特許第6259780号(P6259780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6259780データ移行システム、及びデータ移行プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6259780
(24)【登録日】2017年12月15日
(45)【発行日】2018年1月10日
(54)【発明の名称】データ移行システム、及びデータ移行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20171227BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20171227BHJP
   G09B 19/00 20060101ALN20171227BHJP
【FI】
   G06Q50/20
   G06F12/00 511Z
   !G09B19/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-22566(P2015-22566)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-146063(P2016-146063A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2016年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154613
【氏名又は名称】株式会社文溪堂
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100198856
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 聡
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 幸子
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−337725(JP,A)
【文献】 特開2005−157621(JP,A)
【文献】 特開2009−217365(JP,A)
【文献】 特開2008−217449(JP,A)
【文献】 特開2005−31979(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/103752(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0183841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06F 12/00
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
児童生徒の成績に係る学習記録データを管理する操作端末を使用して、校務支援システムに前記学習記録データを移行するデータ移行システムであって、
前記操作端末は、
前記操作端末の共有記憶領域に、前記操作端末に固有のデータを記録するための固有データ型を登録し、登録された前記固有データ型に係る固有識別データを取得する固有データ型登録手段と、
複数の前記児童生徒を識別する識別データを表示する識別項目、各教科または単元毎に分類された前記児童生徒の習熟度を評価するための評価観点に係る観点データを表示する評価観点項目、及び、前記識別項目及び前記評価観点項目の交差位置に形成され、前記児童生徒の前記評価観点に対する成績データを入力可能な成績データ欄を有し、一覧表形式で出力可能な前記学習記録データをプログラム記憶領域から読み出す学習記録読出手段と、
読み出した前記学習記録データを端末画面に表示する画面表示手段と、
表示された前記学習記録データに基づいて、前記識別項目及び前記評価観点項目の少なくともいずれか一方に対し、項目の追加、削除、及び/または配列順序の移動を行い、前記学習記録データのレイアウトを変更する編集手段と、
変更された前記学習記録データに係る編集データに対し、複製範囲を指定する範囲指定手段と、
複製範囲の指定された前記編集データを前記共有記憶領域にコピーするとともに、予め取得した前記固有識別データに基づいて削除用識別データを、登録された前記共有記憶領域の前記固有データ型にコピーする第一複製手段と、
複製範囲の指定された前記編集データを、前記共有記憶領域と異なる制限記憶領域にコピーする第二複製手段と、
画面表示された前記校務支援システムの成績データ入力画面に、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを貼付し出力する貼付手段と、
前記成績データ入力画面に対する前記編集データの貼付操作が完了した旨の入力を受け付ける操作完了手段と、
前記操作完了手段に基づいて、前記共有記憶領域の前記固有データ型に前記削除用識別データが記憶されているか否かを照合する照合手段と、
前記照合手段によって、前記削除用識別データの存在が確認された場合、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを消去する編集データクリア手段と
を有するデータ移行システム。
【請求項2】
前記操作端末は、
前記評価観点項目の配列順序が予め規定された複数の規定配列データを記憶する記憶手段を更に有し、
前記編集手段は、
前記規定配列データに基づいて前記学習記録データのレイアウトを変更する請求項1に記載のデータ移行システム。
【請求項3】
前記画面表示手段は、
画面表示された前記成績データ入力画面の上に前記学習記録データを表示する請求項1または2に記載のデータ移行システム。
【請求項4】
操作端末の共有記憶領域に、前記操作端末に固有のデータを記録するための固有データ型を登録し、登録された前記固有データ型に対応する固有識別データを取得する固有データ型登録手段、複数の児童生徒を識別する識別データを表示する識別項目、各教科または単元毎に分類された前記児童生徒の習熟度を評価するための評価観点に係る観点データを表示する評価観点項目、及び、前記識別項目及び前記評価観点項目の交差位置に形成され、前記児童生徒の前記評価観点に対する成績データを入力可能な成績データ欄を有し、一覧表形式で出力可能な学習記録データをプログラム記憶領域から読み出す学習記録読出手段、読み出した前記学習記録データを端末画面に表示する画面表示手段、表示された前記学習記録データに基づいて、前記識別項目及び前記評価観点項目の少なくともいずれか一方に対し、項目の追加、削除、及び/または配列順序の移動を行い、前記学習記録データのレイアウトを変更する編集手段、変更された前記学習記録データに係る編集データに対し、複製範囲を指定する範囲指定手段、複製範囲の指定された前記編集データを前記共有記憶領域にコピーするとともに、予め取得した前記固有識別データに基づいて削除用識別データを、登録された前記共有記憶領域の前記固有データ型にコピーする第一複製手段、複製範囲の指定された前記編集データを、前記共有記憶領域と異なる制限記憶領域にコピーする第二複製手段、画面表示された校務支援システムの成績データ入力画面に、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを貼付し出力する貼付手段、前記成績データ入力画面に対する前記編集データの貼付操作が完了した旨の入力を受け付ける操作完了手段、前記操作完了手段に基づいて、前記共有記憶領域の前記固有データ型に前記削除用識別データが記憶されているか否かを照合する照合手段、及び、前記照合手段によって、前記削除用識別データの存在が確認された場合、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを消去する編集データクリア手段として、前記操作端末を機能させるデータ移行プログラム。
【請求項5】
前記操作端末は、
前記評価観点項目の配列順序が予め規定された複数の規定配列データを記憶する記憶手段、及び、前記規定配列データに基づいて前記学習記録データのレイアウトを変更する前記編集手段として、前記操作端末を更に機能させる請求項4に記載のデータ移行プログラム。
【請求項6】
画面表示された前記成績データ入力画面の上に前記学習記録データを表示する前記画面表示手段として、前記操作端末を更に機能させる請求項4または5に記載のデータ移行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ移行システム、及びデータ移行プログラムに関する。更に詳しくは、児童生徒の成績やテストの得点等を集計し管理する成績管理プログラムから校務支援システムに学習記録に関するデータを移行するためのデータ移行システム、及びデータ移行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、小学校や中学校(以下、「小中学校」と称す。)の児童生徒の氏名、住所、及び連絡先等の基本属性情報の管理、児童生徒の各教科におけるテストの得点、各観点に対する評価内容、成績等に関する成績情報の管理を目的として、これらの情報を電子化することが行われている。更に、各学期末毎の通知表の作成作業や児童生徒の出欠状況の管理などの種々の校務に関する情報の電子化も行われている。校務に関する種々の情報を集約し、電子化した状態で管理することで、校務作業の効率化を図り、各々の教職員の負担を軽減することが可能となる。
【0003】
更に、それぞれの小中学校において電子化された情報を、当該小中学校の属する地域の教育委員会等に集積し、一元的に管理することにより、当該地域における教育の実情や実態を詳細に把握することができ、かつこれらの情報に基づいた精細な分析を行うことができる。そして、分析結果等を各小中学校にフィードバックし、適確な学校運営のために活用することができる。
【0004】
各情報の電子化及び管理を目的として、それぞれの小中学校には、校務支援システムが導入されていることがある。例えば、各市町村の教育委員会などが選定した校務支援のためのクライアント端末が小中学校に設置され、教育委員会や教育センター、各小中学校、或いはデータセンター内に設置されたサーバとインターネット等の通信ネットワークを介して接続されている。これにより、クライアント端末を介して入力された児童生徒に関する種々の情報を入力し、サーバに送信することで、教育委員会等は複数の小中学校における種々の情報を集積し、管理することができる。
【0005】
校務支援システムを利用してサーバに送信される情報の多くは、児童生徒の成績等の個人情報がほとんどである。そのため、クライアント端末の使用及びサーバへのアクセスには、必要な権限のある者以外の制限がなされ、個人情報の流出を防ぐための対策が講じられている。例えば、クライアント端末を使用し、サーバにアクセス可能な教職員にそれぞれユーザID及びパスワードを付与し、当該パスワードによる認証を求めるとともに、自らが担当するクラス及び教科以外の情報へのアクセスを制限することができる。
【0006】
校務支援システムは、通信ネットワークを介してサーバ及びクライアント端末の間のデータの送受を行うものであり、例えば、周知のWebプログラムを介して種々の情報を直接入出力する方式が採用されていることがある。そのため、通信速度が遅い等の脆弱なネットワーク環境下では、Webプログラムを介した情報の入力及び送信に時間がかかり、使用者がストレスを感じることがある。更に、一度に複数のクライアント端末からのアクセスが集中した場合、通信ネットワークが不安定なものとなり、接続が途中で中断する等の不具合を生じることがあった。そのため、校務支援システムに対して各種情報を直接入力する作業は敬遠される傾向があった。
【0007】
一方、校務支援システムには、上記Webプログラムを介するデータ入力の方式以外に、予め入力用の様式が規定されたフォーマットファイル(例えば、CSV形式等)が用意され、係るフォーマットファイルをサーバからダウンロードした後、クライアント端末側で必要な情報を入力し、入力済みのフォーマットファイルを通信ネットワークを介して送信するアップロード機能を備えているものもある。これにより、上記不具合を解消することができる。しかしながら、ダウンロード、データ入力、及びアップロード等の操作に手間がかかり、依然として良好な操作性を有するものとは言えなかった。
【0008】
実際の教育現場では、上記校務支援システムとは別に、各教科における評価用テストの得点集計や通知表の作成機能を有する成績管理プログラムが使用されている。例えば、評価用テスト等の教材を発行する教材発行会社によって頒布される成績管理プログラムが知られている(特許文献1参照)。これによると、評価用テストとこれに対応する各教科書の単元毎に各観点等に係る入力項目が詳細に設定されている。そのため、上記校務支援システムと比較して、児童生徒の成績等の学習記録に関するデータの入力が容易となり、操作性が良好なものとなる。
【0009】
更に、それぞれの教職員が使用するパーソナルコンピュータにインストールされ、ネットワーク環境を使用することがなく、上記のネットワーク環境に起因する問題は発生しない。そのため、操作入力の容易性及び操作快適性などの点から、これらの成績管理プログラムの使用を好む教職員が多く存在していた。したがって、通常の成績管理等の学習記録の入力作業は、教材発行会社等が提供する上記成績管理プログラムを使用し、その後、教科単元単位や期末単位毎に最終的なデータを校務支援システムに移行することが多く行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第5433495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した成績管理プログラム及び校務支援システムを併用する場合、下記に掲げるような問題点を生じることがあった。成績管理プログラムから校務支援システムに学習記録に係るデータを移行する場合、予め成績管理プログラムから汎用の出力形式(例えば、CSV形式等)に移行対象のデータを変換し、変換したデータファイルをハードディスクドライブ等に保存する。その後、校務支援システムからダウンロードされた上記フォーマットファイルに、ファイル出力されたデータをコピーし、データの入力を行い、入力済のフォーマットファイルをサーバにアップロードする操作を行っていた。
【0012】
このように、成績管理プログラム側の操作、校務支援システム側の操作、及び双方のシステム及びプログラム間でのデータ移行操作等の複雑な処理を行う必要があり、係る操作及び処理が煩雑で多くの時間を要することがあった。また、これらの操作に不慣れな教職員も多く存在し、上記操作の過程でミスが多く発生することがあった。
【0013】
加えて、成績管理プログラム及び校務支援システムは、それぞれ異なるソフトウェア開発会社によって作成されたものであり、各プログラムの設計思想が異なっていることが多かった。そのため、データ移行のために必要な入力項目や各項目の表示順序(配列順序)等、レイアウトが全く異なる場合も多くあり、表示順序を一致させる作業が必要となった。係るレイアウトを変更する作業が複雑で多くの時間を要することがあった。これらの作業を各教科毎(または各単元毎等)に行うことは、教職員に多大な負荷を課すこととなり、煩雑な操作によってデータ移行時におけるミスの発生数も多くなる傾向があった。
【0014】
更に、上記データ移行作業の場合、成績管理プログラムから出力された汎用形式のファイル(CSV形式等)と、入力済みのフォーマットファイルとの二種類の中間ファイルが形成されることとなった。この二種類の中間ファイルは、上記データの移行作業において、一時的に作成されたものであり、作業者自身が積極的に消去する操作を行わない限り、パーソナルコンピュータ上の記憶領域(ハードディスクドライブ等)に残存することになる。
【0015】
この中間ファイルは、パスワード等が特に設定されているものではなく、第三者によって容易に閲覧可能なものがほとんどである。したがって、校務支援システムや成績管理プログラムにおいて、児童生徒に係る情報を厳重に管理している場合であっても、データ移行の過程で形成された中間ファイルの存在によって、セキュリティの脆弱性は著しいものとなる。
【0016】
また、パーソナルコンピュータがコンピュータウイルスに感染し、当該中間ファイルがメールに添付されて送信され、広く拡散してしまう可能性や、悪意ある第三者によってUSBメモリ等に保存されて外部に持ち出される可能性がある。その場合、教育現場に対する信頼の損失は甚大なものとなり、教職員、児童生徒、及び保護者等の広範に亘って多大な損害を被ることになる。したがって、この中間ファイルをパーソナルコンピュータ上に残存させておくことは、特に大きな問題である。
【0017】
そこで、本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、成績管理プログラムから校務支援システムへのデータ移行を容易にするとともに、中間ファイルが残存することないデータ移行システム、及びデータ移行プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、下記に掲げるデータ移行システム、及びデータ移行プログラムが提供される。
【0019】
[1]児童生徒の成績に係る学習記録データを管理する操作端末を使用して、校務支援システムに前記学習記録データを移行するデータ移行システムであって、前記操作端末は、前記操作端末の共有記憶領域に、前記操作端末に固有のデータを記録するための固有データ型を登録し、登録された前記固有データ型に係る固有識別データを取得する固有データ型登録手段と、複数の前記児童生徒を識別する識別データを表示する識別項目、各教科または単元毎に分類された前記児童生徒の習熟度を評価するための評価観点に係る観点データを表示する評価観点項目、及び、前記識別項目及び前記評価観点項目の交差位置に形成され、前記児童生徒の前記評価観点に対する成績データを入力可能な成績データ欄を有し、一覧表形式で出力可能な前記学習記録データをプログラム記憶領域から読み出す学習記録読出手段と、読み出した前記学習記録データを端末画面に表示する画面表示手段と、表示された前記学習記録データに基づいて、前記識別項目及び前記評価観点項目の少なくともいずれか一方に対し、項目の追加、削除、及び/または配列順序の移動を行い、前記学習記録データのレイアウトを変更する編集手段と、変更された前記学習記録データに係る編集データに対し、複製範囲を指定する範囲指定手段と、複製範囲の指定された前記編集データを前記共有記憶領域にコピーするとともに、予め取得した前記固有識別データに基づいて削除用識別データを、登録された前記共有記憶領域の前記固有データ型にコピーする第一複製手段と、複製範囲の指定された前記編集データを、前記共有記憶領域と異なる制限記憶領域にコピーする第二複製手段と、画面表示された前記校務支援システムの成績データ入力画面に、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを貼付し出力する貼付手段と、前記成績データ入力画面に対する前記編集データの貼付操作が完了した旨の入力を受け付ける操作完了手段と、前記操作完了手段に基づいて、の前記固有データ型に前記削除用識別データが記憶されているか否かを照合する照合手段と、前記照合手段によって、前記削除用識別データの存在が確認された場合、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを消去する編集データクリア手段とを有するデータ移行システム。
【0020】
[2]前記操作端末は、前記評価観点項目の配列順序が予め規定された複数の規定配列データを記憶する記憶手段を更に有し、前記編集手段は、前記規定配列データに基づいて前記学習記録データのレイアウトを変更する前記[1]に記載のデータ移行システム。
【0021】
[3]前記画面表示手段は、画面表示された前記成績データ入力画面の上に前記学習記録データを表示する前記[1]または[2]に記載のデータ移行システム。
【0022】
[4]操作端末の共有記憶領域に、前記操作端末に固有のデータを記録するための固有データ型を登録し、登録された前記固有データ型に対応する固有識別データを取得する固有データ型登録手段、複数の児童生徒を識別する識別データを表示する識別項目、各教科または単元毎に分類された前記児童生徒の習熟度を評価するための評価観点に係る観点データを表示する評価観点項目、及び、前記識別項目及び前記評価観点項目の交差位置に形成され、前記児童生徒の前記評価観点に対する成績データを入力可能な成績データ欄を有し、一覧表形式で出力可能な学習記録データをプログラム記憶領域から読み出す学習記録読出手段、読み出した前記学習記録データを端末画面に表示する画面表示手段、表示された前記学習記録データに基づいて、前記識別項目及び前記評価観点項目の少なくともいずれか一方に対し、項目の追加、削除、及び/または配列順序の移動を行い、前記学習記録データのレイアウトを変更する編集手段、変更された前記学習記録データに係る編集データに対し、複製範囲を指定する範囲指定手段、複製範囲の指定された前記編集データを前記共有記憶領域にコピーするとともに、予め取得した前記固有識別データに基づいて削除用識別データを、登録された前記共有記憶領域の前記固有データ型にコピーする第一複製手段、複製範囲の指定された前記編集データを、前記共有記憶領域と異なる制限記憶領域にコピーする第二複製手段、画面表示された校務支援システムの成績データ入力画面に、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを貼付し出力する貼付手段、前記成績データ入力画面に対する前記編集データの貼付操作が完了した旨の入力を受け付ける操作完了手段、前記操作完了手段に基づいて、前記共有記憶領域の前記固有データ型に前記削除用識別データが記憶されているか否かを照合する照合手段、及び、前記照合手段によって、前記削除用識別データの存在が確認された場合、前記共有記憶領域にコピーされた前記編集データを消去する編集データクリア手段として、操作端末を機能させるデータ移行プログラム。
【0023】
[5]前記操作端末は、前記評価観点項目の配列順序が予め規定された複数の規定配列データを記憶する記憶手段、及び、前記規定配列データに基づいて前記学習記録データのレイアウトを変更する前記編集手段として、前記操作端末を更に機能させる前記[4]に記載のデータ移行プログラム。
【0024】
[6]画面表示された前記成績データ入力画面の上に前記学習記録データを表示する前記画面表示手段として、前記操作端末を更に機能させる前記[4]または[5]に記載のデータ移行プログラム。
【発明の効果】
【0025】
本発明のデータ移行システム、及びデータ移行プログラムによれば、簡易にデータを移行することができ、かつ移行の際に形成される中間ファイルが残存することがない。そのため、児童生徒の成績等に関する重要な情報が外部に流出する等の問題を防ぐことができ、セキュリティが確保された状態で成績管理プログラムから校務支援システムへのデータ移行をすることができる。更に、規定配列データを利用することにより、学習記録データのレイアウト編集の作業を簡略化することができる。また、校務支援システムの成績データ入力画面の上に重ねるようにして学習記録データを表示することにより、各配列順序を確認しながらレイアウト編集の作業を行うことができ、ミスを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態のデータ移行システムの概略構成、及び操作端末の機能的構成を示すブロック図である。
図2】編集ウインドウ及び成績データ入力画面を表示する端末画面の一例を示す説明図である。
図3】操作端末の処理の流れを示すフローチャートである。
図4】操作端末の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】操作端末の異常検知時の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態のデータ移行システム及びデータ移行プログラムについて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対して適宜変更、修正、改良等を加えるものであっても構わない。
【0028】
本発明の一実施形態のデータ移行システム1は、図1図5に示すように、本発明のデータ移行プログラムがインストールされた操作端末10によって主に構成され、当該データ移行プログラムを起動することで、成績管理プログラムPG及び校務支援システムSSの間の連携を図り、学習記録データ11の移行を可能にする機能を発揮するものである。ここで、図1は、本実施形態のデータ移行システム1の概略構成、及び操作端末10の機能的構成を示すブロック図であり、図2は、編集ウインドウ12及び成績データ入力画面24を表示する端末画面15の一例を示す説明図であり、図3及び図4は、操作端末10の処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、操作端末10の異常検知時の処理の流れを示すフローチャートである。
【0029】
操作端末10の記憶手段13(例えば、ハードディスクドライブ、或いはソリッドステートドライブ等の固定記憶手段)には、教材発行会社によって頒布された成績管理プログラムPGがインストールされている。ここで、本実施形態のデータ移行プログラムは、上記成績管理プログラムPGの一機能として構築されている。操作端末10において成績管理プログラムPGを起動させた状態で、所定の操作(例えば、クリック操作等)を行うことにより、本発明のデータ移行プログラムを連携して起動可能に設定されている。なお、本実施形態のデータ移行システム1において、成績管理プログラムPGを操作端末10に予めインストールし、当該成績管理プログラムPGを操作端末10から起動したものについて例示している。しかしながら、例えば、それぞれの教育センター等との間で構築されたイントラネット内のファイルサーバに当該成績管理プログラムPGを保存し、当該イントラネットを通じて成績管理プログラムPGを起動するものであってもよい(図示しない)。この場合、後述する学習記録データ11及び当該学習記録データ11が保存されたプログラム記憶領域PMは、上記ファイルサーバ内に格納されている。各地域毎に構築されている通信ネットワークを利用することで、ネットワーク環境による問題を回避することができる。
【0030】
また、操作端末10は、インターネットまたは専用通信回線からなる通信ネットワークNと接続され、当該通信ネットワークNを通じて、例えば、教育委員会Cに設置された校務支援システムSSのサーバSVと接続されている。これにより、サーバSV及び操作端末10との間の接続が確立され、通常のWebプログラムを介して、サーバSVに対するアクセス及び児童生徒の成績等に係る種々のデータの入力が可能となっている。この場合、操作端末10は、校務支援システムSSに対してクライアント端末として機能する。
【0031】
本実施形態のデータ移行システム1に使用される操作端末10は、特に限定されるものではなく、各小中学校において教職員が日常的に使用するデスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータを例示することができる。係るパーソナルコンピュータは、成績管理プログラムPGを起動して、各テストの得点集計等を行うために利用されているものである。また、パーソナルコンピュータの代わりに、タブレット型端末を使用することができる。これらのパーソナルコンピュータ或いはタブレット型端末の構成は、既に周知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。更に、当該パーソナルコンピュータ等を操作するためのキーボード或いはマウス等の操作入力機器に関しても、図1等において図示を省略している。
【0032】
操作端末10は、その機能的構成として、図1に示すように、操作端末10の共有記憶領域20に、当該操作端末10に固有のデータを記録するための固有データ型Fを登録し、登録された固有データ型Fに係る固有識別データD1を取得する固有データ型登録手段5と、1クラス単位等の複数の児童生徒の成績に係る学習記録データ11を、成績管理プログラムPGを介して当該学習記録データ11が予め作成及び保存されたプログラム記憶領域PMから読み出す学習記録読出手段14と、読み出した学習記録データ11を端末画面15(液晶ディスプレイの表示画面)の編集ウインドウ12に画面表示する画面表示手段16と、学習記録データ11の各項目の配列順序等のレイアウトを編集する編集手段17と、レイアウトの変更された学習記録データ11に係る編集データ18a,18bに対し、複製範囲を指定する範囲指定手段19と、複製範囲が指定された編集データ18aを操作端末10の共有記憶領域20にコピーするとともに、予め取得した固有識別データD1に基づいて削除用識別データD2を、登録された共有記憶領域20の固有データ型Fにコピーする第一複製手段21と、複製範囲が指定された編集データ18bを、共有記憶領域20と異なる操作端末10の制限記憶領域22にコピーする第二複製手段23と、校務支援システムSSの成績データ入力画面24に共有記憶領域20の編集データ18aを貼付し出力する貼付手段25と、編集データ18aの貼付操作が完了した旨の入力を受け付ける操作完了手段26と、共有記憶領域20の固有データ型Fに削除用識別データD2が記載されているか否かを照合する照合手段27と、削除用識別データD2の存在が確認された場合、共有記憶領域20にコピーされた編集データ18aを消去する編集データクリア手段28とを主に有する。
【0033】
本実施形態の操作端末10は、その他の機能的構成として、上記成績管理プログラムPG(データ移行プログラムを含む)が格納された前述の記憶手段13を有している。更に、この記憶手段13には、一覧表形式で出力可能な学習記録データ11の一部を構成する評価観点項目29(詳細は後述する)の配列順序が予め規定された複数の規定配列データ30が記憶されている。係る規定配列データ30は、編集手段17において学習記録データ11のレイアウトを編集する際に利用可能であり、既にレイアウトの編集を行った学習記録データ11の配列順序をテンプレートとして保存されたものである。或いは、使用する校務支援システムSSの配列順序に合わせて予め設定及び保存したものでもよい。係る規定配列データ30を用いることにより、レイアウト編集の作業を簡略化することができる。
【0034】
操作端末10における各構成について詳述すると、固有データ型登録手段5は、操作端末10の共有記憶領域20に、操作端末10の固有のデータを記録するための固有データ型Fを登録するものである。係る固有データ型Fの登録によって、操作端末10は固有データ型Fに係る固有識別データD1を取得する。なお、この操作は成績管理プログラムPGを通して実行される。共有記憶領域20には、テキストデータやビットマップデータが標準型として記憶することが可能であるものの、これらの標準型とは異なり、ユーザが設定可能な独自形式のデータ型を登録するものである。学習記録データ11は、複数の児童生徒を識別するための出席番号31及び氏名32(識別データに相当)を表示するための識別項目33と、各教科34a,34b,34c,34dまたは各単元毎に分類された自動生徒の学習の習熟度等を評価するための評価観点35(観点データに相当)を表示するための複数の評価観点項目29とを有している。更に、識別項目33及び評価観点項目29の交差位置に形成され、児童生徒の評価観点35に対する評価結果に係る成績データ36を入力可能な成績データ欄37を有し、一覧表形式で出力可能なものである(図2参照)。
【0035】
この学習記録データ11は、予め成績管理プログラムPGを用いて作成されたものであり、操作端末10のプログラム記憶領域PM(記憶手段13の一部に相当)に各クラス毎等に分類されて保存されている。本実施形態のデータ移行システム1は、このプログラム記憶領域PMにアクセスし、これを読み出すことで学習記録データ11を取得している。具体的には、成績管理プログラムPGを起動した状態で、データ移行プログラムを起動し、学習記録データ11を読み出すための操作ボタン(図示しない)をクリックする起動・読出操作を行うことにより、簡易に学習記録データ11を読み出すことができる。このとき、データ移行の対象となる学期や教科等を任意に選択することができる。
【0036】
画面表示手段16は、上記操作によって読出された学習記録データ11を操作端末10の端末画面15に表示するものである。ここで、操作端末10は、予め校務支援システムSSとの接続が確立された状態にある。そこで、サーバSVに既存のWebプログラムを介してアクセスし、校務支援システムSSの成績データ入力画面24を予め端末画面15に表示しておいても構わない(図2参照)。
【0037】
このとき、学習記録データ11を表示する編集ウインドウ12を、成績データ入力画面24に対して前面に表示するようにし、かつ、成績データ入力画面24に対して少しずらした位置に表示する。これにより、成績データ入力画面24の表示項目、各項目の配列順序を確認しながら、後述の編集手段17に基づく編集作業を行うことができる。なお、編集ウインドウ12の表示位置、表示サイズ等は任意に変更することができる。
【0038】
編集手段17は、表示された学習記録データ11の識別項目33等の配列順序等のレイアウトを変更するものである。本実施形態では、縦軸方向に児童生徒の出席番号31及び氏名32が表示された識別項目33が並べられ、一方、横軸方向に各教科34a等の評価観点項目29が並べられている。これらの配列順序等を変更する編集が可能である。
【0039】
例えば、学期途中に児童の転出または転入に係る事象が発生した場合、上記学習記録データ11を改変する必要がある。すなわち、転出した児童生徒に対応する識別項目33及びこれに対応する成績データ欄37は不要なものとなる。そのため、該当項目を削除する操作を行う。一方、新たに転入した児童生徒については、識別項目33及び成績データ欄37を追加する操作を行う。このとき、識別項目33等を削除した場合は、以降の識別項目33等を一段ずつ繰り上げる処理が行われる。また、氏名32を五十音順に並べている場合、転入した児童生徒の識別項目33等を既存の児童生徒の識別項目33等の間に挿入する必要がある。このような識別項目33の配列順序の移動、削除、または追加等の編集作業が行われる。
【0040】
一方、横軸方向に並べられた評価観点項目29では、データ移行先の校務支援システムSSの成績データ入力画面24と、学習記録データ11の配列順序が異なることがある。そこで、学習記録データ11の各評価観点項目29の配列順序を左右に入れ替えて移動させたり、不要な評価観点項目29に関しては削除する編集作業が行われる。これにより、移行先の成績データ入力画面24と移行元の学習記録データ11の配列順序を揃えることができる。このとき、前述したように、成績データ入力画面24に対して編集ウインドウ12を前面に配置することにより、確認を容易に、ミスのないデータ移行作業を行うことができる。
【0041】
なお、編集操作は、特に限定されないが、例えば、編集ウインドウ12に表示された移動ボタン38をマウス等を用いてクリックし、選択対象の識別項目33等を上下左右に移動させるものであってよい。また、マウスで選択した識別項目33等について削除や挿入等の操作を行うこともできる。
【0042】
範囲指定手段19は、上記編集手段17によってレイアウトの変更が完了した編集データ18a,18bに対し、全て或いは特定の項目のみを選択的に移行するのかを指定する複製範囲を指定する操作の入力を受け付けるものである。なお、本実施形態のデータ移行システム1では、編集ウインドウ12に表示された学習記録データ11(編集データ18a,18b)に対し、各評価観点項目29毎に設けられたチェックボックス39a、或いは教科34a等の表示欄に設けられたチェックボックス39bによって複製範囲を指定することができる。すなわち、各チェックボックス39a,39bにチェックマークを入力することで、これに該当する評価観点項目29或いは教科34a等全体の内容をコピーすることが可能となる。
【0043】
第一複製手段21は、範囲指定手段19に指定された編集データ18aの内容を共有記憶領域20にコピーするものである。ここで、共有記憶領域20とは、所謂コンピュータ端末における“クリップボード”に相当するものである。すなわち、一般的なコンピュータ端末上で一時的に各種データ(テキストデータ等)を保存可能な共通のメモリ領域であり、異なる複数のソフトウェア(ワードプロセッサソフトや表計算ソフト)からのアクセスが可能なものである。
【0044】
これにより、複数のソフトウェア間で任意のデータを自由に受け渡すことができる。共有記憶領域20は、一般に操作端末10の一部を構成するRAM(ランダムアクセスメモリ)上に構築され、コピー操作によって随時上書き保存がなされるものである。そのため、常に直近のコピー操作に基づく、原則として一種類のデータしか記憶することができない。更に、係るRAMは所謂揮発性メモリの一種であり、コンピュータの電源をオフにした場合、共有記憶領域20上のデータは消滅する。
【0045】
第一複製手段21による共有記憶領域20へのコピー操作は、例えば、編集ウインドウ12に“コピーする”と表示されたコピー開始ボタン40をマウス等でクリックすることにより可能となる(図2参照)。共有記憶領域20にコピーされたものを編集データ18aとする。ここで、上記共有記憶領域20への編集データ18aのコピーともに、当該共有記憶領域20に、予め取得した固有識別データD1に基づく削除用識別データD2を共有記憶領域20に登録された固有データ型Fに合わせてコピーする。なお、削除用識別データD2の内容は、特に限定されるものではなく、例えば、冗長なテキストデータとすることができる。すなわち、後述する照合手段27において、固有データ型Fに何らかの情報(データ)が記憶されているか否かを認識するためのものであり、係る削除用識別データD2は、null以外であれば構わない。
【0046】
一方、第二複製手段23は、第一複製手段21と同様に、範囲指定手段19によって指定された編集データ18bの内容を制限記憶領域22にコピーするものである。ここで、制限記憶領域22は、基本的な性質はRAMからなる共有記憶領域20と同一であり、特定のデータを一時的に保存可能なものである。しかしながら、係る制限記憶領域22は、他のソフトウェアからのアクセスが禁止され、本発明のデータ移行システム1(データ移行プログラム)を介した複製操作以外、制限記憶領域22に編集データ18bをコピーすることができない。
【0047】
なお、第二複製手段23によるコピー操作は、第一複製手段21によるコピー操作(コピー開始ボタン40のクリック)と同一のタイミングで行われる。制限記憶領域22にコピーされたものを編集データ18bとする。このタイミングにおいて、共有記憶領域20及び制限記憶領域22にそれぞれ記憶された一組の編集データ18a,18bの内容は一致している。
【0048】
貼付手段25は、共有記憶領域20に記憶された編集データ18aを校務支援システムSS側の成績データ入力画面24に貼付範囲を選択して貼付し、出力するものである。すなわち、所謂、コピー&ペーストのペースト操作に該当する。これにより、成績データ入力画面24に学習記録データ11の必要な項目が入力される。すなわち、校務支援システムSSに対する学習記録データ11の移行が完了する。そのため、操作端末10は、校務支援システムSS側でデータ保存等の必要な処理を行った後、Webプログラムを閉じ、サーバSVとの接続を終了してもよい。これにより、操作端末10は、校務支援システムSSに対するクライアント端末としての機能を発揮しなくなる。
【0049】
操作完了手段26は、上記貼付手段25による成績データ入力画面24に対する貼付操作が完了した旨の入力を受け付ける。具体的には、編集ウインドウ12に“閉じる”と表示されたペースト完了ボタン41をマウスでクリックすることにより、操作完了を検出することができる(図2参照)。
【0050】
上記操作完了を検出すると、照合手段27による共有記憶領域20の中の固有データ型Fに削除用識別データD2が登録されているか否かが照合される。前述したように、それぞれの編集データ18a,18bは同一のタイミングでそれぞれ各記憶領域20,22にコピーされたものであり、基本的には同一内容のはずである。そのため、共有記憶領域20には、編集データ18aとともに上記削除用識別データD2が記憶されている。共有記憶領域20に削除用識別データD2が存在する場合、両者の編集データ18a,18bの内容が一致していると判断される。一方、削除用識別データD2が存在しない場合、両者の編集データ18a,18bの内容が一致していないと判断される。これにより、共有記憶領域20及び制限記憶領域22のそれぞれにコピーされた一組の編集データ18a,18bの内容が一致するか否かの判定を容易に行うことができる。
【0051】
ここで、第一複製手段21によって編集データ18a及び削除用識別データD2が共有記憶領域20に記憶された後、例えば、その他のソフトウェアによって共有記憶領域20に対してコピー操作が行われた場合、当該編集データ18a及び削除用識別データD2が上書きされて消滅する。そのため、照合手段27において削除用識別データD2は共有記憶領域20に存在しない。これにより、共有記憶領域20内の削除用識別データD2の有無によって、共有記憶領域20及び制限記憶領域22にそれぞれコピーされた編集データ18a,18bは同一内容であると判断することができる。
【0052】
編集データクリア手段28は、上記照合手段27によって両者の編集データ18a,18bの内容が一致していると判断された場合、共有記憶領域20に残存する編集データ18aを消去するものである。これにより、複数のソフトウェアからアクセス可能な共有記憶領域20にコピーされた編集データ18aが貼付作業の完了と同時に速やかに消去される。そのため、係る編集データ18aが外部に漏出することがない。
【0053】
編集データ18aは、前述したように、児童生徒の成績等に係る学習記録データ11の内容を含んでいる。そのため、これらの情報を他のソフトウェアから容易にアクセス可能な共有記憶領域20(クリップボード)に残存させておくことは、セキュリティ上の問題及び個人情報等の重要情報の管理の点から問題となる。そこで、本実施形態のデータ移行システム1によれば、照合手段27の照合結果に基づいて、貼付操作完了後の編集データ18aを消去することができ、不正使用等を防止することができる。
【0054】
なお、照合手段27において、削除用識別データD2の存在が確認されなかった場合、第一複製手段21によるコピー操作の後、他のソフトウェア等を使用したコピー操作が実施され、共有記憶領域20の編集データ18aが別のものに書き換えられたことになる。そのため、共有記憶領域20には、児童生徒の成績等に関する情報は存在せず、特に管理する必要のない情報となっている可能性が高い。したがって、編集データ18a,18bの内容が不一致の場合は、共有記憶領域20に存在するデータの消去は行われない。
【0055】
一方、制限記憶領域22にコピーされた編集データ18bは、本実施形態のデータ移行システム1以外からアクセスすることができない。そのため、係る編集データ18bが外部に流出するおそれがない。加えて、揮発性メモリから構成されるため、システム終了時や電源オフ時に消去される。
【0056】
次に、本実施形態のデータ移行システム1による操作端末10を使用した学習記録データ11の校務支援システムSSへの移行処理の一例を、主に図3図5のフローチャートに基づいて説明する。ここで、本実施形態のデータ移行システム1として、操作端末10にインストールされた成績管理プログラムPGの起動開始から説明を行うものとする。
【0057】
始めに、操作端末10にインストールされた成績管理プログラムPGを起動する(ステップS1)。例えば、端末画面15に表示された成績管理プログラムPGに対応したアイコンをマウスでダブルクリックする操作を行う。これにより、操作端末10において成績管理プログラムPGを利用することが可能となる。なお、係る操作と同時に、校務支援システムSSのサーバSVとの接続を確立し、Webプログラムを介して端末画面15に成績データ入力画面24を予め表示させておいてもよい。更に、成績管理プログラムPGの起動に応じて、操作端末10の共有記憶領域20に、固有データ型Fが登録され、当該固有識別データD1を取得する。
【0058】
その後、起動した成績管理プログラムPGを用いて、各児童生徒のテストの得点の集計や評価に係る成績データ36の入力を行う。これにより、学習記録データ11が作成される(ステップS2)。ここで、ステップS1及びステップS2に係る処理は、成績管理プログラムPGによって行われるため、詳細な説明は省略する。したがって、既に学習記録データ11の作成がなされ、プログラム記憶領域PMへの保存が完了している場合は、以降のステップS3の処理から開始しても構わない(図3における二点鎖線以下に相当)。
【0059】
成績管理プログラムPGの起動画面には、校務支援システムSSとの間で学習記録データ11を移行するための、例えば、“校務連携”と示された操作ボタン(図示しない)が表示されている。係る操作ボタンをクリックすることにより、本実施形態のデータ移行プログラムが起動する(ステップS3)。そして、移行対象の学習記録データ11を読み出す(ステップS4)。
【0060】
なお、学習記録データ11は、前述したように、予め成績管理プログラムPGによって所定の保存形式で作成され、成績管理プログラムPGとデータ移行プログラムとに共有のプログラム記憶領域PM(記憶手段13)内に格納されている。この成績管理プログラムPG用の保存形式で保存された学習記録データ11を本実施形態のデータ移行プログラムは直接読み込むことができる。このとき、読み出し対象のクラス、学期、及び教科等を選択することで、プログラム記憶領域PMに格納された複数の学習記録データ11の中から任意の一つを読み出すことができる。
【0061】
その後、読み出した学習記録データ11が端末画面15の編集ウインドウ12内に表示する(ステップS5、図2参照)。端末画面15に表示された編集ウインドウ12を通じて以降の編集作業が行われる。なお、学習記録データ11の読み出し及び表示処理が完了した段階で、成績管理プログラムPGに係る画面は不要となるため、例えば、上記編集ウインドウ12及び前述した成績データ入力画面24の背面側に位置させてもよい。更に、本実施形態では成績データ入力画面24に対し、編集ウインドウ12が前面に位置するように表示が行われる。なお、図2において、成績管理プログラムPGの起動画面の表示を省略している。
【0062】
その後、操作端末10は、編集ウインドウ12に表示された学習記録データ11に対するレイアウト変更に係る編集操作の有無を検出する(ステップS6)。ここで、編集操作が検出される場合(ステップS6においてYES)、当該編集操作が記憶手段13に記憶された規定配列データ30の読出操作であるか否かが判断され(ステップS7)、規定配列データ30の読出操作である場合(ステップS7においてYES)、当該規定配列データ30の読出処理が行われる(ステップS8)。
【0063】
一方、規定配列データ30の読出操作でない場合(ステップS7においてNO)、係るステップS7の処理がキャンセルされる。その後、検出した編集操作に基づいて、学習記録データ11のレイアウトの編集を行う(ステップS9)。なお、レイアウトの編集(配列順序の移動等)については既に説明したため、ここでの説明は省略するものとする。レイアウトの編集が行われると、編集済みの学習記録データ11に相当する編集データ18aの作成が行われる(ステップS10)。なお、編集データ18aは、操作端末10における編集作業の内容を一時的に記憶する記憶領域(図示しない)に格納され、下記のコピー操作と同時に消滅する。
【0064】
ここで、ステップS6において、編集操作が検出されない場合(ステップS6においてNO)、例えば、読出した学習記録データ11がレイアウトの編集が必要ない場合は、上記ステップS7〜ステップS10の処理がキャンセルされる。その後、操作端末10は、編集ウインドウ12に表示された“コピーする”のボタン(コピー開始ボタン40)に対するクリック操作の有無を検知する(ステップS11)。ここで、クリック操作が検知されない場合(ステップS11においてNO)、未編集の項目が残っているものと判断され、ステップS9の処理に戻る。これにより、新たな項目についてレイアウトの編集が行われる。その後、編集データ18aの更新が行われる(ステップS10)。
【0065】
一方、クリック操作が検知される場合(ステップS11においてYES)、全ての項目について学習記録データ11のレイアウト編集が完了したものとされ、直前に作成または更新された編集データ18aを共有記憶領域20(クリップボード)にコピーするとともに、固有識別データD1に基づいて前述した削除用識別データD2を共有記憶領域20の固有データ型Fの中にコピーする(ステップS12)。更に、係る共有記憶領域20に対するコピー処理と同一のタイミングで、共有記憶領域20にコピーする編集データ18aと全く同一の編集データ18bを制限記憶領域22にコピーする(ステップS13)。すなわち、ステップS11におけるコピー操作によって、共有記憶領域20及び制限記憶領域22の二つの揮発性メモリからなる記憶領域にそれぞれの編集データ18a,18bがコピーされる。
【0066】
上記処理の後、システムの異常の有無を検知する(ステップS14)。なお、図4のフローチャートにおいて、ステップS13の直後に係る処理を行うものを示したが、これに限定されるものではなく、システムの異常の検知処理は、ステップS13以降の各ステップ毎に適宜実行される。すなわち、データ移行プログラムが異常終了するなどのシステムエラーの発生を検知する。
【0067】
この異常終了の検知には、例えば、一定期間の間、操作端末10からのキー入力がなされない場合を含めるものであってもよい。すなわち、データ移行作業の途中において、使用者(教職員)が何らかの事情によって席を離れた場合に、本実施形態のデータ移行システム1の処理を強制的に終了することができる。これにより、使用者が席を離れている隙に第三者が操作端末10を操作し、共有記憶領域20内の編集データ18aを不正に入手しようとすることを防ぐことができる。
【0068】
システムの異常が検知されない場合(ステップS14においてNO)、共有記憶領域20に記憶された編集データ18aを校務支援システムSSの成績データ入力画面24に貼付する貼付操作(ペースト)の有無を検知し(ステップS15)、貼付操作が検知される場合(ステップS15においてYES)、編集データ18aを成績データ入力画面24に貼付する(ステップS16)。係る操作は、通常のクリップボードを介したペースト操作と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
一方、貼付操作が検知されない場合(ステップS15においてNO)、ステップS15の処理を継続する。これにより、校務支援システムSSに対する学習記録データ11(編集データ18a)の移行が完了する。そのため、ステップS16の処理後は、校務支援システムSSにおいて成績データ入力画面24の保存或いはアップロード等の各処理を実行し、サーバSVとの通信ネットワークNを介した接続を終了しても構わない。
【0070】
上記貼付操作を完了した後、編集ウインドウ12に表示された“閉じる”ボタン(ペースト完了ボタン41)に対するクリック操作の有無を検知する(ステップS17)。すなわち、上記貼付操作を完了した旨に係る入力を受け付け、事後の編集データ18a,18bの照合処理を行うことができる。ここで、閉じるボタンのクリック操作が検知される場合(ステップS17においてYES)、共有記憶領域20にコピーされた削除用識別データD2の照合が行われる(ステップS18)。
【0071】
共有記憶領域20の固有データ型Fの中に削除用識別データD2の存在が確認される場合(ステップS19においてYES)、共有記憶領域20に記憶された編集データ18aを消去する(ステップS20)。これにより、他のソフトウェアとの間で自由に編集データ18aとのやり取りが可能な共有記憶領域20から編集データ18aが削除される。これにより、共有記憶領域20に残存した編集データ18aが不正に取得されることがなく、編集データ18aが外部に流出することがない。その後、システムが終了する(ステップS21)。このとき、制限記憶領域22は、揮発性メモリから構成されるものであり、係るシステム終了と同時に、編集データ18bは消滅する。そのため、制限記憶領域22の編集データ18bが外部に流出することはない。
【0072】
一方、共有記憶領域20の固有データ型Fの中に削除用識別データD2の存在が確認されない場合(ステップS19においてNO)、すなわち、他のソフトウェア等を介して共有記憶領域20(クリップボード)に対するコピー操作が行われ、編集データ18aが別のデータに上書きれている場合、既に共有記憶領域20には編集データ18a及び削除用識別データD2が存在していないこととなる。そのため、外部に不正に流出する虞はない。そのため、ステップS20の処理がキャンセルされ、システムが終了する(ステップS21)。
【0073】
以上、説明したように、本実施形態のデータ移行システム1によれば、成績管理プログラムPG及び校務支援システムSSの間で学習記録データ11の移行を行う場合、従来において作成されていたCSV形式等の中間ファイルがハードディスクドライブ等の記憶手段13に作成されることがない。そのため、データ移行完了後にこれらの中間ファイルが操作端末10に残存することがない。
【0074】
その結果、中間ファイルが外部に流出し、情報が漏洩することがない。更に、成績管理プログラムPGと連携してデータ移行プログラムを起動し、係る処理を行うことができるため、従来と比べて、データ移行作業が速やかに行われる。更に、校務支援システムSS側の成績データ入力画面24に表示された項目と学習記録データ11(編集データ18a)の配列順序とを照らし合わせ、必要項目のみを確認しながら範囲指定してコピーすることができるため、データ移行時におけるミスの発生を少なくすることができる。
【0075】
なお、上記移行処理の際に異常を検知した場合であっても(ステップS14においてYES)、図5に示すように、当該異常を検知した段階で速やかに本実施形態のデータ移行プログラムが強制停止される(ステップS22)。係る強制停止に伴って制限記憶領域22の編集データ18bは消滅することになる。その後、共有記憶領域20の編集データ18aを消去した後(ステップS23)、システムが終了する(ステップS24)。ここで、ステップS23において、編集データ18aを消去する際に、共有記憶領域20の固有データ型Fに削除用識別データD2が残存している場合には編集データ18aの消去と同時に、当該削除用識別データD2の消去も行われる(図示しない)。
【0076】
これにより、何らかの異常が発生した場合でも、共有記憶領域20及び制限記憶領域22に編集データ18a,18bが残存することがなく、セキュリティ上の問題が発生することはない。なお、図4及び図5において、フローチャートの横に共有記憶領域20及び制限記憶領域22に、それぞれ編集データ18a,18bが格納されている状態を示している。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のデータ移行システム1、及びデータ移行プログラムは、小中学校の教育現場において、教材発行会社提供の成績管理プログラムから、教育委員会や教育センター、各小中学校、或いはデータセンター内に設置されたサーバを介した校務支援システムに対して、特に児童生徒の成績に係るデータをセキュリティ上の安全な対策を施した上で移行可能な利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0078】
1:データ移行システム、5:固有データ型登録手段、10:操作端末、11:学習記録データ、12:編集ウインドウ、13:記憶手段、14:学習記録読出手段、15:端末画面、16:画面表示手段、17:編集手段、18a,18b:編集データ、19:範囲指定手段、20:共有記憶領域、21:第一複製手段、22:制限記憶領域、23:第二複製手段、24:成績データ入力画面、25:貼付手段、26:操作完了手段、27:照合手段、28:編集データクリア手段、29:評価観点項目、30:規定配列データ、31:出席番号、32:氏名、33:識別項目、34a,34b,34c,34d:教科、35:評価観点、36:成績データ、37:成績データ欄、38:移動ボタン、39a,39b:チェックボックス、40:コピー開始ボタン、41:ペースト完了ボタン、C:教育委員会、D1:固有識別データ、D2:削除用識別データ、F:固有データ型、N:通信ネットワーク、PG:成績管理プログラム、PM:プログラム記憶領域、SS:校務支援システム、SV:サーバ。
図1
図2
図3
図4
図5