(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。しかし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は1つの形態にかかるポスト10の斜視図である。
図2(a)は
図1に矢印IIaで示したように、ポスト10のうち投函側部材20を投函口21a側から見た図である。
図2(b)は
図1に矢印IIbで示したように、ポスト10のうち受取側部材40を受取口41a側から見た図である。また、
図3(a)は
図1にIIIaーIIIaで示した線に沿った投函側部材20の断面であり、
図3(b)は
図1にIIIb−IIIbで示した線に沿った受取側部材40の断面である。そして
図4(a)は
図1にIVaーIVaで示した線に沿った投函側部材20の断面であり、
図4(b)は
図1にIVb−IVbで示した線に沿った受取側部材40の断面である。
図1〜
図4よりわかるように、ポスト10は投函側部材20、位置決めスペーサー30及び受取側部材40を備えている。
【0018】
投函側部材20は、郵便等の投函物をポスト10に対して投函する側に配置される部材であり、ポストが建物の壁に設けられる場合には室外側に配置される。
図5には、投函側部材20を
図1とは反対側の視点から見た斜視図(すなわち投函口21aとは反対側で、受取側部材40に組み合わされる側から見た斜視図)を示した。
図1〜
図5よりわかるように、投函側部材20は、本体21、開閉フタ22、及びモヘヤ部材24を有して構成されている。
【0019】
本体21は投函側部材20の骨格を成す部材であり、全体として断面矩形の筒状を有している。本体21の筒状である一方側の開口端部が投函口21aを形成し、他方側の端部は、その少なくとも一部が受取側部材40の内側に差し込まれて組み合わされる端部(受取側端部21c)となる。
本形態では本体21の投函口21aにおいて、開口が狭められるとともにその縁が反対側の端部に向けて折り曲げられている。これにより投函物がポスト10の内側に入りやすくなる。
また、本体21の外周部には、本体21の周方向に延び、当該外周部から立設する環状の板である張り出し部21bが設けられている。この張り出し部21bを躯体等に固定することにより本体21を構造物の取り付け部位に固定する。
【0020】
開閉フタ22は、投函口21aを塞ぐように配置される矩形板状の部材であり、その上端部を中心に回動可能に本体21に配置されている。従って開閉フタ22は
図4(a)に矢印Aで示したように上端部を中心に揺動することができる。従って、投函物がない時には
図4(a)のように投函口21aは開閉フタ22により閉鎖されている。これに対して投函物があったときには、投函物が開閉フタ22を押圧して開閉フタが22が回動し、投函口21aが開口してポスト10の内側に通じる。
なお、本形態では、トーションバネからなる付勢部材23により、開閉フタ22が投函口21aを閉鎖する方向に付勢している。これにより風等により開閉フタ22が無用に揺動することが防止されている。ただし、この付勢力は投函を妨げることがない程度に調整されている。
【0021】
モヘヤ部材24は、本体21の内側にモヘヤ26を配置するために構成された部材であり、取付部材25、モヘヤ26及び固定枠27を有して構成されている。
取付部材25は、本体21の内側に収納できる大きさの矩形枠25aを備えている。矩形枠25aのうち投函口21a側の面の下方と側方の3つの面からは投函口21a側に向けて板材が延びておりこれが投函物受け部材25bとして機能する。また、投函物受け部材25bのうち下方の板材の内面側には所定の間隔を有して本体21の筒状の軸線に平行であるリブ25cが形成されている。
固定枠27は、取付部材25の矩形枠25aのうち投函口21aとは反対側の面に重なる枠材である。
モヘヤ25は複数の毛が開口を塞ぐ方向に立設した部材であり、公知のモヘヤと同様のものである。
【0022】
このようなモヘヤ部材24は、取付部材25のうち矩形枠25aの投函物受け部材25bが配置された側とは反対側に固定枠27が重ねられる。この際、矩形枠25aと固定枠27との間にモヘヤ26が挟まれる。そして、取付部材25の投函物受け部材25bが投函口21a側に向くようにして本体21の内側に挿入されて、モヘヤ26を挟持した状態で矩形枠25aと固定枠27が本体21の内面にネジ等により固定される。本形態では、本体21の筒状の内面に段差が設けてありこの段差により生じる面に矩形枠25aと固定枠27が不図示のネジにより固定されている。
【0023】
モヘヤ26を配置することにより、風や雨の吹き込みを低減することができる。また、投函物受け部材25bを設け、ここにリブ25cを配置することにより投函する際における抵抗を減らすことができ、投函者の利便性が向上される。
【0024】
位置決めスペーサーは、投函側部材を建物等に取り付ける際に投函側部材と取り付け部位の開口部内周面との間に適切な間隙を確保するためのスペーサーである。そして本発明では当該位置決めスペーサーが、投函側部材のうち、本体21において張り出し部21bを挟んで、投函口21aと反対側の端部である、断面矩形の筒状に形成された受取側端部21cの先端(すなわち受取側部材40と組み合わされる側の端部の先端)に着脱可能とされている。これにより上記のように間隙を確保する機能の他、施工時に投函側部材のガタツキを抑制することができる。
本形態における位置決めスペーサー30について
図6(a)に位置決めスペーサー30の外観斜視図、
図6(b)に
図6(a)に矢印VIbから見た位置決めスペーサー30の側面図を示した。
図1〜
図6よりわかるように本形態の位置決めスペーサー30は、基部31、間隙形成部材32、及び保持部材33を備えて構成されている。
【0025】
基部31は、間隙形成部材32及び保持部材33を保持するためのベースとなる部材である。本形態では基部31は略L字状の板材であり、L字状の隅部が斜めに形成されている。すなわち、基部31は、一方に延びる板状の第一部31aを有し、該第一部32とは延びる方向が90度異なる第二部31bを備え、当該第一部31aと第二部31bとを連結する板状の連結部31cを具備している。
【0026】
間隙形成部材32は、基部31の第一部31a及び第二部31bの一方の面のうちの端部のそれぞれから立設する板状の部材である。当該間隙形成部材32が投函側部材20の外周面と取り付け部位の開口部1(例えば
図7(a)参照)の内周面との間に入り込み、適切な間隙を形成する。
間隙形成部材32は、その板状である面のうち一方の面32aが基部31とは反対側、他方の面32bが基部31側に向いている。従って、本形態では、2つの間隙形成部材32では、一方の間隙形成部材32の面32aが属する平面と、他方の間隙形成部材32の面32aが属する平面とが直交する関係にある。
【0027】
従って、間隙形成部材の厚さは、最も厚い部分(本形態では基部31との連結部、
図6(a)にtで示した部位)において、所望の間隔と同じ大きさとされている。そして、本形態では間隙形成部材32は、基部31との接合部で最も厚くされており、保持部材33に対向する面とは反対側の面32a(開口部1(例えば
図7(a)参照)に対向する面)が傾斜することにより先端に向けて細くなるように形成されている。これにより、後述するように間隙形成部材32を本体21から離脱させるときに抵抗を減らすことができる。
【0028】
保持部材33は、基部31の第一部31a及び第二部31bの一方の面のうち間隙形成部材32が形成された側の面に立設される板状であり、間隙形成部材32と所定の間隔を有して、一方の面が間隙形成部材32の面32bに対向するように配置されている。保持部材33は、間隙形成部材32の面32bとの間に本体21の受取側端部21cを挟むことにより位置決めスペーサー30を本体21に保持する機能を有する。従って保持部材33は挟むという観点から適切な形態が採用されることが好ましい。具体的な例としては本形態のように、屈折した形態を有することにより、根元側における面32bと保持部材33との間隙より、先端における面32bと保持部材33との間隙の方が狭くなる形態を挙げることができる。
【0029】
このような位置決めスペーサー30は例えば次のように本体21に着脱可能に保持されている。
図1、
図3〜
図5よりわかるように、本形態では4つの位置決めスペーサー30が、投函側部材20の投函口21aとは反対側の端部である受取側端部21cの先端の4隅のそれぞれに配設されている。このときには、位置決めスペーサー30の間隙形成部材32及び保持部材33を投函口21a側に向け、間隙形成部材32と保持部材33との間に本体21の受取側端部21cの先端を挿入するようにして本体21の受取側端部21cを間隙形成部材32と保持部材33との間に挟む。その際には間隙形成部材32が本体21の外周面側、保持部材33が本体21の内周面側となる。
これにより、位置決めスペーサー30は本体21に対して着脱可能に保持される。
【0030】
このように位置決めスペーサーを受取側端部21cの隅に配置することにより、少ない部品点数で効果的に投函側部材20の受取側端部21cの外周面と開口部1の内周面との間隙を確保することができる。かかる観点から最も少ない部品点数では、2つの位置決めスペーサー30を受取側端部21cの対角に配置することが挙げられる。これはすなわち、投函側部材20のうち投函口21aとは反対側である受取側端部21cの先端における4つの辺のそれぞれに1つの間隙形成部材が配置されることを意味する。本形態ではさらに確実に当該間隙を確保するために受取側端部21cの4隅に位置決めスペーサー30を配置した。これによれば投函側部材20のうち受取側端部21cの先端における4つの辺のそれぞれに2つの間隙形成部材32が配置されたことになる。そして各辺の両端に間隙形成部材32が配置されることになるので、より確実に投函側部材20の受取側端部21cの外周の全周に亘ってポスト10の取り付け対象部位である建物等の開口部1(
図7参照)の内周面との間に間隙を形成できる。
また、位置決めスペーサー30を受取側端部21cの4隅に配置することにより、開口部1の中央に投函側部材20を位置決めして配置することができる。
【0031】
ここで、本形態では位置決めスペーサー30は、間隙形成部材32と保持部材33との組み合わせが2組設けられている。これにより、1つの位置決めスペーサー30で、断面矩形の筒状である本体21の1つの壁と、これに隣接して直交するもう1つの壁を同時に挟んで間隙形成部材32を配置することができ、効率が高く利便性がよい。また、2組の間隙形成部材32及び保持部材33が、互いに他方の間隙形成部材32及び保持部材33の移動を規制するため、位置決めスペーサー30の位置ずれを防止することができる。
ただし、これに限定されることなく、間隙形成部材32と保持部材33との組み合わせが1組である位置決めスペーサーであってもよい。
【0032】
次に
図1〜
図4に戻って受取側部材40について説明する。受取側部材40は、投函物を取り出す側に配置された部材であり、ポストが建物の壁に設けられる場合には室内側に配置される。
図1〜
図4よりわかるように、受取側部材40は、本体41、開閉フタ42を有して構成されている。
【0033】
本体41は受取側部材40の骨格を成す部材であり、全体として断面矩形の筒状を有している。本体41の筒状である一方側の開口端部が受取口41aを形成し、他方側の端部が投函側部材20の受取側端部21cの先端を取り囲み、内側に内包させて組み合わされる。従って、受取側部材40は少なくとも当該他方側の端部において投函側部材20の受取側端部21cの先端を内包することができる大きさである。
【0034】
開閉フタ42は、受取口41aを塞ぐように配置される部材であり、その上端部を中心に回動可能に本体41に配置されている。従って、開閉フタ42は
図4(b)に矢印Bで示したように上端部を中心に揺動することができる。そして通常時には
図4(b)に表れているように受取口41aは開閉フタ42により閉鎖されているが、投函物を取り出すときには使用者が手で開閉フタ42を回動させて受取口41aを開口させてポスト10の内側に連通させる。
なお、本形態ではトーションバネからなる付勢部材43により、開閉フタ42を受取口41aを閉鎖させる方向に付勢している。これにより意図しない場面で開閉フタ42が揺動してしまうことを抑制している。ただし、この付勢力は開閉フタ42を使用者が回動させる際に過度の力を要しない程度に調整されている。
【0035】
次に上記したポスト10を建物の壁に施工する方法の1つの例について説明する。
図7〜
図10に当該方法を説明する図を示した。各図において(a)は当該設置場所における水平方向断面図、(b)は鉛直方向断面図をそれぞれ表している。また各図において紙面左は室外側、紙面右は室内側を表している。
【0036】
本例では初めに建物に形成した内外を通じた開口部1に対して、
図7(a)、
図7(b)に示したように室外側から投函側部材20のうち投函口21aとは反対側の端部である受取側端部21cを差し込む。このとき当該受取側端部21cの先端には位置決めスペーサー30が装着されている。差し込まれると本体21の張り出し部21bの面が躯体2の室外側面に接触し、これにより投函側部材20の室内外方向(見込方向)の位置が決まる。また、位置決めスペーサー30の間隙形成部材32が本体21の外周面と開口部1の内周面との間に挟まれて配置されるので、当該本体21の外周面と開口部1の内周面との間に所定の間隙が形成されつつ、投函側部材20の開口面方向(見付方向)の位置が決まる。
そしてこの状態で、本体21の張り出し部21bをネジ等の固定部材(不図示)を用いて躯体2に固定する。これにより投函側部材20の位置が確定する。
【0037】
次に
図8(a)、
図8(b)に矢印Cで示したように本体21に装着しておいた位置決めスペーサー30を抜き取り、本体21から離脱させる。このとき、本形態では使用者は位置決めスペーサー30の基部31を指に引っ掛けて位置決めスペーサー30を引き抜くことができるので利便性が高い。また、本形態の位置決めスペーサー30はその間隙形成部材32において開口部1の内周面に接触する側の面32a(
図6(a)、
図6(b)参照)に先細となる傾斜が設けられている。これにより間隙形成部材32と開口部1の内周面との接触面積を減らすことができ、位置決めスペーサー30の引き抜きがさらに容易になる。
位置決めスペーサー30を抜き去っても上記説明したように本体21は既に位置が固定されているので、本体21の外周面と開口部1の内周面との間隙は維持されている。
【0038】
そして
図9(a)、
図9(b)に示したように開口部1の室内側から受取側部材40を差し込む。これにより
図10(a)、
図10(b)に示したように受取側部材40のうち受取口41aと反対側の端部が投函側部材20の受取側端部21cの先端を内包するように組み合わされる。このように組み合わされることにより投函する際に、投函側部材20と受取側部材40との段差に投函物が引っ掛かることを防止することができる。
このとき、投函側部材20では、位置決めスペーサー30により本体21のうち受取側部材40に差し込まれる側である受取側端部21cの先端で直接的に開口部1の内周面と間隙を確保しているので、確実に受取側部材40の本体41を組み合わせることができる。
【0039】
以上によりポスト10が建物に設置される。
【0040】
次に上記したポスト10を建物の壁に設置する方法の他の例について説明する。
図11、
図12に当該方法を説明する図を示した。各図において(a)は当該設置場所における水平方向断面図、(b)は鉛直方向断面図をそれぞれ表している。また各図において紙面左は室外側、紙面右は室内側を表している。
【0041】
本例では初めに建物に形成した内外を通じた開口部1に対して、
図11(a)、
図11(b)に示したように室外側から投函側部材20のうち投函口21aとは反対側の端部である受取側端部21cを差し込む。このとき当該受取側端部21cの先端には位置決めスペーサー30が装着されていない。本体21が差し込まれると本体21の張り出し部21bの面が躯体2の室外側面に接触し、これにより投函側部材20の室内外方向(見込方向)の位置が決まる。
その後、
図11に矢印Dで示したように位置決めスペーサー30を室内側から差し込み、本体21の受取側端部21cの先端に装着する。これにより、
図12(a)、
図12(b)のように位置決めスペーサー30の間隙形成部材32が本体21の外周面と開口部1の内周面との間に挟まれて配置される。そして、当該本体21の外周面と開口部1の内周面との間に所定の間隙が形成されつつ、投函側部材20の開口面方向(見付方向)の位置が決まる。
続いて、本体21の張り出し部21bをネジ等の固定部材(不図示)を用いて躯体2に固定する。これにより投函側部材20の位置が確定する。
【0042】
これにより
図7(a)、
図7(b)と同じ状態となり、この後は上記説明した手順と同様に進めることができる。
このような方法でも本発明の効果を奏しつつ、ポスト10を建物に施工することができる。