特許第6259338号(P6259338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259338
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】収納部付き便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/00 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
   E03D11/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-64252(P2014-64252)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-183509(P2015-183509A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】新美 智一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 有梨
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝俊
(72)【発明者】
【氏名】鷹股 憲
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−055775(JP,A)
【文献】 特開2004−107969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00 − 7/00 , 11/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、
前記便器の後方に設けられ、固定部材により床面に固定された収納部と、
前記収納部に収納され、前記便器の洗浄水を貯留するタンクと、を備える収納部付き便器装置であって、
前記収納部は、前面側に配置される前板を備え、
前記固定部材は、前記前板の底面に固定される前板固定部と、前記床面に固定される床固定部と、前記前板固定部を挟んで前記床固定部と反対の端部側に配置されると共に、前記床面に当接して配置される床当接部と、を備える収納部付き便器装置。
【請求項2】
便器と、
前記便器の後方に設けられ、固定部材により床面に固定された収納部と、
前記収納部に収納され、前記便器の洗浄水を貯留するタンクと、を備える収納部付き便器装置であって、
前記収納部は、前面側に配置される前板を備え、
前記固定部材は、前記前板の底面に固定される前板固定部と、前記床面に固定される床固定部と、を備え、
前記床固定部は、前記前板の側方に配置される収納部付き便器装置。
【請求項3】
便器と、
前記便器の後方に設けられ、固定部材により床面に固定された収納部と、
前記収納部に収納され、前記便器の洗浄水を貯留するタンクと、を備える収納部付き便器装置であって、
前記収納部は、前面側に配置される前板を備え、
前記固定部材は、前記前板の底面に固定される前板固定部と、前記床面に固定される床固定部と、を備え、
前記収納部は、前記前板に直交して配置されて前記収納部の内部を仕切る一対の仕切り板をさらに備え、
前記仕切り板は、前記床面から離間して配置される収納部付き便器装置。
【請求項4】
前記前板固定部は、前記床固定部より上方に配置されると共に、前記床面から離間して配置される請求項1から3のいずれかに記載の収納部付き便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部付き便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器と、便器に供給する洗浄水を貯留するタンクと、タンク等を収納する収納部と、を備える収納部付き便器装置が知られている。また例えば、収納部の内部空間を区画すると共に、タンクの側面を覆うように配置される仕切り板を有する収納部付き便器装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の収納部付き便器装置では、仕切り板の一部であって床面まで延出する延出部が固定部材により床面に固定されることで、収納部が床面に固定される。また、仕切り板における延出部を除く部分は床面から離間しており、仕切り板と床面との間に開口が形成される。作業者は、この開口から手を挿入して、給水ホース等の取り回し作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−057294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の収納部付き便器装置では、仕切り板の延出部が床面まで延出しているため、仕切り板と床面との間に形成される開口の大きさは制限される。そのため、作業者がかかる開口から手を挿入して行う給水ホース等の取り回し作業は、施工性が悪かった。
【0006】
そこで、仕切り板の代わりに前板を固定部材で床面に固定できれば、仕切り板の延出部は不要となり、開口を大きく確保できる。ひいては、作業者がかかる開口から手を挿入して行う給水ホース等の取り回し作業の施工性を向上できる。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、収納部を構成する前板が固定部材により床面に固定された収納部付き便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、便器(例えば、後述の便器10)と、前記便器の後方に設けられ、固定部材(例えば、後述の固定部材600R,600L)により床面(例えば、後述の床面F)に固定された収納部(例えば、後述の収納部50)と、前記収納部に収納され、前記便器の洗浄水を貯留するタンク(例えば、後述のタンク20)と、を備える収納部付き便器装置(例えば、後述の収納部付き便器装置100)であって、前記収納部は、前面側に配置される前板(例えば、前板511)を備え、前記固定部材は、前記前板の底面に固定される前板固定部(例えば、後述の前板固定部610L,610R)と、前記床面に固定される床固定部(例えば、後述の床固定部620L,620R)と、を備える収納部付き便器装置を提供する。
【0009】
前記前板固定部は、前記床固定部より上方に配置されると共に、前記床面から離間して配置されることが好ましい。
【0010】
前記固定部材は、前記前板固定部を挟んで前記床固定部と反対の端部側に配置されると共に、前記床面に当接して配置される床当接部(例えば、床当接部630R,630L)をさらに備えることが好ましい。
【0011】
前記床固定部は、前記前板の側方に配置されることが好ましい。
【0012】
前記収納部は、前記前板に直交して配置されて前記収納部の内部を仕切る一対の仕切り板(例えば、後述の仕切り板52L,52R)をさらに備え、前記仕切り板は、前記床面から離間して配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納部を構成する前板が固定部材により床面に固定された収納部付き便器装置を提供できる。ひいては、作業者が仕切り板と床面との間に形成される開口から手を挿入して行う給水ホース等の取り回し作業の施工性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る収納部付き便器装置を示す斜視図である。
図2】上記実施形態に係る収納部付き便器装置の分解斜視図である。
図3】上記実施形態に係る収納部が固定部材により床面に固定された状態を示す図である。
図4】上記実施形態に係る固定部材を示す斜視図である。
図5】従来の収納部付き便器装置を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の収納部付き便器装置の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る収納部付き便器装置100の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態の収納部付き便器装置100は、図1及び図2に示すように、便器10と、タンク20と、手洗い器30と、排水管40と、収納部50と、を備える。収納部付き便器装置100は、後述する固定部材600R,600Lにより床面Fに固定された収納部50を有する収納部付き便器装置である。
【0017】
便器10は、便器本体11と、この便器本体11の上部に便器本体11に対して開閉可能に取り付けられる便座(図示せず)及び便蓋12と、を含んで構成される。
【0018】
タンク20は、便器10の後方かつ上方に配置され、便器本体11を洗浄する洗浄水を貯留する。このタンク20は、タンク本体21と、蓋部22と、を備える。タンク本体21は、上面が開口した箱状に形成され、洗浄水を貯留する。蓋部22は、タンク本体の上面に配置され、タンク本体21の上面を覆う。
【0019】
手洗い器30は、図1及び図2に示すように、タンク20の側方かつ上方に配置される。この手洗い器30は、手洗い鉢31と、手洗い吐水管32と、を備える。
【0020】
手洗い鉢31は、手洗い吐水管32から吐出される手洗い水を受ける。この手洗い鉢31の底部には、排水口311が形成されている。
手洗い吐水管32は、手洗い鉢31から起立するように配置される。この手洗い吐水管32の先端部は、下方に開口している。
手洗い吐水管32の基端部は、手洗い側給水配管(図示せず)を介してタンク20に洗浄水を供給する給水部(図示せず)に接続される。
【0021】
手洗い器30には、タンク20に供給される洗浄水の一部が、手洗い側給水配管33,34を介して手洗い吐水管32に供給される。これにより、給水部の動作によりタンク20に洗浄水が貯留される場合に、この貯留される洗浄水の一部が手洗い吐水管32から吐出される。
【0022】
排水管40は、タンク20と手洗い器30とを接続する。排水管40は、手洗い器30から排出される排水をタンク20に導く。
【0023】
収納部50は、便器10の後方に配置され、タンク20及び排水管40を収納する。また、この収納部50の上部には手洗い器30が配置される。
収納部50は、例えば、収納部付き便器装置100を設置するトイレルームの一の壁面に沿うように配置される。
【0024】
収納部50は、収納部本体51と、この収納部本体51の内部空間を幅方向に区画する一対の仕切り板52L,52Rと、これら一対の仕切り板52L,52Rをつなぐ背板53と、を備える。ここで、本明細書において幅方向とは、便器10の前後方向及び上下方向に直交する方向を意味する。
【0025】
収納部本体51は、前板511と、一対の扉板512L,512Rと、天板513と、を含んで構成される。
【0026】
前板511は、収納部本体51(収納部50)における前側に配置される。前板511は、タンク20の前面側に配置される。前板511は、タンク20の前面を覆う。前板511の幅は、便器本体11の幅よりも若干広く形成される。
【0027】
また、前板511における幅方向の両端部は、床面F近傍まで延びて配置される。具体的には、前板511は、幅方向の両端部に配置され、下端部が床面F近傍に配置される延出部511a,511bを有する。延出部511a,511bは、後述する固定部材600R,600Lにより床面Lに固定される部分である。より詳しくは、延出部511a,511bそれぞれの端面である底面511c,511dそれぞれは、固定部材600R,600Lにより、床面Fに固定される。
【0028】
上述の通り、延出部511a,511bは、床面Fから離間して配置される。具体的には、延出部511a,511bは、床面Fから離間して、固定部材600R,600Lにより床面Fに固定される。
延出部511a,511bは、例えば、床面から5mm程度離間して、固定部材600R,600Lにより床面Fに固定される。
ただしこれに限定されず、前板511の一部が床面Fに当接していてもよい。
【0029】
一対の扉板512L,512Rそれぞれは、前板511の両側部にそれぞれ配置される。扉板512L,512Rそれぞれは、その表面が前板511の表面と面一になるように配置される。一対の扉板512L,512Rは、前板511に対してヒンジ(図示せず)を介して連結される。これにより、一対の扉板512L,512Rは、前板511に対して開閉可能に連結される。
【0030】
扉板512L,512Rは、収納部本体51の内部において一対の仕切り板52L,52Rの幅方向の外側に形成される物品収納空間の前側に開閉可能に配置される。扉板512L,512Rを開閉させることで、使用者は、物品収納空間に物品を出し入れできる。
【0031】
天板513は、収納部50の上面を構成する。天板513は、収納部本体51の上面のうち、手洗い器30が配置されていない位置に配置される。本実施形態では、手洗い器30は、図1に示すように、収納部50を便器10側から視た場合における左側の上部に配置されており、天板513は、収納部50の上面の中央部及び右側を覆うように配置される。この天板513は、後述する背板53の上面に、図示しない面ファスナーにより取り付け固定される。
【0032】
一対の仕切り板52L,52Rは、前板511の幅方向のそれぞれの端部に、前板511に直交して配置される。一対の仕切り板52R,52Lは、前板511及び背板53の幅方向のそれぞれの端部同士をつないで配置される。
一対の仕切り板52L,52Rは、タンク20を幅方向に挟むように配置される。
また、一対の仕切り板52L,52Rは、収納部本体51の内部を幅方向に区画する。一対の仕切り板52L,52Rは、収納部本体51の内部を区画することで、一対の仕切り板52L,52Rの幅方向の外側に、物品を収納可能な物品収納空間を形成する。
【0033】
仕切り板52L,52Rの上端部は、タンク20の上端部よりも高い位置に位置する。また、一対の仕切り板52L,Rの上面には、天板513が取り付けられる。
【0034】
仕切り板52L,52Rの下端部は、床面から離間して配置される。本実施形態において、仕切り板52L,52Rにおける下端部の全ては、床面Fから所定距離だけ離間している。
ここで、仕切り板52L,52Rの下端部の全てが床面Fから離間して配置されるので、仕切り板52R,52Lと床面Fとの間には、従来よりも大きな開口Kが形成される(図2及び図5参照)。開口Kは、後述の通り、図示しない給水ホースの取り回し(取り付け・取り外し)作業において、作業者が作業をする領域であり、大きい(広い)方が好ましい。
【0035】
背板53は、収納部50における後面側に配置される。背板53は、タンク20の後面側における上方に配置され、便器10の後方の壁面に固定される。背板53は、一対の仕切り板52L,52Rの上部をつなぐ。言い換えると、背板53は、一対の仕切り板52L,52Rにより、前板511とつながれている。
【0036】
なお、収納部50の側面は、トイレルームの壁面を利用することで、収納部50の側面を構成する板材を含むことなく収納部本体51を構成できる。
【0037】
続けて、図3及び図4により、固定部材600R,600Lについて説明する。図3は、収納部が固定部材により床面に固定された状態を示す図である。図4は、固定部材を示す斜視図である。
【0038】
固定部材600R,600Lは、図3及び図4に示すように、収納部50を床面Fに固定する。具体的には、固定部材600R,600Lは、収納部50における収納部本体51を床面Fに固定する。詳細には、固定部材600R,600Lは、収納部本体51における前板511を床面Fに固定する。さらに詳細には、固定部材600R,600Lは、前板511における延出部511a,511bを床面Fに固定する。
固定部材600R,600Lは、前板511における延出部511a,511bと床面Fとの間に配置される。
固定部材600R,600Lは、長手方向が前板155の幅方向に沿うように配置される。
【0039】
固定部材600R,600Lは、前板固定部610R,610Lと、床固定部620R,620Lと、床当接部630R,630Lと、を備える。固定部材600R,600Lは、例えば、略長方形の板部材を折り曲げ加工して形成される。
【0040】
前板固定部610R,610Lは、前板511における延出部511a,511bの底面511c,511dに固定される部分である。前板固定部610R,610Lは、図示しないビス等で底面511c,511dに固定される。
【0041】
前板固定部610R,610Lは、前板511における延出部511a,511bの底面511c,511dと、床面Fとの間に配置される。
【0042】
前板固定部610R,610Lは、床固定部620R,620Lより上方に配置されると共に、床面Fから離間して配置される。
前板固定部610R,610Lは、上面が床固定部620R,620Lの上面よりも上方に突出して配置される。前板固定部610R,610は、例えば、上面が床面Fから5mm程度離間するよう形成される。
前板固定部610R,610Lは、床面Fから離間して配置される。固定部材600R,600Lにおいて、床固定部620R,620Lと床当接部630R,630Lは床面Fに当接しているが、前板固定部610R,610Lは、床面Fから離間して配置される。
これにより、前板固定部610R,610Lに固定された前板511は、床面Fから離間して配置される。
【0043】
前板固定部610R,610Lは、前板511における前表面よりも後面側に配置される。つまり、前板固定部610R,610Lは、前板511における前表面から前側に突出しないように、延出部511a,511bの底面511c,511dに固定される。これにより、前板固定部610R,610Lは、前板511における前表面から突出しないので、収納部付き便器装置100における美観を損ねない。
【0044】
床固定部620R,620Lは、前板固定部610R,610Lにおける一方側に連続して配置される部分である。また、床固定部620R,620Lは、床面Fに固定される部分である。床固定部620R,620Lは、床面Fに面当接すると共に、床面Fに図示しないビス等で固定される。
【0045】
床固定部620R,620Lは、前板155の側方に配置される。床固定部620R,620Lは、幅方向において、前板155から幅方向外側に突出して配置される。詳細には、本実施形態において、前板固定部610R,610L及び床当接部630R,630Lは前板155から幅方向外側に突出していないが、床固定部620R,620Lは、前板155から幅方向外側に突出して配置される。ここで、本実施形態において、床固定部620R,620Lは、閉状態の扉板512L,512Rにおける下方に配置される。つまり、床固定部620R,620Lは、使用者から見えにくい位置に取り付けられる。床固定部620R,620Lは、収納部付き便器装置100(収納部50)の美観を損ねない配置で床面Fに取り付けられる。
【0046】
床当接部630R,630Lは、前板固定部610R、610Lを挟んで床固定部620R,620Lと反対の端部側に配置され、床面Fに当接して配置される部分である。
床当接部630R,630Lは、床固定部620R,620Lと共に床面Fに当接する部分である。床当接部630R,630L及び床固定部620R,620Lは、床面Fから離間する前板固定部610R、610Lの両端に形成され、床面Fに当接して配置される。床当接部630R,630Lは、前板固定部610R、610Lに対して下方向に加えられる力に対し、床固定部620R,620Lと共に対抗する部分である。
【0047】
また、固定部材600R,600Lは、上述の通り、収納部50を床面Fに固定すると共に、床面Fから所定距離だけ離間して配置させる。固定部材600R,600Lは、収納部50(前板155)を床面Fに固定する部材と、収納部50(前板155)を床面から離間させるスペーサ部材とを兼ねる部材といえる。
【0048】
続けて、収納部本体51を床面Fに取り付ける作業手順について説明する。
まず、作業者は、前板511、一対の仕切り板52L,52R及び背板53を予め組み付け、収納部50を組み立てる。ただしこれに限定されず、予め組み立てることなく、例えば背板53、一対の仕切り板52L,52R、前板511の順に個別に取り付けてもよい。
一対の扉板512L,512R及び天板513は、前板155が固定部材600L,600Rにより床面Fに固定された後に、上記組み立て中の収納部50に取り付けられる。なお、天板513は、背板53の上面に図示しない面ファスナーにより取り付け固定される。
【0049】
続けて、作業者は、収納部50に固定部材600L,600Rそれぞれを取り付ける。具体的には、作業者は、前板155における幅方向端部に固定部材600L,600Rそれぞれを取り付ける。さらに具体的には、作業者は、前板155における延出部511a,511bの底面511c,511dに、固定部材600L,600Rの前板固定部610L,610Rそれぞれを取り付ける。
ここで、作業者は、長手方向が前板511の幅方向に沿うように、固定部材600L,600Rを取り付ける。また、作業者は、床固定部620L,620Rが前板511の幅方向外側に突出するように、固定部材600L,600Rを取り付ける。また、作業者は、前板固定部610L,610Rが前板155の前表面から突出しないように、固定部材600L,600Rを取り付ける。
【0050】
続けて、作業者は、固定部材600L,600Rが取り付けられた収納部50を床面Fに固定する。具体的には、作業者は、収納部50を所定位置に位置決めした状態で、床固定部620L,620Rを床面Fに固定する。
【0051】
これにより、収納部50は、前板511が床面Fから離間した状態で、床面Fに固定される。このとき、背板53は、便器10の後方の壁面に固定される。
ここで、収納部付き便器装置100(収納部50)は、図5に示す従来の収納部640のように床面Fまで延出する延出部665a,665bを有する仕切り板660R,660Lと床面Fとを固定部材650L,650Rにより固定するのではない。収納部付き便器装置100(収納部50)は、前板511と床面Fとが固定部材600L,600Rにより固定されて構成される。これにより、収納部付き便器装置100(収納部50)において、仕切り板52L,52Rと床面Fとの間に形成される開口Kは、従来の開口K1よりも大きくなる。
【0052】
続けて、作業者が給水ホースを取り回す作業について説明する。
作業者は、開口Kから手を入れて、給水ホースを取り回す作業を行う。ここで、開口Kは、図5に示す従来の開口K1よりも大きく(広く)なっているので、作業性が向上される。特に、作業者の体が大きい等の場合には、作業性が好適に向上される。これにより、本実施形態における収納部付き便器装置100は、施工性が向上される。
【0053】
以上の収納部付き便器装置100によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の収納部付き便器装置100は、固定部材600L,600Rにより床面Fに固定された収納部50を有する。また、収納部50は、前面側に配置される前板511を備える。また、固定部材600L,600Rは、前板511の底面に固定される前板固定部610L,610Rと、床面Fに固定される床固定部620L,620Rと、を備える。これにより、収納部50を構成する前板511が固定部材600L,600Rにより床面Fに固定された収納部付き便器装置100を提供することができる。
【0054】
また、前板固定部610L,610Rは、床固定部620L,620Rより上方に配置されると共に、床面Fから離間して配置される。これにより、前板511は、床面Fから離間して固定される。また、これにより、収納部付き便器装置100は、水漏れ等を容易に確認できると共に、床面Fを流れる水等に接触することによる不具合(例えば、ふやける、劣化する)の発生を抑制できる。
【0055】
また、固定部材600L,600Rは、前板固定部610L,610Rを挟んで床固定部620L,620Rと反対の端部側に配置されると共に、床面Fに当接して配置される床当接部630L,630Rをさらに備える。これにより、固定部材600L,600Rにおける強度が向上される。固定部材600L,600Rは、前板固定部610L,610R及び床固定部620L,620Rだけの構成に比べて、床当接部630L,630Rをさらに備えることで、前板固定部610L,610Rの変形等を抑制できる。また、前板511から固定部材600L,600Rに対して加えられる荷重は、床固定部620L,620Rだけでなく、床当接部630L,630Rにおいても受けるので、固定部材600L,600R全体の耐荷重強度が向上する。
【0056】
また、床固定部620L,620Rは、前板511の側方に配置される。これにより、固定部材600L,600Rは、収納部付き便器装置100における美観を損ねることなく、収納部50を床面Fに固定する。また、これにより、固定部材600L,600Rは、収納部50を床面Fに取り付ける際の施工性が良好である。
【0057】
また、収納部50は、前板511に直交して配置されて収納部50の内部を仕切る一対の仕切り板52L,52Rをさらに備え、仕切り板511L,511Rは、床面Fから離間して配置される。これにより、収納部付き便器装置100は、大きな開口Kを有する。従って、収納部付き便器装置100において、作業者がかかる開口Kに手を挿入して行う給水ホースの取り回し作業の施工性が向上する。ひいては、本実施形態に係る収納部付き便器装置100の施工性が向上する。
【0058】
以上、収納部付き便器装置100における好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態の収納部付き便器装置100において、仕切り板511L,511Rの下端部は全て床面Fから離間しているが、これに限定されない。収納部付き便器装置100は、例えば、従来技術(図5参照)と同様に、仕切り板511L,511Rにおける前板側の部分(延出部665L,665Rに相当)が床面Fに当接するよう構成されていてもよい。この場合、仕切り板511L,511Rにおける前板側の部分(延出部665L,665Rに相当)の幅(前後方向の長さ)は狭い(短い)方が好ましい。
【0059】
また、例えば、本実施形態の収納部付き便器装置100において、前板固定部610L,610Rは、床固定部620L,620Rより上方に配置されると共に、床面Fから離間して配置されるが、これに限定されない。前板固定部610L,610Rは、上面が床固定部620L,620Rの上面よりも上方に配置されていればよく、床面Fから離間して配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…便器
20…タンク
50…収納部
51…収納部本体
52L,52R…仕切り板
53…背板
100…収納部付き便器装置
511…前板
511a,511b…延出部
511c,511d…底面
600L,600R…固定部材
610L,610R…前板固定部
620L,620R…床固定部
630L,630R…床当接部
F…床面
K…開口
図1
図2
図3
図4
図5