(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷却回路を含むヒートポンプのシステムにおいて冷媒を潤滑剤から分離するための装置であって、前記冷却回路が、冷媒ガスの圧力を上昇させる圧縮機(23)と、前記圧縮機と流体連通しており、前記冷媒ガスを高圧の液体へと凝縮する凝縮器(25)と、前記凝縮器と流体連通しており、前記高圧の液体をガスに同伴された液体のミストへと変換する膨張弁(31)と、前記膨張弁および前記圧縮機と連通しており、液冷媒の状態を冷媒ガスへと変える蒸発器(27)とを有し、前記圧縮機が、潤滑を必要とする構成部品と、前記圧縮機で前記冷媒と混合する潤滑剤とをさらに含む、装置において、
前記潤滑剤、前記冷媒、およびそれらの組み合わせを前記圧縮機から受け入れる、加熱能力を有しない油溜め(10)と、
前記潤滑剤を、前記油溜めから、潤滑を必要とする前記圧縮機の一部分へと提供するための手段と、
前記潤滑剤と混合される冷媒の量を減らす、前記油溜めと前記システムの低圧領域との間の冷媒圧力低下装置(409)であって、前記油溜め(10)内の前記冷媒の温度をさらに下げながら前記油溜め内の冷媒ガス圧力を前記システムの前記低圧領域内の冷媒ガス圧力未満に下げ、それによって、前記圧縮機構成部品を潤滑するために前記潤滑剤が前記油溜めから戻される前に、前記潤滑剤を冷却しながら冷媒ガスを前記油溜めから前記システムの前記低圧領域へと除去する冷媒圧力低下装置(409)と
によって特徴付けられる装置。
前記冷媒圧力低下装置(409)が、前記油溜め(10)および前記システムの前記低圧領域と連通している回路を備え、前記回路が、冷媒ガスを冷却し前記冷媒を液相へと凝縮する補助凝縮器(709)と、冷媒ガスを前記補助凝縮器へと送る、前記油溜め(10)と前記補助凝縮器(709)との間の導管(713)と、前記補助凝縮器での冷却の後、凝縮された冷媒を保管する流体保管空間(717)と、前記システムの前記低圧領域へと冷媒を汲み出す液体ポンプ(719)と、前記流体保管空間(717)における冷媒液の量を制御する液体レベルセンサ(721)とを備える、請求項1に記載の装置。
冷媒を用いる蒸気圧縮システムにおいて半密閉圧縮機モータを冷却するための装置であって、前記システムが冷却回路を含み、前記冷却回路が、冷媒ガスの圧力を上昇させるための圧縮機(23)と、前記圧縮機と流体連通しており、前記冷媒ガスを高圧の液体へと凝縮するための主凝縮器(25)と、前記凝縮器と流体連通しており、前記高圧の液体をガスに同伴された液体のミストへと変換する膨張弁(31)と、前記膨張弁および前記圧縮機と連通しており、液冷媒の状態を冷媒ガスへと変える蒸発器(27)とを含み、前記圧縮機(23)が圧縮機モータ(350)をさらに含み、前記圧縮機モータ(350)がシャフト(128)と、前記モータのための筐体(382)とをさらに含み、前記筐体が空洞(352)を有し、前記モータ(350)が前記筐体に収容され、前記モータが、電界を入れ替えるステータ(88)と、前記シャフト(128)に取り付けられたロータ(129)とを有し、前記ロータおよび前記シャフトが、前記交流電界によって回転する、装置において、
前記筐体(382)の冷媒入口(81)と、
前記モータ筐体からの冷媒出口(387、392)と、
前記モータ筐体と前記システムの低圧領域との中間に位置する冷媒圧力低下装置(409)であって、前記冷媒圧力低下装置は、前記冷媒出口を通って前記モータ筐体の空洞(352)と流体連通し、かつ前記システムの前記低圧領域と流体連通しており、前記システムの低圧領域は前記膨張弁(31)の下流と圧縮機入口(34)との間にあり、前記筐体(382)の前記冷媒が前記システムの前記低圧領域において前記システムへと戻されるように、前記筐体(382)からの前記冷媒ガスを前記システムの前記低圧領域に放出するときに前記システムの前記低圧領域より低い圧力へと前記筐体からの冷媒ガス圧力を低下させる冷媒圧力低下装置(409)と
によって特徴付けられる装置。
前記冷媒圧力低下装置(409)が、前記筐体(382)および前記システムの前記低圧領域と連通している回路を備え、前記回路が、前記筐体(382)からの冷媒ガスを冷却して凝縮する補助凝縮器(709)と、冷媒を前記補助凝縮器(709)へと送る、前記筐体(382)と前記補助凝縮器(709)との間の導管(392)と、前記補助凝縮器(709)と流体連通しており、前記補助凝縮器(709)での冷却の後、凝縮された冷媒を保管する流体保管空間(717)と、前記流体保管空間(717)から前記システムの前記低圧領域へと冷媒を汲み出す液体ポンプ(719)と、前記流体保管空間(717)における液体の量を制御する液体レベルセンサ(721)とを備える、請求項8に記載の装置。
前記冷媒圧力低下装置(409)が、前記筐体(382)および前記システムの前記低圧領域と連通している回路を備え、前記回路が、冷媒ガスを冷却して凝縮する補助凝縮器(709)と、冷媒ガスを前記補助凝縮器(709)へと送る、前記モータ筐体(382)と前記補助凝縮器(709)との間の導管(392)と、前記補助凝縮器(709)と流体連通しており、前記補助凝縮器(709)での冷却の後、凝縮された冷媒を保管する流体保管空間(717)と、前記流体保管空間(717)から前記システムの前記低圧領域への冷媒の流れを調節する弁(17)とを備える、請求項8に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
[0002]遠心式圧縮機は、空気調和またはプロセス用途のために使用される大容量水冷却機への媒体に通常用いられており、その冷却機から冷却される空間へと出て行く冷却された水温は、典型的には約7℃(華氏45度)の程度とされている。エネルギー節約と再生可能エネルギーからの便益とを生み出すために、ヒートポンプに対する要求が増している。ある用途では、このようなヒートポンプの「冷熱源」は、例えば、ヒートポンプが地熱水の温度を上昇させるために用いられるとき、比較的高い温度の流体であり得る。多くの様々な可能な用途のため、ヒートポンプの蒸発器から出て行く冷却された水の温度は、典型的には5〜60℃(華氏41〜140度)といった、非常に広い範囲にわたって異なり得る。この温度範囲の低温側では、蒸発器における条件が、標準的な水冷却機の条件と似通っており、そのため、このような用途についてのヒートポンプの設計は、標準的な水冷却機の設計と非常に近くなっている。しかし、蒸発器において出て行く冷却された水の温度が上昇するにつれて、出て行く冷却された水の温度は、最終的に、標準的な水冷却機の技術がもはや使えない温度に達してしまう。
【0003】
[0003]圧縮機は、HVACシステムにおける重要な構成部品であり、圧縮機運転条件は、蒸発および凝縮の圧力および温度によって定められる。一部の圧縮機は、いわゆる全密閉型および半密閉型の圧縮機である。これらの圧縮機ユニットは、圧縮機と共に、一般的な筐体の内部に密閉されたモータを有している。モータは、モータを包囲して冷却する冷媒の雰囲気の中で運転する。半密閉型圧縮機と全密閉型圧縮機との間の唯一の大きな違いは、半密閉型圧縮機用の筐体が、圧縮機またはモータを修理するために分解できるフランジを備えていることである。全密閉型圧縮機は、通常、家庭用冷蔵庫または窓用空気調和機のものなど、比較的小さい大きさのものである。全密閉型圧縮機は、密閉された封止体で完全に缶詰めにされており、分解できない。半密閉型でも全密閉型でもない圧縮機は、冷媒回路の外側にあり、空気または水などの冷媒でない流体によって冷却されるモータによって、駆動される。これらの圧縮機は、開放型圧縮機と呼ばれている。本発明は、半密閉型圧縮機と全密閉型圧縮機とに特に適用可能性を見出しているが、開放型圧縮機での使用も見出せる。半密閉、全密閉、半密閉型圧縮機、および全密閉型圧縮機といった用語は、本明細書では相互に置き換え可能に用いられ得る。
【0004】
[0004]蒸発および凝縮の圧力と関連付けられる蒸発温度と凝縮温度との間の差は、典型的には、デルタ(Δ)50℃((Δ)華氏90度)の程度のものである。ヒートポンプに関しての温度の上の方の範囲では、蒸発温度は、60℃(華氏140度)の高さになり得るか、または、さらに高くなり得る。蒸発器における通常のピンチを考慮すると、蒸発温度は、典型的には、蒸発器から出て行く水の温度より約(Δ)2℃((Δ)華氏3.6度)低く、蒸発器温度が60℃のときには、約62℃(華氏144度)の出て行く水の温度をもたらす。
【0005】
[0005]遠心式圧縮機を用いる水冷却機およびヒートポンプは、一般的に、炭化水素に由来する合成冷媒流体を使用する。環境上の懸念のため、CFC、HCFC、HFC、またはHFOの族に属する、合成冷媒のうちのいくつかの族が、使用されてきたか、使用されているか、または、開発中である。現在運用中のほとんどの遠心式冷却機は、HFC−134aを使用している。ヒートポンプ用途のより高い温度範囲のため、HFC−245faなど、より低圧の冷媒流体を使用する傾向がある。これらのHFCは、次世代のハイドロフルオロオレフィン(HFO)によってある程度まで置き換えられる可能性がある。
【0006】
[0006]典型的な遠心式圧縮機の潤滑回路では、オイルが油溜めの下方部から回収される。オイルは、軸受と、例えば、歯車駆動の圧縮機については歯車、および、シャフトシールといった、潤滑を必要とする圧縮機の他の位置へとオイルを送るために、オイルポンプによって循環され、加圧される。潤滑を提供した後、オイルは排出され、重力によって油溜めへと戻される。システムは、圧縮機への潤滑剤の噴射の前に、ポンプ吐出側に通常配置されるオイル冷却機によって、補完されている。オイル冷却機は、潤滑剤によって吸収される、例えば、軸受および歯車においてといった圧縮機で生じられる機械摩擦によって発生される熱を、排除する効果を有する。オイル加熱器も、始動時に圧縮機を適切に潤滑するために適した粘度の潤滑剤を提供するために、圧縮機が運転されていないときにオイルを十分に暖かく保つように、油溜めに設置される。
【0007】
[0007]冷媒回路で使用される潤滑される圧縮機では、液体である潤滑オイルが、ガス冷媒の存在する中で、油溜めおよび潤滑オイル回路の様々な部品にある。遠心式または往復動式の圧縮機では、油溜めの圧力は、通常、圧縮機の吸込み圧力かその近くで等しくされるか、または、通気される。この機能は、油溜めの上方の部分からガス冷媒を回収するガス均圧管によって実施される。回収されたガス冷媒は、蒸発器または圧縮機吸込みなど、冷媒回路の低圧側へと戻される。この通気の理由は、潤滑オイルと冷媒の大部分との間の相互の混和性と、オイル粘度におけるこの混和性の効果とに関連付けられる。オイルと冷媒との混合物の粘度は、温度だけでなく、オイル中の冷媒の希釈にも依存する。この希釈は、冷媒およびオイルの温度と、冷媒ガスの圧力とに依存する。一般的な傾向は、温度が低下するにつれて、オイルでの冷媒の溶解の量が増加する一方で、冷媒による希釈を増加することは、粘度を低下させる傾向がある。この作用のため、冷媒およびオイルの温度を下げることは、オイルの粘度を低下させる傾向があり、これは、温度が上昇するにつれて粘度が下がる純粋なオイルについての一般的な傾向と反している。そのため、オイルでの冷媒の溶解と、その結果生じる粘度とは、流体温度、冷媒圧力、および、オイルと冷媒との相互の混和性に依存して、複雑な関係にある。オイル粘度を低下させる効果を有することを除いて、オイルでの冷媒による希釈は、別の不都合な効果を有し得る。主なものは、圧力低下または温度上昇の場合における、回路の一部分でのオイルフォーミングである。これは、オイルポンプの望ましくないキャビテーション、または、潤滑性の大幅な低下を引き起こし、機械的な不具合をもたらす可能性がある。
【0008】
[0008]潤滑回路の冷媒は、2つの供給源から来る。冷媒の第1の供給源は、循環するオイル自体にある。潤滑の目的のための圧縮機内のオイルの経路は、オイルを冷媒と接触させている。いくらかの冷媒は、気相および液相の両方でオイル潤滑回路に入る可能性がある。オイルは、冷却回路の多くの部品でガス冷媒の存在中にあるため、いくらかの冷媒を吸収する傾向がある。圧縮機におけるより高い圧力の場所からのガス冷媒は、より低い圧力にある油溜めにも移動する。典型的な例は、ラビリンスシールからの、および、ラビリンスシールの周りでの、ガス漏れである。同様に、往復動式圧縮機では、圧縮された冷媒ガスの一部が、ピストンリングを通じて漏れ、油溜めへと移動する。また、潤滑過程は、オイルフォーミングをもたらすオイルのかなりの大きさの攪拌を引き起こし得る。例として、高速の歯車の潤滑、または、往復動式圧縮機におけるクランクケースの回転から生じるオイル飛沫がある。オイル戻し回路が、相当の量の液冷媒を油溜めへも導入する可能性があり、油溜めに入る液冷媒の必ずしもすべてがすぐに勢いを緩めるわけではないことは、留意されるべきである。この複雑な機構のため、一部の冷媒は、圧縮機油溜めから永久に除去されなければならない。油溜めの1つの目的は、潤滑オイル回路で再び循環される前に、オイルを落ち着かせ、オイルに冷媒ガスの泡を放出させる機会を与えることである。このガス分離の後であっても、一部の冷媒は、油溜めにあるオイルに溶解されたままとなっている。油溜めにおけるオイル上方の蒸気空間は、通常、圧縮機吸込みへと直接的に通気されており、その圧縮機吸込みは、蒸発器の圧力より若干低いだけの圧力になっている。油溜めでの若干高い圧力が、分離されているガス冷媒を、蒸気として、コンプレッサの吸込み位置において圧縮機へと再び導入させる。遠心式圧縮機の場合には、油溜めから除去される必要がある冷媒の全体量は、典型的には、圧縮機の全体の流れのうちの1〜3%の程度のものである。
【0009】
[0009]ヒートポンプ用途では、蒸発圧力が、水冷却機においてよりも実質的に高くなる傾向があり、これは、オイルによって吸収される冷媒の量を増加させるため、オイル粘度を低下させ、オイルの潤滑性を低下させる傾向がある。オイル温度はまた、オイル希釈レベルを許容可能な値に保ち、オイル粘度をさらに低下させるために、より高い値に設定されるべきである。この効果を補償するために、より大きい粘度を持つオイル等級が用いられ得る。しかし、粘度に対するこの補償があったとしても、温度上昇は他の問題を生じさせる。それらの問題の中には、オイル温度が高すぎるとき、シャフトシールおよび軸受の不具合の危険性がある。この問題がある程度まで解決できない基本的な理由はないが、これは、時間を必要とし、標準から外れたよりコスト高な解決策をもたらすコスト高な評価を必要とし得る。そのため、望まれているものは、標準的な冷却機の条件と、より高い温度のヒートポンプの条件との間の差の一部を補償することになるシステムである。これは、標準的な空調用圧縮機の適用の範囲を、冷却機用途を超えてヒートポンプ用途まで拡張することを可能にもするものである。
【0010】
[0010]地熱システムなどのシステムで使用されるヒートポンプに対してコストを低く保つために、および、技術者および他の点検員に対する複雑性を最小限にするために、高温ヒートポンプとして使用される冷却機に関する機器の設計および共通性を、標準的な水冷却機システムに使用されるものにできるだけ近づけて維持することが望まれる。しかしながら、ヒートポンプ用途で用いられるなど、実質的に高い蒸発温度を利用するシステムは、特には、潤滑システムおよびモータ冷却に関連して、および、開放型圧縮機を採用する設計ではシャフトシールの潤滑に関連して、多くの問題を生じさせる。必要とされるものは、オイルによって吸収される冷媒の量を低減でき、そのため、オイルの潤滑性が悪影響を受けないシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0037]
図1は、蒸発器27と流体連通している凝縮器25と流体連通しているモータ/圧縮機23を描写している、典型的な冷却システムの概略図である。冷媒ガスは、圧縮機23でより高い圧力へと圧縮される。高圧の冷媒ガスは、凝縮器25へと流れた後、図示していないが、熱交換を介して高圧の液体へと凝縮される。次に、高圧の冷媒液は蒸発器27へと送られる。凝縮器25および蒸発器27の中間の膨張弁31が、高圧の冷媒液を、より低い温度におけるガスと液体との混合であるミストへと膨張する。蒸発器27では、液冷媒ミストが相を液体から気体へと変えるとき、熱交換流体から熱を吸収し、液冷媒は蒸発させられる。冷却された熱交換流体は、ビルディング環境へと直接的に、または、必要とされるまで冷却された水を保管するための冷却機など、中間媒体へと間接的に送られる。相変化を受けた蒸発器27からの冷媒ガスは、低圧にあり、圧縮機23に対する冷媒ガス供給源として機能する。同じく
図1に描写されているのは、オイルを圧縮機23から回収し、圧縮機23の適切な機能にとって基本である油溜め10である。油溜め10は、図示されているように、潤滑オイルが重力によって油溜め10へと流れるように、圧縮機の下にある。
【0023】
[0038]
図2は、遠心式圧縮機と、関連する油溜めシステムとの断面図である。
図2は、圧縮機23と油溜め10とを描写している。一部の潤滑オイルは、動力不具合の場合のコーストダウンの間に一部のオイル供給を維持するように意図されている補助オイル貯留部32に保持されている。圧縮機23は、典型的には蒸発器(
図1に示されている)である低圧の供給源から冷媒ガスを受け入れる入口34を備えている。冷媒ガスは、渦巻室38へと送達される前に、羽根車36によって圧縮される。潤滑は、シャフトシール40と、主ジャーナルスラスト軸受42と、スラストカラー44と、二重ベローシャフトシール46と、低速歯車後方軸受48と、ピニオン歯車シャフト軸受50と、スラストカラー軸受52と、低速歯車54とを潤滑するために提供される。潤滑剤および冷媒は、少量の加圧された冷媒ガスが羽根車36から、先に記載した様々な潤滑される構成部品へと不可避的に漏れるため、互いと接触している。圧縮機構成部品を潤滑した後、潤滑剤/冷媒の混合物は、重力によって、導管56を通って油溜め10へと流れ出る。再循環される前に油溜め10に落ち着いている間、冷媒ガスが、油溜めにおける圧力および温度の状態に依存して、定常状態の溶解性を超過する混合物から放出される。任意のある瞬間の時間に油溜め10に集まることができる冷媒の正確な量は測定するのが難しいが、オイルによって吸収され、油溜め10で分離されるべき冷媒は、圧縮機の全流量の約1〜3%であることが推定されている。圧縮機が停止されてオイルが冷却するときに望ましくないオイル粘度を回避するために、オイルヒータ57が設けられており、圧縮機23が始動してすぐに適切な粘度を有するように、所定の温度範囲内に潤滑剤を加熱または維持する。流体は、液中ポンプ60によって油溜め10から汲み出され、オイルが所定の運転温度を越えるときのみ作動されるオイルクーラ62へと送られる。油溜めでオイルから分離された冷媒ガスは、通気管102(
図3参照)を通って圧縮機入口34へと送られ、一方、混和可能な冷媒ガスをなおも含み得るオイルは、オイル貯留部32へと送られ、そこで、潤滑の目的のために圧縮機へと計量して送られ、その後に潤滑サイクルが繰り返す。
【0024】
[0039]蒸発の圧力および温度が水冷却機においてよりも実質的に高くなる傾向があるヒートポンプシステムでは、オイル温度も、オイル希釈を許容可能な値に保つために、より高い値に設定されるべきである。このより高い温度の結果として、オイル粘度は、水冷却機システムの場合と同じ等級のオイルが用いられる場合、低減されることになる。より高い粘度のオイル等級が、ヒートポンプシステムで曝されるより高い温度を補償するために用いられ得る。しかし、粘度に対するこの補償があったとしても、このようなヒートポンプシステムにおけるオイルの温度上昇は他の問題を生じさせる。それらの問題の中には、仮にオイル温度が高すぎる場合、シャフトシールおよび軸受の不具合の危険性がある。本発明は、オイル温度にも影響を与える運転の温度の差による、標準的な冷却機の運転と、より高い温度のヒートポンプの運転との間の差の一部を、補償するシステムを提供することである。本発明が、小規模で安価な変更によって、冷却機用途で用いられる現在の標準的な圧縮機システムの用途の範囲をヒートポンプ用途まで拡張するのは当然である。
【0025】
[0040]
図3は、
図2の先行技術の断面の表示の簡略化されたものであり、簡略化された潤滑サイクルの概略(図示の目的のためのもの)を示しており、潤滑剤と混和可能な冷媒とは圧縮機23から導管56を通って油溜め10へと排出され、次に、油溜め圧力にある冷媒ガスが、ガス導管102に沿って圧縮機入口へと戻される状態となっており、一方、混和可能な冷媒を含む潤滑剤は、導管104に沿って圧縮機23へと戻されている。
【0026】
[0041]
図3〜
図7は、先行技術と、本発明によってもたらされる改善とを描写している簡略化された概略(図示の目的のためのもの)であるが、
図2に描写されている潤滑回路の運転のために必要とされる特徴は、本明細書で説明しているような革新的な圧力低下装置409の追加があるが、
図4〜
図7で表された回路にも存在する。
【0027】
[0042]
図4は、本発明の簡略化されたものを提供しており、簡略化された概略をここでも用いている。
図4では、圧力低下装置409は、冷媒ガスを油溜めから引き込みつつ、油溜めにおける冷媒ガスの圧力を低下させるために、油溜め10と圧縮機入口34との間に位置付けられている。圧力低下装置409は、連結411を通って圧縮機34の入口へと連結されているように示されているが、そのように制限されておらず、当業者により認められることになるように、圧力低下装置409は、冷却回路の任意の低圧の位置へと連結され得る。ほとんどの場合、この低圧の位置は蒸発器27であるが、蒸発器27または蒸発器入口と、圧縮機入口34を含む、圧縮機入口34との間での、システムへの任意の連結によるものであり得る。圧力低下装置409は、油溜めにおける冷媒ガスの圧力(および温度)の低下を可能にする。先に説明したように、油溜め10における冷媒ガスの圧力の低下は、オイルにおける冷媒の希釈を減らす有益な効果があり、それによって、オイル粘度の低減を緩和する一方で、シャフトシールおよび軸受の適切な潤滑を提供する。油溜めにおいて冷媒圧力を下げることは、いくつかの組み合わされた便益を組み合わせる「好循環」を開始し、便益のうちの1つは、ヒートポンプ条件で直面するものなど、より高い蒸発の温度および圧力において運転する冷却システム21の能力である。このようなヒートポンプ条件で運転するとき、圧力低下に向けた目標は、油溜めガス圧力を、水冷却機として運転するときの同じ圧縮機の有効範囲と一致する値に設定することである。したがって、圧縮機の所与の型式が有効とされる場合、例えば、所与の冷媒で20℃(華氏68度)の蒸発温度に関して、目標は、すべての潤滑パラメータを、冷却機に関しての同じ標準値に設定するために、ヒートポンプ運転において、20℃の飽和温度に対応する油溜め圧力を設定することである。当然ながら、これは、機械が信頼できることになることを保障するには十分ではない。この一連の行動が、冷却機用途の標準的な圧縮機を高温での使用に変換する上で、設計圧力、シャフト動力、軸受負荷などの他のパラメータが有効とされなければならないため、問題のすべてを解決することはないが、潤滑と関連付けられる問題は解決されて当然である。
図2に示されているようなシステムの詳細の必ずしもすべてが
図4の簡略化されたものに示されているわけではないが、
図2に示されているシステムの詳細のすべても、新規の圧力低下装置409が油溜めと冷却システム21の低圧位置との間に含まれていることを除いて、
図4の簡略化されたシステムにあると考えられる。
【0028】
[0043]油溜めにおける圧力低下は、異なる方法で達成され得る。
図5は、本発明の実施形態の簡略化されたものを描写しており、本発明の図示のために簡略化された概略をここでも用いている。
図2に示されているようなシステムの詳細の必ずしもすべてが
図5の簡略化されたものに示されているわけではないが、
図2に示されているシステムの詳細のすべても、圧力低下装置509が油溜めと冷却システム21の低圧位置との間に含まれていることを除いて、
図5の簡略化されたシステムにあると考えられる。
図5では、圧力低下装置は、冷媒ガスを油溜め10から引き込みつつ、油溜めにおける冷媒ガスの圧力を低下させるために、油溜め10と圧縮機入口34との間に位置付けられている小さい追加的な「補助」圧縮機509である。補助圧縮機509は、油溜め10のガス容積に連結されている吸込み側と、主圧縮機23の圧縮機入口34に連結されている吐出側とを有している。この実施では、補助圧縮機509の能力は、先に記載したように、油溜め10の冷媒圧力をあらかじめ選択された値(例えば、上記の例における20℃での冷媒流体の飽和圧力に対応する)に保つような方法で制御される。先に記載した当業者によって認められているように、補助圧縮機509の吐出は、
図1に示されているように、蒸発器27、または、蒸発器27と圧縮機入口34との間の任意の位置など、冷却システム21の任意のより低い圧力の位置へと接続されてもよい。
【0029】
[0044]補助圧縮機509の使用は、概念的には単純である一方、いくつかの欠点も有している。その追加の製造および運転のコストの他に、補助圧縮機509は、おそらくは信頼性および保守の問題のある機械部品でもある。加えて、その運転コスト、具体的なエネルギー消費は、重要であり得る。さらに、可変運転状態の状況において、このような補助圧縮機509の使用に関連する容量制御は、問題となり得る。しかしながら、冷却システム21における補助圧縮機509の使用は、油溜め10において冷媒を減らすために実行可能な選択肢である。
【0030】
[0045]
図6に描写されている別の実施形態では、本発明の実施形態の簡略化された概略、ジェットポンプとも称されるエゼクタポンプ609が、油溜め10と関連付けられた圧力低下装置として描写されている。ここでも、
図2に示されているようなシステムの詳細の必ずしもすべてが
図6の簡略化されたものに示されているわけではないが、
図2に示されているシステムの詳細のすべても、エゼクタポンプ609が油溜め10と冷却システムの低圧位置との間に位置付けられていることを除いて、
図6の簡略化されたシステムにあると考えられる。
図6では、凝縮器25と流体連通している導管615からの高圧のガスが、必要により膨張弁(図示せず)を通過した後、エゼクタポンプ609を作動するためにエネルギーを提供するように用いられる。エゼクタ出口では、凝縮器25からのこの高圧の冷媒流体と、油溜め10から汲み出された低圧のガスとの混合物が、好ましくは蒸発器である、冷却システムにおける低圧の位置へと送られる。導管611を介して圧縮機入口34と直接的に流体連通しているとして
図6に示されているが(
図4および
図5と一致しているため)、低圧位置は、先に記載したように、圧縮機23と低圧にある蒸発器27との間の任意の中間の位置であり得る。エゼクタポンプを使用するこの実施形態の利点は、
図5の補助圧縮機509の使用で見出されるように、エゼクタポンプは部品の動作を回避していることである。この実施形態は、エゼクタポンプ609が通常は効率が比較的悪く、そのため冷却システムのエネルギー効率を不利にするため、欠点に悩まされる。それにもかかわらず、冷却システム21におけるエゼクタポンプ609の使用は、油溜め10において冷媒を減らす実行可能な選択肢であり、一方、潤滑システムを、ヒートポンプ用途に見られるより高い温度のシステムと運転させることができる。
【0031】
[0046]
図7に描写されている本発明の好ましい実施形態では、本発明の実施形態の簡略化された概略、補助凝縮器709が、油溜め10と関連付けられた圧力低下装置として描写されている。ここでも、
図2に示されているようなシステムの詳細の必ずしもすべてが
図7の簡略化されたものに示されているわけではないが、
図2に示されているシステムの詳細のすべても、補助凝縮器709が油溜め10と冷却システムの低圧位置との間に含まれていることを除いて、
図7の簡略化されたシステムにあると考えられる。
図7では、油溜め10からの冷媒ガスが、導管713を介して、補助凝縮器709と流体連通している。油溜め10からのガスは、冷却回路715を通じて流れる冷却流体と熱交換の関係にある補助凝縮器709に入る。冷却回路715における冷却流体は、冷媒ガスを冷却し、その冷媒ガスをガスから液体へと凝縮させ、液冷媒は、導管730を介して、液体保管空間717へと送られる。
【0032】
[0047]補助凝縮器709は、油溜め10における所望の冷媒圧力と等しい凝縮圧力を提供するように選択される。これは、補助凝縮器709における冷媒ガスを、ヒートポンプの冷却源より低い温度にある冷却流体によって冷却させる必要がある。例えば、補助凝縮器709における所望の凝縮圧力が、20℃(華氏68度)の飽和温度に対応する場合、補助凝縮器709は、好ましくは、約12℃(約華氏54度)の入口温度と約18℃(約華氏64度)の出口温度とを有する水で冷却される。冷却水は、任意の利用可能な冷却された水の供給源からと共に、所望の温度範囲内の地下水から提供され得る。補助凝縮器709における凝縮圧力は、油溜め10において所望のガス圧力を維持するために、補助凝縮器709の冷却回路715を通る冷却液の流れおよび/または温度を変化させることで制御され得る。
図7に描写されているように、凝縮された冷媒のための液体保管空間717は、図示するように、別体の容器であってよく、または、補助凝縮器709と一体にされて分離されている保管空間であってもよい。
【0033】
[0048]システムの原理によって、液体保管空間717は圧縮機入口および主冷媒回路の蒸発器より低い圧力にある。液冷媒が液体保管空間717に蓄積するのを回避するために、冷媒は、液体レベルセンサ721によって制御されるポンプ719によって、保管空間717から再び冷媒システム21へと汲み出されなければならない。このポンプ719は、流体保管空間717に連結されている吸込み側と、冷媒システム21と流体連結している吐出側とを有している。ポンプの水頭および吸収される出力を減らすために、ポンプ吐出を主冷媒回路21の低圧の部分へと設置することが好まれる。この低圧領域は、
図3〜
図6に関連して先に詳述したように、圧縮機入口34である一方、
図7は、低圧領域を膨張弁31と蒸発器27との間の導管として描写しているが、冷媒は、膨張弁31と圧縮機吸込み34との間など、任意の都合のよい位置における低圧領域へと送られ得る。圧縮機23の液体浸入を回避するために、冷媒液を液体保管空間717から圧縮機吸込み34(入口)へと直接的に送ることを回避することは、一般的に要求される。そのため、膨張弁31と蒸発器27との間で導管に沿う位置は、蒸発器27の液入口においてなど、蒸発器27へとこの液冷媒を供給するため、望ましく、好ましい冷媒入口である。より具体的には、蒸発器27が乾燥膨張技術(シェルアンドチューブ式またはプレート式のいずれかの熱交換器)のものである場合、液冷媒を蒸発器入口において主液管へと吐き出すことが望ましい。蒸発器27が満液式、流下薄膜、またはハイブリッド流下薄膜のものである場合、代替手段は、液体が圧縮機入口34へと運び出されるのを回避するために、吸込み管から離れた位置で、蒸発器シェルに直接的に液体を吐き出すことである。
【0034】
[0049]
図7で液体レベルセンサ721として描写されている、液体ポンプ719の運転を制御するために、手段も提供される。望ましい構成は、補助凝縮器709の出口に配置された流体保管空間717を有することであり、液冷媒を重力によって補助凝縮器709から保管空間717へと流すことができる。この容積は、補助凝縮器709と同じシェルに、または、別体の容器として、いずれかで含まれ得る。この保管空間における液体レベルは、液体レベルセンサ721として簡単に描写されている、制御ループを含む液体レベルセンサによって感知される。液体レベルセンサ721のこの制御ループ部は、流体保管空間717において液体レベルを所定のあらかじめ設定された許容可能な限度内に保つために、液体ポンプ719の運転を管理する。液体ポンプ719は、速度が液体レベルセンサ721の制御ループによって制御される可変速駆動を有し得るか、または、同じ制御ループの制御の下で、オン/オフ運転シーケンスを単に有し得るかのいずれかである。
【0035】
[0050]別の実施形態では、従来の機械式のポンプ719が、純粋に静的な汲み出しシステムによって置き換えられ得る。この実施形態の変形では、静的な汲み出しシステムは、主凝縮器25からの高圧ガスによって動力が与えられるエゼクタポンプ609を利用できる。流体保管空間717から汲み出された液体と主凝縮器25からの高圧のガスとの混合物は、蒸発器27へと戻される。この実施形態のさらに別の変形では、2つの流体保管容器717が、補助凝縮器715の下に配置されてもよく、それら流体保管容器717の各々は、凝縮された冷媒液を受け入れるために補助凝縮器709の吐出ポートに連結された入口(A)と、蒸発器または主凝縮器25からのガスを受け入れるために連結された入口(B)とを有し、各々が蒸発器27に連結された出口(C)を有する。これらの連結の各々は、開かれ得るかまたは閉じられ得る自動弁を有している。システムは、当業者には知られている原理を用いた制御回路によって作動される、「バッチ処理」で運転される。このシステムは、半密閉モータの冷却との関連として、
図13でも表されている。
【0036】
[0051]これらの実施形態のいずれも、潤滑されている圧縮機において、オイルから冷媒の除去を可能にし、遠心圧縮機と使用するように限定されていない。本発明は、各々潤滑を必要とする往復動式圧縮機、スクロール式圧縮機、および、ORCシステムで用いられるタービンとの使用を見出すこともできる。補助圧縮機509またはエゼクタポンプ609は、先に記載したように、これらのユニットで冷媒をオイルから除去するために、有利に使用され得る。これらの構成部品は、相当の電力消費を必要とし得るか、または、システム効率を不利にする。補助凝縮器709は、所望の温度にある水が利用可能であると仮定して、運転するのに動力を必要としないというさらなる利点を有している。しかし、補助凝縮器709は、凝縮した冷媒液を、蒸発圧力またはその近くにある冷媒システム21へと移送するために、液体ポンプ719も必要とする。これは少量の動力を必要とするが、補助圧縮機509の運転に必要とされる動力より大幅に小さく、エゼクタポンプ609の作用などによって、全体のシステム効率への不利はない。
【0037】
[0052]冷媒を潤滑システムから分離するために
図4〜
図7を参照して先に記載した基本的な圧力低下装置は、半密閉モータを冷却するための冷媒流体の運転限度を拡張するために、冷却回路での使用にも適合され得る。これらの圧力低下装置409は、冷却機システムより高い温度で典型的には運転するヒートポンプシステムで有利に利用され得る。これらの圧力低下装置409は、冷媒のモータ冷却能力を拡げ、冷却機システム機器をヒートポンプシステムに使用することを可能にする。これらのシステムでは、冷媒は、モータの運転によって発生された熱からモータおよびモータ空洞を冷却するために利用される。このような圧力低下装置のない場合でのモータ筐体とモータステータを包囲するコイルとにおける圧力は、蒸発器における圧力とほとんど等しいか、または、若干高くなる。しかし、圧力低下装置が、冷媒ガスが筐体を通じて引き込まれ得るように、モータ空洞の圧力を、圧縮機入口の圧力より低いプリセット値であって、好ましくは蒸発器の圧力より低いプリセット値に維持するために制御される。ヒートポンプ用途で運転するシステムに関して、モータ空洞における圧力を、例えば、所与の冷媒についての所望の圧力に対応する20℃の飽和温度においてといった、圧縮機入口における圧力未満のプリセット値に維持することが望まれる。これらの値は、典型的には、システムが水冷却機システムとして運転するときに圧縮機が有効とされる温度に対応している。
【0038】
[0053]
図8は、本発明の譲受人に譲渡された先行技術の特許出願WO2012/082592A1で説明されているように、圧縮機を駆動する半密閉モータ350を冷却するために利用される先行技術の冷却スキームを描写している。
図8のモータの断面の表示では、好ましい実施形態において、羽根車91がモータシャフト128の両端に取り付けられた遠心式圧縮機376が示されているが、本発明はそのように限定されることはなく、それは、モータ冷却スキームが、冷媒回路における半密閉モータによって駆動される任意の種類の圧縮機で利用でき、
図8に描写されるように、シャフト128の両方の端に圧縮機の取り付けを必要としないためである。
図8では、凝縮器からの液冷媒は、液冷媒の圧力および温度を低減し、好ましくは、先に定義したように、冷媒液の滴とガスとの混合物であるミストへと液冷媒を変換する膨張装置80へと、管78を介して提供される。次に、冷媒混合物は、モータ筐体382内へと通じるモータ入口81に入り、モータ筐体382は、その境界を越えてガス(冷媒)が漏れるのを防止するために、密閉されて封止されている。
【0039】
[0054]モータステータ88とモータロータ129とを備えているモータ350の運転は、熱を発生する。モータステータ88、モータロータ129、およびシャフト128は、モータ筐体382内の空洞352に位置付けられている。ロータ129はシャフト128に取り付けられており、モータステータ88における交流の電界が、ロータ129およびシャフト128を回転させる。
図8に同じく描写されているのは、モータシャフト128の両端にあり、運転中にロータ129を支持する軸受90である。
図8では、これらの軸受90は、機械軸受として描写されているが、当業者によって認められるように、磁気軸受であってもよい。モータ350のように、磁気軸受は、強い磁場によって作用され、同じく熱を発生する。したがって、熱は、軸受90が磁気軸受であろうと機械軸受であろうと、モータ筐体382内で発生される。モータ入口81を通ってモータ筐体382内に導入された冷媒は、モータ350と軸受90との両方から熱を除去するために使用される。
【0040】
[0055]この具体的な実施形態では、モータ入口81を通ってモータ筐体382に入った後、冷媒は、モータステータを包囲するコイル内を通過し、冷媒はモータステータ88から熱を除去する。次に、冷媒は、冷媒を二次空洞380へと運ぶ管378内を通過する。二次空洞380に入る冷媒はミストであり得る。つまり、2つの相の冷媒である。液相384は、重力によって、二次空洞380の底へと分離し、管388を介して、第1のモータ筐体出口386を通って蒸発器27へと送られる。管388は、固定オリフィス、または、冷媒液の流れを制御する制御弁など、制限部390を備え得る。制限部390は、冷媒ガスが液相と一緒にこの通路を介してモータから出て行くのを防止する。二次空洞380に入った残っている冷媒は、ガスとして開口108を通過し、モータ空洞352に再び入り、そこで、
図8に矢印によって描写されているように、ステータ88とロータ129/シャフト128との間を通過し、これらの構成部品から熱を除去する。冷媒の一部は軸受90も通過し、熱を除去して軸受90を冷却する。冷媒は、ステータ88とモータ128/ロータ129との間の隙間を、それらから熱を除去しながら通過する。そして、冷媒ガスは、直接的に、または、軸受90自体またはその周りを通った後、第2のモータ筐体出口387を通り、導管392を介して、蒸発器27へと再び循環される。これは、液体、ガス、または二相冷媒の組み合わせを用いてモータの様々な構成部品を冷却するために、モータにある冷媒を循環させる数多くの可能な方法のうちの1つである。様々な構成が可能であるが、先行技術のシステムでは、一般的に、モータ筐体における圧力が冷却回路の蒸発圧力に近くなっている。
【0041】
[0056]先行技術の冷却構成では、モータ空洞352と、ステータ88を包囲するコイルとにおける圧力は、蒸発器27における圧力とほとんど等しい。モータにおける熱の一供給源は、回転する部品の速度によって発生されるガス摩擦出力である。この出力は、ガス密度と共に増加する。したがって、モータ350におけるより高いガス圧力は、モータのさらなる加熱の一因になるより大きな摩擦損失を発生する。また、モータ筐体におけるガス温度は、モータ筐体内の冷媒の飽和の温度および圧力以上である。最後に、ステータを包囲するコイルにおける冷媒の蒸発温度は、モータ筐体における飽和圧力と少なくとも等しい。結果として、温度および圧力が蒸発器で増加するとき、モータにおける温度および圧力も増加する。この理由のため、先行技術の冷却構成は、水冷却機に対して用いられる半密閉型圧縮機用途で有用であるが、必要とされる冷却が、これらの温度および圧力の設定を維持することによっては提供され得ないため、高温のヒートポンプ用途では利用されない。
【0042】
[0057]冷媒を使用する冷却構成は、モータ空洞における冷媒の圧力が、圧縮機入口34における圧力または蒸発器27の圧力より低いとき、成功することができる。モータ空洞352における冷媒の圧力を下げることは、ガス摩擦損失を低減し、モータ冷却を改善する。ヒートポンプ条件で運転するとき、圧力低下に向けた理想的な目標は、モータ空洞からの冷媒の圧力を、水冷却機として運転するときの同じ標準的な機械の有効範囲と一致する値に設定することである。例えば、所与の形式の圧縮機および関連する半密閉モータが、所与の冷媒で20℃の最高蒸発温度について、冷却機用途で有効とされる場合、目標は、ヒートポンプ運転においてモータ空洞を20℃の飽和温度に設定することになる。当然ながら、モータ冷却が許容可能になることを保障するには十分ではない。設計圧力、シャフト動力、軸受負荷など、多くの他のパラメータが確認および解消されなければならないが、モータ冷却の問題に対する解決策は提供されている。
【0043】
[0058]モータ空洞352における冷媒の圧力低下は、異なる方法で達成され得る。この圧力低下は、先に記載した、油溜め10における圧力低下のために利用された同じ機器を使用して、達成され得る。
【0044】
[0059]
図9は
図8の簡略化されたものであり、モータ350を通る冷媒流体について、モータ入口81からの回路を示している。管388における液冷媒は、制限部390を通り、冷媒を蒸発器27へと向かわせる導管392へと進む。
【0045】
[0060]
図10は、本発明の実施形態を描写しており、簡略化された概略をここでも用いている。
図8で示されているシステムの詳細のすべてが、
図10の簡略されたものでは示されていないが、モータ350に関連して
図8に示されているシステムの詳細のすべてが、
図10で描写されている本発明の実施形態にも含まれ得ることは、当業者により理解されるものである。この省略された詳細は、
図10に描写されている改善を理解するためには必要とされない。概して、
図10は、モータ空洞352と連通している圧力低下装置409を描写しており、圧力低下装置409は、冷却システムにおける低圧の位置とモータ空洞との中間にある。
図10では、冷却システム10におけるこの低圧の位置は、図示されているように、蒸発器27であり得るが、圧縮機吸込み(つまり、入口34)または他の低圧の位置であってもよい。
図14では、圧力低下装置409は、冷媒をモータ空洞352から引き込むために、モータ350と蒸発器27または圧縮機入口34との間に位置付けられた、小さい追加的な「補助」圧縮機509である。
図14に描写されている構成では、
図10に一致している概略的な線図は、
図10の構成がオリフィス390を通って圧力低下装置409の入口へと流れるある液体を検討しており、これは、
図14で検討されているような補助圧縮機であるとき、圧縮機の液体浸入との関連する可能性により許容することができないため、望ましくは採用されるべきではない。これを回避するために、モータ入口81においてオリフィスを通じて過剰な量の液体を送ることを回避するために、手段が提供されなければならない。このような実施の例は、
図14および
図15に説明されており、
図14および
図15は、膨張弁802を通ってモータ空洞に入る流体がどのように制御されるかにおいて異なっている。
図14では、
図10の回路が次のように変更されている。
図10で説明された、モータ入口81にある固定オリフィスは、ステータコイルへの冷媒の流れを減らすために用いられる温度式膨張弁802を含んでいる。
図10で説明された固定オリフィス390は、ステータ88への冷媒の流れを減らすために用いられる温度式膨張弁802によって置き換えられる。膨張弁802と関連付けられた、温度センサであり得るセンサ804が、管378に、または、モータ筐体における任意の都合のよい位置に配置され得る。この構成により、一部のガスだけがモータ筐体382から出て行き、管378を通って空洞380へと入る。液相384は排除され、液管388は、二次空洞350の液体が、
図14に示されているように排除されるため、取り外すことができる。低減された量の冷媒が膨張弁802を通って筐体382に入るため、低減された量または冷媒ガスが圧縮機筐体382から管392を通って出て行き、望まれているように、補助圧縮機の吸込みに液滴がないことを確保している。
【0046】
[0061]この実施では、圧力低下装置409(
図15における補助圧縮機509)の能力は、あらかじめ設定された値でモータ空洞352における圧力を維持するような方法で制御される。このあらかじめ設定された値は、所与の冷媒についての最大蒸発温度に対応してもよく、その最大蒸発温度は、ヒートポンプ条件の下で運転している圧縮機に関して、標準的な圧縮機と同じ温度であり得る。例えば、圧力は、20℃の温度に対応するように設定され得る。先に記載されており、当業者によって認められるように、補助圧縮機509などの圧力低下装置409の吐出は、
図1に示されているような蒸発器27など、冷却システム21における任意のより低い圧力の位置に連結させることもできる。
図15の概略では、液体は二次空洞380に溜まるが、高さは、モータ筐体382に入る冷媒を制御する温度式膨張弁802をさらに制御するレベル制御805によって、監視されている。
【0047】
[0062]補助圧縮機の使用は、概念的には単純である一方、いくつかの欠点も有している。その追加の製造および運転のコストの他に、補助圧縮機は、おそらくは信頼性および保守の問題のある機械部品でもある。加えて、その運転コスト、具体的なエネルギー消費は、重要であり得る。さらに、可変運転状態の状況において、このような補助圧縮機の使用に関連する容量制御は、問題となり得る。しかしながら、冷却システム21における補助圧縮機の使用は、モータ空洞352において冷媒圧力を低下させるために実行可能な選択肢である。
【0048】
[0063]
図11に描写されている別の実施形態では、本発明の実施形態の簡略化された概略、ジェットポンプとも称されるエゼクタポンプ609が、モータ350と関連付けられた圧力低下装置409として描写されている。ここでも、
図8に示されているようなシステムの詳細の必ずしもすべてが
図11の簡略化されたものに示されているわけではないが、
図8に示されているシステムの詳細のすべても、エゼクタポンプ609がモータ350とモータ空洞352と冷却システムの低圧位置との間に位置付けられていることを除いて、
図11の簡略化されたシステムにあると考えられる。
図11では、凝縮器25と流体連通している導管615からの高圧のガスが、必要により膨張弁を通過した後、エゼクタポンプ609を作動するためにエネルギーを提供するように用いられる。エゼクタ出口では、凝縮器25からのこの高圧の冷媒流体と、モータ350から汲み出された低圧の冷媒との混合物が、好ましくは蒸発器27である、冷却システムにおける低圧の位置へと送られる。冷媒は、
図11に示されているように、導管611を通じて圧縮機入口34と直接的に流体連通してもよく、または、低圧の位置は、蒸発器入口と圧縮機入口34との間の任意の中間位置であり得る。この実施形態の利点は、先に詳述された補助圧縮機509の使用で見出されるように、部品の動作を回避していることである。
図11で描写されているようなエゼクタポンプ609を利用している実施形態は、エゼクタポンプ609が通常は効率が比較的悪く、そのため冷却システムのエネルギー効率を不利にするため、欠点に悩まされる。それにもかかわらず、冷却システム21におけるエゼクタポンプ609の使用は、モータ350において冷媒圧力を下げ、冷媒を冷媒回路へと戻す実行可能な選択肢であり、一方、モータがヒートポンプ用途に見られるより高い温度のシステムで運転するように、冷媒にモータを冷却させることができる。
【0049】
[0064]
図12に描写されている本発明の好ましい実施形態では、本発明の実施形態の簡略化された概略、小さい補助凝縮器709が、モータ350およびモータ空洞352と関連付けられた圧力低下装置として描写されている。ここでも、
図8に示されているようなシステムの詳細の必ずしもすべてが
図12の簡略化された概略に示されているわけではないが、
図8に示されているシステムの詳細のすべても、補助凝縮器709がモータ350と冷却システム21の低圧位置との間に含まれていることを除いて、
図12の簡略化されたシステムにあると考えられる。
図12では、モータ350からの冷媒は、管388および制限部390を通じて、また、導管392も通じて、補助凝縮器709と流体連通している。モータ350からの冷媒は、補助凝縮器709の冷却回路715を通じて流れる冷却流体と熱交換の関係にある補助凝縮器709に入る。冷却回路715における冷却流体は、冷媒ガスを冷却し、その冷媒ガスを、液体保管空間717へと送られる液体へとガスから凝縮させる。
【0050】
[0065]補助凝縮器709は、モータ350の空洞における所望の冷媒圧力と等しい凝縮圧力を提供するように選択される。これは、補助凝縮器709における冷媒ガスを、ヒートポンプの冷却源より低い温度にある冷却流体によって冷却させる必要がある。例えば、所望の凝縮圧力が、20℃(華氏68度)の飽和温度に対応する場合、補助凝縮器709は、好ましくは、約12℃(約華氏54度)の入口温度と約18℃(約華氏64度)の出口温度とを有する水で冷却される。冷却水は、任意の利用可能な冷却された水の供給源からと共に、所望の温度範囲内の地下水から提供され得る。凝縮圧力は、モータ350の空洞において所望のガス圧力を維持するために、補助凝縮器709の冷却回路715を通る冷却液の流れおよび/または温度を変化させることで制御され得る。
図12に描写されているように、液体保管空間717は、図示されているように、別体のユニットであってよく、または、補助凝縮器709と一体にされて分離されている保管空間であってもよい。流体保管空間717の位置に拘わらず、流体保管空間における液冷媒は、液体レベルセンサ721によって作動されるポンプ719によって、保管空間717から都合よく汲み出され得る。
【0051】
[0066]モータ350の空洞からの冷媒が凝縮されて流体保管空間717へと送られると、その冷媒は、ポンプの水頭および吸収される出力を減らすために、流体保管空間717に連結されている吸込み側と冷媒システム21の低圧領域と連通している吐出側とを有する液冷媒ポンプ719によって、冷媒システム21へと戻すように汲み出され得る。この低圧領域は圧縮機入口であり得るが、
図10および
図11に関連して先に詳述されているように、これが圧縮機に液冷媒を浸入させる可能性があるため、液体を圧縮機入口へと送ることは望ましくない。したがって、冷媒は任意の都合のよい位置で低圧領域へと送られてよいが、冷媒ポンプは、望ましくは、膨張弁31と蒸発器27との間の導管(
図1参照)へとなど、システムの低圧領域へと、または、蒸発器27の液体入口においてなど、蒸発器27へと、循環するべきである。先に記載したように、これは、この液冷媒を蒸発器27へと供給するため、ポンプの水頭および吸収される出力を低減する。より具体的には、蒸発器27が乾燥膨張技術式(シェルアンドチューブ式またはプレート式のいずれかの熱交換器)のものである場合、液冷媒を蒸発器入口において主液管へと吐き出すことが望ましい。蒸発器27が満液式、流下薄膜、またはハイブリッド流下薄膜のものである場合、代替手段は、液体が運び出されるのを回避するために、吸込み管から離れた位置で、蒸発器シェルに直接的に液体を吐き出すことである。
【0052】
[0067]
図12で描写されている、液体ポンプ719の運転を制御するために、液体レベルセンサ721として定められる手段が提供される。望ましい構成は、補助凝縮器709の出口に配置された流体保管空間717を有することであり、液冷媒を重力によって保管空間717へと流すことができる。この容積は、補助凝縮器709と同じシェルに、または、
図12に描写されているような別体の容器として、いずれかで含まれ得る。保管空間717における液体レベルは、液体レベルセンサ721として簡単に描写されている、制御ループを含む液体レベルセンサ721によって感知される。液体レベルセンサ721のこの制御ループ部は、流体保管空間717において液体レベルをあらかじめ設定された許容可能な限度内に保つために、液体ポンプ719の運転を管理する。液体ポンプ719は、速度が液体レベルセンサ721の制御ループによって制御される可変速駆動を有し得るか、または、同じ制御ループの制御の下で、オン/オフ運転シーケンスを単に有し得るかのいずれかである。ポンプ719は、冷媒液を冷却システム21へと戻す。圧縮機入口34に液体を浸入させないように、冷媒は、
図12に示すように、蒸発器27を含む、膨張装置31と蒸発器27との間のいずれかにおいて、冷却システムへと戻され得る。
図12では、遠心式圧縮機が二段圧縮機であり、そのため、低圧のガス冷媒が第1の段の圧縮機入口に投入され、高圧のガスが第2の段の圧縮機から凝縮器25へと吐き出される。
【0053】
[0068]別の実施形態では、従来の機械式のポンプが、純粋に静的な汲み出しシステムによって置き換えられ得る。この実施形態の変形では、静的な汲み出しシステムは、主凝縮器25からの高圧ガスによって動力が与えられるエゼクタポンプを利用できる。流体保管空間717から汲み出された冷媒液と主凝縮器25からの高圧の冷媒ガスとの混合物は、ミストとして蒸発器27へと戻される。代替で、この冷媒は、圧縮機入口34へと戻され得る。
【0054】
[0069]
図13に描写されているような、この実施形態のさらに別の変形では、導管730を介して凝縮された冷媒液を受け入れるために、補助凝縮器709からの液体出口へと連結されている入口と、
図13に示されているように、主凝縮器25から高圧のガスを受け入れるために連結されている高圧ガス入口723とを各々が有し、各々が蒸発器27に連結されている出口725を有する2つの容器が、補助凝縮器709の下に配置され得る。凝縮器25は、
図13において、高圧のガスのための都合のよい供給源であるが、任意の他の高圧のガス供給源が利用され得る。高圧ガス入口723は、液体保管の容器または空間717を空にするために動力を提供し、液体を流体保管容器717から蒸発器へと押し込む。
図13において弁17、18、および19として描写されている弁は、各々の流体保管容器717を空にすることと満たすこととを二者択一的に行う機能を実施するために作動させられる。それらの運転は当業者には明快であり、二者択一的に使用される2つの受器で液体ポンプを置き換えるために、一部のアイススケートリンクで使用されてきた。つまり、一方は補助凝縮器から排出する液体で満たされつつ、他方は凝縮器からの高圧ガスによって空にされる。これらの連結の各々は、開かれ得るかまたは閉じられ得る自動弁を有している。システムは、当業者には知られている原理を用いた制御回路によって作動される、「バッチ処理」で運転される。液体ポンプ719は、この構成では必要とされない。
【0055】
[0070]
図15は、
図14に示されているものの代替の構成である。
図14および
図15の両方は、補助圧縮機である圧力低下装置を示している。
図15は、補助圧縮機509への冷媒液の吸入を回避するために、モータ350へと導入される冷媒を制御することによって、モータ冷却に能動的制御の別のモードを提供する。
図14では、膨張弁802は、ステータ88を包囲しているコイルに出入りする冷媒の流れを制御する。液冷媒は、
図8を参照して、凝縮器25(または、利用される場合はサブ冷却機)から、管または導管378に据え付けられた膨張弁802を通じて、ステータ88を包囲するコイルへと導入される。膨張弁802は、二次空洞380における液流体柱の高さを監視するレベルセンサ805によって制御される。膨張弁802を通って流れる冷媒は、膨張しつつその圧力が下げられる。二次空洞380に入ると、二相流れからの液体が、重力によって、二次空洞380の底へと落下する。二次空洞380における液冷媒の量は、二次空洞380における流体の高さを検出するセンサ805によって決定される。液体の高さが、センサ805によって決定されるあらかじめ選択された高さに達すると、膨張弁802は、二次空洞への冷媒流体の流れを減らすために作動され得る。液管は、二次空洞380と圧力低下装置409との間に必要とされない。冷媒ガスのみが、ロータ129とステータ88との間を通り、管392を通って装置409へと流れることになる。二次空洞380において、センサ805によって検出される液冷媒高さの増加は、それ以上の冷媒液がモータへと送られるべきではないことを指し示しており、膨張弁802はステータ88からの冷媒の流れを低減することになる。二次空洞380における液冷媒の高さが、センサ805によって検出されるあらかじめ選択された高さより下に落ちたとき、開いて導管378を通る二次空洞380への冷媒の供給を再開するために、信号が膨張弁802へと送信され得る。
【0056】
[0071]
図14および
図15では、装置409は、前述の装置のうちのいずれかであり得る。したがって、それは、
図5で説明されているような補助圧縮機509、
図6で説明されているようなエゼクタポンプ609、
図7で説明されているような補助凝縮器、または、凝縮器/汲み出しシステムの圧縮機/凝縮器システムなど、それらの任意の組み合わせであり得る。
【0057】
[0072]実施形態のいずれも、モータを冷却するために冷媒を用いることができ、一方、冷媒をモータの空洞から除去することができ、実施形態は、図で例示されている遠心式圧縮機に限定されない。したがって、本発明は、モータ冷却を各々必要とする往復動式圧縮機およびスクロール式圧縮機との使用も、特に圧縮機がヒートポンプシステムでの使用に用いられるとき、見出すことができる。システムは、特に磁気軸受を利用するシステムにおいて、軸受のための冷却を提供もする。補助圧縮機509またはエゼクタポンプ609の使用は、冷媒をモータ空洞から除去するために、有利に使用され得る。しかしながら、これらの構成部品は、相当の電力消費を必要とし得るか、または、システム効率を不利にする。補助凝縮器709は、所望の温度にある水が熱交換に利用可能であると仮定して、運転するのに動力を必要としないというさらなる利点を有している。しかし、補助凝縮器を利用するシステムは、凝縮した液を、蒸発圧力またはその近くにある冷媒システム21へと移送するために、液体ポンプ719も必要とする。これは少量の動力を必要とするが、その動力は、補助圧縮機509の運転から必要とされる動力より大幅に小さく、液体ポンプがエゼクタポンプ609などと置き換えられるとき、全体のシステム効率への不利はない。
【0058】
[0073]
図10〜
図13を参照して先に説明された基本的な圧力低下装置は、冷媒をモータの空洞から効果的に除去する一方、モータ運転からの熱と、システムに搭載されている場合、磁気軸受からの熱とを、冷媒に除去させることができる。これらの圧力低下装置は、冷却機システムより高い温度で典型的には運転するヒートポンプ用途システムで有利に利用され得る。これらの圧力低下装置は、冷媒のモータ冷却能力を拡げ、冷却機システム機器をヒートポンプシステム用途に使用することを可能にし、また、モータ筐体を通じて冷媒を循環させることができる。
【0059】
[0074]先に提供されている本発明の記載は、凝縮器が冷却回路のより高い圧力の側にあり、蒸発器が冷却回路のより低い圧力の側にあり、モータへの冷却、潤滑剤からの冷却の分離、または両方を提供する、ヒートポンプシステムまたは冷却システムなど、圧縮機を有する回路に関している。本発明は、先に記載されているようなヒートポンプシステムと逆に運転するが、蒸発器が回路の高圧側にあり、凝縮器が回路の低圧側にあるORCシステムと同様に運転することが、理解されることになる。本発明は、発電機への冷却、潤滑剤からの冷却の分離、または両方を提供するために機能する。
【0060】
[0075]本発明は、好ましい実施形態に関連して記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得ること、および、等価物がその要素について代用され得ることは、当業者によって理解されることになる。また、多くの変形が、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために行われ得る。そのため、本発明は、本発明を実施するために検討された最良の態様として開示された具体的な実施形態に限定されないが、本発明は添付の請求項の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図されている。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
[形態1]
冷却回路を含む冷却またはヒートポンプのシステムにおいて冷媒をオイルから分離するための装置であって、前記冷却回路が、冷媒ガスの圧力を上昇させる圧縮機(23)と、前記圧縮機と流体連通しており、前記冷媒ガスを高圧の液体へと凝縮する凝縮器(25)と、前記凝縮器と流体連通しており、前記高圧の液体をガスに同伴された液体のミストへと変換する膨張弁(31)と、前記膨張弁および前記圧縮機と連通しており、液冷媒の状態を冷媒ガスへと変える蒸発器(27)とを有し、前記圧縮機が、潤滑を必要とする構成部品と、前記圧縮機で前記冷媒と混合する潤滑剤とをさらに含む、装置において、
前記潤滑剤、前記冷媒、およびそれらの組み合わせを前記圧縮機から受け入れる油溜め(10)と、
前記潤滑剤を、前記油溜めから、潤滑を必要とする前記圧縮機の一部分へと提供するための手段と、
前記潤滑剤と混合される冷媒の量を減らす、前記油溜めと前記システムの低圧領域との間の冷媒圧力低下装置(409)であって、冷媒ガス圧力を前記システムの前記低圧領域の冷媒ガス圧力未満に下げ、それによって、前記圧縮機構成部品を潤滑するために前記潤滑剤が前記油溜めから戻される前に、冷媒ガスを前記油溜めから前記システムの前記低圧領域へと除去する冷媒圧力低下装置(409)と
によって特徴付けられる装置。
[形態2]
有機ランキンサイクルシステムから冷媒オイルを除去するための装置であって、前記有機ランキンサイクルシステムが、電気を高圧の冷媒ガスから発生させるタービン(23−OCR)および発電機を含む電力発生回路と、前記タービンと流体連通しており、前記冷媒ガスを低圧の液体へと凝縮する凝縮器(25−ORC)と、前記凝縮器と流体連通しており、前記低圧の液体の圧力を高圧の液体へと上昇させる液体ポンプ(31−ORC)とを含み、前記ポンプが蒸発器(27−ORC)と流体連通しており、前記蒸発器が前記高圧の液冷媒の状態を高圧の冷媒ガスへと変化させ、前記タービンが、潤滑を必要とする構成部品と、前記タービンで前記冷媒と混合する潤滑剤とをさらに含む、装置において、
前記潤滑剤、前記冷媒、およびそれらの組み合わせを前記タービンから受け入れる油溜め(10)と、
前記潤滑剤を、前記油溜めから、潤滑を必要とする前記タービンの一部分へと提供するための手段と、
前記潤滑剤と混合される冷媒の量を減らす、前記油溜め(10)と前記システムの低圧領域との間の冷媒圧力低下装置(409)であって、冷媒ガス圧力を前記システムの前記低圧領域の冷媒ガス圧力未満に下げ、それによって、前記タービンの一部分を潤滑するために前記潤滑剤が前記油溜めから戻される前に、冷媒ガスを前記油溜めから前記システムの前記低圧領域へと除去する冷媒圧力低下装置(409)と
によって特徴付けられる装置。
[形態3]
前記潤滑剤を前記油溜めから提供するための前記手段が、前記油溜めから潤滑を必要とする一部分までのオイル回路をさらに含む、形態1または2に記載のシステム。
[形態4]
オイル貯留部(32)を前記オイル回路の追加の構成部品としてさらに含む、形態3に記載のシステム。
[形態5]
前記冷媒圧力低下装置(409)が補助圧縮機(509)である、形態1または2に記載のシステム。
[形態6]
前記冷媒圧力低下装置がエゼクタポンプ(609)である、形態1または2に記載のシステム。
[形態7]
前記冷媒圧力低下装置(409)が、前記油溜め(10)および前記システムの前記低圧領域と連通している回路を備え、前記回路が、冷媒ガスを冷却し前記冷媒を液相へと凝縮する補助凝縮器(709)と、冷媒ガスを前記補助凝縮器へと送る、前記油溜め(10)と前記補助凝縮器(709)との間の導管(713)と、前記補助凝縮器での冷却の後、凝縮された冷媒を保管する流体保管空間(717)と、前記システムの前記低圧領域へと冷媒を汲み出す液体ポンプ(719)と、前記流体保管空間(717)における冷媒液の量を制御する液体レベルセンサ(721)とを備える、形態1または2に記載のシステム。
[形態8]
前記圧力低下装置が、前記油溜めおよび前記システムの前記低圧領域と連通している回路をさらに備え、前記回路が、
冷媒を気相から冷却し、それを液相へと凝縮する補助凝縮器(709)と、
冷媒ガスを前記油溜め(10)から前記補助凝縮器(709)へと送る、前記油溜め(10)と前記補助凝縮器との間の導管(713)と、
前記凝縮された液相の冷媒を保管する、前記補助凝縮器(709)と流体連通している少なくとも1つの流体保管空間(717)と、
前記補助凝縮器と前記少なくとも1つの流体保管空間(717)との間の流体連通を提供する導管(730)と、
前記システムの前記低圧領域とさらに流体連通している前記少なくとも1つの流体保管空間(717)と、
前記少なくとも1つの流体保管空間(717)から前記システムの前記低圧領域への液相の冷媒の流れを調節する少なくとも1つの弁(17)と
を含む、形態1または2に記載のシステム。
[形態9]
冷媒を用いる冷却またはヒートポンプのシステムにおいて半密閉圧縮機モータを冷却するための装置であって、前記システムが冷却回路を含み、前記冷却回路が、冷媒ガスの圧力を上昇させるための圧縮機(23)と、前記圧縮機と流体連通しており、前記冷媒ガスを高圧の液体へと凝縮するための主凝縮器(25)と、前記凝縮器と流体連通しており、前記高圧の液体をガスに同伴された液体のミストへと変換する膨張弁(31)と、前記膨張弁および前記圧縮機と連通しており、液冷媒の状態を冷媒ガスへと変える蒸発器(27)とを含み、前記圧縮機(23)が圧縮機モータ(350)をさらに含み、前記圧縮機モータ(350)がシャフト(128)と、前記モータのための筐体(382)とをさらに含み、前記筐体が空洞(352)を有し、前記モータ(350)が前記筐体に収容され、前記モータが、電界を入れ替えるステータ(88)と、前記シャフト(128)に取り付けられたロータ(129)とを有し、前記ロータおよび前記シャフトが、前記交流電界によって回転する、装置において、
前記筐体(382)の冷媒入口(81)と、
前記モータ筐体からの冷媒出口(387、392)と、
前記膨張弁(31)の下流と圧縮機入口(34)との間で、前記モータ筐体(382)および前記システムの前記低圧領域と連通しており、前記筐体(382)の前記冷媒が前記システムの前記低圧領域において前記システムへと戻されるように、前記システムの前記低圧領域より低い圧力へと冷媒圧力を低下させる冷媒圧力低下装置(409)と
によって特徴付けられる装置。
[形態10]
電力発生回路を含む有機ランキンサイクルシステムから冷媒オイルを除去するための装置であって、前記有機ランキンサイクルシステムが、電気を高圧の冷媒ガスから発生させる半密閉タービン(23−OCR)および発電機を含む電力発生回路と、前記タービンと流体連通しており、前記タービンからの前記冷媒ガスを低圧の液体へと凝縮するための主凝縮器(25−ORC)と、前記凝縮器と流体連通しており、前記凝縮器からの前記低圧の液体を高圧の液体へと変換する液体ポンプ(31−ORC)と、前記液体ポンプおよび前記タービンと連通しており、高圧の液冷媒の状態を冷媒ガスへと変える蒸発器(27)とを含み、前記タービンが、筐体に発電機をさらに含み、前記発電機が、シャフト(128)と、空洞(352)を有する筐体(382)とをさらに含み、前記発電機(350)が前記筐体に収容され、前記発電機が、前記シャフト(128)に取り付けられたロータ(129)と、前記ロータを包囲する前記筐体にステータとを有し、前記ロータおよび前記シャフトが、前記ステータの電流ステータ(88)を生成するために回転する、装置において、
前記筐体(382)内への冷媒入口(81)と、
前記筐体からの冷媒出口(387、392)と、
前記ポンプ(31)とタービン出口との間で、前記筐体(382)および前記システムの低圧領域と連通しており、前記筐体(382)の前記冷媒が前記システム(19)の前記低圧領域において前記システムへと戻されるように、前記システムの前記低圧領域より低い圧力へと冷媒圧力を低下させる冷媒圧力低下装置(409)と
によって特徴付けられる装置。
[形態11]
前記システムが運転可能であるとき、磁気軸受システムは前記シャフト(128)を支持する、形態9または10に記載のシステム。
[形態12]
前記冷媒圧力低下装置(409)が補助圧縮機(509)である、形態9または10に記載のシステム。
[形態13]
前記冷媒圧力低下装置(409)がエゼクタポンプ(609)である、形態9または10に記載のシステム。
[形態14]
前記冷媒圧力低下装置(409)が、前記筐体(382)および前記システムの前記低圧領域と連通している回路を備え、前記回路が、前記筐体(382)からの冷媒ガスを冷却して凝縮する補助凝縮器(709)と、冷媒を前記補助凝縮器(709)へと送る、前記筐体(382)と前記補助凝縮器(709)との間の導管(392)と、前記補助凝縮器(709)と流体連通しており、前記補助凝縮器(709)での冷却の後、凝縮された冷媒を保管する流体保管空間(717)と、前記流体保管空間(717)から前記システムの前記低圧領域へと冷媒を汲み出す液体ポンプ(719)と、前記流体保管空間(717)における液体の量を制御する液体レベルセンサ(721)とを備える、形態9または10に記載のシステム。
[形態15]
前記冷媒圧力低下装置(409)が、前記筐体(382)および前記システムの前記低圧領域と連通している回路を備え、前記回路が、冷媒ガスを冷却して凝縮する補助凝縮器(709)と、冷媒ガスを前記補助凝縮器(709)へと送る、前記モータ筐体(382)と前記補助凝縮器(709)との間の導管(392)と、前記補助凝縮器(709)と流体連通しており、前記補助凝縮器(709)での冷却の後、凝縮された冷媒を保管する流体保管空間(717)と、前記流体保管空間(717)から前記システムの前記低圧領域への冷媒の流れを調節する弁(17)とを備える、形態9または10に記載のシステム。
[形態16]
前記冷媒圧力低下装置(409)が、前記筐体(382)および前記システムの前記低圧領域と連通している回路をさらに備え、前記回路が、
冷媒ガスを冷却して凝縮する補助凝縮器(709)と、
冷媒ガスを前記モータ筐体から前記補助凝縮器(709)へと送る、前記筐体(382)と前記補助凝縮器(709)との間の導管(392)と、
前記凝縮された液冷媒を保管する少なくとも1つの流体保管空間(717)と、
前記補助凝縮器(709)と前記少なくとも1つの流体保管空間(717)との間の、前記凝縮された液冷媒を前記補助凝縮器(709)から前記少なくとも1つの流体保管空間(717)へと送る導管(730)と、
前記システム(19)の前記低圧領域とさらに流体連通もしている前記少なくとも1つの流体保管空間(717)と、
前記少なくとも1つの流体保管空間(717)から前記システム(19)の前記低圧領域への液冷媒の流れを調節するための少なくとも1つの弁(17)と
を含み、
前記凝縮器(25)が、前記少なくとも1つの流体保管空間(717)と連通しており、前記少なくとも1つの流体保管空間(717)から前記システムの前記低圧領域へと液体を押し込む高圧ガスを提供する、形態8に記載のシステム。