(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259304
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】空調ユニット
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
B60H1/00 102R
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-20100(P2014-20100)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-147450(P2015-147450A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修
(72)【発明者】
【氏名】原口 進
【審査官】
安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−048229(JP,A)
【文献】
特開2004−249920(JP,A)
【文献】
特開2015−112903(JP,A)
【文献】
実開昭63−093210(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に送風路(31)が設けられ、前記送風路(31)を通った空調風が導かれる開口部(34)を有するケース本体(3)と、前記開口部(34)に接続され、前記開口部(34)からの空調風を導くダクト(4)とを備えた空調ユニット(1)であって、
前記ケース本体(3)と前記ダクト(4)は、前記送風路(31)の前記開口部(34)に接続される第1接続部(50)と、前記第1接続部(50)の組み付け方向(a)と同じ組み付け方向で、前記ダクト(4)の空気流れ方向の下流側で接続される第2接続部(60)とで接続され、
前記ケース本体(3)の外周面(35)と前記ダクト(4)に囲まれてダクト内送風路(43)が構成されていることを特徴とする空調ユニット(1)。
【請求項2】
請求項1記載の空調ユニット(1)であって、
前記第1接続部(50)は、前記ケース本体(3)の前記開口部(34)の周縁と前記ダクト(4)の空気流れ方向の上流側周縁とのいずれか一方に設けられたインロー凸壁(36)と、他方に設けられ、組み付け過程で前記インロー凸壁(36)が入り込むインロー凹壁(46)を有することを特徴とする空調ユニット(1)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の空調ユニット(1)であって、
前記第2接続部(60)は、前記ケース本体(3)に設けられた延出凸壁(37)と、前記ダクト(4)に設けられ、組み付け過程で前記延出凸壁(37)の裏面側に差し込まれる差込凸壁(47)とを有することを特徴とする空調ユニット(1)。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一方に記載の空調ユニット(1)であって、
前記ダクト(4)には、前記ケース本体(3)の前記外周面(35)に密着する一対のシール壁(48)と、前記ケース本体(3)の外周面(35)の両端部を挟み込む一対のガイドリブ壁(49)が設けられていることを特徴とする空調ユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース本体とこれに組み付けされるダクトとを備えた空調ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の空調ユニットとして、特許文献1に開示されたものがある。この空調ユニット100は、
図7及び
図8に示すように、空調風を作成するための送風路107が内部に設けられ、この送風路107を通った空調風が流れ出る開口部102を有するケース本体101と、開口部102に接続され、開口部102からの空調風を導くフットダクト110とを備えている。
【0003】
ケース本体101の開口部102の周縁には、一対の凹壁103とストッパ壁104が設けられている。各凹壁103の一端は、外部に開放する開口部103aとされている。ケース本体101の開口部102の周縁の外側には、一対の引掛部105が設けられている。フットダクト110は、ダクト内送風路111を内部に有する。このダクト内送風路111の一端側は、上流開口部112とされ、他端側が下流開口部113とされている。上流開口部112の周縁には、前記凹壁103に入り込む一対の凸壁114が設けられている。フットダクト110の上流開口部112の周縁の外側には、一対の引掛部115が設けられている。
【0004】
フットダクト110の凸壁114を凹壁103の開口部103aよりストッパ壁104に突き当たるまでスライド挿入する。すると、ケース本体101の引掛部105とフットダクト110の引掛部115の双方が互いに掛止される。これにより、ケース本体101とフットダクト110が接続される。
【0005】
この空調ユニット100では、ケース本体101にフットダクト110をスライド挿入すれば良いため、組み付け性が良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−6640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来例の空調ユニット100では、ケース本体101とフットダクト110間の接続箇所が1箇所(具体的には、ケース本体101の開口部102の位置)であるため、接合剛性が弱いという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ケース本体とダクトとの組み付け性を確保しつつ、その接合剛性を向上させることができる空調ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内部に送風路が設けられ、前記送風路を通った空調風が導かれる開口部を有するケース本体と、前記開口部に接続され、前記開口部からの空調風を導くダクトとを備えた空調ユニットであって、前記ケース本体と前記ダクトは、前記送風路の前記開口部に接続される第1接続部と、前記第1接続部の組み付け方向と同じ組み付け方向で、前記ダクトの空気流れ方向の下流側で接続される第2接続部とで接続され、前記ケース本体の外周面と前記ダクトに囲まれてダクト内送風路が構成されていることを特徴とする空調ユニットである。
【0010】
前記第1接続部は、前記ケース本体の前記開口部の周縁と前記ダクトの空気流れ方向の上流側周縁とのいずれか一方に設けられたインロー凸壁と、他方に設けられ、組み付け過程で前記インロー凸壁が入り込むインロー凹壁を有するものを含む。
【0011】
前記第2接続部は、前記ケース本体に設けられた延出凸壁と、前記ダクトに設けられ、組み付け過程で前記延出凸壁の裏面側に差し込まれる差込凸壁とを有するものを含む。
【0012】
前記ダクトの空気流れ方向の下流側と前記ケース本体のいずれか一方に設けられた延出凸壁と、他方に設けられ、組み付け過程で前記延出凸壁の裏面側に差し込まれる差込凸壁とを有するものを含む。
【0013】
前記ダクトには、前記ケース本体の前記外周面に密着する一対のシール壁と、前記ケース本体の外周面の両端部を挟み込む一対のガイドリブ壁が設けられているものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケース本体とフットダクトは、第1接続部と第2接続部の2箇所で接続されるため、接合剛性が高い。第1接続部と第2接続部は同じ組み付け方向であるため、組み付け性の低下を招来しない。以上より、ケース本体とフットダクトとの組み付け性を確保しつつ、その接合剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態を示し、空調ユニットの全体斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示し、フットダクトの組み付け前のケース本体の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示し、内側からみたフットダクトの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態を示し、(a)はケース本体にフットダクトを組み付けする途中過程を示す断面図、(b)はケース本体にフットダクトを組み付け完了した状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態を示し、
図4(b)のA部拡大図、
図4(b)のB部拡大図である。
【
図6】本発明の一実施形態を示し、
図4(b)のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜
図6は本発明の一実施形態を示す。
図1に示すように、空調ユニット1は、インテーク側ケース2とこれに連結されたケース本体3とこれに連結されるダクトであるフットダクト4とを有する。インテーク側ケース2内には、送風路(図示せず)が形成されている。インテーク側ケース2の送風路には、導入空気の内気・外気を切り換える内外気切り換えドア(図示せず)と、空気を送風路に吸引する送風機(図示せず)が配置されている。
【0018】
ケース本体3は、
図2に示すように、2つの分割ケース部品の合体により形成されている。ケース本体3内には、インテーク側ケース2内の送風路に連通する送風路31が形成されている。ケース本体3の送風路31内には、送風の冷却源であるエバポレータ(図示せず)、送風の加熱源であるヒータコア(図示せず)、冷風と温風の混合割合を可変するミックスドア(図示せず)が配置されている。ケース本体3の送風路31の下流には、デフロスト開口部32、ベント開口部33と共に開口部であるフット開口部34が形成されている。各開口部32〜34は、各ドア(図示せず)によって開閉される。フット開口部34は、外周面35に沿って、且つ、これに直交する向きを開口面として開口している。つまり、フット開口部34の下方には、外周面(開口下の外周面)35が配置されている。
【0019】
フットダクト4は、フット開口部34に接続されている。フットダクト4は、ケース本体3の外周面35を覆うにしてケース本体3に接続されている。
【0020】
フットダクト4は、
図3に示すように、背面板部41とこの両端より突出する一対の側面板部42を有する。フットダクト4は、背面板部41に対向する側の1面が開放されている。このような3面を囲むような形態のフットダクト4は、上記したようにケース本体3の外周面35を覆うにして配置されている。これにより、フットダクト4とケース本体3の外周面35に囲まれてダクト内送風路43が形成されている。
【0021】
各側面板部42には、ドライバ席用と助手席用の吹出し用開口部45がそれぞれ設けられている。
【0022】
次に、ケース本体3とフットダクト4の接続構造を詳しく説明する。
図4〜
図6に示すように、ケース本体3とフットダクト4は、送風路31のフット開口部34に接続される第1接続部50と、第1接続部50の組み付け方向a(
図4(a)に示す)と同じ組み付け方向で、フットダクト4の空気流れ方向の下流側で接続される第2接続部60との2箇所で接続されている。
【0023】
第1接続部50は、ケース本体3のフット開口部34の周縁に設けられたインロー凸壁36と、フットダクト4の上流側周縁に設けられ、組み付け過程でインロー凸壁36が入り込むインロー凹壁46を有する。インロー凸壁36とインロー凹壁46は、1辺(外周面35側の辺)を除く全周縁に亘って設けられている。第1接続部50は、いわゆるインロー構造になっており、フットダクト4の組み付け方向aの逆方向以外の全方向への変位を規制している。
【0024】
第2接続部60は、第1接続部50とは離間した位置で、ケース本体3の空気流れ方向の下流側に設けられた延出凸壁37と、フットダクト4の下流側周縁に設けられ、組み付け過程で延出凸壁37の裏面側に差し込まれる差込凸壁47とを有する。延出凸壁37は、外周面35の下辺部を下方に延出することによって形成されている。
【0025】
フットダクト4には、外周面35に密着する一対のシール壁48と、一対のシール壁48の外側位置よりケース本体3の外周面35の両端部を囲む一対のガイドリブ壁49が設けられている。一対のシール壁48と一対のガイドリブ壁49と第2接続部60とによって、フットダクト4の組み付け方向aの逆方向以外の全方向に対する変位を規制している。つまり、フットダクト4は、組み付け方向aの逆方向のみが取り外し方向として組み付けされている。
【0026】
ケース本体3とフットダクト4には、フットダクト4の組み付け完了位置で互いに重なり合うビス取付部3a,4aが設けられている。この双方のビス取付部3a、4aにビス61(
図4(b)に示す)が締結されている。これにより、フットダクト4の取り外し方向(組み付け方向aの逆方向)への移動が阻止されている。以上の構造によって、フットダクト4がケース本体3に接続されている。
【0027】
次に、フットダクト4のケース本体3への組み付け手順を簡単に説明する。
図4(a)に示すように、一対のシール壁48をケース本体3の外周面35で、且つ、正規の組み付け位置より下方位置で押し当て、且つ、一対のガイドリブ壁49をケース本体3の外周面35の両側部を挟む位置とする。
【0028】
次に、一対のシール壁48をケース本体3の外周面35に当接させつつフットダクト4を上方(組み付け方向a)にスライド移動させる。すると、フットダクト4の上方のインロー凹壁46にケース本体3のインロー凸壁36が入り込むと共に、フットダクト4の下方の差込凸壁47の裏面側にケース本体3の延出凸壁37が差し込まれる。インロー凹壁46にインロー凸壁36が完全に入り込む位置までスライド移動した後に、ビス61を締結する。これで、完了する(
図4(b)の状態)。
【0029】
以上説明したように、ケース本体3とフットダクト4は、送風路31のフット開口部34に接続される第1接続部50と、第1接続部50の組み付け方向aと同じ組み付け方向で、フットダクト4の空気流れ方向の下流側で接続される第2接続部60とで接続され、ケース本体3の外周面35とフットダクト4に囲まれてダクト内送風路43が構成されている。従って、ケース本体3とフットダクト4は、第1接続部50と第2接続部60の2箇所で接続されるため、接合剛性が高い。第1接続部50と第2接続部60は同じ組み付け方向aであるため、組み付け性の低下を招来しない。以上より、ケース本体3とフットダクト4との組み付け性を確保しつつ、その接合剛性を向上させることができる。
【0030】
また、ダクト内送風路43は、フットダクト4のみならずケース本体3の外周面35を使用して構成されるため、空調ユニット1の軽量化、低コスト化などになる。又、フットダクト4の構成の単純化にもなる。
【0031】
第1接続部50は、ケース本体3のフット開口部34の周縁に設けられたインロー凸壁36と、フットダクト4の上流側周縁に設けられ、組み付け過程でインロー凸壁36が入り込むインロー凹壁46を有する。従って、第1接続部50は、いわゆるインロー構造であるため、第1接続部50の接続箇所の気密性を保持しつつ組み付け方向aに直交する方向への変位を阻止できる。尚、この実施形態とは逆に、ケース本体3のフット開口部34にインロー凹壁を設け、フットダクト4にインロー凸壁を設けても良い。
【0032】
第2接続部60は、第1接続部50とは離間した位置で、ケース本体3の空気流れ方向の下流側に設けられた延出凸壁37と、フットダクト4の下流側周縁に設けられ、組み付け過程で延出凸壁37の裏面側に差し込まれる差込凸壁47とを有する。従って、第2接続部60は、第2接続部60の接続箇所の気密性を保持しつつ組み付け方向aの直交方向(フットダクト4のシール壁48が外周面35より離間する方向)への変位を阻止できる。尚、第2接続部60も、第1接続部50と同様にインロー構造としても良い。
【0033】
フットダクト4には、外周面35に密着する一対のシール壁48と、一対のシール壁48の外側位置よりケース本体3の外周面35の両端部を挟む一対のガイドリブ壁49が設けられている。従って、一対のシール壁48によってダクト内送風路43の気密性を確保できる。一対のガイドリブ壁49がフットダクト4の組み付け時にガイドとなるため、組み付け性が向上する。又、一対のシール壁48は、フットダクト4の組み付け時にガイドとしても機能する。一対のガイドリブ壁49は、ダクト内送風路43の気密性の向上にも寄与する。
【0034】
この実施形態では、ダクトは、フットダクト4であるが、本発明はフットダクト4以外のダクトに適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0035】
1 空調ユニット
3 ケース本体
4 フットダクト(ダクト)
31 送風路
34 フット開口部(開口部)
35 外周面
36 インロー凸壁
37 延出凸壁
43 ダクト内送風路
46 インロー凹壁
47 差込凸壁
48 シール壁
49 ガイドリブ壁
50 第1接続部
60 第2接続部