(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
遊技機、特にパチンコ機において、例えば、始動入賞口(特別図柄始動入賞口)に入賞したパチンコ球を検出するタイミングで乱数を取り込むことで特別図柄抽選(当落抽選)がなされ、この特別図柄抽選の結果が当たりとなると、大入賞口が所定期間、所定回数開放され(1回の開閉を1ラウンドとし、一般に合計で2〜16ラウンド程度の間で選択されて継続する。)、遊技球の入賞率を高めることで払い出す遊技球を増大させて、遊技者に有利な状態とする機能(大役処理機能)を持つパチンコ機がある。なお、上記遊技仕様に限らず、他の遊技仕様のパチンコ機においても、最終的には、多くの遊技球の払い出しによって遊技者に有利な状態とすることができる。
【0003】
払い出される遊技球は、予め遊技機の上部に設けられたタンクユニットに貯留され、ホール側から適宜補充されるようになっている。
【0004】
タンクユニットからは、球流路ユニットが連結され、基本的には、遊技球の自重によって、球流路ユニットに設けられた流路に案内されることで、整列処理、計数処理が実行され、受け皿ユニットへ送り出されるようになっている。
【0005】
受け皿ユニットは、貯留された遊技球を発射装置へ供給する上皿部と、上皿部の遊技球収容能力を超えた場合の補助として遊技球を貯留する下皿部とに分かれている場合がある。
【0006】
ところで、遊技の進行において、遊技球を途切れることなく、所定の周期(一例として、1分毎に100球)で発射する期間は、上皿部の遊技球収容能力に依存する。しかし、例えば、上皿部の近傍に設置される、遊技者が演出に介入するための操作部が大型化する傾向にあり、構造上、上皿部自体の遊技球収容能力を拡大することが困難となっている。
【0007】
上皿部は、遊技盤の裏面側で前述した球流路ユニットとの間で球受皿の案内路を介して連結されている。
【0008】
球受皿の案内路は、基本的には遊技球を上皿部へ送り出す機能と、上皿部が遊技球収容能力を超えた場合に、直接下皿部へ送り出す振分け機能とを有している。
【0009】
この球受皿は、前記振分け機能を円滑に実行するためのバッファとして、少量の遊技球が貯留可能となっているが、案内路は、遊技球を球流路ユニットから円滑に受け取り、かつ円滑に上皿部又は下皿部へ案内させるため、流動面(床面)の傾斜が重要な要件となり、単純に案内路において遊技球収容能力を拡大すると、流動面の傾斜のバランスが崩れ、上流側から下流側にかけて逆段差(下流側の高位となる段差)が生じる等、本来の機能の1つである振分け機能を円滑に実行することができない場合がある。
【0010】
ここで、球受け構造の関連技術として、特許文献1には、球皿部材を開放した際の遊技球の飛び出しを防止し得る遊技機構造が開示されている。
【0011】
また、特許文献2には、上皿球抜きボタンが操作されたときに電磁ソレノイドにより開閉板を移動させ上皿球排出を行う構造が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献1,2を含め、球受け構造に関する従来技術では、上皿部の遊技球収容能力の拡大を図るような構造は開示されておらず、示唆もない。
【0014】
本発明は上記事実を考慮し、上皿部の上流において、上皿部又は下皿部へ選択的に案内する振分け機能を維持し、かつ遊技球収容能力を拡大することができる遊技機の球受け構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、遊技球を貯留すると共に貯留された遊技球を発射装置に送り込むことが可能な第1の受皿部と、前記第1の受皿部とは別に遊技球を貯留する第2の受皿部と、遊技盤裏面側に設けられ、遊技球
を案内面
に沿って、当該案内面の終端部
まで流動させる第1の案内部と、前記第1の案内部
の終端部の幅方向にかけて配列された状態で遊技球を受け取り可能、かつ前記第1の受皿部の延長として遊技球を貯留可能であり、
前記第1の受皿部へ送り出す第1の方向に向けて下り傾斜面とされた遊技球貯留部
、及び、第1の案内部から受け取った遊技球の第1の案内部への逆流を防止するように前記遊技球貯留部から所定の高さ突起した突起部を備えた第2の案内部とを有し、
前記突起部の上端面の高さが、前記終端部の高さに対して高低の関係が逆転する位置が存在するように設定されており、前記第1の案内部の終端部の幅方向において、当該終端部が対峙する前記第2の案内部の
突起部の上端面との高低差が逆転する位置を境界とし、前記終端部が
前記突起部の上端面よりも高位となる通常案内領域では遊技球を前記第2の案内部へ案内し、前記終端部が
前記突起部の上端面よりも低位となる補助案内領域では遊技球を前記第2の受皿部へ案内することを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、例えば、払い出しの指示があると、球払い出しユニットから遊技球が計数されて排出される。
【0017】
排出された遊技球は、まず、第1の案内部へ案内され、少なくとも終端部では当該遊技球を遊技盤裏面に沿う方向に流動する。
【0018】
次に、遊技球は、遊技球貯留部を備えた第2の案内部に受け渡されるが、この第2の案内部の下り傾斜面と、第1の案内部の終端部とが対峙される。
【0019】
この第2の案内部に受け渡された遊技球は、遊技球貯留部を介して、第1の受皿部へ送り出される。第1の受皿部では、発射装置に遊技球が送り込まれるため、第1の受皿部に遊技球が存在する限り、例えば、第2の受皿部から遊技球を補充することなく、遊技を継続して進行させることができる。
【0020】
ここで、第2の案内部では、第1の受皿部及び遊技球貯留部が共に遊技収容能力を超えると、第1の案内部から受け取った遊技球を直接第2の受皿部へ案内する。この場合、第1の案内部の終端部の幅方向において、当該終端部が対峙する前記第2の案内部の下り傾斜面との高低差が逆転する位置を境界とし、前記終端部が高位となる通常案内領域では遊技球を前記第2の案内部へ案内し、前記終端部が低位となる補助案内領域では遊技球を前記第2の受皿部へ案内するように明確に振り分けている。
【0021】
このため、補助案内領域から、高位の遊技球貯留部へ遊技球が案内される経路は存在せず、円滑に遊技球を、第1の受皿部又は第2の受皿部へ案内することができる。
【0022】
通常案内領域と補助案内領域の設定を維持することで、結果として、遊技球貯留部の拡大があっても、遊技球が低位から高位へ移動するような受け渡しが存在せず、球詰まり等の不具合を発生させることなく、必要に応じて、第1の案内部の遊技球貯留部の遊技球収容能力を拡大することができる。
【0023】
本発明において、前記第1の案内部の終端部における補助案内領域に対応する前記第2の案内部には、
前記突起部と前記終端部との間に前記下り傾斜面と相反する方向の下り傾斜面のスロープ部が形成されていることを特徴としている。
【0024】
第1の受皿部と第2の受皿部との振り分けをさらに明確にすることができる。
【0025】
また、本発明において、スロープ部は、前記遊技球貯留部の領域を浸食するように、
前記突起部が凹陥されて設けられていることを特徴としている。
【0026】
遊技球貯留部を凹ませるようにスロープ部を遊技球貯留部の領域に浸食させて設けることで、遊技球貯留部と補助案内領域とを隔離することができる。
【0028】
例えば、第1の案内部が遊技機の内枠に取り付けられ、第2の案内部が遊技機の扉に取り付けられている場合、扉を開放すると、第1の案内部と第2の案内部とは分離される。このとき、突起部があれば、第1の案内部の遊技球貯留部に貯留されている遊技球がこぼれ落ちることがない。
【発明の効果】
【0029】
以上説明した如く本発明では、上皿部の上流において、上皿部又は下皿部へ選択的に案内する振分け機能を維持し、かつ遊技球収容能力を拡大することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(パチンコ機10の全体構成)
図1に示される如く、パチンコ機10は、矩形状の外枠11A及び内枠11Bを備えた本体枠10Aと、一体扉ユニット10Bとを備え、本体枠10A(外枠11A、内枠11B)、並びに一体扉ユニット10Bは、それぞれヒンジ10Cを介して取り付けられている。このため、内枠11Bは外枠11Aに対して、並びに、一体扉ユニット10Bは内枠11Bに対して、それぞれヒンジ10Cの軸部を中心に回転可能とされている。
【0032】
パチンコ機10の一体扉ユニット10Bの前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0033】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、ガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられる場合がある。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18(詳細は省略)がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0034】
ガラス枠16の上部角部には、スピーカ60L、60Rが内蔵され、また、ガラス枠16の下部角部には、低音用のスピーカ60Bが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。以下、スピーカ60L、60R、60Bを総称する場合、スピーカ60という。
【0035】
また、ガラス枠16における左右の側部、並びに上部には、電飾装置51、52が取り付けられている。電飾装置51、52は、図示しないベース部に対して、立体的に突出したレンズカバーが取り付けられた構造となっている。
【0036】
電飾装置51のベース部には、図示しない電気配線基板が設けられ、当該電気配線基板には、電気部品としての光源が取り付けられている。このため、レンズカバーに閉塞された空間内で光源が点灯すると、レンズカバーによる光の屈折等により、遊技者に対して光の演出が実行されるようになっている。
【0037】
ガラス枠16の下部には、受け皿ユニット24が配置されている。受け皿ユニット24の
図1の右端部には、鍵穴27が設けられている。
【0038】
受け皿ユニット24には、上皿部28が設けられている。上皿部28には、開口部154を介して受け皿ユニット24の裏面側から遊技球PBが送り出されるようになっている。
【0039】
また、上皿部28には、球抜きボタン36Aが設けられ、この球抜きボタン36Aを操作することで、上皿部28に貯留された遊技球PBを下皿部29へ案内することができるようになっている。また、上皿部28の
図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0040】
下皿部29には、球抜きレバー36Bが設けられ、この球抜きレバー36Bを操作することで、下皿部29に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0041】
上皿部28には、賞球及び払い出しされた遊技球PBが、優先的に案内されるようになっている。上皿部28は、
図1の左から右へ徐々に低位となるスロープが形成されており、遊技球PBを1列に配列しながら順次、受け皿ユニット24の裏面側に設けられた発射装置(図示省略)へ案内する。
【0042】
ここで、遊技球PBは、上皿部28の遊技球収容能力を超えると、下皿部29へ案内されるようになっている。この上皿部28又は下皿部29への遊技球PBの振り分けは、上皿部28の上流側となる受け皿ユニット24の裏面側で実行されるようになっている。なお、この上皿部28又は下皿部29への遊技球PBの振り分けについての詳細は後述する。
【0043】
受け皿ユニット24の
図1の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット26(「(発射ハンドル26」という場合がある)」が取り付けられている。
【0044】
また、受け皿ユニット24における上皿部28には、遊技者が押圧操作又は回転操作可能な操作部50が設けられている。この操作部50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0045】
図2は、遊技盤18が装着された状態での、パチンコ機10の背面側の正面図である。
【0046】
図2に示される如く、遊技盤18の背面には、制御系のユニットと、遊技球流路ユニットとが組み込まれている。
【0047】
(制御系ユニット)
制御系ユニットには、それぞれ複数の電子部品が取り付けられた基板ボード及びその周辺部品が透明の筐体に覆われた状態で取り付けられており、遊技機18の中央部には、主基板100が配置され、パチンコ機10の制御系ユニットは、主基板100を中心として、遊技仕様に基づく制御プログラムが実行される。
【0048】
主基板100の上部には、サブ基板液晶ユニット102が配置されている。また、サブ基板液晶ユニット102のさらに上部(
図2の右上)には、外部端子基板104が配置されている。
【0049】
サブ基板液晶ユニット102では、主基板100からの命令により液晶表示装置(図示省略)に図柄変動演出を含む動画等を表示する制御を司る。
【0050】
すなわち、サブ基板液晶ユニット102の正面側に液晶表示装置(図示省略)が設けられており、液晶表示装置は、その表示面が遊技盤18(
図1参照)の中央から露出され、表示面に表示される画像が遊技者から表示画像が視認可能となる。なお、遊技盤18が木製の合板製の場合は遊技盤18に表示面露出用の貫通孔が設けられる。また、遊技盤18が透明の合成樹脂製の場合、その全面が表示面となり得る場合がある。
【0051】
なお、サブ基板液晶ユニット102は、画像表示制御と共に、スピーカ60から出力する効果音や音声等の音声出力制御が併せて実行される。
【0052】
図2に示される如く、主基板100の下部には、払出制御基板106が配置されている。また、払出制御基板106の
図2の左側部には、電源ユニット108が配置されている。
【0053】
主基板100には、遊技仕様に基づく制御プログラムを中心とした複数の制御プログラムが記憶されており、この主基板100からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0054】
また、主基板100からは、外部端子基板104を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号等)が送信される。
【0055】
(接続デバイスの一例)
上記制御系ユニットに接続されるデバイスの一例を示す。
【0056】
主基板100には、入力系として、遊技盤18に設けられた通過ゲートの遊技球PBの通過や、入賞口への遊技球PBの入賞を検出するセンサ群が接続され、出力系として、遊技球PBの入賞に関わる機械的な動作の駆動源であるソレノイドやモータ等のデバイスが接続されている。
【0057】
また、サブ基板液晶ユニット102には、入力系として、前記操作部50が接続され、出力系として、演出等に用いられ機械的な動作の駆動源であるソレノイドやモータ等のデバイスや、前述したスピーカ60、電飾装置51が接続されている。
【0058】
さらに、払出制御基板106には、払出装置及び発射装置が接続されている。
【0059】
この払出制御基板106は、パチンコ機10内に設けられた払出装置を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、遊技者によるグリップユニット26(
図1参照)の操作により発射装置を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射強度を制御する。
【0060】
(遊技球流路ユニット)
一方、
図2に示される如く、遊技球流路ユニットは、タンクユニット110を備えている。タンクユニット110は、パチンコ機10の最上部に位置しており、ホール設備である遊技球循環装置から遊技球PB(
図2では図示省略、
図4〜
図6参照)を受け取るようになっている。例えば、タンクユニット110には、貯留量センサ等が設けられ、自動的に常に一定量の遊技球PBが貯留されていることが好ましい。
【0061】
ここで、パチンコ機10には、本体枠10Aの内枠11Bの
図2の右側縦柱部に沿って、払出ユニットベース112が取り付けられている。払出ユニットベース112は、長尺薄板を適宜折り曲げて形成され、予め本体枠10Aの内枠11Bにおける
図2の右側縦柱部(パチンコ機10の正面からは左側縦柱部となる。)に沿って固定されている。この払出ユニットベース112には
図2の上から順に、流路上ユニット114、払出ユニット116、流路下ユニット118がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。
【0062】
上記流路上ユニット114、払出ユニット116、流路下ユニット118の全てが、前記払出ユニットベース112に取り付けられると、それぞれに形成された球流路が相互に連通するようになっている。
【0063】
従って、遊技球PBの賞球命令があると、払出ユニット116の払出機構が作動して、タンクユニット110に貯留された遊技球PBをカウントしながら流路下ユニット118の下端部出口から排出する。
【0064】
図3に示される如く、流路下ユニット118の出口は、内枠11Bに形成された中継皿150に対応しており、流路下ユニット118の出口から排出された遊技球PBは中継皿150へ受け渡されるようになっている。
【0065】
中継皿150の案内路(床面)は、平面視で90°の扇形(カーブ形状)とされ、前記流路下ユニット118の出口と対峙する端部が最高位となる傾斜面となっている。
【0066】
このため、中継皿150は、傾斜面の最高位で、流路下ユニット118から受け取った遊技球PBを、遊技盤18の奥行き方向から左右方向に方向転換するように円弧状の移動軌跡に沿って流動させるようになっている。
【0067】
中継皿150上での遊技球PBは、案内路がカーブ形状であるため、所謂遠心力が働き、最外周の円弧状の側壁部150Aに近づく方向を力(ベクトル)持つ。
【0068】
一方、遊技球PBが中継皿150から排出される案内路の終端部150Bは、横方向に4〜5個程度の遊技球PBが配列可能な開口幅となっている。
【0069】
このとき、前記中継皿150の終端部150Bでは、通常流動状態では、側壁部150A寄りの1/2程度の幅(遊技球PBの1〜2列程度であり、以下、「通常案内領域An」という/
図4(B)参照)から排出されるようになっている。なお、通常流動状態とは、例えば、上皿部28の遊技球収容能力に達しておらず、中継皿150を円滑に流動している状態を言う。
【0070】
中継皿150の終端部150Bには、球受皿152が対峙するように取り付けられている。中継皿150は内枠11B側に取り付けられ、球受皿152は一体扉ユニット10B側に取り付けられており、一体扉ユニット10Bが開放したときは、中継皿150と、球受皿152とは分離されるようになっている。
【0071】
球受皿152は、以下の3つの機能を備えている。
【0072】
(機能1) 前記中継皿150から受け取った遊技球PBを、上皿部28へ案内する機能。
【0073】
(機能2) 遊技球PBを貯留する機能。
【0074】
(機能3) 上皿部28が遊技球PBの収容能力を超えた場合に、下皿部29へ直接案内する機能。
【0075】
球受皿152は、前記中継皿150と、受け皿ユニット24の表裏を貫通する開口部154と間に設けられている。また、球受皿152の床面は、上皿部28方向へ行くに従い、徐々に低位となるように傾斜されている。このため、前記中継皿150の終端部150Bから受け取った遊技球PBは、開口部154へ案内される。
【0076】
開口部154における受け皿ユニット24の表側は上皿部28となっており、遊技球PBは、上皿部28へ案内される(機能1)。
【0077】
球受皿152には、周縁に縦壁部152Aが形成され、所定領域の遊技球貯留部152Bが形成されている。
【0078】
縦壁部152Aは、遊技球PBが乗り越えられない高さで形成されている。このため、上皿部28の収容能力を超えると、球受皿152の遊技球貯留部152Bに遊技球PBが貯留されるようになっている(機能2)。
【0079】
球受皿152は、前記中継皿150の終端部150Bの開口幅に相当する幅で受け取り可能となっている。言い換えれば、通常の遊技球PBの流動による受け渡し幅(側壁部150A寄りの1/2程度の幅を超えた受け渡し幅)となっている。
【0080】
以下、前述の「通常案内領域An(
図4(B)参照)」(側壁部150A寄りの1/2程度の幅)に対して、終端部150Bにおける通常案内領域An以外の残りの1/2程度の幅を「補助案内領域Ae」という(
図4(B)参照)。
【0081】
球受皿152における前記中継皿150の終端部150Bと対峙する端部は、前記縦壁部152Aの高さよりも低い突起部152Cが形成されている。この突起部152Cは、静止している(或いは、ほぼ静止している)遊技球PBが乗り越えることができない程度の高さとなっている。
【0082】
例えば、一体扉ユニット10Bを開放し、球受皿152と中継皿150とが分離されるとき、遊技球貯留部152Bに貯留された遊技球PBがこぼれ落ちないようになっている。
【0083】
この突起部152Cの上端部は、前記中継皿150の終端部150Bの高さよりも低い位置とされ、終端部150Bから遊技球貯留部152Bへの遊技球PBの受け渡しに干渉しない。
【0084】
ここで、終端部150Bの前記補助案内領域と対峙する突起部152Cは、前記遊技球貯留部152Bの領域を狭めるように凹ませている。当該凹ませた後の領域には、前記遊技球貯留部152Bとは反対の傾斜となるスロープ152Dが形成されている。
【0085】
このスロープ152Dは、遊技盤18の後方に向けて低位となる傾斜であり、このスロープ152Dに案内された遊技球PBは下皿部29へ案内されるようになっている(機能3)。
【0086】
ところで、本実施の形態に係る中継皿150の終端部150Bの幅方向(
図4(B)に示す、通常案内領域Anから補助案内領域Aeにかけて)は、ほぼ水平状態であるのに対し、球受皿152における遊技球貯留部152Bは、遊技盤18の前方(
図4(B)の右方向)に向けて低位となる傾斜面となっている。
【0087】
このような相対位置関係において、本実施の形態では、遊技球貯留部152Bの領域を拡大した。
【0088】
しかしながら、遊技球貯留部152Bが拡大されると、補助案内領域Aeから遊技球PBが受け渡されることになる。
【0089】
一方、球受皿152と中継皿150の終端部150Bとの関係において、通常案内領域Anで、円滑に遊技球PBが受け渡されるように相互の高さを合わせており、補助案内領域Aeでは突起部152Cの方が終端部150Bよりも高くなる場合がある。
【0090】
この場合、終端部150Bから球受皿152への円滑な受け渡しが妨げられる場合がある。
【0091】
そこで、本実施の形態では、中継皿150の補助案内領域に対峙する球受皿152において、突起部152Cを終端部150Bから離し(遊技球貯留部152B側へ凹ませ)、確実に下皿部29へ案内するスロープ152Dを確保した。
【0092】
このスロープ152Dを形成することによって、遊技球貯留部152Bの遊技球収容能力が拡大されると共に、当該遊技球収容能力を超えた場合に、中継皿150の終端部150Aにおいて、上皿部28へ案内する領域(通常案内領域An)と、下皿部29へ案内する領域(補助案内領域Ae)とに明確に区画され、振分け機能(機能3)を維持することができる。
【0093】
以下に、本実施の形態の作用を説明する。
【0094】
(遊技球PBの払い出し)
タンクユニット110には、ホール設備である遊技球PBの循環装置から遊技球PBを受け取ることで、常にほぼ一定量の遊技球PBが貯留される。
【0095】
払い出しの指示があると、タンクユニット110に貯留された遊技球PBは、当該流路上ユニット114、払出ユニット116、流路下ユニット118のそれぞれの球流路を通ることで、整列され、かつ計数されて、流路下ユニット118の出口から中継皿150へ送り出されるに。
【0096】
例えば、送り出される遊技球PBの数は、払出ユニット116に設けられた球検出センサで検出して払出制御基板へフィードバックし、払出指示信号の出力を制御することで、所定数の遊技球PBを過不足なく払い出す。
【0097】
中継皿150では、案内路(床面)が扇形(カーブ形状)とされ、流路下ユニット118から受け取った遊技球PBが傾斜面に沿って流動されるとき、遊技盤18の奥行き方向から左右方向にカーブ形状に沿って方向転換されて、終端部150Bから球受皿152へ受け渡される。
【0098】
なお、遊技球PBには、前記方向転換時に所謂遠心力が働き、中継皿150の終端部150Bでは、通常案内領域Anでの受け渡しとなる。
【0099】
球受皿152は、中継皿150の終端部150Bに対峙する領域が、終端部150Bの高さよりも低い突起部152Cとなっているため、遊技球PBは高い位置から低い位置への受け渡しとなり、円滑に受け渡しが実行される。
【0100】
ここで、本実施の形態では、
図6(A)に示される如く、遊技球貯留部152Bの遊技球収容能力を高めている。すなわち、
図6(B)は、比較例に係る球受皿160の遊技球貯留部160Aの平面図を示しており、当該比較例に対して、本実施の形態では、遊技球貯留部152Bの面積を広く形成したことは明らかである。
【0101】
この遊技球貯留部152Bの面積拡大により、中継皿150の終端部150Bにおいて、通常案内領域Anに加え、補助案内領域Aeからも遊技球PBが受け渡されることになる。この場合、
図4(B)に示される如く、通常案内領域Anでは、中継皿150の終端部150Bの高さが、球受皿152の突起部152Cよりも高い位置にあるが、補助案内領域Aeでは、これが逆転し、突起部152Cが終端部150Bよりも高くなっている。
【0102】
これでは、遊技球PBの受け渡しの際、遊技球PBが段差を乗り越えるといった球詰まりの要因となる動作(引っ掛かり)が発生し得る。
【0103】
そこで、本実施の形態では、球受皿152の遊技球貯留部152Bの面積拡大に伴い、中継皿150の終端部150Bにおける、補助案内領域Aeに対峙する領域を凹ませて、スロープ152Dを形成した。
【0104】
このスロープ152Dは、遊技球貯留部152Bとは相反する方向に傾斜しており、終端部152Bよりも低位とすることができる。すなわち、このスロープ152Dにより、受け渡しに支障となる段差を解消し、かつ、遊技球PBを下皿部29へ案内することができる。
【0105】
この場合、
図5(A)に示される如く、上皿部28が遊技球収容能力に余裕がある場合は、中継皿150から受け渡される遊技球PBは、通常案内領域Anを通り、確実に球受皿152へ受け渡され、開口部154を通って、上皿部28へ送り出すことができる。
【0106】
一方、
図5(B)に示される如く、上皿部28が遊技球収容能力を超えると、球受皿152にも遊技球PBが満たされるため、通常案内領域Anからは球受皿152に受け渡すことができない。このため、遊技球PBは、補助案内領域Aeから球受皿152に受け渡されることになり、スロープ152Dを介して、下皿部29へ案内される。
【0107】
以上説明したように、上皿部28における遊技球収容能力を拡大するために、上皿部28の上流側に位置する球受皿152の遊技球貯留部152Bの面積を拡大した。この拡大は、周囲の部材の形状や位置の変更を伴わず行おうとすると、中継皿150から球受皿152へ遊技球PBを受け渡すときに、下流側に高位となる段差が発生する。そこで、この段差が発生する領域(補助案内領域Ae)に、下皿部29へ遊技球PBを案内するスロープ152Dを設け、中継皿150から球受皿の遊技球貯留部152Bへは、確実に通常案内領域Anから受け渡すことができるようにした。この結果、球受皿152の本来の機能を犠牲にせずに、遊技球収容能力を拡大することができる。