特許第6259087号(P6259087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259087
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/04 20060101AFI20171227BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   H02K9/04 A
   H02K5/20
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-534047(P2016-534047)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2014069072
(87)【国際公開番号】WO2016009531
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2016年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 勧也
(72)【発明者】
【氏名】川島 琢也
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−252563(JP,A)
【文献】 特開平8−9594(JP,A)
【文献】 実開昭62−107546(JP,U)
【文献】 特開2007−174824(JP,A)
【文献】 特開2003−218295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/04
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反出力軸側端部から出力軸側に向かって延伸する冷却用のフィンを外周面に複数備えるハウジングと、
前記ハウジングの反出力軸側に設けられる冷却用のフィンを、外表面に複数備えるエンドブラケットと、
反出力軸側の中心位置に配置される冷却用のファンと、
前記ファンからの冷却風が前記ハウジング側へ向かうように傾斜が施されたファンカバーと、
を有する回転電機であって、
前記ハウジング外周面のフィンの数と、前記エンドブラケット外表面のフィンの数とは、同数であり、
前記エンドブラケットの外表面の複数のフィンは、内周側では、旋回流である前記ファンからの冷却風の風向に沿う角度で配置され、また、外周部では、端部断面が、前記ハウジング外周面のフィンの反出力軸側端部断面と、間隙無く或いは間隙を少なく対向する回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記エンドブラケット外表面のフィンが、内周側から外周側へ向かい直線形状をなし、ある点で屈折し、外周側へ向かい直線状に形成された回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記エンドブラケット外表面のフィンが、内周側から外周側に向かうにつれて滑らかに湾曲し、ある点より外周側へ向かい直線状に形成された回転電機。
【請求項4】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記エンドブラケットの外表面の複数のフィンの外周側端部近傍の厚みと、前記ハウジング外周面の複数のフィンの反出力軸側近傍の厚みとが、略同一である回転電機。
【請求項5】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記冷却用のファンが、他励ファンである回転電機。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機であって、
前記他励ファンが、前記ファンカバーに取り付けられている回転電機。
【請求項7】
反出力軸側端部から出力軸側に向かって延伸する冷却用のフィンを外周面に複数備えるハウジングと、
前記ハウジングの反出力軸側に設けられるエンドブラケットと、
反出力軸側の中心位置に配置される冷却用のファンと、
前記ファンからの冷却風が前記ハウジング側へ向かうように傾斜が施され、また内面に複数のフィンを備えたファンカバーと、
を有する回転電機であって、
前記ファンカバー内面のフィンの数と前記ハウジング外周面のフィンの数とは、同数であり、
前記ファンカバーの内面の複数のフィンは、内周側では、旋回流である前記ファンからの冷却風の風向に沿う角度で配置され、また、外周側では、フィンの端部断面が、前記ハウジング外周面のフィンの反出力軸側端部断面と、間隙無く或いは間隙を少なく対向する回転電機。
【請求項8】
請求項7に記載の回転電機であって、
前記ファンカバー内面のフィンが、内周側から外周側へ向かい直線形状をなし、ある点で屈折し、外周側へ向かい直線状に形成された回転電機。
【請求項9】
請求項7に記載の回転電機であって、
前記ファンカバーの内面のフィンが、内周側から外周側に向かうにつれて滑らかに湾曲し、ある点より外周側へ向かい直線状に形成された回転電機。
【請求項10】
請求項7に記載の回転電機であって、
前記ファンカバー内面のフィンの外周側端部近傍の厚みと、前記ハウジング外周面の複数のフィンの反出力軸側近傍の厚みとが、略同一である回転電機。
【請求項11】
請求項7に記載の回転電機であって、
前記冷却用のファンが、他励ファンである回転電機。
【請求項12】
請求項11に記載の回転電機であって、
前記他励ファンが、前記ファンカバーに取り付けられている回転電機。
【請求項13】
反出力軸側端部から出力軸側に向かって延伸する冷却用のフィンを外周面に複数備えるハウジングと、
前記ハウジングの反出力軸側に設けられる、冷却用のフィンを外表面に複数備えるエンドブラケットと、
反出力軸側の中心位置に配置される冷却用のファンと、
前記ファンからの冷却風が前記ハウジング側へ向かうように傾斜が施され、また内面に複数のフィンを備えたファンカバーと、
を有する回転電機であって、
前記ハウジング外周面のフィンの数と、前記ファンカバーの内面のフィンの数と、前記エンドブラケット外表面のフィンの数とは、同数であり、
前記ファンカバー内面の複数のフィンが、内周側では、旋回流である前記ファンからの冷却風の風向に沿う角度で配置され、
前記ファンカバー内面のフィンの外周側端部断面と、前記エンドブラケット外表面のフィンの内周側端部断面とが、間隙無く或いは間隙を少なく対向し、
また、外周側において、前記エンドブラケット外表面のフィンの外周側端部断面と、前記ハウジング外周面のフィンの反出力軸側端部断面とが、間隙無く或いは間隙を少なく対向する回転電機。
【請求項14】
請求項13に記載の回転電機であって、
前記ファンカバーの内面のフィンと、前記エンドブラケット外表面のフィンとで構成されるフィン体が、内周側から外周側へ向かい直線形状をなし、ある点で屈折し、外周側へ向かい直線状に形成された回転電機。
【請求項15】
請求項13に記載の回転電機であって、
前記ファンカバーの内面のフィンと、前記エンドブラケット外表面のフィンとで構成されるフィン体が、内周側から外周側に向かうにつれて滑らかに湾曲し、ある点より外周側へ向かい直線状に形成された回転電機。
【請求項16】
請求項13に記載の回転電機であって、
前記ファンカバー内面のフィンの外周側端部近傍の厚みと、前記エンドブラケット外表面の複数のフィンの内周側端部近傍の厚みとが、略同一であり、
前記エンドブラケット外表面の複数のフィンの外周側端部近傍の厚みと、前記ハウジング外周面の複数のフィンの反出力軸側端部近傍の厚みとが、略同一である回転電機。
【請求項17】
請求項13に記載の回転電機であって、
前記冷却用のファンが、他励ファンである回転電機。
【請求項18】
請求項17に記載の回転電機であって、
前記他励ファンが、前記ファンカバーに取り付けられている回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に係り、回転電機の外面に冷却風を案内する冷却構造を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、大出力化や大トルク化を実現しようとする場合、その体格は一般的に大型化する傾向にある。回転電機の大型化に伴い、回転電機の組み込まれる機械側装置においても大型化が必要になるため、装置の設置スペースの制約や高コスト化などの課題が生じる。
【0003】
回転電機においては、駆動状態で負荷印加より発生する銅損や鉄損などの損失を起因として、回転電機内部で熱が発生し、熱伝導によりハウジング表面より放熱される。このハウジング表面の排熱を迅速に行なうことにより、同一出力での小型化が可能となり、低コスト化が図れる。また、同一体格とした場合は、高出力化や大トルク化が可能となる。永久磁石型回転電機においては、回転電機内部の温度上昇が抑制されることから、永久磁石の温度上昇が抑制され、永久磁石の永久減磁に対する耐量が拡大するため、永久磁石の薄型化が可能となり、更なる低コスト化が図れる。
【0004】
ハウジング表面の排熱に対する冷却効率の向上のために、冷却ファンがしばしば採用される。冷却ファンを用いた冷却構造の一例として、特許文献1がある。特許文献1には、反出力軸側の中心位置に冷却ファンを設けるとともに、エンドブラケット外表面に径方向に放射状に延びる複数のフィンを設け、冷却ファンから吐き出される冷却風を整流し、ハウジング側へ効率良く導くことで、冷却効率を向上させる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−37871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の冷却構造は、反出力軸側の中心位置に設けられる冷却用ファンが自励ファンであるため、モータ軸の回転方向が時計方向、反時計方向のいずれに対しても冷却性能が同一となるように、エンドブラケット外表面に設けられる複数のフィンは回転軸から放射状に対称配置となっている。そのため、自励ファンより吐き出される冷却風は旋回流であることから、中心を同じとし内周側から外周側へ直線状に伸びるエンドブラケット外表面のフィンに、冷却風が衝突し、すなわち、フィンが通風抵抗となり、冷却風の風速が低下してしまう。
【0007】
また、特許文献1に記載の冷却構造では、エンドブラケット外表面に設けられている複数のフィンが、連結するハウジング外周面のフィンに対して、一つおきに配置されている。そのため、エンドブラケット外表面のフィンと連結されていないハウジング外周面のフィンの端部と冷却ファンからの冷却風とが衝突することで乱流が生じ、冷却風が相互に干渉するため、冷却風をモータ本体側へ効率良く導くことができない。
【0008】
本発明は、より効率良く回転電機の冷却を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、反出力軸側端部から出力軸側に向かって延伸する冷却用のフィンを外周面に複数備えるハウジングと、前記ハウジングの反出力軸側に設けられる冷却用のフィンを、外表面に複数備えるエンドブラケットと、反出力軸側の中心位置に配置される冷却用のファンと、前記ファンからの冷却風が前記ハウジング側へ向かうように傾斜が施されたファンカバーと、を有する回転電機であって、前記ハウジング外周面のフィンの数と、前記エンドブラケット外表面のフィンの数とは、同数であり、前記エンドブラケットの外表面の複数のフィンは、内周側では、旋回流である前記ファンからの冷却風の風向に沿う角度で配置され、また、外周側では、端部断面が、前記ハウジング外周面のフィンの反出力軸側端部断面と、間隙無く或いは間隙を少なく対向する回転電機である。
【0010】
また、他の一例を挙げるならば、反出力軸側端部から出力軸側に向かって延伸する冷却用のフィンを外周面に複数備えるハウジングと、前記ハウジングの反出力軸側に設けられるエンドブラケットと、反出力軸側の中心位置に配置される冷却用のファンと、前記ファンからの冷却風が前記ハウジング側へ向かうように傾斜が施され、また内面に複数のフィンを備えたファンカバーと、を有する回転電機であって、前記ファンカバー内面のフィンの数と前記ハウジング外周面のフィンの数とは、同数であり、前記ファンカバーの内面の複数のフィンは、内周側では、旋回流である前記ファンからの冷却風の風向に沿う角度で配置され、また、外周側では、フィンの端部断面が、前記ハウジング外周面のフィンの反出力軸側端部断面と、間隙無く或いは間隙を少なく対向する回転電機である。
【0011】
また、他の一例を挙げるならば、反出力軸側端部から出力軸側に向かって延伸する冷却用のフィンを外周面に複数備えるハウジングと、前記ハウジングの反出力軸側に設けられる、冷却用のフィンを外表面に複数備えるエンドブラケットと、反出力軸側の中心位置に配置される冷却用のファンと、前記ファンからの冷却風が前記ハウジング側へ向かうように傾斜が施され、また内面に複数のフィンを備えたファンカバーと、を有する回転電機であって、前記ハウジング外周面のフィンの数と、前記ファンカバーの内面のフィンの数と、前記エンドブラケット外表面のフィンの数とは、同数であり、前記ファンカバー内面の複数のフィンが、内周側では、旋回流である前記ファンからの冷却風の風向に沿う角度で配置され、前記ファンカバー内面のフィンの外周側端部断面と、前記エンドブラケット外表面のフィンの内周側端部断面とが、間隙無く或いは間隙を少なく対向し、また、外周側において、前記エンドブラケット外表面のフィンの外周側端部断面と、前記ハウジング外周面のフィンの反出力軸側端部断面とが、間隙無く或いは間隙を少なく対向する回転電機である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転電機の冷却効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用した実施例1のエンドブラケット外表面のフィンを示す図である。
図2】実施例1の回転電機を示す側面図である。
図3A】実施例1における冷却風の流れを示す図である。
図3B】実施例1における冷却風の流れを示す図である。
図4】本発明を適用した実施例2の回転電機を示す側面図である。
図5】本発明を適用した実施例3の回転電機を示す側面図である。
図6A】エンドブラケット外表面に施すフィン形状の変形例を示す図である。
図6B】ファンカバー内面に施すフィン形状の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。なお、実施の形態を説明するための各図において、同一の機能を有する要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0015】
本発明を適用した実施例1の回転電機を、図1および図2に示す。図1は、反出力軸側のエンドブラケット3の表面部分を、反出力軸側から見た図である。また、図2は、実施例1の回転電機の側面図を示す。
【0016】
実施例1の回転電機は、ハウジング5と、出力軸である回転軸7を備えており、ハウジング5の外周面には、出力軸と平行に延びる複数のフィン6が設けられている。フィン6は、例えばハウジングの外周面から径方向に放射状に設けられている。なお、複数のフィンは出力軸に対して螺旋状に延びていてもよい。ハウジング5の反出力軸側には、エンドブラケット3が取り付けられており、エンドブラケット3の外表面には、軸心側を中心としてハウジング5の外周側に向かって放射状の傾斜が設けられる。即ちエンドラケット3の外表面は、概略円錐台の形状を有する。この為、出力軸方向に向かってエンドブラケット3に流れる冷却風が、ハウジング外周に流れやすくなっている。なお、エンドブラケット3の外表面の形状は、多角錐台、半球形又は漏斗形状であってもよく、円錐台に限定されるものではない。
【0017】
エンドブラケット3の外表面には、内周側から外周側へ延びる複数のフィン4が配置される。フィン4の数は、ハウジング5の外周面に設けられたフィン6の数と同数である。フィン4は、エンドブラケット3の中央側の端部よりも外周側端部側が左右何れかの回転方向に傾斜して設けられる。傾斜する方向は、後述するファンから送風される旋回風の旋回方向に一致する(本例の場合、外周側端部が右回転方向に傾斜。)。また、フィン4の外周側の最端部はエンドブラケット3の中心からの放射延長線と夫々並行になる様に形成される。フィン4は、この並行部分の外周側端部断面と、ハウジング5外周上のフィン6のエンドブラケット側端部断面とが間隙無く或いは間隙を少なく対向するようになっており、両端部断面が近接又は接触するように構成される。即ち端部断面同士が対向するフィン4、6の組の間に、エンドブラケット3の内周側からハウジング5の外周に向かって連続する流路が形成されるようになっている。
【0018】
また、フィン4の少なくともフィン6に対向する端部断面付近のフィン幅(厚さ)は、フィン6の端部断面のフィン幅(厚さ)以上であることが好ましく、両者が同幅であればなお好ましい。端部断面の対向部分において、冷却風8の抵抗となる要素(段差や隙間)を無くす為である。
【0019】
回転軸7の反出力軸側延長方向には、冷却風8を生成する他励ファン1がファンカバー2に支持されて配置される。他励ファンとは、ファン中央が回転軸7に接続されて、回転軸7と共回りすることで冷却風を生成する自励ファンとは異なり、回転電機とは別のモータ等により駆動されるファンである。他励ファン1が生成する冷却風は旋回流である(本例では、エンドブラケット3に対して右旋回である。)。なお、本発明は他励ファンに限定されるものではなく自励ファンであってもよく、エンドブラケット3に対して旋回流となる冷却風を生成するものが好適である。
【0020】
ファンカバー2は、エンドブラケット3の外表面、フィン4及びフィン6の反出力軸側付近全体を覆う概略凹椀の内周形状を有する。また、ファンカバー2の内周の一部には、環状の直線部分からなる傾斜が設けられており、ファンカバー2の回転軸7延長線方向中央部分に設置された他励ファン1からの冷却風8が、ハウジング5の外周面に案内されるようになっている。なお、本実施例では鉄やアルミ等の金属性のファンカバー2を例示するが、樹脂等であってもよい。
【0021】
ここで、図2に示すように、フィン4の外周側且つ反出力軸方向の角は、ファンカバー2内周の傾斜と概略並行に切り欠かかれた形状を有し、ファンカバー2を回転電機に設置した際、この切欠き部分の頭頂部と、ファンカバー2の傾斜部分とが近接又は接触するように構成されている。
【0022】
次に、冷却風8の流れを、図3Aおよび図3Bにより説明する。図3Aは、エンドブラケット3の表面部分を、反出力軸側から見た図であり、図3Bは、回転電機を側面から見た図である。ファン1から旋回状に吐き出される冷却風8は、内周側において、冷却風8の風向に沿うように配置されたエンドブラケット3の外表面のフィン4に沿って流れる。また、ファンカバー2に施された傾斜と冷却風8が吹き付けられるエンドブラケット3の外表面の傾斜により、冷却風8はエンドブラケット3の外周側へ導かれる。エンドブラケット3の外周側に導かれた冷却風8は、ファンカバー2と、エンドブラケット3の外周側およびハウジング4の外周面との隙間を滑らかに通過し、ハウジング5側へ吐き出される。
【0023】
エンドブラケット3に送風される冷却風8は旋回風である。フィン4は、旋回風の旋回方向に向かって外周側が傾斜することから、フィン4に対して衝突する冷却風の直進成分がフィン4の傾斜分だけ減衰されることなく外周側に進行する。即ち風圧を保持したまま外周側に進行する。エンドブラケット3の表面及びハウジング5の表面を進行する冷却風の風量が大となり、冷却効率が向上する。
【0024】
更に、フィン4と、フィン6との端部断面同士が、近接又は接触するように、間隙無く或いは間隙を少なく対向して配置されることから、両者によって確保された流路が、風量が大となった冷却風の拡散や乱流の発生を防止し、より効率良く冷却風8をハウジング5の外周まで流通させることができる。
【0025】
更に、フィン4が外周側に向かって傾斜することから、エンドブラケット3の中心から放射直線状に形成される場合に比してフィン長が長くなり、エンドブラケット3の放熱要素(フィン4及びエンドブラケット3外表面)が増加するという効果もある。
【0026】
そして、フィン4及び6による冷却効率の向上作用によって、他励ファン1の省電力化や小型化も期待することができる。即ち本実施例の構成を適用しない回転電機に比して、本実施例の回転電機では、エンドブラケット3やハウジング4の表面を流通する風量が増加する。従って、他励ファン1のサイズダウン等も可能となる。
【0027】
なお、本実施例では、エンドブラケット3の形状を概略錐台形状とし、冷却風の流通効率を向上させているが、例えば、回転電機がサーボモータである場合には、反出力軸側のエンドブラケット3側に回転数等を計測するエンコーダ等が内蔵される場合がある。錐台形状のエンドブラケット3内部を、エンコーダ内蔵空間とする構成も可能である。特に、エンコーダを必要とする構成では、反出力軸側に自励ファンを設置することができず、他励ファンによる冷却構造を取ることもある。本実施例の構成をサーボモータに適用することは、エンコーダの設置構成や空間を維持しつつ冷却効率を向上させることができ、特に好適な適用例の1つであると言える。
【実施例2】
【0028】
本発明を適用した実施例2の回転電機を、図4に示す。実施例1では、反出力軸側のエンドブラケット3の外表面にフィン4を設ける構成としたが、実施例2ではエンドブラケット3の外表面ではなく、他励ファン1が取り付けられるファンカバー2の内面に複数のフィン9を設けることを特徴の一つとする。
【0029】
フィン9は、ファンカバー2内面の内周側から、ハウジング5の外周面のフィン6に対応する位置まで形成されている。フィン9の数は、ハウジング5の外周面に設けたフィン6の数と同数である。
【0030】
ファンカバー2の内面に設けるフィン9は、内周側において、他励ファン1より旋回状に吐き出される冷却風8の風向に沿う角度で配置される。そして、フィン9は、内周側から外周側へ向かい直線形状を成し、ある点、例えばハウジング5の外周面の位置、で屈折し、外周側へ向かい直線状に設けられている。
【0031】
そして、実施例1のフィン4と同様に、フィン9の外周最端部断面と、フィン6の端部断面とは、近接又は接触するように、間隙無く或いは間隙を少なく対向して構成されている。
【0032】
実施例2の構造とすることにより、実施例1と同様の効果が得られ、冷却風8とフィン9との衝突を緩和することができ、また、冷却風8がハウジング5の外周面のフィン6の端部へ衝突することにより発する乱流を抑制することができ、滑らかにハウジング側へ冷却風8を導くことができ、回転電機の冷却効率を向上することができる。
【0033】
また、ファンカバー2にフィン9を設けることにより、他励ファン1の近くからフィンを設けることができ、冷却風の整流効果が向上する。
【0034】
また、実施例1のフィン4に比して、実施例2のフィン9自体が放熱要素としての機能は要求されない分、ファンカバー2を樹脂等で安価に製造しやすくなるとも言える。回転電機の冷却効率を向上させつつ製造上のコストや軽量化メリットも期待できる。
更に、ファンカバー2にフィン9を設け、他励ファン1を取り付けて一体化することにより、回転電機の製造、組み立て面のメリットも期待できる。
【実施例3】
【0035】
本発明を適用した実施例3の回転電機を、図5に示す。実施例3では、反出力軸側のエンドブラケット3の外表面に複数のフィン4が設けられ、また反出力軸の中心に位置する他励ファン1が取り付けられるファンカバー2の内面に複数のフィン9が設けられている。フィン4およびフィン9の数は、ハウジング5の外周面に設けたフィン6の数と同数である。
【0036】
ファンカバー2の内面に設けるフィン9は、内周側において、他励ファン1より旋回状に吐き出される冷却風8の風向に沿う角度で配置される。そして、ファンカバー2の内面に形成されるフィン9の端部断面と、エンドブラケット3の外表面に形成されるフィン4の端部断面とは、近接又は接触するように、間隙無く或いは間隙を少なく対向して構成されている。フィン9とフィン4とで構成されるフィン体は、内周側から外周側へ向かい直線形状を成し、ある点、例えばハウジング5の外周面の位置、で屈折し、外周側へ向かい直線状に形成されている。そして、エンドブラケット3の外周部において、それぞれのフィン4の端部断面が対応するハウジング外周面のフィン6の端部断面と、近接又は接触するように、間隙無く或いは間隙を少なく対向して構成されている。
【0037】
実施例3の構造とすることにより、実施例1もしくは実施例2と同様の効果が得られ、冷却風8とファンカバー2の内面のフィン9もしくはエンドブラケット3の外表面のフィン4との衝突を緩和することができる。また、フィン9とフィン4との連結部、フィン4とフィン6との連結部における乱流の発生を抑制することができ、滑らかにハウジング側へ冷却風8を導くことができ、回転電機の冷却効率を向上することができる。
【0038】
また、ファンカバー2にフィン9を設けることにより、実施例2と同様に、他励ファン1の近くからフィンを設けることができ、冷却風の整流効果が向上する。
【実施例4】
【0039】
実施例4は、フィン4或いはフィン9の形状を、実施例1或いは実施例2とは、変えたものである。図6Aは、反出力軸側から見たエンドブラケット外表面に施すフィン形状の変形例を示す図であり、図6Bは、出力軸側から見たファンカバー内面に施すフィン形状の変形例を示す図である。
【0040】
図6Aにおいて、エンドブラケット3の外表面のフィン4の形状は、内周側では冷却風の旋回方向に沿うように配置し、内周側から外周側に向かうにつれて滑らかに湾曲させ、ある点、例えばハウジングの外周に対応する位置よりエンドブラケット3の外周側に向かい直線状に形成する。
【0041】
また、図6Bにおいて、ファンカバー2の内面のフィン9の形状は、内周側では冷却風の旋回方向に沿うように配置し、内周側から外周側に向かうにつれて滑らかに湾曲させ、ある点、例えばハウジングの外周に対応する位置よりエンドブラケット3の外周側に向かい直線状に形成する。
【0042】
本実施例では、エンドブラケット3の外表面のフィン4、或いは、ファンカバー2の内面のフィン9が、内周側から外周に向かうにつれて滑らかに湾曲しているので、冷却風をより滑らかにハウジング側に導くことができ、回転電機の冷却効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 他励ファン
2 ファンカバー
3 エンドブラケット
4 エンドブラケット外表面のフィン
5 ハウジング
6 ハウジング外周面のフィン
7 回転軸(出力軸)
8 他励ファンからの冷却風
9 ファンカバー内面のフィン
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B