特許第6259331号(P6259331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259331
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
   H05K13/02 D
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-55819(P2014-55819)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-179709(P2015-179709A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 友也
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−100787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を実装するヘッドと、
撮像部と、
前記基板に実装される前記部品が載置されたトレイを、前記トレイが配置されるパレットに対して移動しないように前記パレットの位置決め部に前記トレイを当てつけて位置を拘束する位置拘束部材と、
前記撮像部の撮像を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記パレットに対して前記トレイの位置を拘束する前記位置拘束部材を前記撮像部により撮像し、前記位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、前記位置拘束部材が前記パレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断し、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている、部品実装装置。
【請求項2】
前記撮像部は、水平方向に移動可能に構成されており、
前記制御部は、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置にある場合の前記トレイの前記位置拘束部材により拘束される側の辺に沿って前記撮像部を移動させながら撮像を行い、前記位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置にある場合の前記トレイの前記位置拘束部材により拘束される側の辺に沿って前記撮像部を移動させながら撮像を行い、前記撮像部の移動方向に沿って撮像された前記位置拘束部材の長さが所定の長さ以上の場合に、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置に配置されていると判断するように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記位置拘束部材は、その長手方向を前記トレイの辺に対して平行にして前記トレイに隣接して配置されることにより、前記パレットに対して前記トレイの位置を拘束するように構成されており、
前記所定の長さは、前記位置拘束部材の長手方向の長さを基準として設定されるように構成されている、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記位置拘束部材は、前記撮像部により撮像された場合に、前記パレットおよび前記トレイに対して異なる色または輝度値を有するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記トレイが載置された前記パレットが前記部品実装装置にセットされたことに基づいて、前記位置拘束部材を前記撮像部により撮像し、前記位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記トレイは矩形形状に形成されており、
前記位置拘束部材は、前記トレイの矩形形状の第1の辺および前記第1の辺と直交する第2の辺にそれぞれ隣接して配置されることにより、前記パレットに対して前記トレイの位置を拘束するように構成されており、
前記制御部は、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置にある場合の前記トレイの前記第1の辺および前記第2の辺に沿って前記撮像部により撮像し、前記位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、前記トレイが前記パレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置に関し、特に、トレイに載置された部品を基板に実装する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレイに載置された部品を基板に実装する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、トレイに載置されて供給される部品を基板に対して実装する装着ヘッドと、基板認識カメラと、基板認識カメラの撮像を制御する制御装置とを備える電子部品装着装置(部品実装装置)が開示されている。上記特許文献1の電子部品装着装置では、トレイはパレットの所定の位置に配置されて部品を供給するように構成されている。また、上記特許文献1の電子部品装着装置では、制御装置は、基板認識カメラによりパレットに配置されたトレイを撮像し、トレイの角に設けられた面取り部からなるマークを認識することによりセットされたトレイの位置が正常か否かを判断するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−080747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の電子部品装着装置では、基板認識カメラによりパレットに配置されたトレイを撮像し、トレイの角に設けられた面取り部からなるマークを認識することによりセットされたトレイの位置が正常か否かを判断するため、角に面取り部からなるマークが設けられていないトレイのセットされた位置が正常か否かを判断することができないという不都合がある。このため、所定の位置に面取り部からなるマークがないトレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、トレイに位置確認のためのマークが設けられていない場合にも、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断することが可能な部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における部品実装装置は、基板に対して部品を実装するヘッドと、撮像部と、基板に実装される部品が載置されたトレイを、トレイが配置されるパレットに対して移動しないようにパレットの位置決め部にトレイを当てつけて位置を拘束する位置拘束部材と、撮像部の撮像を制御する制御部とを備え、制御部は、パレットに対してトレイの位置を拘束する位置拘束部材を撮像部により撮像し、位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、位置拘束部材がパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断し、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による部品実装装置では、上記のように、制御部を、パレットに対してトレイの位置を拘束する位置拘束部材を撮像部により撮像し、位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成することによって、トレイに位置確認のためのマークが設けられていない場合にも、パレットに対してトレイの位置を拘束する位置拘束部材の撮像結果に基づいて、位置拘束部材が適正な位置に配置されているか否かを判断することができる。これにより、トレイに位置確認のためのマークが設けられていない場合にも、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断することができる。
【0009】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像部は、水平方向に移動可能に構成されており、制御部は、トレイがパレットに対して適正な位置にある場合のトレイの位置拘束部材により拘束される側の辺に沿って撮像部を移動させながら撮像を行い、位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、撮像部の撮像範囲がトレイ全体を撮像することができない場合でも、撮像部を移動させながら位置拘束部材を撮像させることにより、位置拘束部材が適正な位置にあるか否かを判断することができるので、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを容易に判断することができる。
【0010】
上記撮像部が水平方向に移動可能な構成において、好ましくは、制御部は、トレイがパレットに対して適正な位置にある場合のトレイの位置拘束部材により拘束される側の辺に沿って撮像部を移動させながら撮像を行い、撮像部の移動方向に沿って撮像された位置拘束部材の長さが所定の長さ以上の場合に、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されていると判断するように構成されている。このように構成すれば、撮像された位置拘束部材の長さに基づいて、位置拘束部材の位置が適正か否かを判断することができるので、位置拘束部材に位置確認のためのマークを設けなくても、容易に位置拘束部材の位置が適正か否かを判断することができる。また、撮像された位置拘束部材の長さが所定の長さ以上の場合に、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されていると判断するように構成することによって、位置拘束部材が適正でない位置でトレイを拘束している場合において、適正でない位置の位置拘束部材の一部が撮像された場合は、撮像された位置拘束部材の長さが所定の長さ未満になることにより、位置拘束部材が適正な位置に配置されていると誤認識することを抑制することができる。これにより、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを精度よく判断することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、位置拘束部材は、その長手方向をトレイの辺に対して平行にしてトレイに隣接して配置されることにより、パレットに対してトレイの位置を拘束するように構成されており、所定の長さは、位置拘束部材の長手方向の長さを基準として設定されるように構成されている。このように構成すれば、位置拘束部材の長辺方向に渡って位置拘束部材をトレイに隣接させてトレイを適正な位置で確実に拘束しているか否かを容易に判断することができるので、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを容易に判断することができる。
【0012】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、位置拘束部材は、撮像部により撮像された場合に、パレットおよびトレイに対して異なる色または輝度値を有するように構成されている。このように構成すれば、撮像部により撮像された画像に基づいて、位置拘束部材を容易に認識することができる。
【0013】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、トレイが載置されたパレットが部品実装装置にセットされたことに基づいて、位置拘束部材を撮像部により撮像し、位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、新たにトレイが配置されたパレットが部品実装装置にセットされた場合に1回だけトレイの位置が適正か否かが判断されるので、トレイに載置された部品が吸着される毎などに同一のトレイの位置が複数回適正か否か判断される場合に比べて、タクトタイムが長くなるのを抑制することができる。
【0014】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、トレイは矩形形状に形成されており、位置拘束部材は、トレイの矩形形状の第1の辺および第1の辺と直交する第2の辺にそれぞれ隣接して配置されることにより、パレットに対してトレイの位置を拘束するように構成されており、制御部は、トレイがパレットに対して適正な位置にある場合のトレイの第1の辺および第2の辺に沿って撮像部により撮像し、位置拘束部材を撮像した結果に基づいて、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、矩形形状のトレイを直交する2方向から拘束して確実に移動しないようにすることができるので、トレイがパレットに対して確実に拘束された適正な位置に配置されているか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、トレイに位置確認のためのマークが設けられていない場合にも、トレイがパレットに対して適正な位置に配置されているか否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による部品実装装置の全体構成を概略的に示した平面図である。
図2】本発明の一実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示したブロック図である。
図3】本発明の一実施形態によるトレイ部品供給装置を示した縦断面図である。
図4】本発明の一実施形態によるパレットに配置されたトレイを示した平面図である。
図5】本発明の一実施形態によるパレットに配置されたトレイが適正な場合の例を示した図である。
図6】本発明の一実施形態によるパレットに配置されたトレイが適正でない場合の例を示した図である。
図7】本発明の一実施形態による部品実装装置の制御装置によるトレイ適正配置チェック処理を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態の変形例によるパレットに配置されたトレイを示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1図6を参照して、本発明の一実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施形態による部品実装システム100は、部品実装装置1と、トレイ部品供給装置2とを備えている。また、部品実装装置1には、制御装置16(図2参照)が内蔵されており、制御装置16が部品実装装置1のみならずトレイ部品供給装置2の制御を行うように構成されている。
【0020】
部品実装装置1は、クリーム半田(図示せず)が印刷された基板(配線基板)4に、後述するヘッドユニット14を用いて各種の部品(電子部品)5を実装(搭載)する装置である。ここで、部品5は、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品である。これらの各種の部品5は、トレイ部品供給装置2の他、テープフィーダ3からも供給される。
【0021】
部品実装装置1は、基台10と、基台10上に設けられた基板搬送部11と、基板搬送部11の両側(Y1側およびY2側)に配置された部品供給領域12および13と、基板搬送部11の上方(図1の紙面手前側)をX−Y平面に沿って移動可能なヘッドユニット14と、ヘッドユニット14に取得された実装前の部品5の状態を撮像する部品撮像部15と、制御装置16(図2参照)とを備えている。なお、制御装置16は、本発明の「制御部」の一例である。
【0022】
基台10上に配置された基板搬送部11は、基板4の搬送方向(X方向)に延びる一対のコンベア11aを有している。一対のコンベア11aは、一方側(X1側)から基板4を受け入れて所定の作業位置まで搬送するとともに、作業位置において基板4を保持する機能を有している。また、一対のコンベア11aは、部品5の実装完了後に、実装済みの基板4を他方側(X2側)に搬出する機能をさらに有している。
【0023】
基板搬送部11のY2側に確保された2カ所の部品供給領域12には、それぞれ、トレイ部品供給装置2が配置されている。また、基板搬送部11のY1側に確保された部品供給領域13には、複数のテープフィーダ3が横方向(X方向)に沿って並んで配置されている。これらのテープフィーダ3は、部品供給領域13に設けられたスロット(図示せず)に着脱可能に装着されている。トレイ部品供給装置2およびテープフィーダ3は、それぞれの部品供給領域12および部品供給領域13にセットされた状態で、部品実装装置1の制御装置16と接続され、制御装置16によって動作が制御されるように構成されている。
【0024】
ここで、テープフィーダ3は、部品5を所定の間隔を隔てて保持した部品テープ(図示せず)が巻回されたリール(図示せず)を保持可能に構成されている。テープフィーダ3は、部品テープをリールから巻き取るようにして間欠的に繰り出すことにより、先端部の所定の部品取出位置まで部品5を搬送するように構成されている。このため、テープフィーダ3は、部品テープに収納可能な小型の部品5を供給する。
【0025】
一方、トレイ部品供給装置2は、通常、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)などの大型のパッケージ部品5を供給する。トレイ部品供給装置2は、部品5を保持するパレット6をラック20に多数収納しており、ラック20からパレット6を所定の部品取出位置まで移動させることにより、部品5を供給するように構成されている。パレット6には、部品5の設置領域が区画されたトレイ7が設置されており、このトレイ7に大型の部品5が平置きで並べて載置されている。
【0026】
ヘッドユニット14は、部品供給領域12および13から供給される部品5を吸着するとともに、吸着した部品5を基板4の上方(図1の紙面手前側方向)の所定位置(実装位置)まで移送し、その位置で部品5を基板4に実装する機能を有している。具体的には、ヘッドユニット14の下面には、複数(ここでは、6本)の実装ヘッド14aが取り付けられている。また、各実装ヘッド14aには、先端部が下方(図1の紙面奥側方向)に向けられた部品吸着用の吸着ノズル(図示せず)が取り付けられている。これにより、部品実装動作時には、表面実装機1に設けられた負圧発生機(図示せず)により吸着ノズルの先端部(下端部)に発生させた負圧によって、トレイ部品供給装置2やテープフィーダ3の部品5が実装ヘッド14aに個々に吸着される。なお、実装ヘッド14aは、本発明の「ヘッド」の一例である。
【0027】
ヘッドユニット14は、基台10上をX方向に延びる支持部14bを介して移動可能に支持されている。ヘッドユニット14は、支持部14bに設けられたX軸モータ(サーボモータ)14cによりボールねじ軸14dが回動されることによってX方向に移動される。また、基台10の上面には、Y方向に延びる一対の高架フレーム17が配置されており、高架フレーム17には、Y軸モータ(サーボモータ)17aとボールねじ軸17bとが設けられている。ここで、支持部14bは、一対の固定レール17cを介して高架フレーム17上をX方向に跨いでいる。そして、支持部14bは、サーボモータ17aによりボールねじ軸17bが回動されることによって高架フレーム17上を固定レール17cに沿ってY方向に移動される。これにより、ヘッドユニット14は、ボールねじ軸14dおよび17bがそれぞれ回転されて、基台10上のX−Y平面内を任意の位置に移動することが可能に構成されている。
【0028】
また、各々の実装ヘッド14aは、Z軸モータ(サーボモータ)14e(図2参照)および図示しない昇降機構によって、上下方向(Z方向)に昇降可能に構成されている。部品実装装置1では、実装ヘッド14aが吸着ノズルを下降位置まで下げた状態で、部品5をトレイ部品供給装置2から吸着し、部品5を吸着した状態で一旦上昇位置に戻されて基板4の所定の実装位置の上方まで搬送される。そして、実装位置で再び吸着ノズルが下げられて部品5が基板4に実装される。また、実装ヘッド14aは、R軸モータ(サーボモータ)14f(図2参照)および図示しない回転機構によって、吸着ノズルの中心を通る鉛直軸線(Z方向)を回動中心とする回転方向に回動されるように構成されている。これにより、吸着ノズルの先端部に保持された部品5の姿勢(X−Y平面での向き)が詳細に調整される。なお、テープフィーダ3により供給される部品5についても、同様の動作によって基板4に実装される。
【0029】
また、ヘッドユニット14には基板撮像部14gが取り付けられている。これにより、基板撮像部14gは、水平方向(XY方向)に移動可能に構成されている。部品実装装置1は、基板撮像部14gにより基板4に付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を上方から撮像し、基板4の位置および姿勢を認識するように構成されている。これにより、基板4の任意の実装位置の上方に実装ヘッド14aの吸着ノズルを位置付け、部品実装を行うことが可能である。また、基板撮像部14gは、トレイ部品供給装置2のトレイ7およびパレット6を撮像する際に用いられる。なお、基板撮像部14gは、本発明の「撮像部」の一例である。
【0030】
部品撮像部15は、図1に示すように、基台10上に固定的に設置されている。また、部品撮像部15は、ヘッドユニット14によりトレイ部品供給装置2またはテープフィーダ3から取り出された実装直前の部品5を、下面側から撮像する機能を有している。より詳細には、部品撮像部15は、ヘッドユニット14が部品撮像部15の上方をX方向に移動する間に、部品5の下面側の形状を撮像するように構成されている。これにより、実装直前の吸着部品5の吸着ノズルに対する保持(吸着)状態が、部品実装装置1に認識されるように構成されている。
【0031】
制御装置16は、図2に示すように、部品実装システム100全体の部品実装動作に関する動作を制御するように構成されている。具体的には、制御装置16は、CPUからなる演算処理部を含む。また、制御装置16は、プログラムや部品実装データなどを記憶する記憶部16aを含んでいる。また、記憶部16aには、トレイ部品供給装置2により供給される部品5のトレイ7のサイズが部品5の種類毎に格納されている。
【0032】
また、部品実装装置1は、トレイ7がパレット6に対して適正ではない位置に配置されていると判断された場合に、適正ではないことを通知する通知部18を備えている。たとえば、通知部18は、表示部を含み、トレイ7の位置が適正ではないことを表示することにより通知する。また、通知部18は、音声によりトレイ7の位置が適正ではないことを通知してもよい。
【0033】
図3に示すように、トレイ部品供給装置2は、部品5が載置されたトレイ7が配置されたパレット6を上下方向(Z方向)に並べて複数収納するラック20と、パレット6をラック20から引き出して載置するための載置台21とを備えている。また、載置台21には、パレット6をラック20と載置台21との間で出し入れするための引出機構22とが設けられている。
【0034】
ラック20は、トレイ部品供給装置2の内部で上下方向に3つ並ぶようにして、上下方向に固定的に配置されている。それぞれのラック20は同一構成を有する。ラック20は、Y方向に貫通する矩形枠状の形状を有している。ラック20のX方向の両方の側面の内側には、水平方向(Y方向)に延びるレール20aが上下に間隔を隔てて並ぶように配置されている。なお、図3では、説明のため、最下段のラック20について、パレット6を抜き取った状態を図示している。
【0035】
パレット6は、図4に示すように、上方(Z1側)が開放された平坦な薄肉の皿状部材であり、ステンレスなどの磁性体金属材料からなる。パレット6は、出し入れ方向(Y方向)と直交する幅方向(X方向)に長い矩形形状を有するように形成されている。また、パレット6は、配置面61と、側面62とを含む。また、側面62は、X2方向側の側面62aと、Y1方向側の側面62bと、X1方向側の側面62cと、Y2方向側の側面62dとを有する。
【0036】
図4に示すように、トレイ7は、部品5が載置された状態でパレット6に配置されている。また、トレイ7は、矩形形状に形成されている。また、トレイ7は、パレット6に対して移動しないように位置を拘束する位置拘束部材8により位置が拘束された状態でパレット6に配置されている。具体的には、トレイ7は、パレット6の基板4に近い側の側面62に当てつけられて位置決めされた状態で、位置拘束部材8により拘束されている。たとえば、基板4がトレイ7のX2方向側およびY1方向側に配置されている場合、トレイ7は、パレット6のX2方向側の側面62aおよびY1方向側の側面62bに当てつけられて位置決めされた状態で、X1方向側の第1の辺7aおよびY2方向側の第2の辺7bにそれぞれ位置拘束部材8が当接するように配置されて、位置が拘束されるように構成されている。なお、基板4がトレイ7のX1方向側およびY1方向側に配置されている場合、トレイ7は、パレット6のX1方向側の側面62cおよびY1方向側の側面62bに当てつけられて位置決めされた状態で、X2方向側の辺およびY2方向側の辺にそれぞれ位置拘束部材8が当接するように配置されて、位置が拘束されるようにしてもよい。
【0037】
位置拘束部材8は、マグネットを含む。これにより、位置拘束部材8は、パレット6の配置面61に吸着可能に構成されている。また、位置拘束部材8は、トレイ7がパレット6に対して移動しないようにトレイ7の位置を拘束するように構成されている。具体的には、位置拘束部材8は、短辺方向に幅W有し、長辺方向に長さLを有するように形成されている。また、位置拘束部材8は、その長手方向をトレイ7の辺に対して平行にしてトレイ7に隣接して配置されることにより、パレット6に対してトレイ7の位置を拘束するように構成されている。
【0038】
また、位置拘束部材8は、トレイ7の矩形形状の第1の辺7aおよび第1の辺7aと直交する第2の辺7bにそれぞれ隣接して配置されることにより、パレット6に対してトレイ7の位置を拘束するように構成されている。
【0039】
また、位置拘束部材8は、基板撮像部14gにより撮像された場合に、パレット6およびトレイ7に対して異なる色または輝度値を有するように構成されている。たとえば、位置拘束部材8が黄色、トレイ7が黒色、パレット6が銀色の表面色をそれぞれ有する。また、位置拘束部材8の光の反射率を、トレイ7およびパレット6の光の反射率と異なるように構成して、撮像された場合の輝度値が異なるようにしてもよい。これにより、位置拘束部材8を撮像した際に、位置拘束部材8をトレイ7およびパレット6に対して容易に識別することが可能である。また、位置拘束部材8は、基板撮像部14gにより撮像された場合に、位置拘束部材8と、トレイ7およびパレット7との境界が判別することが可能な色または輝度値を有するように構成されていれもよい。つまり、位置拘束部材8(たとえば、黄色)とトレイ7(たとえば、黒色)との境界、位置拘束部材8(たとえば、黒色)とパレット6(たとえば、銀色)との境界、および、トレイ7(たとえば、黒色)とパレット6(たとえば、銀色)との境界をチェックすることで、位置拘束部材8の撮像状態を判別することが可能に構成されていてもよい。
【0040】
また、図3に示すように、ラック20のレール20aは、パレット6を支持するほか、パレット6をラック20から出し入れする際(Y方向に移動する際)のガイドとしての機能を有する。なお、トレイ部品供給装置2のY2方向側にはドア部2aが設けられ、開閉可能となっており、トレイ部品供給装置2のY2方向側からパレット6を入れ替えることが可能に構成されている。
【0041】
載置台21は、トレイ部品供給装置2内でラック20のY1側に配置されている。載置台21は、幅方向(X方向)の両端の側壁にそれぞれY方向に延びる支持レール23を有しており、パレット6の下面の幅方向両端部分をY方向移動可能な状態で支持するように構成されている。これにより、載置台21は、ラック20内のパレット6を引出位置まで引き出して支持する。
【0042】
また、載置台21は、昇降機構部26によって上下方向(Z方向)に支持および駆動されるように構成されている。具体的には、幅方向外側に配置された上下に延びるガイドレール24と係合するスライダ25が載置台21に取り付けられており、スライダ25を介して載置台21がガイドレール24に沿って上下移動可能に構成されている。また、昇降機構部26は、載置台昇降モータ(サーボモータ)26aと、ベルト−プーリ機構26bとを含み、載置台昇降モータ26aにより上下に延びる駆動ベルトを回転させ、駆動ベルトに固定されたスライダ25を上下させるように構成されている。これにより、載置台21がベルト−プーリ機構26bの回転に伴って上下に昇降することにより、ラック20に保持された任意のパレット6の高さ位置に応じて載置台21を位置付けることが可能である。
【0043】
なお、トレイ部品供給装置2の上面の前側端部は開口2bが形成されており、引出位置までパレット6が引き出されると、載置台21が上昇してパレット6上に設置されたトレイ7が開口2bの下方位置(Z2側)に配置される。これにより、ヘッドユニット14の実装ヘッド14aが上方から開口2bを介してトレイ7上の部品5を吸着して取り出し可能となっている。
【0044】
ここで、本実施形態では、制御装置16は、パレット6に対してトレイ7の位置を拘束する位置拘束部材8を基板撮像部14gにより撮像し、位置拘束部材8を撮像した結果に基づいて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている。具体的には、制御装置16は、トレイ7がパレット6に対して適正な位置にある場合のトレイ7の位置拘束部材8により拘束される側の辺に沿って基板撮像部14gを移動させながら撮像を行い、位置拘束部材8を撮像した結果に基づいて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている。
【0045】
また、制御装置16は、トレイ7がパレット6に対して適正な位置にある場合のトレイ7の位置拘束部材8により拘束される側の辺に沿って基板撮像部14gを移動させながら撮像を行い、基板撮像部14gの移動方向に沿って撮像された位置拘束部材8の長さが所定の長さ以上の場合に、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されていると判断するように構成されている。なお、所定の長さは、位置拘束部材8の長手方向の長さLを基準として設定されるように構成されている。
【0046】
ここで、図4に示すように、パレット6の側面62に当てつけられて位置決めされているトレイ7の角を基準とする。たとえば、パレット6のX2方向側の側面62およびY1方向側の側面62に当てつけられてトレイ7が位置決めされている場合、トレイ7が適正に位置決めされたX2方向およびY1方向の角を基準((a,b)=(0,0))とする。そして、トレイ7のサイズ(X方向の長さおよびY方向の長さ)に基づいて、トレイ7が適正な位置にある場合のその他の角の座標は、それぞれ、以下のようになる。トレイ7のX1方向およびY1方向の角は、(a,b)=(a1,0)と表される。また、トレイ7のX2方向およびY2方向の角は(a,b)=(0,b1)と表される。また、トレイ7のX1方向およびY2方向の角は、(a,b)=(a1,b1)と表される。なお、パレット6のX2方向側およびY1方向側の角以外の角に当てつけられてトレイ7が位置決めされている場合、パレット6に当てつけられているトレイ7の角(たとえば、X1方向側およびY1方向側の角など)を基準((a,b)=(0,0))としてもよい。また、角以外の場所を基準としてもよい。
【0047】
また、トレイ7は、1つの位置拘束部材8によりX1方向側からX方向を拘束され、他の1つの位置拘束部材8によりY2方向側からY方向を拘束されている。この場合、適正に配置された位置拘束部材8は、a=a2=a1+W/2上、および、b=b2=b1+W/2上に沿ってそれぞれ配置される。そして、基板撮像部14gは、a=a2に沿ってY方向に移動しながら位置拘束部材8を撮像し、(a,b)=(a2,b2)において方向を変えて、b=b2に沿ってX方向に移動しながら位置拘束部材8を撮像する。ここで、b方向(Y方向)およびa方向(X方向)においてそれぞれ、撮像された位置拘束部材8が所定の長さ以上の場合、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されていると判断される。たとてば、所定の長さはL/2に設定される。
【0048】
つまり、図5に示すように、基板撮像部14gの移動方向に沿って撮像された位置拘束部材8の長さがX方向(a方向)およびY方向(b方向)においてそれぞれ所定の長さ以上の場合に、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されていると判断される。OK1の例の場合、2つの位置拘束部材8は、トレイ7のX1方向およびY2方向の角で互いに接するように配置されている。この場合、撮像された位置拘束部材8の長さがX方向およびY方向においてそれぞれ所定の長さ以上となり、トレイ7の位置が適正な位置であると判断される。
【0049】
また、OK2の例の場合、1つの位置拘束部材8は、トレイ7のX1方向およびY1方向の角に接するように配置され、他の1つの位置拘束部材8は、トレイ7のX2方向およびY2方向の角に接するように配置されている。この場合、撮像された位置拘束部材8の長さがX方向およびY方向においてそれぞれ所定の長さ以上となり、トレイ7の位置が適正な位置であると判断される。また、OK3の例の場合、トレイ7のX1方向側に1つの位置拘束部材8が配置され、トレイ7Y2方向側に2つの位置拘束部材8が配置されている。この場合、撮像された位置拘束部材8の長さがX方向およびY方向においてそれぞれ所定の長さ以上となり、トレイ7の位置が適正な位置であると判断される。
【0050】
また、図6に示すように、基板撮像部14gの移動方向に沿って撮像された位置拘束部材8の長さがX方向(a方向)およびY方向(b方向)においてそれぞれ所定の長さ未満の場合に、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されていないと判断される。NG1の例の場合、トレイ7がパレット6のX1方向およびY1方向の角に当てつけられた状態で配置されている。この場合、撮像された位置拘束部材8の長さがY方向において所定の長さ未満となり、トレイ7の位置が適正な位置ではないと判断される。NG2の例の場合、トレイ7がパレット6に対して90度回転した状態で配置されている。この場合、撮像された位置拘束部材8の長さがX方向およびY方向において所定の長さ未満となり、トレイ7の位置が適正な位置ではないと判断される。
【0051】
また、NG3の例の場合、トレイ7が適正なものよりも大きい間違ったトレイ7が配置されている。この場合、撮像された位置拘束部材8の長さがX方向およびY方向において所定の長さ未満となり、トレイ7の位置が適正な位置ではないと判断される。なお、トレイ7が適正なものよりも小さい間違ったトレイ7が配置された場合でも、撮像された位置拘束部材8の長さがX方向およびY方向の少なくとも一方において所定の長さ未満となり、トレイ7の位置が適正な位置ではないと判断される。また、NG4の例の場合、トレイ7の角がパレット6の角に当てつけられておらず、当てつけが不良な状態で配置されている。この場合、撮像された位置拘束部材8の長さがX方向およびY方向において所定の長さ未満となり、トレイ7の位置が適正な位置ではないと判断される。
【0052】
また、制御装置16は、トレイ7が載置されたパレット6が部品実装装置1にセットされたことに基づいて、位置拘束部材8を基板撮像部14gにより撮像し、位置拘束部材8を撮像した結果に基づいて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成されている。具体的には、トレイ部品供給装置2のドア部2aが開放されて、パレット6(トレイ7)が交換または補充された場合、基板4搬送時などの部品実装作業を行っていない間に、新しく入れられた(セットされた)パレット6が載置台21に引き出されて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かが判断される。
【0053】
次に、図7を参照して、部品実装装置1の制御装置16が行うトレイ適正配置チェック処理について説明する。
【0054】
ステップS1において、新たにトレイ7が供給(セット)された後、初の運転か否かが判断される。つまり、新たに供給されたトレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを既にチェックしたか否かが判断される。トレイ7の供給後初運転であれば、ステップS2に進み、トレイ7の供給後初運転でなければ、トレイ適正配置チェック処理が終了される。ステップS2において、新たに供給されたトレイ7の部品5を基板4に実装する予定があるか否かが判断される。トレイ7の部品5を実装するならば、ステップS3に進み、トレイ7の部品5を実装しないならば、トレイ適正配置チェック処理が終了される。
【0055】
ステップS3において、トレイ部品供給装置2のラック20(図3参照)からチェックするトレイ7(パレット6)が載置台21に引き出される。ステップS4において、チェックするトレイ7のサイズが取得される。具体的には、制御装置16の記憶部16aに格納されているトレイサイズに基づいて、チェックするトレイ7のX方向およびY方向の長さが取得される。
【0056】
ステップS5において、図4に示すように、トレイ7のサイズに基づいて、位置拘束部材8の適正なa方向(X方向)座標およびb方向(Y方向)座標が算出される。トレイ7のサイズが、X方向おいてa1であり、Y方向においてb1である場合、トレイ7のサイズおよび位置拘束部材8の幅Wに基づいて、位置拘束部材8の適正なa方向の中心座標がa2=a1+W/2と算出される。また、位置拘束部材8の適正なb方向の中心座標がb2=b1+W/2と算出される。
【0057】
ステップS6において、基板撮像部14gをa=a2((a2,0)から(a2,b2))に沿って移動しながら位置拘束部材8が撮像される。ステップS7において、位置拘束部材8を所定の長さ以上検出したか否かが判断される。たとえば、a=a2に沿って移動しながら撮像した結果、位置拘束部材8をL/2(長手方向の長さの半分)以上の長さ検出したか否かが判断される。所定の長さ以上検出すれば、ステップS8に進み、所定の長さ未満しか検出しなければ、ステップS11に進む。
【0058】
ステップS8において、基板撮像部14gをb=b2((a2,b2)から(0,b2))に沿って移動しながら位置拘束部材8が撮像される。ステップS9において、位置拘束部材8を所定の長さ以上検出したか否かが判断される。たとえば、b=b2に沿って移動しながら撮像した結果、位置拘束部材8をL/2(長手方向の長さの半分)以上の長さ検出したか否かが判断される。所定の長さ以上検出すれば、ステップS10に進み、所定の長さ未満しか検出しなければ、ステップS11に進む。
【0059】
ステップS10において、位置拘束部材8の位置が適正であると判断される。つまり、位置拘束部材8により拘束されたトレイ7のパレット6に対する位置が適正であると判断される。その後、トレイ適正配置チェック処理が終了される。
【0060】
ステップS7またはステップS9において位置拘束部材8を所定の長さ未満しか検出されないと判断された場合、ステップS11において、位置拘束部材8の位置が不適正であると判断される。つまり、位置拘束部材8により拘束されたトレイ7のパレット6に対する位置が不適正であると判断される。
【0061】
ステップS12において、部品実装装置1の運転が停止される。ステップS13において、通知部18により、トレイ7のパレット6に対する位置が不適正であることが通知されるとともに、トレイ適正配置チェック処理が終了される。
【0062】
なお、位置が適正か否かをチェックするトレイ7が複数ある場合、ステップS3〜ステップS13の処理が繰り返され、その後、トレイ適正配置チェック処理が終了される。
【0063】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
本実施形態では、上記のように、制御装置16を、パレット6に対してトレイ7の位置を拘束する位置拘束部材8を基板撮像部14gにより撮像し、位置拘束部材8を撮像した結果に基づいて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成する。これにより、トレイ7に位置確認のためのマークが設けられていない場合にも、パレット6に対してトレイ7の位置を拘束する位置拘束部材8の撮像結果に基づいて、位置拘束部材8が適正な位置に配置されているか否かを判断することができる。これにより、トレイ7に位置確認のためのマークが設けられていない場合にも、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置16を、トレイ7がパレット6に対して適正な位置にある場合のトレイ7の位置拘束部材8により拘束される側の辺に沿って基板撮像部14gを移動させながら撮像を行い、位置拘束部材8を撮像した結果に基づいて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成する。これにより、基板撮像部14gの撮像範囲がトレイ7全体を撮像することができない場合でも、基板撮像部14gを移動させながら位置拘束部材8を撮像させることにより、位置拘束部材8が適正な位置にあるか否かを判断することができるので、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを容易に判断することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置16を、トレイ7がパレット6に対して適正な位置にある場合のトレイ7の位置拘束部材8により拘束される側の辺に沿って基板撮像部14gを移動させながら撮像を行い、基板撮像部14gの移動方向に沿って撮像された位置拘束部材8の長さが所定の長さ以上の場合に、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されていると判断するように構成する。これにより、撮像された位置拘束部材8の長さに基づいて、位置拘束部材8の位置が適正か否かを判断することができるので、位置拘束部材8に位置確認のためのマークを設けなくても、容易に位置拘束部材8の位置が適正か否かを判断することができる。また、撮像された位置拘束部材8の長さが所定の長さ以上の場合に、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されていると判断するように構成することによって、位置拘束部材8が適正でない位置でトレイ7を拘束している場合において、適正でない位置の位置拘束部材8の一部が撮像された場合は、撮像された位置拘束部材8の長さが所定の長さ未満になることにより、位置拘束部材8が適正な位置に配置されていると誤認識することを抑制することができる。これにより、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを精度よく判断することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、位置拘束部材8を、その長手方向をトレイ7の辺に対して平行にしてトレイ7に隣接して配置することにより、パレット6に対してトレイ7の位置を拘束するように構成し、所定の長さは、位置拘束部材8の長手方向の長さを基準として設定されるように構成する。これにより、位置拘束部材8の長辺方向に渡って位置拘束部材8をトレイ7に隣接させてトレイ7を適正な位置で確実に拘束しているか否かを容易に判断することができるので、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを容易に判断することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、位置拘束部材8を、基板撮像部14gにより撮像された場合に、パレット6およびトレイ7に対して異なる色または輝度値を有するように構成する。これにより、基板撮像部14gにより撮像された画像に基づいて、位置拘束部材8を容易に認識することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置16を、トレイ7が載置されたパレット6が部品実装装置100にセットされたことに基づいて、位置拘束部材8を基板撮像部14gにより撮像し、位置拘束部材8を撮像した結果に基づいて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成する。これにより、新たにトレイ7が配置されたパレット6が部品実装装置100にセットされた場合に1回だけトレイ7の位置が適正か否かが判断されるので、トレイ7に載置された部品5が吸着される毎などに同一のトレイ7の位置が複数回適正か否か判断される場合に比べて、タクトタイムが長くなるのを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、位置拘束部材8を、トレイ7の矩形形状の第1の辺7aおよび第1の辺7aと直交する第2の辺7bにそれぞれ隣接して配置することにより、パレット6に対してトレイ7の位置を拘束するように構成し、制御装置16を、トレイ7がパレット6に対して適正な位置にある場合のトレイ7の第1の辺7aおよび第2の辺7b沿って基板撮像部14gにより撮像し、位置拘束部材8を撮像した結果に基づいて、トレイ7がパレット6に対して適正な位置に配置されているか否かを判断するように構成する。これにより、矩形形状のトレイ7を直交する2方向(X方向およびY方向)から拘束して確実に移動しないようにすることができるので、トレイ7がパレット6に対して確実に拘束された適正な位置に配置されているか否かを判断することができる。
【0071】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0072】
たとえば、上記実施形態では、位置拘束部材がマグネットを含み、磁性体のパレットに吸着する構成の例を示しが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、図8に示すように、位置拘束部材をパレットに対して締結部材により固定してもよい。具体的には、パレット60は、ガイド穴60aを含む。また、位置拘束部材80は、位置拘束部80aと、ガイド穴80bと、締結部材80cとを含む。位置拘束部80aは、L字形状を有し、部品5が載置されたトレイ7の移動をX方向およびY方向において拘束するように構成されている。締結部材80cは、パレット60のガイド穴60a、および、位置拘束部材80のガイド穴80bを介して締結することにより、位置拘束部材80とパレット60とを固定するように構成されている。位置拘束部材80は、締結部材80cの締結を緩めた場合、ガイド穴60aに沿って、Y方向に移動可能に構成されているとともに、ガイド穴80bに沿って、X方向に移動可能に構成されている。また、位置拘束部材80のX方向およびY方向を適正な位置に移動させた上で、締結部材80cにより位置拘束部材80がパレット60に対して固定される。
【0073】
また、上記実施形態では、位置拘束部材を磁力によりパレットに吸着させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、位置拘束部材を磁力以外の力により、パレットに吸着させてもよい。たとえば、表面張力や、粘着力により位置拘束部材をパレットに吸着させてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、基板の位置を認識するための基板撮像部を用いて、パレットに配置されたトレイの位置が適正か否かを判断したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板撮像部以外の撮像部を用いてパレットに配置されたトレイの位置が適正か否かを判断してもよい。この場合、撮像部は、水平方向に移動可能であることが好ましい。
【0075】
また、上記実施形態では、基板撮像部(撮像部)を移動させながら位置拘束部材の撮像を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、撮像部を移動させないで位置拘束部材を一括して撮像してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、所定の長さを位置拘束部材の長手方向の長さLを基準として、L/2に設定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の長さをL/2以外の長さに設定してもよい。なお、この場合、所定の長さを短手方向の長さWよりも長く設定することが好ましい。
【0077】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御装置(制御部)の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 部品実装装置
4 基板
5 部品
6、60 パレット
7 トレイ
8 位置拘束部材
14a 実装ヘッド(ヘッド)
14g 基板撮像部(撮像部)
16 制御装置(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8