【実施例】
【0031】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0032】
[水蒸気透過率測定]
シートの水蒸気透過率について以下の条件、測定機器を用いて測定した。
測定条件:40℃、91%RH
測定機器:PERMATRAN−W 3/34(MOCON社製)
【0033】
[ブリスター成形性]
ブリスター成形性について以下の条件で成形し、得られた成形体について目視検査を行った。
テスト機器:PTP成形機 FBP−M2(CKD社製)
ポケットサイズ:φ11×4mm
ブロー圧:5.0kgf/cm
2
プラグ圧:3.0kgf/cm
2
成形温度:110℃〜145℃
【0034】
(実施例1)
ポリエチレン、バイオマス、環状オレフィン樹脂をドライブレンドした後、φ65mm二軸押出機を用いて2種3層のマルチマニホールド式の金口より中心層としてシリンダー温度200℃で溶融混練し押出した。また、同時にポリプロピレン、リニア低密度ポリエチレンをドライブレンドした後、φ65mm単軸押出機を用いて同金口より表層としてシリンダー温度215℃で溶融混練し押出した。この時、それぞれの厚みを表層30μm/中心層190μm/表層30μmとなるように溶融樹脂の吐出量を調整した。次いで、この共押出シートをキャストロールにて冷却し、多層シートであるバイオマスPEシートを得た。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス37.8重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。本実施例のシートの中心層と表層のMFRを測定し、両者のマッチングについて得られた成形体について目視検査を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
(実施例2)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層:PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス37.8重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
(実施例3)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス38.4重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
(実施例4)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(190μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス38.4重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
(比較例1:PVC単層)
本比較例は、ポリ塩化ビニルシート(大成化工社製)を用いて、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
(比較例2:PP単層)
本比較例は、ポリプロピレンシート(大成化工社製)を用いて、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0040】
(比較例3)
本比較例は、表層(PP+LDPE)単層のフィルムを、中心層(PE)と共押熱ラミネートすることにより作製した。本比較例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(210μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(100重量%)
本比較例のシートを用いて、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より、実施例1〜4においては、共押出による成形方法を使用し、比較例1と2に比べ、水蒸気バリア性に優れ、比較例2〜3に比べ、ブリスター成形体の良品範囲としたブリスター成形温度範囲が広いことがわかる。具体的には、中間層と表層との相溶性が優れ、マッチングが良好となり(△も良好と評価)、水蒸気バリア性やブリスター成形温度等のブリスター成形性も優れた効果を示している。
【0043】
[ブリスター成形性]
ブリスター成形性について以下の条件で成形し、得られた成形体について目視検査を行った。
テスト機器:PTP成形機 (CKD社製)
ポケットサイズ:カプセル
成形温度:110℃〜145℃
成形速度:6m/min〜12m/min
プラグアシスト成形
【0044】
(実施例5)
本実施例は、層構成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。本実施例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(310μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LLDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(80重量%:内バイオマス38.4重量%)+COC系樹脂濃度(20重量%)
本実施例により製造されたバイオマスPEシートの各種物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0045】
(比較例4)
本比較例は、層構成を変えた以外は、比較例3と同様にして作製した。本比較例は、以下の層構成を有する。
PP+LDPE(30μm)/HDPE(310μm)/PP+LDPE(30μm)
・製造条件
表層: PP系樹脂濃度(90重量%)+LDPE(10重量%)
中心層:PE系樹脂濃度(100重量%)
本比較例のシートを用いて、各種物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2は、中心層がHDPEである比較例4と、中心層がバイオマス配合のHDPEにCOCを配合した実施例5とを比較した結果を示している。
表2より、水蒸気透過性への影響として、シート機能が0.322g/(m
2・24h)から0.315g/(m
2・24h)へと2.2%機能が向上したことがわかる。また、ブリスター機能への影響として、成形温度範囲が6℃範囲から12℃範囲へと100%機能が向上したことがわかる。さらに、成形速度が7m/minから11.4m/minへと63%機能が向上し、ブリスター生産性が向上したことがわかる。