(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基部の第1の通水路は、前記基部の内部を当該基部の左右方向に延びる左右通水路からなり、前記左右通水路は、前記原水入水口の底壁の厚みと当該左右通水路を形成する筒体の周壁の厚みとの合計の上下寸法を有する原水入水孔のみを介して、前記原水入水口と連通し、
前記基部の第2の通水路は、前記左右通水路と対応する上下方向寸法の範囲内で前記基部の前後方向に延びる前後通水路からなることを特徴とする請求項1記載の扁平状切換コック。
前記弁切換部材は、軸心を中心として回動自在な所定直径の円柱状をなす栓棒と、前記栓棒よりも小径の円柱状をなして前記栓棒の先端と前記弁体とを連結する連結部と、前記連結部よりも大径の前記弁体とからなり、前記連結部によって前記栓棒の先端と前記弁体の基端との間に円筒状の間隙空間を形成する段付き円柱状に形成されて、前記左右通水路と対応する上下方向寸法の範囲内で前記左右通水路と同軸状となるよう、前記栓棒及び前記連結部及び前記弁体を前記基部の内部に収容配置し、
前記基部は、前記栓棒と同一の内径を有する円筒状をなして前記栓棒を摺動自在に収容する栓棒収容筒と、前記栓棒収容筒よりも大径の円筒状をなして前記連結部を前記間隙空間に相当する間隙をもって収容する連絡部とを有すると共に、前記連絡部の上側を切り欠いて通水開口を形成し、
前記基部の前後通水路は、前記基部の通水開口と対応する上下方向寸法の範囲内で前記通水開口から前記吐水部の通水空間まで延びることを特徴とする請求項2記載の扁平状切換コック。
前記吐水部は、前記基部と略同一の上下方向寸法を有して、前記基部とほぼ完全に重なるように前記基部の前方に配設されることを特徴とする請求項1乃至3の記載のいずれか1項記載の扁平状切換コック。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コック(シングルタイプの扁平状切換コック)を正面左側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックを左上側から見て示す斜視図、(b)は扁平状切換コックを左下側から見て示す斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを正面右側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックを右上側から見て示す斜視図、(b)は扁平状切換コックを右下側から見て示す斜視図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを正面側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す正面図、(b)は扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外した状態(分解状態)を示す正面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを正面側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体から側面キャップを取り外した状態(分解状態)を示す正面図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを背面側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す背面図、(b)は扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外した状態(分解状態)を示す背面図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを背面側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体から側面キャップを取り外すと共に背面板から締結キャップを取り外した状態(分解状態)を示す背面図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す右側面図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを右側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体から側面キャップを取り外した状態(分解状態)を示す右側面図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを左側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す左側面図、(b)は扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外した状態(分解状態)を示す左側面図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを左側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体から側面キャップを取り外した状態(分解状態)を示す左側面図である。
【
図11】
図11は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す平面図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを上側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外した状態(分解状態)を示す平面図である。
【
図13】
図13は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを上側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体から側面キャップを取り外した状態(分解状態)を示す平面図である。
【
図14】
図14は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す底面図である。
【
図15】
図15は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを下側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外した状態(分解状態)を示す底面図である。
【
図16】
図16は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックを下側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体から側面キャップを取り外した状態(分解状態)を示す底面図である。
【
図18】
図18は
図7のB−B線断面図であり、一部(切換弁の弁体及び弁座)を拡大して示すと共に、その拡大した部分における切換弁が弁切換動作した状態(弁体が移動した状態)を示す。
【
図21】
図21は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックの内部流路を構成する浄水流路を示す断面図(
図17及び
図19の断面図の面と平行な面に沿った断面図)である。
【
図22】
図22は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックの弁切換動作による原水・浄水切換状態を示す正面視での断面図(
図18に相当する断面図)であり、(a)は原水通水状態における弁位置(原水吐水用弁位置)を示し、(b)は浄水通水状態における弁位置(浄水吐水用弁位置)を示す。
【
図23】
図23は本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックの弁切換動作による原水・浄水切換状態を示す平面視での断面図(
図20に相当する断面図)であり、(a)は原水通水状態における弁位置(原水吐水用弁位置)を示し、(b)は浄水通水状態における弁位置(浄水吐水用弁位置)を示す。
【
図24】
図24は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コック(ダブルタイプの扁平状切換コック)を正面左側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックを左上側から見て示す斜視図、(b)は扁平状切換コックを左下側から見て示す斜視図である。
【
図25】
図25は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックを正面右側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックを右上側から見て示す斜視図、(b)は扁平状切換コックを右下側から見て示す斜視図である。
【
図26】
図26は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す正面図である。
【
図27】
図27は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックを正面側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体から側面キャップを取り外した状態(分解状態)を示す正面図である。
【
図28】
図28は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す背面図である。
【
図29】
図29は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す右側面図である。
【
図30】
図30は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す左側面図である。
【
図31】
図31は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す平面図である。
【
図32】
図32は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す底面図である。
【
図36】
図36は本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックの浄水の入水位置及び入水方向並びに出水位置及び出水方向を示す平面図である。
【
図37】
図37は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コック(浄水別口ダブルタイプの扁平状切換コック)を正面左側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックを左上側から見て示す斜視図、(b)は扁平状切換コックを左下側から見て示す斜視図である。
【
図38】
図38は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックを正面右側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックを右上側から見て示す斜視図、(b)は扁平状切換コックを右下側から見て示す斜視図である。
【
図39】
図39は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックを正面側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す正面図、(b)は扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外した状態(分解状態)を示す正面図である。
【
図40】
図40は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す背面図である。
【
図41】
図41は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す右側面図である。
【
図42】
図42は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す左側面図である。
【
図43】
図43は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す平面図である。
【
図44】
図44は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す底面図である。
【
図47】
図47は本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックの浄水の入水位置及び入水方向並びに出水位置及び出水方向を示す平面図である。
【
図48】
図48は本発明の実施の形態4に係る扁平状切換コック(浄水別口ダブルタイプの扁平状切換コックの別例)を正面側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体を浄水出水部と浄水入水部とに分解した状態(分解状態)を示す正面図である。
【
図49】
図49は本発明の実施の形態4に係る扁平状切換コックを背面側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体を浄水出水部と浄水入水部とに分解すると共に背面板から締結キャップを取り外した状態(分解状態)を示す背面図である。
【
図50】
図50は本発明の実施の形態4に係る扁平状切換コックを右側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体を浄水出水部と浄水入水部とに分解した状態(分解状態)を示す右側面図である。
【
図51】
図51は本発明の実施の形態4に係る扁平状切換コックを左側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体を浄水出水部と浄水入水部とに分解した状態(分解状態)を示す左側面図である。
【
図52】
図52は本発明の実施の形態4に係る扁平状切換コックを上側から見た状態を示し、扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体を浄水出水部と浄水入水部とに分解した状態(分解状態)を示す平面図である。
【
図53】
図53は本発明の実施の形態4に係る扁平状切換コックを下側から見た状態を示し、(a)は扁平状切換コックの組立状態(完成状態)を示す底面図、(b)は扁平状切換コックの原水側ユニットから浄水側ユニットを取り外すと共に背面板を取り外し、更に、浄水側ユニットの浄水側本体を浄水出水部と浄水入水部とに分解した状態(分解状態)を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0012】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る扁平状切換コックについて、
図1〜
図23を参照して説明する。まず、実施の形態1の扁平状切換コックは、水栓の吐水口からの原水を、原水吐水モードでは原水吐水口から吐出する共に、浄水吐水モードでは外部の浄水器に供給するのみの(即ち、外部の浄水器からの浄水を還流することはない)いわゆるシングルタイプの扁平状切換コックに具現化される。詳細には、実施の形態1の扁平状切換コックは、
図1及び
図2に示すように、原水側ユニットRU及び浄水側ユニットPU1を一体化すると共に、それらの背面を背面板80により覆う構成である。また、扁平状切換コックは、原水側ユニットRUに弁切換部材100を設け、弁切換部材100により原水吐水モードと浄水吐水モードとの間で弁切換動作を行うように構成されている。より詳細には、扁平状切換コックにおいては、原水側ユニットRUの右側面側(
図3の右側)に浄水側ユニットPU1が配設されると共に、原水側ユニットRUの左側面側(
図3の左側)に弁切換部材100が配設されている。また、扁平状切換コックは、
図3〜
図8に示すように、原水側ユニットRU及び浄水側ユニットPU1の背面から背面板80を取り外した状態で、原水側ユニットRUから浄水側ユニットPU1を容易に取り外して分解できるよう構成されている。即ち、後述するように、浄水側ユニットPU1は、原水側ユニットRUとは別体として構成され、(最終的には原水側ユニットRUに対して螺子等の固定手段により固定されるものの、螺子等の固定手段を取り外した状態では)原水側ユニットRUに対して嵌合による着脱自在となっている。なお、弁切換部材100は、原水側ユニットRUに一体的に配設されて固着されている。
【0013】
[原水側ユニット]
原水側ユニットRUは、左右方向に延びる扁平ボックス状の基部10と、基部の前側で前方に延びる鍔状又は庇状の吐水部40とを備えている。詳細には、
図5に示すように、基部10は、底壁11と上壁12とを高さ方向に所定の間隔を置いて互い平行となるよう配置している。上壁12の中央には、アダプタ装着部13が、所定距離だけ上方に突出するよう一体形成されている。アダプタ装着部13は、後述する取付アダプタ24の取付に必要な最低限の高さ寸法(即ち、その雄螺子部分の軸長に相当する高さ寸法)であって、数mm単位(例えば、約5mm〜7mmの範囲内)の相対的に小さな高さ寸法だけ、上壁12から上方に突出している。
図6〜
図9に示すように、アダプタ装着部13は、前半部を半円形状とすると共に後半部を(前半部の直径と同一幅の)長方形状とした平面略半楕円形状を有し、かつ、下端から上端に向かって縮径するように傾斜して上壁12から上方に突出している。
【0014】
<基部>
より詳細には、
図5、
図6及び
図8に示すように、基部10は、その右端を閉塞して平板状の右側壁14としている。一方、
図5(b)、
図6及び
図10に示すように、基部10は、その左端において底壁11と上壁12との間を開放して左開口15を形成している。基部10の右側壁14及び左開口15は、基部10の側面形状に対応する外形状を有している(即ち、その前端部が湾曲状部分とされ、残りの部分が同一幅(同一高さ)の長方形状部分とされた扁平形状を有している)。そして、基部10は、前記上壁12とアダプタ装着部13の下端位置とが合致する位置から左開口15までの範囲の略長方形筒状部分により、前記浄水側ユニットPU1を嵌合して原水側ユニットRUに一体的に装着する浄水側ユニット接続口16を構成している。即ち、基部10は、当該浄水側ユニット接続口16長さ(
図5中の左右方向寸法)を、後述する浄水側ユニットPU1の内嵌合部56の突出寸法と同一長さに設定すると共に、当該浄水側ユニット接続口16の内周面寸法及び内周面形状を、浄水側ユニットPU1の内嵌合部56の外周面寸法及び外周面形状と同一形状に設定し、浄水側ユニット接続口16に内嵌合部56を密嵌自在としている。
【0015】
<弁座収容筒>
基部10の底壁11、上壁12及び右側壁14により包囲される内部空間の中央より左側(
図5(b)中の右側)には、その左右方向に延びるよう、弁座収容筒17が配設されている。弁座収容筒17は、その先端(
図5(b)中の右端)が前記浄水側ユニット接続口16の内端(
図5(b)中の左端)とほぼ一致する位置まで延びる一方、その基端が基部10の左右方向略中央位置まで延びる所定直径の円筒状をなしている。弁座収容筒17の内径は、後述する弁切換部材100の弁体103〜106の最大径及び浄水側ユニットPU1の原水導水筒57及び弁座58の最大径と同一径である。また、弁座収容筒17の壁厚(内外径差)は、弁体103〜106及び弁座58を内部に収容して弁体103〜106の安定的な摺動動作を可能にする限りにおいて、最低限必要となる壁厚とすることができる。更に、弁座収容筒17の直径は、基部10の底壁11及び上壁12間の上下間隔より若干小さい寸法に設定され、弁座収容筒17と底壁11及び上壁12との間に、それぞれ、若干の隙間(例えば、約1mm程度の隙間)が形成されるよう、弁座収容筒17が基部10内に配設されている。即ち、弁座収容筒17の直径は、底壁11と上壁との間の間隔よりも当該隙間分の寸法だけ(例えば、合計2mm程度の小さい寸法だけ)小さくなる寸法に設定されている。換言すれば、扁平状となる基部10の高さ寸法(厚み寸法)は、後述する弁座58及び弁体103〜106の収容部分となる弁座収容筒17の高さ方向寸法である直径にほぼ相当する寸法に設定され、より具体的には、当該直径より前記隙間分に相当する数mm程度の寸法だけ大きな最小限の寸法に設定されている。即ち、基部10の高さ寸法は、弁体103〜106及び弁座58の最大径より、弁座収容筒17の壁厚分と底壁11及び上壁との間の各隙間分とを合算した寸法だけ大きくなる最小限の寸法に設定されている。また、弁座収容筒17の上縁は、前記アダプタ装着部13の下端位置と一致している。即ち、本実施の形態の扁平状切換コックの最大高さ寸法(最大厚み寸法)となるアダプタ装着部13の上端から底壁11の下面までの寸法は、実質的には、(弁座58及び弁体103〜106の収容部分である)弁座収容筒17の高さ方向寸法である直径(外径)と、(水栓への取付部分である)アダプタ装着部13の高さ方向寸法である軸長とを合計した最小寸法に限定されており、従来の切換コックと比較すると非常に小さい寸法に設定されている。なお、
図18及び
図20に示すように、基部10の内部において、弁座収容筒17の下端側は、リブ状の部分により底壁11に一体的に接合されている。
【0016】
<連絡筒>
基部10の内部空間の中央より右側(
図5(b)中の左側)には、更に、その左右方向に延びるよう、前記弁座収容筒17に連続して連絡部18が一体形成されている。連絡部18は、図示の例では、弁座収容筒17よりも若干小径の円筒状に形成され、弁座収容筒17の基端となる右端(
図5(b)中の左端)から同軸状となるよう所定軸長だけ延設されている。連絡部18の右端は、前記右側壁14より所定距離だけ手前に配置されている。また、連絡部18を構成する周壁の上側の略半部には、通水開口19が形成されている。通水開口19は、連絡部18の略軸心位置より上側の半円筒状部分を、左右方向に一定幅となるよう周方向に所定角度だけ(図示の例では約180度だけ)切り欠いて形成されたものである。基部10の内部空間には、更に、その左右方向に延びるよう、前記連絡部18に連続して栓棒収容筒20が一体形成されている。栓棒収容筒20は、図示の例では、連絡部18よりも若干小径の円筒状に形成され、連絡部18の基端となる右端(
図5(b)中の左端)から同軸状となるよう所定軸長だけ延設されている。栓棒収容筒20は、前記右側壁14まで延設され、その先端となる右端が右側壁14に一体的に接合されると共に、その先端(右端)の円形の開口が、右側壁14を貫通して外部に円形に開口し、後述する栓棒101を当該開口から栓棒収容筒20の内部に挿入自在となっている。ここで、前記弁座収容筒17、連絡部18及び栓棒収容筒20は、基部10の底壁11、上壁12及び右側壁14により包囲される内部空間を右側壁14から浄水側ユニット接続口の基端まで(基部10の左右方向に)延びる一体の円筒状体又は(それらの間の直径の差異による)段付き円筒状体として把握することができる。また、これら底壁11、上壁12及び右側壁14は、
図10に示すように、基部10の前後方向略中央付近に配置されている。なお、(原水側ユニットRUから浄水側ユニットPU1を取り外した状態で)弁座収容筒17の先端は、円形の開口となって、前記基部10の左開口15から露出している。
【0017】
<浄水入水筒>
図5(b)及び
図10に示すように、基部10の内部空間には、その前後方向に延びるよう、かつ、前記連絡部18に直交するよう、浄水入水筒21が一体形成されている。浄水入水筒21は、図示の例では、前記弁座収容筒17よりも若干大径の円筒状に形成され、連絡部18を跨ぐようにして、基部10の内部空間を前後方向に所定軸長だけ延びている。詳細には、浄水入水筒21は、その後端が基部10の背面(後面)の開口より若干(数mm程度)内側に入った位置で円形に開口しており、かつ、その前端は、連絡部18より前側の位置まで延設されて、その前端の開口が後述する吐水部40の吐水口43の内部空間に連通している。また、浄水入水筒21は、その上側の周壁部分が連絡部18の通水開口19の全体を覆い、かつ、跨ぐようにして配設されており、浄水入水筒21の後端の開口が、浄水入水筒21の内部流路及び前端の開口を介して吐水部40の内部空間である通水空間43に連通するようになっている。この浄水入水筒21は、外部の浄水器から還流する浄水を入水させるための部材であるが、本実施の形態の扁平状切換コックは、シングルタイプであって、浄水吐水モードでは、原水を外部の浄水器に供給するのみであり、外部の浄水器からの浄水を還流することはないため、前記浄水入水筒21を浄水の還流に使用することはない構造となっている(後述するように、背面板80の前面に一体形成した浄水入水口閉塞凸部84により浄水入水筒21の先端開口を閉塞している)。即ち、浄水入水筒21は、後述する実施の形態2及び実施の形態3の扁平状切換コックであって、水栓の吐水口からの原水を、原水吐水モードでは原水吐水口から吐出する共に、浄水吐水モードでは外部の浄水器に供給した後に外部の浄水器からの浄水を還流する、いわゆるダブルタイプの扁平状切換コックで使用される部材であるが、本発明に係る扁平状切換コックでは、原水側ユニットRUの構造をシングルタイプとダブルタイプとで同一とすることで、これに追加する浄水側ユニット(PU1等)のみ変更することにより、シングルタイプの扁平状切換コック及びダブルタイプの扁平状切換コック(通常のダブルタイプのほか、浄水別口ダブルタイプも含む)を完成することができ、構造共通化によるコスト低減等の効果を発揮できるようにしている。
【0018】
<アダプタ装着部>
基部10の内部空間においては、上記のとおり、前記アダプタ装着部13の下端部が上壁12の下面よりも若干下方の位置まで延設され、その下端が弁座収容筒17の上縁と接合している。即ち、アダプタ装着部13の下端部の周壁22が、基部10の内部空間に配置されて、その下端位置が弁座収容筒17の上縁位置に配置されている。基部10の内部空間の上端部において、アダプタ装着部13の周壁22の左右位置には、それぞれ、小径円筒状の螺子受23が、後方(即ち、基部10の後面の開口)に向かって延びるよう一体形成されている。また、基部10の内部空間の下端部において、浄水入水筒20の下縁より左右に若干離れた位置にも、それぞれ、同様の螺子受23が、後方に向かって延びるよう一体形成されている。なお、各螺子受23の先端位置(後端位置)は、
図10に示すように、同一位置となっており、各螺子受23の先端が、基部10の前後方向において浄水入水筒20の後端位置と同一位置で円形に開口している。また、
図10に示すように、基部10の内部空間において、吐水部40との境界部分の位置には、同様の螺子受23が、下方に向かって延びるよう一体形成されている。この螺子受23は、吐水部40の上壁41の位置から傾斜周壁42の下端の位置まで延び、その先端(下端)が円形に開口している。
【0019】
<取付アダプタ>
図17〜
図19に示すように、アダプタ装着部13の内周面には雌螺子が螺刻形成されており、アダプタ装着部13の雌螺子に取付アダプタ24の雄螺子部分が螺入自在となっている。アダプタ装着部13には、取付アダプタ24が(その雄螺子部をアダプタ装着部24の内周面に螺刻形成した雌螺子部に)螺入することにより装着されるようになっている。また、取付アダプタ24は、アダプタ装着部13から螺退して取り外し自在である。そして、アダプタ装着部13及び取付アダプタ24を介して、本実施の形態の扁平状切換コックを各種水栓の吐水口に着脱自在となっている。また、
図11〜
図13に示すように、アダプタ装着部13の下端は、隔壁25により閉塞されると共に、アダプタ装着部13の内部底面を構成する隔壁25の上面には、円盤リング状のパッキン26がシール材として載置して配設されている。隔壁25の中央部及び中央部から左側(前記弁座収容筒17側)に偏った部位には、パッキン26の中央の円形開口と連通する原水入水孔27が貫通形成されている。具体的には、基部10の原水入水孔27は、
図11〜
図13及び
図18に示すように、隔壁25においてパッキン26の中央の円形開口と整合する位置に形成された円形開口状の連通孔27aと、隔壁25の下側に配置される前記弁座収容筒17の基端部(右端部であって、連絡部18側の端部)に貫通形成される矩形貫通孔状の通水孔20bとからなり、連通孔27aの一部(弁座収容筒17の基端部と重なる部分)で連通孔27aと通水孔27bとを連通し、当該通水孔27b部分で原水入水口としての取付アダプタ24の内部流路と弁座収容筒17の内部流路の基端部(即ち、後述する左右通水路29の基端部)とを連通するようになっている。
【0020】
<ハンドル取付部>
図18及び
図20に示すように、基部10の右側壁14の外側面(
図18及び
図20中の左側面)には、雄螺子棒状のハンドル取付部30が左方へと突出するよう一体形成されている。ハンドル取付部30は、基部10の高さ寸法よりも小さな外径(雄螺子部分の頂点位置での直径)を有している。なお、後述するように、ハンドル取付部30には、開閉ハンドル90が装着されるようになっている。
【0021】
<吐水部>
図9〜
図16に示すように、吐水部40は、前記基部10の上壁12と面一となる半円盤状の上壁41と、上壁41の前端側に一体形成された周壁42とを有している。
図17に示すように、周壁42は、その上側の外周面が上壁41の前端側の半円状の周縁から下方に傾斜して延びる傾斜面となり、その前端部の下面が平坦な水平面となっているが、その内周面は断面円形状となっている。そして、周壁42の内周面に包囲される空間が、前記基部10の前後通水路28と連通する通水空間43となっている。即ち、基部10の前後通水路28の先端は、周壁42の対応する位置で開口し、通水空間43と連通している。また、周壁42の内周面には、通水空間内の通水経路を制御する切換部材44が嵌合して固定されている。切換部材44には、有底短円筒状の吐水盤45が着脱自在に装着されている。即ち、吐水盤45は、上端を円形に開口すると共に下端を円盤状の底壁により閉塞しており、その周壁の内周面に形成した雌螺子を切換部材44の外周面に形成した雄螺子螺合することで取り付けられている。吐水盤45の底壁は、その中央部分が円形のストレート吐水口46とされ、その外周側部分がシャワー吐水口47とされている。また、周壁42の下面と切換部材44に装着した吐水盤45の上端との間には、切換部材44及び吐水盤45の全周にわたって若干の隙間が設けられ、その隙間を介して、切換ハンドル48が切換部材44の外周面に固定されている。そして、切換ハンドル48により切換部材44を正逆方向に所定角度範囲内で回転することで、前記通水空間43をストレート吐水モードとシャワー吐水モードとの間で切り換え、吐水盤45のストレート吐水口46又はシャワー吐水口47のいずれかから原水又は浄水を吐水自在となっている。一方、
図8に示すように、周壁42の下端は、基部10の高さ方向略中央位置に配置されている。また、
図10に示すように、周壁42の基端部の左側には、前方に向かう断面くちばし状の中空の延長部49が一体形成されている。そして、上記した(基部10の内部空間において吐水部40との境界部分の位置に一体形成された)螺子受23が、延長部49において吐水部40の上壁41の位置から周壁42の下端の位置まで上下方向に延びている。
【0022】
ここで、
図5〜
図10に示すように、吐水部40の上壁41は基部10の上壁12と同一高さ位置に配置されると共に、吐水部40のストレート吐水口46及びシャワー吐水口47からなる吐水口は、基部10の底壁11と同一高さ位置に配置されている。即ち、基部10と同様に扁平状となる吐水部40は、その高さ寸法(厚み寸法)が、基部10と同様、弁座58及び弁体103〜106の収容部分となる弁座収容筒17の高さ方向寸法である直径にほぼ相当する寸法に設定され、かつ、その配置態様は、基部10の前方において基部10と完全に重なるよう(即ち、吐水部40が基部10の前方に位置して基部10を前方から完全に遮蔽し、吐水部40の上下両端のいずれの部位も基部10の上下両端から上下方向に突出しないよう)な配置態様とされている。したがって、本実施の形態の扁平状切換コックは、水栓への装着状態において吐水口から下方に配置される部分の全体の高さ寸法が、上記のとおり、扁平状となる基部10の高さ寸法を従来の切換コックと比較すると非常に小さい寸法に設定されている。
【0023】
また、ここで、前記アダプタ装着部13に取付アダプタ24を完全に螺入して最終的な取付位置とすると、取付アダプタ24の雄螺子部の下端がパッキン26の上面に密接して、アダプタ装着部13と取付アダプタ24との間の水密が維持されるようになっている。なお、前記アダプタ装着部13及び取付アダプタ24は、その装着状態で、本実施の形態の扁平状切換コックの原水入水口を構成している。即ち、このとき、
図18に示すように、取付アダプタ24の内周面により形成される空間が原水入水口となり、この原水入水口が、パッキン26の中央の円形開口を介して、隔壁25及び弁座収容筒17の基端部を貫通する原水入水孔27と連通する。また、
図21に示すように、基部10の内部には、前記浄水入水筒21の先端開口位置から前記吐水部40の周壁42を貫通して通水空間43に連通する前後通水路28が設けられている。なお、基部10の前後通水路28は、周壁42の内部に形成される通水空間43の後端付近の位置まで延びている。また、基部10の前後通水路28は、基部10の内部において前記連絡部18の略上半部に対応する部分を前後方向に直線的に延びており、かつ、吐水部40から吐水する原水の流量を確保するために必要な断面積の流路となっている。更に、
図18及び
図20に示すように、基部10の内部には、弁座収容筒17の基端位置から先端側に延びる左右通水路29が設けられる。具体的には、この左右通水路29は、弁座収容筒17に後述する原水出水部50の原水導水筒57を挿着した状態で、弁座収容筒17の基端位置から原水導水筒57の基端位置まで延び、原水出水筒60の内部流路と連通するようになっている。また、左右通水路29は、その基端位置(弁座収容筒17の基端位置)で、前記前後通水路28の途中位置(前後方向の略中央位置)と連通している。即ち、基部10内部において、左右通水路29は、連絡部18の断面の全体に対応する部分を左右方向に直線的に延びており、かつ、外部浄水器へ供給する原水の流量を確保するために必要な断面積の流路となっている。換言すれば、薄肉扁平状となる基部10の内部において、通水路となる前後通水路28及び左右通水路29は、いずれも、基部10の高さ方向において弁切換部材10の厚みと同程度の範囲内に設けられている。
【0024】
図18に示すように、弁座収容筒17内の左右通水路29は、後述する弁体103〜106の弁切換位置に応じて、連絡部18の内部流路との連通が遮断されることにより、連絡部18の内部流路を介した前後通水路28との連通が遮断される(原水吐水モードにおける)遮水状態と、連絡部18の内部流路と連通すると共に、連絡部18の内部流路を介して前後通水路28とも連通する(浄水吐水モードにおける)通水状態との間で選択的に切り替え自在となっている。これにより、水栓の吐水口からの原水は、原水入水口としての取付アダプタ24の内部流路からパッキン26の円形開口から、原水入水孔27を介して左右通水路29の基端部に流入する(即ち、弁座収容部17の基端部を貫通する通水孔27bを介して左右通水路29の基端部に流入する)。そして、扁平状切換コックは、原水入水孔27からの原水が、後述する弁体103〜106の弁切換位置に応じて、左右通水路29への流入を遮断されると共に、前後通水路28への流入を許容される原水吐水モードと、左右通水路29への流入を許容されると共に、前後通水路28への流入を遮断される浄水吐水モードとの間で選択動作できるようになっている。なお、本実施の形態の扁平状切換コックでは通水に使用されることはないが、
図17に示すように、前記浄水入水筒21の内部流路は、前記連絡部18の通水開口19を介して、原水側ユニットRU内部を前方に延びる前後通水路28に連通している。
【0025】
[浄水側ユニット]
実施の形態1の浄水側ユニットPU1は、前記原水側ユニットRUの基部10に着脱自在に装着される原水出水部50と、原水出水部50の左側面に着脱自在に装着される側面キャップ70とからなる。詳細には、まず、
図5(b)及び
図6に示すように、原水出水部50は、底壁51と上壁52とを高さ方向に所定の間隔(前記基部10の上壁12及び底壁11の間隔と同一間隔)を置いて互い平行となるよう配置している。即ち、原水出水部50の高さ寸法は基部10の高さ寸法と同一であり、原水出水部50を基部10に装着したときに、原水出水部50の上下両面が基部10の上下両面と面一となるようになっている。また、
図9及び
図10に示すように、原水出水部50は、その前端を閉塞して湾曲板状の前壁53としている。また、
図12及び
図13に示すように、原水出水部50は、その右端における後端部の所定寸法部分だけを除いて底壁51と上壁52との間を閉塞して右側壁54を形成している。一方、原水出水部50は、その左端において底壁51と上壁52との間を開放して、キャップ装着口としての左開口55を形成している。また、
図5(b)、
図6及び
図8に示すように、原水出水部50は、その右端において前記右側壁54の略後半部から右方に突出するよう内嵌合部56を一体形成している。内嵌合部56は、基部10の左開口15の内部の面(即ち、浄水側ユニット接続口16の内部の面)に少なくとも一部の面が密接して嵌合自在な形状を有している。内嵌合部56の後端位置は、右側壁54の後端位置と一致している。
【0026】
<原水導水筒>
内嵌合部56の略中央位置からは、円筒状の原水導水筒57が前記右側壁54と直交するよう右方に突出して一体形成されている。原水導水筒57は、その外径が基部10の弁座収容筒17の内径と同一となる円筒状に形成され、原水導水筒57を弁座収容筒17に摺動して挿入することで、原水導水筒57の外周面を弁座収容筒17の内周面に密接保持して、原水導水筒57を介して浄水側ユニットPU1を原水側ユニットRUに前後方向及び上下方向への移動不能として位置固定するようになっている。なお、このとき、原水出水部50の右側壁54の外周縁が基部10の浄水側ユニット接続口16の開口外周縁に当接すると共に、内嵌合部56の少なくとも一部が浄水側ユニット接続口16の内面の対応部分に当接し、浄水側ユニットPU1の原水側ユニットRUに対する支持及び位置固定を補助するようになっている。また、原水導水筒57の先端部は弁座58となっている。弁座18は、
図18の一点鎖線の円内に拡大して示すように、原水導水筒57の先端部において、先端面から内周側の所定位置にわたって形成した段差面状又は段付き凹部状となっている。具体的には、弁座58は、原水導水筒57の先端部に、原水導水筒57の先端部以外の部分の外径と内径との略中間位置の直径を有する円筒状の凹部を、原水導水筒57の先端から奥側の所定位置まで延びるよう形成することで構成されるものである。そして、弁座58は、前記凹部の先端位置で原水導水筒57の先端面となる大径の円形リング状の平坦面からなる先端弁座面58aと、前記凹部の円筒状の内周面からなる内周弁座面58bと、前記凹部の最奥位置で(即ち、原水導水筒57の先端から奥側の前記所定位置で)内端面となる小径の円形リング状の平坦面からなる基端弁座面58cとから構成されている。なお、原水収容筒57の基端部の所定位置(基端から所定距離だけ離れた軸方向位置)の外周には、円形リング状の凹部溝が形成され、当該凹部溝内にOリング59が密嵌して装着されており、原水収容筒57を弁座収容筒17内に挿着したときに、Oリング59が弁座収容筒17の内周面に弾接して、原水収容筒57と弁座収容筒との間の水密を維持するようになっている。
【0027】
<原水出水筒>
原水出水部50の右側壁54と左開口55との間の内部空間には、原水出水部50の前端付近の位置から後端付近の位置まで延びるよう、原水出水筒60が一体形成されている。原水出水筒60は、
図20に示すように、右側壁54に対して厚肉となる前壁53の内側面(後側面)から後方に直交して突出する略円筒状をなし、前記原水導水筒57の基端の円形開口が、原水出水筒60の周壁の右側部分に連通して開口し、原水導水筒57からの原水が原水出水筒60に流入するようにしている。なお、正確には、
図20に示すように、原水出水筒60は、その周壁の右側部分が前記右側壁54と一体化しており、当該一体化部分で右側壁54の一部を構成している(即ち、原水出水筒60は、その周壁の右側部分が側壁状となる略円筒状となっている)。また、
図5(b)及び
図6に示すように、原水出水筒60の周壁の前端部の左側部分は、左方へ張り出し形成された平板状部分となっている。一方、原水出水部50の後側において、内嵌合部56の後側面(後ろ側の壁部分の後面)には、後方に直交して突出するよう、左右一対の螺子受61が一体形成されている。なお、各螺子受61の先端位置(後端位置)は、
図8に示すように、同一位置となっており、各螺子受61の先端(後端)が、原水出水部50の前後方向において原水出水筒60の後端位置と同一位置で円形に開口している。
【0028】
<螺子受>
ここで、本実施の形態の扁平状切換コックにおける原水出水部50の基部10と反対側の側面)(前記左開口55)を遮蔽する構成として、
図5(b)及び
図6に示すように、原水出水筒60の周壁の前端部で左方に張り出し形成された平板状部分の前側面には、
図9及び
図10に示すように、前記左右一対の螺子受61と同様の上下一対の螺子受61が、前方に直交して突出するよう一体形成されている。更に、原水出水筒60の周壁の左側(外周面の左側縁位置)には、同様の前後一対の螺子受61が、上下方向に延びるよう一体形成されている。前記上下一対の螺子受61の先端位置(前端位置)は、前記前後一対の螺子受61のうちの後側の螺子受61の後縁位置とほぼ一致している。なお、前記上下一対の螺子受61は、その後端の円形の開口が、
図6に示すように、原水出水筒60の周壁の左方への張り出し形成部分で開口すると共に、その前端の円形の開口が、前記前後一対の螺子受61のうちの後側の螺子受61の後縁位置で開口している。また、前記前後一対の螺子受61は、それぞれ、その上下両端が円形に開口している。一方、
図9及び
図10並びに
図13及び
図14に示すように、前記底壁51の左側縁には、前記前後一対の螺子受61と対向する位置に、それぞれ、螺子受61の外径とほぼ同一径となる半トラック状又は半楕円状の螺子用凹部62が形成されている。なお、この螺子用凹部62は、後述する側面キャップ70を原水出水部50に螺子止めするための雄螺子を挿通するためのものである。具体的には、螺子用凹部62は、原水出水部50に側面キャップ70を嵌合した状態で、後述する側面キャップ70の螺子受73及び原水出水部50の螺子受61に下方から雄螺子を挿通して当該雄螺子の頭部を収容するための開口である。
【0029】
<圧力逃し弁>
図14〜
図16に示すように、浄水側ユニットPU1の原水出水部50の右端部の内部には圧力逃し弁65が配設されると共に、浄水側ユニットPU1の原水出水部50の前端部から後端部にかけた内部には熱水逃し弁66が配設されている。圧力逃し弁65は、
図16、
図18及び
図22に示すように、下端となる排水口65Aが、原水出水部50の底壁51で露出するように設けられて外部に開口すると共に、その内部流路が底壁51から上方に延設され、その内部流路の上端開口が原水出水部50の原水導水筒57に連通している(
図23中の原水導水筒57の先端開口側に視認される円形部分が圧力逃し弁65の内部流路の先端開口)。なお、圧力逃し弁65の排水口65A(及び圧力逃し弁65全体)の配設位置は、原水出水部50の右端縁における所定の前後方向位置(上方に配設される原水導水筒57と対向する位置)となっている。また、圧力逃し弁65は、
図18に示すように、排水口65Aの内部流路に弁体65Bを同軸状かつ軸方向への往復移動自在に配設すると共に、排水口65Aの内部流路において、当該内部流路の底面(排水口65A側の下面)と前記弁体65Bの先端との間にコイルスプリング状の押圧バネ65Cを同軸状に介装し、押圧バネ65Cにより弁体65Bを常には前記排水口65Aの内部流路の上端開口に向かって付勢するようにしている。そして、圧力逃し弁65は、押圧バネ65Cによる弁体65Bの弁動作(原水の水圧に応じた開弁動作及び閉弁動作)により、常には閉弁状態にある一方で、原水出水部50において原水圧が設定圧力以上の過剰圧力となったときに開弁動作して、過剰圧力の原水の一部を原水導水筒57から外部に放出することで、原水出水部50から基部10にかけて内部の原水圧を低減して設定圧力以下の圧力に維持し、過剰圧力による扁平状切換コックの内部機構への影響を防止するようになっている。原水導水筒57の内部の原水圧が設定圧力以下になると、圧力逃し弁65は閉弁動作する。なお、圧力逃し弁65の円形の排水口65Aに対応して、前記基部10の底壁11の左端縁において、原水出水部50における圧力逃し弁65の前後位置に一致する位置には、圧力逃し弁65の排水口と同一径の半円状の嵌合凹部11aが形成されている。そして、原水出水部50を基部10に組み付けたときに、圧力逃し弁65の排水口65Aの右側の半部が、基部10の嵌合凹部11aに密嵌されるようになっている。
【0030】
<熱水逃し弁>
熱水逃し弁66は、
図16、
図20及び
図23に示すように、下端となる排水口66Aが、原水出水部50の底壁51で露出するように設けられて外部に開口すると共に、その内部流路が底壁51から上方の所定位置(原水出水筒60と連通する位置)まで延設されて、その内部流路の上端開口が原水出水部50の原水出水筒60に連通している。なお、熱水逃し弁66の排水口(及び内部流路)の配設位置は、原水出水部50の前端縁部における所定の左右方向位置(上方に配設される原水出水筒60と対向する位置)となっている。更に、熱水逃し弁66は、原水出水筒60の内部に段付き円柱状の制御部材67を配設している。制御部材67は、上流側の基端部(前記排水口66A側の端部)を、前記排水口66Aの上端開口と原水出水筒60の内部流路の上流側となる基端開口との間の連通部分に挿脱自在となっていると共に、下流側の先端部を、(原水出水筒60の内部流路の下流側となる先端開口に挿着された)背面板80の嵌合凸部84の内部流路に挿脱自在となっている。また、熱水逃し弁66は、原水出水筒60の内部流路において、上流側である基端側(前記排水口66A側)に形状記憶合金からなるコイルスプリング状の制御バネ67Aを同軸状に配設すると共に、下流側である他端側にコイルスプリング状の押圧バネ67Bを同軸状に配設している。制御バネ67Aは、原水出水筒60の内部流路において、上流側である基端側の底面(前記排水口66A側の段差面)と制御部材67の基端側の段差面との間に介装されている。また、押圧バネ67Bは、(原水出水筒60の内部流路と連通する)背面板80の雄螺子部82の下流側である先端側の底面と制御部材67の先端側の段差面との間に介装されている。押圧バネ67Bは、制御部材67を常には前記排水口66Aの内部流路の上端開口に向かって付勢するようにしている。そして、制御バネ67Aは、原水出水筒60の内部流路を所定温度未満の冷水が流動する間は、
図20に示す収縮状態を維持しており(即ち、押圧バネ67Bの押圧バネ力よりも弱い押圧バネ力となっており)、これにより、押圧バネ67Bの押圧付勢力により、制御部材67の基端部が、排水口66Aの上端開口と原水出水筒60の内部流路の基端開口との間の連通部分に水密に挿着されて、原水出水筒60の内部流路内の原水が、排水口66Aへと流動することを遮断する。このとき、制御部材67の先端部は、背面板80の嵌合凸部84の内部流路にシール部分よりも先端側の一部のみ挿入しており、制御部材67の先端部と嵌合凸部84の内部流路との連通は維持されているため、制御部材67は、原水出水筒60の内部流路内の原水が雄螺子部82の内部流路へと流動することを許容している。一方、制御バネ67Aは、原水出水筒60の内部流路を所定温度以上の温水又は熱水が流動すると、
図20に示す(低温時の弱いバネ力による)収縮状態から(形状記憶合金の特性に応じた設定温度以上時の強いバネ力による)大きな軸長へと伸長し(即ち、押圧バネ67Bの押圧バネ力よりも強い押圧バネ力となり)、これにより、押圧バネ67Bの押圧付勢力に抗して、制御部材67の基端部が、排水口66Aの上端開口と原水出水筒60の内部流路の基端開口との間の連通部分から離脱してその水密を解除し、原水出水筒60の内部流路内の原水が、排水口66Aへと流動することを許容する。このとき、制御部材67の先端部は、背面板80の嵌合凸部84の内部流路にシール部分を挿入して水密を確保及び維持し、制御部材67の先端部のシール部分と嵌合凸部84の内部流路との連通が遮断されるため、制御部材67は、原水出水筒60の内部流路内の原水が雄螺子部82の内部流路へと流動することを遮断する。このように、熱水逃し弁66は、制御部材67並びに制御バネ67A及び押圧バネ67Bによって、所定温度以上の原水(即ち、熱水)が、基部10から原水出水筒57を介して流動してきたときに、その熱水を前記内部流路の上端開口から排水口66Aへと導出するように開弁動作するものである。そして、熱水逃し弁66は、常には閉弁状態にある一方で、原水出水部50に流入した原水が設定温度以上の熱水となったときに開弁動作して、熱水を外部に放出することで、熱水が原水出水部50から外部の浄水器に供給されないようにし、熱水による外部浄水器への影響を防止するようになっている。なお、内部の原水温度が設定温度以下になると、熱水逃し弁66は閉弁動作する。
【0031】
<側面キャップ>
図4、
図6、
図8〜
図10、
図13、
図16に示すように、側面キャップ70は、側壁71及び前壁72によりキャップ状に一体形成されると共に、内部に螺子受73を一体形成したものである。詳細には、側壁71は、原水出水部50の左開口55部分の外周縁形状と同一の外形を有すると共に、外周から中央部にかけて若干外側に湾曲する板状である。また、前壁72は、側壁71の前端側に、原水出水部50の前壁53の湾曲形状に対応する湾曲形状となるよう一体形成された細幅の湾曲板状となっている。そして、側面キャップ70を原水出水部50に装着すると、側面キャップ70の側壁71及び前壁72の外周縁が、原水出水部50のキャップ装着口としての左開口55の外周縁に合致して、側面キャップ70を原水出水部50の側方で隙間なく一体化することができるようになっている。一方、側面キャップ70の内部の螺子受73は、
図4、
図6及び
図8に示すように、側壁71の内側面の前後位置において、それぞれ、上下一対となるよう一体形成されている。螺子受73は、側壁71及び前壁72の外周縁から外方(原水出水部50に向かう方向)に所定寸法突出している。前後に一対ずつ設けられる(合計4個の)螺子受73の配置位置は、側面キャップ70を原水出水部50に装着したときに、前側(
図8中の左側)の上下一対の螺子受が、
図9に示す原水出水部50の原水出水筒60上の前側(
図9中の左側)の螺子受61と前後方向に合致して配置され、かつ、当該螺子受61の上下に前記上下一対の螺子受73が密接して配置されると共に、後側(
図8中の右側)の上下一対の螺子受が、
図9に示す原水出水部50の原水出水筒60上の後側(
図9中の右側)の螺子受61と前後方向に合致して配置され、かつ、当該螺子受61の上下に前記上下一対の螺子受73が密接して配置される位置となっている。そして、側面キャップ70を原水出水部50に装着したときに、前後にそれぞれ設けられる上下一対の螺子受73とその中間の螺子受61とが、それらの挿通孔を整合させた状態で重ね合わされ、これにより、ビス等の締結用の雄螺子を螺子受73及び螺子受61の一連の挿通孔に挿通して締め付け、側面キャップ70を原水出水部50に(必要に応じて取り外し自在となるよう)固定できるようになっている。
【0032】
<原水出水部の側面の構成の別例>
上記では、螺子受61及び螺子受73に雄螺子を螺入して原水出水部50の側面に別体の側面キャップ70を螺子締結して組み付ける構成について説明した。しかし、側面キャップ70の原水出水部50への取付手段として、側面キャップ70の螺子受73及び原水出水部50の螺子受61に雄螺子を螺入締結する構成を採用する場合は、かかる凹部又は開口が必要となるが、側面キャップ70の原水出水部50への取付手段として、原水出水部50の内部空間に収納されるような構成を採用したり、側面キャップ70を原水出水部50に接着や圧入嵌合により一体的に(例えば、意図した取り外し作業をしない限り離脱不能となるように)接合する構成を採用したり、或いは、原水出水部50の(樹脂等の所定の塑性成形材料による)成形時に側面キャップ70に対応する側壁を原水出水部50に一体成形する構成を採用したりする場合、前記螺子用凹部62及びその関連部位を別形状又は別構成としたり、それらの一部又は全部を省略したりすることができる。ただし、原水出水部50の基部10と反対側の側面を側面キャップ70等の閉塞部材により閉塞自在とし、かつ、その閉塞部材を螺子止め等により容易に取り外し自在として構成した場合、後述する浄水別口ダブルタイプの扁平状切換コックを構成する場合に、本実施の形態のシングルタイプの扁平状切換コックの側面キャップ70等の閉塞部材を原水出水部50の側面から取り外し、その原水出水部50の側面に、浄水吐水部を装着するだけで、浄水別口ダブルタイプの扁平状切換コックを構成することができ、シングルタイプの扁平状切換コック及び(浄水別口タイプではない)通常のダブルタイプの扁平状切換コックと原水出水部50を共用できるという特有の利点を得ることができる。
【0033】
[背面板]
図6、
図8、
図10、
図13及び
図16に示すように、背面板80は、板状の遮蔽部81と、遮蔽部81の後面に突出形成された雄螺子部82と、雄螺子部82の中心から突出するよう同軸状に一体形成されたホースニップル83と、遮蔽部81の前面に一体形成された嵌合凸部84と、遮蔽部81の前面に一体形成された閉塞凸部85と、遮蔽部81の周囲に一体形成された螺子挿通部86とを有している。詳細には、遮蔽部81は、
図5(a)に示すように、基部10に原水出水部50を装着し、かつ、原水出水部50に側面キャップ70を装着した取付状態において、一体化された基部10及び原水出水部50及び側面キャップ70の背面側の開口の全体を遮蔽する輪郭形状を有する平板状に形成されている。雄螺子部82は、雄螺子を外周面に形成すると共に両端を円形に開口した円筒状をなし、遮蔽部81の右側において、前記原水出水部50の原水出水筒60と同軸状に整合する位置に、遮蔽部81から後方に突出して形成されている。また、ホースニップル83は、外部浄水器への接続用のホースを連結自在な両端を円形に開口したニップル状をなし、雄螺子部82と同軸状となるよう、雄螺子部82の先端面(後端面)から後方に突出して形成されている。そして、雄螺子部82には締結キャップ87が螺合して接合自在となっており、ホースニップル83に外部浄水器への原水供給用のホースの基端部を外嵌し、雄螺子部82に締結キャップ87を螺合して締結することにより、ホースニップル83に原水給水用のホースを接続固定するようになっている。
【0034】
嵌合凸部84は、両端を円形に開口した短円筒状をなし、遮蔽部81の前面において、前記雄螺子部82と同軸状となるよう、即ち、原水出水筒60と同軸状に整合する位置に、遮蔽部81から前方に突出して形成されている。嵌合凸部84は、原水出水筒60の先端(後端)開口の内周面の形状及び内径と同一の外周面形状及び外径を有し、原水出水筒60の先端開口に水密に密嵌自在となっている。なお、円筒状の嵌合凸部84は、円筒雄螺子状の雄螺子部82と連通しており、原水出水筒60からの原水が、嵌合凸部84から雄螺子部82を介してホースニップル83に流動し、ホースニップル83に接続した外部浄水器への給水用のホースに原水を供給するようになっている。一方、本実施の形態において、閉塞凸部85は、嵌合凸部84と同様の短円筒状をなし、遮蔽部81の前面において、基部10の浄水入水筒21と同軸状に整合する位置に、遮蔽部81から前方に突出して形成されている。閉塞凸部85は、浄水入水筒21の先端(後端)開口の内周面の形状及び内径と同一の外周面形状及び外径を有し、浄水入水筒21の先端開口に水密に密嵌自在となっている。なお、円筒状の閉塞凸部84は、基端(底壁側)が完全に閉塞しており、浄水入水筒21の先端開口を完全に閉塞して、浄水入水筒21の先端開口への装着により浄水入水筒21の先端開口位置での通水を完全に遮断するようになっている。そして、背面板80は、遮蔽部81を基部10及び原水出水部50の背面の開口に密接して嵌合し、螺子挿通部86の螺子挿通孔86aに雄螺子63を挿通して、基部10の螺子受23及び原水出水部50の螺子受61に螺入することで、基部10及び原水出水部50の背面側に固定され、基部10及び原水出水部50の開口を遮蔽するようになっている。このとき、嵌合凸部84が原水出水筒60の先端開口に水密に密嵌されて原水出水筒60の内部流路をホースニップル83を介して外部ホースに連通すると共に、閉塞凸部85が、浄水入水筒21の先端開口に水密に密嵌されて浄水入水筒21の内部流路を外部から遮断するようになっている。
【0035】
[ハンドル]
図8、
図18及び
図20に示すように、開閉ハンドル90は、基部10のハンドル取付部30に螺入して装着される操作部91と、操作部91の開口部を介してハンドル取付部30の内部において弁切換部材100の栓棒101の基端に螺入される雄螺子92と、操作部91の開口部を遮蔽するキャップ93とを有している。詳細には、操作部91は、所定のブロック形状をなし、ハンドル取付部30の外周面に螺刻形成された雄螺子部分に螺入・螺退自在な雌螺子を介して、ハンドル取付部30に外嵌装着されるようになっている。即ち、操作部91は、
図1及び
図2に示すように、扁平状切換コックの側面視においてトラック形状又は上下両側を平坦面とした横長の楕円形状となり、左右方向に当該トラック形状と同一断面形状となるブロック形状をなしている。また、
図3〜
図6に示すように、断面トラック形状の操作部91の短軸寸法である高さ寸法(厚み寸法)は、基部10の高さ寸法と同一寸法とされている。更に、
図7及び
図8に示すように、操作部91の通常状態で、操作部91の前側の円弧状の湾曲面は、その上側半部が基部10の右側壁14の前側縁の上側半部に一致する所定曲率の円弧状の面となっている。なお、これにより、操作部91の通常状態で、操作部91の前側の湾曲面の下側半部は、右側壁14の下側半部である凹部部分より前方に配置される。また、操作部91の通常状態で、操作部91の後側の円弧状の湾曲面は、その全体が基部10の右側壁14の後側縁より後方に配置される。なお、操作部91の長軸寸法である前後寸法は、操作部91の回動操作時の操作性を考慮して、右側壁14の前後寸法よりも前後両側の湾曲面の厚み分(左右方向寸法)だけ大きな寸法とされているが、操作部91を回動操作可能な限りにおいて、その他の寸法とすることもできる。また、前記雄螺子92は、
図18に示すように、その頭部が、操作部91の中心部に形成した凹部に収容されると共に、その軸部が、当該操作部91の凹部から基部10側に突出するようになっている。また、キャップ93は、操作部91の当該凹部の開口と同一の輪郭形状の板状をなし、操作部91の凹部の開口に着脱して当該凹部の開口を閉塞自在となっている。
【0036】
[弁切換部材]
図18及び
図20に示すように、弁切換部材100は、所定直径の円柱状をなす栓棒101と、前記栓棒101よりも小径の円柱状をなす連結部102と、前記連結部102よりも大径の多段フランジ付の短い円柱状をなす弁体103〜106とを同軸状に一体形成した略円柱状をなしている。そして、基部10のハンドル取付部30の内部には、軸心に沿って断面円形の軸孔31が貫通形成されると共に、当該軸孔31に、弁切換部材100の栓棒101が挿入されるようになっている。詳細には、栓棒101は、ハンドル取付部30の軸孔31の内径と同一の外径を有する円柱状をなし、その基端部(
図18中の右端部)には、軸心に沿って延びるよう螺刻形成された雌螺子孔に前記開閉ハンドル90の雄螺子92が螺入されるようになっている。また、栓棒101の先端部の所定位置(先端から所定距離だけ離れた軸方向位置)の外周には、円形リング状の凹部溝が形成され、当該凹部溝内にOリング106が密嵌されて装着されている。連結部102は、栓棒101よりも所定寸法だけ小さい直径(例えば、栓棒101の凹部溝の底面位置の直径と同一の直径)を有する単純円柱状をなしている。弁体103〜106は、連結部102と同一の直径又は連結部102より若干大径となる直径を有する所定軸長の円柱状部分の基端及び先端に、それぞれ、同一直径の円盤リング状又は円盤フランジ状をなす第1小径盤103及び第2小径盤105を放射方向に張り出すようにして一体形成すると共に、当該円柱状部分の軸方向中央位置(即ち、第1小径盤103と第2小径盤105との中間位置)に、第1小径盤103及び第2小径盤105よりも所定寸法だけ大径の円盤リング状又は円盤フランジ状をなす大径盤104を放射方向に張り出すようにして一体形成し、更に、大径盤104と第1小径盤103との間に形成される円形リング状の凹部溝と大径盤104と第2小径盤105との間に形成される円形リング状の凹部溝とに、それぞれ、Oリング106を密嵌して装着したものである。
【0037】
ここで、弁切換部材100の軸長(基端面から先端面までの長さ寸法)は、
図18に示すように、操作部91の内側面がハンドル取付部30の先端面に当接するまで操作部91を正方向(原水吐水モードとする方向)に回転させて原水吐水モードとしたときに、弁体のうち第2小径盤105の先端面が、原水導水筒57内の弁座58の基端弁座面58cに当接する長さである。なお、このとき、大径盤104の先端面は、弁座58の先端弁座面58aに当接するよう、弁体の大径盤104と第2小径盤105との間の間隔寸法(及び、弁座58の先端弁座面58aと基端弁座面58cとの間の軸方向寸法)が設定されている。また、この原水吐水モードにおいて、栓棒101の先端が、栓棒収容筒20と連絡部18との間の境界位置よりも若干基端側の位置(即ち、
図6に示す通水開口19の左端より左方となる位置)に配置されるよう、栓棒101の長さ寸法が設定されている。また、この原水吐水モードにおいて、連結部102の(栓棒101の先端位置と一致する)基端位置は、同様に、栓棒収容筒20と連絡部18との間の境界位置よりも若干基端側の位置(即ち、
図6に示す通水開口19の左端より左方となる位置)に配置されると共に、連結部102の先端位置(弁体の第1小径盤103との間の境界位置)は、連絡部18と弁座収容筒17との間の境界位置よりも若干先端側の位置(即ち、
図6に示す通水開口19の右端より右方となる位置)に配置されるよう、連結部102の長さ寸法が設定されている。更に、弁体の軸長のうち、大径盤104と第2小径盤105との間の距離(間隔寸法)は、上記のように、
図18、
図22(a)及び
図23(a)に示す原水吐水モードにおいて、第2小径盤105の先端面が弁座58の基端弁座面58cに当接したときに、大径盤104の先端面が弁座58の先端弁座面58aに当接する長さであるが、大径盤104と第1小径盤103との間の長さも、大径盤104と第2小径盤105との間の距離(間隔寸法)と同一長さに設定されている。一方、前
図18中の右側の一点鎖線の円形内に拡大図で示すように、基部10内の栓棒収容筒20の先端部には、弁体当接部20aが形成されている。弁体当接部20aは、背棒収容筒20の先端面から奥側又は内周側の所定位置まで延びる段差面状又は段付き凹部状となっている。また、弁体当接部20aの内径は、弁体の大径盤104の外径より若干大径に設定され、大径盤104の基端面が弁体当接部20aの底面に当接自在となっている。更に、栓棒収容筒20の内周面20bは、前記弁体の第1小径盤103の外径と略同一に設定され、第1小径盤103と大径盤104との間のOリングが、栓棒収容筒20の内周面20bに弾接して水密を維持するようになっている。
【0038】
[扁平状切換コックの組立]
上記のように構成された扁平状切換コックを製造するための材料としては、弁切換部材100が通常は金属製となる以外は、所定の合成樹脂が各部品及び各部材に応じて使用され、所定の合成樹脂を所定の成形技術(通常は、射出成形)により上記各形状及び各構成となるように成形して、基部10、吐水部40、原水出水部50、側面キャップ70、背面板80及び開閉ハンドル90を成形する。また、上記のように構成された扁平状切換コックは、基部10に弁切換部材100を組み付けた後、基部10に開閉ハンドル90を組み付けると共に、側面キャップ70を装着した原水出水部50を基部10に組み付け、その後、基部10、原水出水部50及び側面キャップ70の背面を背面板80により覆うことで、原水側ユニットRU及び浄水側ユニットPU1からなる全体が組み立てられる。なお、上記のとおり、原水出水部50として側面キャップ70をあらかじめ一体形成する構成を採用した場合(例えば、原水出水部50の樹脂成形時に側面キャップ部分を同時に一体成形したり、或いは、原水出水部50の側面のキャップ装着口に側面キャップ70を螺子止めではなく接着や圧入嵌合等により一体的に組みつけたりした場合)、原水出水部50への側面キャップ70の組付けは不要となる。ここで、弁切換部材100については、開閉ハンドル90を基部10のハンドル取付部30から取り外した状態で、その弁体103〜106側からハンドル取付部30の軸孔31内に挿入される。そして、
図18に示すように、栓棒101の基端面がハンドル取付部30の先端面(軸孔31の基端位置)に合致するまで弁切換部材100を基部10の内部に挿入したら、操作部91をハンドル取付部30に螺合して装着する。この後、雄螺子92を操作部91の凹部内に雄螺子を挿通し、雄螺子92を栓棒101の雌螺子孔に螺入して締結することにより、操作部91を栓棒101の基端に相対回動不能に固定する。これにより、操作部91の正逆方向への回転動作に伴い、栓棒101を正逆方向へ回転操作(即ち、原水吐水モードと浄水吐水モードとの間での回転操作)することができるようになる。なお、雄螺子92を栓棒101に螺入完了した後、操作部91の凹部はキャップ93により閉塞する。一方、原水出水部50については、まず、原水出水部50のキャップ装着口としての左開口55に側面キャップ70を位置合わせして嵌合し、側面キャップ70の螺子受73を原水出水部50の螺子受61と整合させ、底壁52の螺子用凹部62を介して下方から雄螺子を挿通して、下側の螺子受73、中間の螺子受61及び上側の螺子受73に螺入して締め付けることにより、側面キャップ70を原水出水部50に組み付けることができる。
【0039】
[弁切換動作]
上記のように構成した切換弁の弁切換動作について説明すると、まず、
図18並びに
図22(a)及び
図23(a)に示すように、操作部91の内側面がハンドル取付部30の先端面に当接するまで、操作部91を正方向(原水吐水モードとする方向)に回転させて原水吐水モードとすると、
図18中の左側の一点鎖線の円形内に拡大して示すように、弁体のうち第2小径盤105の先端面が、原水導水筒57内の弁座58の基端弁座面58cに当接すると共に、大径盤104の先端面が基端弁座面58aに当接し、かつ、大径盤104と第2小径盤105との間のOリング106が内周弁座面58bに弾接し、原水出水部50の原水導水筒57の先端開口部分で水密を確保して維持する。これにより、原水出水部50の原水導水筒57の内部流路と基部10の原水入水孔27との間での連通が、原水導水筒57の先端部分において完全に遮断された状態となる。一方、扁平状切換コックを水栓の吐水口に装着した状態で、水栓から原水を吐水すると、その原水は、原水側ユニットRUの原水入水口としての取付アダプタ24の内部流路を通過し、パッキン26の中央の円形開口から原水入水孔27に入水する。このとき、基部10内において、原水入水孔27は左右通水路29の基端部と連通しているが、弁座58に対する弁体の着座位置が左右通水路29の基端部よりも原水導水筒57側(即ち、外部浄水器への給水方向における下流側)にあるため、原水は、原水導水筒57へ流動することはできず、左右通水路29の基端部から連絡部18の内部流路へと流入する。即ち、原水吐水モードでは、原水導水筒57の内部流路と基部10の原水入水孔27との間での連通が完全に遮断されているため、原水は、原水導水筒57の内部流路への流入を完全に阻止されることになり、原水が原水導水筒57から原水出水筒60を経て外部の浄水器に供給されることはない。また、このとき、
図18に示すように、連絡部18の内部流路は、通水開口19を介して、基部10内の前後通水路27と連通している。したがって、原水入水孔27からの原水は、
図21に示すように、左右通水路29の基端部から連絡部18及び通水開口19を経て前後通水路28へと流入し、最終的に、吐水部40の通水空間43内へと進入する。これにより、吐水部40の切換ハンドル48の操作によりストレート吐水モードを選択した場合は、原水はストレート吐水口45からストレート吐水される。また、吐水部40の切換ハンドル48の操作によりシャワー吐水モードを選択した場合は、原水はシャワー吐水口46からシャワー吐水される。
【0040】
一方、
図22(b)及び
図23(b)に示すように、操作部91の内側面がハンドル取付部30の先端面から離間するよう操作部91を逆方向(浄水吐水モードとする方向)に回転させると、
図18中の右側の一点鎖線の円形内に拡大して示すように、弁体のうち大径盤104の基端面が弁体当接部20aの先端面に当接したときに、浄水吐水モードとなる。このとき、第1小径盤103は、栓棒収容筒20の内部において弁体当接部20aよりも内側に配置されると共に、第1小径盤103と大径盤104との間のOリング106が、栓棒収容筒20の内周面20bに弾接し、基部10の栓棒収容筒20の先端開口部分で水密を確保して維持する。これにより、基部10の前後通水路28と基部10の原水入水孔27との間での連通が、栓棒収容筒20の先端部分において完全に遮断された状態となる。一方、扁平状切換コックを水栓の吐水口に装着した状態で、水栓から原水を吐水すると、その原水は、原水側ユニットRUの原水入水口としての取付アダプタ24の内部流路を通過し、パッキン26の中央の円形開口から原水入水孔27に入水する。このとき、基部10内において、原水入水孔27は左右通水路29の基端部と連通しているが、弁座58に対する弁体の着座位置が左右通水路29の基端部よりも前後通水路28側(即ち、吐水部40への給水方向における下流側)にあるため、原水は、吐水部40へ流動することはできず、左右通水路29の基端部から原水導水筒57の内部流路へと流入する。即ち、浄水吐水モードでは、基部10の前後通水路28と原水入水孔27との間での連通が完全に遮断されているため、原水は、基部10の前後通水路28への流入を完全に阻止されることになり、原水が前後通水路28から吐水部40に供給されることはない。また、このとき、
図18に示すように、連絡部18の内部流路は、通水開口19を介して、基部10内の前後通水路27と連通している。したがって、原水入水孔27からの原水は、左右通水路29の基端部から原水導水筒57を経て原水出水筒60へと流入し、その後、嵌合凸部84の内部流路から雄螺子部82及びホースニップル83の内部流路を経て、最終的に、外部浄水器へと給水用のホースを介して給水されて、外部浄水器の吐水口より吐水されることになる。
【0041】
[作用及び効果]
上記のように構成した本実施の形態の扁平状切換コックによれば、水栓の吐水口への装着部分における吐水口との接合面の高さ位置(即ち、水栓の吐水口と同一の高さ位置であって、以下、本出願書類においては説明の便宜上「水栓下最高位置」ということがある。)から、扁平状切換コックのうち最も下方に位置する部分の高さ位置(本出願書類においては説明の便宜上「水栓下最低位置」ということがある。)までの寸法が、水栓の吐水口から下方に配置される扁平状切換コック全体の高さ方向寸法となり、かかる寸法が、水栓の吐水口に扁平状切換コックを装着したときの扁平状切換コックにおける吐水口の下方の占有寸法となる。ここで、本実施の形態の扁平状切換コックの水栓下最高位置は、基部10の原水入水口を構成するアダプタ装着部13の下端位置又は取付アダプタ24の下端位置(即ち、通常の装着状態で水栓の吐水口の下端が当接するパッキン26の上面位置)となり、基部10の上壁12及び(基部10の上壁12と同一高さ位置にある)吐水部40の上壁41と同一又はほぼ同一の高さ位置となる。一方、扁平状切換コックの水栓下最低位置は、吐水部40のストレート吐水口46又はシャワー吐水口47の下端位置となる。なお、本実施の形態の扁平状切換コックは、圧力逃し弁65を備え、圧力逃し弁65の排水口の下端位置は、
図17に示すように、吐水部40のストレート吐水口46又はシャワー吐水口47の下端位置よりも(圧力逃し弁65の排水口の突出寸法分だけ)若干下方に位置しているため、正確には、扁平状切換コックの水栓下最低位置は、圧力逃し弁65の排水口の下端位置となるが、扁平状切換コックの下面において圧力逃し弁65の排水口が占める面積は僅少であり、かつ、扁平状切換コックの下面からの排水口の突出寸法も僅少な寸法であって、更に、構成の変更により、圧力逃し弁65の排水口が扁平状切換コックの下面から突出しない構成とすることもできるため、本実施の形態に係る扁平状切換コックの発明の把握において、扁平状切換コックの水栓下最低位置は、吐水部40のストレート吐水口46又はシャワー吐水口47の下端位置である把握しても支障がない。
【0042】
ここで、上述したように、水栓の吐水口からの原水を直下に流動させることが自然に流水経路となることから、従来の切換コックは水栓の吐水口に接続される基部相当部分の直下に吐水部相当部分を配設しているが、本実施の形態の扁平状切換コックでは、従来の切換コックとは全く異なる技術思想として、水栓の吐水口に接続される基部10の下方又は直下にはいかなる部材又は部分も配設することなく、基部10の側方(本実施の形態では、前方)に吐水部40を配設している。また、本実施の形態の扁平状切換コックでは、水栓の吐水口からの原水を吐水部40及び(外部浄水器への給水用の)浄水側ユニットPU1に供給する基部10の内部流路は、基部10の高さ方向(上下方向)に延びる流路構成とするのではなく、実質的に基部10の平面方向(即ち、前後方向及び左右方向)にのみ延びる流路としている。具体的には、基部10の内部流路としては、(吐水部40への原水の給水用の)前後通水路28及び(浄水器への原水の給水用又は前後通水路28への原水の給水用の)左右通水路29が配設されるのみであり、水栓の吐水口から吐水された原水は、基部10の原水入水孔27を介して第1の通水路としての左右通水路29の基端部に直接的に(即ち、他の通水路、特に、上下方向の通水路を介することなく)流入し、原水吐水モードでは左右通水路29から第2の通水路としての前後通水路28に直接的に流入する一方で、浄水吐水モードでは左右通水路29から(同じく基部10の平面方向に延びる)第3の通水路としての原水導水筒57に直接的に(即ち、他の通水路、特に、上下方向の通水路を介することなく)流入する。即ち、本実施の形態の扁平状切換コックでは、いずれの場合も、原水は、基部10の上下方向に延びるよう設けた通水路を介して流動することなく、基部10の平面方向にのみ延びるよう設けた各通水路(左右通水路29及び前後通水路28)を介して、基部10の平面方向においてのみ基部10の内部を流動し、最終的に、吐水部40から吐水される。
【0043】
そして、原水吐水モードでは、原水は、基部10の左右通水路29の基端部から前後通水路28をそのまま前方に流動して、吐水部40の通水空間43に流入する。このとき、吐水部40は、基部10と同一厚み寸法(同一高さ方向寸法)で、基部10と完全に重なるようにして基部10の前方に配設されている。特に、本実施の形態の扁平状切換コックは、吐水部40の下端又は下側面のうち、基部10の下端又は下側面から下方に突出す部分又は部位がないように構成され、これにより、基部10に設けた吐水部40が扁平状切換コック全体の高さ方向寸法を増大することがないようにしている。また、吐水部40を中心に説明すると、本実施の形態の扁平状切換コックは、吐水部40を扁平状の薄肉の構成とすると共に、同様の薄肉状をなす扁平状の基部10を吐水部40の後方に連結して、それらを基部10の平面方向にのみ延びる左右通水路29及び前後通水路28により連通することにより、吐水部40の厚み寸法(高さ方向寸法)の範囲内に、原水の導入部分である基部10の厚み寸法(高さ方向寸法)が収まるようにしている。(なお、この構造を、説明の便宜上、本出願書類では「全体的扁平構造」ということがある。)また、本実施の形態の扁平状切換コックでは、水栓下最高位置(取付アダプタ24の下端位置)と左右通水路29の上端位置との間の距離は、パッキン26等を当接支持するためにアダプタ装着部13の下端に一体形成される隔壁25の厚み分の距離である非常に小さな距離であり、水栓の吐水口からの原水を基部10内の通水路に導入するための上下方向の通水路は実質的に存在しないため、上下方向の通水路を設ける場合のように水栓の吐水口の下方に位置する部分の上下方向寸法を増大することがない。即ち、基部10においては、左右通水路29の基端部に連通する原水入水孔27が設けられるが、この原水入水孔27は、基部10の隔壁25を貫通する孔状のものであって、扁平状切換コックの上下方向寸法の拡大の観点からは、上下方向の通水路に相当するものではない。
【0044】
したがって、本実施の形態の扁平状切換コックによれば、水栓の吐水口からの原水は、(取付アダプタ24の下端位置となる)基部10の上壁12の位置から入水し、基部10の原水孔27を介して左右通水路29に流入した直後に、左右通水路29を形成する弁座収容筒17の下部内周面によって直交方向(即ち、基部10の平面方向)へと進行方向を瞬時に変更され、左右通水路29内を基部10の平面方向に流動し、その後、原水吐水モードでは(左右通水路29と同一高さ位置にあり、かつ、左右通水路29とほぼ同一の高さ範囲を占める)前後通水路28内を基部10の平面方向に流動して吐水部40から吐水され、浄水吐水モードでは、原水導水筒57内を基部10の平面方向に流動して外部浄水器へと供給されることになる。即ち、水栓の吐水口からの原水は、基部10の内部をその平面方向にのみ流動し、上下方向に流動することがない。
【0045】
そして、本実施の形態の扁平状切換コックは、基部10の平面方向(即ち、設置時の水平方向)にのみ延びるように通水流路を形成することにより、その水栓下最高位置から水栓下最低位置までの高さ寸法を、水平方向に延びる通水流路である左右通水路29の直径に相当する高さ寸法(正確には、左右通水路29を形成する弁座収容筒17の外径に基部10の底壁11及び上壁12の壁厚を加えた高さ寸法)まで縮小することができる。換言すれば、本実施の形態の扁平状切換コックは、吐水部40の通水空間43の厚み寸法(高さ寸法)の範囲内に基部10内の左右通水路29及び前後通水路28のいずれもが収められるよう構成されており、扁平状切換コックの水栓下最高位置から水栓下最低位置までの高さ寸法を、吐水部40の厚み寸法(高さ寸法)の範囲内へと縮小することができる。特に、基部10の前後通水路28からの原水は、吐水部40の通水空間43に水平方向に進入した後に、通水空間43内を前方に向かって水平方向に流動し、通水空間43を形成する周壁42の内周面によって、直交方向に進行方向を瞬時に変更されて通水空間43を下方に流動し、切換部材44を介して、ストレート吐水モードではストレート吐水口46から吐水され、シャワー吐水モードではシャワー吐水口47から吐水される。したがって、基部10と吐水部40との連結部分においても、吐水部40内において下方へ通水を導くための上下方向の流路は設ける必要がない。
【0046】
加えて、本実施の形態の扁平状切換コックでは、左右通水路29を形成する弁座収容筒17には、連絡部18及び栓棒収容筒20が同軸状に一体形成され、その栓棒収容筒20内に弁切換部材100の栓棒101が密接状態で摺動自在となるよう収容され、また、連絡部18に連結部102が収容され、更に、弁座収容筒17の基端部内を弁体103〜106が進退するようになっている。そして、原水吐水モードでは、基部10の左右通水路29の内部(即ち、弁座収容筒17の内部)に弁切換部材100の弁体103〜106が進入したときに、左右通水路29の基端部が連絡部18の内部流路を介して前後通水路28と連通するが、このとき、段付き円柱状である弁体103〜106の最大直径(大径盤104の外径)は連絡部18の内径よりも若干大きな直径である一方、連絡部18内に位置する円柱状の連結部102の外径は、連結部18の内径よりも所定寸法だけ小さい直径であり、更に、弁体103〜106の最小直径(大径盤104と小径盤103,105との間の谷部分の直径)よりも小さな直径となっている。したがって、このとき、連絡部18の内周面と連結部102の外周面との間には、十分な通水用の間隙が形成されることとなり、左右通水路29からの原水が、連絡部18の内周面と連結部102の外周面との間の十分大きな通水用の間隙を介して、前後通水路28へと十分な通水量で円滑に流入する。
【0047】
その結果、本実施の形態の扁平状切換コックによれば、水栓の吐水口に装着される扁平状切換コックにおいて、水栓の吐水口への取付部分である取付アダプタ24の下端位置(水栓下最高位置)から扁平状切換コック自体の吐水部40のストレート吐水口46及びシャワー吐水口47の吐水面の位置(水栓下最低位置)までとなる(従来の切換コックの本体の軸長に相当する)扁平状切換コック全体の高さ寸法を、扁平状切換コックの吐水部40の厚み寸法と同等の寸法まで縮小することができ、水栓の吐水口からシンクの底面までの距離が(一般的な場合に比較して)相対的に小さくなるような水栓に取り付けた場合でも、食器洗い等の作業をする場合の使用者の作業空間を十分に確保することができ、洗い物等をする場合に使用者に窮屈な作業を強いることのないようにすることが可能で、かつ、この場合でも、十分な通水量を確保することができる。
【0048】
更にまた、本実施の形態の扁平状切換コックでは、前後通水路28のうち、基部10側となる基端側部分を(例えば、背面板80の閉塞凸部84の直径と同一直径の)断面円形状をなす後側通水路に形成すると共に、基部10と吐水部40との境界位置から吐水部40側となる部分を、後側通水路よりも上下方向寸法を小さくした(例えば、基端側部分の上側の半円部分のみからなる断面半円状とした)前側通水路に形成しているため、特に、
図21に示すように、基部10と吐水部40との接合部分において吐水部40の周壁42の一部が基部10側に重複して配置される場合でも、当該重複部分における各部材または各部分の配設スペースを(前側通水路の下側に)確保することができる。その結果、扁平状の吐水部40からなる全体的扁平構造を採用しているにもかかわらず、基部10から吐水部40にかけて、円滑、かつ、十分な通水量の内部通水を確保することができる一方で、基部10及び吐水部40の各種部材又は各種部分の収容スペース又は配置スペースを確保することができ、全体の厚み寸法を小さくすることに加えて、全体の構成を更にコンパクトなものとすることができる。
【0049】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る扁平状切換コックについて、
図24〜
図36を参照して説明する。まず、実施の形態2の扁平状切換コックは、水栓の吐水口からの原水を、原水吐水モードでは原水吐水口及び浄水吐水口を兼用する吐水口から吐出する共に、浄水吐水モードでは外部の浄水器に供給した後、外部の浄水器からの浄水を還流して、前記原水吐水口及び浄水吐水口を兼用する吐水口から吐出する、いわゆる通常のダブルタイプの扁平状切換コックに具現化される。即ち、実施の形態2の扁平状切換コックは、
図24〜
図26に示すように、実施の形態1の扁平状切換コックと同様に、原水側ユニットRU及び浄水側ユニットPU1を一体化して、それらの背面を背面板180により覆うと共に、原水側ユニットRUに弁切換部材100を設け、開閉ハンドル90を回動操作して弁切換部材100により原水吐水モードと浄水吐水モードとの間で弁切換動作を行うように構成されている。一方、実施の形態2の扁平状切換コックは、背面板180の構成において実施の形態1の扁平状切換コックと相違する。即ち、実施の形態2の扁平状切換コックの背面板180以外の構成は、実施の形態1の扁平状切換コックと同様の構成とすることができ、背面板180以外の部材を実施の形態1の扁平状切換コックと共用することができるようになっている。
【0050】
[背面板]
詳細には、
図27〜
図32に示すように、実施の形態2の扁平状切換コックにおいて、背面板180は、実施の形態1の遮蔽部81と同一輪郭の板状をなす遮蔽部181を備えている。なお、遮蔽部181の後面には、実施の形態1と同一構成の雄螺子部82及びホースニップル83が同一位置に突出形成されると共に、遮蔽部181の前面には、実施の形態1と同一構成の嵌合凸部84が同一位置に突出形成されている。また、遮蔽部181の周囲には、実施の形態1の螺子挿通部86と同一構成の螺子挿通部86が同一位置に一体形成されている。一方、遮蔽部181の前面において、実施の形態1の背面板80の閉塞凸部85と同一位置には、前記嵌合凸部84と同一構成の嵌合凸部185が一体形成されている。また、
図33〜
図35に示すように、遮蔽部181の後面には、前記雄螺子部82及びホースニップル83と同一構成の雄螺子部182及びホースニップル183が、嵌合凸部185と同軸状となるよう後方に突出して一体形成されている。そして、雄螺子部182には、実施の形態1の締結キャップ87と同一構成の締結キャップ187が螺合して接合自在となっており、ホースニップル183に外部浄水器からの浄水給水用のホースの先端部を外嵌し、雄螺子部182に締結キャップ187を螺合して締結することにより、ホースニップル183に浄水給水用のホースを接続固定するようになっている。これにより、背面板180は、遮蔽部181を基部10及び原水出水部50の背面の開口に密接して嵌合し、螺子挿通部86の螺子挿通孔86aに雄螺子63を挿通して、基部10の螺子受23及び原水出水部50の螺子受61に螺入することで、基部10及び原水出水部50の背面側に固定され、基部10及び原水出水部50の開口を遮蔽するようになっている。このとき、嵌合凸部84が原水出水筒60の先端開口に水密に密嵌されて原水出水筒60の内部流路をホースニップル83を介して外部ホース(外部浄水器への原水給水用のホース)に連通すると共に、嵌合凸部185が、浄水入水筒21の先端開口に水密に密嵌されて浄水入水筒21の内部流路をホースニップル183を介して外部ホース(外部浄水器からの浄水給水用のホース)に連通するようになっている。
【0051】
[扁平状切換コックの組立及び弁切換動作]
実施の形態2の扁平状切換コックは、実施の形態1の扁平状切換コックと同様にして、原水側ユニットRUに浄水側ユニットPU1を組みつけた後に、それらの後面に背面板181を組付けることにより全体を組み立てることができる。また、実施の形態2の扁平状切換コックは、実施の形態1の扁平状切換コックと同様にして、弁切換部材100を回動操作して、原水吐水モードと浄水吐水モードとの間で切り換え自在である。一方、実施の形態2の扁平状切換コックは、浄水吐水モードでは、水栓の吐水口からの原水は、基部10の左右通水路29の基端部から原水導水筒57を経て原水出水筒60へと流入し、その後、嵌合凸部84の内部流路から雄螺子部82及びホースニップル83の内部流路を経て、外部浄水器へと原水給水用のホースを介して給水される。一方、実施の形態2の扁平状切換コックでは、外部浄水器からの浄水を還流して吐水部40から吐水する構成のため、外部浄水器からの浄水は、
図36に示すように、浄水給水用のホースを介して、雄螺子部182及びホースニップル183の内部流路へと流入し、最終的には、嵌合凸部184の内部流路から基部10の前後通水路28の基端開口を経て当該前後通水路28の内部に流入する。そして、その浄水は、前後通水路28から吐水部40の通水空間43内へと進入する。これにより、吐水部40の切換ハンドル48の操作によりストレート吐水モードを選択した場合は、その浄水がストレート吐水口45からストレート吐水される。また、吐水部40の切換ハンドル48の操作によりシャワー吐水モードを選択した場合は、その浄水はシャワー吐水口46からシャワー吐水される。
【0052】
[作用及び効果]
上記のように構成した実施の形態2の扁平状切換コックは、いわゆるダブルタイプの扁平状切換コックとしても大幅な薄型化が可能となり、実施の形態1の扁平状切換コックと同様の作用効果を発揮する。また、実施の形態2の扁平状切換コックによれば、背面板181のみを除いて実施の形態1の扁平状切換コックと同一の構成を採用することができ、殆どの部品をシングルタイプである実施の形態1の扁平状切換コックと共用し、全体の製造コストを大幅に削減することができる。更に、実施の形態2の扁平状切換コックは、背面板181を実施の形態1の背面板81と交換するだけで、シングルタイプの扁平状切換コックとして使用することが可能になるという特有の作用効果も発揮する。(換言すれば、実施の形態1の扁平状切換コックも、背面板81を実施の形態2の背面板181と交換するだけで、ダブルタイプの扁平状切換コックとして使用することが可能になるという特有の作用効果を発揮する。)ここで、実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックは、いずれも、浄水側ユニットPU1の原水出水部50の側面に側面キャップ70を着脱自在に取り付ける構成としているが、実施の形態1で述べたように、原水出水部50の側面に側面キャップ70に相当する側壁を一体形成した構成とすることもできる。このように、側面キャップに相当する部分を原水出水部50と別体構成としない場合でも、ダブルタイプである実施の形態の2の扁平状切換コックの(側面を予め遮蔽した)原水出水部50の構成は、シングルタイプである実施の形態1の扁平状切換コックの原水出水部50の構成と同一となるため、やはり、シングルタイプとダブルタイプとで原水出水部50を共用できることになる。
【0053】
ところで、上記実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックにおいて、浄水側ユニットPU1は、原水出水部50と側面キャップ70とを一体形成した一体構成とすることも可能であるが、上述したように、本発明に係る扁平状切換コックでは、原水側ユニットRUの構造をシングルタイプとダブルタイプとで同一とすることで、これに追加する浄水側ユニット(PU1等)のみ変更することにより、シングルタイプの扁平状切換コック及びダブルタイプの扁平状切換コック(通常のダブルタイプのほか浄水別口タイプのダブルタイプも含む)を完成することができ、構造共通化によるコスト低減等の効果を発揮できるようにしていることから、特に、通常のダブルタイプの扁平状切換コックと浄水別口タイプのダブルタイプの扁平状切換コックとの間でも、浄水出水部を共用できるよう、側面キャップを着脱自在な構成とすることが好ましい。
【0054】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3に係る扁平状切換コックについて、
図37〜
図47を参照して説明する。まず、実施の形態3の扁平状切換コックは、水栓の吐水口からの原水を、原水吐水モードでは原水専用の吐水口から吐出する共に、浄水吐水モードでは外部の浄水器に供給した後、外部の浄水器からの浄水を還流して、浄水専用の吐水口から吐出する、いわゆる浄水別口タイプのダブルタイプの扁平状切換コックに具現化される。即ち、実施の形態3の扁平状切換コックは、
図37〜
図38に示すように、実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックと同様に、別体構成の原水側ユニットRU及び浄水側ユニットPU2を組み付けにより一体化して、それらの背面を背面板280により覆うと共に、原水側ユニットRUに弁切換部材100を設け、開閉ハンドル90を回動操作して弁切換部材100により原水吐水モードと浄水吐水モードとの間で弁切換動作を行うように構成されている。一方、実施の形態3の扁平状切換コックは、浄水側ユニットPU2及び背面板280の構成において実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックと相違する。即ち、実施の形態3の扁平状切換コックの浄水側ユニットPU2及び背面板180以外の構成(即ち、原水側ユニットRUの構成)は、実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックと同様の構成とすることができ、原水側ユニットRUの部材を実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックと共用することができるようになっている。
【0055】
[浄水側ユニット]
詳細には、実施の形態3の浄水側ユニットPU2は、前記原水側ユニットRUの基部10に着脱自在に装着される原水出水部250と、原水出水部250の左側に隣接又は密接して一体形成された浄水吐水部260とからなる。即ち、浄水側ユニットPU2は、その右半部を構成する原水出水部250と、その左半部を構成する浄水吐水部260とを左右に併設して一体形成した構成を備えている。より詳細には、まず、
図39に示すように、原水出水部250及び浄水吐水部260からなる浄水側ユニットPU2は、一体の筐体構成を備えており、底壁251と上壁252とを高さ方向に所定の間隔(前記基部10の上壁12及び底壁11の間隔と同一間隔)を置いて互い平行となるよう配置している。即ち、原水出水部250及び浄水吐水部260の高さ寸法は、基部10の高さ寸法と同一であり、原水出水部250及び浄水吐水部260からなる浄水側ユニットPU2を原水側ユニットRUの基部10の左側の開口端に装着したときに、浄水側ユニットPU2の上下両面が基部10の上下両面と面一となるようになっている。また、
図41及び
図42に示すように、浄水側ユニットPU2は、その前端を閉塞して湾曲板状の前壁253としている。なお、
図46に示すように、原水出水部250は、実施の形態1の原水出水部50と同様、その右端における後端部の所定寸法部分だけを除いて底壁251と上壁252との間を閉塞して右側壁54を形成している。一方、浄水側ユニットPU2の左側面は、実施の形態1の浄水側ユニットPU1のように側面キャップ70等の部材が着脱自在に装着されて遮蔽されるのではなく、左側壁254を一体形成することにより遮蔽されている。
【0056】
<原水出水部>
図46に示すように、原水出水部250は、実施の形態1の原水出水部50と同様、その右端から突出する内嵌合部56を一体形成している。また、原水出水部250は、浄水吐水部260と一体形成されている点(そして、これにより、底壁251、上壁252、前壁253を浄水吐水部260と共用している点)を除き、実施の形態1の原水出水部50と同様の構成であり、原水出水部250の内部には、実施の形態1の原水出水部50と同様に、原水導水筒57及び原水出水筒60が配設され、原水導水筒57には弁座58及びOリング59が設けられている。更に、
図45に示すように、原水出水部250の背面側及び底面側には、実施の形態1の原水出水部50と同様、螺子受61及び螺子用凹部62が設けられている。更にまた、浄水吐水部260の背面側にも、左側壁254の内面の上下位置に、それぞれ、同様の螺子受61が設けられている。また、
図44に示すように、原水出水部250には、実施の形態1の原水出水部50と同様、圧力逃し弁65及び熱水逃し弁66が設けられている。
【0057】
<浄水吐水部>
また、
図46に示すように、浄水吐水部260は、原水出水部250の左端と左側壁254との間の内部空間に、浄水吐水部260の前端付近の位置から後端付近の位置まで延びるよう、浄水入水筒261を一体形成している。浄水入水筒261は、前壁353の内側面(後側面)から後方に直交して突出する略円筒状をなし、その先端は、背面側の開口端より若干内側の位置(即ち、前記原水出水筒60の先端と同一位置)に配置されている。これにより、原水出水筒60の先端の円形開口及び浄水入水筒261の先端の円形開口が、浄水側ユニットPU2の背面側において同一位置で後方に向かって開口するようになっている。なお、前記螺子受61の先端位置(後端位置)は、原水出水筒60及び浄水入水筒261の先端位置と同一位置となっている。また、浄水吐水部260の内部には、浄水吐水通路262が上下方向に延びるよう形成されている。浄水吐水通路262は、その上端が前記浄水入水筒261の基端部(
図46中の下端部)と連通している。即ち、浄水吐水部260は、浄水入水筒261の基端側に、直交して下方に延びるよう、浄水吐水通路262を一体形成している。更に、
図44に示すように、浄水吐水通路262の下端には、円形リング板状の浄水吐水部263が固着され、その内周側に円形開口となる浄水吐水口264を形成している。浄水吐水部263は、浄水吐水部260において底壁251の前端側部分に配置されている。これにより、浄水入水筒261の先端開口が、浄水吐水通路262を介して、浄水吐水部263の浄水吐水口264と連通している。
【0058】
[背面板]
図40に示すように、実施の形態3の扁平状切換コックにおいて、背面板280は、板状の遮蔽部281を有している。遮蔽部281は、基部10に原水出水部250及び浄水吐水部260からなる浄水側ユニットPU2を装着した取付状態において、一体化された基部10並びに原水出水部250及び浄水吐水部260の背面側の開口の全体を遮蔽する輪郭形状を有する平板状に形成されている。詳細には、遮蔽部281は、実施の形態1の遮蔽部81に対応する板状部分(即ち、基部10と原水出水部250の背面側の開口形状と同一輪郭形状を有し、当該開口の全体を遮蔽する部分)の左側に、浄水吐水部260の背面側の開口形状と同一輪郭形状を有し、当該開口の全体を遮蔽する部分を一体形成した平板状をなしている。なお、遮蔽部281において原水出水部250と対向する部分の後面には、実施の形態1と同一構成の雄螺子部82及びホースニップル83が同一位置に突出形成されると共に、遮蔽部281において原水出水部250と対向する部分の前面には、実施の形態1と同一構成の嵌合凸部84が同一位置に突出形成されている。また、
図42〜
図44並びに
図46に示すように、遮蔽部281において浄水吐水部260と対向する部分の前面の中央位置には、実施の形態1の嵌合凸部84と同一構成の嵌合凸部284が一体形成されている。また、遮蔽部281において浄水吐水部260と対向する部分の後面には、前記雄螺子部82及びホースニップル83と同一構成の雄螺子部282及びホースニップル283が、嵌合凸部285と同軸状となるよう後方に突出して一体形成されている。そして、雄螺子部282には、実施の形態1の締結キャップ87と同一構成の締結キャップ287が螺合して接合自在となっており、ホースニップル283に外部浄水器からの浄水給水用のホースの先端部を外嵌し、雄螺子部282に締結キャップ287を螺合して締結することにより、ホースニップル283に浄水給水用のホースを接続固定するようになっている。
【0059】
図40に示すように、遮蔽部281の周囲において、前記基部10並びに原水出水部250及び浄水吐水部260の螺子受23,61と整合する位置には、それぞれ、実施の形態1の螺子挿通部86と同一構成の螺子挿通部86が一体形成されている。そして、背面板280は、遮蔽部281を基部10並びに原水出水部250及び浄水吐水部260の背面の開口に密接して嵌合し、螺子挿通部86の螺子挿通孔86aに雄螺子63を挿通して、基部10の螺子受23並びに原水出水部250及び浄水吐水部260の螺子受61に螺入することで、基部10及び並びに原水出水部250及び浄水吐水部260の背面側に固定され、基部10並びに原水出水部250及び浄水吐水部260の開口を遮蔽するようになっている。このとき、嵌合凸部84が原水出水筒60の先端開口に水密に密嵌されて原水出水筒60の内部流路をホースニップル83を介して外部ホース(外部浄水器への原水給水用のホース)に連通すると共に、嵌合凸部285が、浄水入水筒261の先端開口に水密に密嵌されて浄水入水筒261の内部流路をホースニップル283を介して外部ホース(外部浄水器からの浄水給水用のホース)に連通するようになっている。
【0060】
[扁平状切換コックの組立及び弁切換動作]
実施の形態3の扁平状切換コックは、実施の形態1の扁平状切換コックと同様にして、原水側ユニットRUに浄水側ユニットPU2を組みつけた後に、それらの後面に背面板280を組付けることにより全体を組み立てることができる。また、実施の形態3の扁平状切換コックは、実施の形態1の扁平状切換コックと同様にして、弁切換部材100を回動操作して、原水吐水モードと浄水吐水モードとの間で切り換え自在である。一方、実施の形態3の扁平状切換コックは、浄水吐水モードでは、水栓の吐水口からの原水は、基部10の左右通水路29の基端部から原水導水筒57を経て原水出水筒60へと流入し、その後、嵌合凸部84の内部流路から雄螺子部82及びホースニップル83の内部流路を経て、外部浄水器へと原水給水用のホースを介して給水される。一方、実施の形態3の扁平状切換コックでは、外部浄水器からの浄水を還流して浄水吐水部260から吐水する構成のため、外部浄水器からの浄水は、
図47に示すように、浄水給水用のホースを介して、雄螺子部282及びホースニップル283の内部流路へと流入し、嵌合凸部284の内部流路から浄水吐水部260の浄水入水筒261の先端開口に流入する。そして、その浄水は、浄水入水筒261から浄水吐水通路262の内部流路に進入し、最終的に、浄水吐水部263の浄水吐水口264から吐水される。
【0061】
[作用及び効果]
上記のように構成した実施の形態3の扁平状切換コックは、いわゆる浄水別口ダブルタイプの扁平状切換コックとしても大幅な薄型化が可能となり、実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックと同様の作用効果を発揮する。また、実施の形態3の扁平状切換コックによれば、浄水側ユニットPU2及び背面板281を除いて実施の形態1の扁平状切換コック又は実施の形態2の扁平状切換コックと同一の構成を採用することができ、殆どの部品をシングルタイプである実施の形態1の扁平状切換コック又は通常ダブルタイプである実施の形態2の扁平状切換コックと共用し、全体の製造コストを大幅に削減することができる。
【0062】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4に係る扁平状切換コックについて、
図48〜
図53を参照して説明する。実施の形態4の扁平状切換コックは、実施の形態3の扁平状切換コックと同様のいわゆる浄水別口タイプのダブルタイプの扁平状切換コックに具現化され、実施の形態3の扁平状切換コックと同様に、別体構成の原水側ユニットRU及び浄水側ユニットPU2を組み付けにより一体化して、それらの背面を背面板280により覆うと共に、原水側ユニットRUに弁切換部材100を設け、開閉ハンドル90を回動操作して弁切換部材100により原水吐水モードと浄水吐水モードとの間で弁切換動作を行うように構成されている。一方、実施の形態4の扁平状切換コックは、浄水側ユニットPU2の構成において実施の形態3の扁平状切換コックと相違する。即ち、実施の形態3の扁平状切換コックが、浄水側ユニットPU2として原水出水部250に浄水吐水部260を一体化したものを使用しているのに対し、実施の形態4の扁平状切換コックは、原水出水部50及び浄水吐水部270を別体構成として、原水出水部50に浄水吐水部270を着脱自在とすると共に、原水出水部50に浄水吐水部270を装着することで、浄水側ユニットPU2を完成するようにしている。なお、実施の形態4の扁平状切換コックの背面板280の構成は、実施の形態3の扁平状切換コックの背面板280と同様である。
【0063】
詳細には、実施の形態4の扁平状切換コックは、実施の形態1の扁平状切換コックの基部10及び原水出水部50を使用する一方で、実施の形態1の(原水出水部50の左側面に着脱される)側面キャップ70の代わりに、浄水吐水部270を原水出水部50の左側面に着脱自在となるよう設けると共に、基部10、原水出水部50及び浄水吐水部270の背面側の開口を遮蔽板280により遮蔽している。具体的には、
図48に示すように、浄水吐水部270は、実施の形態3の浄水吐水部260の外壁と対応する壁形状の周壁271により筐体状に一体形成されると共に、
図49に示すように、その内部に実施の形態3の浄水入水筒260及び浄水吐水通路と同様の構成の浄水入水筒261及び浄水吐水通路262を同様の態様で配設している。また、浄水吐水部270は、その右端の開口から突出するよう、実施の形態1の螺子受73と同様の構成の螺子受73を一体形成している。なお、この螺子受73は、浄水吐水部270の内部の浄水入水筒261の周面から突出するよう形成されている。また、浄水吐水部270の底面には、実施の形態3の浄水吐水部263と同様の構成の浄水吐水部が同様の位置に配設され、浄水吐水通路262からの浄水を浄水吐水口264から吐水するようになっている。そして、実施の形態1において側面キャップ70を原水出水部50に装着するのと同状にして、浄水吐水部270を原水出水部50に装着すると、浄水吐水部270の周壁271の外周縁が、原水出水部50の左開口55の外周縁に合致して、浄水吐水部270を原水出水部50の側方で隙間なく一体化することができるようになっている。
【0064】
[扁平状切換コックの組立及び弁切換動作]
実施の形態4の扁平状切換コックは、実施の形態3の扁平状切換コックと同様にして、原水側ユニットRUに浄水側ユニットPU2を組みつけた後に、それらの後面に背面板280を組付けることにより全体を組み立てることができる。また、実施の形態4の扁平状切換コックは、実施の形態1の扁平状切換コックと同様にして、弁切換部材100を回動操作して、原水吐水モードと浄水吐水モードとの間で切り換え自在である。一方、実施の形態4の扁平状切換コックは、浄水吐水モードでは、水栓の吐水口からの原水は、基部10の左右通水路29の基端部から原水導水筒57を経て原水出水筒60へと流入し、その後、嵌合凸部84の内部流路から雄螺子部82及びホースニップル83の内部流路を経て、外部浄水器へと原水給水用のホースを介して給水される。一方、実施の形態4の扁平状切換コックでは、外部浄水器からの浄水を還流して浄水吐水部270から吐水する構成のため、外部浄水器からの浄水は、浄水給水用のホースを介して、雄螺子部282及びホースニップル283の内部流路へと流入し、嵌合凸部284の内部流路から浄水吐水部270の浄水入水筒261の先端開口に流入する。そして、その浄水は、浄水入水筒261から浄水吐水通路262の内部流路に進入し、最終的に、浄水吐水部263の浄水吐水口264から吐水される。
【0065】
[作用及び効果]
上記のように構成した実施の形態4の扁平状切換コックは、実施の形態3の扁平状切換コックと同様、いわゆる浄水別口ダブルタイプの扁平状切換コックとしても大幅な薄型化が可能となり、実施の形態1及び実施の形態2の扁平状切換コックと同様の作用効果を発揮する。また、実施の形態4の扁平状切換コックによれば、浄水側ユニットPU2の浄水吐水部270を除いて実施の形態1の扁平状切換コックと同一の構成を採用することができ、殆どの部品をシングルタイプである実施の形態1の扁平状切換コックと共用し、全体の製造コストを大幅に削減することができる。
【0066】
[その他の別例]
ところで、上記実施の形態においては、別体の原水側ユニットRUと別体の浄水側ユニットPU1,PU2とにより(浄水側ユニットPU1,PU2を原水側ユニットRUに装着して)扁平状切換コックの全体を構成するようにしているが、本発明の扁平状切換コックは、原水側ユニットRUに相当する部材と浄水側ユニットPU1,PU2に相当する部材を一体化した構成とすることもでき、或いは、浄水側ユニットPU1,PU2の構成を原水側ユニットRUに一体的に設けた構成とすることができる。例えば、実施の形態1のシングルタイプの扁平状切換コックの場合、及び、実施の形態2のダブルタイプの扁平状切換コックの場合において、基部自体に、外部浄水器への原水の供給が可能な通水路及び/又は通水口等の給水機構を設けた場合、別体の浄水側ユニットPU1,PU2は省略することができる。また、本発明に係る扁平状切換コックは、上記実施の形態の構成以外にも、少なくとも、基部10に相当する部材であって水栓の吐水口に装着される原水入水部を上端側に有する基部相当部材を備えると共に、水栓への装着状態における基部相当部材の前方又は側方(左側、左手前斜め、右側、右手前斜め等、前方及び後方以外の任意の方向)に吐水部40に相当する吐水部相当部材を隣接して配設する一方で、基部相当部材の内部に、基部相当部材の平面方向において吐水部相当部材の通水空間に向かう第1の方向へと延びる第1の通水路を設けると共に、基部相当部材の内部に、前記第1の方向と交差する(好ましくは、直交する、又は、直交状態に近い角度で交差する)第2の方向へと延びる第2の通水路を設け、基部相当部材の原水入水部の下端と第2の通水路とを上下方向においては僅少間隔で(例えば、原水入水孔27のような隔壁25の厚み分のみの非常に小さな上下高さを有する孔又は開口によって)連通する限りにおいて、上記実施の形態以外の任意の構成とすることができる。この場合、基部の第2の通水路内における下流側に弁座を設け、かつ、弁切換部材の弁体を第2の通水路内における上流側に第2の通水路に沿って摺動して前記弁座に対して進退自在となるよう収容配置するものであれば、上記実施の形態の構成以外の任意の構成とすることができる。また、外部浄水器への原水の給水構造についても、基部の第2の通水路の下流端に外部浄水器への給水用のホース等の給水管を接続するものであれば、上記実施の形態の構成以外の任意の構成とすることができる。
【0067】
また、本発明においては、基部における通水路の延設方向は、基部の平面に沿って延びる完全な平面方向とする以外に、扁平状切換コック全体の上下方向寸法を大きく増加しない限りにおいて、当該平面方向と所定角度で上方又は下方に傾斜する傾斜方向として構成してもよい。同様に、基部の平面方向において隣接する位置に吐水部を設ける以外に、前記傾斜方向において隣接する位置に吐水部を設けてもよい。これらの場合でも、基部相当部材の下方に吐水部を配設して原水入水部を上下方向の通水路により吐水部に連通する場合と比較すると、扁平状切換コック全体の大幅な薄型化がやはり可能となる。即ち、本出願書類中において使用する「略平面方向」とは、上下方向と交差する方向(完全な平面方向、及び、上下方向以外の方向であって、前記完全な平面方向と所定角度で交差する傾斜方向)であればよく、この場合、従来の切換コックと比較して、扁平状切換コック全体の薄型化が可能となる。例えば、吐水部を基部の水平面に対して最大45度の角度までの角度範囲で上方に傾斜する傾斜方向に隣接して配設することも可能であり、特に、吐水部を基部に対して上方に傾斜する傾斜方向に隣接して配設する場合、吐水部が基部よりも上方に配設されることになるため、水栓下のスペースを拡大することができる。
【符号の説明】
【0069】
RU:原水側ユニット、PU1:浄水側ユニット、PU2:浄水側ユニット
10:基部、11:底壁、11a:(圧力逃し弁の排水口用の)嵌合凹部
12:上壁、13:アダプタ装着部(原水入水口)、14:右側壁、15:左開口
16:浄水側ユニット接続口、17:弁座収容筒(下流側端部が原水出水口を構成)
18:連絡部、19:通水開口、20:栓棒収容筒
20a:弁体当接部(左右通水路の上流側の弁座)
20b:内周面(左右通水路の上流側の弁座)
21:浄水入水筒、22:(アダプタ装着部13の)周壁、23:螺子受
24:取付アダプタ(原水入水口)、25:隔壁、26:パッキン(シール)
27:原水入水孔、27a:連通孔、27b:通水孔、28:前後通水路
29:左右通水路、30:ハンドル取付部、31:軸孔
40:吐水部、41:上壁、42:周壁、43:通水空間、44:切換部材
45:吐水盤、46:ストレート吐水口、47:シャワー吐水口
48:切換ハンドル、49:延長部
50:原水出水部、51:底壁、52:上壁、53:前壁、54:右側壁
55:左開口(キャップ装着口)、56:内嵌合部、57:原水導水筒
58:弁座(左右通水路の下流側の弁座)、58a:先端弁座面、58b:内周弁座面
58c:基端弁座面、59:Oリング
60:原水出水筒、61:螺子受、62:螺子用凹部、63:雄螺子
65:圧力逃し弁、66:熱水逃し弁、67:制御部材
70:側面キャップ、71:側壁、72:前壁、73:螺子受
80:背面板、81:遮蔽部、82:雄螺子部、83:ホースニップル
84:嵌合凸部、85:閉塞凸部、86:螺子挿通部、86a:螺子挿通孔
87:締結キャップ、63:雄螺子
90:開閉ハンドル、91:操作部、92:雄螺子、93:キャップ
100:弁切換部材、101:栓棒、102:連結部、103:第1小径盤(弁体)
104:大径盤(弁体)、105:第2小径盤(弁体)、106:Oリング(弁体)
180:背面板、181:遮蔽部、182:(浄水入水用)雄螺子部
183:(浄水入水用)ホースニップル、185:(浄水入水用)嵌合凸部
187:(浄水入水用)締結キャップ
250:原水出水部、251:底壁、252:上壁、253:前壁、254:左側壁
260:浄水吐水部、261:浄水入水筒、262:浄水吐水通路
263:浄水吐水部、264:浄水吐水口
270:側面キャップ、271:側壁、272:前壁、273:螺子受
280:背面板、281:遮蔽部、282:雄螺子部(浄水入水用)
283:ホースニップル(浄水入水用)、284:嵌合凸部(浄水入水用)
287:締結キャップ