特許第6259587号(P6259587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6259587バイオマスシートおよびそれを用いたブリスターパック、並びにバイオマスシートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259587
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】バイオマスシートおよびそれを用いたブリスターパック、並びにバイオマスシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20171227BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20171227BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20171227BHJP
   B65D 75/34 20060101ALI20171227BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20171227BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20171227BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
   B32B27/00 H
   B65D75/36
   B65D75/34
   B65D81/24 E
   B65D65/40 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-106980(P2013-106980)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-226829(P2014-226829A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】早野 信吾
(72)【発明者】
【氏名】藤島 豊
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−072210(JP,A)
【文献】 特開2012−250350(JP,A)
【文献】 特表2005−535481(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/061403(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 − 43/00
B65D 65/00 − 79/02
B65D 81/18 − 81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの表層の間に中心層を備えたバイオマスプラスチックシートであって、
前記表層はポリプロピレン(PP)およびリニア低密度ポリエチレン(LLDPE)を含有し、前記中心層はポリエチレン(PE)、バイオマスプラスチックおよび環状オレフィン系樹脂を含有することを特徴とするバイオマスプラスチックシート。
【請求項2】
前記ポリプロピレンのMFR(230℃、2.16kgf)は1.0〜13.5であり、前記ポリエチレンのMFR(190℃、2.16kgf)は0.2〜20.25であり、前記環状オレフィン系樹脂のMFR(190℃、2.16kgf)は0.2〜20.25であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスプラスチックシート。
【請求項3】
前記表層の厚みが5〜50μmであり、前記中心層の厚みが100〜480μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマスプラスチックシート。
【請求項4】
前記中心層の環状オレフィン樹脂量が5〜62重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマスプラスチックシート。
【請求項5】
前記中心層のバイオマスプラスチック量が20〜99重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスプラスチックシート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオマスプラスチックシートを用いたブリスターパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスシートおよびそれを用いたブリスターパック、並びにバイオマスシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食料品や飲料水の包装シートは、水蒸気バリア性、ガスバリア性等の内容物保存性、透明性等の意匠性、内容物の取出し性等の操作性等の特性を有することが要求されている。こうした要求に応え、従来より、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリプロピレン(PP)で形成された単層シートや、ポリエチレン(PE)の両面に塩化ビニル層やポリプロピレン層(PP)をドライラミネート法や熱ラミネート法により貼付したシートを作成し、真空または圧空成形法により内容物を収容した包装体が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリプロピレン(PP)の単層シートで形成した包装体は、水蒸気バリア性に劣るという問題があった。また、ポリエチレン(PE)とポリ塩化ビニル(PVC)もしくはポリプロピレン(PP)との積層シートは、水蒸気バリア性については解決することができたものの、分割容易性やブリスター成形性については問題があった。また、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とは、層溶性に欠けるため、両者を融着によって層間接着し積層することは不可能であり、実用に供し得ないという問題があった。さらに、近年、開発されつつある新薬は、従来よりさらに高い水蒸気バリア効果が要求されるものがあり、こうした特性のさらなる向上が望まれていた。
【0004】
一方、医薬品、食料品や飲料水の包装シートは、石油資源由来の材料から構成されており、その製造過程や廃棄過程において多大なエネルギーが消費され、二酸化炭素排出量の増加等による環境問題が社会問題となっていた。尚、京都議定書目標として、日本はCOとそれに換算した他5種の温室効果ガスの排出量を1990年に較べ6% 削減することが定められている。
【0005】
こうした背景のもと、近年、植物由来のバイオマスプラスチックを用いたシート等の包装体の開発が盛んになってきている。このようなバイオマスプラスチックは、水分を透過しやすい特性を有しており、その結果、医薬品や食料品が変質してしまうという問題が生じ、バイオマスプラスチックはこうした用途に適合し難いという問題点を有していた。例えば、特許文献1には、バイオマスプラスチックを中間層として、その内側および外側にポリエチレンフタレート等からなる積層体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−57842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来提案されているバイオプラスチックを用いたシートは、水蒸気バリア性やブリスター成形性、さらには医薬品、食料品や飲料水等の内容物の保存性などの特性に劣るという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、水蒸気バリア性やブリスター成形性に優れ、内容物の保存性にも優れるバイオマスシートおよびそれを用いたブリスターパック、並びにバイオマスシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、水蒸気バリア性やブリスター成形性、内容物保存性に優れるシートの研究を行い鋭意検討してきた。その過程で、水蒸気バリア性やブリスター成形性に優れ、医薬品や食料品等の内容物の保存性にも優れるバイオマスシートおよびそれを用いたブリスターパック、並びにバイオマスシートの製造方法を見出し、本発明を完成させた。
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係るバイオマスシートは、二つの表層の間に中心層を備えたバイオマスシートであって、前記表層はポリプロピレン(PP)を含有し、前記中心層はポリエチレン(PE)、バイオマスおよび環状オレフィン系樹脂を含有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るバイオマスシートは、前記ポリプロピレンのMFR(230℃、2.16kgf)は1.0〜13.5であり、前記ポリエチレンのMFR(190℃、2.16kgf)は、0.2〜20.25であり、前記環状オレフィン系樹脂のMFR(190℃、2,16kgf)は0.2〜20.25であることが好ましい。
【0012】
本発明に係るバイオマスシートは、前記バイオマスが、サトウキビ、とうもろこし、でんぷん、ひまし油等から選択される少なくとも一種の植物由来であることが好ましい。
【0013】
本発明に係るバイオマスシートは、ブリスターパック、またはPTPシートに用いることが好ましい。
【0014】
上記課題を解決するための本発明に係るバイオマスシートの製造方法は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、バイオマスおよび環状オレフィン系樹脂をTダイによる共押出成形により積層押出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバイオマスシートの製造方法によれば、従来の押出ラミネート成形の場合のように接着層を設ける必要がなくなり、生産効率を向上させることができる。こうして得られたバイオマスシートは、水蒸気バリア性やブリスター成形性、医薬品や食料品、飲料水等の内容物の保存性に極めて優れ、さらにはCO排出量の削減が可能であり環境負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るバイオマスシートの概略図である。
図2】本発明に係るバイオマスシートの製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るバイオマスシートについて詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0018】
本発明に係るバイオマスシート1は、表層2の間に中心層3を備えたバイオマスシート1であって、表層2はポリプロピレン(PP)を含有し、中心層3はポリエチレン(PE)、バイオマスおよび環状オレフィン系樹脂を含有する。以下、各構成について順に説明する。
【0019】
(表層)
表層は、中心層の両面に形成され、ポリプロピレン(PP)からなる。表層をポリプロピレン(PP)で形成すると、外観(表面粗状)の良いシートが得られる。
表層を構成するポリプロピレン(PP)のMFR(230℃、2.16kgf)は、1.0〜13.5である。ポリプロピレン(PP)のMFRがこの範囲にあると、成形性に優れる。
【0020】
表層の厚みは5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
また、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)をポリプロピレン(PP)に追加することで、中心層のポリエチレン(PE)との熱接着性が付与されるため、より好ましい。
【0021】
(中心層)
中心層は、二つの表層の間に形成され、ポリエチレン(PE)、バイオマスおよび環状オレフィン系樹脂を含有する。
【0022】
ポリエチレン(PE)は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)であってもよいが、高密度ポリエチレン(HDPE)が、強度、透明性、水蒸気バリア性および内容物の取出し容易性の観点から好ましい。
【0023】
バイオマスは、サトウキビ(ハガスを含む)、とうもろこし、でんぷん、ひまし油、畳(使用済みの廃畳)の破砕物、木材チップ、木粉、おが屑、紙屑等、草木ソルガム、ハガス、甜菜の絞りかす、稲わら等の草木質、針葉樹材、広葉樹材、非樹木系材料、及びそれらの廃棄物、具体的には、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等の針葉樹材;アスベン、アメリカンブラックチェリー、イエローポプラ、ウォールナット、カバザクラ、ケヤキ、シカモア、シルバーチェリー、タモ、チーク、チャイニーズエルム、チャイニーズメープル、ナラ、ハードメイプル、ヒッコリー、ピーカン、ホワイトアッシュ、ホワイトオーク、ホワイトバーチ、レッドオーク、アカシア、ユーカリ等の広葉樹材;、イネ、サトウキビ、ムギ、トウモロコシ、パイナップル、オイルパーム、ケナフ、綿、アルファルファ、チモシー、タケ、ササ、テンサイ等の非樹木系材料;及びこれらの廃棄物等の植物由来が挙げられる。具体的には、サトウキビ由来の高密度ポリエチレンが気相重合法、バルク重合法、メタロセン重合法等により得られる。中心層のバイオマスは、20〜99重量%である。
【0024】
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン樹脂(COP)、環状オレフィン共重合体樹脂(COC)等が挙げられ、単一であっても複数種であっても構わない。環状オレフィンを添加すると、水蒸気バリア性、ブリスター成形性、透明性、平滑性、分割容易性が良好となる。中心層のCOCは、1〜80重量%、好ましくは5〜62重量%である。
【0025】
中心層を構成するポリエチレン(PE)のMFR(190℃、2.16kgf)は、0.2〜20.25であり、好ましくは0.6〜14.85である。環状オレフィン(COC)のMFR(190℃、2.16kgf)は、0.2〜20.25であり、好ましくは0.6〜14.85である。MFRがこの範囲にあると、表層との層溶性が向上し、良好な外観が得られるため好ましい。
【0026】
その他の添加剤としては、着色剤、各種フィラー、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤等を添加することもできる。
【0027】
着色顔料としては縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。フィラーとしてはタルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ガラス繊維、紙粉、木粉、等が挙げられる。熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系等が挙げられる。中和剤としてはステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等が挙げられる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアジン系等が挙げられる。光安定剤としてはヒンダードアミン系等が挙げられる。滑剤としては炭化水素系滑剤、脂肪酸、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、エステル系、フッ素系等が挙げられる。造核剤としてはソルビトール系等が挙げられる。
【0028】
中心層の厚みは50〜480μm、好ましくは、100〜350μmである。
本発明に係るバイオマスシートは、水蒸気バリア性に極めて優れ、具体的には透湿度1.1g/(m2・24h)以下が好ましい。またバイオマスシートは、PTPシート、ブリスターパックに用いることができる。
【0029】
(バイオマスシートの製造方法)
本発明に係るバイオマスシートの製造方法は、ポリプロピレン、ポリエチレン、バイオマスおよび環状オレフィン系樹脂をTダイによる共押出成形により積層押出する。共押出成形をすることにより、ラミネート工程を削減できることで生産性が上がり、有機溶剤の使用を排除できる。
【0030】
本発明に係るバイオマスシートは、ポリエチレン、バイオマス、環状オレフィン系樹脂をドライブレンドした後、φ65mm二軸押出機を用いて2種3層のマルチマニホールド式の金口より中心層としてシリンダー温度200℃で各樹脂原料を溶融混練し押出す。また、同時にポリプロピレンを含有する樹脂原料をドライブレンドした後、φ65mm単軸押出機を用いて同金口より表層としてシリンダー温度215℃で各樹脂を溶融混練し押出す。次いで、この共押出シートをキャストロールにて冷却し、多層シートを得る。
【実施例】
【0031】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0032】
[水蒸気透過率測定]
シートの水蒸気透過率について以下の条件、測定機器を用いて測定した。
測定条件:40℃、91%RH
測定機器:PERMATRAN−W 3/34(MOCON社製)
【0033】
[ブリスター成形性]
ブリスター成形性について以下の条件で成形し、得られた成形体について目視検査を行った。
テスト機器:PTP成形機 FBP−M2(CKD社製)
ポケットサイズ:φ11×4mm
ブロー圧:5.0kgf/cm
プラグ圧:3.0kgf/cm
成形温度:110℃〜145℃
【0034】
(実施例1)
ポリエチレン、バイオマス、環状オレフィン樹脂をドライブレンドした後、φ65mm二軸押出機を用いて2種3層のマルチマニホールド式の金口より中心層としてシリンダー温度200℃で溶融混練し押出した。また、同時にポリプロピレン、リニア低密度ポリエチレンをドライブレンドした後、φ65mm単軸押出機を用いて同金口より表層としてシリンダー温度215℃で溶融混練し押出した。この時、それぞれの厚みを表層30μm/中心層190μm/表層30μmとなるように溶融樹脂の吐出量を調整した。次いで、この共押出シートをキャストロールにて冷却し、多層シートであるバイオマスPEシートを得た。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス37.8重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。本実施例のシートの中心層と表層のMFRを測定し、両者のマッチングについて得られた成形体について目視検査を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
(実施例2)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層:PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス37.8重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
(実施例3)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス38.4重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
(実施例4)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス38.4重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
(比較例1:PVC単層)
本比較例は、ポリ塩化ビニルシート(大成化工社製)を用いて、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
(比較例2:PP単層)
本比較例は、ポリプロピレンシート(大成化工社製)を用いて、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0040】
(比較例3)
本比較例は、表層(PP+LDPE)単層のフィルムを、中心層(PE)と共押熱ラミネートすることにより作製した。本比較例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(210μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(100重量%)
本比較例のシートを用いて、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より、実施例1〜4においては、共押出による成形方法を使用し、比較例1と2に比べ、水蒸気バリア性に優れ、比較例2〜3に比べ、ブリスター成形体の良品範囲としたブリスター成形温度範囲が広いことがわかる。具体的には、中間層と表層との相溶性が優れ、マッチングが良好となり(△も良好と評価)、水蒸気バリア性やブリスター成形温度等のブリスター成形性も優れた効果を示している。
【0043】
[ブリスター成形性]
ブリスター成形性について以下の条件で成形し、得られた成形体について目視検査を行った。
テスト機器:PTP成形機 (CKD社製)
ポケットサイズ:カプセル
成形温度:110℃〜145℃
成形速度:6m/min〜12m/min
プラグアシスト成形
【0044】
(実施例5)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(310μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス38.4重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0045】
(比較例4)
本比較例は、層構成を変えた以外は、比較例3と同様にして作製した。本比較例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(310μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(100重量%)
本比較例のシートを用いて、各種物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2は、中心層がHDPEである比較例4と、中心層がバイオマス配合のHDPEにCOCを配合した実施例5とを比較した結果を示している。
表2より、水蒸気透過性への影響として、シート機能が0.322g/(m・24h)から0.315g/(m・24h)へと2.2%機能が向上したことがわかる。また、ブリスター機能への影響として、成形温度範囲が6℃範囲から12℃範囲へと100%機能が向上したことがわかる。さらに、成形速度が7m/minから11.4m/minへと63%機能が向上し、ブリスター生産性が向上したことがわかる。
【符号の説明】
【0048】
1 バイオマスシート
2 表層
3 中間層
4 Tダイ
5 溶融樹脂(表層)
6 溶融樹脂(中心層)
7 冷却ロール
図1
図2