【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの前記目的は、本発明によれば、独立請求項による装置及び方法により達成される。好都合な実施形態及び改良が、従属請求項の主題である。
【0007】
容器を殺菌するための本発明による装置は、電荷担体を発生させる電荷担体発生装置を有している。さらに、装置は、ハウジング内に位置しており、前記電荷担体を所定の方向に加速させる加速装置と、前記電荷担体を前記ハウジングから出すための出口窓とを有している。装置は、前記出口窓から出る電荷担体(又は、電荷担体の少なくとも1つの物理的特性)に特有の少なくとも1つの測定値を検出するセンサユニットを有している。
【0008】
本発明によれば、前記センサユニットは、第1のセンサ装置を有しており、この第1のセンサ装置は、前記出口窓からこの第1のセンサ装置へと第1の所定の方向に通過する電荷担体を検出するような形で前記出口窓に対して配置されている。さらに、第2のセンサ装置が設けられ、この第2のセンサ装置は、前記出口窓からこの第2のセンサ装置へと第2の所定の方向に通過する電荷担体を検出するような形で前記出口窓に対して配置されている。
【0009】
この場合において、前記センサ装置の各々は、互いに独立に、前記出口窓から出る電荷担体に特有の測定値を検出する。上述のように、先行技術による装置は、放射線源からの距離が同じであるが、測定角度が異なっている線量の測定が、異なる結果につながるという欠点を有している。この偏差の程度は、電子雲の形態及び組成に現れる種々の因子に依存する。したがって、本発明により可能にされる通り、この雲を可能な限り正確に定義及び監視することで、殺菌効果、それ故にプロセスの成功を監視することが可能になる。
【0010】
即ち、同じ距離において、横方向において測定される電子は、平均すると、加速の方向に出口窓を出る電子と比べてより大きな偏向を被る。この点において、相違は、個々の電子の運動エネルギにある。したがって、放射線源からの距離が同じであるが、角度が異なっている線量の測定は、異なる結果につながる可能性がある。
【0011】
したがって、先行技術で公知の第1のセンサ装置を、第2のセンサ装置により拡張することが提案される。この方法で、出て行く電子雲をより正確に検出及び監視することができる。
【0012】
独立した測定は、特に、第1又は第2のセンサ装置に作用する電子の影響が、第2又は第1のセンサ装置にも影響を及ぼすことがないことを意味すると理解される。
【0013】
これは、出て行く電子雲の多次元の測定を可能にする。
【0014】
電荷担体は、特に電子であるが、本発明は、例えばα粒子又は陽子或いは陽電子など、他の荷電加速粒子にも適用可能であると考えられる。
【0015】
さらに、前記出口窓から第3の所定の方向にて到着する電荷担体を検出する第3のセンサ装置を備えることも、可能であると考えられる。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つのセンサ装置が、出口窓から進んで電荷担体の加速方向により遠くまで移動するような電荷担体、又は加速方向において出口窓に隣接する領域に高い確率で位置する電荷担体を検出する。
【0017】
ハウジングが、好都合には、少なくとも電荷担体発生装置と出口窓との間に(或る程度の)真空が存在するような形で設計される。
【0018】
さらに、ハウジングは、好都合には、出口窓を容器の口を通って容器の内部へと導入できるような形で設計される。したがって、ハウジングは、好都合には棒状の外形を有する。
【0019】
さらなる好都合な実施形態においては、装置が、容器を搬送経路に沿って運ぶ搬送装置を有する。また、装置は、好都合には、殺菌ユニット、特に、出口窓を容器の内部へと導入するための移動装置を有する。
【0020】
この場合、容器そのものを、特に容器の長手方向に沿って移動させることが可能であると考えられる。しかしながら、個々の出口窓又は殺菌ユニットを移動させることも考えられる。これらの要素の両方を移動させることも考えられる。
【0021】
さらなる好都合な実施形態においては、センサ装置も前記搬送装置に配置され、これにより、容器と一緒に搬送される。しかしながら、好ましくは、センサ装置は、不動であり、殺菌ユニットは、センサ装置を過ぎて移動する。センサユニットは、好ましくは、複数の殺菌装置、好ましくは、全ての殺菌装置のビーム出力を検出するように機能する。容器は、好ましくはプラスチック容器であり、特に変形プロセスにおいては、プラスチック容器へと変化させることができるプラスチック製のプリフォーム(予備成形物)である。しかしながら、容器が既にプラスチック壜へと形成されていてもよいと考えられる。
【0022】
好都合には、複数の殺菌装置が、可動のキャリア、特に、回転キャリア上に配置される。
【0023】
好ましい実施形態においては、前記第1のセンサ装置及び前記出口窓間の最短距離と、前記第2のセンサ装置及び前記出口窓間の最短距離とは、少なくとも断続的に、特に測定作業の間ずっと、お互いで、10°と170°との間、好ましくは20°と160°との間、好ましくは30°と150°との間、好ましくは40°と140°との間、特に好ましくは50°と130°との間、特に好ましくは60°と120°との間である角度を囲んでいる。
【0024】
さらには、この角度が、好ましくは70°と110°との間の範囲にあり、特に好ましくは80°と100°との間の範囲にあり、特に好ましくは約90°である。このようにして、例えば電子雲を三次元的に測定することができるよう、出口窓に対して複数の角度で測定を行うことができる。
【0025】
特に好ましくは、2つのセンサ装置がお互いに対して直角に配置され、例えば互いに直角に配置された板であってよく、これらのセンサ装置が、電子雲又は電子ビームを明らかにする。したがって、例えば、もたらされる線量、それによる殺菌の程度を、測定された電流から計算することができる。例えば3つ又は4つのそのようなセンサ装置を有するより大規模な構成は、ビーム位置の変化が生じた方向も監視可能にする。
【0026】
さらなる好都合な実施形態においては、少なくとも1つのセンサ装置は、平坦な(特に平面状の)測定素子、又は電荷担体が衝突又は通過できる所定の表面を囲む測定素子を有する。したがって、測定素子は、例えば金属板であってよいが、適切であれば、出口窓の方向に開いた中空体であってもよい。
【0027】
したがって、お互いに対して1つ以上の所定の角度にそれぞれ位置する2つ以上の測定点が、互いに絶縁されたそれぞれの関連の測定ユニットにより、電子ビーム又は電子雲を測定することができる。上述のように、これらのセンサ装置の各々が、金属板及び関連の測定ユニットを有する。しかしながら、センサ装置が、お互いに対して所定の角度に配置され、好ましくはそれぞれに電流計が組み合わせられ、互いに絶縁されている2枚以上のアルミニウム板を有し、電子放射に関して電子雲又は電子ビームを測定することも、可能であると考えられる。
【0028】
さらなる好都合な実施形態においては、前記第1のセンサ装置は、第1の測定素子を有し、前記第2のセンサ装置は、第2の測定素子を有し、前記第1の測定素子と前記第2の測定素子とは、互いに電気的に絶縁されている。これらは、好都合には、電荷担体が衝突することができる測定素子である。電気的な絶縁が、測定を互いに独立して実行できることを保証している。
【0029】
さらなる好都合な実施形態においては、前記測定素子は、共通のキャリア上に配置される。測定素子は、好都合には、絶縁領域により互いに隔てられる。これは、絶縁材料であってよいが、適切であれば、これらの測定素子の間に配置される空隙であってもよい。
【0030】
さらなる好都合な実施形態においては、少なくとも1つのセンサ装置は、電流を測定するための測定装置を有する。この電流により、測定素子に衝突する電荷担体の量についての結論を導き出すことができ、したがって、対応する放射線の強度又は電子雲の特性についての結論も導き出すことができる。
【0031】
さらなる好都合な実施形態においては、少なくとも1つの測定素子の出口窓からの距離が、変更可能である。好都合には、2つの測定素子の出口窓からの距離が、変更可能である。
【0032】
出口窓は、好都合には、特に好ましくは5〜15μmの間の厚さを有するチタニウム窓である。
【0033】
さらなる好都合な実施形態においては、出口窓(または、殺菌ユニット)は、センサユニットに対して可動に配置される。したがって、センサユニットそのものを容器へと導入せず、そのような測定を実際の殺菌プロセスの前又は後に実行することが可能であると考えられる。しかしながら、センサユニットが、電荷担体の移動の方向において出口窓に続き、例えばビームフィンガであってもよい殺菌装置上に、不動の様相で配置されることも、可能であると考えられる。
【0034】
さらに、本発明は、容器を殺菌するための方法であって、殺菌対象の容器が、所定の搬送経路に沿って搬送され、この搬送の間に電荷担体により殺菌され、電荷担体が、電荷担体発生装置により生成され、電荷担体加速装置により出口窓の方向に加速され、前記出口窓を通って(特にハウジングから)出る方法に関する。さらに、電荷担体が、容器の表面に到達し、前記出口窓から出る電荷担体に特有の少なくとも1つの測定値が、センサユニットにより取得される。
【0035】
本発明によれば、前記出口窓から離れるように所定の第1の方向に移動する電荷担体が、第1のセンサ装置により検出され、前記出口窓から離れるように所定の第2の方向に移動する電荷担体が、第2のセンサ装置により検出される。さらに、前記第1のセンサ装置及び前記第2のセンサ装置が、互いに独立に、前記検出されるそれぞれの電荷担体に特有の測定値を取得する。
【0036】
このようにして取得又は測定された値が、好都合にはユーザへと出力される。取得又は測定された値が、好都合には、比較装置により保存済みの値と比較される。取得又は測定された値について、保存済みの値(基準値)からのずれが所定の量よりも大きい場合、例えば警告情報などのさらなる情報をユーザへと出力することができ、又は容器を殺菌するための装置を、必要となりうる修理作業を実行できるように停止させることができる。
【0037】
さらなる好都合な方法においては、測定される値は、電流及び/又は電圧である。
【0038】
容器の殺菌作業についての結論を、好ましくはこれらの電流から導き出すことができる。センサユニットによる電荷担体の検出は、好ましくは殺菌プロセス、即ち、容器への電荷担体の印加とは異なる時点において実行される。
【0039】
容器は、殺菌の最中に、好ましくは(無菌でない)環境から少なくとも1枚の壁により隔てられたクリーンルームを通って搬送される。したがって、上述の装置は、好都合には、容器の殺菌を内側で行うことができるクリーンルームを有する。この場合、例えば電荷担体発生装置又はセンサ装置或いは比較装置などの殺菌装置の個々の構成要素をクリーンルームの外に配置し、出口窓をクリーンルーム内に配置することが可能である。
【0040】
さらなる利点及び実施形態が、添付の図面から明らかである。