特許第6259183号(P6259183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259183
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】コネクタ用バックル及びその組付方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/18 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
   B60R22/18
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-276146(P2012-276146)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-118085(P2014-118085A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年8月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125298
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 伸
(72)【発明者】
【氏名】ハ フィ フン
(72)【発明者】
【氏名】河合 良彦
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−083797(JP,A)
【文献】 特開2001−231612(JP,A)
【文献】 特開2002−249019(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0004350(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0135221(US,A1)
【文献】 特開2007−267810(JP,A)
【文献】 特開2006−014832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00 − 22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入方向の側部に係合溝が形成されたトングを挿入可能な内部領域と前記内部領域を形成する2つの対向する面のそれぞれに形成されるスライド溝とを有する金属製角柱状ベース部材と、
前記ベース部材の前記各スライド溝に挿通されるとともに両端が前記ベース部材の外方に突出するように配され、前記内部領域に挿入される前記トングの前記係合溝の位置で該係合溝の深さ方向に沿う第1スライド方向にスライドして前記トングの前記係合溝と係合される柱状のラッチ部材と、
コ字状の形状形成され、前記ベース部材の外側に配され、前記コ字状の形状における対向する面のそれぞれに前記ベース部材の外方に突出する前記ラッチ部材の両端と係合される係合支持部を有し、外部から押されると前記ラッチ部材を前記第1スライド方向と反対方向の第2スライド方向にスライドさせて前記トングの前記ラッチ部材との係合を解除する係合解除部材と、
前記ベース部材前記係合解除部材との間に介挿され、前記係合解除部材を前記第1スライド方向に付勢し、前記係合溝と前記ラッチ部材の係合状態を支持するラッチスプリングと、
前記ベース部材の前記内部領域に配され、前記内部領域に挿入された前記トングの前記係合溝と前記ラッチ部材との係合解除時に前記トングを前記挿入方向と反対方向の脱出方向に押出し、その押出位置で前記ラッチ部材を支持するとともに、挿入される前記トングに押動されて前記ラッチ部材の支持が解除され、前記トングの前記係合溝と前記ラッチ部材との係合を可能とするイジェクタと、
前記ベース部材における前記トングの挿入方向の最深部に配される部をストッパ部として、該ストッパ部と前記イジェクタとの間に介挿されて前記イジェクタを前記トングの脱出方向に付勢するイジェクタスプリングと、
前記ベース部材、前記ラッチ部材、前記係合解除部材、前記ラッチスプリング、前記イジェクタ及び前記イジェクタスプリングを収容するカバー部材と、
を有し、前記トングを係脱可能に支持するコネクタ用バックルであって、
前記ベース部材が、前記挿入方向に沿って両側壁が形成された断面凹状の第1プレートと、前記第1プレートの前記両側壁上に配され、前記第1プレートとで前記内部領域を形成する平板状の第2プレートとを有し、
前記イジェクタが、前記トングに押動される押動面と前記第2スライド方向にスライドされた前記ラッチ部材を支持する支持部と前記イジェクタスプリングに押圧される押圧面とが形成された胴部と、前記胴部の両端からそれぞれ前記挿入方向に延在し、外部から前記各側壁の各対向面と接した状態で前記ベース部材に内挿される2本のアームと、前記2本のアームのうち、前記係合解除部材が配される側の側面と反対側の側面側に位置して前記胴部の位置よりも前記脱出方向の位置にまで延設される柱状の把持部とを有し、前記各アームの先端に形成され、前記ベース部材において前記内部領域に前記トングが挿入される側を始端としたときに前記ベース部材の終端側となる端部と係合する爪部が形成され、
前記第2プレートの前記終端側に前記ストッパ部が一体形成されることを特徴とするコネクタ用バックル。
【請求項2】
各アームの爪部のそれぞれが、第1プレートの各側壁終端と係合する請求項1に記載のコネクタ用バックル。
【請求項3】
ストッパ部は、イジェクタスプリングの一端と嵌合される凸部が形成されている請求項1から2のいずれかに記載のコネクタ用バックル。
【請求項4】
ラッチスプリングがコイルバネであり、第1プレートの係合解除部材と向き合う方の側壁に前記コイルバネの一端を係止させる位置決め溝が形成される請求項1から3のいずれかに記載のコネクタ用バックル。
【請求項5】
ベース部材が、始端側の位置に、第1プレートの係合解除部材と向き合う方の側壁と対向して、挿入されたトングの各スライド方向における移動を規制する位置規制部を有する請求項1から4のいずれかに記載のコネクタ用バックル。
【請求項6】
位置規制部が、第1プレート及び第2プレートの少なくともいずれかを対向するプレート平面に向かって部分的に屈曲させることで形成される請求項5に記載のコネクタ用バックル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のコネクタ用バックルの組付方法であって、
把持部を把持しつつ、イジェクタスプリングの一端を支持するようにイジェクタをベース部材の始端側から終端側に向けて略水平方向に内挿するイジェクタ組付工程と、
ベース部材の各スライド溝にラッチ部材を挿通して配するラッチ部材組付工程と、
前記ベース部材に対してラッチスプリングを介して係合解除部材を配するとともに、該係合解除部材の係合支持部に前記ラッチ部材を係合させて配する係合解除部材組付工程と、
前記係合解除部材が配された前記ベース部材が内部に収容されるようにカバー部材を配するカバー部材組付工程と、を有することを特徴とするコネクタ用バックルの組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートベルトに付設して用いられるコネクタ用バックル及びその組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3点式シートベルトでは、搭乗者の肩側に待機されたシートベルト用ングを引き、一本のウェビングで構成された肩ベルトと腰ベルトと同時に引出し、搭乗者の上半身及び腰部を拘束させる状態で、シートベルト用ングを腰ベルトの引出し元と反対側の座席部分に配されたシートベルトバックルに差し込むことで、搭乗者の身体を拘束させる。
腰ベルトの引出し元の構造は、腰ベルトの一端を座席又はその周辺部材に直接的に固定する構造と、腰ベルトの一端をバックルを介して座席又はその周辺部材に係脱可能に固定する構造とがある。後者のバックルは、コネクタバックルと呼ばれ、腰ベルトの一端側に配されるコネクタバックル用ングを係合させて用いられる。このコネクタバックルは、車両整備を行う場合などを除き、通常、コネクタバックル用ングとの係合状態が維持され、シートベルト用ングとシートベルトバックルの係合により、常時シートベルトの装着が可能な状態とされる。この種のバックル構造については、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
ところで、コネクタバックルは、車両内のスペースの活用の妨げとなることから、より小型で簡便な構造を有することが求められている。特に、後部座席では、コネクタバックルが大型であると、使用時に搭乗者の腰に当たり、不快感を与えることがあるほか、搭乗者がいない場合に、シートベルト装置を車両内部に収容可能とするタイプの車種では、座席に残るコネクタバックルが座席への荷物積載等のスペース活用の妨げとなる。
【0004】
これまでにコネクタバックルとして実用的に用いられているバックル構造の例を図1を参照しつつ説明する。図1は、従来のコネクタバックルの構造を示す分解斜視図である。
従来のコネクタバックル100は、ベース部材110、ラッチ部材120、係合解除部材130、板バネ135、イジェクタ140、コイルバネ145、ストッパ部材150及びカバー部材160a,160bで構成される。
ここで、各部に関し、ベース部材110は、挿入方向Iの側部に係合溝102が形成されたトング101を挿入可能な内部領域111と、上下に対向する面のそれぞれに形成されるスライド溝112を有する。また、ラッチ部材120は、ベース部材110のスライド溝112に挿通されるとともにその両端がベース部材110の外方に突出するように配される。また、係合解除部材130は、コ字状の部材としてその開口側からベース部材110の側面に外挿され、ベース部材110の外方に突出するラッチ部材120の両端と係合して外挿状態が支持される係合支持部131a,131bを有する。また、板バネ135は、ベース部材110−係合解除部材130間に介挿され、係合解除部材130をラッチ部材120の第1スライド方向Xにスライドするように付勢される。また、イジェクタ140は、ベース部材110の内部領域111に配される。また、コイルバネ145は、イジェクタ140−ストッパ部150間に配され、イジェクタ140をトング101の挿入方向Iと反対方向の挿脱方向Eに押出すように付勢される。ストッパ部材150は、平面視凹状の部材からなり、端部側に形成される係合部151a,151bがベース部材110の爪部113a,113bに係合されてベース部材110に配される。上下2つのカバー部材160a,160bは、このように各部が配されたベース部材110を内部に挟み込むように収容し、収容した状態でネジ161により固定される。
【0005】
このように構成されるコネクタバックル100では、トング101を挿入方向Iから挿入させていくと、ラッチ部材120が一旦トング101の頭部に押動されて第2スライド方向Xにスライドした後、トング101の係合溝102の位置で、板バネ135により第1スライド方向Xにスライドし、トング101の係合溝102と係合する。同時に、イジェクタ140は、トング101の頭部に押動され、コイルバネ145の付勢に抗してストッパ部材150側に押し込まれる。これにより、コネクタバックル100にトング101が係合される。
一方、コネクタバックル100とトング101の係合を解除する場合には、カバー部材160bに形成された切欠き部162から車両のキーなどの部材を差し込み、係合解除部材130をラッチ部材120が第2スライド方向Xにスライドするように押動操作してトング101の係合溝102からラッチ部材120が外れるようにする。このように押動操作すると、イジェクタ140がコイルバネ145の付勢により、トング101を挿脱方向Eに押出し、コネクタバックル100からトング101が挿脱される。
【0006】
このコネクタバックル100には、以下の問題がある。
先ず、ベース部材110では、対向する面を係合解除部材130が外挿される側面を折り返し位置として折り返し形成することとしている。具体的には、内部領域111に相当する大きさの板金を介挿部材として用いた板金加工を行うことで、平板状の部材を板金の形状に沿って折り曲げ、対向する面が折り返し形成されたベース部材110が形成される。
しかしながら、このように形成されるベース部材110では、内部領域111の高さを板金の厚みより低くすることができず、ベース部材110の厚みが大きくなってしまう問題がある。この問題を解消するために、厚みが薄い板金を用いることも考えられるが、板金の厚みを薄くすると、機械強度が低下し、加工中に板金の破損を招くこととなる。
次に、ベース部材110にイジェクタ140を組付ける際、予めイジェクタ140とコイルバネ145とストッパ部材150とを連結させた状態で、ベース部材110の内部領域111内に挿入していくことになるが、内部領域111の高さに対して、ストッパ部材150の高さの方が高くなるため、ストッパ部材150側に比べイジェクタ140側を下げながら、内部領域111に対して斜め方向から組付けていく必要がある。即ち、ストッパ部材150は、トング101の挿入に抗してイジェクタ140を支持するため、ベース部材110に形成された係合孔114に凸部153を挿入してベース部材110に固定されるが、この凸部153の高さの分、ストッパ部材150の高さが内部領域111の高さに対して高くなり、斜め方向での組付を行うこととなる。このような斜め方向の組付は、機械的に行うことが難しく、コネクタバックル100の生産効率を低下させる原因となる。
したがって、小型で簡易な構造を有し、生産効率が良好なコネクタ用バックルとしては、満足できるものが存在しないというのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−83797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、小型で簡易な構造を有し、生産効率が良好なコネクタ用バックル及びその組付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 挿入方向の側部に係合溝が形成されたトングを挿入可能な内部領域と前記内部領域を形成する2つの対向する面のそれぞれに形成されるスライド溝とを有する金属製角柱状ベース部材と、前記ベース部材の前記各スライド溝に挿通されるとともに両端が前記ベース部材の外方に突出するように配され、前記内部領域に挿入される前記トングの前記係合溝の位置で該係合溝の深さ方向に沿う第1スライド方向にスライドして前記トングの前記係合溝と係合される柱状のラッチ部材と、コ字状の形状形成され、前記ベース部材の外側に配され、前記コ字状の形状における対向する面のそれぞれに前記ベース部材の外方に突出する前記ラッチ部材の両端と係合される係合支持部を有し、外部から押されると前記ラッチ部材を前記第1スライド方向と反対方向の第2スライド方向にスライドさせて前記トングの前記ラッチ部材との係合を解除する係合解除部材と、前記ベース部材前記係合解除部材との間に介挿され、前記係合解除部材を前記第1スライド方向に付勢し、前記係合溝と前記ラッチ部材の係合状態を支持するラッチスプリングと、前記ベース部材の前記内部領域に配され、前記内部領域に挿入された前記トングの前記係合溝と前記ラッチ部材との係合解除時に前記トングを前記挿入方向と反対方向の脱出方向に押出し、その押出位置で前記ラッチ部材を支持するとともに、挿入される前記トングに押動されて前記ラッチ部材の支持が解除され、前記トングの前記係合溝と前記ラッチ部材との係合を可能とするイジェクタと、前記ベース部材における前記トングの挿入方向の最深部に配される部をストッパ部として、該ストッパ部と前記イジェクタとの間に介挿されて前記イジェクタを前記トングの脱出方向に付勢するイジェクタスプリングと、前記ベース部材、前記ラッチ部材、前記係合解除部材、前記ラッチスプリング、前記イジェクタ及び前記イジェクタスプリングを収容するカバー部材と、を有し、前記トングを係脱可能に支持するコネクタ用バックルであって、前記ベース部材が、前記挿入方向に沿って両側壁が形成された断面凹状の第1プレートと、前記第1プレートの前記両側壁上に配され、前記第1プレートとで前記内部領域を形成する平板状の第2プレートとを有し、前記イジェクタが、前記トングに押動される押動面と前記第2スライド方向にスライドされた前記ラッチ部材を支持する支持部と前記イジェクタスプリングに押圧される押圧面とが形成された胴部と、前記胴部の両端からそれぞれ前記挿入方向に延在し、外部から前記各側壁の各対向面と接した状態で前記ベース部材に内挿される2本のアームと、前記2本のアームのうち、前記係合解除部材が配される側の側面と反対側の側面側に位置して前記胴部の位置よりも前記脱出方向の位置にまで延設される柱状の把持部とを有し、前記各アームの先端に形成され、前記ベース部材において前記内部領域に前記トングが挿入される側を始端としたときに前記ベース部材の終端側となる端部と係合する爪部が形成され、前記第2プレートの前記終端側に前記ストッパ部が一体形成されることを特徴とするコネクタ用バックル。
<2> 各アームの爪部のそれぞれが、第1プレートの各側壁終端と係合する前記<1>に記載のコネクタ用バックル。
<3> ストッパ部は、イジェクタスプリングの一端と嵌合される凸部が形成されている前記<1>から<2>のいずれかに記載のコネクタ用バックル。
<4> ラッチスプリングがコイルバネであり、第1プレートの係合解除部材と向き合う方の側壁に前記コイルバネの一端を係止させる位置決め溝が形成される前記<1>から<3>のいずれかに記載のコネクタ用バックル。
<5> ベース部材が、始端側の位置に、第1プレートの係合解除部材と向き合う方の側壁と対向して、挿入されたトングの各スライド方向における移動を規制する位置規制部を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のコネクタ用バックル。
<6> 位置規制部が、第1プレート及び第2プレートの少なくともいずれかを対向するプレート平面に向かって部分的に屈曲させることで形成される前記<5>に記載のコネクタ用バックル。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のコネクタ用バックルの組付方法であって、把持部を把持しつつ、イジェクタスプリングの一端を支持するようにイジェクタをベース部材の始端側から終端側に向けて略水平方向に内挿するイジェクタ組付工程と、ベース部材の各スライド溝にラッチ部材を挿通して配するラッチ部材組付工程と、前記ベース部材に対してラッチスプリングを介して係合解除部材を配するとともに、該係合解除部材の係合支持部に前記ラッチ部材を係合させて配する係合解除部材組付工程と、前記係合解除部材が配された前記ベース部材が内部に収容されるようにカバー部材を配するカバー部材組付工程と、を有することを特徴とするコネクタ用バックルの組付方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、小型で簡易な構造を有し、生産効率が良好なコネクタ用バックル及びその組付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来のコネクタバックルの分解斜視図である。
図2(a)】本発明の一実施形態に係るコネクタ用バックルの平面図である
図2(b)】本発明の一実施形態に係るコネクタ用バックルの側面図である
図2(c)】トングを係合した状態を示すコネクタ用バックルの平面図である。
図2(d)】トングを係合した状態を示すコネクタ用バックルの側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコネクタ用バックルの分解斜視図である。
図4(a)】ベース部材に係合解除部材が外挿された状態を示す斜視図である。
図4(b)】ベース部材の側面図である。
図5】イジェクタの斜視図である。
図6(a)】図2(a)におけるA−A線断面図である。
図6(b)】カバー部材を外した状態の図2(b)におけるB−B線断面図である。
図6(c)】図2(c)におけるC−C線断面図である。
図6(d)】カバー部材を外した状態の図2(d)におけるD−D線断面図である。
図7(a)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(1)である。
図7(b)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(2)である。
図7(c)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(3)である。
図7(d)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(4)である。
図7(e)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(5)である。
図7(f)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(6)である。
図7(g)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(7)である。
図7(h)】コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(8)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るコネクタ用バックルを図面を用いて詳細に説明する。
図2(a)は、本発明の一実施形態に係るコネクタ用バックルの平面図であり、図2(b)は、その側面図である。また、図2(c)は、ングと係合された状態のコネクタ用バックルの平面図であり、図2(d)は、その側面図である。
これらの図に示すようにコネクタ用バックル1は、バックル構造が上カバー60aと下カバー60bで構成されるカバー部材内に収容されて構成され、ング101と係脱自在とされる。なお、上カバー60aと下カバー60bには、任意の車両部材から延設されるウェビングを掛け回すためのリング部61a,61bが形成される。
【0013】
コネクタ用バックル1のバックル構造について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るコネクタ用バックルの分解斜視図である。
コネクタ用バックル1は、第1プレート13と第2プレート15で形成されるベース部材10と、ラッチ部材20と、係合解除部材30と、ラッチスプリング35と、イジェクタ40と、イジェクタスプリング45と、前述の上カバー60a及び下カバー60bとで構成される。
【0014】
第1プレート13は、平面が開口された凹状の金属部材からなり、トング101の挿入方向Iに沿って両側壁が形成される。また、第2プレート15は、平板上の金属部材からなり、第1プレート13の開口を塞ぐように配される。このようにベース部材を2つのプレート部材によるサンドイッチ構成とすることで、ベース部材全体の厚みを薄くすることができ、延いてはコネクタ用バックル1を小型化することができる。
【0015】
第1プレート13及び第2プレート15で画成される内部領域11は、トングが挿入可能な大きさとされる。また、第1プレート13と第2プレート15の対向する面のそれぞれには、ラッチ20をスライド可能とするスライド溝12a,12bが形成される。
また、第1プレート13には、任意の車両部材から延設されるウェビングを掛け回すためのリング部19が形成される。
【0016】
ベース部材10に係合解除部材30が外挿された状態を示す斜視図を図4(a)に示す。該図4(a)に示すように、第1プレート13及び第2プレート15の対向する面のそれぞれには、更に、挿入されたトングの移動を規制する位置規制部として、対向するプレートに向かって部分的に屈曲させた潰し部16が形成される。これにより、挿入されたトングのスライド溝12a,12bの各スライド方向(X,X方向、図3参照)に対する移動が規制可能とされる。なお、潰し部16は、第1プレート13及び第2プレート15の少なくともいずれかに形成されることとしてもよい。
【0017】
また、第1プレート13及び第2プレート15の対向する面のそれぞれには、更に、イジェクタスプリング45の組付を容易にするため、イジェクタスプリング45をトング101の挿入側からストッパ部50に向けて案内するガイド部18が形成される。該ガイド部18は、イジェクタスプリングの径に応じて第1プレート13及び第2プレート15の対向する面を外方に屈曲させて形成される。これにより、組付時にイジェクタスプリング45をガイド部18で案内しながらトング101の挿入側からストッパ部50に向けて略水平方向に挿入することで、容易に組付けることができる。なお、ガイド部18は、第1プレート13及び第2プレート15の少なくともいずれかに形成されることとしてもよい。
【0018】
ベース部材10の側面図を図4(b)に示す。該図4(b)に示すように、第1プレート13の係合解除部材30が外挿される側の側面には、ラッチスプリング3の一端側が外挿される位置決め溝17が形成される。
また、第2プレート15には、トング101の挿入方向Iの最深部で内部領域11を画成するストッパ部50が一体形成される。ストッパ部50には、イジェクタスプリング45の一端側が外挿される凸部52が形成される。このようなストッパ部50が第2プレート15に一体形成されることで、コネクタ用バックルの組付を容易に行うことが可能となるとともに、部品点数を減らしてより簡易な構造とすることができる。
【0019】
ラッチ部材20は、柱状の部材からなり、スライド溝12a,12bに挿通されるとともに、その両端が第1プレート13及び第2プレート15の外方に突出するように配される(図3参照)。このラッチ部材20は、挿入されるトング101の係合溝102の位置で該係合溝102の溝内方向に沿う第1スライド方向Xにスライドして係合溝102に係合される。
【0020】
係合解除部材30は、全体略コ字状の部材からなり、その開口側からベース部材10に外挿されるとともに、対向する面のそれぞれに形成される係合支持部31a,31bとベース部材10の外方に突出するラッチ部材20の両端とを係合させることにより、該外挿状態が支持される(図3,4(a)参照)。係合支持部31a,31bは、ラッチ部材の形状に応じて係合解除部材30を加工して形成される。
また、ベース部材10の側面と対向する面には、ラッチスプリング35の一端を支持する凸部32が形成される(後述の図7(d)参照)。
【0021】
ラッチスプリング35は、ベース部材10−係合解除部材30間に介挿され、係合解除部材30を第1スライド方向Xに付勢する。特に限定はないが、ここでは、ラッチスプリング35としてコイルバネが用いられる。この場合、ラッチスプリング35は、第1プレート13の位置決め溝17と係合解除部材30の凸部32に各端部が支持され、安定した状態でコネクタ用バックル1に配される(図3,4(a),4(b),7(d)参照)。
【0022】
イジェクタ40は、トング101の挿入方向I側からベース部材10の内部領域11に内挿されて配される(図3参照)。ここで、イジェクタ40の具体的な構造を図5を用いて説明する。図5は、イジェクタ40の斜視図である。
イジェクタ40は、それぞれが挿入方向Iに延設され、外部から第1プレート13の各側壁に摺動させてベース部材13に内挿される2本のアーム41a,41bと、両アーム41a−41b間に掛渡され、トング101に押動される押動面43aと第2スライド方向X図3参照)にスライドされたラッチ部材20を支持する支持部43bとイジェクタスプリング45の押圧面43cとが形成された胴部42を有する。アーム41a,41bの先端には、トング101が挿入される側を始端として、第1プレート13の両側壁の終端と係合する爪部が形成される。イジェクタ40をこのような形状とすることで、ベース部材10に対する組付が容易となることに加え、一旦、組付されるとイジェクタスプリング45の付勢に対して、爪部が第1プレート13の両側壁の終端に係合されるため、組付状態を維持することができる。
なお、押圧面43cには、イジェクタスプリング45の一端を支持する凸部43dが形成される。
【0023】
本実施形態のように、アーム41a,41bの爪部のそれぞれを第1プレート13の両側壁終端と係合させるように形成することとすれば、イジェクタ40をベース部材10の内部領域に内挿させやすく組付が容易となることに加え、組付後の係合が外れにくく、簡易な構造で外力に対する安定した係合を実現することができる。
ただし、本発明は、その効果が損なわれない限り、本実施形態の例に限定されず、爪部の構造を変え、ベース部材の任意の終端側の開口部と係合させてもよい。例えば、アーム41aの爪部が第2プレート15の終端に係合され、アーム41bの爪部が第1プレート13の側壁終端に係合されるように構成されてもよく、或いは、アーム41aの爪部が第1プレート13の側壁終端に係合され、アーム41bの爪部が第2プレート15の終端に係合されるように構成されてもよい。
【0024】
また、イジェクタ40は、2本のアーム41a,41bのうち、第1プレートの係合解除部材30が外挿される側の側面と反対側の側面に摺動させてベース部材10に内挿されるアーム41aの基端側からトングの挿脱方向E(図3参照)に延設される柱状の把持部44を有する。把持部44を把持してイジェクタ40をベース部材10の内部領域に内挿することで、組付作業をより効率的に行うことができる。
【0025】
イジェクタスプリング45は、第2プレート15のストッパ部50とイジェクタ40の押圧面43c間に介挿され、ベース部材10の内部領域11内に配された状態でイジェクタ40をトング101の挿脱方向Eに付勢する。ここでは、イジェクタスプリング45をコイルバネとすることで、コイルバネの各端がストッパ部50の凸部52と押圧面43cの凸部43dとで支持され、コイルバネが安定して支持されるようにしている。
【0026】
次に、コネクタ用バックル1に対するトング101の係合動作及びその解除動作について説明する。
図6(a)は、図2(a)におけるA−A線断面図であり、図6(b)は、カバー部材を外した状態の図2(b)におけるB−B線断面図であり、図6(c)は、図2(c)におけるC−C線断面図であり、図6(d)は、カバー部材を外した状態の図2(d)におけるD−D線断面図である。
【0027】
先ず、トング101を挿入する前の初期状態(係合解除状態)を図6(a),(b)に基づき説明する。
初期状態において、ラッチ部材20は、ラッチスプリング35に付勢された係合解除部材30によりスライド溝12bにおける第1スライド方向Xに付勢された状態で、イジェクタ40の支持部43bにより支持される。この状態のラッチ部材20の位置をラッチ部材20の初期位置とする。
また、イジェクタ40は、イジェクタスプリング45によりトング101の挿脱方向Eに付勢された状態で、アーム41a,41bの爪部と第1プレート13の側壁終端との係合により支持される。この状態のイジェクタ40の位置をイジェクタ40の初期位置とする。
【0028】
この初期状態からトング101を挿入方向Iから挿入していくと、イジェクタ40の押動面43aがトング101の先端に押動されて、イジェクタ40が初期位置よりも挿入方向Iに沿ってストッパ部50側に進む。
イジェクタ40がストッパ部50側に進むと、イジェクタ40の支持部43bのラッチ部材20に対する支持が解除され、ラッチ部材20が初期位置よりも第1スライド方向X側に進むことが可能となり、挿入されるトング101の係合溝102の位置で溝内方向(スライド方向X方向に沿う方向)にスライドし、係合溝102と係合する。
【0029】
次に、トング101を挿入させた係合状態を図6(c),(d)に基づき説明する。これらの図に示されるように、ラッチ部材20は、トング101の係合溝102と係合され、トング101とコネクタ用バックル1の係合とが係合状態とされる。このとき、トング101は、第1プレート13の側面と、該側面と対向する位置に形成される潰し部16により、各スライド方向に対する移動が規制され、大きな外力が加わる場合でも、トング101とコネクタ用バックル1の係合との係合状態が維持されることとされる。
【0030】
このような係合状態から、トング101とコネクタ用バックル1との係合状態を解除するときは、先ず、下カバーに形成される操作孔62(図3参照)から、車両のキー、隣座席のトング等を差し込み、その押圧操作により係合解除部材30を第2スライド方向Xに沿ってスライドさせることで、該係合解除部材30に係合支持されるラッチ部材20を初期位置よりもスライド溝12bにおける第2スライド方向Xにスライドさせる。
ラッチ部材20が第2スライド方向Xにスライドされると、トング101の係合溝102との係合が解除される。
ラッチ部材20とトング101の係合が解除されると、イジェクタスプリング45に付勢されたイジェクタ40により、トング101が挿脱方向Eに押出されるとともに、その押出位置(イジェクタ40の初期位置)で、ラッチ部材20がイジェクタ40の支持部43bに支持されることとなる。
以上により、トング101とコネクタ用バックル1の係合が解除され、コネクタ用バックル1が前述の初期状態に戻る。
【0031】
以上のように構成されるコネクタ用バックル1によれば、小型で簡易な構造で、かつ、組付が簡単な構造を有するコネクタ用バックルとすることができる。
【0032】
最後に、コネクタ用バックル1の組付方法を説明する。図7(a)〜(h)は、コネクタ用バックルの組付工程を示す工程図(1)〜(8)である。
【0033】
先ず、第1プレート13及び第2プレート15で構成されるベース部材10の内部領域11に対して、イジェクタスプリング45を挿入する(図7(a)参照)。この際、イジェクタスプリング45をトングの挿入側からベース部材の始端側から終端側に向けて略水平方向に挿入することができる。また、ベース部材10にガイド部18があれば、より簡便に挿入することができる。
【0034】
次いで、ベース部材10の内部領域11に対して、イジェクタ40を挿入する(図7(b)参照)。この際、イジェクタ40のアーム41a,41bを第1プレート13の各側壁に摺動させて挿入し、アーム41a,41b先端の爪部を第1プレート13の両側壁の終端に係合させて組付を行う。このような組付によれば、イジェクタ40をトングの挿入側からベース部材10の始端側から水平側に向けて略水平方向に挿入することができる。
【0035】
なお、ここでは、イジェクタ40とイジェクタスプリング45を別々に組付けたが、ガイド部18が形成されない場合などでは、凸部43dにイジェクタスプリング45を支持させた状態のイジェクタ40をベース部材10に組付けてもよい(以上、イジェクタ組付工程)。
【0036】
次いで、ベース部材10のスライド溝12a,12bにラッチ部材20を挿通して配する(ラッチ部材組付工程、図7(c)参照)。
【0037】
次いで、係合解除部材30の凸部32にラッチスプリング35を取り付ける(図7(d)参照)。
【0038】
次いで、ベース部材10に対して、ラッチスプリング35を介して係合解除部材を外挿するとともに、係合解除部材30の係合支持部31a,31bにラッチ部材20を係合させる(以上、係合解除部材組付工程、図7(e)参照)。
【0039】
次いで、ベース部材10を下カバー60b内に配する(図7(f)参照)。
【0040】
そして、ベース部材10が内部に収容されるように、上カバー60aを下カバー60bに嵌め合わせる(以上、カバー部材組付工程図、図7(g)参照)。
【0041】
以上により、コネクタ用バックル1の組付を完了する(図7(h)参照)。このような組付方法によれば、イジェクタ40及びイジェクタスプリング45をベース部材10の内部領域11に対してトングの挿入側から略水平方向に挿入して組付けることができることから組付が容易となる。特に、斜め方向からの組付を排除することで、機械的な組付装置を導入しやすく、生産性の大幅な向上を期待できる。
【符号の説明】
【0042】
1 コネクタ用バックル
10,110 ベース部材
11,111 内部領域
12a,12b,112 スライド溝
13 第1プレート
15 第2プレート
16 潰し部
17 位置決め溝
18 ガイド部
19,61a,61b リング部
20,120 ラッチ部材
30,130 係合解除部材
31a,31b,131a,131b 係合支持部
32,43d,52 凸部
40,140 イジェクタ
45 イジェクタスプリング
41a,41b アーム
42 胴部
43a 押動面
43b 支持部
43c 押圧部
44 把持部
45 イジェクタスプリング
50,150 ストッパ部
60a,160a 上カバー
60b,160b 下カバー
62,162 操作孔
100 コネクタバックル
135 板バネ
145 コイルバネ
161 ネジ
第1スライド方向
第2スライド方向
I 挿入方向
E 挿脱方向
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図7(e)】
図7(f)】
図7(g)】
図7(h)】