコネクターにおいては、ラッチングシステムのラッチング力はより後の時点でのみ作用させることができる。これは、特に、ラッチングシステムを備えたプラグインコネクターの製造プロセスに関係がある。なぜなら、とりわけ、温度依存方法ステップは、スプリング力によって達成可能なラッチングタブのプレストレッシングに大きな影響を与えないからである。
【0013】
このコンテクストにおいては、本発明の別な好ましい展開によれば、外側脚部の内面はラッチングフックがラッチング領域に掛止するとき内側脚部に当接する。このようにして、外側脚部と内側脚部との間で力を伝達することができる。
【0014】
さらに、本発明の別な好ましい展開によれば、圧力タブのスプリング力がラッチングラグの領域において、コネクターハウジングに向って力を加える構成が提供される。このようにして、ラッチングラグはコネクターハウジングに対して押圧され、この結果、ラッチングシステムのラッチング効果が増大する。
【0015】
本発明の別な好ましい展開によれば、圧力タブは内側脚部に向って傾斜させられ、かつ、外側脚部の軸線に関して約30°と約60
°の間の角度をなす。このようにして、圧力タブの傾斜角度を変更することによってツールにて圧力タブのスプリング力を調整することができる。圧力タブのスプリング力を調整するために傾斜角度を変更することと同様、圧力タブのスプリング力はまた圧力タブの長さを変更することによっても調整できる。
【0016】
さらに、本発明の別な好ましい展開によれば、ラッチングタブを、圧力タブのスプリング力と反対方向に作用する力によってラッチングラグの領域においてコネクターハウジングから離れる方向に移動させることができる構成が提供される。このようにして、さらなるプラグインコネクター内に挿入されると共にさらなるプラグインコネクターに対して掛止されるプラグインコネクターの掛止は、プラグインコネクターを、さらなるプラグインコネクターから分離させることができるように解放される。
【0017】
本発明の別な好ましい展開は、プラグインコネクターがラッチングシステムと一体的に形成されることである。このようにして、ラッチングシステムを備えたプラグインコネクターが提供されるが、このコネクターにおいては、ラッチングシステムのラッチング力はプラグインコネクターの製造プロセスによって悪影響を受けることがなく、さらに、さらなるプラグインコネクター内にプラグインコネクターを挿入することに加えて、掛止のためにさらなる作業ステップは必要とされない。
【0018】
最後に、本発明の別な好ましい展開によって提供されるのは、ラッチングシステムが複数のラッチングタブを備えることである。このようにして、さらなるプラグインコネクターに対するプラグインコネクターの特に確実な掛止が実現される。
【0019】
以下、図面を参照しながら好ましい実施形態に基づいて本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるV字形状ラッチングタブを有するプラグインコネクターの斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態によるコネクターハウジングに当接状態で配置された圧力タブを有するコネクターの平面図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態によるさらなるプラグインコネクター内に収容されると共にそれに対して掛止されるためのプラグインコネクターの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1はラッチングシステムを備えたプラグインコネクター1を示しており、このラッチングシステムは第1のラッチングタブ2およびこの第1のラッチングタブ2と同一の第2のラッチングタブ2を具備する。第1のラッチングタブ2および第2のラッチングタブ2は同一であり、かつ、第1のラッチングタブ2および第2のラッチングタブ2はプラグインコネクター1のコネクターハウジング3に対称的に配置されるので、ラッチングシステムの設計を一方のラッチングタブ2に基づいて説明する。
【0022】
ラッチングタブ2はV字形状であり、かつ、外側脚部4と、この外側脚部4よりも短い内側脚部5とを備える。内側脚部5は、その第1の端部において、接続ブリッジ6によってコネクターハウジング3に対して接続され、かつ、その第2の端部において、フィルムヒンジ7によって外側脚部4の第2の端部に対して連結される。
【0023】
外側脚部4は、コネクターハウジング3に面するその側に、内側脚部5に向って傾斜させられた圧力タブ8を有する。圧力タブの傾斜角度は外側脚部4の軸線に関して約30°である。
【0024】
さらなるプラグインコネクター12(
図1には示していない)に対して掛止するためのラッチングラグ9が、コネクターハウジング3に面する側において内側脚部5の第2の端部に配置されていることがさらに分かる。加えて、内側脚部5はその第1の端部にラッチング領域10を有すると共に、外側脚部4は、内側脚部に面するその側に、内側脚部5のラッチング領域10に対して掛止するためのラッチングフック11を有する。
【0025】
図2に示すように、外側脚部4のラッチングフック11は、内側脚部5の第1の端部においてラッチング領域10に対して掛止される。このようにして、外側脚部4の第1の端部に配置された圧力タブ8は、コネクターハウジング3に当接状態で配置される。
【0026】
ラッチングフック11がラッチング領域10に対して掛止する結果として、外側肢4の内側は内側肢5に接触することがさらに分かる。このようにして、コネクターハウジング3に当接状態で圧力タブ8を配置することによって生み出される圧力タブ8のスプリング力は、外側脚部4およびラッチング領域10に対して掛止されたラッチングフック11によって、ラッチングラグ9の範囲まで内側脚部5に対して伝達される。
【0027】
コネクターハウジング3に対して内側脚部4を接続するための接続ブリッジ6はピボットポイントとして機能し、したがって圧力タブ8によって加えられるスプリング力はラッチングラグ9の領域においてコネクターハウジング3に向って力を加える。
【0028】
図3は、さらなるプラグインコネクター12内に収容されると共にそれに対して掛止されるためのラッチングシステムを備えたプラグインコネクター1を示している。各ラッチングタブ2の圧力タブ8はコネクターハウジング3に当接する。圧力タブ8によって加えられるスプリング力は、ラッチングラグ9の領域においてコネクターハウジング3に向う力を発生させる。さらなるプラグインコネクター12内にプラグインコネクター1を挿入することによって、
図2に示すラッチングラグ9は、さらなるプラグインコネクター12における対応するリセス13内に掛止する。
【0029】
外側から外側脚部4の第1の端部に対して加えられると共に圧力タブ8によって加えられるスプリング力に対して反対方向に作用する力によって、ラッチングタブ2は、ラッチングラグ9の領域においてコネクターハウジング3から離れるように移動させることができる。このようにして、プラグインコネクター1をさらなるプラグインコネクター12から分離させることができるように、さらなるプラグインコネクター12内に挿入されかつさらなるプラグインコネクター12に対して掛止されたプラグインコネクター1のラッチングは解放される。
【符号の説明】
【0030】
1 プラグインコネクター
2 ラッチングタブ
3 コネクターハウジング
4 外側脚部
5 内側脚部
6 接続ブリッジ
7 フィルムヒンジ
8 圧力タブ
9 ラッチングラグ
10 ラッチング領域
11 ラッチングフック
12 さらなるプラグインコネクター
13 リセス