【実施例1】
【0021】
以下、本発明の温風暖房装置の一実施例として、灯油を燃料としたファンヒーターを例に挙げ図面を用いて説明する。
【0022】
図1は温風暖房装置の一例であるファンヒーターの内部構成図であり、本体1内には、灯油を加熱気化する気化器2と、気化器2で発生した気化ガスを燃焼し熱を発生させる熱発生手段としてのバーナ3と、本体1に着脱自在な給油タンク4と、給油タンク4から供給された灯油を貯留する油受皿5と、油受皿5上に載置され気化器2へ灯油を汲み上げる電磁ポンプ6を備えている。
【0023】
また、本体1の背面には本体1内部に空気を供給する送風機7が取付けられていて、バーナ3での燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機7から供給される空気と混合されて温風となり本体1の前面から排出されることで室内の暖房が行われる。
【0024】
図2は、温風暖房装置の動作を制御する制御部の構成を示すブロック図である。マイコンからなる制御部8の入力側には、室温を検知する室温検知手段9、バーナ3での燃焼状態を検知する炎検知手段10、使用者がボタンの操作を行う操作部12が接続されており、操作部12には運転の開始および停止を指示する運転ボタン13、温度を設定する温度設定ボタン14、運転モードの切替を行う運転モード切替手段としての運転切替ボタン15などが設けられている。また、制御部8の出力側には、前出の気化器2、電磁ポンプ6、送風機7のほか、温度や時刻またはエラーといった情報を表示する表示部11が設けられている。
【0025】
そして制御部8は、室温検知手段9が検知した室温と温度設定ボタン14の操作によって設定された設定温度との差から暖房出力(燃焼量)を決定してバーナ3での燃焼を制御する出力決定手段16、送風機7の駆動を制御する送風機制御手段17、表示部11に表示する内容を制御する表示制御手段18、所定の時間を計時するタイマ手段19を備えている。
【0026】
また、ファンヒーターには、室温と設定温度の差から暖房出力を決定し室温を設定温度に維持するよう暖房運転を行う「通常運転モード」と、室温と設定温度の差によって燃焼を断続的に行う「セーブ運転モード」と、他の暖房器具を併用して暖房する際に使用する「併用運転モード」が備えられており、運転切替ボタン15を操作することにより複数の運転モードから所定の運転モードを選択して実行する。
【0027】
ここで、前述の「併用運転モード」についてさらに詳細に説明する。室内の暖房を行う暖房器具には種々のものがあるが、その中でファンヒーターのように灯油やガスなどの燃料を燃焼させその燃焼排ガスを室温の上昇に用いる暖房器具は、速暖性に優れているという特徴を有している。一方で、エアコンやオイルヒーターまたは蓄熱装置など燃焼によって発生する熱を直接暖房に使用しない暖房器具も室内を暖房する手段として使用されており、これらの暖房器具は燃焼排ガスを発生させないため長時間連続して使用しても室内の酸素濃度を低下させる原因とはならないが、燃焼排ガスを室温の上昇に用いるものに比べて速暖性の面では劣るものである。そのため、春先や秋口など外気温がそれほど低くなければ、エアコン等の暖房だけでも部屋を暖めることはできるが、外気温がかなり低くなると室内の空気を暖めるまでに時間がかかり、暖房運転を開始してもなかなか室内が暖まらずに寒く感じることがある。そこで、エアコンやオイルヒーターなど速暖性に劣る暖房器具を使用する際には、ファンヒーターのように速暖性に優れる暖房器具を同時に運転させることで暖房能力の不足を補い、特に暖房開始時の快適性を向上させることが可能になる。
【0028】
しかしながら、個々の暖房器具はそれ単独での使用を前提として暖房能力の制御を行うようになっているため、夫々に目標温度を設定して使用したとしても必ずしも個々の利点を最大限活用することができるわけではない。つまり、ファンヒーターとエアコンを同時に運転させたとすると、ファンヒーターの発する熱をエアコンが検知して部屋が暖まっていると判断してしまうため、エアコンは暖房出力を落として運転するので、室温の上昇・維持のためにエアコンの暖房能力はあまり活用されないことになる。これでは、使用者が意図するような併用運転を行っていることにはならない。
【0029】
そこで、室内の暖房にファンヒーターと他の暖房器具を併用して運転させる場合にはこの併用運転モードを選択し、夫々の暖房器具の持つ利点を生かして室内の暖房を行うようにファンヒーターの運転を制御する。つまり、暖房運転の開始時には、ファンヒーターの持つ速暖性を生かして効率よく室温を上昇させ、すばやく室温を設定温度付近にまで上昇させる。そして室温が設定温度付近に到達したら、その後は他の暖房器具が暖房出力を落として運転してしまわないよう、ファンヒーターの暖房出力を段階的に低下させて運転を行う。さらに、ファンヒーターの暖房出力が所定の出力まで低下したときには、他の暖房器具のみで室内の暖房が可能であると判断できるためファンヒーターの運転を停止するようになっている。
【0030】
次に、上述の構成におけるファンヒーターの動作について
図3、4を用いて説明する。
【0031】
操作部12に設けられた運転ボタン13の操作により運転開始が指示されると、気化器2のヒータへ通電が行われ気化器2の加熱が開始される。気化器2が加熱されて灯油を気化することのできる温度まで上昇すると、電磁ポンプ6が始動して油受皿5内の灯油を汲み上げ、灯油が気化器2に供給される。
【0032】
気化器2に供給された灯油は、加熱気化されて気化ガスとなり、気化器2の先端に設けられた噴出口からバーナ3に向けて噴出される。バーナ3に向けて噴出された気化ガスは、噴出された際のエジェクタ効果により周囲の空気を一次空気として取り込むため、バーナ3内部で気化ガスと一次空気とが混合されて混合ガスとなる。この混合ガスはバーナ3から噴出して、図示しない点火手段により点火され燃焼が開始される。
【0033】
燃焼開始に伴い、送風機7の駆動も開始される。送風機7の回転によって本体1内に取り込まれた空気は一部が二次空気として火炎に供給されて火炎が完全燃焼し、燃焼によって発生した排ガスは、本体1内に取り込まれた空気と混合されて温風となり本体1前面より排出される。このようにして暖房運転が開始されると、運転切替ボタン15によって設定された運転モードに基づき出力決定手段16は暖房出力を決定し、室内の暖房を行うようになっている。
【0034】
<通常運転モード>
運転切替ボタン15にて「通常運転モード」が選択されているときは、出力決定手段16は室温Txと設定温度T0との差から暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量が制御され、送風機7は送風機制御手段17により回転数が制御されて、室温Txが設定温度T0を維持するようバーナ3で燃焼が行われる。なお、春先や秋口など比較的外気温が高いときは、暖房出力を最小にしても室温Txが設定温度T0を超える場合があるが、このときも燃焼の停止は行わず最小出力での燃焼を継続する。
【0035】
<セーブ運転モード>
運転開始から室温Txが設定温度T0に到達するまでは通常運転モードと同様に、室温Txと設定温度T0の差から暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量が制御され、送風機7は送風機制御手段17により回転数が制御される。ここで、通常運転モードとの違いは、暖房出力を最小にしても室温Txが設定温度T0を超えるような場合には燃焼を停止させる点である。
【0036】
具体的には、室温Txと設定温度T0を比較し、室温Txが設定温度T0より所定温度(例えば3℃)高くなったと判断されるとバーナ3での燃焼を停止し、表示部11にはセーブ運転モードで燃焼待機状態であることを表示する。そして燃焼が停止することで徐々に室温が下がり、室温Txが設定温度T0よりも所定温度(例えば1℃)低くなったと判断されると燃焼を再開させる。つまり、室温Txと設定温度T0の差によって燃焼の停止と再開とが繰り返されるものであり、これにより室温Txが設定温度T0を上回る状態を抑えて灯油の消費を抑えた運転が可能となる。
【0037】
<併用運転モード>
他の暖房器具を併用して運転させる際に選択するモードであり、ここでいう他の暖房器具とは、エアコンやオイルヒーターまたは蓄熱装置など速暖性の面でファンヒーターに比べて劣る暖房器具を指す。
【0038】
図3は併用運転モードにおけるファンヒーターの動作を表したフローチャートである。まずファンヒーター、他の暖房器具とも設定温度をT0として運転を開始する。そして、運転切替ボタン15を操作して「併用運転モード」を選択すると、ファンヒーターには目標温度T1(T1は任意の温度、ただしT1≦T0)が設定されるので(ステップ1)、運転開始から室温Txが目標温度T1付近に到達するまでは、ファンヒーターの速暖性を生かして室温Txを目標温度T1に近づけるよう出力決定手段16で暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量、送風機7の回転数を制御してバーナ3での燃焼が行われる。このとき、他の暖房器具も暖房運転を行っているが、室温の上昇には主としてファンヒーターの発する燃焼熱が用いられることになる。
【0039】
そして室温Txと目標温度T1を比較し(ステップ2)、室温Txが目標温度T1に到達したと判断すると、出力決定手段16は暖房出力を一段下げ(ステップ3)、この暖房出力にてバーナ3での燃焼が継続される。また、暖房出力を下げると同時にタイマ手段19が計時を開始する(ステップ4)。室温Txが設定温度T0を維持するためには、ファンヒーターの暖房出力と他の暖房器具の暖房出力を合わせたトータルでの暖房出力が必要である。ところが、ファンヒーターの暖房出力を強制的に下げたことにより、必然的に他の暖房器具の暖房出力が必要となるため、他の暖房器具は暖房出力を落とすことなく運転し続けることになる。その後タイマ手段19の計時する時間が所定時間となったかを判断し(ステップ5)、所定時間が経過したら次に暖房出力が所定値(例えば最小値)まで低下したかを判定し(ステップ6)、所定値になっていなければステップ3に戻り暖房出力をまた一段低下げてバーナ3で燃焼が継続される。
【0040】
つまり、暖房出力を下げてから所定時間が経過したら、そのときの室温にかかわらず暖房出力を段階的に下げることを繰り返すため、ファンヒーターの暖房出力が下がることにより、他の暖房器具は暖房出力を落とすことなく運転を行うことになる。言い換えれば、ファンヒーターの暖房出力を段階的に制御することによって、暖房器具間で制御データを通信しなくとも使用者が意図するような暖房運転を行わせることができるのである。
【0041】
また、ステップ6でファンヒーターの暖房出力が所定値(例えば最小値)に低下したことを検知したらファンヒーターの運転を停止し、他の暖房器具のみで暖房を行わせる。なお、ファンヒーターの暖房出力は室温にかかわらず強制的に低下させているので、運転を停止する前に、室温Txが設定温度T0に到達しているかを判定するようにしてもよい。
【0042】
このように、併用運転モードを選択すると、暖房運転の開始時にはファンヒーターの持つ速暖性を生かして効率よく室温を上昇させ、室温が設定温度付近に到達したら、その後は他の暖房器具が暖房出力を落として運転してしまわないよう、ファンヒーターの暖房出力を段階的に低下させるようになっており、使用者が意図するような暖房運転を実行することで夫々の暖房器具の持つ利点をうまく利用して快適な室内環境を作ることができる。またデータ通信を必要としないため、併用運転の対象となる暖房器具が限定されず汎用性にも優れる。
【0043】
図4は上述の併用運転モードにおけるファンヒーターの暖房出力と室温の時間変化を表したタイムチャートである。併用運転モードの開始から目標温度T1に到達するまでは通常運転モードと同様の暖房出力にて運転し、目標温度T1に到達したと判断されると(A点)、暖房出力が段階的に低下していき、暖房出力が最小となった時点で運転が停止する(B点)。A点からB点の間ではファンヒーターが暖房出力を落とすことにより、ファンヒーター主体の暖房から 他の暖房器具主体の暖房へと移行しており、室温は緩やかに上昇して設定温度T0に到達する。そして、B点でファンヒーターの運転が停止した後は、他の暖房器具のみの暖房により設定温度T0に室温が維持されるようになる。
【0044】
また、この併用運転モードにおいて、B点で運転が停止した際には、表示部11に運転停止中であることを表示し、以後は運転ボタン13を操作しない限り運転は開始しない。つまりセーブ運転モードのように、室温を検知して自動での運転再開は行わない。運転が停止した状態となっているとき、室温の低下を検知して自動での運転を再開するようになっていると、もし使用者が併用運転モードで運転停止していることを忘れて、部屋を離れるために他の暖房器具の運転を停止させた場合、ファンヒーターは室温の低下を検知して誰もいない部屋で運転が再開されてしまうという事態が起こりうる。しかし、一旦運転を停止すると自動での運転再開をしないようにすれば、誰もいない部屋で運転が行われてしまうといった使用者が予期しない状況を回避することができる。
【0045】
なお、本実施例では運転モードとして、「通常運転モード」「セーブ運転モード」「併用運転モード」の3つを備えたものとして説明したが、少なくとも「通常運転モード」と「併用運転モード」の2つを備えていればよく、その他の運転モードは本実施例に限定されるものではない。
【0046】
また、ファンヒーターと他の暖房器具の設定温度をどちらも同じT0として運転を開始すると説明したが、設定温度は必ずしも同じである必要はなく、異なっていたとしても併用運転を行わせることは可能である。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の実施例2について
図5を用いて説明する。なお、本実施例のファンヒーターの構成は実施例1と同じであるため同じ符号を付し説明を省略する。
【0048】
図5は実施例2の併用運転モードにおけるファンヒーターの動作を表したフローチャートである。まずファンヒーター、他の暖房器具とも設定温度をT0として運転を開始する。そして、運転切替ボタン15を操作して「併用運転モード」を選択すると、ファンヒーターには目標温度T1(T1は任意の温度、ただしT1≦T0)が設定されるので(ステップ1)、運転開始から室温Txが目標温度T1付近に到達するまでは、ファンヒーターの速暖性を生かして室温Txを目標温度T1に近づけるよう出力決定手段16で暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量、送風機7の回転数を制御してバーナ3での燃焼が行われる。このとき、他の暖房器具も暖房運転をしているが、室温の上昇には主としてファンヒーターの発する燃焼熱が用いられることになる。
【0049】
そして室温Txと目標温度T1を比較し(ステップ2)、室温Txが目標温度T1に到達したと判断すると、出力決定手段16は暖房出力を一段下げ(ステップ3)、この暖房出力にてバーナ3での燃焼が継続される。ファンヒーターが暖房出力を下げたことにより、他の暖房器具の暖房出力が必要となるため、他の暖房器具は暖房出力を落とすことなく運転し続けることになる。また、暖房出力を下げると同時にタイマ手段19が計時を開始するので(ステップ4)、タイマ手段19の計時する時間が所定時間となったかを判断し(ステップ5)、所定時間が経過したら次に暖房出力が所定値(例えば最小値)まで低下したかを判定する(ステップ6)。所定値になっていなければ、次に室温Txと設定温度T0とを比較し(ステップ7)、室温Txと設定温度T0との差が所定値以内であればステップ3に戻り暖房出力をさらに一段低下させるが、所定値以上となっていたときには暖房出力を下げずにそのままの暖房出力を維持する(ステップ8)。
【0050】
つまり、ステップ3で暖房出力を下げてから所定時間が経過したときに、室温Txと設定温度T0との差が所定値以内であったなら、現在の暖房出力で室温の維持ができていると判断して、暖房出力を段階的に下げることを繰り返す。ファンヒーターの暖房出力が下がることにより、他の暖房器具は暖房出力を落とすことなく運転を行うことになる。
【0051】
一方、室温Txと設定温度T0との差が所定値以上であったなら、現在の暖房出力では室温を維持することができない、つまりファンヒーターの暖房出力の低下に他の暖房器具の暖房能力が追いついていない状態であると考えられる。この状態でファンヒーターの暖房出力を低下させてしまうとさらに室温が下がってしまうおそれがあり、使用者には寒いと感じられるようになってしまう。そのため、室温Txと設定温度T0との差が所定値以上となった場合には、室温と設定温度の差がある程度近づくまで暖房出力を維持する。これにより、室温が必要以上に下がり続けてしまうことを防止して使用者の快適性を損なうことなく暖房運転を行うことができる。なお、暖房出力を維持したときにはステップ4に戻るため、その時点からタイマ手段19は計時を開始し、所定時間が経過した際には再び室温Txと設定温度T0とを比較する。そしてステップ7で室温Txと設定温度T0の差が所定値以内に近づいたと判断されれば、ステップ3に進み暖房出力を低下させる。
【0052】
また、ステップ6でファンヒーターの暖房出力が所定値(例えば最小値)に低下したことを検知したらファンヒーターの運転を停止し、他の暖房器具のみで暖房を行わせる。なお、運転を停止する前に、室温Txが設定温度T0に到達しているかを判定するようにしてもよい。
【実施例3】
【0053】
次に、本発明の実施例3について
図6を用いて説明する。なお、本実施例のファンヒーターの構成は実施例1、2と同じであるため同じ符号を付し説明を省略する。
【0054】
図6は実施例3の併用運転モードにおけるファンヒーターの動作を表したフローチャートである。まずファンヒーター、他の暖房器具とも設定温度をT0として運転を開始する。そして、運転切替ボタン15を操作して「併用運転モード」を選択すると、ファンヒーターには目標温度T1(T1は任意の温度、ただしT1≦T0)が設定されるので(ステップ1)、運転開始から室温Txが目標温度T1付近に到達するまでは、ファンヒーターの速暖性を生かして室温Txを目標温度T1に近づけるよう出力決定手段16で暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量、送風機7の回転数を制御してバーナ3での燃焼が行われる。このとき、他の暖房器具も暖房運転をしているが、室温の上昇には主としてファンヒーターの発する燃焼熱が用いられることになる。
【0055】
そして室温Txと目標温度T1を比較し(ステップ2)、室温Txが目標温度T1に到達したと判断すると、出力決定手段16は暖房出力を一段下げ(ステップ3)、この暖房出力にてバーナ3での燃焼が継続される。ファンヒーターが暖房出力を下げたことにより、他の暖房器具の暖房出力が必要となるため、他の暖房器具は暖房出力を落とすことなく運転し続けることになる。また、暖房出力を下げると同時にタイマ手段19が計時を開始するので(ステップ4)、タイマ手段19の計時する時間が所定時間となったかを判断し(ステップ5)、所定時間が経過したら次に暖房出力が所定値(例えば最小値)まで低下したかを判定する(ステップ6)。所定値になっていなければ、次に室温Txと設定温度T0とを比較し(ステップ7)、室温Txと設定温度T0との差が第一所定値以内であればステップ3に戻り暖房出力をさらに一段低下させるが、第一所定値以上となっていたときには暖房出力を一段上昇させる(ステップ8)。
【0056】
つまり、ステップ3で暖房出力を下げてから所定時間が経過したときに、室温Txと設定温度T0との差が第一所定値以内であったなら、現在の暖房出力で室温の維持ができていると判断して、暖房出力を段階的に下げることを繰り返す。ファンヒーターの暖房出力が下がることにより、他の暖房器具は暖房出力を落とすことなく運転を行うことになる。
【0057】
一方、室温Txと設定温度T0との差が第一所定値以上であったなら、現在の暖房出力では室温を維持することができない、つまりファンヒーターの暖房出力の低下に他の暖房器具の暖房能力が追いついていない状態であると考えられる。この状態でファンヒーターの暖房出力を低下させてしまうとさらに室温が下がってしまうおそれがあり、使用者には寒いと感じられるようになってしまう。そのため、室温Txと設定温度T0との差が第一所定値以上となった場合には、暖房出力を一段上昇させる。これにより、使用者が寒いと感じてしまう前に室温の低下を防止して使用者の快適性を損なうことなく暖房運転を行うことができる。なお、暖房出力を上昇させた場合にはステップ4に戻るため、その時点からタイマ手段19は計時を開始し、所定時間が経過した際には再び室温Txと設定温度T0とを比較する。そして室温Txと設定温度T0の差が第二所定値以内になっているかを判定し(ステップ7、ステップ9)、第二所定値以内となっていればステップ3に進み暖房出力を低下させる。
【0058】
また、ステップ6でファンヒーターの暖房出力が所定値(例えば最小値)に低下したことを検知したらファンヒーターの運転を停止し、他の暖房器具のみで暖房を行わせる。なお、運転を停止する前に、室温Txが設定温度T0に到達しているかを判定するようにしてもよい。