特許第6259404号(P6259404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6259404鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259404
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/20 20060101AFI20171227BHJP
【FI】
   E04B9/20 A
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-12273(P2015-12273)
(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-138369(P2016-138369A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】510153618
【氏名又は名称】株式会社サワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】澤田 操
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−090100(JP,A)
【文献】 特開2014−109142(JP,A)
【文献】 特開2014−181459(JP,A)
【文献】 実開平02−121503(JP,U)
【文献】 特開2008−169607(JP,A)
【文献】 特開2014−163055(JP,A)
【文献】 特開2012−012887(JP,A)
【文献】 実開平03−037114(JP,U)
【文献】 米国特許第05314156(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00−9/36
F16B 1/00−1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)に直交して水平材である鉄骨製母屋(3)を固着し、この鉄骨製母屋(3)を利用して設けられ、鉄骨製建物に設置される設置部材(4)(4a)が外部圧力を受けて設置場所から倒壊するのを防止するための倒壊防止装置であって、鉄骨製母屋(3)は、縦フランジ部(3a)とその上部の上フランジ部(3b)とその下部の下フランジ部(3c)と上下フランジ部(3b),(3c)の先端部に開口部(3d)を挟んで互いに対向して突設される上下リップ部(3e),(3f)とからなるリップ付き溝形鋼からなり、該リップ付き溝形鋼からなる鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされ且つ上記下リップ部(3f)に係止される取付金具(5)に枢着用ブラケット(6)を下向きに一体突設し、該枢着用ブラケット(6)に一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を略ハの字状に下向き傾斜方向に、その傾斜角度を変更可能に枢着し、該一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部を上記設置物(4)(4a)に連結してなる鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。
【請求項2】
上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなり、上記枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行に枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に直交するように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6a)からなり、該板状枢着用ブラケット(6a)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる請求項1に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。
【請求項3】
上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなり、上記枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなり、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる請求項1に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。
【請求項4】
上記取付金具(5)は、鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a )と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)とからなり、上記枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなり、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる請求項1に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。
【請求項5】
上記倒壊防止用筋交い(7)は、枢着用ブラケット(6)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行に設けられた上記枢着軸(8)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に直交して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着される筋交い基部部材(7a)と、連結部材(9)を介して筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなる請求項1又は2に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。
【請求項6】
上記倒壊防止用筋交い(7)は、上記枢着用ブラケット(6)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して設けられた上記枢着軸(8)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢止連結される板状筋交い基部部材(7a)と、その上端部が板状筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなる請求項3又は4に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。
【請求項7】
上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)は、上記鉄骨製屋根骨枠(2)の勾配角度に合わせて傾斜状態に固着される鉄骨製母屋(3)の傾斜状態如何によらず常に真下に向いて一体突設されるようになっている請求項3、請求項4又は請求項6に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。
【請求項8】
上記枢着軸(8)は、ボルト軸(8a)とこれにねじ込まれるナット(8b)とからなる請求項〜7の何れかに記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図1に示すように鉄骨製建物内に設置される天井材(4)や鉄骨製建物からなる店舗内の商品棚等の店舗内設置物や工場内の機械類等の工場内設置物(4a)等の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)を有する鉄骨製建物内の天井材や設備等の設置物が地震等の外部圧力によって倒壊するのを防止するための有効な倒壊防止装置は見られないが、例えば、天井材落下防止装置としては、特許第3817346号に係る従来技術が存在する。この従来技術を、図14によって説明すると、屋根下地や屋根ボード等の屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)の上面に、これに直交して固定具(11)によって鉄骨製母屋(3)が固着されている。そして、この鉄骨製屋根骨枠(2)に直接に取り付けられる板状の第1部材(12)と、天井倒壊防止用吊りボルト(14)が取り付けられる板状の第2部材(13)とを重ね合わせて両者をその中心部Oを軸心として垂直面内を回転可能に枢着し、第1部材(12)に対して第2部材(13)をその中心部Oを回転中心として回転調整して、該第2部材(13)に天井倒壊防止用吊りボルト(14)を垂直に吊持させるようにしている。この従来技術であると、地震の際の衝撃や振動によって第2部材(13)が第1部材(12)に対して回転揺動して第2部材(13)に取り付けられる天井倒壊防止用吊りボルト(14)が左右に大きく揺動する危険性があり、天井倒壊防止用吊りボルト(14)の揺動によって、これに吊持される天井材(4)が破壊、落下する大きな要因となり、又、第1部材(12)と第2部材 (13)を、その回転中心部に枢着するために構造が複雑で製作費が高くつく難点があった。なお図中、周知のように、天井倒壊防止用吊りボルト(14)の下端部にハンガー(15)を介して野縁受け(16)が取り付けられ、該野縁受け(16)にフック部材(17)を介して天井野縁(18)が取り付けられ、該天井野縁(19)に天井材(4)が取り付けられるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術のように、地震等の外部圧力によって天井材等の設置物が破壊したり、倒壊するのを払拭して、傾斜している鉄骨製屋根骨枠に設けてある水平材である鉄骨製母屋を利用して、これに天井材等の設置物の倒壊を防止するようにした設置物の倒壊防止装置を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置は、主に図1に示すように、屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)に直交して水平材である鉄骨製母屋(3)を固着し、この鉄骨製母屋(3)を利用して設けられ、鉄骨製建物に設置される設置部材(4)(4a)が外部圧力を受けて設置場所から倒壊するのを防止するための倒壊防止装置であって、鉄骨製母屋(3)は、縦フランジ部(3a)とその上部の上フランジ部(3b)とその下部の下フランジ部(3c)と上下フランジ部(3b),(3c)の先端部に開口部(3d)を挟んで互いに対向して突設される上下リップ部(3e),(3f)とからなるリップ付き溝形鋼からなり、該リップ付き溝形鋼からなる鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされ且つ上記下リップ部(3f)に係合される取付金具(5)に枢着用ブラケット(6)を下向きに一体突設し、該枢着用ブラケット(6)に一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を略ハの字状下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着し、該一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部を上記設置物(4)(4a)に連結してなる構成からなるものである。
【0005】
請求項2は、請求項1に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置において、図2図5に示すように、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなり、上記枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行に枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に直交するように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6a)からなり、該板状枢着用ブラケット(6a)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる構成からなるものである。
【0006】
請求項3は、請求項1に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置において、図6図9に示すように、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなり、上記枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなり、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる構成からなるものである。
【0007】
請求項4は、請求項1に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置において、図10図13に示すように、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a )と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)とからなり、上記枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなり、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる構成からなるものである。
【0008】
請求項5は、請求項1又は2に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置において、図1図5に示すように、上記倒壊防止用筋交い(7)は、枢着用ブラケット(6)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行に設けられた上記枢着軸(8)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に直交して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着される筋交い基部部材(7a)と、連結部材(9)を介して筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなる。
【0009】
請求項6は、請求項3又は4に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置において、図6図13に示すように、上記倒壊防止用筋交い(7)は、上記枢着用ブラケット(6)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して設けられた上記枢着軸(8)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢止連結される板状筋交い基部部材(7a)と、その上端部が板状筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなる。
【0010】
請求項7は、請求項3、請求項4 又は請求項6に記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置において、図6図13、特に図7又は図9によく示されるように、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)は、上記鉄骨製屋根骨枠(2)の勾配角度に合わせて傾斜状態に固着される鉄骨製母屋(3)の傾斜状態如何によらず常に真下に向いて一体突設されるようになっている。
【0011】
請求項8は、請求項1〜7の何れかに記載の鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置において、上記枢着軸(8)は、ボルト軸(8a)とこれにねじ込まれるナット(8b)とからなる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1によれば、図1に示すように、屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)に直交して該骨枠(2)に水平材であるリップ付き溝形鋼からなる鉄骨製母屋(3)を固着してなるため、図2に示すように、鉄骨製屋根骨枠(2)の勾配角度に合わせて該鉄骨製屋根骨枠(2)の上面に一体的に載置される水平材である鉄骨製母屋(3)及びこれに固着される取付金具(5)は、鉄骨製屋根骨枠(2)の勾配角度に合わせて傾斜状態となり、取付金具(5)に下向きに一体突設される枢着用ブラケット(6)も、その真下の下向き状態から斜め傾斜方向の下向き状態となる。したがって、これに枢着される倒壊防止用筋交い(7)も、その下向き傾斜取付位置が変位しようとするが、該倒壊防止用筋交い(7)は枢着用ブラケット(6)に下向き傾斜角度を変更可能に枢着されてなるため、取付金具(5)に一体突設される枢着用ブラケット(6)が、図2に示すように、その真下の下向き状態から斜め傾斜方向の下向き状態に変位しても、枢着用ブラケット(6)に枢着される一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)は、枢着用ブラケット(6)との枢着部でその傾斜角度を変更可能に余裕を持って枢着されているため、該枢着部を中心に夫々水平面から同じ傾斜角度の略ハの字に維持することができる。これがために、これら一対の倒壊防止用筋交い(7)の下端部を連結される設置物(4)(4a)をその設置位置に安定して保持し、確実に倒壊防止の役割を果たすことができる。
【0013】
請求項2によれば、図2図5に示すように、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなるため、取付金具(5)及びこれに下向きに一体突設される枢着用ブラケット(6)は鉄骨製母屋(3)に堅固に取り付けられることになる。又、枢着用ブラケット(6)は、取付金具(5)の下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設されるため、該ブラケット(6)の製作が容易である。
【0014】
そして、枢着用ブラケット(6)は、鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行に枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に直交するように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6a)からなるため、該板状枢着用ブラケット(6a)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着することが可能となり、屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)に、その長手方向適当間隔に取り付けられる鉄骨製母屋(3)に直交して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を正確に且つ容易に取り付けることができる。
【0015】
請求項3によれば、図6図9に示すように、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなるため、取付金具(5)及びこれに下向きに一体突設される枢着用ブラケット(6)は鉄骨製母屋(3)に堅固に取り付けられることになる。又、枢着用ブラケット(6)は、取付金具(5)の下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設されるため、該ブラケット(6)の製作が容易である。
【0016】
そして、枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなるため、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着することが可能となり、その長手方向適当間隔に取り付けられる鉄骨製母屋(3)に平行して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を正確に且つ容易に取り付けることができる。
【0017】
請求項4によれば、図10図13に示すように、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり、下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)とからなるため、取付金具(5)及びこれに下向きに一体突設される枢着用ブラケット(6)は鉄骨製母屋(3)に堅固に取り付けられることになるのみならず、取付金具(5)を鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)へのビス止め作業と下リップ部(3f)への係合作業のみで固着するため、固着作業を容易で迅速に行うことができる。又、枢着用ブラケット(6)は、取付金具(5)の下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設されるため、該ブラケット(6)の製作が容易である。
【0018】
そして、枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなるため、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着することが可能となり、その長手方向適当間隔に取り付けられる鉄骨製母屋(3)に直交して倒壊防止用筋交い(7),(7)を正確に且つ容易に取り付けることができる。
【0019】
請求項5によれば、図1図2図5に示すように、上記倒壊防止用筋交い(7)は、枢着用ブラケット(6)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行に設けられた上記枢着軸(8)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に直交して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着される筋交い基部部材(7a)と、連結部材(9)を介して筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなるため、構造が簡単で容易に製作することができると共に、倒壊防止用筋交い(7)の長さを連結部材(9)によって調整することが可能であるから、一対の倒壊防止用筋交い(7)の下端部を設置物(4),(4a)の連結位置に合わせて確実に取り付けることができる。
【0020】
請求項6によれば、図6図13に示すように、上記倒壊防止用筋交い(7)は、上記枢着用ブラケット(6)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して設けられた上記枢着軸(8)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢止連結される板状筋交い基部部材(7a)と、その上端部が板状筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなるため、構造が簡単で容易に製作することができる。
【0021】
請求項7によれば、図6図13に示すように、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)は、鉄骨製母屋(3)と同じ勾配角度に傾斜して一体的に取り付けられる取付金具(5)の傾斜角度如何によらず、図7又は図11に特に明瞭に表れるように、その基端部を取付金具(5)の傾斜角度の合わせて鈍角に湾曲させることによって常に真下に一体突設させることが可能となり、この状態で枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して枢着される一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)は水平面から夫々同じ傾斜角度に傾斜して下向きに配設されることになるから、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部に連結される設置物(4)を確実に且つ安定良く保持し、倒壊防止の役割を十分に果たすことができる。
【0022】
請求項8によれば、特に図3図7又は図11に良く表れているように、上記枢着軸(8)は、ボルト軸(8a)とこれにねじ込まれるナット(8b)とからなるため、所定の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製母屋(3)の勾配角度に比例して鉄骨製母屋(3)に枢着用ブラケット(6a)が傾斜状態に下向きに一体突設されても、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)は枢着用ブラケット(6a)に枢着軸(8)を介して、その下端部の設置物(4)に連結されるのに良好な下向き傾斜角度に変更可能に枢着されることになり、その良好な下向き傾斜角度の位置で、枢着用ブラケット(6a)と一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)とを枢着する枢着軸(8)であるボルト軸(8a)にナット(9b)を締め込むことによって、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を良好な下向き傾斜角度に維持することができ、この面からも、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部に連結される設置物(4)を確実に且つ安定良く保持し、倒壊防止の役割を十分に果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置の使用状態説明図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の要部正面図である。
図3図2におけるA−A線断面図である。
図4】同斜視図である。
図5】同分解斜視図である。
図6】本発明に係る第2実施形態の要部側面図である。
図7図6におけるB−B線断面図である。
図8】同斜視図である。
図9】同分解斜視図である。
図10】本発明に係る第3実施形態の要部側面図である。
図11図10におけるC−C線断面図である。
図12】同斜視図である。
図13】同分解斜視図である。
図14】従来装置の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は、本発明に係る鉄骨製建物における設置物の倒壊防止装置の使用状態を示すものである。
【0025】
従来から勾配屋根として、屋根下地や屋根ボード等からなる屋根材(1)が種々の勾配角度に形成されている。この種々の勾配角度に合わせて傾斜して高所から低部に向かって桁材として鉄骨製屋根骨枠(2)が配設されており、この鉄骨製屋根骨枠(2)の上面に直交して水平材である鉄骨製母屋(3)が従来技術と同じように適当な固着具(11)(図14参照)によって固着されている。本発明は、この鉄骨製母屋(3)を利用して、これに倒壊防止装置を設けるようにしたものである。
【0026】
鉄骨製母屋(3)は 従来周知のものであり、縦フランジ部(3a)とその上部の上フランジ部(3b)とその下部の下フランジ部(3c)と上下フランジ部(3b),(3c)の先端部に開口部(3d)を挟んで互いに対向して突設される上下リップ部(3e),(3f)とからなり、夫々のコーナー角度が直角に形成されるリップ付き溝形鋼からなっている。
【0027】
図1に示す実施形態では、リップ付き溝型鋼からなる鉄骨製母屋(3)は、その前記開口部(3d)が鉄骨製屋根骨枠(2)の 傾斜上り側に向くように固着されている。そして、この鉄骨製母屋(3)に、本発明に係る倒壊防止装置の取付金具(5)が取り付けられ、該取付金具(5)を介して鉄骨製母屋(3)に一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)が略ハの字状に取り付けられ、該一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部に鉄骨建物内に設置される通常の天井材からなる設置物(4)が連結されるようになっている。設置物は天井材に限定することはなく、図1の2点鎖線で示すように、鉄骨製建物からなる店舗内の商品棚等の店舗内設置物や工場内の機械類等の工場内設置物等の設置物(4a)も対象となる。要は、地震等の外部圧力を受けることによって鉄骨製建物に付属して設置される設置物(4),(4a)がその設置場所から倒壊するのを防止するためのものを対象とする。倒壊防止用筋交い(7)の下端部を設置物(4),(4a)に連結する手段は特に限定されることはなく、例えば図1の一部を拡大して示すように、倒壊防止用筋交い(7)の下端部に複数のボルト孔(C)を開設しておき、これらのボルト孔(C)から設置物(4),(4a)にボルト(B)をねじ込むことによって連結固着するようにしてもよい。
【0028】
図1図2図5は本発明の第1実施形態を示すもので、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス孔(C1)(図5)からビス(B1)をねじ込んでビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり、その上端部に設けた下向きU字状の係合片(10)を下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス孔(C2)(図5)からビス(B2)をねじ込んでビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなる。なお、補強として、下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)にもビス孔(C3)を設け、これよりビス(B3)を下リップ部(3f)にねじ込むようにしてもよい。
【0029】
枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部を下向きに折曲して一体突設されるが、該枢着用ブラケット(6)に鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行に枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に直交するように折曲して一体突設される板状の枢着用ブラケット(6a)からなり、該板状枢着用ブラケット(6a)に枢着軸(8)を介して一対の対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して略ハの字状に下向き傾斜方向に枢着してなるものであり、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)に、その長手方向適当間隔に取り付けられる鉄骨製母屋(3)に一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を正確に且つ容易に取り付けることができる。
【0030】
そして、該板状枢着用ブラケット(6a)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着する際に、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)は、枢着軸(8)によって下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着することが可能であるから、設置物(4),(4a)の連結位置に合わせて一対の倒壊防止用筋交い(7)を良好な位置に傾斜させることができる。
【0031】
又、枢着軸(8)はボルト軸(8a)とこれにねじ込まれるナット(8b)とからなるため、設置物(4),(4a)の連結位置に合わせて一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を良好な位置に傾斜させた状態で枢着用ブラケット(6)と一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)とをボルト軸(8a)とこれにねじ込まれるナット(8b)とで緊結することによって、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部は設置物(4),(4a)に良好な連結位置に合わせて維持された状態で連結されることになり、設置物(4),(4a)を安定よく且つ確実に連結することができる。
【0032】
上述のように取付金具(5)及びこれに下向きに一体突設される枢着用ブラケット(6)は鉄骨製母屋(3)に堅固に取り付けられることになり、又、枢着用ブラケット(6)は、取付金具(5)の下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設されるため、該ブラケット(6)の製作が容易である。
【0033】
図2又は図3に示すように、上記倒壊防止用筋交い(7)は、筋交い基部部材(7a)と、羽子板ボルトからなる連結部材(9)を介して筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなり、筋交い基部部材(7a)は、枢着軸(8)であるボルト軸(8a)とナット(8b)にその上端部がはさまれる板状部(7a1)と連結部材(9)である羽子板ボルトのボルト部(9a)が雌ねじ孔(C4)にねじ込まれる雌ねじ部(7a2)とからなり、図5に示すように、枢着用ブラケット(6a)のボルト孔(C5)と一対の板状部(7a1),(7a1)のボルト孔(C6),(C6)とにわたってボルト(8a)を貫通させてナット(8b)をねじ込むようになっており、又、帯板状筋交い本体(7b)は、偏平コ字状リブ(7b1)と平面本体部(7b2)とからなり、平面本体部(7b2)に前記連結部材(9)である羽子板ボルトの羽子板部(9)がビス(B4)によってねじ止めされるようになっている。
【0034】
このように、この実施形態の倒壊防止用筋交い(7)は、枢着用ブラケット(6a)に枢着軸(8)を介して枢着される筋交い基部部材(7a)と、連結部材(9)を介して筋交い基部部材(7a)に連結される帯板状筋交い本体(7b)とからなるため、構造が簡単で容易に製作することができると共に、倒壊防止用筋交い(7)の長さを連結部材(9)によって調整することが可能であるから、一対の倒壊防止用筋交い(7)の下端部を設置物(4),(4a)の連結位置に合わせて確実に取り付けることができる。
【0035】
図6図9は、本発明の第2実施形態を示すもので、上記取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス孔(C1)(図9)からビス(B1)をねじ込んでビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり、上端部に形成した下向きU字状の係合片(10)が下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がり該縦フランジ部(3a)にビス孔(C2)(図9)からビス(B2)をねじ込んでビス止めされる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)とからなる。なお、補強として、下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)にもビス孔(C3)を設け、これよりビス(B3)を下リップ部(3f)にねじ込むようにしてもよい。
【0036】
上記枢着用ブラケット(6)は、縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)から下フランジ部ビス止め用部片(5a)にわたって打ち抜き部(19)となして下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなり、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して略ハの字状に下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる構成からなるものである。このように取付金具(5)及びこれに下向きに一体突設される枢着用ブラケット(6)は鉄骨製母屋(3)に堅固に取り付けられることになる。又、枢着用ブラケット(6)は、取付金具(5)の縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)から下フランジ部ビス止め用部片(5a)にわたって打ち抜き部(19)となして下向きに一体突設されるため、該ブラケット(6)の製作が容易である。
【0037】
そして、枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなるため、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着することが可能となり、その長手方向適当間隔に取り付けられる鉄骨製母屋(3)に一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を正確に且つ容易に取り付けることができる。
【0038】
上記倒壊防止用筋交い(7)は、筋交い基部部材(7a)と、帯板状筋交い本体(7b)とからなり、筋交い基部部材(7a)は、枢着軸(8)であるボルト軸(8a)とナット(8b)にその上端部がはさまれて板状部(7a1)と補強用のリブ部(7a2)とからなり、図9に示すように、枢着用ブラケット(6a)のボルト孔(C5)と一対の板状部(7a1),(7a1)のボルト孔(C6),(C6)とにわたってボルト(8a)を貫通させてナット(8b)をねじ込むようになっており、又、帯板状筋交い本体(7b)は、偏平コ字状リブ(7b1)と平面本体部(7b2)とからなり、平面本体部(7b2)に筋交い基部部材(7a)がビス(B4)によってねじ止めされるようになっている。このように、倒壊防止用筋交い(7)は、筋交い基部部材(7a)と、帯板状筋交い本体(7b)との2部材のみからなるため、構造が簡単で容易に製作することができる。
【0039】
又、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)は、鉄骨製母屋(3)と同じ勾配角度に傾斜して一体に取り付けられる取付金具(5)の傾斜角度如何によらず、図7に特に明瞭に表れるように、その基端部を取付金具(5)の傾斜角度に合わせて鈍角に湾曲させることによって常に真下に一体突設させることが可能となり、枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して枢着される一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)は水平面から夫々同じ傾斜角度に傾斜して下向きに配設されることになり、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部に連結される設置物(4)を確実に且つ安定良く保持し、倒壊防止の役割を十分に果たすことができる。
【0040】
図10図13は、本発明の第3実施形態を示すもので、前記第2実施形態との相違点は、第2実施形態では、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の他端部から鉄骨製母屋(3)の縦フランジ部(3a)に沿って立ち上がる縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片(5c)を設けるようになっているが、第3実施形態では、後述のように縦フランジ部ビス止め用立ち上がり部片は設けられない。その他の構造は第2実施形態と同じであるが、念のため、その構造を説明すると、取付金具(5)は、上記鉄骨製母屋(3)の下フランジ部(3c)にビス孔(C1)(図13)からビス(B1)をねじ込んでビス止めされる下フランジ部ビス止め用部片(5a)と、下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から鉄骨製母屋(3)の下リップ部(3f)に沿って立ち上がり、上端部に形成した下向きU字状の係合片(10)が下リップ部(3f)の上端部に係合する下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)とからなるものである。なお、補強として、下リップ部係合用立ち上がり部片(5b)にもビス孔(C3)を設け、これよりビス(B3)を下リップ部(3f)にねじ込むようにしてもよい。
【0041】
枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部から下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなり、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して略ハの字状に下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着してなる構成からなるものである。このように取付金具(5)及びこれに下向きに一体突設される枢着用ブラケット(6)は鉄骨製母屋(3)に堅固に取り付けられることになる。又、枢着用ブラケット(6)は、取付金具(5)の下フランジ部ビス止め用部片(5a)の一端部を折曲ないし湾曲して下向きに一体突設されるため、該ブラケット(6)の製作が容易である。
【0042】
そして、枢着用ブラケット(6)は、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)からなるため、該板状枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行して下向き傾斜方向にその傾斜角度を変更可能に枢着することが可能となり、その長手方向適当間隔に取り付けられる鉄骨製母屋(3)に一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)を正確に且つ容易に取り付けることができる。
【0043】
上記倒壊防止用筋交い(7)は、筋交い基部部材(7a)と、帯板状筋交い本体(7b)とからなり、筋交い基部部材(7a)は、枢着軸(8)であるボルト軸(8a)とナット(8b)にその上端部がはさまれて板状部(7a1)と補強用のリブ部(7a2)とからなり、図13に示すように、枢着用ブラケット(6a)のボルト孔(C5)と一対の板状部(7a1),(7a1)のボルト孔(C6),(C6)とにわたってボルト(8a)を貫通させてナット(8b)をねじ込むようになっており、又、帯板状筋交い本体(7b)は、偏平コ字状リブ(7b1)と平面本体部(7b2)とからなり、平面本体部(7b2)に筋交い基部部材(7a)がビス(B4)によってねじ止めされるようになっている。このように、倒壊防止用筋交い(7)は、筋交い基部部材(7a)と、帯板状筋交い本体(7b)との2部材のみからなるため、構造が簡単で容易に製作することができる。
【0044】
又、上記下フランジ部ビス止め用部片(5a)に下向きに一体突設され、鉄骨製母屋(3)の長手方向に対し直交して枢着軸(8)を取り付けることが可能なように板面(P)が鉄骨製母屋(3)の長手方向に平行になるように一体突設される板状の枢着用ブラケット(6b)は、鉄骨製母屋(3)と同じ勾配角度に傾斜して一体に取り付けられる取付金具(5)の傾斜角度如何によらず、図11に特に明瞭に表れるように、その基端部を取付金具(5)の傾斜角度に合わせて鈍角に湾曲させることによって常に真下に一体突設させることが可能となり、枢着用ブラケット(6b)に枢着軸(8)を介して枢着される一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)は水平面から夫々同じ傾斜角度に傾斜して下向きに配設されることになり、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部に連結される設置物(4)を確実に且つ安定良く保持し、倒壊防止の役割を十分に果たすことができる。
【0045】
上記のように、第1実施形態にあっては、図1に示すように、一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)は 鉄骨製屋根骨枠(2)の長手方向に沿うよう、即ち、鉄骨製屋根骨枠(2)に平行に略ハの字状に展開してその下端部を設置物(4),(4a)に連結してなるものであるが、第2実施形態と第3実施形態は、第1実施形態が一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)が鉄骨製屋根骨枠(2)の長手方向に平行に略ハの字状に展開するのに対して、これとは直交する方向、即ち、鉄骨製屋根骨枠(2)の長手方向に対しこれに直交する方向に展開するようにしたもので、鉄骨製屋根骨枠(2)に直交して略ハの字状に展開した一対の倒壊防止用筋交い(7),(7)の下端部を設置物(4),(4a)に連結してなるものである。したがって、この第1実施形態と第2及び第3実施形態とを組み合わせた倒壊防止用筋交い(7),(7)を展開させて設置物(4),(4a)を連結保持するようにすれば、外部圧力に対して、その設置位置から倒壊することなく、より強力に維持することが可能である。
【0046】
なお、本発明において、屋根材(1)の勾配に合わせて種々の勾配角度に傾斜して配設される鉄骨製屋根骨枠(2)は、屋根材(1)が陸屋根のように水平である場合、即ち勾配角度が零の場合も含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
(1) 屋根材
(2) 鉄骨製屋根骨枠
(3) 鉄骨製母屋
(4) 設置物
(4a) 設置物
(5) 取付金具
(6) 枢着用ブラケット
(7) 倒壊防止用筋交い
(8) 枢着軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14