特許第6259121号(P6259121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6259121無線ネットワーク条件に基づく計画的移動の調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259121
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】無線ネットワーク条件に基づく計画的移動の調整
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20171227BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20171227BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20171227BHJP
   H04W 48/20 20090101ALI20171227BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20171227BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20171227BHJP
   B64C 39/02 20060101ALN20171227BHJP
【FI】
   G05D1/10
   H04W4/04 150
   H04W48/16 132
   H04W48/16 135
   H04W48/20
   G01C21/26 Z
   G08G5/00 A
   !B64C39/02
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-562763(P2016-562763)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公表番号】特表2017-528931(P2017-528931A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】SE2015051335
(87)【国際公開番号】WO2016190793
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2017年2月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンステット, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】イェンソン, トマス
(72)【発明者】
【氏名】オークヴィスト, ペータル
(72)【発明者】
【氏名】アーングレン, トミ
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0142787(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0143499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/10
B64C 39/02
H04W 4/04
G01C 21/26
G08G 5/00
H04W 48/16
H04W 48/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時に前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)にサービス要件を有するアプリケーション(26)のために通信しているワイヤレス送受信機(28)の移動を調整するための移動調整デバイス(32)であって、前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)は、セル(14、16、18、20)を備え、前記移動調整デバイス(32)は、コンピュータ命令に従って動作するプロセッサ(34)を備え、前記コンピュータ命令により前記移動調整デバイス(32)は、
前記ワイヤレス送受信機(28)が位置する現在のセル(14)、および前記ワイヤレス送受信機(28)が移動し得る複数の隣接セル(16、18、20)を備えるセル(14、16、18、20)のグループに関する無線ネットワーク条件データを取得し、
無線ネットワーク条件データを取得するとき、前記ワイヤレス送受信機(28)から前記隣接セル(16、18、20)に送信されるリソース要求への応答に基づいて前記隣接セルの負荷を推定し、前記負荷推定を前記無線ネットワーク条件データに含まれるセル負荷データとして提供し、
前記アプリケーション(26)の前記サービス要件を達成することに関して前記セル負荷データで規定されたセル負荷を評価することにより、前記無線ネットワーク条件データを分析し、
前記分析が、この調整は前記サービス要件の前記達成を改善するであろうと示す場合、前記現在のセルの後の前記ルートに沿った前記セル負荷が前記調整後に前記調整前よりも低くなるよう前記計画的移動の調整を行う
ように動作可能である、移動調整デバイス(32)。
【請求項2】
前記計画的移動を調整するように動作可能であるとき、前記ルートが通過する前記セルを変更するように動作可能である、請求項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項3】
セルの前記変更は、垂直方向の変更を含む、請求項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項4】
計画的移動の前記調整を、前記アプリケーション(26)が操作されるミッションのミッション制約に基づかせるようにさらに動作可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項5】
前記無線ネットワーク条件データは、統計セル負荷データを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項6】
前記計画的移動の調整を行うように動作可能であるとき、前記ルート内でセルが通過される時間を変更するために前記ワイヤレス送受信機が移動する速度を調整するように動作可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項7】
変更されるか変更されないかに関わらず、いかなる移動によっても前記サービス要件が達成され得ない場合、前記サービス要件を変更するようにさらに動作可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項8】
前記ワイヤレス送受信機(28)を備える機体(24)の一部として提供される、請求項1から7のいずれか一項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項9】
遠隔操作センター(22)の一部として提供される、請求項1から7のいずれか一項に記載の移動調整デバイス(32)。
【請求項10】
ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時に前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)にサービス要件を有するアプリケーション(26)のために通信しているワイヤレス送受信機(28)の移動を調整する方法であって、前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)はセル(14、16、18、20)を備え、前記方法は、移動調整デバイス(32)において実行され、
前記ワイヤレス送受信機(28)が位置する現在のセル(14)、および前記ワイヤレス送受信機(28)が移動し得る複数の隣接セル(16、18、20)を備えるセルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得すること(44、50、52、54)と、
無線ネットワーク条件データを取得するとき、前記ワイヤレス送受信機(28)から前記隣接セル(16、18、20)に送信されるリソース要求への応答に基づいて前記隣接セル(16、18、20)の前記負荷を推定し、前記負荷推定を前記無線ネットワーク条件データに含まれるセル負荷データとして提供することと、
前記アプリケーション(26)の前記サービス要件を達成することに関して前記セル負荷データで規定されたセル負荷を評価することにより、前記無線ネットワーク条件データを分析すること(46、58)と、
前記分析が、この調整は前記サービス要件の前記達成を改善するであろうと示す場合、前記現在のセルの後の前記ルートに沿った前記セル負荷が前記調整後に前記調整前よりも低くなるよう前記計画的移動の調整を行うこと(48、70)とを備える、方法。
【請求項11】
前記計画的移動の調整の前記実行は、前記ルートが通過する前記セルを変更することを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
セルの前記変更は、垂直方向にセルを変更することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
計画的移動の前記調整を、前記アプリケーションが操作されるミッションのミッション制約にも基づかせることをさらに備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記無線ネットワーク条件データは、統計セル負荷データを備える、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記計画的移動の調整の前記実行は、前記ルート内でセルが通過される時間を変更するために前記ワイヤレス送受信機が移動する速度を調整することを備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
変更されるか変更されないかに関わらず、いかなる移動によっても前記サービス要件が達成され得ない場合、前記サービス要件を変更すること(68)をさらに備える、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時に前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)にサービス要件を有するアプリケーション(26)のために通信しているワイヤレス送受信機(28)の移動を調整するための移動調整デバイス(32)であって、前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)はセル(14、16、18、20)を備え、前記移動調整デバイス(32)は、
前記ワイヤレス送受信機が位置する現在のセル(14)、および前記ワイヤレス送受信機(28)が移動し得る複数の隣接セル(16、18、20)を備えるセルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得するための手段(38)と、
無線ネットワーク条件データ取得するとき、前記ワイヤレス送受信機(28)から前記隣接セル(16、18、20)に送信されるリソース要求への応答に基づいて前記隣接セル(16、18、20)の前記負荷を推定し、前記負荷推定を前記無線ネットワーク条件データに含まれるセル負荷データとして提供するための手段と、
前記アプリケーション(26)の前記サービス要件を達成することに関して前記セル負荷データで規定されたセル負荷を評価することにより、前記無線ネットワーク条件データを分析するための手段(40)と、
前記分析が、この調整は前記サービス要件の前記達成を改善するであろうと示す場合、前記現在のセルの後の前記ルートに沿った前記セル負荷が前記調整後に前記調整前よりも低くなるよう前記計画的移動の調整を行うための手段(42)とを備える、移動調整デバイス(32)。
【請求項18】
ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時に前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)にサービス要件を有するアプリケーション(26)のために通信しているワイヤレス送受信機(28)の移動を調整するためのコンピュータプログラムであって、前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)はセル(14、16、18、20)を備え、前記コンピュータプログラムはコンピュータプログラムコード(74)を備え、前記コンピュータプログラムコード(74)は、移動調整デバイス(32)において実行されるとき、前記移動調整デバイス(32)に、
前記ワイヤレス送受信機(28)が位置する現在のセル(14)、および前記ワイヤレス送受信機(28)が移動し得る複数の隣接セル(16、18、20)を備えるセルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得させ、
無線ネットワーク条件データの取得のとき、前記ワイヤレス送受信機(28)から前記隣接セル(16、18、20)に送信されるリソース要求への応答に基づいて前記隣接セル(16、18、20)の前記負荷を推定させ、前記負荷推定を前記無線ネットワーク条件データに含まれるセル負荷データとして提供させ、
前記アプリケーション(26)の前記サービス要件を達成することに関して前記セル負荷データで規定されたセル負荷を評価することにより、前記無線ネットワーク条件データを分析させ、
前記分析が、この調整は前記サービス要件の前記達成を改善するであろうと示す場合、前記現在のセルの後の前記ルートに沿った前記セル負荷が前記調整後に前記調整前よりも低くなるよう前記計画的移動の調整を行わせる、コンピュータプログラム。
【請求項19】
ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時に前記ワイヤレス通信ネットワーク(10、12)にサービス要件を有するアプリケーション(26)のために通信しているワイヤレス送受信機(28)の移動を調整するためのコンピュータプログラム製品であって、請求項18に記載のコンピュータプログラムコード(74)を有するデータ媒体(72)を備える、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス通信システムを経由して進行するワイヤレス端末に関する。さらに詳細には、本発明は、ワイヤレス通信ネットワーク経由のルートに沿った計画に従って移動するワイヤレス送受信機の移動を調整するための移動調整デバイス、方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車およびトラックのような輸送機、ならびにドローンのような航空機など、無人機は、主として監視および制御のために接続性に依存する。長い距離にわたって移動するある種の無人航空機、自律走行車は、たとえ自ら基本的な機動性を管理するとしても、セキュリティ、遠隔制御の目的で、ならびに、たとえば位置、エンジンおよび/またはバッテリの状況、画像またはビデオのような記録されたデータを一部の中央位置に継続的に転送するために、セルラーアクセスに依存している。
【0003】
そのような輸送機の特に関心を引く1つのグループは、無人航空機(UAV)である。書籍、小型機器、およびソフトドリンク、さらにはピザのような温かい料理といった、消費者商品の配送のためなど、注目を浴びるビジネスケースからもUAVへの関心が高まりを見せている。しかし、映画制作および航空写真術から不動産、農業経営、およびパイプライン保守のような分野まで拡大する日常ユースケースもある。ジャーナリストは、こうしたユースケースを扱いたいと考える。気象学者も同様である。また、消費者は、UAVを使用して、素晴らしい休暇の写真を撮影することができる。
【0004】
Parrot BebopまたはPhantom Dji 2 Visionのような、最先端の手動操作のドローンは、400mから2kmの航続距離を有する(オープンエリア)。このような航続距離では、1人のオペレータが同時に複数のドローンを遠隔に制御することは不可能になるので、航続距離は、無線送信機の範囲に制限される。
【0005】
配送サービスを目的として広い領域にわたり移動する複数のドローンは、セキュリティ、安全、および遠隔操作のために広域無線アクセスに依存することになる。したがって、ドローンは、ワイヤレス通信ネットワークのカバレッジエリアを通じて搬送されるワイヤレス送受信機を搬送することになる。
【0006】
農業、公衆安全、石油およびガス探査などに関連するアプリケーションのために、ビデオおよびメタデータのようなサービスを、たとえば遠隔オペレーションセンターに提供するそのような移動ワイヤレス送受信機は、ワイヤレス通信ネットワークの無線ネットワークパフォーマンスに高い要件を課す場合がある。
【0007】
移動ワイヤレス送受信機が、たとえば高解像度リアルタイムビデオを伝送中にワイヤレス通信ネットワークのセルを通過するシナリオにおいて、ワイヤレス送受信機は、当該のセルに重大な負荷を課すことになる。ワイヤレス送受信機が入る前に、セルがすでに高負荷状態にある場合、無線ネットワークのキーパフォーマンス指標(KPI)およびビデオのビデオ品質測度はいずれも悪影響を受けることになる。
【0008】
高解像度ビデオを供給する複数の移動ワイヤレス送受信機がセルを頻繁に通過するさらなるシナリオにおいて、そのコンテンツのトラフィック自体が、所与のエリアにおいてセルラー容量の大部分を使い果たしてしまう可能性もある。
【0009】
したがって、ワイヤレス送受信機を搬送する機体が、サービスKPIを達成することだけではなく、すでに高負荷状態のワイヤレス通信ネットワークの部分への負荷を回避することに関して、機体のミッション経路を適合させることができるとすれば、好都合なものとなろう。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、サービス要件の達成を改善し、しかも同時にワイヤレス通信ネットワークへの過度の負荷を回避することを目指している。
【0011】
この目的は、第1の態様によれば、ワイヤレス送受信機の移動を調整するための移動調整デバイスによって達成される。送受信機は、ワイヤレス通信ネットワーク経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時にワイヤレス通信ネットワークにサービス要件を有するアプリケーションのために通信している。次いで、ワイヤレス通信ネットワークは、セルを備える。移動調整デバイスは、コンピュータ命令に従って動作するプロセッサを備え、コンピュータ命令によって移動調整デバイスは、
セルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得し、このグループは、ワイヤレス送受信機が位置する現在のセル、およびワイヤレス送受信機が移動し得る複数の隣接セル、を備え、
アプリケーションのサービス要件を達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析し、
分析が、この調整はサービス要件の達成を改善するであろうと示す場合、計画的移動の調整を行うように設定される。
【0012】
目的は、第2の態様によれば、ワイヤレス送受信機の移動を調整する方法を通じて達成される。送受信機は、ワイヤレス通信ネットワーク経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時にワイヤレス通信ネットワークにサービス要件を有するアプリケーションのために通信している。ワイヤレス通信ネットワークは、セルを備え、方法は、移動調整デバイスにおいて実行される。方法は、
セルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得することであって、このグループは、ワイヤレス送受信機が位置する現在のセル、およびワイヤレス送受信機が移動し得る複数の隣接セル、を備える、取得することと、
アプリケーションのサービス要件を達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析することと、
分析が、この調整はサービス要件の達成を改善するであろうと示す場合、計画的移動の調整を行うこととを備える。
【0013】
この目的は、第3の態様によれば、ワイヤレス送受信機の移動を調整するための移動調整デバイスを通じて達成される。送受信機は、ワイヤレス通信ネットワーク経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時にワイヤレス通信ネットワークにサービス要件を有するアプリケーションのために通信している。次いで、ワイヤレス通信ネットワークは、セルを備える。移動調整デバイスは、
ワイヤレス送受信機が位置する現在のセル、およびワイヤレス送受信機が移動し得る複数の隣接セル、を備えるセルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得するための手段と、
アプリケーションのサービス要件を達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析するための手段と、
分析が、この調整はサービス要件の達成を改善するであろうと示す場合、計画的移動の調整を行うための手段とを備える。
【0014】
目的は、第4の態様によれば、ワイヤレス送受信機の移動を調整するためのコンピュータプログラムを通じて達成される。送受信機は、ワイヤレス通信ネットワーク経由のルートに沿った計画に従って移動し、同時にワイヤレス通信ネットワークにサービス要件を有するアプリケーションのために通信している。次いで、ワイヤレス通信ネットワークは、セルを備える。コンピュータプログラムは、移動調整デバイスにおいて実行されるとき、移動調整デバイスに、
ワイヤレス送受信機が位置する現在のセル、およびワイヤレス送受信機が移動し得る複数の隣接セル、を備えるセルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得させ、
アプリケーションのサービス要件を達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析させ、
分析が、この調整はサービス要件の達成を改善するであろうと示す場合、計画的移動の調整を行わせる、コンピュータプログラムコードを備える。
【0015】
目的は、第5の態様によれば、ワイヤレス通信ネットワーク経由のルートに沿って計画に従って移動するワイヤレス送受信機の移動を調整するためのコンピュータプログラム製品を通じて達成される。コンピュータプログラムは、第4の態様によるコンピュータプログラムコードを有するデータ媒体を備える。
【0016】
無線ネットワーク条件データは、少なくとも近隣セルのセル負荷データを備えることができる。
【0017】
第1の態様の第1の変形において、無線ネットワーク条件データを分析するとき、この場合に移動調整デバイスは、サービス要件を達成することに関してセル負荷データで規定されたセル負荷を評価するように動作可能であるように設定されてもよく、計画的移動を調整するとき、現在のセルの後のルートに沿ったセル負荷が調整後に調整前よりも低くなるよう計画的移動を調整するように設定される。
【0018】
第2の態様の対応する変形において、無線ネットワーク条件データの分析は、サービス要件を達成することに関してセル負荷データで規定されたセル負荷を評価することを備えることができ、計画的移動の調整は、現在のセルの後のルートに沿ったセル負荷が調整後に調整前よりも低くなるよう計画的移動を調整することを備える。
【0019】
無線ネットワーク条件データは、セルとワイヤレス送受信機との間の無線リンク品質に関わるデータを備えることができる。
【0020】
第1の態様の第2の変形において、移動調整デバイスは、無線ネットワーク条件データを取得するとき、無線リンク品質データおよびセルジオメトリ測度に基づいて隣接セルのセル負荷推定を決定するようにさらに設定され、セルのセルジオメトリ測度は、ワイヤレス送受信機によって検出されるセルの信号強度をグループの他のセルの対応する信号強度で除算した値に基づき、セル負荷推定はセル負荷データとして提供される。
【0021】
第2の態様の対応する変形において、無線ネットワーク条件データの取得は、無線リンク品質データおよびセルジオメトリ測度に基づいて隣接セルのセル負荷推定を決定することを備え、セルのセルジオメトリ測度は、ワイヤレス送受信機によって検出されるセルの信号強度をグループの他のセルの対応する信号強度で除算した値に基づき、セル負荷推定はセル負荷データとして提供される。
【0022】
第1の態様の第3の変形において、移動調整デバイスは、無線ネットワーク条件データを取得するとき、ワイヤレス送受信機から隣接セルに送信されるリソース要求への応答に基づいて隣接セルの負荷を推定し、負荷推定をセル負荷データとして提供するようにさらに設定される。
【0023】
第2の態様の対応する変形において、無線ネットワーク条件データの取得は、ワイヤレス送受信機から隣接セルに送信されるリソース要求への応答に基づいて隣接セルの負荷を推定すること、および負荷推定をセル負荷データとして提供することを備える。
【0024】
第1および第2の態様の第4の変形において、計画的移動の調整は、ルートが通過するセルの変更である。セルの変更は、垂直方向の変更を備えることができる。
【0025】
第1および第2の態様の第5の変形において、計画的移動の調整は、アプリケーションが操作されるミッションのミッション制約に基づく。
【0026】
第1および第2の態様の第6の変形において、無線ネットワーク条件データは、統計セル負荷データを備える。
【0027】
第1の態様の第7の変形において、移動調整デバイスは、計画的移動の調整を行うとき、ルート内でセルが通過される時間を変更するためにワイヤレス送受信機が移動する速度を調整するようにさらに設定される。
【0028】
第2の態様の対応する変形において、計画的移動の調整の実行は、ルート内でセルが通過される時間を変更するためにワイヤレス送受信機が移動する速度を調整することを備える。
【0029】
第1の態様の第8の変形において、変更されるか変更されないかに関わらず、いかなる移動によってもサービス要件が達成され得ない場合、移動調整デバイスは、サービス要件を変更するようにさらに設定される。
【0030】
第2の態様の対応する変形において、変更されるか変更されないかに関わらず、いかなる移動によってもサービス要件が達成され得ない場合、方法は、サービス要件を変更することをさらに備える。
【0031】
移動調整は、さまざまな位置において物理的に配置されてもよい。移動調整は、無人航空機(UAV)のような機体において提供されてもよい。あるいは、移動調整は、遠隔操作センターとして提供されてもよい。しかし、移動調整は、適切なことに、機体または遠隔操作センターが通信するクラウドコンピューティング環境におけるような、まったく異なる環境において提供されてもよい。
【0032】
本発明は、多数の利点を有する。本発明は、関連するアプリケーションのサービス要件が達成されるように、ワイヤレス送受信機の計画的移動の調整を可能にする。可能にすることで、ネットワーク条件に基づく最適化された操作をかなえることができる。同時に、すでに過大な負荷を経験しているセルは、負荷が増大することから解放され得るので、ワイヤレスネットワークオペレータにとって有益となり得る。
【0033】
「備える(comprises)/備えている(comprising)」という用語は、本明細書において使用されるとき、提示される特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を指定するために用いられるが、1つ以上のその他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことが重要視されるべきである。
【0034】
これ以降、本発明は、添付の図面に関してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】セル内の基地局および基地局と通信する機体を備える、ワイヤレス通信ネットワークに接続された遠隔操作センターを概略的に示す図である。
図2】アプリケーション、ワイヤレス送受信機、および移動調整デバイスを備える機体の内容の一部を示すブロック概略図である。
図3】移動調整デバイスの第1の具現化を示すブロック概略図である。
図4】移動調整デバイスの第2の具現化を示すブロック概略図である。
図5】ワイヤレス送受信機の移動を調整するための方法の第1の実施形態において実行される複数のステップを示す流れ図である。
図6】ワイヤレス送受信機の移動を調整するための方法の第2の実施形態において実行される複数のステップを示す流れ図である。
図7】ワイヤレス通信ネットワークを経由する本来の計画されたルートを概略的に示す図である。
図8】2つの提案されるルート調整と共に本来の計画されたルートを概略的に示す図である。
図9】移動調整デバイスの機能を実施するためのコンピュータプログラムコードを伴うデータキャリアを備えるコンピュータプログラム製品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明において、限定のためではなく説明の目的で、本発明を十分に理解できるようにするため、特定のアーキテクチャ、インターフェイス、技法などのような具体的な詳細が示される。しかし、本発明が、それらの具体的な詳細から逸脱するその他の実施形態において実施されてもよいことは、当業者には明らかとなろう。その他の例において、よく知られたデバイス、回路、および方法の詳細な説明は、本発明の説明を不必要な詳細で不明瞭にすることがないように省略される。
【0037】
本発明は、ワイヤレス送受信機がワイヤレス通信ネットワークを経由して進行するための計画されたルートまたは経路の調整に関し、ワイヤレス送受信機は、無人航空機(UAV)のような機体において提供されてもよく、ワイヤレス通信ネットワークにサービス要件を有するアプリケーションのために通信するようセットされてもよい。アプリケーションは、たとえば、高解像度ビデオをワイヤレス通信ネットワークを介して受信側エンティティに伝送する高解像度ビデオ取り込みアプリケーションであってもよい。そのようなアプリケーションの帯域幅要件は、ワイヤレス通信ネットワークにおいて高くなり得る。
【0038】
ワイヤレス通信ネットワークは、一例として、Long−Term Evolution(LTE)、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)、およびGlobal System for Mobile Communications(GSM)のような移動通信ネットワークであってもよい。本発明は、LTEに関連して後段において説明される。しかし、大半のワイヤレス端末が今日、複数の無線アクセス技術(RAT)をサポートするので、本発明は、UMTS、GSM、またはCDMA2000のような既存のRATのいずれかを使用することができ、ここでCDMAは符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)の省略形である。これらのRATは、本発明が使用され得るネットワークの一部の例に過ぎない。本発明が使用され得る別のネットワークのタイプは、米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers:IEEE)802.11標準を使用するワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)である。
【0039】
図1は、上記で説明されるタイプのいずれかによるネットワークであってもよいワイヤレス通信ネットワークを概略的に示す。ネットワークは、アクセスネットワークAN10、およびコアネットワークCN12をさらに備えることができ、ここでアクセスネットワーク10は、第1のセルC1 14のカバレッジを提供する第1の基地局13、第2のセルC2 16のカバレッジを提供する第2の基地局15、第3のセルC3 18のカバレッジを提供する第3の基地局17、第4のセルC4 20のカバレッジを提供する第4の基地局19を備える。本明細書において、基地局が複数のセルを提供できることを理解されたい。
【0040】
図1において、無人航空機(UAV)24の例示的な形態で機体も示されている。UAV24は、第1のセルC1内に配置されるものとして指示され、第4のセルC4へと進行するようにセットされ、ここで第1のセル14は、現在のセルであり、第4のセル20は、計画されたルートによる次のセルである。さらに、UAV24が、すべての基地局と無線ネットワーク条件データを交換していることが分かり、ここで図1に示される無線ネットワーク条件データは、参照信号受信電力(RSRP)および参照信号受信品質(RSRQ)によって具現化される無線リンク品質測度の形態をとる。
【0041】
最後に、コアネットワーク12に接続されている遠隔操作センター22があることが分かる。後段において明らかとなるように、UAV24は、UAV24で動作しているアプリケーションに関連して遠隔操作センター22と通信し得るワイヤレス送受信機を備える。この理由により、遠隔操作センター22は、専用制御エリア内のUAVの飛行前ルート計画ならびに管理およびオペレーションのために、UAVをさまざまな任務に割り当てることに責任を負い、ここで専用制御エリアは、ワイヤレス通信ネットワークの少なくとも一部によってカバーされる物理的エリアであってもよい。
【0042】
図2は、UAV24の内容の一部のブロック概略図を示す。UAV24は、ワイヤレス通信ネットワークによって採用される、この場合はLTEである無線通信標準に従って通信するようセットされたワイヤレス送受信機TR28を備える。UAV24はまた、ワイヤレス送受信機28を介してワイヤレス通信ネットワークとの間でデータを提供および/または受信するアプリケーションAPP26を備える。そのようなデータの1つの例は、高解像度ビデオである。データのその他の例は、静止画像、UAV位置および状況データである。したがって、アプリケーション26は、ワイヤレス送受信機28に接続される。また、UAV24の移動を調節することができる移動調整デバイスMAD32、およびUAVコントローラUAV CTRL30もあり、UAVコントローラは、垂直および水平に移動すべき方向、ならびに移動すべき速度の制御のような、UAV24の制御を実行する。この理由により、UAVコントローラ30は通常、エンジンのスロットル、またはUAVのモーター、ならびにフラップおよびブレーキのようなさまざまな誘導および制動要素に接続されている。移動調整デバイス32は、ワイヤレス通信ネットワーク上のアプリケーション26のサービス要件およびワイヤレスネットワークの無線ネットワーク条件データに基づいて、UAV24の計画的移動を調整するために提供される。この理由により、移動調整デバイス32は、アプリケーション26、ワイヤレス送受信機28、およびUAVコントローラ30に接続されている。
【0043】
図3は、移動調整デバイス32を具現化する第1の方式のブロック概略図を示す。移動調整デバイスは、プログラムメモリM36に接続されたプロセッサPR34の形態で提供されてもよい。プログラムメモリ36は、移動調整デバイス32の機能を実施する複数のコンピュータ命令を備えることができ、プロセッサ34は、これらのコンピュータ命令に従って動作するとき、この機能を実施する。したがって、プロセッサ34およびメモリ36の組み合わせが移動調整デバイス32を提供することが分かる。
【0044】
図4は、移動調整デバイス32を具現化する第2の方式のブロック概略図を示す。移動調整デバイス32は、ネットワーク条件データ取得器NCDO38、ネットワーク条件データ分析器NCDA40、および計画的移動調整器PMA42を備えることができる。
【0045】
図4の要素は、たとえば、プログラムメモリ内のソフトウェアブロックのようなソフトウェアブロックとして提供されてもよいが、特殊用途向け集積回路(ASIC)およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のような、専用の特殊用途回路の一部として提供されてもよい。要素はまた、そのような回路内の複数の要素またはブロックを組み合わせることも可能である。
【0046】
前述のように、UAV24は、アプリケーション26に関連してサービスを提供することができ、アプリケーションはワイヤレス通信ネットワークを使用することが必要になる場合もある。そのような場合、UAV24は、計画されたルート、つまりUAVに対して計画されているルートに沿ってさらに進行することができる。通信ネットワークは、静的ではなく、サービスを提供する能力がセルごとに、またセルの時間ごとに異なる可能性があるという点において動的である。したがって、ネットワークがサービス要件を達成する能力は異なる可能性があり、それはつまり、何も行われない場合、アプリケーションは要求に応じて実行できない可能性があるということである。さらに、アプリケーションがトラフィック集約型であり、高い負荷を有するセルを使用する場合、セルがその他のユーザにサーブする能力もまた低下する可能性がある。本発明の態様は、これらの課題に対処することを目指している。
【0047】
これ以降、第1の実施形態は、図5も参照して説明され、図5は、ワイヤレス通信ネットワーク経由のルートに沿った計画に従ったワイヤレス送受信機28の移動を調整する方法において実行される方法ステップの流れ図を示し、ここで方法ステップは、移動調整デバイス32によって実行されている。さらに、ワイヤレス送受信機28は、アプリケーション26のために通信し、アプリケーション26はワイヤレス通信ネットワークにサービス要件を有する。アプリケーションの操作はまた、UAV24によって遂行されるミッションにおいて実行される。
【0048】
UAV24は、計画に従ってワイヤレス通信ネットワーク経由で進行することができ、この計画は、UAV24がさまざまな地理的位置を通過する際に従うルート、およびこれらの位置を通過すべき時間を定めることができる。したがって、このルートはまた、UAVが通過すべきワイヤレス通信ネットワークのセル、およびこれらのセルを通過すべき時間を規定することになる。ルートはさらに、遠隔操作センター22によってあらかじめ決定されてもよい。この期間に、ネットワーク条件データ取得器38は、データが、無線リンク品質データの例である前述のRSRPおよびRSRQを備えることができる、ワイヤレス通信ネットワークのセルからなど、ワイヤレス通信ネットワークから無線ネットワーク条件データを取得することができる。しかし、物理リソースブロック(PRB)割り当てのような他のデータも取得されてもよく、信号対雑音比(SINR)はセルから取得されてもよい。このデータは、継続的に取得されてもよい。しかし、UAVがセル境界に近接している場合、すなわち新しいセルのカバレッジエリアに入る寸前であるような、特定の例において、データが取得されて使用されることも代替として可能である。
【0049】
UAVは、図1の例において、第1の現在のセル14のカバレッジエリア内にあってもよく、第4のセル20に向かう計画されたルートに従って移動することができる。UAVがそのように移動するとき、ネットワーク条件データ取得器38は、この周辺のすべてのセルから無線ネットワーク条件データを取得することができる。したがって、UAVは、セルが混雑しているか、または高い負荷を負っている場合のような、セルの無線条件を指示するデータを取得することができる。したがって、ネットワーク条件データ取得器38は、ワイヤレス送受信機28が位置する現在のセルおよびワイヤレス送受信機28が現在のセルから移動し得る複数の隣接セル16、18、20を備えるセルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得する(ステップ44)。図1の例において、無線ネットワーク条件データ取得器38は、第1、第2、第3、および第4のセル14、16、18、および20からデータを取得し、ここでこのデータはワイヤレス送受信機28によって収集される。ワイヤレス送受信機28は、たとえば、第1のセル14から、第2、第3、および第4のセル16、18、および20のいずれかへのハンドオーバを調べることの一環としてこのタイプのデータを収集し、そのデータをネットワーク条件データ取得器38に転送することができる。ネットワーク条件データ取得器38によってこのように取得された無線ネットワーク条件データは、たとえば、RSRPおよびRSRQのような無線リンク品質データを備えることができる。ネットワーク条件データ取得器38によって実行される無線ネットワーク条件データの取得はまた、収集された無線リンク品質データに基づいて推定されるセル負荷を決定することを伴うことができる。
【0050】
セルの負荷の推定は、現在のセルの負荷、およびUAVの進行先となり得るセルの負荷の両方の推定を伴うことができ、いずれの推定もあらかじめ定められたルートおよび代替となり得るセルに従う。したがって、無線ネットワーク条件データは、少なくとも隣接セル、すなわち現在のセルの隣接セルの、セル負荷データを備えることができる。セル負荷は、一例として、無線リンク品質データおよびセルジオメトリ測度を使用して推定されてもよい。代替として、セル負荷は、ワイヤレス送受信機28から基地局に送信されたリソース要求、および、たとえばセルによって与えられた物理リソースブロック(PRB)割り当てなど、実際のリソース割り当てによる要求への受信された応答に基づいて決定されてもよい。たとえば、リソース要求が、最大許容帯域幅のような、高い帯域幅への要求であり、許可される帯域幅が低い場合、セル負荷は、高いものと推定され得る。推定されたセル負荷を取得した後、次いでネットワーク条件データ取得器38は、取得した無線ネットワーク条件データをネットワーク条件データ分析器40に転送する。
【0051】
ネットワーク条件データ分析器40は、通信ネットワークへのアプリケーション26のサービス要件を達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析する(ステップ46)。本明細書においてキーパフォーマンス指標(KPI)とも称され、望ましい最小遅延、必要な帯域幅、またはワイヤレス通信ネットワークの何らかの他のタイプの要件を定めることができる、サービス要件は、静的であって、前もって知られていてもよい。これは、たとえばアプリケーションが常に同じ要件を有する場合であってもよい。その他の場合、要件は、知られていないか、または動的、すなわち時間と共に変化してもよい。要件が知られており、静的である場合、ネットワーク条件データ分析器40は、要件の知識を有することができ、したがってアプリケーション26にコンタクトをとる必要はない場合もある。しかし、サービス要件が不明または動的である場合、ネットワーク条件データ分析器40は、不明の静的値、動的値、または半動的値となり得るKPIに関する情報を得るためにアプリケーション26に接続することができる。
【0052】
分析は、推定されたセル負荷に基づいて、セルがサービス要件の達成に成功し得るか、およびどの程度成功し得るかを評価することを伴うことができる。分析は、サービス要件を達成することに関してセル負荷データで規定されたセル負荷を評価することができる。
【0053】
通常、セル負荷が高まるとそれに応じて、ワイヤレス通信ネットワークがサービス要件を達成できる可能性は低下する。
【0054】
サービス要件を達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析することは、推定されるセル負荷をサービス要件と相関させることを通じて行われ得るが、分析した後、ネットワーク条件データ分析器40は、セルが、すなわち経路および可能な代替内のセルが、サービス要件を達成できるかどうか、およびおそらくはどの程度まで達成できるかの予測を、計画的移動調整器42に転送する。
【0055】
計画的移動調整器42は、これらの予測を受信し、次いで、予測がサービス要件の達成を改善すると見なされる場合、現在のセルの後のルートに沿った推定されたセル負荷が調整前よりも調整後に低くなるように、計画的移動を調整する(ステップ48)。これはつまり、計画されたルート内の次のセルがサービス要件を達成する場合、UAVの計画的移動は変更されなくてもよいということである。しかし、サービス要件を達成することができない場合、移動の変更が行われる。変更は、移動の速度の変更であってもよいか、または移動の方向の変更であってもよい。変更はまた、速度および方向の両方の変更であってもよい。これらの変更を行うために、計画的移動調整器42は、UAVコントローラ30に、速度および/または方向の変更を行うよう指示し、ここで方向の変更は、新しい次のセルへの変更を伴うことができる。セルの変更は、本来計画されていた次のセルよりも低い負荷を有するセル、および有利なことに最低負荷を有する調べられた代替のセルへの変更を伴うことができる。あるいは、変更は、サービス要件が達成されるために十分に低い負荷を有し、同時に計画されたルートの最小限の変更を伴う、セルの選択であってもよい。速度の変更は、セルがサービス要件を達成できるようにする負荷をこのセルが有するとみられる時点において、UAVがルートに沿ってこのセルに到達して通過するように、速度の変更を伴うことができる。方向の変更は、水平方向の変更、垂直方向の変更、または水平および垂直の両方向の変更であってもよい。
【0056】
このようにして、サービス要件が達成されるように、UAV24の計画的移動を調整することが可能であることが分かる。その結果、ネットワーク条件に基づくUAVの最適化された操作をかなえることができる。ネットワーク負荷および使用状況を考慮に入れることで、UAVは、そのミッションKPIを保持するためのよりよい前提条件に達することになる。同時に、すでに過大な負荷を負っているセルは、負荷が増大することから解放され得るので、ワイヤレスネットワークオペレータにとって有益となり得る。
【0057】
RSRP、RSRQ、および物理リソースブロック(PRB)割り当てのようなネットワークデータ、ならびにジオメトリ、スケジューリング部分など、そのようなネットワークデータから導かれるエンティティの収集および分析に基づいてUAVの動作を最適化することが可能であることも分かる。
【0058】
これ以降、第2の実施形態は、図6を参照して説明されるが、図6は、ルートに沿った計画に従ってワイヤレス送受信機28の移動を調整する方法において実行され、移動調整デバイス32によっても実行される複数の方法ステップの流れ図を示す。
【0059】
UAV24は、さらにここでも、ワイヤレス通信ネットワークのセルを通過するルートを定める計画に従ってワイヤレス通信ネットワーク経由で進行することができ、この場合も同様に、第1のセル14に位置することができ、これは現在のセルである。アプリケーション26は、この場合も同様に、ワイヤレス通信ネットワークに要件を有することができ、要件は一例として、高解像度ビデオの特定の帯域幅であってもよい。この時間中、ネットワーク条件データ取得器38は、セルから無線リンク品質測度の形態で何らかの無線ネットワーク条件データをワイヤレス送受信機28から取得することができる(ステップ50)。これらの無線リンク品質測度は、現在のセル14、およびワイヤレス送受信機28がUA4 24によってトランスポートされ得る隣接セル16、18、20から受信され、ここで第4のセル20は、この場合も同様に、計画されたルートに従って入る次のセルである。ワイヤレス送受信機28によって収集される無線リンク品質測度は、たとえば、上記のRSRPおよびRSRQ、ならびに信号対干渉雑音比(SINR)のような無線リンク品質値を備えることができる。このデータはまた、ここで、第1のセル18から、第2、第3、および第4のセル16、18、および20のいずれかへの可能なハンドオーバを調べることの一環として収集されてもよい。これらの値の一部は、予想目的地セルによって伝送されるパイロット信号に、より詳細には関連する場合がある。したがって、ワイヤレス送受信機は、RSPR、RSRQのような信号強度、ならびにセル16、18、および20のSINRを検出することができる。また、これらの値が、現在のセル14内にもあるパイロット信号について測定されてもよい。しかし、ワイヤレス送受信機28は、現在のセル14を介して通信しているので、複数の他の信号が、この現在のセルに関して同様の目的で使用されてもよい。
【0060】
したがって、無線リンク品質測度は、第1、第2、第3、および第4のセル14、16、18、および20からネットワーク条件データ取得器38によって取得され、ここでこのデータはワイヤレス送受信機28によって収集され、無線ネットワーク条件データ取得器38に転送された。加えて、ネットワーク条件データ取得器38はまた、各セルのジオメトリ測度を取得する(ステップ52)。
【0061】
セルのジオメトリ測度は、ワイヤレス送受信機28によって検出されたセルの信号強度をグループの他のセルの対応する信号強度の合計で除算した値に基づいてもよい。ジオメトリ測度は、一例として、セルのRSRPを他のセルのRSRPの合計で除算した値に基づいてもよい。したがって、第4のセルのジオメトリ測度は、第4のセル20のRSRPを第1、第2、および第3のセル14、16、および18のRSRPの合計で除算した値として決定されてもよい。このようにして、ジオメトリ測度は、ワイヤレス送受信機28が入り得るすべての可能な候補セル16、18、および20について決定されてもよい。ジオメトリ測度が現在のセル14についても決定されることは、可能であるが、必須ではない。ジオメトリ測度が取得され得る方法について詳しくは、参照により本明細書に組み込まれている、WO2012/118414に記載されている。
【0062】
さまざまな値は、多くの場合dB単位で表される。この場合、操作の一部は、対数領域において実行されてもよい。しかし、総和を実行するために、dB値を対応する実数値に変換する必要があり得る。これはつまり、dB単位の個々のRSRP値は、これらの値がdB単位である場合に10を底として使用して累乗される必要があるということを意味する。したがって、個々のRSRP値の総計は、10RSRP2/10+10RSRP3/10+10RSRP4/10を通じて取得され得る。次いで、総計は、除算を実行するために調べられたセルのdB値RSRPから減算され得たdB値に変換されて戻されてもよい。あるいは、除算が実数値を使用して行われることが可能である。対数値から実数値、およびその逆への変換は、当技術分野においてよく知られているので、それらの態様の詳細な説明は省略されている。
【0063】
ネットワークデータ取得器38は、さらにまた、無線リンク品質データおよびセルジオメトリ測度に基づいてセル負荷を推定することができる(ステップ54)。セル負荷は、さらに詳細には、セルのセルジオメトリ測度を同じセルの無線リンク品質値SINRで除算した値として決定されてもよい。このようにして、負荷は、現在のセルの隣接であるすべてのセルについて、またはおそらくはワイヤレス送受信機28の進行の方向を所与として入ることが可能な隣接セルのみについて、推定されてもよい。
【0064】
次いで、セル負荷推定は、セル負荷データとして、ネットワーク条件データ取得器38からネットワーク条件データ分析器40に提供される。
【0065】
次いで、ネットワーク条件データ分析器40は、アプリケーション26のサービス要件またはKPIを達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析する。無線ネットワーク条件データを分析するために、ネットワーク条件データ分析器40は、アプリケーション26に接続することができ、前述のように必要な帯域幅となり得るKPIについて報告されてもよく、それによりネットワーク条件データ分析器40は、KPIを取得する(ステップ56)。あるいは、ネットワーク条件データ分析器40は、事前にKPIについて認識している場合もある。この場合、KPIは、内部メモリから取得されてもよい。その後、ネットワーク条件データ分析器40は、KPIに関して計画されたルート内の後続すなわち次のセルのセル負荷を評価する(ステップ58)。現在の例において、ネットワーク条件データ分析器40は、このようにして第4のセル20を調べる。ネットワーク条件データ分析器40は、すべての候補のセルについて同じタイプの評価をさらに行う。しかし、そのようなさらなる評価は、計画されたルートに従う新しいセル20がKPIを達成できないと決定される場合に限り行われることが可能である。評価は、さらに詳細には、セルが、推定されたセル負荷を所与として必要とされるKPIを提供することができるであろう確率の評価を伴うことができる。この場合、評価はさらに、平均オピニオン評点(MOS)またはビデオ品質知覚評価(Perceptual Evaluation of Video Quality:PEVQ)のような品質モデルを採用することができる。MOSの使用は、たとえば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2014/0032562号明細書において説明されている。
【0066】
次いで、ネットワーク条件データ分析器40は、経路内のセルおよびその他の可能なセルで、すべての可能な次のセルに関する分析の結果を、計画的移動調整器42に提供し、ここで、計画されたルートに従う新しいセルがKPIを達成できる場合には、結果は提供されないこともあり得る。
【0067】
次いで、計画的移動調整器42は、計画されたルート内の次のセルがKPIを達成するかどうかを調査し、達成する場合(ステップ62)、本来のルートが変更されることなく使用され(ステップ60)、これはつまり、UAVコントローラ30が計画されたルートをすでに認識している場合、計画的移動調整器42が何も行わないということであってもよい。あるいは、計画的移動調整器42は、計画されたルートに従って次のセルに進行するよう、UAVコントローラ30に指示することができる。
【0068】
しかし、KPIが達成されない場合(ステップ62)、計画的移動調整器42は、1つまたは複数の調整を提案し(ステップ64)、提案される調整は、KPIが達成されるように計画的移動を調整することができる。提案される調整は、新しい次のセルの提案であってもよく、そのセルは、サービス要件を達成する最大の可能性を有する、現在のセルの別の隣接セルであってもよい。この場合、セルが伴う経路の変更の大きさに基づいて、セルに重み付けすることも可能である。したがって、他のセルよりも経路内でより小さい変更を伴うセルは、たとえそのセルが他の候補よりも高い負荷を有していたとしても選択され得る。ここではまた、1つまたは複数の変更が提案されることも可能であり、さらに多くが提案される場合、変更は、KPIをいかに良好に達成するかという順番で提供されてもよい。候補のセルは、たとえば、候補リストに提供されてもよく、ここでセルは優先順位に従ってリストに提供される。
【0069】
その後計画的移動調整器42は、複数のミッション制約を調査する。UAV24がバッテリまたはエンジンによって給電されることは可能である。提案される変更は、移動の変更により目的地に到達する前にバッテリが消耗されるか、またはエンジンが燃料切れになる状況をまねく可能性もある。また、変更が経路に物理的障害物をもたらす可能性もある。もう1つの制約は、いわゆるジオフェンシングであってもよい。これらの課題のいずれかは、UAVがミッション制約を達成できないようにする可能性がある。
【0070】
計画された移動に変更があるときにもミッション制約が達成される場合、提案される調整が使用され(ステップ70)、このステップは、速度の変更、方向の変更、ならびに方向および速度の両方の変更を伴い得る、調整が実施されるようUAVコントローラ30にUAVセッティングを変更させる計画的移動調整器42命令を伴うことができる。方向の変更は、この場合、水平方向の変更、垂直方向の変更、ならびに水平および垂直の両方向の変更であってもよい。
【0071】
しかし、ミッション制約が、候補の変更のいずれかによって達成されない場合(ステップ66)、計画的移動調整器は、KPIを下げるようアプリケーション26に指示することができる(ステップ68)。たとえば、計画的移動調整器は、より低い帯域幅を使用するようアプリケーション26に指示することができ、これはビデオの例においては画像解像度を下げることを伴ってもよい。その後、計画的移動調整器42は、新しい可能性を決定するよう無線ネットワーク条件データ分析器40に指示する。次いで、ネットワーク条件データ分析器40は、新しいKPIを取得し(ステップ56)、再度セル負荷を評価するが、この場合は、新しいKPIの達成に関して評価し(ステップ58)、次いでその後、計画的移動調整器42は、新しいKPIが本来のルートによって達成されるかどうかを調査するか、または移動の変更を提案し、変更はこの場合もミッション制約と比較される。
【0072】
そうすることで、最終的に、KPIおよびミッション制約を共に達成する移動が選択されるようになる。したがって、計画されたルートの調整はまた、アプリケーションが操作されるミッションのミッション制約に基づいてもよいことが分かる。変更されるか変更されないかに関わらず、いかなる移動によってもKPIを達成することができない場合、KPIはまた、変更されてもよい。
【0073】
最後に、本来のルートが保持された(ステップ60)後、または提案される調整が選択された(ステップ70)後、ネットワーク条件データ取得器38は、無線リンク品質測度を再度取得し(ステップ50)、これはUAVが、新しいセルに入ったのち、セル境界に再度移動する場合に行われてもよく、この場合境界はこの新しいセルのセル境界である。
【0074】
方法は、その後、UAV24がミッションを終了するまで、すなわちその目的地に到達するまで、前述の方法で繰り返されてもよい。
【0075】
UAVがそのルートを進行中に、決定される負荷推定は、格納されて、収集の時刻および日付に関連付けられてもよい。次いで、格納されたデータは、遠隔操作センター22のデータベースに格納されてもよい。このデータは、このように時間の経過に伴うセルのセル負荷変動の統計であり、そのためルートを計画する際に遠隔操作センター22によって使用されてもよい。遠隔操作センター22に関連付けられているすべてのUAVが、遠隔操作センターの所与の制御エリア内のそのような履歴データを収集する場合、すなわち複数のUAVがワイヤレス通信ネットワークで訪れたセルから測度データをレポートする場合、ネットワーク品質測度のデータベースが構築され得る。測度が時間の経過と共にアグリゲートされることで、時間ごと/日ごとの振る舞いを識別することが可能になり、この振る舞いがUAVアプリケーションおよび無線ネットワークのパフォーマンスを最適化するために使用され得るようになる。
【0076】
しかし、そのような統計、すなわち統計データが飛行中に使用されることも可能である。統計は、たとえば、移動調整デバイス32の計画的移動調整器42が移動の変更を提案する場合に使用されてもよい。たとえば、統計に従って、セルが高い負荷を有することがない時点でセルに進入されるように速度を調整することが可能であり、その変更は、速度の増加または速度の低下を伴うことができる。
【0077】
第2の実施形態において理解され得るように、ミッションKPI、前述の実際的な制約などを、ルートの計画に取り入れることは、結果として、ゼロ/1つ/複数の好ましい飛行経路をもたらすことができる。識別される飛行経路がゼロである場合、ミッションKPIを下げるか、セットされているミッション制約を再検討するか、またはミッションを完全にキャンセルすることさえも必要となり得る。代替として、複数のUAVミッションが遠隔操作センター22にアップロードされ、すべてのミッションに可能ならばそれぞれのミッションKPIを満足させるために適切な時点でスケジュールされるような事例を検討することも可能である。
【0078】
無線ネットワーク負荷は、たとえば24時間の期間にわたり変化することがあるので、推定されるルート飛行時間(および時刻)に対応するマップの有効期限時間が推論されてもよい。たとえば特定のセルが、UAVの飛行時間中に「低負荷状態」から「高負荷状態」に変化することが認められる場合、そのようなセルは、飛行計画において回避されてもよい。さらに、複数の計画されたUAVミッションの場合、個々のUAVミッションのスケジューリングはまた、最適化問題に加えられる側面ともなり得る。
【0079】
さまざまなセルについて収集されたRSRPおよびSINRはまた、UAV優先セル(UAV Preferred Cell:UPC)リストを計画的移動調整器42への入力としてコンパイルするために使用されてもよい。この場合、UAVのワイヤレス送受信機は、無線測度を遠隔操作センターに提供し、次いで遠隔操作センターはデータを収集して、UAVの予想されるミッション時間を反映するサブセットの分析を実行することができる。地域UPCリストは、すべてのUAVに分散されるか、またはリストは個々のUAV単位であってもよい。
【0080】
ネットワーク負荷を、セルの過負荷を回避するコンテキストに取り入れることで、その他のミッションクリティカルな制約と組み合わされたUPCリストは、たとえばバッテリ時間、ミッション時間などのようなミッション制約、ならびに推定されるミッション時間中に高い負荷を有する高リスク候補として識別されるセルを回避するコンテキストにおける無線ネットワークKPIを達成し、しかもUAVミッションのトラフィックフローを混雑させない、飛行ルートが選択されるミッション計画をもたらすことができる。その例は図7に示されており、ここでは複数のセルが0%から100%のさまざまなセル負荷を有しているセルマップを示し、セル負荷は統計セル負荷であってもよい。図において、UAVが、比較的低いセル負荷を有する複数のセルを経由してポイントAからポイントBに移動するよう計画されることも理解され、ここで計画されたルートは破線で示されている。
【0081】
ミッションマップは、移動調整デバイス32において計画され、提供されてもよい。しかし、遠隔操作センター22は、バッテリ寿命、メモリ/ストレージ、処理能力などによって制限されないので、ミッションマップが遠隔操作センター22において計画され、UAVに送信されることが望ましいことがある。UAV24が、AからBへの飛行中に、たとえば特定のセルが「低負荷」(黒/ドット)から「高負荷」(黒/ダークグレー)に変わったことを検出する場合(図8を参照)、計画的移動調整器42は、セルを迂回する代替のルートを決定することができる。
【0082】
図8において、破線はこの場合も、統計的に知られている過負荷状態のセルを回避するためのUAV24の計画されたルートを示し、一方実線は、事前規定されている飛行ルート内のセルが操作中に「負荷過剰状態」として出現したことを所与として、移動調整デバイス32によって識別された代替のルートを示す。過剰な高負荷を有するセルの周囲の2つの代替のルートが、UAVに提案されることが理解され得る。
【0083】
さらなる実施形態において、遠隔操作センター22は、UAVの機団を、ワイヤレス通信ネットワークへのその影響に関して最適化して、飛行スケジュールの全セットを、ミッションタスク、サービスおよび期間、UAVの数などに関して協調させることができる。
【0084】
UAVミッションを無線ネットワークに追加することで、無線ネットワークの高さ次元もまた、斬新な方法で利用され得ることにさらに留意されたい。ネットワークの高さ、すなわちz−次元は、無線ネットワーク特性の点から異なることが知られており、z−次元上の適切なゾーンはまた、より適している場合に、活用されるか、または回避されてもよい。
【0085】
移動調整デバイスは、UAV24において提供されるように上記で基本的に説明されている。しかし、移動調整デバイスが、遠隔操作センター22において提供されることが適切となり得ることが理解されるべきである。この場合、UAV24のワイヤレス送受信機28は、UAV24が収集する無線リンク品質データを、たとえばワイヤレス通信ネットワークを介して遠隔操作センター22に送信するようにセットされてもよい。その結果、遠隔操作センター22は、アプリケーションのサービス要件についてすでに認識している。代替として、遠隔操作センター22は、この情報をワイヤレス送受信機28から受信することができる。次いで、遠隔操作センター22は、セル負荷を推定して、推定されるセル負荷を所与としてサービス要件を達成する能力を評価することを通じて可能な経路変更を提案し、経路変更の指示をUAVに送信する。
【0086】
上記に関連して、遠隔操作センターが、場合によっては、ワイヤレス通信ネットワークの一部であってもよく、その場合、セルによってレポートされるセル負荷データは、遠隔操作センターに使用可能にされてもよいことも、理解されるべきである。この場合、したがってワイヤレス送受信機は、そのようなデータを収集する必要はない。
【0087】
また、移動調整デバイスの操作が、クラウドコンピューティングを使用して実行されてもよいことも理解されるべきである。したがって、データセンター内のサーバは、ネットワーク条件データおよびアプリケーションKPIを受信して、ルートの変更が行われるべきであるかどうかを決定し、次いで結果をUAVまたは遠隔操作センター22のいずれかに送信することができる。
【0088】
ワイヤレス送受信機を搬送し、アプリケーションが動作している機体は、UAVによって上記に例示された。しかし、本発明が、このタイプの機体に限定されることはなく、ボート、飛行機、乗用車、トラックのようなその他のタイプの機体に関連して使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0089】
移動調整デバイスのコンピュータプログラムコードは、たとえば、CD ROMディスクまたはメモリスティックのようなデータキャリアの形態の、コンピュータプログラム製品の形態であってもよい。この場合、データキャリアは、上記で説明される移動調整デバイスの機能を実施する、コンピュータプログラムコードを伴うコンピュータプログラムを搬送する。コンピュータプログラムコード74を伴う1つのそのようなデータキャリア72は、図9において概略的に示される。
【0090】
移動調整デバイスのネットワーク条件データ取得器は、ワイヤレス送受信機が位置する現在のセル、およびワイヤレス送受信機が移動し得る複数の隣接セル、を備えるセルのグループに関する無線ネットワーク条件データを取得するための手段を形成すると考えられてもよい。次いで、ネットワーク条件データ分析器は、アプリケーションのサービス要件を達成することに関して無線ネットワーク条件データを分析するための手段を形成するものと考えられてもよい。最後に、計画的移動調整器は、分析が、この調整はサービス要件の達成を改善するであろうと示す場合、計画的移動の調整を行うための手段を形成するものと考えられてもよい。
【0091】
無線ネットワーク条件データを分析するための手段は、サービス要件を達成することに関してセル負荷データで規定されたセル負荷を評価するための手段を備えることができ、計画的移動の調整を行うための手段は、現在のセルの後のルートに沿ったセル負荷が調整後に調整前よりも低くなるよう計画的移動を調整するための手段を備えることができる。
【0092】
無線ネットワーク条件データを取得するための手段は、無線リンク品質データおよびセルジオメトリ測度に基づいて隣接セルのセル負荷推定を決定するための手段を備えることができ、セルのセルジオメトリ測度は、ワイヤレス送受信機によって検出されるセルの信号強度をグループの他のセルの対応する信号強度で除算した値に基づき、セル負荷推定は上記セル負荷データとして提供される。
【0093】
ワイヤレス送受信機から隣接セルに送信されるリソース要求への応答に基づいて隣接セルの負荷を推定し、負荷推定をセル負荷データとして提供するための手段。
【0094】
計画的移動の調整を行うための手段は、ルートが通過するセルを変更するための手段を備えることができる。
【0095】
計画的移動の調整を行うための手段は、計画的移動の調整を、アプリケーションが操作されるミッションのミッション制約に基づかせるための手段をさらに備えることができる。
【0096】
計画的移動の調整を行うための手段は、ルート内でセルが通過される時間を変更するためにワイヤレス送受信機が移動する速度を調整するための手段をさらに備えることができる。
【0097】
変更されるか変更されないかに関わらず、いかなる移動によってもサービス要件が達成され得ない場合、計画的移動の調整を行うための手段はまた、サービス要件を変更するための手段を備えることができる。
【0098】
本発明は、最も実際的であり、好ましい実施形態であると現在見なされる事項に関連して説明されてきたが、本発明が開示される実施形態に限定されることはなく、一方、さまざまな変更および等価の構成を網羅することを意図されていることを理解されたい。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
図1
図2
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図7
図8
図9