(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記月経予測部が、前記記憶部に格納された過去の月経開始日のデータを用いて月経周期を算出し、月経周期が、ある周期日数となった回数と、当該周期日数の前後所定日数に含まれる周期日数となった回数の合計を当該周期日数の点数として、最も点数の高かった日数を通常の月経周期日数とする、月経周期算出手段を更に備え、
前記月経周期による不調発生確率算出手段が、前記次回月経開始予定日を、前記通常の月経周期日数に基づいて決定することを特徴とする、請求項2又は3のいずれかに記載の体調予測システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多くの女性にとって月経期は身体の不調などの体調変動を伴う期間であり、次回の月経開始日を知ることは体調管理において重要である。しかし、実際には月経周期が安定しない女性も多く、比較的月経周期が安定している女性でも、数日程度の変動は多いため、ある程度の変動を考慮して月経開始日を予測することが望まれる。
【0008】
これに対し、従来の月経開始日予測システムでは、過去の月経周期から次回の月経開始日のみを予測する方法が主流であったため、実際の月経開始日が予測からずれることが頻繁に起こり、特に月経周期が安定しない女性にはあまり参考にならない、という課題があった。
【0009】
このほか、特許文献1に記載の方法では、体温の変化で月経周期におけるステージを判定しているが、この方法は毎日体温を測る必要があり、被測定者の負担になることに加え、測り忘れがあると正確に判定できなくなるという課題がある。
【0010】
また、月経期以外にも体調変動することは周知の事実であり、排卵痛、月経前症候群(PMS)など、不調の時期は個人によって異なる。
【0011】
これに対し、特許文献2では、不調の日を前回の月経開始日からの経過日数で記録することで不調を予測しているが、月経周期の変動があると、月経周期に対する相対的な関係を正確に把握できない、という課題があった。
【0012】
さらに、気圧低下によっても不調が起こりうることが知られている。気圧低下による不調は個人差が大きく、不調の予測においてはこの個人差を考慮することが望まれる。特許文献3ではこれを個人の「頭痛発生気圧」または「頭痛発生気圧差」として算出しているが、気圧低下による不調が発生するか否かは気圧だけにはよらないため、より詳細に不調の起きやすさを算出することが望まれる。
【0013】
そこで、本発明では、上述したような課題のうち、少なくとも一つを解決し、近い未来の体調変動を予測できる体調予測システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る体調予測システムは、
入力手段と、体調分類手段と、月経予測部と、記憶部と、出力手段と、を備える体調予測システムであって、
前記入力手段が、
月経開始日の情報を含む体調変動に関する情報の入力を受け付け、
前記体調分類手段が、前記体調変動に関する情報から
前記月経開始
日の情報を判別して前記記憶部に格納し、
前記月経予測部が、
前記記憶部に格納された過去の
前記月経開始日
の情報を用いて月経周期を算出し、月経周期が、ある周期日数となった回数と、当該周期日数の前後所定日数に含まれる周期日数となった回数の合計を、経過した月経周期数で割ることで、月経開始日確率算出対象日前後の所定日数内に月経が開始する確率を算出し、それを当該月経開始日確率算出対象日の月経開始日確率とする、月経開始日確率算出手段を有し、
前記出力手段が、前記月経開始日確率を出力することを特徴とする。
【0015】
このように、各日について、月経開始の確率を算出することによって、ある程度の変動を考慮しながら、女性の体調が大きく変化する月経開始予定日をより詳細に知ることができる。さらにこれにより、従来のシステムでは有用な情報を提供できなかった月経不順者にも目安となる情報を提供することができるようになる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、
前記体調分類手段が、前記体調変動に関する情報から月経周期による不調の情報を判別して前記記憶部に格納し、
前記月経予測部が、
新たな月経開始日が入力されたときに、前回の月経期の終了後に前記記憶部に格納された前記月経周期による不調の情報の記録日から新たな月経開始日までの相対的な日数を、それぞれの前記月経周期による不調の情報の不調相対日として算出する、不調相対日算出手段と、
前記月経周期による不調の情報と、前記不調相対日と、月経周期による不調発生確率算出対象日から次回月経開始予定日までの相対的な日数と、を用いて、当該月経周期による不調発生確率算出対象日前後の所定日数内に月経周期による不調が発生する確率を算出する、月経周期による不調発生確率算出手段と、を備えることを特徴とする。
このように、月経周期による不調の発生した日を、次回の月経が開始してから月経周期に対して相対的に記録することにより、次回の月経によって発生する不調について適切に予測を行うことが可能となる。また、不調発生の確率を算出することによって、より適切な対策をとることが可能となる。さらに、月経開始日と過去の不調の発生日から不調の発生を予測することで、従来の方法に比べて対象者の負担を小さくすることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、
前記月経周期による不調発生確率算出手段が、前記月経周期による不調発生確率算出対象日から前記次回月経開始予定日までの相対的な日数と、前記不調相対日と、の差が所定日数内である前記月経周期による不調の情報の合計数を、経過した月経周期数で割ることで、前記月経周期による不調が発生する確率を算出することを特徴とする。
このように、不調発生確率算出対象日前後の不調の回数を合計することにより、月経周期に変動があった場合でも、適切に不調発生確率を算出することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、
前記体調分類手段が、前記体調変動に関する情報から月経周期による不調の情報を判別して前記記憶部に格納し、
前記月経予測部が、
新たな月経開始日が入力されたときに、前回の月経期の終了後に前記記憶部に格納された前記月経周期による不調の情報の記録日と、前記新たな月経開始日より特定した前回の排卵日との間の相対的な日数を、それぞれの前記月経周期による不調の情報の不調相対日として算出する、不調相対日算出手段と、
前記月経周期による不調の情報と、前記不調相対日と、次回月経開始予定日より特定した排卵日と月経周期による不調発生確率算出対象日の間の相対的な日数と、を用いて、当該月経周期による不調発生確率算出対象日前後の所定日数内に月経周期による不調が発生する確率を算出する、月経周期による不調発生確率算出手段と、を備えることを特徴とする。
このように、排卵日を基準として不調相対日を算出する構成としても、月経周期による不調の発生について適切に予測を行うことができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、
前記月経周期による不調発生確率算出手段が、次回月経開始予定日より特定した排卵日と月経周期による不調発生確率算出対象日の間の相対的な日数と、前記不調相対日と、の差が所定日数内である前記月経周期による不調の情報の合計数を、経過した月経周期数で割ることで、前記月経周期による不調が発生する確率を算出することを特徴とする。
このように、不調発生確率算出対象日前後の不調の回数を合計することにより、月経周期に変動があり、それに伴って排卵日が予測からずれた場合でも、適切に不調発生確率を算出することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、
前記月経予測部が、前記記憶部に格納された過去の月経開始日のデータを用いて月経周期を算出し、月経周期が、ある周期日数となった回数と、当該周期日数の前後所定日数に含まれる周期日数となった回数を合計したものを当該周期日数の点数として、最も点数の高かった日数を通常の月経周期日数とする、月経周期算出手段を更に備え、
前記月経周期による不調発生確率算出手段が、前記次回月経開始予定日を、前記通常の月経周期日数に基づいて決定することを特徴とする。
このように、過去の複数の月経周期から通常の月経周期日数を算出し、それに基づいて次回月経開始予定日を決定することにより、不調発生確率の算出の精度を高めることができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、
前記体調予測システムが、気圧低下による不調が発生する確率を算出する、気圧低下による不調予測部をさらに有し、
前記体調分類手段が、前記体調変動に関する情報から気圧低下による不調の情報を判別して前記記憶部に格納し、
前記気圧低下による不調予測部が、
前記記憶部に格納された、過去の気圧低下情報と、前記気圧低下による不調の情報と、に基づいて、前記気圧低下による不調の回数を気圧低下が起こった回数で割ることで、気圧低下敏感度を算出する、気圧低下敏感度算出手段と、
外部の気象データを取得する手段と、
前記気圧低下敏感度に応じて、前記気圧低下による不調に対する警告を行う、気圧低下による不調予告手段と、を備えることを特徴とする。
このように、過去の不調データに基づいて、個人の気圧低下敏感度を確率で算出することによって、より詳細に当日の体調を予測、通知できるようになる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、
前記入力手段が、前記体調変動に関する情報の入力として音声による入力を受け付け、
前記体調分類手段が、前記音声による入力から所定の言葉を認識して、前記体調変動に関する情報を分類して前記記憶部に格納することを特徴とする。
このように、入力情報を分類して記憶することで、操作者が自由に入力を行うことができるようになり、一例として、人工知能との対話から情報を読み取ることも可能となる。これにより、入力が容易になり、操作者の負担が軽減される。
【0023】
本発明に係る体調予測方法は、
入力手段と、体調分類手段と、月経予測部と、記憶部と、出力手段と、を備える体調予測システムによる体調予測方法であって、
前記入力手段が
、月経開始日の情報を含む体調変動に関する情報の入力を受け付け、
前記体調分類手段が、前記体調変動に関する情報から
前記月経開始
日の情報を判別して前記記憶部に格納し、
前記月経予測部が、前記記憶部に格納された過去の
前記月経開始日
の情報を用いて月経周期を算出し、月経周期が、ある周期日数となった回数と、当該周期日数の前後所定日数に含まれる周期日数となった回数の合計を、経過した月経周期数で割ることで、月経開始日確率算出対象日前後の所定日数内に月経が開始する確率を算出し、それを当該月経開始日確率算出対象日の月経開始日確率とし、
前記出力手段が、前記月経開始日確率を出力することを特徴とする。
【0024】
本発明に係るサーバ装置は、
女性の体調変化を予測するサーバ装置であって、
記憶部と、
対象となる人物の
月経開始日の情報を含む体調変動に関する情報を取得する手段と、
前記体調変動に関する情報から、
前記月経開始
日の情報を判別
して前記記憶部に格納する手段と、
過去の
前記月経開始日
の情報を用いて月経周期を算出し、月経周期が、ある周期日数となった回数と、当該周期日数の前後所定日数に含まれる周期日数となった回数の合計を、経過した月経周期数で割ることで、月経開始日確率算出対象日前後の所定日数内に月経が開始する確率を算出し、それを当該月経開始日確率算出対象日の月経開始日確率とする、月経予測手段と、
前記月経開始日確率を端末装置に送信する手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
体調の変化をより正確に予測することができ、さらに従来のシステムでは有用な情報を提供できなかった月経不順者にも目安となる情報を提供することができる体調予測システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施形態に係る体調予測システムの構成を示す。本実施形態に係る体調予測システムは、体調情報を記録し、体調情報に基づいて身体の不調などの体調変動の予測を行うサーバ装置1と、利用者による音声入力の受け付けや、音声やディスプレイへの表示による出力などを行う端末装置2と、外部の気象情報データベース3と、によって構成される。
【0028】
図2は、本実施形態における体調予測システムの機能ブロック図である。ここに示すように、本実施形態における体調予測システムは、入力手段21と、入力内容から体調を判別して記憶部に格納する体調分類手段11と、記憶部12と、月経予測部13と、気圧低下による不調予測部14と、出力手段22と、を備える。記憶部12は、月経開始日記録と、月経周期による不調記録と、を保存する月経周期による体調変動記憶部121と、気圧低下が起こった日時と気圧低下による不調を保存する、気圧低下による不調記憶部122と、その他の原因による不調や体調記録を保存する、体調記録記憶部123と、の各記憶部を備える。
【0029】
サーバ装置1としては、CPUなどの演算装置、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの補助記憶装置、ネットワークNWへの接続手段を含む種々の入出力装置等を備えた、サーバ機器などの一般的なコンピュータ装置を利用することができる。より詳細には、補助記憶装置に予め、あるいは記録媒体からの複製などによって、上述したような各手段としてサーバ装置1を動作させるためのプログラムを格納しておき、それらのプログラムを主記憶装置上に展開して演算装置による演算を行い、入出力手段の制御などを行うことで、コンピュータ装置を本実施形態に係る体調予測システムにおけるサーバ装置1として利用することができる。なお、本実施形態においては、単一のコンピュータ装置によってサーバ装置1を実現する構成を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、サーバ装置1の備える各手段と、記憶部12を別個のコンピュータ装置によって実現する、といったように、複数のコンピュータ装置によってサーバ装置1を実現するような構成としてもよい。
【0030】
また、端末装置2としては、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、ネットワークNWへの接続手段や、入力手段21、出力手段22を含む種々の入出力装置等を備えた、一般的なコンピュータ装置を利用することができる。
図1においては、スマートフォン2aやコネクティッドカー2b、インターネット端末2cを例示するが、そのほかにも、ウェアラブルデバイスなどの通信可能な端末を用いてもよい。本実施形態においては、このような端末装置2を用い、1日に数回程度音声による入力を受け付け、後述するような処理を行うものである。また、気象情報の取得やそれに伴う処理に関しても、端末装置2による音声入力を受け付ける際、あるいは定期的に行うことを想定する。入力手段21は、音声入力に代えて、あるいはそれに加えて、文字による入力など他の入力を受け付けることができるような構成としてもよいし、出力手段22についても、音声による出力やディスプレイ表示による出力、それらを複合しての出力など、任意の方法で出力が可能な構成であればよい。
【0031】
なお、本実施形態においては、サーバ装置1が、体調分類手段11、記憶部12、月経予測部13、気圧低下による不調予測部14を、端末装置2が、入力手段21、出力手段22をそれぞれ備える構成を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、体調分類手段11を端末装置2が備えるような構成などをとってもよい。
【0032】
月経予測部13は、月経周期による体調変動記憶部121にアクセス可能で、月経周期算出手段131と、月経開始日確率算出手段132と、不調相対日算出手段133と、月経周期による不調発生確率算出手段134と、月経周期による不調予告手段135と、を有する。
【0033】
気圧低下による不調予測部14は、気圧低下による不調記憶部122と、気象情報データベース3にアクセス可能で、気圧低下敏感度算出手段141と、気圧低下による不調予告手段142と、を有する。
【0034】
図3は、本実施形態における全体の処理の流れを示す図である。ここに示すように、まず、ステップS101において、入力手段21により対象者の音声を認識し、
図11に示す体調音声入力処理を開始する。
【0035】
音声入力の受け付けに際しては、まずステップS901において対象者による呼び出しに反応して起動すると、ステップS902で本人確認を行い、本人確認ができなかった場合にはシステム全体の処理を終了する。本人確認ができた場合には、入力を受け付けてステップS903において
図12に示すように体調情報を分類する。
【0036】
体調情報の分類に際しては、まず、ステップS1001で対象者の音声入力を認識して、ステップS1002で月経開始または身体の不調に関する言葉の有無を判定する。月経開始または身体の不調に関する言葉が認識されなかった場合は、ステップS1003で体調記録情報に分類して体調分類を終了する。なお、ここでの体調変動に関する言葉とは、月経開始を示す言葉や、月経周期や気圧低下、その他の種々の要因による身体の不調を示す言葉などを指すものである。このような、体調変動に関する言葉は、予め、それが示す意味(月経開始や、想定される不調の要因など)と紐づけて登録される。
【0037】
ステップS1002で月経開始または身体の不調に関する言葉が認識された場合は、更にステップS1004において月経開始に関する言葉の有無を判定し、月経開始に関する言葉が認識された場合は、ステップS1005で月経開始情報に分類してステップS1006に進む。ここで、月経開始に関する言葉とは、たとえば、「生理」や「月経」などである。
【0038】
ステップS1006においては、気圧低下に特徴的な不調に関する言葉の有無を判定し、気圧低下に特徴的な不調に関する言葉が認識された場合は、ステップS1007において、気圧低下による不調情報に分類してステップS1008に進む。ここで、気圧低下に特徴的な不調に関する言葉とは、たとえば、「頭痛」、「首の痛み」、「めまい」、「神経痛」、「関節痛」などである。
【0039】
ステップS1006において気圧低下に特徴的な不調に関する言葉が認識されない場合は、ステップS1008に進む。ステップS1008においては、月経周期に特徴的な不調に関する言葉の有無を判定し、月経周期に特徴的な不調に関する言葉が認識された場合は、ステップS1009において、月経周期による不調情報に分類して体調分類を終了する。ここで、月経周期に特徴的な不調に関する言葉とは、たとえば、「頭痛」、「腹痛」、「腰が重い」、「眠気」、「のぼせ」などである。ここで、「頭痛」のように、気圧低下に特徴的な不調と、月経周期に特徴的な不調に共通する言葉が認識されると、ステップS1007およびステップS1009で気圧低下に特徴的な不調と月経周期に特徴的な不調の両方に分類されることになる。
【0040】
ステップS1008において月経周期に特徴的な不調に関する言葉が認識されない場合は、ステップS1010において体調記録情報に分類して体調分類を終了する。
【0041】
以上のようにして、
図11におけるステップS903の体調分類が終了すると、ステップS904において、確認のために再質問を行う。これに対してステップS905において分類の内容とその記録に対する対象者の同意の有無を判定し、同意が得られない場合は体調音声入力を終了する。
【0042】
ステップS905で対象者の同意が得られた場合は、ステップS906において体調変動の日時の取得を行い、ステップS907において、月経開始情報または月経周期による不調情報であれば月経周期による体調変動記憶部121に、気圧低下による不調情報であれば気圧低下による不調記憶部122に、体調記録情報であれば体調記録記憶部123に、それぞれ格納して、体調音声入力を終了する。
【0043】
以上のようにして、
図3のステップS101における体調音声入力が終了すると、ステップS102においては月経開始情報の入力の有無が判定され、ステップS109においては
図9に示す気圧低下敏感度算出が開始する。
【0044】
ステップS102において月経開始情報の入力がなかった場合、ステップS107における、
図8に示す月経周期による不調予告が開始される。
【0045】
月経開始情報の入力があった場合、ステップS103における、
図4に示す月経周期算出が開始される。
【0046】
まず
図4に示す月経周期算出の流れを説明する。月経周期算出においては、ステップS201において、初回の処理か否かの判定を行う。ここで「初回の処理」とは、月経周期による体調変動記憶部121に過去の月経に関する情報がない状態における処理を指す。これは、操作者の入力に基づいて行うような構成としてもよいし、単に、月経周期による体調変動記憶部121に過去の月経に関する情報がない場合に、初回の処理であると判定するような構成としてもよい。
【0047】
ステップS201において初回の処理であると判定された場合、続くステップS202において、操作者による月経周期の入力を受け付ける。これはすなわち、操作者が自身の標準的な月経周期として把握している日数の入力の受け付けである。これにより、過去のデータがない場合でも個人の月経周期に基づく予測が可能になる。これに加えてステップS203においてさらに直前の月経開始日の入力を受け付ける。なお、ステップS201における初回の処理かどうかの判定、ステップS202における月経周期の入力、ステップS203における直前の月経開始日の入力を省略し、月経周期による体調変動記憶部121に保存された情報のみによって処理を行うような構成としてもよい。
【0048】
ステップS204においては、月経周期による体調変動記憶部121に格納された前回の月経開始日(あるいはステップS203において入力された直前の月経開始日)からの日数により、今回の月経周期を算出する。次に、ステップS205において、ステップS204で算出した今回の月経周期が、所定の正常月経周期の範囲に入るか否かの判定を行う。ここで、今回の月経周期が正常月経周期の範囲に入らない場合は、正常な月経が起こっていない可能性があり、月経周期を正確に算出できなくなるため、月経周期による体調変動記憶部121に保存された操作者の月経周期を更新せずに処理を終了する。なお、ここでの正常月経周期の範囲は、一般的に知られる25日〜38日としてもよいし、適宜変更してもよい。
【0049】
正常月経周期の範囲内だった場合は、今回の月経周期の日数を月経周期による体調変動記憶部121に格納し、ステップS206において、月経周期による体調変動記憶部121のデータに基づいて、月経周期がある周期日数となった回数と、当該周期日数の前後所定日数に含まれる周期日数となった回数を合計したものを当該周期日数の点数として算出する。
【0050】
そして、ステップS207において、ステップS206で算出した各周期日数の点数に関する判定を行う。ここで、最高点を持つ周期日数が1つである場合はその周期日数を、2つで連日の場合はそのうち短い方の周期日数を、ステップS208において通常の月経周期として採用する。一方、ステップS207において、最高点を持つ周期日数が3つ以上、または2つで連続でない場合は、正確な月経周期の判定ができないものとして、処理を終了する。
【0051】
例として、各周期日数の点数を前後1日、つまり当該周期日数を含む3日分に含まれる周期日数となった回数の合計とする場合の通常の月経周期の計算を、表1を参照して説明する。この表は、各列に、月経周期日数、実際の月経周期の回数(上述した、月経周期がある月経周期となった回数)、各周期日数の点数を示すものである。
【0053】
ここでは先に述べたように、各周期日数の点数を、当該周期日数を含む3日分に含まれる周期日数となった回数の合計としている。たとえば周期日数28日の点数を計算する際には、周期日数28日となった回数(2)に、27日となった回数(1)と29日となった回数(4)を足し合わせて、7点となる。このようにして各周期日数についての得点を計算すると、最高点は周期日数30日の17点となるため、30日を通常の月経周期として採用することができる。
【0054】
なお、ここでは、各周期日数の点数を、当該周期日数を含む3日分に含まれる周期日数となった回数の合計とする例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、たとえば、前後2日、つまり当該周期日数を含む5日分に含まれる周期日数となった回数の合計としてもよいし、そのほか当該周期日数前後の任意の範囲の周期日数となった回数の合計を利用することが可能である。
【0055】
図3において、ステップS103が終了すると、ステップS104において
図5に示す月経開始日確率算出が開始する。
【0056】
月経開始日確率算出においては、まず、ステップS301において、ステップS103で算出された月経周期をもとに決定した月経開始予定日と実際の月経開始日との差を算出し、ステップS302において、
図4におけるステップS204で算出した今回の月経周期が、所定の正常月経周期の範囲に入るか否かを判定し、正常月経周期の範囲に入らない場合は、正常な月経が起こっていない可能性があり、月経周期を正確に算出できなくなるため、月経開始日確率を算出せずに処理を終了する。ここで、正常月経周期の範囲は、一般的に知られる25日〜38日としてもよいし、適宜変更してもよい。なお、ここではステップS103において算出された月経周期をもとに月経開始予定日を決定しているが、前回の計算によって算出された月経開始日確率が最も高い日を月経開始予定日としてもよい。
【0057】
なお、ステップS301において算出した、月経開始予定日と実際の月経開始日との差については、そのまま出力してもよいし、記録として保管して後で呼び出せるようにしてもよい。
【0058】
正常月経周期の範囲内だった場合は、ステップS303において、月経周期による体調変動記憶部121のデータに基づいて、月経周期が、ある周期日数となった回数と、当該周期日数の前後所定日数に含まれる周期日数となった回数を合計し、ステップS304でこれを経過した月経周期数で割ることで、月経開始日確率算出対象日前後の所定日数内に月経が開始する確率を算出し、ステップS305においてそれを当該対象日の月経開始日確率として、月経周期による体調変動記憶部121に記録する。
【0059】
例として、「前後の周期日数となった回数の合計」を前後1日、つまり当該周期日数を含む3日分に含まれる周期日数となった回数の合計とする場合の月経開始日確率の計算を、表2を参照して説明する。この表は、各列に、月経周期日数、実際の月経周期の回数(上述した、月経周期がある月経周期となった回数)、前後の周期日数となった回数の合計、月経開始日確率を示すものである。
【0061】
ここでは先に述べたように、「前後の周期日数となった回数の合計」を、当該周期日数を含む3日分に含まれる周期日数となった回数の合計としている。たとえば今回の月経周期が周期日数28日となる確率、つまり前回の月経開始日から28日後の月経開始日確率は、周期日数28日となった回数(2)に、27日となった回数(1)と29日となった回数(4)を足し合わせて、それを経過した月経周期数(33)で割って、100×7÷33=21%として算出することができる。
【0062】
なお、ここでは、各周期日数の前後1日、つまり当該周期日数を含む3日分に含まれる周期日数となった回数の合計をもとにした確率の算出を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、たとえば、前後2日、つまり当該周期日数を含む5日分に含まれる周期日数となった回数の合計を利用してもよいし、そのほか当該周期日数前後の任意の範囲の周期日数となった回数の合計を利用することが可能である。
【0063】
次に、ステップS105における月経周期による不調記録の相対日算出について、
図6を参照して説明する。不調相対日算出においては、まず、ステップS401において、月経周期による体調変動記憶部121の不調記録を取得する。次にステップS402において、
図4のステップS204で算出した今回の月経周期が所定の正常月経周期の範囲に入るか否かを判定し、正常月経周期の範囲に入らない場合は、正常な月経が起こっていない可能性があり、月経周期に対する相対日を正確に算出できなくなるため、不調相対日を算出せずに処理を終了する。ここで、正常月経周期の範囲は、一般的に知られる25日〜38日としてもよいし、適宜変更してもよい。
【0064】
正常月経周期の範囲内だった場合は、ステップS403に進み、前回の月経開始日から所定日数経過後に月経周期による体調変動記憶部121に格納された不調記録について、その不調の日から新たな月経開始日までの相対的な日数を、それぞれの不調記録についての不調相対日として算出する。たとえば、1月1日に不調が入力され、その後1月10日に月経開始情報が入力された場合、1月1日の不調の不調相対日は9日となる。最後にステップS404において、算出した不調相対日を月経周期による体調変動記憶部121に格納して処理を終了する。
【0065】
ここで、ステップS403において、前回の月経開始日から所定日数以内に記録された不調について、不調相対日の算出の対象から除いているが、これは、月経期における不調の多くは、その月経の開始日から数日間にみられるものであり、予測の意義が薄いためである。なお、前回の月経開始日から所定日数以内に記録された不調について、前回の月経開始日からの日数により、月経期における不調の不調相対日として別途算出するような構成としてもよい。
【0066】
また、ここで、排卵日から月経開始までの期間には個人差がなく、14日を中心に12日〜16日の間で変動するという知見に基づき、不調の日から新たな月経開始日までの日数に代えて、あるいはそれに加えて、不調の日と排卵日との間の相対的な日数を不調相対日として算出するような構成としてもよい。なお、排卵日は、例えば、不調の記録日の次の月経開始日から14日前とする、といったようにして特定すればよい。
【0067】
図3のステップS105が終了すると、ステップS106において
図7に示す月経周期による不調発生確率算出が開始する。
【0068】
月経周期による不調発生確率算出においては、まず、ステップS501において対象日から次回の月経開始予定日までの相対的な日数を算出する。なお、ここでの対象日とは、不調発生確率を算出する日のことを指す。これは、排卵日から月経開始までの期間には個人差がなく、14日を中心に12日〜16日の間で変動するという知見に基づく。このように、対象日から次回の月経開始予定日までの日数を用いて月経周期による不調発生確率を算出することにより、月経周期が異なる対象者や、月経周期に変動があった場合でも、排卵日を前後して大きく変化する女性ホルモンの変動との相対関係が確立される。
【0069】
なお、ステップS501における日数の算出において、次回の月経開始予定日は、ステップS103において算出された通常の月経周期をもとに決定すればよい。あるいは、ステップS104において算出した月経開始日確率の最も高い日から決定するなど、他の方法によって決定してもよい。
【0070】
次にステップS502で月経周期による体調変動記憶部121を参照して、ステップS503で対象日から次回の月経開始予定日までの日数と、月経周期による不調の不調相対日を照らし合わせて、対象日前後の不調回数を合計する。これはすなわち、対象日から次回の月経開始予定日までの日数と、不調相対日との差が所定の日数内である不調を計数する処理である。次に、ステップS504において、対象日前後の不調回数の合計を、経過した月経周期数で割ることにより、月経周期による不調発生確率を算出し、ステップS505で月経周期による体調変動記憶部121に格納し、処理を終了する。
【0071】
例として、対象日の前後1日、つまり対象日を含む3日分に含まれる期間のうち月経周期による不調が発生した日数を用いる場合の不調発生確率の計算を、表3を参照して説明する。この表は、各列に、次回月経開始予定日までの日数(相対日)、各相対日における不調記録の回数、各相対日前後(ここでは3日間)の不調記録の回数の合計、不調発生確率を示すものである。
【0073】
ここでは、先に述べたように、「各相対日前後の不調記録の回数の合計」を、対象日を含む3日分に含まれる不調記録の回数の合計としている。たとえば月経開始予定日の14日前における不調発生確率は、月経開始予定日の14日前における不調回数(4)に、月経開始予定日の15日前における不調回数(5)と月経開始予定日の13日前における不調回数(1)を足し合わせて、それを経過した月経周期数(14)で割って、100×10÷14=71%として算出することができる。
【0074】
なお、ここでは、ステップS503において対象日の前後1日、つまり対象日を含む3日分に含まれる期間のうち月経周期による不調が発生した日数を用いて不調発生確率を算出する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。たとえば、前後2日、つまり対象日を含む5日分に含まれる日のうち、月経周期による不調が記録されている日数を用いてもよいし、そのほか対象日の前後任意の範囲で月経周期による不調が記録されている日数の合計を用いることが可能である。このように、対象日前後の不調回数を合計することにより、月経周期に変動があった場合でも、適切に不調発生確率を算出することができる。なお、この時算出した不調発生確率が1を超える場合があるが、その場合については、1を超えた分は切り捨てる等の操作をして出力してもよい。
【0075】
また、先に述べたように、不調相対日の算出におけるステップS403で、不調の日と排卵日との間の相対的な日数を不調相対日として算出している場合には、ステップS503で、対象日と排卵日の間の相対的な日数と、月経周期による不調の不調相対日を照らし合わせて、対象日前後の不調回数を合計するような処理を行えばよい。これはすなわち、排卵日と対象日の間の相対的な日数と、前記不調相対日と、の差が所定日数内である不調の計数を行う処理である。なお、ここでの排卵日は、例えば、次回の月経開始予定日から14日前とする、といったようにして特定すればよい。
【0076】
なお、ここではステップS103からステップS106までの各処理について、月経開始情報が入力された際に行う構成、すなわち、月経開始情報が入力された際に、次回の月経開始日までの各日について、月経開始日確率と、月経周期による不調発生確率を算出する処理を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、月経開始情報が入力されなくても定期的に、または操作者の入力により、これらを算出してもよい。つまり、ある程度過去の情報が蓄積されれば、新たな入力がなくても、過去の月経開始日や不調の情報に基づいて、月経周期と、月経開始日確率と、月経周期による不調発生確率と、を算出することができるため、そのような処理を行う構成としてもよい。
【0077】
以上のようにして、
図3のステップS106における不調発生確率の算出が終了すると、ステップS107において
図8に示す月経周期による不調予告を開始する。
【0078】
月経周期による不調予告においては、まず、ステップS601において月経周期による体調変動記憶部121に格納された任意の日の月経周期による不調発生確率を参照して、ステップS602において月経周期による不調発生確率を一つ目の基準値と比較し、不調発生確率が当該基準値を上回った場合に、ステップS603において月経周期による不調の警報を、出力手段22により出力する。また、ステップS602において不調発生確率が下回った場合、ステップS604において不調発生確率をさらに一つ目の基準値よりも低い別の基準値と比較し、不調発生確率が上回った場合、ステップS605において不調の注意報を、出力手段22により出力する。なお、警報や注意報を出力する基準値の設定数を変更し、対象日の不調発生確率によって警告の強度を、より詳細に変更するような構成としてもよい。また、ここでの出力には、音声による出力やディスプレイへの表示による出力、それらを複合しての出力など、任意の方法を用いることができる。
【0079】
ステップS107における月経周期による不調予告が終了すると、ステップS108において出力手段22により、ステップS104において算出し、月経周期による体調変動記憶部121に記録した月経開始日確率が出力される。ここでの出力についても、音声による出力やディスプレイへの表示による出力、それらを複合しての出力など、任意の方法を用いることができる。
【0080】
次に、
図3のステップS109における気圧低下敏感度算出の流れについて、
図9を参照して説明する。ここで、本実施形態においては、気圧情報の取得について、本発明に係るシステムが起動した時に、前回の起動から現在までの間の気圧情報をまとめて取得し、気圧低下を判定する。また、ここで気圧低下とは、対象者付近の気圧が、所定の値を超える幅で下降することを意味する。なお、気圧情報の取得について、常に気象情報データベース3から取得して蓄積し、気圧低下敏感度算出の際に参照するような構成としてもよい。
【0081】
気圧低下敏感度算出においては、まずステップS701において、前回の気圧低下敏感度算出から現在までの対象者付近の気圧情報を気象情報データベース3から取得し、ステップS702において前回の算出から今回の算出までの間に気圧低下があったかどうかを判定し、気圧低下がない場合は処理を終了する。気圧低下があったと判定されると、ステップS703において、気圧低下による不調記憶部122に気圧低下回数を記録する。2回目以降の記録の場合は、気圧低下による不調記憶部122に保管されている気圧低下回数に加算する。
【0082】
次に、ステップS704において、気圧低下による不調記憶部122から気圧低下による不調記録を取得し、ステップS705において、ステップS701で取得した気圧情報と照らし合わせて、その不調時点で気圧低下があったかどうかを判定する。気圧低下がなければステップS707に進む。気圧低下があった場合には、ステップS706において気圧低下に対する反応回数を記録する。2回目以降の記録の場合は、気圧低下による不調記憶部122に保管されている気圧低下に対する反応回数に加算する。ステップS707においては、対象者の気圧低下に対する反応回数を対象者付近で気圧低下が起こった回数で割ることで、気圧低下に対する対象者の不調発生確率を算出する。最後にステップS708で、これを気圧低下敏感度として気圧低下による不調記憶部122に格納する。
【0083】
図3のステップS109が終了すると、ステップS110において、
図10に示す気圧低下による不調予告を開始する。
【0084】
気圧低下による不調予告においては、まずステップS801において、気象情報データベース3より対象者付近の気圧予報を取得し、ステップS802において気圧低下予報の有無を判定する。気圧低下予報がなければ、予告を行わずに処理を終了する。気圧低下予報が入力されると、ステップS803において、気圧低下による不調記憶部122から対象者の気圧低下敏感度を取得し、ステップS804において基準値と比較して、基準値を上回ればステップS805で不調の警報予告を、基準値を下回ればステップS806で不調の注意報予告を、出力手段22により出力する。なお、警報や注意報を出力する基準値を複数設定し、対象者の気圧低下敏感度に応じて警告の強度を変えてもよい。また、ここでの出力には、音声による出力やディスプレイへの表示による出力、それらを複合しての出力など、任意の方法を用いることができる。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る体調予測システムによれば、女性の体調が大きく変化する月経開始予定日を詳細に知ることができ、月経不順者にも目安となる情報を提供することができるようになる。また、次回の月経開始前に発生する不調について適切に予測を行うことが可能となる。さらに、過去の不調データに基づいて、個人の気圧低下敏感度を算出することによって、より詳細に当日の体調を予測、通知できるようになる。
【0086】
なお、本実施形態においては、サーバ装置が体調分類手段11、記憶部12、月経予測部13のほか、気圧低下による不調予測部14を有し、また月経予測部13が月経周期による不調発生確率の算出を行う構成を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、サーバ装置1が気圧低下による不調予測部14を有しない構成や、月経予測部13が不調相対日算出手段133および月経周期による不調発生確率算出手段134を有しない構成など、一部を省略するような構成としてもよい。
音声入力より女性の月経開始や身体の不調に関する情報を取得し、また、気象データを取得することで、個人の月経周期と、その日に月経が開始する確率と、月経周期による不調が発生する確率と、気圧低下に対する個人の敏感度と、を算出して身体の不調に対して事前の警告を行う、総合的な体調管理システムを提供する。