特許第6259265号(P6259265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 前田建設工業株式会社の特許一覧

特許6259265大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造
<>
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000002
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000003
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000004
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000005
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000006
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000007
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000008
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000009
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000010
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000011
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000012
  • 特許6259265-大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259265
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法、及び蓋構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 5/12 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
   E21D5/12
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-236364(P2013-236364)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96668(P2015-96668A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】中島 良光
(72)【発明者】
【氏名】古澤 剛
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−302799(JP,A)
【文献】 特開2012−012806(JP,A)
【文献】 特開平08−004994(JP,A)
【文献】 特開平03−081461(JP,A)
【文献】 特開2004−270199(JP,A)
【文献】 米国特許第04685830(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 5/12
E02D 29/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大断面立坑の地上開口部の周囲に、略扇型形状の蓋分割部材を載せて、周囲方向に順次並べていくことで、前記地上開口部を前記周囲方向に並べた前記略扇型形状の蓋分割部材で覆う方法であって、
前記地上開口部の周囲に、最初の前記略扇型形状の蓋分割部材を載せ、その最初の前記略扇型形状の蓋分割部材と直径方向に対向して2番目の前記略扇型形状の蓋分割部材を載せて、その直径方向に対向する前記最初と2番目の前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部をX型ビーム状の連結部材で結合することを特徴とする大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法。
【請求項2】
前記地上開口部の前記直径方向に対向する前記最初と2番目の前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部を前記連結部材で結合してから、前記地上開口部の周囲に載せて前記周囲方向に順次並べる前記略扇型形状の蓋分割部材を互いに順次固定することを特徴とする請求項1に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法。
【請求項3】
前記地上開口部の周囲上に備えるフックに、前記略扇型形状の蓋分割部材を掛けて、
前記略扇型形状の蓋分割部材の下面に備えるブラケットを、前記地上開口部の内周面に当接させることを特徴とする請求項1又は2に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法。
【請求項4】
前記地上開口部を前記略扇型形状の蓋分割部材で覆った後、
前記X型ビーム状の連結部材を外すことで、前記地上開口部を覆う前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部間に形成される中央穴を中央蓋で塞いで、当該中央蓋を前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部に固定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法。
【請求項5】
大断面立坑の地上開口部を覆う蓋の構造で、前記地上開口部の周囲に載せる略扇型形状の蓋分割部材を、前記地上開口部の周囲方向に並べて構成される蓋構造であって、
前記地上開口部の周囲に最初に載せた前記略扇型形状の蓋分割部材と、
前記最初の前記略扇型形状の蓋分割部材と直径方向に対向して前記地上開口部の周囲に2番目に載せた前記略扇型形状の蓋分割部材と、
前記直径方向に対向する前記最初と2番目の前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部を結合したX型ビーム状の連結部材と、
前記地上開口部の周囲に載せて前記周囲方向に順次並べて互いに順次固定した前記略扇型形状の蓋分割部材と、
を備える開口蓋が構成されていることを特徴とする大断面立坑の地上開口部の蓋構造。
【請求項6】
前記X型ビーム状の連結部材が外されて、前記地上開口部の周囲方向に並べて載せた前記略扇型形状の蓋分割部材の前記先端部間に形成された中央穴を塞いで、前記地上開口部の周囲方向に並べて載せた前記略扇型形状の蓋分割部材の前記先端部に固定された中央蓋を備えることを特徴とする請求項5に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造。
【請求項7】
前記略扇型形状の蓋分割部材は、
前記略扇型形状に骨材で形成された平型フレームと、
前記略扇型形状の平型フレームに固定されたエキスパンドメタルと、を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造。
【請求項8】
前記略扇型形状の平型フレームの前記地上開口部の周囲に載せた基端部が、当該地上開口部の周囲上に備えるフックに支持されて、
前記略扇型形状の平型フレームの前記基端部側の下に備えるブラケットが、前記地上開口部の内周面に当接されていることを特徴とする請求項7に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造。
【請求項9】
前記略扇型形状の蓋分割部材は、メンテナンス用の開閉蓋を備えることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造。
【請求項10】
前記略扇型形状の蓋分割部材は、前記開閉蓋を開けて降りるための階段を備えることを特徴とする請求項9に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造。
【請求項11】
前記ブラケットは、前記略扇型形状の平型フレームに対する複数個所の取付位置から選択して備えられていることを特徴とする請求項8に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大断面立坑の地上開口部に蓋を施工する方法と、その蓋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
大断面立坑において、地上の開口部に安全のための蓋を掛ける場合、大きな蓋を地組して大型クレーンなどを用いて被せるのが一般的である。
【0003】
例えば特許文献1に、集水井として設置される直径が3mや3.5m等の小断面立坑用の天蓋が提案されている。
その小断面立坑用の蓋は人力で運搬、施工可能な重量のレール部材及び複数の分割パネルからなる。レール部材は載置部を両端部に備えた複数本の梁材からなり、小断面立坑の天端に架け渡される。複数の分割パネルはフレーム枠を備える天井部材からなり、その内、少なくとも2つの分割パネルは、フレーム枠がレール部材の隣り合う2本の梁材に跨るように設けられる。そして、レール部材の両外側の立坑開口部位には天端と梁材とに載るフレーム枠を備えた複数の分割パネルの残分が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−12806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大断面立坑の開口部周囲の地上において、大きな蓋を地組するスペースが必要である。
そして、大断面立坑の地上開口部に掛ける大きな蓋であり、かなりの重量の蓋構造となるため、大型クレーンが必要である。
また、大断面立坑の地上開口部に掛ける大きな蓋は、あまり細かなパーツに分割できないため、その運搬に大型車両が必要である。
さらに、メンテナンスで蓋の取り外しが必要な際にも大型クレーンが必要となる。
【0006】
また、特許文献1の小断面立坑用の蓋は、人力で運搬、施工可能であるが、小断面立坑の天端に架け渡されるレール部材が複数本の梁材から構成され、フレーム枠を備える天井部材が複数の分割パネルから構成される。そして、レール部材の隣り合う2本の梁材にフレーム枠が跨るように少なくとも2つの分割パネルが設けられ、さらに、レール部材の両外側の立坑開口部位に天端と梁材とに載るフレーム枠を備えた複数の分割パネルの残分が取り付けられる。
すなわち、個々に特殊形状のレール部材及びパネル部材を組み合わせて構成される特殊構造の蓋であり、コストが高くなる。
【0007】
本発明の課題は、大断面立坑の地上開口部に安全のために掛ける蓋を、大型クレーンを用いなくても、ユニック車などで容易に吊り込み、固定作業ができるようにして、大断面立坑地上開口蓋の設置作業の効率化、コスト縮減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
大断面立坑の地上開口部の周囲に、略扇型形状の蓋分割部材を載せて、周囲方向に順次並べていくことで、前記地上開口部を前記周囲方向に並べた前記略扇型形状の蓋分割部材で覆う方法であって、
前記地上開口部の周囲に、最初の前記略扇型形状の蓋分割部材を載せ、その最初の前記略扇型形状の蓋分割部材と直径方向に対向して2番目の前記略扇型形状の蓋分割部材を載せて、その直径方向に対向する前記最初と2番目の前記略扇型形状の蓋分割部材をX型ビーム状の連結部材で結合することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法であって、
前記地上開口部の前記直径方向に対向する前記最初と2番目の前記蓋分割部材を前記X型ビーム状の連結部材で結合してから、前記地上開口部の周囲に載せて前記周囲方向に順次並べる前記略扇型形状の蓋分割部材を互いに順次固定することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法であって、
前記地上開口部の周囲上に備えるフックに、前記略扇型形状の蓋分割部材を掛けて、
前記略扇型形状の蓋分割部材の下面に備えるブラケットを、前記地上開口部の内周面に当接させることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、
請求項1から3のいずれか一項に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋施工方法であって、
前記地上開口部を前記略扇型形状の蓋分割部材で覆った後、
前記X型ビーム状の連結部材を外すことで、前記地上開口部を覆う前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部間に形成される中央穴を中央蓋で塞いで、当該中央蓋を前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部に固定することを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、
大断面立坑の地上開口部を覆う蓋の構造で、前記地上開口部の周囲に載せる略扇型形状の蓋分割部材を、前記地上開口部の周囲方向に並べて構成される蓋構造であって、
前記地上開口部の周囲に最初に載せた前記略扇型形状の蓋分割部材と、
前記最初の前記略扇型形状の蓋分割部材と直径方向に対向して前記地上開口部の周囲に2番目に載せた前記略扇型形状の蓋分割部材と、
前記直径方向に対向する前記最初と2番目の前記略扇型形状の蓋分割部材の先端部を結合したX型ビーム状の連結部材と、
前記地上開口部の周囲に載せて前記周囲方向に順次並べて互いに順次固定した前記略扇型形状の蓋分割部材と、
を備える開口蓋が構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、
請求項に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造であって、
前記X型ビーム状の連結部材が外されて、前記地上開口部の周囲方向に並べて載せた前記略扇型形状の蓋分割部材の前記先端部間に形成された中央穴を塞いで、前記地上開口部の周囲方向に並べて載せた前記略扇型形状の蓋分割部材の前記先端部に固定された中央蓋を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、
請求項5又は6に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造であって、
前記略扇型形状の蓋分割部材は、
前記略扇型形状に骨材で形成された平型フレームと、
前記略扇型形状の平型フレームに固定されたエキスパンドメタルと、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、
請求項に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造であって、
前記略扇型形状の平型フレームの前記地上開口部の周囲に載せた基端部が、当該地上開口部の周囲上に備えるフックに支持されて、
前記略扇型形状の平型フレームの前記基端部側の下に備えるブラケットが、前記地上開口部の内周面に当接されていることを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明は、
請求項5から8のいずれか一項に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造であって、
前記略扇型形状の蓋分割部材は、メンテナンス用の開閉蓋を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の発明は、
請求項に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造であって、
前記略扇型形状の蓋分割部材は、前記開閉蓋を開けて降りるための階段を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項11に記載の発明は、
請求項8に記載の大断面立坑の地上開口部の蓋構造であって、
前記ブラケットは、前記略扇型形状の平型フレームに対する複数個所の取付位置から選択して備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、大断面立坑の地上開口部に安全のために掛ける蓋を単独で固定可能な略扇型形状に分割することで、大型クレーンを用いなくても、ユニック車などで吊り込み、固定作業や取り外し作業ができるようにして、大断面立坑地上開口蓋の設置・撤去作業の効率化、コスト縮減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用した大断面立坑の地上開口部及びその蓋の一実施形態の構成を示す斜視図である。
図2図1の略扇型形状の蓋分割部材の初期設置状態を示す拡大図である。
図3】最初と2番目の蓋分割部材の設置状態を示す平面図である。
図4図3の矢印A‐A線に沿った中央断面図である。
図5図4の中央部の拡大図である。
図6図3の最初と2番目の蓋分割部材の連結状態を示す拡大斜視図である。
図7】3番目以降の蓋分割部材の設置を示す平面図である。
図8】開閉蓋を有する蓋分割部材の平面図(a)及び側面図(b)である。
図9】蓋分割部材のフレームに対するブラケットの取付位置の選択例を示す側面図である。
図10】変形例1の蓋構造を示す斜視図である。
図11図10の蓋分割部材の設置状態を示す拡大図である。
図12】変形例2の蓋構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1は本発明を適用した大断面立坑の地上開口部及びその蓋の一実施形態の構成を示すもので、1は大断面立坑の地上開口部、10はその開口蓋である。
【0025】
図示のように、例えば内径12m程度の大断面立坑の地上開口部1を覆う開口蓋10は、開口周囲壁2の上面に、略扇型形状の蓋分割部材11を円周方向に並べて円形に構成されている。
なお、開口周囲壁2の上面には、防護柵3が円周方向に並べて設置されるとともに、その内周側位置に外周側に先端が突出するフック4が円周方向に等間隔に設置されている。フック4は、開口周囲壁2にアンカーにて固定されている。形状や大きさによっては、フック4を省略し、開口周囲壁2に設置したアンカーで蓋分割部材11を直接固定しても良い。
【0026】
図2は略扇型形状の蓋分割部材11の初期設置状態を示すもので、蓋分割部材11は、図示のように、大断面立坑の地上開口部1の所定中心角度毎に合わせて略扇型形状に骨材を組み付けたフレーム12にエキスパンドメタル13を張り付けて構成されている。
また、フレーム12の下面には、開口周囲壁2の内周面に当接するブラケット14が備えられている。
【0027】
以上の略扇型形状の蓋分割部材11を最初に設置する場合は、図示しないユニック車で蓋分割部材11を吊り込んで、図2に示すように、開口周囲壁2の上面に設置された一対のフック4の突出部下に対し、フレーム12の幅広側の横架骨材12aを外周側から挿入する。
これにより、蓋分割部材11の下面に備えるブラケット14が、図示のように、開口周囲壁2の内周面に当接状態となる。
従って、略扇型形状の蓋分割部材11がその幅広側で開口周囲壁2に片持ち支持された状態となる。
【0028】
次に、最初の略扇型形状の蓋分割部材11に対し開口周囲壁2の直径方向対向位置に、2番目の蓋分割部材11を同様に吊り込んで、図3及び図4に示すように、同様にフック4及びブラケット14で開口周囲壁2に片持ち支持させる。
【0029】
そして、最初の蓋分割部材11と直径方向に対向した2番目の蓋分割部材11とを、図5及び図6にも拡大して示したように、X型ビーム状の連結部材21でボルト結合する。
この場合、連結部材21も同様に吊り込んで、各々の蓋分割部材11上に作業員がそれぞれ乗ってボルト結合作業を行う。
【0030】
その後、図7に示すように、3番目以降の蓋分割部材11を同様に吊り込んでフック4及びブラケット14で開口周囲壁2に片持ち支持させて、その円周方向に並ぶ蓋分割部材11を互いに順次ボルト結合して固定していく。
こうして、略扇型形状の蓋分割部材11を円周方向に並べて円形となる開口蓋10で地上開口部1を覆う。
【0031】
最後に、連結部材21を取り外し、ユニック車で撤去してから、円周方向に並べた略扇型形状の蓋分割部材11の先端間に生じる円形穴に円形の中央蓋19を被せて、その中央蓋19をフレーム12の先端部にボルト結合して開口蓋10を完成させる。
【0032】
以上、実施形態の大断面立坑蓋の施工によれば、大断面立坑の地上開口部1に安全のために掛ける開口蓋10を単独で固定可能な略扇型形状の蓋分割部材11を、開口周囲壁2上に載せて、円周方向に並べて構成することで、大型クレーンを用いなくても、ユニック車などで吊り込み、固定作業ができるため、大断面立坑蓋の設置作業の効率化、コスト縮減を達成することができる。
【0033】
また、単独で固定可能な略扇型形状の蓋分割部材11により構成した開口蓋10なので、完成後において、例えば破損があれば、その1ピースだけ蓋分割部材11を交換すればよく、メンテナンスにも比較的容易に対応することができる。
【0034】
次に、図8(a)及び(b)は蓋分割部材11に開閉蓋15を設けた例を示す。
すなわち、メンテナンス等のために地上開口部1に入る場合を考慮して、図示のように、略扇型形状の蓋分割部材11の幅広側に、作業員が出入りするための開閉蓋15を設けて、下方に突出した階段16と上方に突出した手摺17を設ける。
【0035】
図9は蓋分割部材11のフレーム12に対するブラケット14の取付位置の選択例を示す。
すなわち、他の現場での転用を考慮して、図示のように、蓋分割部材11のフレーム12に対するブラケット14の取付位置として、例えば3箇所のボルト結合位置A・B・Cを設定しておくことで、大断面立坑径の相違に対応できるものとなる。
【0036】
(変形例1)
図10は変形例1の蓋構造を示すもので、前述した実施形態と同様、1は大断面立坑の地上開口部、2は開口周囲壁、3は防護柵であって、30は開口蓋である。
変形例1の開口蓋30は、前述した実施形態の平型の蓋構造の他、図示のように、山型の蓋構造となっている。
【0037】
すなわち、図11は略扇型形状の蓋分割部材31の初期設置状態を示すもので、図示のように、略扇型形状の蓋分割部材31は、フレーム32にエキスパンドメタル33を張り付けて構成され、フレーム32の幅広側端部には、固定用の支柱セット34が備えられている。
【0038】
そして、支柱セット34の左右の支柱上端部とフレーム32の先端部との間にワイヤ35をそれぞれ掛けて、開口周囲壁2の上面に支柱セット34をボルト結合して固定した状態で、支柱セット34の支柱上端部よりも先上がり形状となるフレーム32の先端部が高くなるようにする。
【0039】
こうして、開口周囲壁2に片持ち固定して先端部が高くなった略扇型形状の蓋分割部材31を円周方向に並べて地上開口部1を覆った後、円周方向に並べた略扇型形状の蓋分割部材31の先端間に生じる円形穴に中央蓋39を被せボルト結合して山型の開口蓋30を完成させる。
【0040】
このように、山型の開口蓋30としてもよい。
【0041】
(変形例2)
図12は変形例2の蓋構造を示すもので、前述した実施形態と同様、1は大断面立坑の地上開口部、2は開口周囲壁、3は防護柵であって、40は開口蓋である。
変形例2の開口蓋40は、図示のように、ドーム型の蓋構造となっている。
【0042】
すなわち、略扇型形状の蓋分割部材41は、図示のように、トラス構造で上方に膨らむ円弧形状のフレーム42にエキスパンドメタル43を張り付けて構成され、フレーム42の幅広側端部には、固定用の支柱セット44が備えられている。
【0043】
そして、開口周囲壁2の上面に支柱セット44をボルト結合して固定した状態で、支柱セット44の支柱上端部よりもトラス構造で上方に膨らむ円弧形状のフレーム32の先端部が高くなるようにする。
【0044】
こうして、開口周囲壁2に片持ち固定して先端部が高くなった略扇型形状の蓋分割部材41を円周方向に並べて地上開口部1を覆ってドーム型の開口蓋40を完成させる。
【0045】
このように、ドーム型の蓋構造としてもよい。
【0046】
(他の変形例)
以上の実施形態においては、円形立坑としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、楕円形や長円形の立坑であってもよい。
また、蓋分割部材の構成等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
例えば、エキスパンドメタルではなく、例えば発破防護蓋などに用いる場合にはより強固な鉄筋金網であってもよい。また、雨を防ぎたいような場合には鉄板やプラスチック板を用いてもよい。さらに、フレームは木製でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 大断面立坑の地上開口部
2 開口周囲壁
3 防護柵
4 フック
10 開口蓋
11 蓋分割部材
12 フレーム
13 エキスパンドメタル
14 ブラケット
15 開閉蓋
16 階段
17 手摺
19 中央蓋
21 連結部材
30 開口蓋
31 蓋分割部材
32 フレーム
33 エキスパンドメタル
34 支柱セット
35 ワイヤ
39 中央蓋
40 開口蓋
41 蓋分割部材
42 フレーム
43 エキスパンドメタル
44 支柱セット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12