特許第6259305号(P6259305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6259305LED照明灯およびLED照明灯の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259305
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】LED照明灯およびLED照明灯の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20171227BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20171227BHJP
【FI】
   F21S2/00 231
   F21Y115:10
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-25374(P2014-25374)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-153572(P2015-153572A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕剛
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−021714(JP,A)
【文献】 特開2013−222547(JP,A)
【文献】 特開2011−044306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDチップを具備するLED発光部と、
前記LED発光部を支持する細長状の支持部材と、
前記LED発光部および前記支持部材を収容し、かつ前記LED発光部からの光を透過
する筒形状の透光カバーと、
前記支持部材の両端に位置する一対の口金と、を備えるLED照明灯であって、
前記透光カバーを透過した光のうち一部の波長域の光を減衰させ、かつ熱収縮によって前記透光カバーの少なくとも一部に密着させられたフィルタチューブをさらに備えており、
前記透光カバーの両端と前記一対の口金の少なくとも一方との間には、前記透光カバーの軸方向において隙間が存在し、
前記口金は、前記透光カバーの径方向における前記支持部材を挟んで前記LED発光部とは反対側に位置する反出射側突起を有し
前記反出射側突起は、前記支持部材が固定された支持部材保持部を有し、
前記支持部材は、前記LED発光部を支持する天板部、およびこの天板部両端から前記LED発光部とは反対側に延びる一対の側板部を有しており、
前記口金の前記反出射側突起の前記支持部材保持部は、前記一対の側板部に固定されていることを特徴とする、LED照明灯。
【請求項2】
前記一対の口金のそれぞれは、前記透光カバーと軸方向が同じである円筒部を有しており、
前記口金は、前記透光カバーの径方向における前記支持部材に対して前記LED発光部が配置された側において、前記透光カバーの径方向において前記透光カバーを前記円筒部とともに挟む出射側突起を有する、請求項1に記載のLED照明灯。
【請求項3】
前記円筒部は、前記出射側突起よりも前記透光カバーの軸方向内方に延出している、請求項に記載のLED照明灯。
【請求項4】
前記透光カバーの径方向における前記円筒部と前記出射側突起の距離は、前記透光カバーの厚さよりも大である、請求項またはに記載のLED照明灯。
【請求項5】
前記出射側突起は、前記透光カバーの軸方向視において円弧形状である、請求項ないしのいずれかに記載のLED照明灯。
【請求項6】
前記反出射側突起は、前記透光カバーの径方向において前記透光カバーを前記円筒部とともに挟む透光カバー保持部を有する、請求項に記載のLED照明灯。
【請求項7】
前記透光カバーの径方向における前記円筒部と前記透光カバー保持部との距離は、前記透光カバーの厚さよりも大である、請求項に記載のLED照明灯。
【請求項8】
前記透光カバー保持部は、前記透光カバーの軸方向視において円弧形状である、請求項またはに記載のLED照明灯。
【請求項9】
前記支持部材保持部は、前記一対の側板部のうち前記透光カバーの径方向内側部分に固定されている、請求項1ないし8のいずれかに記載のLED照明灯。
【請求項10】
上記各側板部には、上記天板部の幅方向外方に突出する外方リブが設けられており、
上記透光カバーには、上記天板部の幅方向内方に突出し、かつ上記外方リブに係合する内方リブが設けられている、請求項1ないし9のいずれかに記載のLED照明灯。
【請求項11】
前記反出射側突起は、前記円筒部よりも前記透光カバーの軸方向内方に延出している、請求項ないしのいずれかに記載のLED照明灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明灯およびLED照明灯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省電力化を目的として、蛍光灯に代わる照明手段としてLED発光部を有するLED照明灯が提案されている。図15は、従来のLED照明灯の一例を示している(特許文献1参照)。同図に示すLED照明灯Xは、支持部材91、LED発光部92、透光カバー93および電源部94を備えている。透光カバー93は、円筒形状であり、支持部材91、複数のLED発光部92および電源部94を収容している。支持部材91は、LED発光部92を支持ており、LED発光部92からの放熱を促進する機能を果たしうる。LED発光部92は、透光拡散カバー93の軸方向に沿って支持部材91上に配列された複数のLEDモジュールと、これらのLEDモジュールを支持する基板からなる。電源部94は、たとえば商用の100V電力をLED発光部92の発光に適した直流電力に変換する。透光カバー93は、LED発光部92からの光を拡散させつつ透過させるものであり、たとえば透明な樹脂材料に白色などの拡散材が混入された材質からなる。LED照明灯Xは、一般的な直管形蛍光灯の代替品として用いられる。
【0003】
直管形蛍光灯は、住居や職場などの照明に用いられることが一般的であり、いわゆる昼白色、昼光色などの白色光を発する。さらに、直管形蛍光灯の用途として、いわゆるイエロールームにおける照明がある。イエロールームは、クリーンルーム内で感光性物質を用いたフォトリソグラフィー工程を行うために、特定の波長域が減衰された光によってたらされるエリアである。このような用途にLED照明灯Xを用いるには、特定の波長域の光を減衰する方策が求められる。また、この方策は、LED照明灯Xと直管形蛍光灯との原理や構造の差異を考慮して施される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−335426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、特定の波長域の光を減衰し、それ以外の波長域の光を適切に出射することが可能なLED照明灯を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の側面によって提供されるLED照明灯は、複数のLEDチップを具備するLED発光部と、前記LED発光部を支持する細長状の支持部材と、前記LED発光部および前記支持部材を収容し、かつ前記LED発光部からの光を透過する筒形状の透光カバーと、前記支持部材の両端に位置する一対の口金と、を備えるLED照明灯であって、前記透光カバーを透過した光のうち一部の波長域の光を減衰させ、かつ熱収縮によって前記透光カバーの少なくとも一部に密着させられたフィルタチューブをさらに備えており、前記透光カバーの両端と前記一対の口金の少なくとも一方との間には、前記透光カバーの軸方向において隙間が存在することを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の口金は、前記支持部材に対して固定されており、前記透光カバーに対しては相対動可能とされている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光カバーの熱膨張率は、前記支持部材の熱膨張率よりも大である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光カバーは、円筒形状である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光カバーは、前記LED発光部からの光を拡散させる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記フィルタチューブが減衰させる波長域は、380nm〜570nmである。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記フィルタチューブは、前記透光カバーのうち前記口金から露出する部分のすべてを覆っている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記フィルタチューブは、前記透光カバーのうち前記口金から露出する部分のすべてに密着している。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記フィルタチューブは、前記一対の口金の一部ずつを覆っている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記口金は、前記軸方向において外方から内方に向かうほど寸法が小となり、かつ少なくとも一部が前記フィルタチューブに覆われたテーパ部を有する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記フィルタチューブは、ポリエステル樹脂からなる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記LED発光部は、各々が前記LEDチップ、このLEDチップを覆う透光樹脂、および実装端子を有する複数のLEDモジュールを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光樹脂は、前記LEDチップからの光によって励起されることにより前記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料が混入されている。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記LEDチップから発せられる波長域の光は、前記蛍光材料から発せられる波長域の光よりも前記フィルタチューブによる減衰率が大である。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記LED発光部は、前記複数のLEDモジュールが搭載された基板を有する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基板は、前記支持部材に固定されている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基板は、前記透光カバーの前記軸方向に細長く延びる長矩形状である。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の口金のそれぞれは、前記透光カバーと軸方向が同じである円筒部を有しており、前記透光カバーの両端寄り部分が、前記一対の口金の前記円筒部に収容されている。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記口金は、前記透光カバーの径方向における前記支持部材に対して前記LED発光部が配置された側において、前記透光カバーの径方向において前記透光カバーを前記円筒部とともに挟む出射側突起を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記円筒部は、前記出射側突起よりも前記透光カバーの軸方向内方に延出している。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光カバーの径方向における前記円筒部と前記出射側突起の距離は、前記透光カバーの厚さよりも大である。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記出射側突起は、前記透光カバーの軸方向視において円弧形状である。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記口金は、前記透光カバーの径方向における支持部材を挟んで前記LED発光部とは反対側に位置する反出射側突起を有する。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記反出射側突起は、前記透光カバーの径方向において前記透光カバーを前記円筒部とともに挟む透光カバー保持部を有する。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光カバーの径方向における前記円筒部と前記透光カバー保持部との距離は、前記透光カバーの厚さよりも大である。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光カバー保持部は、前記透光カバーの軸方向視において円弧形状である。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記反出射側突起は、前記支持部材が固定された支持部材保持部を有する。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記支持部材は、前記LED発光部を支持する天板部、およびこの天板部両端から前記LED発光部とは反対側に延びる一対の側板部を有しており、前記口金の前記反出射側突起の前記支持部材保持部は、前記一対の側板部に固定されている。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記支持部材保持部は、前記一対の側板部のうち前記透光カバーの径方向内側部分に固定されている。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各側板部には、上記天板部の幅方向外方に突出する外方リブが設けられており、上記透光カバーには、上記天板部の幅方向内方に突出し、かつ上記放熱部材の上記外方リブに係合する内方リブが設けられている。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記反出射側突起は、前記円筒部よりも前記透光カバーの軸方向内方に延出している。
【0037】
本発明の第二の側面によって提供されるLED照明灯の製造方法は、複数のLEDチップを具備するLED発光部を支持部材に支持させ、かつ前記LED発光部からの光を透過する筒形状の透光カバーに前記支持部材を収容するとともに、前記透光カバーの軸方向において前記透光カバーの両端との間に隙間をおくように、前記支持部材の両端に一対の口金を固定する工程と、前記透光カバーを透過した光のうち一部の波長域の光を減衰させ、かつ熱収縮性を有するフィルタチューブを、前記透光カバーの少なくとも一部を覆うように前記透光カバーに装填する工程と、前記フィルタチューブを加熱することにより、前記フィルタチューブを前記透光カバーの少なくとも一部に密着させる工程と、を備えることを特徴としている。
【0038】
このような構成によれば、前記透光カバーと前記口金との間に前記軸方向において隙間が存在する。前記フィルタチューブが熱収縮によって装着されるため、前記透光カバーが加熱によって前記軸方向に膨張することが想定される。この膨張が生じても、前記隙間の存在によって前記透光カバーの端部が前記口金に当接することを回避することができる。前記透光カバーの前記端部と前記口金とが当接すると、たとえば前記透光カバーが不当に変形したり破損したりするおそれがある。前記LED照明灯によれば、このようなおそれが少なく、前記フィルタチューブを適切に装着することができる。したがって、特定の波長域の光を減衰し、それ以外の波長域の光を適切に出射することが可能である。
【0039】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第一実施形態に基づくLED照明灯を示す一部切断側面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図2のIII−III線に沿う要部断面図である。
図4図1のLED照明灯を示す要部拡大断面図である。
図5図1のLED照明灯を示す要部拡大断面図である。
図6図3のVI−VI線に沿う断面図である。
図7図1のLED照明灯のLEDモジュールを示す断面図である。
図8図1のLED照明灯の製造方法を示す要部断面図である。
図9図1のLED照明灯の製造方法を示す要部断面図である。
図10図1のLED照明灯の製造方法を示す要部断面図である。
図11】本発明の第二実施形態に基づくLED照明灯を示す要部拡大断面図である。
図12図11のLED照明灯を示す要部拡大断面図である。
図13】本発明の第三実施形態に基づくLED照明灯を示す要部断面図である。
図14図13のLED照明灯の製造方法を示す要部断面図である。
図15】従来のLED照明灯の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0042】
図1図6は、本発明の第一実施形態に基づくLED照明灯を示している。本実施形態のLED照明灯A1は、支持部材1、LED発光部2、透光カバー3、電源部4、一対の口金5およびフィルタチューブ6を備えている。LED照明灯A1は、一般的な直管形蛍光灯の代替品として用いられることが意図されており、たとえば、図1に示すように天井81に設置された給電部82に取り付けられて使用される。
【0043】
図1は、LED照明灯A1を示す一部切断側面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う要部断面図である。図4は、LED照明灯A1を示す要部拡大断面図である。図5は、LED照明灯A1を示す要部拡大断面図である。図6は、図3のVI−VI線に沿う断面図である。なお、図1においては、理解の便宜上、透光カバー3およびフィルタチューブ6の一部を切断している。また、これらの図において、z方向は、鉛直方向を示し、透光カバー3の軸方向をx方向とし、z方向およびx方向のいずれとも直角である方向をy方向としている。
【0044】
支持部材1は、LED発光部2を支持し、かつLED発光部2からの熱を放散する役割を果たすものである。また、支持部材1は、透光カバー3に収容されている。本実施形態においては、支持部材1は、天板部11および一対の側板部12を有する。天板部11は、x方向に延びる長矩形状とされ、かつLED発光部2が取り付けられている。一対の側板部12は、天板部11の幅方向であるy方向両端からLED発光部2とは反対側であるz方向上方に延びている。このような構成により、支持部材1は、x方向視略コの字状とされている。支持部材1は、たとえばAlなどの金属からなり、いわゆる押出成形によって形成される。
【0045】
各側板部12には、天板部11の幅方向外方に突出する外方リブ13が設けられている。外方リブ13は、x方向に長く延びており、本実施形態においては、支持部材1の全長にわたって形成されている。
【0046】
LED発光部2は、LED照明灯A1の光源であり、本実施形態においては、たとえば昼光色などの白色光を発する。本実施形態のLED発光部2は、複数のLEDモジュール20および基板27を備えている。基板27は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなるプリント配線基板であり、x方向に長く延びる長矩形状である。
【0047】
複数のLEDモジュール20は、x方向に沿って1列に配置されており、基板27に搭載されている。なお、複数のLEDモジュール20が複数列に配置された構成であってもよい。本実施形態においては、複数のLEDモジュール20の主出射方向は、z方向下方と一致している。なお、主出射方向とは、LEDモジュール20から発せられる光の略中心方向を指すものである。主出射方向を中心として、LEDモジュール20からの光が広がるように出射される。ただし、主出射方向における輝度が最大である必要はない。
【0048】
図7は、LEDモジュール20の一例を示している。同図のLEDモジュール20は、LEDチップ21、一対のリード22、ケース23および封止樹脂24を具備している。LEDチップ21は、たとえばGaN系半導体からなり、たとえば青色光を発する。封止樹脂24は、LEDチップ21を覆っており、たとえば透明樹脂に蛍光材料が混入された材質からなる。この蛍光材料は、LEDチップ21からの青色光によって励起されることにより黄色光を発する。この蛍光材料の種類および濃度は、LEDチップ21からの青色光とこの蛍光材料からの黄色光とが混色することにより昼白色などの白色を呈するように調整されている。一対のリード22は、LEDチップ21を支持し、かつLEDチップ21への導通経路となるものであり、たとえばCu合金などからなる。ケース23は、たとえば白色樹脂からなり、LEDチップ21を囲む枠状である。ケース23の内側面は、LEDチップ21からの光を反射することによりこの光を出射させるリフレクタとして機能している。
【0049】
透光カバー3は、LED発光部2からの光を拡散させつつ透過させるものであり、本実施形態においては、支持部材1、LED発光部2および電源部4を収容している。透光カバー3は、x方向を軸方向とする円筒形状である。透光カバー3は、たとえばポリカーボネート樹脂に乳白色の拡散材が混入された材質からなる。また、本実施形態においては、透光カバー3の熱膨張率は、支持部材1の熱膨張率よりも大である。なお、透光カバー3は、LED発光部2からの光を透過するものであればよく、顕著な拡散機能を果たさない透明な材質からなるものであってもよい。透光カバー3の厚さは、たとえば0.8〜2.0mmである。また、透光カバー3には、一対の内方リブ32が形成されている。各内方リブ32は、y方向において内方に突出しており、支持部材1の外方リブ13と係合する。
【0050】
電源部4は、たとえば商用の100V交流電力を、LED発光部2の複数のLEDモジュール20を点灯させるのに適した直流電力に変換する機能を果たす。電源部4は、x方向視コの字状とされた支持部材1に収容されている。電源部4は、電源基板41および複数の電子部品42からなる。電源基板41は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなるプリント配線基板である。複数の電子部品42は、たとえばコントロールIC、ダイオード、トランス、コンデンサおよび抵抗器などである。電源部4とLED発光部2とは、図示しないケーブルなどによって適宜導通している。
【0051】
一対の口金5は、支持部材1のx方向両端に位置しており、給電部82に取り付けられ、かつ給電部82からの電力を受ける部位である。各口金5は、ケース51および一対のピン52を備えている。なお、図3図6においては、一方の口金5を示しているが、本実施形態においては、一対の口金5は、同様の構成である。
【0052】
ケース51は、例えば樹脂からなり、口金5の外形を規定するものである。ケース51は、円筒部51a、出射側突起51cおよび反出射側突起51dを有している。
【0053】
円筒部51aは、x方向を軸方向とする円筒形状部分である。円筒部51aには、透光カバー3の端部31および端部31周辺部分が収容されている。円筒部51aの先端部分は、テーパ部51bとして構成されている。テーパ部51bは、x方向において外方から内方に向かうほど直径が小とされた部分である。
【0054】
出射側突起51cは、透光カバー3の径方向に相当するz方向において、支持部材1に対してLED発光部2が配置された側に設けられている。出射側突起51cは、透光カバー3の径方向(z方向)において透光カバー3を円筒部51aとともに挟んでいる。出射側突起51cは、x方向視において円弧形状である。
【0055】
図3に示すように、円筒部51aは、出射側突起51cよりも透光カバー3の軸方向であるx方向内方に延出している。また、図5に示すように、本実施形態においては、透光カバー3の径方向であるz方向における円筒部51aと出射側突起51cとの距離は、透光カバー3の厚さよりも大である。これにより、円筒部51aおよび出射側突起51cと透光カバー3との間には、隙間Grが存在する。隙間Grは、円筒部51aと透光カバー3との間および出射側突起51cと透光カバー3との間の一方のみに存在していてもよい。隙間Grが存在することにより、口金5と透光カバー3とがx方向に相対動可能である。また、口金5と透光カバー3とが相対動可能であれば、円筒部51aおよび出射側突起51cと透光カバー3とが接していてもよい。
【0056】
反出射側突起51dは、透光カバー3の径方向であるz方向において、支持部材1を挟んでLED発光部2とは反対側に位置している。図3に示すように、反出射側突起51dは、円筒部51aよりも透光カバー3の軸方向であるx方向内方に延出している。反出射側突起51dは、透光カバー保持部51eおよび一対の支持部材保持部51fを有している。
【0057】
透光カバー保持部51eは、透光カバー3の径方向であるz方向において透光カバー3を円筒部51aとともに挟んでいる。図4に示すように、透光カバー3の径方向であるz方向における円筒部51aと透光カバー保持部51eとの距離は、透光カバー3の厚さよりも大である。これにより、円筒部51aおよび透光カバー保持部51eと透光カバー3との間には、隙間Grが存在する。隙間Grは、円筒部51aと透光カバー3との間および透光カバー保持部51eと透光カバー3との間の一方のみに存在していてもよい。隙間Grが存在することにより、口金5と透光カバー3とがx方向に相対動可能である。また、口金5と透光カバー3とが相対動可能であれば、円筒部51aおよび透光カバー保持部51eと透光カバー3とが接していてもよい。透光カバー保持部51eは、透光カバー3の軸方向であるx方向視において円弧形状である。
【0058】
一対の支持部材保持部51fは、支持部材1が固定された部分であり、本実施形態においては、図6に示すように、透光カバー保持部51eの両端からz方向下方に延出している。一対の支持部材保持部51fは、一対の側板部12に各別に固定されている。各支持部材保持部51fは、各側板部12のうち透光カバー3の径方向であるy方向における内側部分に固定されている。ケース51の支持部材保持部51fと支持部材1の側板部12との固定は、たとえば接着によってなされている。
【0059】
図4および図5に示すように、x方向において透光カバー3の端部31と口金5のケース51との間には、隙間Gaが存在する。これは、一対の口金5のケース51のうち透光カバー3の端部31とx方向において対面する部分どうしの距離が透光カバー3のx方向長さよりも大となるように、一対の口金5が支持部材1に固定されていることによって実現されている。
【0060】
一対のピン52は、ケース51に支持されており、x方向外方に突出している。ピン52は、給電部82に挿入されるとともに、給電部82と電源部4との間の導通経路の一部を構成する。
【0061】
フィルタチューブ6は、透光カバー3の少なくとも一部を覆っており、透光カバー3の少なくとも一部に密着するものである。本実施形態においては、フィルタチューブ6は、透光カバー3のうち一対の口金5から露出した部分のすべてを覆っている。また、フィルタチューブ6は、透光カバー3のうち一対の口金5から露出した部分のすべてに密着している。このようなフィルタチューブ6は、熱収縮させられることによって透光カバー3に密着させられている。
【0062】
図4および図5に示すように、本実施形態においては、透光カバー3は、口金5のケース51の円筒部51aの一部を覆っている。より具体的には、透光カバー3は、テーパ部51bのすべてを覆っている。
【0063】
透光カバー3は、LED発光部2から発せられ透光カバー3を透過した光のうち一部の波長域を減衰させる。たとえば、クリーンルーム内で感光性物質を用いたフォトリソグラフィー工程を行うためのイエロールームの照明用途においては、紫外線を遮蔽することが必要とされる。このような用途の場合、透光カバー3は、570nm以下の波長域の光を顕著に減衰させ、ほとんど遮蔽するものが用いられる。望ましくは、透光カバー3は、500nm以下の波長域の光を顕著に減衰させる。なお、透光カバー3が減衰させる波長域の下限は、たとえば370nmに設定できるが、これは、想定される感光性物質が変態する波長域に応じて設定すればよい。透光カバー3は、熱収縮性を有する材質からなり、たとえばポリエステル樹脂からなる。また、LED照明灯A1はx方向に長く延びる直管形蛍光灯に類似の形状である。このため、透光カバー3は、透光カバー3の径方向(y方向やz方向)に顕著に熱収縮する一方、透光カバー3の軸方向であるx方向にはほとんど熱収縮しない一軸延伸熱収縮性フィルムを用いて形成されることが好ましい。
【0064】
次に、LED照明灯A1の製造方法に一例について、図8図10を参照しつつ以下に説明する。
【0065】
まず、図8に示すように、LED発光部2を形成し、支持部材1に接合する。そして、支持部材1およびLED発光部2を透光カバー3に挿入する。また、電源部4を支持部材1と透光カバー3との間に挿入する。なお、電源部4の挿入に先立ち、LED発光部2との配線作業をあらかじめ完了させておき、支持部材1およびLED発光部2と電源部4とを一括して透光カバー3に挿入してもよい。あるいは、電源部4を挿入した後に、たとえばコネクタ(図示略)を用いて、LED発光部2と電源部4とを接続してもよい。
【0066】
次いで、図9に示すように、口金5を支持部材1に接合する。上述したように、口金5のケース51の一対の支持部材保持部51fおよび支持部材1の一対の側板部12のいずれかまたは双方に接着剤を塗布しておき、口金5と支持部材1とを接合する。また、この際、透光カバー3の端部31寄り部分を、口金5のケース51の円筒部51aに収容させる。また、透光カバー3の端部31を、円筒部51aと出射側突起51cとの間、および円筒部51aと反出射側突起51dの透光カバー保持部51eとの間、にそれぞれ挿入する。
【0067】
次いで、図10に示すように、透光カバー3に熱収縮させる前のフィルタチューブ6を装填する。この状態のフィルタチューブ6は、透光カバー3を余裕を持って収容可能なサイズを有している。そして、たとえば加熱炉にフィルタチューブ6が装填された支持部材1、LED発光部2、透光カバー3、電源部4および一対の口金5の一体品を載置する。そして、前記加熱炉内の温度をたとえば100℃に保ち、この状態を5分間維持する。これにより、フィルタチューブ6が熱収縮し、透光カバー3に密着する。これにより、LED照明灯A1が得られる。
【0068】
次に、LED照明灯A1の作用について説明する。
【0069】
本実施形態によれば、図4および図5に示すように、透光カバー3の端部31とケース51との間に隙間Gaが存在している。フィルタチューブ6が熱収縮によって装着されるため、透光カバー3が加熱によってx方向に膨張することが想定される。この膨張が生じても、隙間Gaの存在によって透光カバー3の端部31が口金5に当接することを回避することができる。透光カバー3の端部31と口金5とが当接すると、たとえば透光カバー3が不当に変形したり破損したりするおそれがある。LED照明灯A1によれば、このようなおそれが少なく、フィルタチューブ6を適切に装着することができる。したがって、LED照明灯A1は、特定の波長域の光を減衰し、それ以外の波長域の光を適切に出射することが可能である。
【0070】
一対の口金5は、支持部材1に対して固定されており、透光カバー3に対してx方向に相対動可能とされている。このため、透光カバー3が熱膨張しても上述した通り透光カバー3と一対の口金5とが当接することを回避可能であるとともに、支持部材1によって一対の口金5の距離を適切に設定することが可能である。一対のケース51は、たとえば給電部82に装填されるものであるため、一対の口金5の距離が適切な大きさに設定されることは好ましい。
【0071】
透光カバー3の熱膨張率は、支持部材1の熱膨張率よりも大である。このため、フィルタチューブ6を熱収縮させる際には、支持部材1に対して透光カバー3がより大きく膨張することが想定される。このような膨張差が生じても、透光カバー3と一対の口金5との間に隙間Gaが設けられていることにより、透光カバー3の変形や破損を回避することができる。なお、フィルタチューブ6を熱収縮させる際に上述した加熱炉を用いる場合などには、炉内において支持部材1よりも外側にある透光カバー3が先行して加熱される。このため、透光カバー3と支持部材1との熱膨張率が等しい場合や、透光カバー3の熱膨張率が支持部材1の熱膨張率よりも小であっても、支持部材1と透光カバー3との温度差によって支持部材1よりも透光カバー3が大きく膨張する事態が想定される。このような場合であっても、隙間Gaの存在により、透光カバー3の変形や破損を回避することができる。
【0072】
フィルタチューブ6が570nm以下の波長域の光を減衰することにより、LED照明灯A1をいわゆるイエロールームの照明用途に用いることができる。また、LED発光部2のLEDモジュール20には、青色光を発するLEDチップ21と、黄色光を発する蛍光材料を含む封止樹脂24が用いられている。LEDチップ21からの光の一部がそのままLED発光部2から出射されても、フィルタチューブ6によってこの青色光を適切に遮蔽することができる。
【0073】
フィルタチューブ6が透光カバー3のすべてを覆っていることにより、LED照明灯A1からは、所望の波長域の光のみを出射することができる。フィルタチューブ6が透光カバー3に密着していることにより、フィルタチューブ6と透光カバー3との間において、光が反射されたり拡散されたりすることを抑制することができる。
【0074】
ケース51にテーパ部51bが設けられていることにより、フィルタチューブ6とケース51との境界において過大な段差が生じることを抑制することが可能であり、フィルタチューブ6が不当に歪んでしまうことを防止することができる。
【0075】
円筒部51aおよび出射側突起51cと透光カバー3との間に隙間Grが設けられていることにより、透光カバー3と口金5とをスムーズに相対動させることができる。また、円筒部51aおよび透光カバー保持部51eと透光カバー3との間に隙間Grが設けられていることにより、透光カバー3と口金5とをスムーズに相対動させることができる。
【0076】
出射側突起51cよりも円筒部51aがx方向内方に延出していることにより、LED照明灯A1の外観に出射側突起51cが現れることを防止することが可能である。また、LED発光部2が発光した際には、出射側突起51cの影が発生することを防止することができる。一方、反出射側突起51dが円筒部51aよりもx方向内方に延出していることにより、透光カバー3をより確実に保持することができる。反出射側突起51dは、LED発光部2が光を出射する側とは反対側に設けられているため、LED照明灯A1の外観に目立つ態様で現れたり、影を発生させたりするおそれがほとんどない。
【0077】
口金5の一対の支持部材保持部51fと支持部材1の一対の側板部12とを接合することにより、支持部材1と一対の口金5とをより確実に固定することができる。
【0078】
支持部材1に外方リブ13を設け、透光カバー3に内方リブ32を設けるとともに、これらを係合させることにより、支持部材1と透光カバー3との周方向位置を適切に決定することができる。外方リブ13および内方リブ32は、ともにx方向に延びているため、透光カバー3に対して支持部材1をx方向にスライドさせるように適切に挿入することができる。
【0079】
図11図14は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0080】
図11および図12は、本発明の第二実施形態に基づくLED照明灯を示している。本実施形態のLED照明灯A2は、フィルタチューブ6によって覆われた口金5のケース51の領域が上述した実施形態と異なっている。
【0081】
本実施形態においては、フィルタチューブ6は、ケース51のテーパ部51bの先端寄りの一部を覆っており、テーパ部51bの根本寄り部分を露出させている。ただし、テーパ部51bの先端は、周方向全周にわたってフィルタチューブ6に覆われている。このため、透光カバー3のうち一対の口金5から露出する部分のすべてがフィルタチューブ6に覆われている点は、上述したLED照明灯A1と同様である。
【0082】
このような実施形態によっても、フィルタチューブ6を適切に装着することができる。したがって、LED照明灯A2は、特定の波長域の光を減衰し、それ以外の波長域の光を適切に出射することが可能である。
【0083】
図13は、本発明の第三実施形態に基づくLED照明灯を示している。本実施形態のA3は、フィルタチューブ6によって覆われた口金5のケース51の領域が上述した実施形態と異なっている。
【0084】
本実施形態においては、フィルタチューブ6は、ケース51の円筒部51aのすべてを覆っている。さらに、フィルタチューブ6は、ケース51のうちx方向外方を向く面の一部を覆っている。ただし、フィルタチューブ6は、一対のピン52を露出させている。
【0085】
図14は、LED照明灯A3の製造方法の一例を示している。同図に示す通り、本実施形態においては、熱収縮させる前においてフィルタチューブ6のx方向長さが、一対の口金5のケース51のx方向を向く面どうしの距離よりも長い。このようなフィルタチューブ6を用いることにより、熱収縮の後にはフィルタチューブ6によってケース51のほぼ全体が覆われる形態となる。
【0086】
このような実施形態によっても、フィルタチューブ6を適切に装着することができる。したがって、LED照明灯A3は、特定の波長域の光を減衰し、それ以外の波長域の光を適切に出射することが可能である。
【0087】
本発明に係るLED照明灯およびLED照明灯の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLED照明灯およびLED照明灯の製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0088】
A1〜A3 LED照明灯
1 支持部材
11 天板部
12 側板部
13 外方リブ
2 LED発光部
20 LEDモジュール
21 LEDチップ
22 リード
23 ケース
24 封止樹脂
27 基板
3 透光カバー
31 端部
32 内方リブ
4 電源部
41 電源基板
42 電子部品
5 口金
51 ケース
51a 円筒部
51b テーパ部
51c 出射側突起
51d 反出射側突起
51e 透光カバー保持部
51f 支持部材保持部
52 ピン
6 フィルタチューブ
82 給電部
81 天井
Ga 隙間
Gr 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15