(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259277
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】スコット結線変圧器用鉄心及びスコット結線変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/24 20060101AFI20171227BHJP
H01F 30/14 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
H01F27/24 E
H01F27/24 M
H01F27/24 G
H01F30/14
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-263904(P2013-263904)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2015-122346(P2015-122346A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】外村 徹
(72)【発明者】
【氏名】玉置 幸男
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰広
【審査官】
右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−128057(JP,A)
【文献】
実開昭52−025216(JP,U)
【文献】
特開2013−247208(JP,A)
【文献】
特開昭61−228608(JP,A)
【文献】
特開昭52−103670(JP,A)
【文献】
実開昭54−101348(JP,U)
【文献】
特開2011−082387(JP,A)
【文献】
特公昭44−025020(JP,B1)
【文献】
特開2009−088422(JP,A)
【文献】
特開2007−129135(JP,A)
【文献】
実開昭59−067915(JP,U)
【文献】
特公昭38−022910(JP,B1)
【文献】
特開昭50−161623(JP,A)
【文献】
実開昭54−101433(JP,U)
【文献】
実開昭50−039717(JP,U)
【文献】
実開昭53−150416(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/24
H01F 30/14
H02M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スコット結線変圧器に用いられる鉄心であって、
スコット結線されたコイルが巻回される2つの主脚鉄心と、
前記2つの主脚鉄心に生じる磁束の共通の通路になる共通脚鉄心と、
前記2つの主脚鉄心及び前記共通脚鉄心の上下それぞれを連結する継鉄心とを備え、
前記2つの主脚鉄心及び前記共通脚鉄心が、平面視において三角形の頂点に位置するように配置され、
前記継鉄心が、平面視において前記共通脚鉄心を屈折点として折れ曲がっているスコット結線変圧器用鉄心。
【請求項2】
前記2つの主脚鉄心の一方及び前記共通脚鉄心の距離と、前記2つの主脚鉄心の他方及び前記共通脚鉄心の距離とが、互いに等しい請求項1記載のスコット結線変圧器用鉄心。
【請求項3】
前記2つの主脚鉄心及び前記共通脚鉄心が、平面視において直角三角形の頂点に位置するように配置され、
前記共通脚鉄心が、前記直角三角形の頂点のうち直角である頂点に位置するように配置される請求項1又は2記載のスコット結線変圧器用鉄心。
【請求項4】
前記2つの主脚鉄心の少なくとも一方が、インボリュート形状に湾曲された湾曲部を有する多数の磁性鋼板を放射状に積層して円筒状に形成した円筒状のインボリュート鉄心である請求項1乃至3の何れか一項に記載のスコット結線変圧器用鉄心。
【請求項5】
前記継鉄心が、変形巻鉄心により構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載のスコット結線変圧器用鉄心。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のスコット結線変圧器用鉄心を用いたスコット結線変圧器。
【請求項7】
前記2つの主脚鉄心の少なくとも一方に巻回される1次コイル及び2次コイルが単一のコイルから構成された単巻変圧器である請求項6記載のスコット結線変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主座変圧器及びT座変圧器からなるスコット結線変圧器及び当該スコット結線変圧器に用いられる鉄心に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スコット結線変圧器に用いられる鉄心としては、特許文献1に示すように、コイルが巻回された主座脚鉄心及びT座脚鉄心と、主座脚鉄心及びT座脚鉄心の間に配置される中央脚鉄心とを有する三脚鉄心がある。このような三脚鉄心は、
図7に示すように、主座脚鉄心、T座脚鉄心及び中央脚鉄心が平面視において一直線に並ぶように配置されている。
【0003】
しかしながら、主座脚鉄心、T座脚鉄心及び中央脚鉄心が一直線に並ぶように配置された三脚鉄心は、主座脚鉄心及びT座脚鉄心の距離Dにより三脚鉄心全体の幅寸法が決まってしまう。また、主座脚鉄心及びT座脚鉄心に巻回されるコイルの巻数によってスコット結線変圧器の幅寸法も決まってしまう。したがって、主座脚鉄心、T座脚鉄心及び中央脚鉄心の幅寸法を小さくしなければ、三脚鉄心全体の幅寸法を小さくすることはできず、また、コイルの巻数を減らす等によりコイルの巻回径を小さくしなければ、スコット結線変圧器の幅寸法を小さくすることはできない。その結果、従来のスコット結線変圧器では、省スペース化が難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−248508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、スコット結線変圧器に用いられる鉄心において、各脚鉄心自体の寸法を小さくすること無く、またコイルの巻回径を小さくすること無く、鉄心全体又はスコット結線変圧器の幅方向の寸法を小さくすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係るスコット変圧器用鉄心は、スコット結線変圧器に用いられる鉄心であって、スコット結線されたコイルが巻回される2つの主脚鉄心と、前記2つの主脚鉄心に生じる磁束の共通の通路になる共通脚鉄心と、前記2つの主脚鉄心及び前記共通脚鉄心の上下それぞれを連結する継鉄心とを備え、前記2つの主脚鉄心及び前記共通脚鉄心が、平面視において三角形の頂点に位置するように配置され、前記継鉄心が、平面視において前記共通脚鉄心を屈折点として折れ曲がっていることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、2つの主脚鉄心及び共通脚鉄心が、平面視において三角形の頂点に位置するように配置されるとともに、継鉄心が、平面視において共通脚鉄心を屈曲点として折れ曲がっているので、各脚鉄心自体の寸法を小さくすること無く、2つの主脚鉄心間の距離を小さくすることができ、鉄心全体の幅寸法を小さくし、省スペース化を図ることができる。また、コイルの巻回径を小さくすること無く、スコット結線変圧器の幅寸法を小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0008】
前記2つの主脚鉄心の一方及び前記共通脚鉄心の距離と、前記2つの主脚鉄心の他方及び前記共通脚鉄心の距離とが、互いに等しいことが望ましい。
これならば、2つの主脚鉄心の一方及び共通脚鉄心の間の磁路長さと、2つの主脚鉄心の他方及び共通脚鉄心の間の磁路長さとが等しくなるので、2つの主脚鉄心の磁気特性が互いに同等となり、効率良く三相交流電源から2つの単相回路に変換することができる。
【0009】
前記2つの主脚鉄心及び前記共通脚鉄心が、平面視において直角三角形の頂点に位置するように配置され、前記共通脚鉄心が、前記直角三角形の頂点のうち直角である頂点に位置するように配置されることが望ましい。
これならば、2つの主脚鉄心間の距離を小さくして、鉄心全体の幅方向の寸法を小さくし、省スペース化を図ることができる。
【0010】
前記2つの主脚鉄心の少なくとも一方が、インボリュート形状に湾曲された湾曲部を有する多数の磁性鋼板を放射状に積層して円筒状に形成した円筒状のインボリュート鉄心であることが望ましい。
これならば、断面略円形のインボリュート鉄心は渦電流損が小さいので、前記主脚鉄心自体の発熱を低減することができる。
【0011】
前記継鉄心が、変形巻鉄心により構成されていることが望ましい。
これならば、断面略円形の脚鉄心との衝合部を同じ円形にすることが簡単である。
【0012】
また本発明に係るスコット結線変圧器用鉄心を用いたスコット結線変圧器が、前記2つの主脚鉄心の少なくとも一方に巻回される1次コイル及び2次コイルが単一のコイルから構成された単巻変圧器であることが望ましい。
このように1次コイル及び2コイルを単巻結線することで、1次コイルと2次コイルとの間の絶縁を簡素にすることができ、製作し易くなるとともに、事故発生のリスクを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、スコット結線変圧器に用いられる鉄心において、各脚鉄心自体の寸法を小さくすること無く、またコイルの巻回径を小さくすること無く、鉄心全体の幅方向の寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係るスコット結線変圧器の構成を模式的に示す平面図。
【
図2】変形実施形態に係るスコット結線変圧器の構成を模式的に示す回路図。
【
図3】同実施形態のスコット結線変圧器の構成を模式的に示す正面図。
【
図4】変形実施形態に係る継鉄心の成形過程を模式的に示す図。
【
図5】変形実施形態に係るスコット結線変圧器の構成を模式的に示す平面図。
【
図6】変形実施形態に係るスコット結線変圧器の構成を模式的に示す平面図。
【
図7】従来のスコット結線変圧器の構成を模式的に示す平面図。
【0015】
以下に本発明に係るスコット結線変圧器の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係るスコット結線変圧器100は、三相交流電源からの三相交流を2つの単相交流に変換する変圧器であり、主座変圧器2とT座変圧器3とからなる。また、主座変圧器2及びT座変圧器3は、1次コイル及び2次コイルが単一のコイルから構成された単巻変圧器であり、主座変圧器2の鉄心及びT座変圧器3の鉄心は、一体形成されたものである。
【0017】
具体的にスコット結線変圧器100の鉄心4は、
図1に示すように、スコット結線された誘導コイル11、12が巻回される主脚鉄心41、42と、この主脚鉄心41、42に生じる磁束の共通の通路になるとともに、互いの磁束を直接通じなくするための共通脚鉄心43と、主脚鉄心41、42及び共通脚鉄心43の上下それぞれを連結する継鉄心44とを有するものである。
【0018】
一方の主脚鉄心41は、主座変圧器2の1次コイル及び2次コイルである誘導コイル11が巻回される脚鉄心である。なお、以下において、一方の主脚鉄心41を主座脚鉄心41という。また、他方の主脚鉄心42は、T座変圧器3の1次コイル及び2次コイルである誘導コイル12が巻回される脚鉄心である。なお、以下において、他方の主脚鉄心42をT座脚鉄心42という。
【0019】
誘導コイル11の両端には、三相(U相、V相、W相)のうち二相(例えばV相、W相)が接続される。また、誘導コイル12の一方の端は、誘導コイル11の中点に接続され、誘導コイル12の他方の端は、三相のうち誘導コイル11に接続されない残りの一相(例えばU相)が接続される。具体的には、誘導コイル11の偶数巻き数Nに対し、誘導コイル12の巻き数を(√3/2)Nとして、誘導コイル12の一方の端を誘導コイル11のN/2の位置に接続するように構成されている。
【0020】
本実施形態のスコット結線変圧器100のスコット結線例としては、誘導コイル11及び誘導コイル12はどちらも巻き数Nのものを用いることが考えられる。具体的には、
図2に示すように、誘導コイル11の両端を三相交流電源のV相及びW相に接続し、誘導コイル12の一端を誘導コイル11のN/2の位置に接続する。そして、誘導コイル12の(√3/2)Nの位置に三相交流電源のU相を接続する。このように、三相入力電圧と2回路の単相出力電圧とが同じになるように構成されている。さらに、誘導コイル11の両端には、負荷13が接続されており、誘導コイル12の両端には、負荷13と同容量の負荷23が接続されている。
【0021】
また、本実施形態では、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43が平面視においてそれぞれが三角形の頂点に位置するように配置されている。
【0022】
本実施形態の主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42は、
図1及び
図3に示すように、それぞれ互いに離間して設けられた上下方向に延びる断面略円形の脚鉄心である。具体的に主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42は、インボリュート形状に湾曲された湾曲部を有する多数の磁性鋼板を放射状に積層して円筒状に形成した断面略円形のインボリュート鉄心により構成されている。また、この主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42は互いに同寸法のものであり、主座脚鉄心41の横断面積S1と、T座脚鉄心42の横断面積S2とは互いに等しい。
【0023】
共通脚鉄心43は、上下方向に延びる断面略円形の脚鉄心である。具体的に共通脚鉄心43は、前記脚鉄心41、42と同様に、インボリュート形状に湾曲された湾曲部を有する多数の磁性鋼板を放射状に積層して円筒状に形成した断面略円形のインボリュート鉄心により構成されている。また、この共通脚鉄心43の横断面積S3は、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42の横断面積S1、S2の√2倍である。具体的には、
図1に示すように、共通脚鉄心43の直径は、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42の直径をdとすると、√2
0.5dである。
【0024】
継鉄心44は、変形巻鉄心により構成されており、
図1及び
図3に示すように、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43の上面を互いに連結する上継鉄心44aと、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43の下面を互いに連結する下継鉄心44bとにより構成されている。この上継鉄心44a及び下継鉄心44bは、平面視において共通脚鉄心43を屈折点として折れ曲がっている。より詳細には、上継鉄心44a及び下継鉄心44bは、共通脚鉄心43を中心にくの字に折れ曲がっている。つまり、上継鉄心44a及び下継鉄心44bは、共通脚鉄心43を中心に左右対称形状となっている。
【0025】
本実施形態では、主座脚鉄心41及び共通脚鉄心43の中心間距離L1と、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43の中心間距離L2とが互いに等しい。つまり、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42と、共通脚鉄心43とが平面視においてそれぞれが二等辺三角形の頂点に位置するように配置されている。
【0026】
また、本実施形態では、上継鉄心44a及び下継鉄心44bの折れ曲がり角度が120度となるように構成されている。具体的には、平面視において、主座脚鉄心41の中心と共通脚鉄心43の中心とを結ぶ線と、T座脚鉄心42の中心と共通脚鉄心43の中心とを結ぶ線とのなす角度が、約120度となるように構成されている。したがって、中心間距離L1及び中心間距離L2をそれぞれD/2とすると、主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42の中心間距離は、Dcos30°となる。ここで、継鉄心44を折り曲げる前と折り曲げた後との距離の差は、折り曲げ前の主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42の中心間距離をDとすると、近似値であるが、D−Dcosθ=D(1−cos30°)となる。そうすると、
図7に示す従来の方形鉄心に対して短くなる距離は、近似値として、D(1−cos30°)−d{(√2)
0.5−(π√2)/4}となる。
【0027】
このように構成したスコット結線変圧器100によれば、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42と、共通脚鉄心43とが平面視においてそれぞれが三角形の頂点に位置するように配置されるとともに、継鉄心44が、平面視において共通脚鉄心43を中心にくの字に折れ曲がっているので、主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42の間の距離を小さくして、鉄心全体の幅方向の寸法を小さくし、省スペース化を図ることができる。
【0028】
また、本実施形態のスコット結線変圧器100は、主座脚鉄心41及び共通脚鉄心43の中心間距離L1と、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43の中心間距離L2とが互いに等しいとともに、上継鉄心44a及び下継鉄心44bが、共通脚鉄心43を中心に左右対称形状となっているので、主座脚鉄心41及び共通脚鉄心43の間の磁路長さと、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43の間の磁路長さとが等しくなるので、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42の磁気特性が互いに同等となり、効率良く三相交流電源から2つの単相回路に変換することができる。
【0029】
さらに、本実施形態のスコット結線変圧器100は、上継鉄心44a及び下継鉄心44bが、共通脚鉄心43を中心に折れ曲がっているので、
図4に示すように、上継鉄心44a及び下継鉄心44bの加工工程を簡略化することができる。具体的には、V字状の溝が形成された成型金型と、先端にV形の突起を有する成型金型とを用いることで、巻鉄心を扁平状に押し潰すとともに共通脚鉄心43の横断面積に合わせて所定の大きさに膨らませる工程と、その扁平状に押し潰された巻鉄心を折り曲げる工程とを1つの工程にすることができる。これにより、継鉄心44の加工構成を大幅に簡略化することができる。
【0030】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図5に示すように、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42と、共通脚鉄心43とが平面視においてそれぞれが直角三角形の頂点に位置するように配置されており、共通脚鉄心43が、直角三角形の頂点のうち直角である頂点に配置されるものであっても良い。具体的には、上継鉄心44a及び下継鉄心44bの折れ曲がり角度が90度であり、主座脚鉄心21の中心と共通脚鉄心23の中心とを結ぶ線と、T座脚鉄心22の中心と共通脚鉄心23の中心とを結ぶ線とのなす角度が略直角になるように構成されている。したがって、中心間距離L1及び中心間距離L2をそれぞれD/2とすると、主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42の中心間距離は、D/√2となる。これならば、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42の距離をより小さくでき、鉄心全体の幅方向の寸法を小さくすることができる。ここで、継鉄心44を折り曲げる前と折り曲げた後との距離の差は、折り曲げ前の主座脚鉄心41及びT座脚鉄心42の中心間距離をDとすると、近似値であるが、D−D/√2=D(1−1/√2)となる。そうすると、
図7に示す従来の方形鉄心に対して短くなる距離は、近似値として、D(1−1/√2)−d{(√2)
0.5−(π√2)/4}となる。
【0031】
また、
図6に示すように、上継鉄心44a及び下継鉄心44bが、共通脚鉄心43を屈曲点として折れ曲がっていないものとすることも考えられる。この場合、巻鉄心を扁平状に押し潰すとともに共通脚鉄心43の横断面積に合わせて所定の大きさに膨らませる工程と、その扁平状に押し潰された巻鉄心を折り曲げる工程との2工程に分けて行う必要がある。このように膨らませる工程と折り曲げる工程を分けて行うと、各部に皺が入ってしまう等の問題が生じてしまうため、何工程にも亘る工夫された工程が必要となってしまう。したがって、上継鉄心44a及び下継鉄心44bは、共通脚鉄心43を屈曲点として折り曲げる構成の方が好ましい。
【0032】
さらに、主座脚鉄心41、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43は、断面略円形のものに限られず、楕円形や、多角形等であっても良い。
【0033】
加えて、前記実施形態では、主座脚鉄心41及び共通脚鉄心43の中心間距離L1と、T座脚鉄心42及び共通脚鉄心43の中心間距離L2とが等しい構成であったが、前記中心間距離L1と中心間距離L2とが異なる構成であっても良い。
【0034】
さらに加えて、主座変圧器2及びT座変圧器3は、単巻変圧器に限られず、複巻変圧器であっても良い。
【0035】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0036】
100・・・スコット結線変圧器
2 ・・・主座変圧器
3 ・・・T座変圧器
41 ・・・主座脚鉄心
42 ・・・T座脚鉄心
43 ・・・共通脚鉄心
44 ・・・継鉄心
44a・・・上継鉄心
44b・・・下継鉄心