【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる新規アップコンバージョン型蛍光体を見出した。
さらに、本発明者らは、アップコンバージョン型蛍光体の輝度には、結晶構造が大きく関っており、特定の結晶構造を有する酸化物系のアップコンバージョン型蛍光体を製造すれば、酸化物系のアップコンバージョン型蛍光体の輝度を従来よりも向上できることを見出した。
【0020】
例えば、母材がCeO
2である従来の酸化物系アップコンバージョン型蛍光体では、母材(CeO
2)の結晶構造において、希土類原子が近接した結晶構造を採り、希土類原子(Ce)が3次元的に分布して近接しているため、濃度消光により輝度が低下し、高輝度とならないと推察される。すなわち、
図2の上図に示すように、従来のアップコンバージョン型蛍光体の母材(CeO
2)では、希土類原子(Ce)が3次元的に分布して近接しているので高輝度とならないと推察される。
【0021】
これに対して、本発明のアップコンバージョン型蛍光体では、例えば、母材が(LnTa
7O
19)である態様を挙げると(Lnは後述する特定のランタニド金属を含む特定の+3価の金属イオン)、
図2の下図に示すように、特定のランタニド金属を含む特定の+3価の金属イオン(Ln
3+)とタンタルイオン(Ta
5+)がイオン数で1:1の層状に配列し(
図2において丸で囲った部分)、タンタル酸化物の層を介して上記特定の+3価の金属(Ln
3+)が離れた配置をとるため、濃度消光による輝度の低下が起きにくく、高輝度となるものと推察される。
【0022】
すなわち、本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体は、下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表されるセラミックスからなることを特徴とする。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
(上記一般式(1)中、aは0〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜1の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0026】
上記一般式(2)中、aは0.50〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜0.50の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0027】
上記一般式(3)中、aは0.3〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜0.7の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0028】
上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)中、M
1は、少なくとも1種の、イオン半径が0.75〜1.2Åである3価の金属原子であり(但し、下記エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)およびツリウム(Tm)は除く)、
M
2は、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)およびツリウム(Tm)よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の3価の金属原子であり、
M
3は、タンタル(Ta)およびニオブ(Nb)よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の5価の金属原子である。
【0029】
但し、YTaO
4:Er
,Yb、LaTaO
4:Er
,Yb、GdTaO
4:Er
,Yb、YTaO
4:Tm
,Yb、YNbO
4: Er,Yb、および、YNbO
4: Tm,Ybは除く。)
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体では、上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)において、M
1が、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、タリウム(Tl)およびアンチモン(Sb)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の3価の金属元素であることが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を提供できるなどの観点より好ましい。
【0030】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体は、上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)において、M
1が、スカンジウム、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)およびアンチモン(Sb)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の3価の金属元素であることが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を提供できるなどの観点より好ましい。
【0031】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体は、上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)におけるM
1が、イットリウム(Y)、ランタン(La)およびガドリニウム(Gd)であることが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を提供できるなどの観点より好ましい。
【0032】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体は、下記(I)〜(IX)のいずれかの要件を満たすことが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を提供できるなどの観点より好ましい。
【0033】
(I)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であり、aが0〜0.8の範囲であり、b+cが0.2〜1の範囲であり、b:cが1:10〜10:1の範囲であり、a+b+c=1である;
(II)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であり、aが0〜0.8の範囲であり、b+cが0.2〜1の範囲であり、b:cが1:20〜1:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(III)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であり、aが0〜0.8の範囲であり、b+cが0.2〜1の範囲であり、b:cが1:20〜1:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(IV)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であり、aが0.5〜0.95の範囲であり、b+cが0.05〜0.5の範囲であり、b:cが10:1〜1:10の範囲であり、a+b+c=1である;
(V)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であり、aが0.5〜0.95の範囲であり、b+cが0.05〜0.5の範囲であり、b:cが1:20〜1:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(VI)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であり、aが0.5〜0.95の範囲であり、b+cが0.05〜0.5の範囲であり、b:cが1:20〜1:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(VII)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であり、aが0.3〜0.99の範囲であり、b+cが0.01〜0.7の範囲であり、b:cが1:10〜10:1の範囲であり、a+b+c=1である;
(VIII)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であり、aが0.3〜0.99の範囲であり、b+cが0.01〜0.7の範囲であり、b:cが1:20〜1:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(IX)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であり、aが0.3〜0.99の範囲であり、b+cが0.01〜0.7の範囲であり、b:cが1:20〜1:2の範囲であり、a+b+c=1である。
【0034】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体は、下記(I’)〜(IX’)のいずれかの要件を満たすことが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を提供できるなどの観点より好ましい。
【0035】
(I’)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であり、aが0〜0.75の範囲であり、b+cが0.25〜1の範囲であり、b:cが1:5〜5:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(II’)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であり、aが0〜0.75の範囲であり、b+cが0.25〜1の範囲であり、b:cが1:20〜1:4の範囲であり、a+b+c=1である;
(III’)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であり、aが0〜0.75の範囲であり、b+cが0.25〜1の範囲であり、b:cが1:20〜1:5の範囲であり、a+b+c=1である;
(IV’)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であり、aが0.6〜0.95の範囲であり、b+cが0.05〜0.4の範囲であり、b:cが1:5〜5:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(V’)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であり、aが0.6〜0.95の範囲であり、b+cが0.05〜0.4の範囲であり、b:cが1:20〜1:4の範囲であり、a+b+c=1である;
(VI’)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であり、aが0.6〜0.95の範囲であり、b+cが0.05〜0.4の範囲であり、b:cが1:20〜1:5の範囲であり、a+b+c=1である;
(VII’)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であり、aが0.5〜0.99の範囲であり、b+cが0.01〜0.5の範囲であり、b:cが1:5〜5:2の範囲であり、a+b+c=1である;
(VIII’)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であり、aが0.5〜0.99の範囲であり、b+cが0.01〜0.5の範囲であり、b:cが1:20〜1:4の範囲であり、a+b+c=1である;
(IX’)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であり、aが0.5〜0.9の範囲であり、b+cが0.1〜0.5の範囲であり、b:cが1:20〜1:5の範囲であり、a+b+c=1である。
【0036】
本発明に係る、下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表されるセラミックスからなるアップコンバージョン型蛍光体の第一の製造方法は、イオン半径が0.75〜1.2Åである3価の金属(但し、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)およびツリウム(Tm)は除く)の化合物である少なくとも一種類の母材(A)の第1の原料(a)と、タンタル(Ta)化合物およびニオブ(Nb)化合物からなる群より選択される少なくとも1種の5価の金属の化合物からなる母材(A)の第2の原料(a’)と、エルビウム(Er)化合物、ホルミウム(Ho)化合物およびツリウム(Tm)化合物から選択される少なくとも1種の3価の金属の化合物である賦活剤原料化合物(B)と、イッテルビウム(Yb)化合物からなる光増感剤原料化合物(C)とを、下記(XI)〜(XIII)のいずれかの条件を満たすように混合し、得られた粉体混合物を800〜1500℃で焼成することを特徴とする。
【0037】
【化4】
【0038】
【化5】
【0039】
【化6】
(上記一般式(1)中、aは0〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜1の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0040】
上記一般式(2)中、aは0.50〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜0.50の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0041】
上記一般式(3)中、aは0.30〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜0.70の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0042】
上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)中、M
1は、少なくとも1種の、イオン半径が0.75〜1.2Åである3価の金属原子であり(但し、下記エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)およびツリウム(Tm)は除く)、
M
2は、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)およびツリウム(Tm)よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の3価の金属原子であり、
M
3は、タンタル(Ta)およびニオブ(Nb)よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の5価の金属原子である。
【0043】
但し、YTaO
4:Er
,Yb、LaTaO
4:Er
,Yb、GdTaO
4:Er
,Yb、YTaO
4:Tm
,Yb、YNbO
4: Er,Yb、および、YNbO
4: Tm,Ybは除く。)
(XI)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜99.8原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が0.2〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が100:1〜1:100となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となるように混合する;
(XII)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が99.8〜50.0原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が0.2〜50原子%、となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が100:1〜1:100となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となるように混合する;
(XIII)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が99.8〜30.0原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が0.2〜70原子%、となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が100:1〜1:100となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となるように混合する。
【0044】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の第2の製造方法は、イオン半径が0.75〜1.2Åである3価の金属(但し、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)およびツリウム(Tm)は除く)の化合物からなる少なくとも1種の母材(A)の第1の原料(a)と、エルビウム(Er)の化合物、ホルミウム(Ho)の化合物およびツリウム(Tm)の化合物から選択される少なくとも1種の3価の金属の化合物である賦活剤原料化合物(B)と、金属化合物としてイッテルビウム(Yb)を含む光増感剤原料化合物(C)と、母材(A)の第2の原料(a’)であるタンタル(Ta)の化合物およびニオブ(Nb)の化合物からなる群より選択される少なくとも1種の5価の金属の化合物と、母材(A)の第2の原料(a’)であるタンタルの配位性有機化合物錯体およびニオブの配位性有機化合物錯体よりなる群から選択される少なくとも1種の配位性有機化合物錯体と、配位性有機化合物と、溶媒とを、下記(XI)〜(XIII)のいずれかの条件を満たすように混合して、混合溶液を調製し、次いで、得られた混合溶液を120〜150℃で加熱して液体成分を蒸発させ、得られた生成物を400〜500℃で加熱してセラミック前駆体を形成し、次いで、得られたセラミック前駆体を800〜1500℃で焼成することを特徴とする。
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
(上記一般式(1)中、aは0〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜1の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0048】
上記一般式(2)中、aは0.50〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜0.50の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0049】
上記一般式(3)中、aは0.30〜0.998の範囲であり、b+cは0.002〜0.70の範囲であり、b:cは100:1〜1:100の範囲であり、a+b+c=1である。
【0050】
上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)中、M
1は、少なくとも1種の、イオン半径が0.75〜1.2Åである3価の金属原子であり(但し、下記エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)およびツリウム(Tm)は除く)、
M
2は、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)およびツリウム(Tm)よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の3価の金属原子であり、
M
3は、タンタル(Ta)およびニオブ(Nb)よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の5価の金属原子である。
【0051】
但し、YTaO
4:Er
,Yb、LaTaO
4:Er
,Yb、GdTaO
4:Er
,Yb、YTaO
4:Tm
,Yb、YNbO
4: Er,Yb、および、YNbO
4: Tm,Ybは除く。)
(XI)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜99.8原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が0.2〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が100:1〜1:100となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(XII)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が99.8〜50.0原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が0.2〜50原子%、となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が100:1〜1:100となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(XIII)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が99.8〜30.0原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が0.2〜70原子%、となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が100:1〜1:100となり、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する。
【0052】
以下、特に断りがない限り、アップコンバージョン型蛍光体の第一の製造方法、アップコンバージョン型蛍光体の第二の製造方法をまとめて、「アップコンバージョン型蛍光体の製造方法」と総称する。
【0053】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の製造方法は、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属が、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、タリウム(Tl)およびアンチモン(Sb)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の3価の金属であることが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を製造できるなどの観点より好ましい。
【0054】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の製造方法は、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属が、スカンジウム、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)およびアンチモン(Sb)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の3価の金属元素であることが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を製造できるなどの観点より好ましい。
【0055】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の第二の製造方法は、前記オキシカルボン酸が、クエン酸であることが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を製造できるなどの観点より好ましい。
【0056】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の製造方法は、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属が、イットリウム(Y)、ランタン(La)、およびガドリニウム(Gd)であることが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を製造できるなどの観点より好ましい。
【0057】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の製造方法は、上記混合を、下記(I’’)〜(IX’’ )のいずれかの条件を満たすように行うことが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を製造できるなどの観点より好ましい。
(I’’)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜80原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が20〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:10〜10:1となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(II’’)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜80原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が20〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(III’’)上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜80原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が20〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(IV’’)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が50〜95原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が5〜50原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が10:1〜10:1となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(V’’)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が50〜95原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が5〜50原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(VI’’)上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が50〜95原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が5〜50原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(VII’’)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が30〜99原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が1〜70原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:10〜10:1となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(VIII’’)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が30〜99原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が1〜70原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(IX’’)上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が30〜99原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が1〜70原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a’)のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する。
【0058】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の製造方法は、上記混合を、下記(I' ' ')〜
(IX' ' ')のいずれかの条件を満たすように行うことが、さらに高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を製造できるなどの観点よりより好ましい。
(I' ' ')上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜75原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が25〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:5〜5:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(II' ' ')上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜75原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が25〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:4となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(III' ' ')上記一般式(1)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が0〜75原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が25〜100原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:5となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して490〜910の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(IV' ' ')上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が60〜95原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が5〜40原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:5〜5:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(V' ' ')上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が60〜95原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が5〜40原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:4となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(VI' ' ')上記一般式(2)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が60〜95原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が5〜40原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:5となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して70〜130の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(VII' ' ')上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がエルビウム(Er)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が50〜99原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が1〜50原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:5〜5:2となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(VIII' ' ')上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がホルミウム(Ho)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が50〜99原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が1〜50原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:4となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する;
(IX' ' ')上記一般式(3)で表されるセラミックスからなり、M
2がツリウム(Tm)であるアップコンバージョン型蛍光体を製造する場合、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、上記賦活剤原料化合物(B)の金属原子および上記光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計を100原子%としたときに、
上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子が50〜90原子%、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計が10〜50原子%となり、
賦活剤原料化合物(B)の金属原子:光増感剤原料化合物(C)の金属原子が1:20〜1:5となり、かつ、
上記母材(A)の第2の原料(a')のM
3の原子数が、上記母材(A)の第1の原料(a)の金属原子、賦活剤原料化合物(B)の金属原子および光増感剤原料化合物(C)の金属原子の合計原子数100に対して23〜43の割合となり、かつ、
上記配位性有機化合物の量が全金属に対して1〜10倍モルとなるように混合する。
【0059】
本発明に係るアップコンバージョン型蛍光体の製造方法は、前記セラミックス前駆体に、ホウ素化合物、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群より選択される少なくとも1種のフラックス剤を、アップコンバージョン型蛍光体100重量%に対して0.1〜50重量%となる量で加えて、上記焼成を行うことが、より高輝度であるアップコンバージョン型蛍光体を製造できるなどの観点より好ましい。