(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259311
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】導光板加工装置及び導光板
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20171227BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
F21S2/00 444
B29C59/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-31102(P2014-31102)
(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公開番号】特開2015-156321(P2015-156321A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127857
【氏名又は名称】株式会社エス・ケー・ジー
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】坂本 光秀
(72)【発明者】
【氏名】森 弘伸
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−069704(JP,A)
【文献】
特開2011−110624(JP,A)
【文献】
特開昭61−177230(JP,A)
【文献】
特開2013−163240(JP,A)
【文献】
特開2006−123027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板に凹状の拡散部を加工する加工装置において、
前記導光板の拡散部を形成する加工部が形成され、Z軸レールにスライド可能に取付けられた加工ホーンと、
直接的又は間接的に連結された前記加工ホーンを自在に移動させる加工ホーン駆動部材と、
前記導光板が載置される載置部と、
前記加工ホーンの周囲の少なくとも一部に配置され、加工ホーンを上下に移動する上下加工ホーン駆動部材と直接又は間接に連結されている導光板押圧部材と、
前記加工ホーンの先端が導光板の表面に接触したことを検知するため、前記加工ホーンの移動と同期している接点と、前記上下加工ホーン駆動部材と同期している接点とからなる接点と、
を備え、
前記導光板押圧部材は、前記加工ホーンが前記導光板に当接して加工する前に、前記導光板を前記載置部に押圧し、
かつ前記加工ホーンの先端が前記導光板の表面に接触した後、前記上下加工ホーン駆動部材が下降を継続すると、前記加工ホーンと同期している接点と前記上下加工ホーン駆動部材と同期している接点とは離間されて通電が解除され、この通電解除の信号を基に、前記加工ホーンに機械的振動エネルギーを発生させることを特徴とする導光板加工装置。
【請求項2】
前記導光板押圧部材は、前記加工ホーンを上下の移動をする加工ホーン駆動部材と直接又は間接に連結されており、前記加工ホーン駆動部材の上下運動に伴って上下移動することを特徴とする請求項1に記載の導光板加工装置。
【請求項3】
前記導光板押圧部材は、前記加工ホーン駆動部材が過剰に下降した際に前記導光板押圧部材の押圧量が調整可能となるように、前記加工ホーン駆動部材に対して上下方向にスライド可能に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導光板加工装置。
【請求項4】
前記導光板押圧部材と前記加工ホーン駆動部材との間に弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の導光板加工装置。
【請求項5】
前記弾性部材はバネであることを特徴とする請求項4に記載の導光板加工装置。
【請求項6】
前記導光板押圧部材は、前記加工ホーンの全周を囲うように配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の導光板加工装置。
【請求項7】
前記導光板押圧部材の底面には、ウレタン、ゴムその他の緩衝材が配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の導光板加工装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の導光板加工装置によって加工された導光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板加工装置及び導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波加工によりプラスチック板等を加工する種々の超音波加工装置が知られている。かかる超音波加工装置としては、加工部を三次元直交座標に移動させるための移動機構を備える。そして、加工装置は入力された情報に基づいて加工部を移動させ、加工対象物に加工処理を施すこととしている。加工処理を施す際に加工装置は、加工対象物に接触して加工対象物の表面に模様を形成する超音波加工ホーンを使用する(特許文献1)。
【0003】
しかし、かかる超音波加工装置によれば、超音波加工ホーンのガタツキを防止し、位置を正確に制御したとしても、導光板自体が製造時の条件や方法により、製品の状態である程度湾曲していたり、反っていたりする場合がある。また、輸送時の振動や気温等によって導光板が反ったり湾曲したりする場合もある。この場合、導光板を台に設置した際に、台から浮いてしまい正確な位置に加工ホーンが当接しない可能性があった。このように導光板が浮いていると正規の位置と異なる位置に加工してしまったり、加工している最中に導光板が沈み込むことによって、加工ホーンが導光板上を移動してしまったりして、正確な位置かつ正確な形状に加工処理を施すことができない場合が発生する可能性があるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3119577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、導光板に対して正確な位置に加工ホーンを当接させて、意図する正確な位置に、意図する形状に加工することができる導光板加工装置及びこの導光板加工装置によって加工された導光板を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明にかかる導光板加工装置は、
導光板に凹状の拡散部を加工する加工装置において、
前記導光板の拡散部を形成する加工部が形成され、
Z軸レールにスライド可能に取付けられた加工ホーンと、
直接的又は間接的に連結された前記加工ホーンを自在に移動させる加工ホーン駆動部材と、
前記導光板が載置される載置部と、
前記加工ホーンの周囲の少なくとも一部に配置され、加工ホーンを上下に移動する
上下加工ホーン駆動部材と直接又は間接に連結されている導光板押圧部材と、
前記加工ホーンの先端が導光板の表面に接触したことを検知するため、前記加工ホーンの移動と同期している接点と、前記上下加工ホーン駆動部材と同期している接点とからなる接点と、
を備え、
前記導光板押圧部材は、前記加工ホーンが前記導光板に当接して加工する前に、前記導光板を前記載置部に押圧し、
かつ前記加工ホーンの先端が前記導光板の表面に接触した後、前記上下加工ホーン駆動部材が下降を継続すると、前記加工ホーンと同期している接点と前記上下加工ホーン駆動部材と同期している接点とは離間されて通電が解除され、この通電解除の信号を基に、前記加工ホーンに機械的振動エネルギーを発生させることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる導光板加工装置によれば、加工ホーンが導光板に当接して加工する前に、導光板の加工される部位近傍の周囲が導光板押圧部材によって載置部に押圧して固定されて、その後に加工される。よって、導光板が反っていたり湾曲していて載置部から浮いていたりした場合であっても、導光板を載置部に押圧して密着させた状態で加工することができる。そのため、本来の加工する位置と異なる位置を加工することを極力防止することができる。また、導光板が載置部から浮いていると、加工ホーンに対して導光板が斜めに当接することになるので、加工ホーンの加工部が導光板に均一に圧入されず、拡散部が意図した形状に加工できなかったり、拡散部の深さが位置によって不揃いになってしまったりする可能性がある。しかしながら、導光板を載置部に押圧することによって導光板が載置部に密着されるので加工部が導光板に対して平行に圧入されるので、すべての拡散部が加工ホーンの加工部の形状どおりに、かつ均一に加工しやすくなる。
【0009】
さらに、本発明にかかる導光板加工装置において、前記導光板押圧部材は、前記加工ホーンを上下に移動させる加工ホーン駆動部材と直接又は間接に連結されており、前記加工ホーン駆動部材の上下運動に伴って上下移動することを特徴とするものであってもよい。これによって、加工ホーンと導光板押圧部材の両方を加工ホーン駆動部材で上下運動させることができ、駆動手段が一つで済むためコスト削減に貢献するとともに、加工ホーンの駆動手段と連動させることによって、導光板押圧部材を加工ホーンの動きに合わせた好適なタイミングで導光板を載置部に固定させることができる。
【0010】
さらに、本発明にかかる導光板加工装置において、前記導光板押圧部材は、前記加工ホーン駆動部材が過剰に下降した際に前記導光板押圧部材の押圧量が調整可能となるように、前記加工ホーン駆動部材に対して上下方向にスライド可能に固定されていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、導光板の厚さにかかわらず、加工ホーン駆動部材の加工距離をピンポイントで設定する必要がなく、導光板押圧部材の押圧距離が自動的に調整される。そのため、導光板押圧部材の下降距離を改めて調整する煩雑さを回避することができる。
【0011】
さらに、本発明にかかる導光板加工装置において、前記導光板押圧部材と前記加工ホーン駆動部材との間に弾性部材が設けられていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、前記加工ホーン駆動部材が過剰に導光板押圧部材を下降させた場合であっても、弾性部材によって調整させることができる。これによって、多少の押圧量の誤差を解消することができる。また、弾性部材を使用することによって、導光板を押圧している間中、導光板押圧部材を下方に付勢させることができるため、加工ホーンで加工している間中、導光板を押し続けることができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる導光板加工装置において、前記弾性部材はバネであることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、効果的に押圧部材によって押圧量を調整することができ、かつ確実に導光板を保持することができる。
【0013】
また、本発明にかかる導光板加工装置において、前記導光板押圧部材は、前記加工ホーンの全周を囲うように配置されていることを特徴とするものであってもよい。全周を囲うように導光板押圧部材を設けることによって、加工領域の四方を押圧固定することができるため、より確実に導光板を載置部に固定することができ、より正確な位置に拡散部を加工することができる。
【0014】
さらに、本発明にかかる導光板加工装置において、前記導光板押圧部材の底面には、ウレタン、ゴムその他の緩衝材が配置されていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、導光板を押圧する際の衝撃を和らげることができ、導光板が損傷する可能性を低減することができる。
【0015】
上述した導光板加工装置によって加工された導光板は、複数の拡散部が表面に形成される。よって、導光板内部に導入された光をこの拡散部で効果的に拡散することができる導光板を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
さらに、本発明にかかる導光板加工装置によれば、加工ホーンによって導光板を加工する前に、導光板押圧部材によって導光板を載置部に密着させて確実に固定することができるので、より正確な位置に加工ホーンを導光板に当接させて加工することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる導光板加工装置100の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかる導光板1の斜視図及び一部拡大図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかる導光板加工装置100の一部拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかる導光板加工装置100の一部拡大断面側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかる導光板加工装置100の駆動状態の一部を示す一部拡大断面側面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態にかかる導光板加工装置100の駆動状態の一部を示す一部拡大側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態にかかる導光板加工装置100の導光板押圧部材40の別実施形態を示す一部拡大斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、導光板加工装置100の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。なお、説明の便宜のため、
図1に示すように、それぞれ水平方向の直交する方向をそれぞれX軸、Y軸とし、垂直方向をZ軸とし、それぞれの方向の位置をX座標、Y座標、Z座標として説明する。なお、
図4〜
図6において、一部断面が示されているが、見やすくするために断面線は省略してある。
【0019】
図1には、第1実施形態にかかる導光板加工装置100の斜視図が示されている。第1実施形態にかかる導光板加工装置100は、
図1に示すように、主として、加工対象物である導光板1が載置される載置部10と、超音波加工、熱加工等により導光板1に加工する加工ホーン20と、予め入力された加工情報に基づいて加工ホーン20を駆動させる加工ホーン駆動部材30と、導光板1を載置部10に押圧固定する導光板押圧部材40と、これら装置を搭載する作業台50と、導光板加工装置100を駆動させるための情報を入力する操作部70と、を備えている。
【0020】
本実施形態で加工される導光板1は、
図2に示すように、最終的に導光板加工装置100によって拡散部2が形成される。加工前の導光板1は、1枚の透明な樹脂からなる板材であり、素材としては、例えば、メチルメタクリレートやエチルメタクリレート等のメタクリル樹脂の他、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリル製樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン等の種々の素材を用いることができる。高透過性を有する素材であり、超音波加工又は熱加工により溶融可能な素材であれば特に限定するものではない。加工前の導光板1は、模様や他の拡散部が形成されていない完全な平面からなる板材であってもよいし、予め異なる拡散部が設けられているものであってもよい。
【0021】
載置部10は、
図1に示すように、加工される導光板1が載置される台である。載置部10は、板状の硬質素材で作製されていることが好ましい。より好適には、機械構造用炭素鋼(S45C、S50C)や一般構造用圧延鋼材(SS400)を材料として使用するとよい。水平に配置された載置部10に導光板1が配置されて、加工ホーン20が垂直に下降して導光板1が加工される。
【0022】
加工ホーン20は、
図3及び
図4に示すように、導光板1の拡散部2を作製する加工型であり、加工ホーン20の先端は、拡散部2として加工したい形状を反転させた形状からなる1つ又は複数の突起からなる加工部21を有しており、加工ホーン20の先端の加工部21を導光板1に押し付けることで、加工ホーン20に与えられた超音波振動、熱等によって、加工部21に当接された部分の導光板1が溶融されて加工部21と反転した形状を有する拡散部2が導光板1に形成される。加工部21の形状は特に限定するものではなく、
図4に示すように、導光板1にドット状の拡散部2を作製するために山型に形成してもよいし、導光板1に線状の溝部を形成するために稜線状に形成してもよい。山型の形状も特に限定するものではなく、四角錐型、三角錐型等の多角錐型、円錐型、半球型、垂台形型等種々の形態を採用することができる。本実施形態においては、四角錐型の加工部21を有する加工ホーン20を例として説明する。
【0023】
加工ホーン20には、超音波を発生させる機構又は加熱する機構を備えている。超音波を発生させる機構としては、例えば、加工ホーン20の中に、電気の印加に応じて伸縮するピアゾ素子を挟み込み、ピエゾ素子及び加工ホーンの間に駆動端子とアース端子を設ける機構がある。この駆動端子に交流電源を加えることによって、加工ホーン20の先端部分を高速で振動させることができる。加工ホーン20を加熱する方法は、種々のヒータを加工ホーンに取り付けることで達成することができる。勿論、これらの機構に限定するものではなく、種々の機構を取ることができる。加工ホーン20には、さらに、導光板1と加工ホーン20を冷却するためのエアー供給部(図示しない。)を有していても良い。
【0024】
こうして作製された加工ホーン20は、直接又は間接的に加工ホーン駆動部材30に連結されている。加工ホーン駆動部材30は、入力された導光板1の加工方法に関する加工情報に基づいて、加工ホーン20を移動させる部材である。加工ホーン駆動部材30は、
図1に示すように、加工ホーン20を水平方向へ移動させるX軸に平行なX軸レール32及びY軸に平行なY軸レール31と、加工ホーン20を垂直方向へ移動させるZ軸に平行なZ軸レール33とを備えている。
【0025】
Y軸レール31は、一対のレールがそれぞれ載置部10の左右側に載置部10の側辺に平行となるように水平に配置されている。Y軸レール31には、側面にY軸方向にY軸スライド溝31aが切られてある。X軸レール32は、2本のY軸レール31に直交するようにY軸レール31の上面側に架設されており、Y軸レール31上をY軸方向へスライド可能に設けられている。具体的には、X軸レール32近傍の底面にY軸レール31のY軸スライド溝31aに沿ってスライド可能に嵌合しているX軸スライド部材32bが設けられており、このX軸スライド部材32bがY軸レール31上をスライドすることによってX軸レール32はY軸方向へスライド可能となる。これにより、加工ホーン20は、Y軸方向へ移動可能となる。X軸レール32には、側面にX軸方向と同じ方向にX軸スライド溝32aが切ってある。
【0026】
Z軸レール33は、X軸レール32に垂直に立設して取り付けられており、X軸レール32上をスライド可能に形成されている。具体的には、Z軸レール33は、X軸レール32のX軸スライド溝32aに沿ってスライド可能に嵌合しているZ軸スライド部材33bが設けられており、このZ軸スライド部材33bがX軸レール32上をスライドすることによって、X軸方向へスライド可能となる。加工ホーン20は、X軸方向へ移動可能となり、Y軸方向の移動と組み合わせることにより、加工ホーン20を載置部10のどの位置にも移動することができる。Z軸レール33には、側面にZ軸レール33の軸方向と同じ方向にZ軸スライド溝33aが切られている。
【0027】
加工ホーン20は、Z軸レール33上をスライド可能に形成されている。具体的には、加工ホーン20とZ軸レール33との間に、Z軸レール33のZ軸スライド溝33aに沿ってスライド可能に嵌合している上下に移動する上下加工ホーン駆動部材20aが設けられており、この上下加工ホーン駆動部材20aがZ軸レール33上をスライドすることによって、加工ホーン20はZ軸方向、すなわち、垂直方向にスライド可能になる。これにより、加工ホーン20は、導光板1に当接又は押圧可能となる。
【0028】
X軸スライド部材32b、Z軸スライド部材33b及び上下加工ホーン駆動部材20aは、それぞれ後述する加工情報に基づいて移動可能な移動機構を備えている。移動機構は特に限定するものではなく、既知の移動手段から選択することができる。
【0029】
導光板押圧部材40は、
図3及び
図4に示すように、加工ホーン20の周囲近傍に取り付けられ、加工ホーン20が導光板1を加工する直前に導光板1を載置部10に押圧して固定する機能を有する。導光板押圧部材40は、主として、導光板1を押圧する押圧部41と、上下加工ホーン駆動部材20aにスライド自在に固定するための導光板押圧部材スライド部42と、導光板押圧部材40を下方へ付勢するための付勢部材44とを備えている。
【0030】
押圧部41は、矩形の平面の中央に加工ホーン20の先端が配置可能なように矩形の貫通孔43が形成された金属製の平面板41bと、押圧部41が導光板1を当接する際の衝撃を和らげるために平面板41bの底面に設けられた柔軟な素材からなる緩衝材41aが取り付けられている、緩衝材の材料としては、例えば、ゴム、ウレタン又はシリコン等が用いられる。導光板押圧部材スライド部42は、押圧部41の一端から上方に立設して形成されており上下加工ホーン駆動部材20aの一部と垂直方向にスライド自在に形成されている。具体的には、上下加工ホーン駆動部材20aの下方に垂直方向に垂直溝20bが切られており、この垂直溝20bに導光板押圧部材スライド部42がスライド可能に取り付けられる。付勢部材44は、バネ、伸縮性を有するゴム、エラストマー等で作製されており、押圧部41を下方へ付勢するための部材である。第1実施形態においては、導光板押圧部材スライド部42から水平に突出した突出部42aと上下加工ホーン駆動部材20aとの間にコイルスプリングが配置され、導光板押圧部材40の下面が加工ホーン20の先端より下方に配置されるように付勢されている。
【0031】
作業台50は、
図1に示すように、導光板加工装置100を構成する部材を搭載するための台であり、上段板51及び下段板52の2段構成を備える箱型をしている。作業台50の上段板51には、載置部10、加工ホーン20及び加工ホーン駆動部材30が取り付けられている。作業台50の下段板52には、真空ポンプ60及び超音波発振器61等が搭載されている。
【0032】
操作部70は、使用者が導光板加工装置100を加工方法に基づいた情報を入力し、入力された情報に基づいて、加工ホーン20及び加工ホーン駆動部材30の駆動を制御する部材であり、タッチパネル式のモニタと制御回路(図示しない。)によって構成される。加工ホーン20及び加工ホーン駆動部材30を制御するための情報としては、拡散部2を構成する線若しくはドットの位置、深さ、形状等に関する情報がある。操作部70において入力された加工ホーン駆動部材30を制御するための情報は、加工ホーン駆動部材30に供給され、情報を供給された加工ホーン駆動部材30は、後述する方法により加工ホーン20を移動させる。なお、操作部70は、コンピュータ等の情報処理装置と接続可能となるように、インターフェース等の接続手段を備えるものであっても良い。この場合、コンピュータにインストールされた所定のアプリケーションを用いて導光板加工装置100を操作することが可能となる。
【0033】
次に、以上のように作製された導光板加工装置100の駆動方法及び導光板1の加工方法について詳細に説明する。
【0034】
まず、加工を施す予定の導光板1を載置部10に固定する。導光板1を載置部10に固定するには、
図1に示すように、載置部10にそれぞれ固定されたX軸方向の位置を決定する位置決板90a及びY軸方向の位置を決定する位置決板90bに沿って導光板1を配置し、X軸方向を押さえる導光板押さえ板91a及びY軸方向を押さえる導光板押さえ部材91bを介して、それぞれ位置決板90a、90bに向かって強く押圧して位置決板90に導光板1を密着させた後、固定用マグネット92a、92bによって導光板1及び導光板押さえ板91を固定する。これにより、導光板1のX軸方向及びY軸方向の位置が位置決めされる。こうして、導光板1が載置部10に固定される。この段階においては、導光板1が反っていたり、湾曲していたりする場合には、載置部10に密着しているとは限らない。
【0035】
次に、操作部70からの指令に基づいて、X軸レール32がY軸レール31上をY軸方向に移動することで、加工ホーン20を指定されたY座標の位置に移動する。また、Z軸レール33がX軸レール32上をX軸方向に移動することで、加工ホーン20を指定されたX座標の位置に移動する。こうして、加工ホーン20は、導光板1の加工を予定する位置の上方へ配置される。
【0036】
そして、図示せぬコンプレッサーと接続された図示せぬエアシリンダーを用いて上下加工ホーン駆動部材20aを垂直下方方向に移動させる。導光板1に接触するまでは、上下加工ホーン駆動部材20aの下降に伴って、加工ホーン20と導光板押圧部材40が同時に下降する。すると、
図5に示すように、加工ホーン20の先端よりも下方に位置している押圧部41が導光板1に先に当接し、そのまま導光板1を載置部10に押圧して固定する。こうして、導光板1にソリがあったりして、載置部10から導光板1が浮いている場合であっても、導光板1を載置部10に密着させることができる。この状態からさらに上下加工ホーン駆動部材20aを下降させると、
図6に示すように、導光板押圧部材40は、導光板押圧部材スライド部42が上下加工ホーン駆動部材20a上を上方へスライドすることによって、導光板押圧部材40にとって上下加工ホーン駆動部材20aが過剰に下降した場合であっても、これ以上下降することはなく導光板1を押圧した状態が保たれる。一方、加工ホーン20は、導光板1に接触するまで下降を継続することになる。そして、加工ホーン20が導光板1に接触したことを検知したら、加工ホーン20の加工部21によって導光板1が溶融された加工部21と反転された形状の凹部からなる拡散部2が導光板1に形成される。
【0037】
この際に、加工ホーン20が導光板1に接触したことを検知するために、本実施形態にかかる導光板加工装置1では、
図6に示すように、加工ホーン20をZ軸レール33にスライド可能に取り付けるとともに、加工ホーン20の先端が導光板1の表面に接触したことを検知して、ピエゾ圧電素子に振動を与える信号を取り出すことが可能な接点80を備えていてもよい。加工ホーン20が操作部70を介して入力された加工情報に基づき下方向へ移動を開始すると、最初に加工ホーン20の先端が導光板1の表面に接触して加工ホーン20の下降は停止することになる。さらに、上下加工ホーン駆動部材20aが下降を継続すると、加工ホーン20の下降が停止されるため、加工ホーン20の移動と同期している接点80Aと、上下加工ホーン駆動部材20aと同期している接点80Bとは離間され、通電が解除される。この通電解除の信号を基に、ピエゾ圧電素子は駆動信号の電流値に応じて機械的振動エネルギーを発生させる。ここで発生した機械的振動エネルギーは、加工ホーン20内部に備えられた図示せぬコーン部によって増幅される。図示せぬコーン部によって増幅された機械的振動エネルギーは、加工ホーン20によって加工部21に伝達されることになる。なお、ピエゾ圧電素子による機械的振動エネルギーの発生開始と同時にタイマ等の計測手段を作動させ、所望の時間経過後に機械的振動エネルギーの発生を停止させることで、加工ホーン20の先端の振動時間を制御することができる。
【0038】
拡散部2の加工が終了したら、加工ホーン20及び導光板押圧部材40を初期位置まで復帰させた後、加工ホーン20を他の加工部位まで移動して拡散部2を加工する。
【0039】
こうして、本発明にかかる導光板加工装置100によれば、加工ホーン20によって導光板1の拡散部2が加工される直前に、導光板押圧部材40によって導光板1を固定することができる。よって、導光板1が沿っていたり、湾曲したりしていて載置部10から浮いていた場合であっても、導光板1を載置部10に確実に密着させた状態で加工することができる。導光板1が浮いていることによって、正確な位置以外の場所に加工される可能性を防止することができる。また、導光板1が反っていたり、湾曲していたりすると加工ホーン20が導光板1に均一に圧入されず、拡散部2が意図した形状に加工できなかったり、拡散部2の深さが位置によって不揃いになってしまったりする可能性がある。しかしながら、導光板1を載置部10に押圧することによって導光板1が載置部10に密着されるので、加工部21が導光板1に対して平行に圧入され、すべての拡散部2が加工ホーン20の加工部21の形状どおりに、かつ均一に加工することができる。
【0040】
こうして、
図2に示すように、複数の凹部からなる拡散部2が表面に形成された導光板1が作製される。この導光板1によれば、導光板1内部に導入された光をこの拡散部2で効果的に拡散することができる。
【0041】
なお、本発明は上述した各実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0042】
本実施形態にかかる導光板加工装置において、さらに、導光板1を固定する機構を備えていても良い。例えば、
図1に示すように、真空ポンプを利用して孔11内部の空気圧を低下させることで導光板1を載置部10に固定する機構を追加してもよい。
【0043】
また、本実施形態にかかる導光板加工装置において、導光板押圧部材40は、加工ホーン20の周囲全体に配置するものとしたが、
図7に示すように、加工ホーン20の周囲の三方向にのみ配置してもよいし、その他一部に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上述した実施の形態で示すように、導光板加工装置及び導光板として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…載置部、20…加工ホーン、20a…上下加工ホーン駆動部材、
20b…垂直溝、21…加工部、30…加工ホーン駆動部材、
31…Y軸レール、31a…Y軸スライド溝、32…X軸レール、
32a…X軸スライド溝、32b…X軸スライド部材、33…Z軸レール、
33a…Z軸スライド溝、33b…Z軸スライド部材、
40…導光板押圧部材、41…押圧部、41a…貫通孔、
41b…平面板、42…導光板押圧部材スライド部、42a…突出部、
43…緩衝材、44…付勢部材、50…作業台、51…上段板、
52…下段板、60…真空ポンプ、70…操作部、80…接点、
80B…接点、80A…接点、90a,90b…位置決板、
91a,91b…導光板押さえ板、92a、92b…固定用マグネット
100…導光板加工装置