(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無端チェーンの駆動により連続移動されるスクレーパによって凹溝搬送路中で被搬送物を押し進めて搬送すると共に、前記凹溝搬送路の途中位置に排出部を有するスクレーパコンベヤにおいて、
前記排出部は、前記凹溝搬送路の底部に、自然落下により凹溝搬送路内の被搬送物を排出する開口部を有し、
該開口部近傍に設けられ、少なくとも前記スクレーパの基端から先端までを超える高さ範囲で先端が回動移動するように軸着された回動アームと、
該回動アームの先端に取り付けられ、前記スクレーパの前記被搬送物を押し進める面である搬送面の幅方向全長に亘る長さを有するブレードと、
前記回動アームの先端を前記基端方向に付勢する付勢手段と、
前記開口部の近傍に設けられ、前記無端チェーンの駆動に連動して回動する回動バーと、を有し、
前記回動アームの軸着は、前記搬送方向への前記スクレーパの移動によって前記ブレードが前記スクレーパの幅方向全長に亘って当接状態となり、前記スクレーパのさらなる移動によって該スクレーパの前記搬送面上をその基端から先端を超えて摺動移動するようになされ、
前記回動バーは、該回動動作中に先端が前記回動アームに接触する長さを有し、
前記回動バーの回動タイミングは、
前記ブレードが前記スクレーパの先端まで摺動動作を終えたときに前記回動バーの先端が前記回動アームに当接して前記付勢手段の付勢力によって前記回動アームの先端が前記スクレーパの基端の高さに戻る動きを制止し、さらなる回動動作によって緩やかに前記回動アームの先端が前記スクレーパの基端の高さに戻る動きを許容した後に前記回動バーの先端が前記回動アームから離反するものであることを特徴とするスクレーパコンベヤ。
無端チェーンの駆動により連続移動されるスクレーパによって凹溝搬送路中で被搬送物を押し進めて搬送すると共に、前記凹溝搬送路の途中位置に排出部を有するスクレーパコンベヤにおいて、
前記排出部は、前記凹溝搬送路の底部に、自然落下により凹溝搬送路内の被搬送物を排出する開口部を有し、
該開口部近傍に設けられ、少なくとも前記スクレーパの基端から先端までを超える高さ範囲で先端が回動移動するように軸着された回動アームと、
該回動アームの先端に取り付けられ、前記スクレーパの前記被搬送物を押し進める面である搬送面の幅方向全長に亘る長さを有するブレードと、
前記回動アームの先端を前記基端方向に付勢する付勢手段と、
前記開口部を、前記被搬送物の搬送方向上流側の開位置と搬送方向下流側の閉位置とでスライド移動して開閉可能な蓋部と、
前記回動アームの先端に設けられて前記凹溝搬送路の幅方向外方に向かって突出するローラと、
前記蓋部に支持部を介して連結されて前記搬送方向を長手方向として延在する板部材と、を有し、
前記回動アームの軸着は、前記搬送方向への前記スクレーパの移動によって前記ブレードが前記スクレーパの幅方向全長に亘って当接状態となり、前記スクレーパのさらなる移動によって該スクレーパの前記搬送面上をその基端から先端を超えて摺動移動するようになされており、
前記板部材は、高さ方向下側から上側へ移行するにつれて前記搬送方向下流側へと突出するように傾斜する前記搬送方向下流側の傾斜辺及び該傾斜辺の高さ方向下側端部から搬送方向上流側へと延在する下辺を備え、
前記ローラは、前記板部材の長手方向延長線上に位置しており、且つ
前記ローラの配置は、前記蓋部の前記搬送方向上流側の開位置から搬送方向下流側の閉位置へのスライド移動による前記開口部の閉動作が行われた際に、該ローラが前記板部材の傾斜辺と当接して該傾斜辺の傾斜に従って下方に移動して前記回動アームの先端を下方へと移動させ、さらに前記板部材の下辺の下に移行することで前記回動アーム先端と該回動アーム先端に取り付けられた前記ブレードを前記閉状態にある蓋部の下方位置で維持させるようになされていることを特徴とするスクレーパコンベヤ。
【背景技術】
【0002】
スクレーパコンベヤとは、特許文献1の
図1に示されるように、左右二条の無端チェーン間に一定の間隔をおいてスクレーパを取り付け、無端チェーンを牽引駆動させてこれらスクレーパの移動により搬送路となる凹溝内の被搬送物を搬送する搬送装置である。このようなスクレーパコンベヤは、がれき、汚泥、粉状物及び粒状物等、種々の被搬送物を搬送するために用いられる。
【0003】
かかるスクレーパコンベヤにおいては、搬送路の終端位置だけでなく、終端位置よりも搬送方向上流位置となる搬送路の途中位置においても被搬送物の排出を行う排出部を有するコンベヤが存在する。
【0004】
このように、搬送路の途中位置に排出部を有するコンベヤによれば、その搬送路の終端位置と途中位置に排出部を設けることでコンベヤ全体として複数の排出部を設けることができる。そして、複数の排出部を設けることで、例えば、複数の排出部の各排出部の下方に被搬送物収容容器を配置しておき、一つの排出部の下方にある容器が被搬送物で一杯になった場合にはその排出部を閉じて他の排出部の下方にある容器に被搬送物を排出し、その間に一杯になった容器を別の空の容器と交換するというように、スクレーパコンベヤの運転を止めることなく被搬送物の搬送・排出作業を行うことができるという利点がある。
【0005】
ここで、汚泥、粉状物、粒状物等を搬送するスクレーパコンベヤにおいては、被搬送物がスクレーパに付着し、スクレーパコンベヤの搬送路の終端部に設けられた排出部から排出されずに被搬送物がスクレーパと共に搬送路の復路を介して被搬送物の供給部まで戻ってしまうことを防止するため、搬送路終端部の排出部に被搬送物を掻き落とすための機構(以下、被搬送物掻き落とし機構と記す)が設けられていることが多い。
【0006】
図7は、従来の、被搬送物掻き落とし機構を搬送路終端部における排出部に設けたスクレーパコンベヤを説明するための図である。同図に示すように、被搬送物72はスクレーパ74によって搬送路の往路を搬送されて搬送路の終端部に設けられた排出部76から排出されるとともに、スクレーパ74の搬送面74aがアームの先端間に架設されたブレード80(同図(b)参照乞う。)に当接する。
【0007】
そして、スクレーパ74の搬送方向へのさらなる移動によってアーム78がコイルバネ82の付勢力に抗して軸部84を中心に回動し、この回動によってブレード80はスクレーパ74の搬送面74aを摺動してこの搬送面74aに付着した被搬送物72を掻き落とし、スクレーパ74の先端から離反してアーム78の側面と当接する。
【0008】
その後、スクレーパ74はアーム78の側面上を摺動しつつ無端チェーン86の軌道に沿って搬送路の復路方向へと旋回してアーム78の側面から離反し、コイルバネ82の付勢力によってもとの位置に戻る。このもとの位置で、アーム78は搬送方向下流側に位置する次のスクレーパ74を待ち受けることとなる。
【0009】
以上の一連の動作により、被搬送物掻き落とし機構は、無端チェーン86に支持された各スクレーパ74の搬送面74aに付着した被搬送物74を連続的に除去することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、搬送路の終端部における排出部においては、スクレーパが無端チェーンの軌道に従って搬送路の往路から復路へと旋回するので、この旋回位置に、すなわち、スクレーパと衝突しない位置に被搬送物掻き落とし機構を設けることが可能である。
【0012】
しかしながら、搬送路の途中位置において被搬送物掻き落とし機構をスクレーパにぶつからないように動作させることは困難である。また、搬送路の途中位置においてスクレーパの軌道を変更させることもコスト面及び搬送効率の面から現実的ではない。したがって、搬送路の途中位置にある排出部において被搬送物掻き落とし機構を設けることは困難である。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送路の途中位置にある排出部においてスクレーパに付着した被搬送物を的確に掻き落とすことができるスクレーパコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、無端チェーンの駆動により連続移動されるスクレーパによって凹溝搬送路中で被搬送物を押し進めて搬送すると共に、前記凹溝搬送路の途中位置に排出部を有するスクレーパコンベヤにおいて、前記排出部は、前記凹溝搬送路の底部に、自然落下により凹溝搬送路内の被搬送物を排出する開口部を有し、該開口部近傍に設けられ、少なくとも前記スクレーパの基端から先端までを超える高さ範囲で先端が回動移動するように軸着された回動アームと、該回動アームの先端に取り付けられ、前記スクレーパの前記被搬送物を押し進める面である搬送面の幅方向全長に亘る長さを有するブレードと、前記回動アームの先端を前記基端方向に付勢する付勢手段と
、前記開口部の近傍に設けられ、前記無端チェーンの駆動に連動して回動する回動バーと、を有し、前記回動アームの軸着は、前記搬送方向への前記スクレーパの移動によって前記ブレードが前記スクレーパの幅方向全長に亘って当接状態となり、前記スクレーパのさらなる移動によって該スクレーパの前記搬送面上をその基端から先端を超えて摺動移動するようになさ
れ、前記回動バーは、該回動動作中に先端が前記回動アームに接触する長さを有し、前記回動バーの回動タイミングは、前記ブレードが前記スクレーパの先端まで摺動動作を終えたときに前記回動バーの先端が前記回動アームに当接して前記付勢手段の付勢力によって前記回動アームの先端が前記スクレーパの基端の高さに戻る動きを制止し、さらなる回動動作によって緩やかに前記回動アームの先端が前記スクレーパの基端の高さに戻る動きを許容した後に前記回動バーの先端が前記回動アームから離反するものであることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、凹溝搬送路の途中位置にある排出部において、凹溝搬送路内を搬送される被搬送物のうちスクレーパに付着したものが回動アームの先端に取付けられたブレードによって掻き落とされた後、ブレードがスクレーパの先端を超えて摺動移動するのでスクレーパの搬送方向への移動がブレードによって妨げられることがない。
【0016】
更に、スクレーパがブレードを超えて搬送方向へと移動した後は付勢手段の付勢力に従って回動アームの先端がスクレーパの基端方向に戻るため、ブレードによる次のスクレーパに付着した被搬送物の掻き落としの準備がなされる。
【0017】
したがって、スクレーパコンベヤの搬送路の途中位置にある排出部において、スクレーパに付着した被搬送物の掻き落とし機構の設置が可能となり、搬送路途中位置にある排出部においてスクレーパに付着した被搬送物の的確な掻き落としを行うことができる。
また、スクレーパに付着した被搬送物をブレードが掻き落としてスクレーパの先端を越えた後、付勢手段の付勢力によって回動アームの先端がスクレーパの基端の高さへ戻る動きが回動バーによって規制される。すなわち、スクレーパの先端の高さを越えたときに回動アームの先端が制止され、さらなる回動バーの回動動作によって緩やかに回動アームの先端がスクレーパの基端の高さに戻ることとなる。したがって、付勢手段の付勢力のみに従って回動アームの先端がスクレーパの基端の高さに戻る際の衝撃や騒音を防止でき、これによる回動アームや付勢手段その他の部材の耐久性の向上が期待できる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクレーパコンベヤにおいて、前記回動アームの軸部は、前記凹溝搬送路の幅方向両外側の互いに対向する位置に設けられた一対の軸受けよって受けられ、前記回動アームは、前記軸部の前記凹溝搬送路の幅方向両外側の位置にそれぞれ設けられ、前記ブレードは、前記一対の回動アーム先端間に架設されていることを特徴とする。
【0019】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載したスクレーパコンベヤの構成の一例を具体的に示したものであり、これによれば、ブレードは、凹溝搬送路の幅方向両側の対向する位置にそれぞれ軸支されて凹溝搬送路の外側でそれぞれ回動する一対の回動アームの先端間に架設されている。したがって、スクレーパに付着した被搬送物の掻き落とし機構をスクレーパの軌道から回避させるための構成が、簡単な構成で達成される。
【0020】
請求項3に記載の発明は、無端チェーンの駆動により連続移動されるスクレーパによって凹溝搬送路中で被搬送物を押し進めて搬送すると共に、前記凹溝搬送路の途中位置に排出部を有するスクレーパコンベヤにおいて、前記排出部は、前記凹溝搬送路の底部に、自然落下により凹溝搬送路内の被搬送物を排出する開口部を有し、該開口部近傍に設けられ、少なくとも前記スクレーパの基端から先端までを超える高さ範囲で先端が回動移動するように軸着された回動アームと、該回動アームの先端に取り付けられ、前記スクレーパの前記被搬送物を押し進める面である搬送面の幅方向全長に亘る長さを有するブレードと、前記回動アームの先端を前記基端方向に付勢する付勢手段と
、前記開口部を、前記被搬送物の搬送方向上流側の開位置と搬送方向下流側の閉位置とでスライド移動して開閉可能な蓋部と、前記回動アームの先端に設けられて前記凹溝搬送路の幅方向外方に向かって突出するローラと、前記蓋部に支持部を介して連結されて前記搬送方向を長手方向として延在する板部材と、を有し、前記回動アームの軸着は、前記搬送方向への前記スクレーパの移動によって前記ブレードが前記スクレーパの幅方向全長に亘って当接状態となり、前記スクレーパのさらなる移動によって該スクレーパの前記搬送面上をその基端から先端を超えて摺動移動するようになされて
おり、前記板部材は、高さ方向下側から上側へ移行するにつれて前記搬送方向下流側へと突出するように傾斜する前記搬送方向下流側の傾斜辺及び該傾斜辺の高さ方向下側端部から搬送方向上流側へと延在する下辺を備え、前記ローラは、前記板部材の長手方向延長線上に位置しており、且つ前記ローラの配置は、前記蓋部の前記搬送方向上流側の開位置から搬送方向下流側の閉位置へのスライド移動による前記開口部の閉動作が行われた際に、該ローラが前記板部材の傾斜辺と当接して該傾斜辺の傾斜に従って下方に移動して前記回動アームの先端を下方へと移動させ、さらに前記板部材の下辺の下に移行することで前記回動アーム先端と該回動アーム先端に取り付けられた前記ブレードを前記閉状態にある蓋部の下方位置で維持させるようになされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スクレーパコンベヤの搬送路の途中位置にある排出部においてスクレーパに付着した被搬送物の掻き落とし機構の設置が可能となるので、搬送路の途中位置に排出部を設けたスクレーパコンベヤであっても被搬送物の搬送効率を高めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて詳細に説明する。被搬送物を搬送するために用いる本発明のスクレーパコンベヤ10を、
図1〜8を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るスクレーパコンベヤ10の正面図であり、
図2は
図1のII−II線断面図であり、
図3は
図2のスクレーパコンベヤ10を矢印200方向から見た正面図であり、
図4は同2のスクレーパコンベヤ10を矢印300方向から見た背面図であり、
図5は
図2のV−V線断面図であり、
図6は
図2のVI−VI線断面図であり、
図7は第二排出部30(排出部)におけるスクレーパ22からの被搬送物14の掻き落としを説明するための図であり、
図8は第二排出部30(排出部)が閉じられた状態の開口部31付近の背面図である。
【0026】
図1に示すように、スクレーパコンベヤ10は、同図の左右方向に延在する管体12の底部側を被搬送物14の搬送路となる凹溝搬送路16とし、管体12の長手方向一端側にこの凹溝搬送路16内に被搬送物14を供給する供給部18が設けられ、且つ管体12の長手方向他端側にこの凹溝搬送路16から被搬送物を排出する第一排出部20が設けられている。
【0027】
凹溝搬送路16内には、一定の間隔をおいて複数のスクレーパ22が差し入れられており、このスクレーパ22が管体12内を循環駆動する無端チェーン24によって凹溝搬送路16内を供給部18から第一排出部20方向に進行し、同方向に凹溝搬送路16内の被搬送物14を搬送する。尚、無端チェーン24は駆動スプロケット26によって矢印100方向に駆動されている。
【0028】
第一排出部20においては、上述の従来技術の構成を有するアーム28によってスクレーパ22の搬送面22aに付着した被搬送物14が掻き落とされ、第一排出部20における被搬送物14の排出効率が高められている。
【0029】
また、第一排出部20よりも被搬送物14の搬送方向上流側である凹溝搬送路16の途中位置には第二排出部30(排出部)が設けられており、第二排出部30は、凹溝搬送路16の底部に設けられた、自然落下により凹溝搬送路16内の被搬送物14を排出する開口部31を有する。
【0030】
以上のような全体構造を有するスクレーパコンベヤ10の詳細な構成について、以下に説明する。
【0031】
管体12は、
図5に示すように、断面視略矩形の筐体の底部を略コ字状にさらに外方に突出させた断面形状を有し、その断面形状は、天面12a、側壁12b、底面12c、側壁12d及び突出底部12eにより形作られる。このうち、側壁12d及び突出底部12eからなる凹溝によって凹溝搬送路16が構成されている。
【0032】
スクレーパ22は、凹溝搬送路16の断面形状に対応する平面視略矩形の搬送面22a(
図6参照乞う。)を有し、先端22bが突出底部12eと近接又は摺接する状態で凹溝搬送路16内に差し入れられ、基端22c側において管体12の幅方向両側に突出する耳部22dが、底部12cの直上をそれぞれ進行する2条の無端チェーン24によってそれぞれ支持されることで、これら2条の無端チェーン24間にスクレーパ22が架け渡されて支持されている。
【0033】
開口部31は、
図1に示すように、第一排出部20よりも被搬送物14の搬送方向上流側に設けられ、
図2〜4に示すように、両側壁12d、12d及び突出底部12eの全面が搬送方向一定区間に亘って切欠かれた領域となっている。したがって、この開口部31をスクレーパ22が搬送方向に移動する際、
図3及び4に示すように、スクレーパ22の基端22cから先端22bまでの部分が突出底部12e及び両側壁12d側に向かって露出することとなる。この開口部31から後述するように回動アーム32の先端に取付けられたブレード34が凹溝搬送路16内に侵入し、スクレーパ22の搬送面22aに対して当接して搬送面22aに付着した被搬送物14を除去することとなる。
【0034】
次に、回動アーム32の構成について説明する。
図2に示すように、開口部31よりもやや搬送方向下流側における管体12の幅方向外方には、両側壁12b、12bと略平行に配置された外壁36、36がそれぞれ設けられており、この側壁12b及び外壁36に対して管路12の幅方向に(すなわち、凹溝搬送路16の幅方向に)伸長する一対の軸部38、38が同じく一対の軸受け39、39によって受けられてそれぞれ架設されており、この軸部38、38に、この軸部38、38から径方向に伸長するとともに所定範囲内で回動可能な一対の回動アーム32、32がそれぞれ軸支されている。
【0035】
回動アーム32は、
図3に示すように、軸部38を回動中心として該軸部38から平面視略ノ字状に径方向へ伸長しつつ平面視で時計回り方向に緩やかに湾曲する形状の湾曲腕部32aと、該湾曲腕部32aに対して約120度の角度を有するように軸部38から湾曲腕部32aに対して反対方向に伸長する平板部32bと、からなる。尚、湾曲腕部32aと平板部32bがなす角度はどのような角度であっても良い。
【0036】
平板部40の下面には、
図3に示すように、側壁12bと外壁36間(
図2参照乞う)において管路12の高さ方向に(すなわち、凹溝搬送路16の深さ方向に)伸長するコイルバネ42(付勢手段)の一端が取り付けられており、コイルバネ42の他端は外壁36の内面36aに支持されたバネ止め44に固定されている。これにより、平板部32bはコイルバネ42に引っ張られて管路12の高さ方向下方に付勢されており、湾曲腕部32aは管路12の高さ方向上方に付勢されることとなる。
【0037】
また、バネ止め44にはコイルバネ42だけでなく、
図3及び4に示すように、コイルバネ42の張架方向と同方向に伸長する棒状のストッパ46が螺着されている。このストッパ46の先端46aが平板部32bと当接することでコイルバネ42の付勢力に従った回動アーム32の軸部38を軸とした回動が制止される。本実施の形態においては、湾曲腕部32a(回動アーム32)の先端が常態においてスクレーパ22の基端の高さに位置するように平板部32とストッパ46の当接状態を調整している。この高さはストッパ46のバネ止め44への螺入深さを調整することで調整可能である。
【0038】
尚、コイルバネ42の付勢方向に抗する方向には回動アーム32の回動を抑制する手段は特になく、湾曲腕部32aの先端は、スクレーパ22の基端から先端を越えてコイルバネ42の伸び量の限界まで回動可能である。
【0039】
湾曲腕部32a、32aの先端間には、
図2に示すように、断面略矩形の棒状のブレード34が架設されている。したがって、ブレード34は、スクレーパ22の幅方向全長に亘る長さを超える長さを有する。
【0040】
また、
図4に示すように、スクレーパコンベヤ10の背面側に位置する湾曲腕部32a(回動アーム32)の先端には、管路12の幅方向外方に向かって突出する断面略円形のローラ32dが設けられている。
【0041】
次に、回動アーム32の回動を規制する回動バー50の構成について説明する。
【0042】
図2に示すように、管体12内を循環駆動する無端チェーン24、24は、開口部31における被搬送物14の搬送方向略中央位置においてスプロケット52、52と係合し、スプロケット52、52は無端チェーン24、24の駆動により正面視(
図2における矢印200方向視の
図3参照乞う)で逆時計周りに回動する。スプロケット52、52は側壁12b、12bに軸支された棒状の一本の軸体54に固着されている。この軸体54は、正面側の側壁12bを貫通してさらに管体12の外方に突出しており、管体12の外部において軸体52の径方向に伸長する棒状の回動バー50を軸支している。回動バー50は、その各先端が管体12の幅方向内方に突出し、平面視で回動アーム32の湾曲腕部32aと当接してその移動を制止可能な制止突起50aを構成する。
【0043】
開口部31の搬送方向上流側には、
図4及び
図6に示すように、開口部31を開閉するための蓋部56が設けられている。蓋部56は、凹溝搬送路16の形状に追従する形状の断面略コ字状の板状体であって、さらに端縁が外方に折り返されて底部12cと対向するフランジ部56aとなっている。また、蓋部56の底部56bには、該蓋部56を操作するための把持部56cが設けられている。
【0044】
一方、
図3及び
図5に示すように、開口部31の搬送方向上流側及び下流側における側壁12bには、その外側に板部材58が重ねて固定されており、この板部材58の下端は、側壁12bの下端よりもさらに下方に突出しており、この板部材58と凹溝搬送路16の側壁12dの間に位置するように設けられたローラ60が、板部材58に軸支されている。
【0045】
蓋部56は、
図6に示すように、その底部56b及びフランジ部56aを凹溝搬送路16の突出底部12e及び管体12の底部12cにそれぞれ重ね合わせ、フランジ部56aをローラ60と底部12cとで挟持させることで管体12に取り付けられることとなる。
【0046】
また、蓋部56の一方の側部56dには、該側部56dと略平行に配置されて該蓋部56の長手方向に延在する板部材62が、支持部56eによって側部56dに連結されている。
【0047】
この板部材62は、
図4に示すように、搬送方向
下流側の辺が高さ方向下側から上側へ移行するにつれて搬送方向
下流側へと突出するように傾斜する傾斜辺62aとなっており、板部材62の長手方向延長線上にローラ32dが位置する位置関係にある。
【0048】
以上の構成を有するスクレーパコンベヤ10による、第二排出部30(排出部)におけるスクレーパ22からの被搬送物14の掻き落としを、
図7を参照して説明する。
【0049】
図3に示すように、まず、常態において、すなわち、回動アーム32のコイルバネ42(付勢手段)の付勢力に従った回動がストッパ46により制止された状態で、回動アーム32における湾曲腕部32aの先端はスクレーパ22の基端の高さと同じ高さにある。したがって、回動アーム32の先端間に架設されたブレード34は、スクレーパ22の幅方向全長に亘ってスクレーパ22の搬送面22aとその基端のある高さ位置で対向している。
【0050】
この状態において、
図7(a)に示すように、無端チェーン24の駆動により移動するスクレーパ22の基端がブレード34と当接し、一方で、回動バー50は無端チェーン24の駆動により矢印400方向に回動する。スクレーパ22はブレード34と当接した後もさらに移動を続けてブレード34を搬送方向へと押し進めようとする。
【0051】
すると、回動アーム32は、スクレーパ22に押されてコイルバネ42の付勢力に抗して矢印500方向に(正面視で逆時計まわりに)回動する。この時、回動アーム32の先端がスクレーパ22の基端から先端の高さ方向へ移動するため、ブレード34はスクレーパ22の搬送面22a上を摺動しつつその先端方向への移動する(
図7(b)参照乞う)。そして、ブレード34がスクレーパ22の先端を越えて離反しようとする際に、回動バー50の先端の制止突起50aが湾曲腕部32aの先端に当接し、湾曲腕部32aの付勢方向への移動が制止される(以上、
図7(b)参照乞う)。
【0052】
制止突起50aが湾曲腕部32aの先端に当接して湾曲腕部32aの回動を制止した状態で、スクレーパ22はブレード34上且つ湾曲腕部32a間の空間を通過して搬送方向へとさらに移動し、一方、回動バー50は、さらに矢印400方向に回動し、先端である制止突起50aが湾曲腕部32aの湾曲した側面と当接しつつ回動し続ける(
図7(c)及び(d)参照乞う)。
【0053】
次に、
図7(e)に示すように、さらに回動バー50が矢印400方向に回動を続けると一定量回動したところでこの回動バー50の回動に伴って緩やかに湾曲腕部32aの先端が矢印550方向(付勢方向)へと移動を始め、
図7(f)に示すように、さらなる矢印400方向への回動によって回動バー50が湾曲腕部32aから離反して回動アーム32の先端がスクレーパ22の基端の高さに戻り、ブレード34がスクレーパ22の搬送面22aと対向する位置に戻ることとなる。
【0054】
したがって、本発明に係るスクレーパコンベヤ10によれば、凹溝搬送路16の途中位置にある第二排出部30(排出部)において、凹溝搬送路16内を搬送される被搬送物14のうちスクレーパ22に付着したものが回動アーム32の先端に取付けられたブレード34によって掻き落とされた後、ブレード34がスクレーパ22の先端を超えて摺動移動するのでスクレーパ22の搬送方向への移動がブレード34によって妨げられることがない。
【0055】
更に、スクレーパ22がブレード34を超えて搬送方向へと移動した後はコイルバネ42の付勢力に従って回動アーム32の先端がスクレーパ22の基端方向に戻るため、ブレード34による次のスクレーパ22に付着した被搬送物14の掻き落としの準備がなされる。
【0056】
したがって、スクレーパコンベヤ10の搬送路の途中位置にある第二排出部30(排出部)において、スクレーパ22に付着した被搬送物14の掻き落とし機構の設置が可能となり、搬送路途中位置にある排出部においてスクレーパ22に付着した被搬送物14の的確な掻き落としを行うことができる。
【0057】
更に、本実施の形態に係るスクレーパコンベヤ10によれば、ブレード34はは、凹溝搬送路16の幅方向両側の対向する位置に(すなわち、側壁12b、12b及び外壁36、36間で軸部38が軸受け39に受けられて)それぞれ軸支されて凹溝搬送路16の外側でそれぞれ回動する一対の回動アーム32の先端間に架設されている。したがって、スクレーパ22に付着した被搬送物14の掻き落とし機構をスクレーパ22の軌道から回避させるための構成が、簡単な構成で達成される。
【0058】
その上、本実施の形態に係るスクレーパコンベヤ10によれば、スクレーパ22に付着した被搬送物14をブレード34が掻き落としてスクレーパ22の先端を越えた後、コイルバネ42の付勢力によって回動アーム32の先端がスクレーパ22の基端の高さへ戻る動きが回動バー50によって規制される。すなわち、スクレーパ22の先端の高さを越えたときに回動アーム32の先端が制止され、さらなる回動バー50の回動動作によって緩やかに回動アーム32の先端がスクレーパ22の基端の高さに戻ることとなる。
【0059】
したがって、コイルバネ42の付勢力のみに従って回動アーム32の先端がスクレーパの22基端の高さに戻る際の、ストッパ46と平板部32bの衝突によって生じる衝撃及び騒音を防止でき、これによる回動アーム32及びストッパ46の耐久性の向上が期待できる。
【0060】
本実施の形態に係るスクレーパコンベヤ10によれば、上記のような作用効果を得ることができるが、一方で、第二排出部30(排出部)を使用しない場合、すなわち、開口部31を閉状態として第一排出部20からのみ排出を行う態様でスクレーパコンベヤ10を運転することも想定される。
【0061】
その場合に、被搬送物14掻き落とし機構が凹溝搬送路16内に残ると、スクレーパ22との衝突を回避できないおそれがある。そこで、このような状態を回避させるための第二排出部30(排出部)の開閉機構の動作について、以下に説明する。
【0062】
本発明に係るスクレーパコンベヤ10においては、第一排出部20及び第二排出部30を使用する場合、
図4に示すように、第二排出部30の開口部31は開状態となっており、双方の排出部から被搬送物14が排出可能となっている。
【0063】
この状態において、第二排出部30を閉状態とするには、まず、蓋部56の把持部56cを把持し、蓋部56を矢印600方向にスライド移動させる。すると、蓋部56がローラ60上を移動すると同時に、蓋部56に連結された板部材62の傾斜辺62aが回動アーム32の先端から突出するローラ32dと当接する。ローラ32dが傾斜辺62aと当接すると、回動アーム32の先端は、ローラ32dの傾斜辺62aの傾斜に従った下方の移動により下方へと移動する。そして、
図6に示すように、さらに蓋部56が矢印600方向に移動することにより、開口部31が蓋部56によって閉じられ、ローラ32dが板部材62の下辺の下に位置することで回動アーム32の先端及び先端間に架設されたブレード34は、蓋部56の底部56bの下方位置に維持される。
【0064】
したがって、本実施の形態に係るスクレーパコンベヤ10によれば、第二排出部30の開状態において、蓋部56を矢印600方向(搬送方向
下流方向)にスライド移動させるだけで、第二排出部30(排出部)の開口部31を閉状態とすると同時に回動アーム32の先端及びブレード34を凹溝搬送路16内から開口部31を介して凹溝搬送路16外へと移動させることができる。すなわち、第二排出部30の開口部31を閉状態として第一排出部20のみの使用モードに変更すると同時に、被搬送物14掻き落とし機構を凹溝搬送路16外へと移動させることで、凹溝搬送路16内のスクレーパ22と被搬送物14掻き落とし機構の干渉を確実に回避させることができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、第一排出部20と第二排出部30が設けられているが、本発明においては凹溝搬送路16の途中位置に排出部があればよく、第二排出部30のみを有する構成としてもよく、凹溝搬送路16の途中位置に複数の排出部を設ける構成としてもよい。
【0066】
さらに、スクレーパコンベヤ10において回動バー50を設けない構成としてもさしつかえない。この場合であっても、凹溝搬送路16の途中位置に設けられた排出部において回動アーム32とブレード34の作用によってスクレーパ22に付着した被搬送物14を掻き落とすことは可能である。