(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装飾物保持部材(30)の他に、収納による保持力を利用した前記保持手段として略平面形状のポケット部材(31)又はポケット開口部(34)を有する袋状ポケット部材(33)を備えたことを特徴とする請求項4から請求項12の何れかに記載の装飾機能付き案内表示物(2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
看板としての表示機能を損なわず、表示部材のあらゆる場所に自由に生花や小物を用いた装飾機能を発揮し、被掲示構造物の形状に対応できる装飾機能付きシート状案内表示物の製造方法に関する技術提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、装飾物を保持する保持手段を有する案内表示物を製造する方法であって、シート部材に、スリットと、装飾物保持部材と、を設ける構成から成り、前記シート部材は、全部又は一部を表示可能領域とする可撓性を有するシート状であり、前記スリットは、前記シート部材に前記装飾物を挿通させる際に開口する挿通穴となり、前記シート部材の任意位置に少なくとも1以上を設け、前記装飾物保持部材は、前記スリットから挿通される前記装飾物に対応する大きさ及び位置に設ける手段を採用する。
【0010】
また、本発明は、前記装飾物の前記保持手段が、前記装飾物を保持する領域への収納、前記装飾物を当接、前記装飾物を摩擦、前記装飾物を挟持、又は前記装飾物を結合、の何れかを利用する手段を採用することもできる。
【0011】
また、本発明は、前記保持手段が収納である場合において、装飾物保持領域を形成するための前記装飾物保持部材にポケット部材を用い、該ポケット部材は略平面的形状を有し、ポケット開口部を除いて前記シート部材に係止する手段を採用することもできる。
【0012】
また、本発明は、前記保持手段が収納である場合において、装飾物保持領域を形成するための前記装飾物保持部材に袋状ポケット部材を用い、該袋状ポケット部材は一部が開口したポケット開口部を有する袋状の形状であり、該ポケット開口部の一部又は全部の縁部と、前記スリットによって開口する前記挿通穴の一部又は全部の縁部と、をそれぞれ係止する手段を採用することもできる。
【0013】
また、本発明は、前記保持手段が当接によるものである場合において、二重に配置した前記シート部材の一方に、前記スリット及び前記装飾物保持部材を備え、他方の前記シート部材は挿入される前記装飾物に当接させることで前記装飾物保持部材として利用する手段を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、前記保持手段が摩擦によるものである場合において、前記装飾物保持部材に小シート部材を用い、該小シート部材は、挿通する前記装飾物を摩擦力によって保持するため小スリットを有した小片であり、前記装飾物を前記小スリットへ挿通し、該挿通により発生する摩擦によって前記装飾物を保持する手段を採用することもできる。
【0015】
また、本発明は、前記保持手段が結合によるものである場合において、前記装飾物保持部材に紐、磁石、又は面ファスナーの結合部材を用い、該締結部材は前記スリットと対応する前記シート部材の裏面に位置する個所に設けられ、前記装飾物を保持する手段を採用することもできる。
【0016】
また、本発明は、前記保持手段が挟持によるものである場合において、前記シート部材の対向する一組の両辺にファスナーを用い、該ファスナーに設けられるスライダーによる開口を前記スリットとし、前記スライダーを前記装飾物保持部材とする手段を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、前記何れかに記載された手段により製造される構成の表示物とすることもできる。
【0018】
また、本発明は、前記シート部材の裏面側に板状部材を配置させることにより、前記装飾物保持部材に収納された前記装飾物によって前記表示可能領域の表面形状の変化を抑制した構成を採用することもできる。
【0019】
また、本発明は、前記シート部材に有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を用いた構成を採用することもできる。
【0020】
また、本発明は、前記シート部材を折り曲げることによるか、若しくは複数の前記シート部材の一辺が結合されていることにより、少なくとも2以上の異なる方向に向かって前記装飾物を保持する構成を採用することもできる。
【0021】
また、本発明は、前記装飾物に植物を用いる場合に、前記装飾物保持部材が排水機能を備えている構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物及びその製造方法によれば、既にシート状の表示物に表され、若しくはこれからシート状の標示物に表示される広告や宣伝のための文字、或いは図柄などのデザインの邪魔をすることなく生花やお洒落な雑貨等による自由な装飾が可能であり、お洒落で独創的な看板として機能するという優れた効果を奏するものである。
【0023】
また、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物及びその製造方法によれば、素材のすべてが可撓性や弾性、或いは伸縮性を有する素材で構成されていることから、柱や壁などの多様な物品の形状に対応して装着できるという優れた効果を発揮するものである。
【0024】
また、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物及びその製造方法によれば、構成部材が極めて少なく、また少ない工程で製作が可能なため、コストを抑えることが可能となるといった優れた効果を発揮するものである。
【0025】
また、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物及びその製造方法によれば、装飾物に立体的な小物等を用いることとなり、従来の平面的な表示物では注意を惹くことができなかった側方からの係る小物等を目視でき、広告媒体として看者の注目度を高める優れた効果を発揮するものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物の製造方法1は、表面に看板としての表示機能を有する表示物であって、可撓性を有するシート部材10と、該シート部材10の表示可能領域11の表示機能を妨げない任意の位置へ、少なくとも1以上のスリット20を備え、その裏面には該スリット20の位置に対応して装飾物保持部材30を設けることにより、前記シート部材10の表面側からスリット20を介して装飾物保持部材30で装飾物Sを保持させることにより装飾機能を備えることを可能とする方法であることを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて本発明を説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物の製造方法1の基本構成を説明する構成説明図である。
図1(a)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の平面図であり、
図1(b)は、断面図であり、
図1(c)は、背面図であり、
図1(d)は、装飾物保持部材30の拡大図である。
図1に示す通り、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物の製造方法1により製造され、又は製造されるシート状の表示物は、看板と同様な表示可能領域11を有する表示物に、少なくとも1以上のスリット20を設け、該スリット20に対応する位置に装飾物保持部材30を備える方法により、看板としての機能を損なわない任意の位置に、装飾機能を発揮させる構成であることを示している。
【0029】
シート部材10は、可撓性を有する一枚の布状体であれば特に限定されるものではなく、布製、ビニール製、紙製等、表面に文字や図柄を表示できるものであれば、透明、不透明、或いは色彩なども限定されるものではない。なお、シート部材10は表示可能領域11となるため、耐水性や強度に優れた素材が望ましく、水性ペン等で何度も書き換えが可能な素材であることが更に望ましい。例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)や、PP(ポリプロピレン)等の耐候性に優れた樹脂製シートを用いれば、透明や白色、更には黒色など色彩の選択幅も広く、POP(Point of Purchase)広告等のお洒落な表現などもできる点で有効な素材といえる。なお、藍染め等の色付けが既にされている布状部材等の暖簾やのぼり等では、その素材のままで利用することが可能である。
【0030】
また、シート部材10に有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を用いることも有効である。有機ELは電圧を加えることで発光する特性を有し、全面に文字や画像等を表示することができるため、シート部材10として利用することができる。また、有機ELは、可撓性を有するため角度を変えて表示することも可能であり、全体の表示のみならず、部分的に分割してそれぞれ独立した領域毎に異なる方向に向かって動画等の映像を表示することも可能となる。但し、スリット20を設けると、各画素毎に発光素子が構成されているため、これを切断してしまうと、所定の領域の表示機能を失うこととなる。そこで、スリット20を設ける際には十分に注意し、スリット20を設ける位置を正確に特定して行うことが必要である。
【0031】
表示可能領域11は、シート部材10の表面に広告等の情報を表示する部分であり、基本的な構成としてはシート部材10の表示側全面をその領域とすることとなる。但し、係る構成に限定されるものではなく、独立したシート部材10を張り付けて、その領域とする表示可能領域11とする構成でもよい。係る表示可能領域11へ広告等を表示する手段としての表示可能領域11となるシート部材10の表面に直接水性ペン等の筆記具を用いて広告等を表示する態様の他、印刷されたプリント物や写真を張り付ける表示手段を採用してもよい。更に、シート部材10に専用の表示可能領域11のためのシートを剥離可能な粘着剤により張り付ける構成も有効である。
【0032】
係止部12は、シート部材10に必要に応じて縁部などに設けられ、該係止部12はフック部材や紐状部材に介して、被掲示物に取り付けるための穴部やスリット等である。
【0033】
スリット20は、シート部材10に設けられる挿通穴21であって、装飾物Sを表示可能領域11側から背面の装飾物保持部材30へ挿入するための開口部となり、複数設けて汎用性を高める構成とした場合であって、一部のスリット20しか使用しない場合でも、スリット20は可能な限り隙間が空かないようにすることで、表示可能領域11の機能を妨げない構成とすることが望ましい。なお、スリット20の配置構成としては、図面に示した構成は多数スリット20を配置し、どこにでも装飾機能の発揮を可能とする汎用性の優れた実施例として示したものであり、係る構成に限定されるものではなく、例えば、四隅や縁部のみにスリット20を配置し、できるだけ表示可能領域11の表示領域を妨げない構成とする態様も有効である。逆に、シート部材10を埋め尽くすほどの数を設け、装飾の自由度を高めることも有効である。
【0034】
装飾物保持部材30は、シート部材10に配置されるスリット20の位置に対応して表示可能領域11側の背面側に設けられる装飾物Sを保持するための部材である。係る装飾物保持部材30の数、大きさ、或いは形状については特に特定した場合を除き限定されるものではなく、例えば、小さい装飾物保持部材30を大きい装飾物保持部材30で重畳的に覆う構成であったり、かわいらしい形の形状とするなど、自由にシート部材10の裏面に形成すればよい。
【0035】
ポケット部材31は、略平面状のシートを略U字状に係着させることによって、シート部材10の背面に装飾物保持領域32を形成する部材である。
【0036】
装飾物保持領域32は、装飾物保持部材30を配置する位置に、ポケット部材31、袋状ポケット部材33、背面シート部材40、若しくは小シート部材60により係止されることで得られる空間領域であって、装飾物Sを収容するために必要な領域となるものである。また、装飾物保持領域32は、前記同様スリット20によって開口する開口縁部から下方に向かって形成されるようにする。なお、大きさが異なるポケット部材31を重畳的に配置して、小さなポケット部材31を大きなポケット部材31で覆わせて、装飾物保持領域32を多重に構成することも有効である。また、
図1(d)に示すように、装飾物保持領域32内のシート部材10側に非可撓性素材の板状部材35を設けて、装飾物保持領域32内に装飾物Sを収納することで表示可能領域11となるシート部材10に変形を与えないようにする構成を採用することも有効である。
【0037】
板状部材35は、ポケット部材31を用いる装飾物保持領域32を形成する場合に用い、その該領域内に収容される装飾物Sの形状や大きさによって、シート部材10の表示可能領域11に変形を生じさせることがないように規制するための板状の部材であり、
図1(d)に示したものは装飾物保持部材30にポケット部材31を用いた場合を例示したものである。従って係る構成に限定されるものではなく、素材や形状によって大きく効果が変わらない範囲において変更することも可能である。また、薄くて変形しにくい樹脂製のものやゴム製等を用いることが有効である。なお、図面には示していないが、ポケット部材31を用いる場合に、係る板状部材35を装飾物保持領域32のシート状部材10側の一面とし、ポケット部材31を係着させて多面とした装飾物保持領域32とすることも有効である。
【0038】
図2は、本発明に係る装飾物Sを保持するための構造を説明し、
図2(a)は係る装飾物保持部材30に袋状ポケット部材33を用い装飾物保持領域32を形成させる実施例であり、
図2(b)は装飾物保持部材30に袋状ポケット部材33を用い、該袋状ポケット部材33の開口する縁部の一部又は全部とスリット20による開口縁部を係止させた状態の実施例を示す断面図である。
【0039】
図2(a)に示す実施例では、装飾物保持部材30をスリット20による開口縁部に形成するため、袋状ポケット部材33を備えて、ポケット開口部34の一辺とスリット20による開口縁部の一辺とを係止する構成を示し、
図2(b)に示す実施例では、装飾物保持部材30をスリット20による開口縁部に形成するため、袋状ポケット部材33を用い、ポケット開口部34の両辺をスリット20による開口縁部の両辺とそれぞれを係止する構成を示している。
【0040】
袋状ポケット部材33は、上部が開口する袋であって、シート部材10の背面に装飾物保持領域32を形成する部材である。
【0041】
ポケット開口部34は、袋状ポケット部材33における係止されない縁部を外周とする開口部である。
【0042】
図2(a)の構成により、装飾物保持領域32へ装飾物Sを収容する場合には、シート部材10に直接装飾物Sが接触することの無いようにしているため、前記の
図1(b)に示す構成と比較して、表示可能領域11の表示機能を損なうことを防止する効果を発揮する構成とするものである。
【0043】
また、
図2(b)の構成は、前記説明した
図2(a)の構成と同様の効果を発揮するとともに、更に別の効果的特徴を備えることができる構成である。
図2(a)に示した構成では、スリット20と袋状ポケット部材33とが一辺のみを係止するが、装飾物保持領域32に収容する装飾物Sが重いと、スリット20の下側の開口辺が下方へ引っ張られ、スリット20が大きく開口してしまう。そうすると反対側が見えてしまい、看板としての美しさや機能を損ねる場合もある。
【0044】
そこで、装飾物Sが重い場合などでは、
図2(b)の構成を採用することが有効である。即ち、袋状ポケット部材33のポケット開口部34の一辺とスリット20の挿通穴21の一辺を係止し、袋状ポケット部材33の他辺とスリット20の挿通穴21の他辺をそれぞれ係止する構成を採用すれば、スリット20が開口しても、該袋状ポケット部材33の存在により、背面側が見えることもなく、また、袋状ポケット部材33のポケット開口部34全体がスリット20の挿通穴21全体と一体となるため、装飾物Sの重量が両辺に作用し、
図1(a)、及び
図2(a)に示す構成と比較すると、装飾物保持領域32内に収容された装飾物Sの形状等による影響を受けて、シート部材10への変形等を抑え、表示可能領域11の表示機能を損なうことを防止する効果を発揮する構成とするものである。
【0045】
図3は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物の製造方法1を利用した表示物の構成において、前面側と背面側に表示可能領域11を設けた構成を示し、
図3(a)は、略平面状のポケット部材31によって装飾物保持部材30を備える構成の実施形態を示し、
図3(b)は袋状ポケット部材33によって装飾物保持部材30を備える構成の実施形態を示し、
図3(c)はポケット部材31等を使用せずに、二重に配置したシート部材10を装飾物保持部材30として利用する構成を示している。
【0046】
図3は、上部で折り返して前面側及び背面側の何れにも表示可能領域11を設けたい場合の構成を示しており、係る場合には装飾物保持部材30の配置に注意をすることが必要である。即ち、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、それぞれの背面側に配置される装飾物保持部材30のポケット開口部34が装飾物保持領域32の上側となるように、ポケット部材31又は袋状ポケット部材33を係止することが必要となる。また、
図3(c)は、挿通穴21から挿通された装飾物Sがシート部材10に当接することによって保持される構成の実施形態を示している。未だ何も広告が記載されていない場合では、自由な位置と数のスリット20と、これに対応するポケット部材31又は袋状ポケット部材33、若しくは背面シート部材40を、予定される広告等の文字や図形を避けて設ける(
図8)。
【0047】
なお、
図3では、シート部材10を上部で折り返す1枚構成のものを示しているが、2枚の一辺を縁部で結合させたものでも良い。
図3(c)の構成のように、挿通穴21から挿通された装飾物Sがシート部材10に当接することによって、もう一枚のシート部材10を装飾物保持部材30として利用とする態様である。保持させる構成の実施形態も、部品点数を極めて少なくすることができる点で、有効である。
【0048】
そしてまた、既にシート部材10の表示可能領域11内に広告等の表示が表されている場合では、係る表示可能領域11でもスリット20を設けて、これに対応するポケット部材31又は袋状ポケット部材33、若しくは背面シート部材40を設けることも有効である。係る前面側と背面側でそれぞれ別の内容の広告を示す構成を具体的に例示した
図8(d)を用いて、説明する。例えば、文房具店の入り口に向かう人に対して見える側の表示可能領域11には、集客を高めるためのセールや限定品
などの情報を文字や図形によって表し、装飾物Sには見本品となる文房具を用い、店内から見える側には、来店に対するお礼を込めた文字等を表示可能領域11に表し、装飾物Sには、次の来店を促すためのパンフレットやノベルティー品を用いる構成なども有効である。
【0049】
図4は、装飾機能付きシート状案内表示物の製造方法1の第二の構成を示す構成説明図である。前述の基本構成と異なり、シート部材10に背面シート部材40を貼着させる構成を採用し、ポケット部材31に代えて、係着部50によりシート部材10と背面シート部材40との間で背面ポケット51を形成する構成である。
【0050】
背面シート部材40は、シート部材10に張り付ける可撓性を有した一枚の布状体であれば特に限定されるものではなく、布製、ビニール製、紙製等、透明、不透明或いは色彩なども限定されるものではない。但し、背面シート部材40には、係着部50によって背面ポケット51を形成するため伸縮性を備えた素材を用いることが好ましい。なお、生花やポット苗などの植物によって装飾する場合には、背面ポケット51に排水溝を設けるとともに、適度な排水性と保水性を有する素材を選択するなど、育苗に関する装飾物Sを用いる場合には、特に注意しなければならない点もある。
【0051】
係着部50は、背面シート部材40とシート部材10とを係着により係止させる部分であり、その係着手段としては接着、溶着、両面テープ、面ファスナー、縫製等、種々の方法が可能である。但し、これらの手段において、表示可能領域11に該係着部50が見えないことが望ましい。係る係着部50は、係着手段に応じて適した特性を有していることが望ましい。
【0052】
背面ポケット51は、背面シート部材40が係着部50によってシート部材10と張り合わされることにより創出される収納部であり、装飾物Sを保持する部分となるため、その大きさや素材の選択は装飾物Sを許容できる大きさとなる。
【0053】
背面装飾物保持領域52は、シート部材10と背面シート部材40がそれぞれの上辺を除く外周縁部を係着し、背面シート部材40の背面スリット41の背面シート挿通穴42とシート部材10のスリット20の挿通穴21との間にできる空間である。
【0054】
装飾物Sは、本発明に係る装飾機能を発揮させるための物品等であり、通常の看板等の表示物に描く図柄や文字等の情報伝達手段とは異なる新たな装飾機能を発揮させるものである。例えば、表示可能領域11に記載された動物病院の名称を目立たせるための装飾として、その前後に犬と猫のそれぞれのぬいぐるみを配置する場合などである。更に、装飾物Sに植物を用いることも有効である。背面シート部材40で示した例と同様、生花やポット苗など自然の植物による美しさを装飾機能付きシート状案内表示物2に利用する場合は、水遣りや日照などを考慮する必要があるため、排水や保水等を考慮した素材のシート部材10を選択することが必要である。
【0055】
図5は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の第三の構成を示す構成説明図である。
図5(a)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の平面図であり、
図5(b)は、断面図であり、
図5(c)は、背面図である。
【0056】
係る実施例では、シート部材10の背面に背面シート部材40を設ける構成であり、該背面シート部材40の素材には、ゴム又はシリコーン等の弾性特性や、滑り止めのための摩擦力を有するシート状部材を用いることが望ましい。
【0057】
図5(c)に示すように、背面シート部材40には背面スリット41が複数設けられ、
図5(b)及び
図5(c)に示すようにシート部材10と背面シート部材40はそれぞれの上辺を除く外周縁部を係着させて背面ポケット51を構成し、背面スリット41の背面シート挿通穴42と挿通穴21との間にできる空間を背面装飾物保持領域52としている。
【0058】
背面スリット41は、開口することによって装飾物Sを挿入し保持する役割を果たす穴部となり、また、連続する背面スリット41を交互に通過させることで、その保持力を高めることができる。該背面スリット41は、収納物の大きさに対応して必要な配置とする。
【0059】
背面シート挿通穴42は、背面スリット41を開口することによって創出する穴部となり、該穴部によって装飾物Sの背面装飾物保持領域52へと導く通過口である。
【0060】
図6は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の第四の構成を示す構成説明図である。
図6(a)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の平面図であり、
図6(b)は、断面図であり、
図6(c)は、背面図である。
【0061】
係る第四の構成は、装飾物保持領域32をシート部材10の背面に小シート部材60を用いて挿通穴21から装飾物保持領域32へと装飾物Sを収納し、小シート部材60の複数の複数の小スリット61により装飾物Sを保持するものである。
【0062】
小シート部材60は、スリット20の位置から装飾物Sを保持するための小スリット61を複数設けた小さなシートであり、小シート挿通穴62の上辺又は下辺の何れかに係止するだけで装飾物Sを保持でき、必要な場所に必要な大きさのものを適宜選択して装飾物Sの大きさや重さに対応することが可能である。なお、図面には示していないが、シート部材10に、下辺に略L字状のストッパーとなる段差部を設けて、装飾物Sの落下を防止する構成とすることも有効である。
【0063】
小スリット61は、開口することによって装飾物Sを挿通し保持する役割を果たす穴部となり、また、連続することで装飾物Sを小シート挿通穴62に交互に通過させることで、その保持力を高めることができる。なお、複数の小スリット61は、装飾物Sを連続する開口部へ互い違いに挿通して保持するため、係る素材には適度な硬さと伸縮性を備えるものが望ましい。
【0064】
図7は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の第五の構成を示す構成説明図である。
図7(a)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の平面図であり、
図7(b)は、背面図である。
【0065】
第五の構成は、装飾物保持部材30にファスナー70を用いてシート部材10を結合し、係るファスナー70に用いられるスライダー71を操作することによって任意の位置にファスナー開口部72を設け、該ファスナー開口部72をスリット20及び挿通穴21として利用する構成である。係る構成において、挿通穴21に挿通された装飾物Sは、両側からスライダー71によって挟持するものである。また、係る構成では、ファスナー70の長手方向に多数のスライダー71を設けることにより、複数のスリット20並びに挿通穴21を創出させることが可能である。
【0066】
係る構成では、スライダー71の位置を変化させることができるため、装飾物Sの装着位置を該スライダー71の移動にともなって、ファスナー70の長手方向に移動することが可能である。また、装飾物Sの大きさが変化してもスライダー71の距離を調整することで対応可能となっている。
【0067】
また、
図7(b)には、装飾物保持部材30として紐80三本が設けられており、例えば、三本で構成された右側一本のみの紐80を用いて装飾物Sと縛り付けて結合する構成や、左側からの二本の紐80を用いて装飾物Sに縛り付けて結合する構成が示されている。また、
図7(b)には、更に、右側に袋状ポケット部材33を二つのスライダー71に係止させて設けた構成が示されている。
【0068】
ファスナー70は、一般に衣服等に使用されている金属製又は樹脂製の開閉部材として用いられているものを利用すればよく、特に種類や構造等について限定されるものではなく、スライダー71を移動することで布状の部材を分割・結合・部分開口等できるものであればよい。
【0069】
スライダー71は、ファスナー70の結合の状態を操作する部材であり、本発明においては二つのスライダー71があれば自由な位置にファスナー開口部72を設けることが可能となる。また、スライダー71を多数用いて一つのファスナー70に複数のスライダー開口部72を設けることも可能である。
【0070】
ファスナー開口部72は、スライダー71を操作することによってファスナー70に創出されるスリット20であり、二つのスライダー71で装飾物Sを挟み込むことで、シート部材10に保持することを可能とするものである。
【0071】
なお、図面には示していないが、ファスナー70を長手方向に別のシート部材10の背面に配置し、スリット20に対応した位置でスライダー71によって挟持する構成も有効である。
【0072】
また、図面には示していないが、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の第六の構成を以下に示す。
【0073】
係る第六の構成は、装飾物保持部材30に紐80を用い、該紐80はシート部材10の背面に備え、挿通穴21から挿通された装飾物Sを紐80で締結して保持するものである。本数については一本で足りるが、複数であることが望ましい。
【0074】
紐80は、特に限定されるものではないが、縛り易く、ほどけにくい素材や太さを考慮しいて用いればよく、また、シート部材10に目立たないよう同色を用いることが望ましい。
【0075】
図8は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2の使用状態説明図であり、
図8(a)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2を平面的に用いた実施例を示し、
図8(b)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2を円柱等に巻き付けて用いた実施例を示し、
図8(c)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2を箱状物等に巻き付けて用いた実施例を示し、
図8(d)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2をイーゼルに中心から前後に折り曲げて用いた実施例を示している。
【0076】
図8(a)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2を壁や平板状の構造物等に設置した状態の実施例を示している。装飾機能付きシート状案内表示物2を壁等に取り付ける方法には、係止部12を壁等に設けられたフックへ係止する構成などがある。また、図面には示していないが、係る係止部12に、上方から紐等を介して吊り下げる構成も有効な手段である。なお、これらの取り付け手段に限定されるものではなく、例えば、係止部12を使用しない構成として両面テープや面ファスナーで貼り付けたりする構成も可能である。但し、背面側の壁等に装飾物Sが突き出す場合には縁部のみに貼着するなど、全体の伸縮等を考慮して決定する。
【0077】
図8(b)は、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2を電柱等の円周に巻き付けて使用する実施例を示している。例えば電柱に「ABC生花店50m先左折」と表示し、次の電柱に「ABC生花店10m先右」、と位置情報を表示し、店舗までの誘導を目的とする使用なども有効である。この場合、電柱には他の広告等も存在する場合があり得るため、例えばバラの造花による立体的な装飾物Sの存在により、店舗までの誘導及び宣伝効果を併せて発揮させる使用例である。
【0078】
図8(c)は、店頭などに設置された立体構造の看板等に、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2を装着した実施例を示している。
図8(c)で示した装飾物Sは、植物を用いた例を示しているが、植物に限定されるものではなく、季節やイベントごとに応じて種々の物品等を自由に選択して利用することで、他の店舗と差別化を図った宣伝効果が得られるという優れた宣伝効果を発揮させることが可能である。また、立体構造の看板とすることにより、従来では見えなかった斜め方向や側方向でも、立体部分については需要者の銃威力を引くことが可能であるという効果を発揮することが可能である。
【0079】
図8(d)は、店頭などにイーゼルを使用した看板やメニューに代えて、本発明に係る装飾機能付きシート状案内表示物2を装着した実施例を示している。例えば、「ABC文具店の新商品」などの記載とともに、店内の商品の見本などを装飾することで、需要者の注意を惹きつけることが可能である。
【課題】看板としての表示機能を損なわず、表示部材のあらゆる場所に自由に生花や小物を用いた装飾機能を発揮し、被掲示構造物の形状に対応できる装飾機能付きシート状案内表示物の製造方法に関する技術を提供する。
【解決手段】シート部材(10)に、スリット(20)と、装飾物保持部材(30)による保持手段を設けることで装飾機能を備えた案内表示物を製造する方法であって、前記シート部材(10)は、全部又は一部を表示可能領域(11)とする可撓性を有するシート状であり、前記スリット(20)は、前記シート部材(10)に装飾物(S)を挿通させる際に開口する挿通穴(21)となり、前記シート部材(10)の任意位置に少なくとも1以上を設け、前記装飾物保持部材(30)は、前記スリット(20)の位置と大きさに対応して挿通される装飾物(S)に対応する位置に設ける構成とした。