(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリンダと、上記シリンダ内に直列に設けた複数段の作動室と、各段の作動室毎に挿入されて対応する作動室内を伸側室と圧側室とに区画する複数のピストンと、上記シリンダ内に移動自在に挿入されて上記各ピストンに連結されるロッドと、上記作動室毎に設けられて対応する作動室内の上記伸側室と上記圧側室とを連通して通過する流体の流れに抵抗を与える複数の減衰通路とを備えた多段ダンパの荷重試験方法であって、
上記作動室毎に設けられて対応する作動室内の上記伸側室と上記圧側室とを上記減衰通路を迂回して連通する複数のバイパス路と、上記バイパス路毎に設けられる複数の開閉弁とを設け、
上記開閉弁のうち一つのみを選択して閉弁して他は開弁し、選択された開閉弁を備えた段のみの減衰通路を有効として減衰力を測定することを全段について行う荷重測定ステップと、
上記開閉弁の全てを開弁して減衰力を測定する無負荷荷重測定ステップと、
上記荷重測定ステップおよび無負荷荷重測定ステップにて得られた減衰力に基づいて上記多段ダンパの減衰力を演算する演算ステップと
を備えたことを特徴とする多段ダンパの荷重試験方法。
上記演算ステップでは、作動室の段数をnとし、上記荷重測定ステップで得られた減衰力の総和から上記無負荷荷重測定ステップで得られた減衰力の(n−1)倍した値を引くことで上記多段ダンパの減衰力を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の多段ダンパの荷重試験方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した荷重試験機では、ダンパの出力が小さいものであればよいが、シリンダ内に多段に作動室を設けて、各作動室にロッドに取り付けられたピストンを挿入し、ピストンにおける受圧面積を大きくして非常に大きな減衰力の発揮が可能な多段ダンパを試験しようとすると、高荷重に耐える高容量の荷重試験機を所有する機関へ委託する必要がある。
【0005】
試作段階の多段ダンパを試験するには、試作品を都度、上記機関へ委託する方がコストも削減できるのであるが、多段ダンパを大量に生産することになる場合、機関へ委託するとコストが嵩んでしまう。
【0006】
そうかと言って、荷重試験機を自社内で保有することを考えると、高容量の荷重試験機は、多段ダンパに振動を与える機械が非常に大掛かりで非常に大型であって、荷重試験機の開発に掛かる費用も莫大なものとなる。
【0007】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、低容量の荷重試験機を利用しつつも多段ダンパが発揮する大きな減衰力を検出することができる荷重試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の課題解決手段における多段ダンパの荷重試験方法は、シリンダと、上記シリンダ内に直列に設けた複数段の作動室と、各段の作動室毎に挿入されて対応する作動室内を伸側室と圧側室とに区画する複数のピストンと、上記シリンダ内に移動自在に挿入されて上記各ピストンに連結されるロッドと、上記作動室毎に設けられて対応する作動室内の上記伸側室と上記圧側室とを連通して通過する流体の流れに抵抗を与える複数の減衰通路とを備えた多段ダンパの荷重試験方法であって、上記作動室毎に設けられて対応する作動室内の上記伸側室と上記圧側室とを上記減衰通路を迂回して連通する複数のバイパス路と、上記バイパス路毎に設けられる複数の開閉弁とを設け、上記開閉弁のうち一つのみを選択して閉弁して他は開弁し、選択された開閉弁を備えた段のみの減衰通路を有効として減衰力を測定することを全段について行う荷重測定ステップと、上記開閉弁の全てを開弁して減衰力を測定する無負荷荷重測定ステップと、上記荷重測定ステップおよび無負荷荷重測定ステップにて得られた減衰力に基づいて上記多段ダンパの減衰力を演算する演算ステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明における多段ダンパの荷重試験方法によれば、低容量の荷重試験機を利用しつつも多段ダンパが発揮する大きな減衰力を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態における多段ダンパDの荷重試験方法の試験対象である多段ダンパDについて説明する。多段ダンパDは、
図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に直列に設けた複数段、この例では三段、三つの作動室R1,R2,R3と、作動室R1,R2,R3毎に挿入されて対応する作動室R1,R2,R3内を伸側室A1,A2,A3と圧側室B1,B2,B3とに区画する複数のピストン2,3,4と、シリンダ1内に移動自在に挿入されて各ピストン2,3,4に連結されるロッド5と、作動室R1,R2,R3毎に設けられて対応する作動室R1,R2,R3内の伸側室A1,A2,A3と圧側室B1,B2,B3とを連通して通過する流体の流れに抵抗を与える複数の減衰通路6,7,8とを備えている。
【0012】
この多段ダンパDは、図示はしないが、たとえば、構造物の柱と梁との間や上層の梁と下層の梁との間等に介装されて制振装置の一部として機能したり、地盤と構造物との間にボールアイソレータや積層ゴム等といった弾性体とともに介装されて免震装置の一部として機能したりすることができるが、多段ダンパDの用途はこれに限定されるものではない。
【0013】
以下、多段ダンパDの各部について詳細に説明する。シリンダ1は、筒状であって、
図1中左端がキャップ11によって閉塞されている。このキャップ11には、多段ダンパDを設置個所へ取り付けるためブラケット12が設けられている。
【0014】
また、シリンダ1には、三つの作動室R1,R2,R3を形成するための仕切として機能する四つの環状のロッドガイド13,14,15,16が装着されている。詳しくは、ロッドガイド13,14,15は、シリンダ1内に間隔をあけて挿入されて取り付けられている。また、ロッドガイド16は、ロッドガイド15に対して間隔をあけてシリンダ1の右端に嵌合されるとともにシリンダ1に固定され、シリンダ1の右端を閉塞している。そして、ロッドガイド13とロッドガイド14との間の空間で作動室R1が形成され、ロッドガイド14とロッドガイド15との間の空間で作動室R2が形成され、さらには、ロッドガイド15とロッドガイド16との間の空間で作動室R3が形成され、これら作動室R1,R2,R3内には、たとえば、作動油等の流体が充填されている。流体は、作動油以外の液体のほか、気体を用いることも可能である。このように、これら作動室R1,R2,R3は、シリンダ1内に軸方向に直列に配置されて三段に設けられている。
【0015】
ロッドガイド13,14,15,16内には、ロッド5が摺動自在に挿入されており、図示はしないが、各ロッドガイド13,14,15,16とロッド5との間はシール部材によってシールされており、作動室R1と作動室R2とが互いに連通せず、作動室R2と作動室R3とが互いに連通しないようになっている。
【0016】
さらに、シリンダ1内であって、ロッドガイド13とロッドガイド14との間には、ピストン2が摺動自在に挿入され、ロッドガイド14とロッドガイド15との間には、ピストン3が摺動自在に挿入され、ロッドガイド15とロッドガイド16との間には、ピストン4が摺動自在に挿入されている。ピストン2,3,4は、ロッド5の途中に固定されており、それぞれ、対応する作動室R1,R2,R3を伸側室A1,A2,A3と圧側室B1,B2,B3とに区画している。
【0017】
そして、ロッド5が
図1中右方へ移動するとロッド5に固定されているピストン2,3,4がロッド5とともに移動して伸側室A1,A2,A3を圧縮するとともに、圧側室B1,B2,B3を拡大させることができ、反対に、ロッド5が
図1中左方へ移動するとロッド5に固定されているピストン2,3,4がロッド5とともに移動して圧側室B1,B2,B3を圧縮するとともに、伸側室A1,A2,A3を拡大させることができる。ロッド5は、左右いずれへ移動しても、ロッドガイド13,14,15,16から抜けることがない長さに設定されており、各作動室R1,R2,R3内を貫通している。よって、ロッド5が左右動しても各作動室R1,R2,R3内の容積が変化しないようになっている。つまり、この例では、多段ダンパDは、丁度、三つの両ロッド型ダンパをシリンダ1とロッド5を共通にして一体化した構造となっている。
【0018】
なお、ロッド5の
図1中右端には、多段ダンパDを設置個所へ取り付けるためブラケット17が設けられている。上記したブラケット12とブラケット17は、ともに、ボールジョイントを備えており、多段ダンパDの設置個所に対する首振り動作を可能としている。
【0019】
ピストン2,3,4には、それぞれが対応する伸側室A1,A2,A3と圧側室B1,B2,B3とをシリンダ1内で連通して通過する流体の流れに抵抗を与える減衰通路6,7,8が設けられている。減衰通路6,7,8は、詳細には、それぞれ、対応する伸側室A1,A2,A3と圧側室B1,B2,B3とを連通する第一通路6a,7a,8aおよび第二通路6b,7b,8bと、第一通路6a,7a,8aの途中に設けられて伸側室A1,A2,A3から圧側室B1,B2,B3へ向かう流体の流れに対して抵抗を与えるとともに逆向きの流れを阻止する圧力制御弁6c,7c,8cと、第二通路6b,7b,8bの途中に設けられて圧側室B1,B2,B3から伸側室A1,A2,A3へ向かう流体の流れに対して抵抗を与えるとともに逆向きの流れを阻止する圧力制御弁6d,7d,8dとを備えて構成されている。このように、減衰通路6,7,8のそれぞれは、複数の通路と弁とで構成されてもよいし、単一の通路と当該通路に設けられる絞り弁等の双方向流れを許容する弁とで構成されてもよい。また、第一通路6a,7a,8aおよび第二通路6b,7b,8bに設けられる弁は、圧力制御弁以外の弁とされてもよい。さらに、減衰通路6,7,8は、それぞれが対応するピストン2,3,4ではなく、ロッド5内或いはシリンダ1外に設けることも可能であるが、ピストン2に設ける方が減衰通路6,7,8の設置が簡単で加工も容易となる。
【0020】
本発明の荷重試験方法では、上述のように構成された多段ダンパDの作動室R1,R2,R3毎に対応する作動室R1,R2,R3内の伸側室A1,A2,A3と圧側室B1,B2,B3とを連通する複数のバイパス路20,21,22を設けるとともに、これらバイパス路20,21,22の途中にそれぞれ開閉弁23,24,25を設けている。開閉弁23,24,25は、電磁弁として外部からの制御指令により開閉できるようになっていてもよいし、手動操作によって開閉できるようになっていてもよい。バイパス路20,21,22および開閉弁23,24,25は、シリンダ1外に設けられているが、ピストン2,3,4或いはロッド5に設けるようにすることも可能である。
【0021】
たとえば、開閉弁23を開いた状態では、ピストン2が左右へ移動して伸側室A1或いは圧側室B1を圧縮しても、流体は、減衰通路6に比して抵抗の少ないバイパス路20を優先して通過して伸側室A1から圧側室B1へ或いは圧側室B1から伸側室A1へ移動することになる。開閉弁23を閉じた状態では、ピストン2が左右へ移動して伸側室A1或いは圧側室B1を圧縮すると、流体は、バイパス路20が遮断されているために減衰通路6のみを介して移動することになる。よって、開閉弁23の開閉によって、流体に減衰通路6を通過させるかバイパス路20を通過させるかを選択することができる。開閉弁23が閉弁して減衰通路6が有効に機能する場合、ピストン2が左右へ移動する際に、減衰通路6が流体の流れに与える抵抗で圧力損失が生じ、伸側室A1と圧側室B1で大きな差圧が生じてピストン2には左右への移動を妨げる減衰力が発生する。対して、開閉弁23が開弁してバイパス路20が有効に機能する場合、ピストン2が左右へ移動する際に、減衰通路6に比して小さいがバイパス路20が流体の流れに抵抗を与えるため圧力損失が生じ、伸側室A1と圧側室B1で差圧が生じてピストン2には左右への移動を妨げる減衰力が発生する。バイパス路20が有効な場合の減衰力は減衰通路6が有効な場合の減衰力に比して非常に小さい。同様に開閉弁24,25も開閉によって、流体に対応する減衰通路7,8を通過させるかバイパス路21,22を通過させるか選択することができ、バイパス路21,22を有効として小さな減衰力を出力させるか、減衰通路7,8を有効として大きな減衰力を出力させるか選択することができる。
【0022】
全ての減衰通路6,7,8が有効である場合、各ピストン2,3,4が一つのロッド5に連結されているため、各々のピストン2,3,4に作用する伸側室A1,A2,A3と圧側室B1,B2,B3の差圧で生じる各減衰力の総和が多段ダンパDの全体としての減衰力となる。
【0023】
つまり、開閉弁23,24,25の開閉によって、バイパス路20,21,22を有効とするか減衰通路6,7,8の有効とするかを選択することで多段ダンパD全体の減衰力を調節することができる。
【0024】
つづいて、荷重試験方法について説明する。まず、
図2に示すように、荷重試験器Tに多段ダンパDを取り付ける。荷重試験器Tは、たとえば、ベース30と、ベース30に設けた直動型のアクチュエータ31と、荷重センサ32とを備えている。そして、多段ダンパDのブラケット12をベース30に、ブラケット17をアクチュエータ31に取り付けて、多段ダンパDを荷重試験器Tに装着する。荷重試験器Tは、アクチュエータ31を駆動することで、多段ダンパDを伸縮させることができ、その際に多段ダンパDが発生する減衰力を荷重センサ32で検出することができるようになっている。
【0025】
つづいて、多段ダンパDにおける開閉弁23,24,25のうち一つのみを選択して閉弁し他は開弁する。たとえば、開閉弁23を閉弁して、開閉弁24,25を開弁する。そして、選択された開閉弁23を備えた段のみの減衰通路6を有効として多段ダンパD全体の減衰力を測定して、これを減衰力F1とする。同様な作業を他の段についても行う。開閉弁24を閉弁して、開閉弁23,25を開弁する。そして、選択された開閉弁24を備えた段のみの減衰通路7を有効として多段ダンパD全体の減衰力を測定して、これを減衰力F2とする。さらに、開閉弁25を閉弁して、開閉弁23,24を開弁する。そして、選択された開閉弁25を備えた段のみの減衰通路8を有効として多段ダンパD全体の減衰力を測定して、これを減衰力F3とする。つまり、開閉弁23,24,25のうち一つのみを選択して閉弁して他は開弁し、選択された開閉弁を備えた段のみの減衰通路を有効として減衰力を測定することを全段について行うようにする(荷重測定ステップ)。荷重測定ステップでは、一段ごとに減衰通路6,7,8を有効として多段ダンパDの全体の減衰力を測定することになる。
【0026】
次に、開閉弁23,24,25の全部を開弁して、全てのバイパス路20,21,22を有効として多段ダンパD全体の減衰力を測定して、これを減衰力Fdrとする(無負荷荷重測定ステップ)。無負荷荷重測定ステップでは、バイパス路20,21,22のすべて有効として、流体に減衰通路6,7,8に優先してバイパス路20,21,22を通過させ、多段ダンパDの減衰力を最小とした場合の減衰力を測定することになる。
【0027】
開閉弁23を閉じて開閉弁24,25を開いた状態では、流体が減衰通路6を通過するほか、開閉弁24,25が開弁してバイパス路21,22が有効とされているために流体がこれらバイパス路21,22を通過することになる。よって、上記した荷重測定ステップで測定した減衰力F1には、減衰通路6に起因する減衰力の他に、バイパス路21,22に起因する減衰力が含まれている。つまり、減衰通路6に起因する減衰力をFd1とし、バイパス路21に起因する減衰力をFdr2とし、バイパス路22に起因する減衰力をFdr3とすれば、F1=Fd1+Fdr2+Fdr3となる。
【0028】
開閉弁24を閉じて開閉弁23,25を開いた状態では、流体が減衰通路7を通過するほか、開閉弁23,25が開弁してバイパス路20,22が有効とされているために流体がこれらバイパス路20,22を通過することになる。よって、上記した荷重測定ステップで測定した減衰力F2には、減衰通路7に起因する減衰力の他に、バイパス路20,22に起因する減衰力が含まれている。つまり、減衰通路7に起因する減衰力をFd2とし、バイパス路20に起因する減衰力をFdr1とし、バイパス路22に起因する減衰力をFdr3とすれば、F2=Fd2+Fdr1+Fdr3となる。
【0029】
同様に、開閉弁25を閉じて開閉弁23,24を開いた状態では、流体が減衰通路8を通過するほか、開閉弁23,24が開弁してバイパス路20,21が有効とされているために流体がこれらバイパス路20,21を通過することになる。よって、上記した荷重測定ステップで測定した減衰力F3には、減衰通路8に起因する減衰力の他に、バイパス路20,21に起因する減衰力が含まれている。つまり、減衰通路8に起因する減衰力をFd3とし、バイパス路20に起因する減衰力をFdr1とし、バイパス路21に起因する減衰力をFdr2とすれば、F3=Fd3+Fdr1+Fdr2となる。
【0030】
他方、無負荷荷重測定ステップでは、開閉弁23,24,25を全て開き、バイパス路20,21,22をすべて有効として多段ダンパDの減衰力を測定した。このときの多段ダンパDの減衰力Fdrは、上記したところから理解できるように、Fdr=Fdr1+Fdr2+Fdr3となる。
【0031】
得たい多段ダンパDの減衰力は、減衰通路6,7,8を有効とした際に多段ダンパDが発揮する減衰力であり、この減衰力をFallとすると、Fall=Fd1+Fd2+Fd3と表すことができるが、Fd1、Fd2、Fd3については直接計測できないために未知である。
【0032】
そこで、上記した荷重測定ステップおよび無負荷荷重測定ステップで各減衰力を測定したら、演算ステップで減衰力Fallを求める。
【0033】
まず、測定した減衰力F1,F2,F3を全て加算する。上記した関係から、F1+F2+F3=Fd1+Fd2+Fd3+(Fdr1+Fdr2+Fdr3)×2の関係が成り立つ。
【0034】
ここで、Fd1+Fd2+Fd3は、得たいFallであり、Fdr1+Fdr2+Fdr3は、無負荷荷重測定ステップで得た減衰力Fdrである。
【0035】
よって、Fall=F1+F2+F3−Fdr×2となり、荷重測定ステップおよび無負荷荷重測定ステップで測定した減衰力F1,F2,F3,Fdrを利用して、多段ダンパDの全体の減衰力Fallを求めることができる。
【0036】
なお、上記したところでは、作動室の段数を三段としているが、段数をn段(nは、2以上の整数)とする場合、一段ずつ減衰通路を有効として多段ダンパDの減衰力を測定すると、n個の減衰力を測定することができ、測定したn個の減衰力を総和すると、この総和に(n−1)個の無負荷荷重ステップで測定されるバイパス路のみを有効とした多段ダンパD全体の減衰力が含まれているから、これを差し引くことで多段ダンパDの減衰通路のみを有効とした減衰力を得ることができる。
【0037】
上記したように、本発明の荷重試験方法では、多段ダンパDの全ての減衰通路のみを有効として多段ダンパDが発揮する大きな減衰力を測定する必要はなく、一段ずつ減衰力を測定していけば済むため、高荷重に耐える高容量の荷重試験器を用いる必要が無い。したがって、本発明の荷重試験方法によれば、低容量の荷重試験器を利用して多段ダンパDが発揮する大きな減衰力を検出することができるのである。また、低容量の荷重試験器の利用が可能となるので、多段ダンパDの試作の都度、高容量の荷重試験器を保有する機関へ荷重試験の依頼をする必要もなくなり、製品量産段階に至って新たに高容量の荷重試験器を設計、制作する必要もなくなるので、経済的である。
【0038】
さらに、多段ダンパDが発揮する減衰力は、非常に簡単な演算で導き出すことができ、多段ダンパDが発揮する減衰力を簡単に評価することができる。
【0039】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。