(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記親機PLCモデムは、前記電力線ネットワーク上のすべての子機PLCモデムからの前記第1又は第2の応答信号を受信するまで、前記第1の応答信号を返信してきた子機PLCモデムの中から選択された子機PLCモデムに前記第2のブロードキャスト信号を配信するように指示する処理を繰り返す、請求項1に記載の電力線通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力線通信では、ルート把握や機器探索などのために親機PLCモデムがテスト信号をブロードキャスト配信する場合がある。また、親機−子機PLCモデム間の通信のタイミングを定めるための基準信号を定期的にブロードキャスト配信する場合がある。これらのブロードキャスト信号は、電力線ネットワークに接続された親機配下のすべての子機PLCモデムに確実に配信される必要がある。
【0006】
ブロードキャスト信号を電力線ネットワーク上のすべての子機PLCモデムに配信する方法として、ブロードキャスト信号を受信した子機PLCモデムにブロードキャスト信号を再配信させる方法がある。この方法では、例えば最大中継数を例えば「5」とし、ブロードキャスト信号が子機PLCモデムを通過するごとに中継数をデクリメントしていき、中継数が「0」になったらブロードキャスト信号の再配信を終了させる。すなわち、ブロードキャスト信号は子機PLCモデムによって5回再配信される。この方法によれば、親機PLCモデムからのブロードキャスト信号が直接届かない遠方の子機PLCモデムにもブロードキャスト信号を届けることが可能である。
【0007】
しかしながら、電力線ネットワークはメッシュ型のトポロジーを構成しているため、ある子機PLCモデムから再配信されたブロードキャスト信号がすでにブロードキャスト信号を受信済みの子機PLCモデムによって受信され、さらに再配信されることにより、すでにブロードキャスト信号を受信済みの子機PLCモデム間でブロードキャスト信号が往復してしまうという問題がある。すなわち、ブロードキャスト信号が電力線ネットワーク上で迷走し、電力線通信が混雑してしまうという問題がある。
【0008】
特に、マンション等の集合住宅のように電力メータの数が非常に多く、一つの親機PLCモデムに対して割り当てられる子機PLCモデムの数が数十〜百数十台と非常に多い場合には、ブロードキャスト信号の再配信による問題は顕著となる。この問題は、遠方の子機PLCモデムにブロードキャスト信号を確実に届けようとして最大中継数を大きくすればするほど大きくなり、最悪の場合、いわゆるブロードキャストストームによってネットワークがダウンするおそれがある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、電力線ネットワークの混雑を防止しながら、親機PLCモデムからのブロードキャスト信号をすべての子機PLCモデムに確実に配信することが可能な電力線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明による電力線通信システムは、電力線ネットワークに接続された親機PLCモデムと、前記電力線ネットワークを介して前記親機PLCモデムと通信を行う複数の子機PLCモデムとを備え、前記親機PLCモデムは、前記子機PLCモデムによって中継されないように設定された第1のブロードキャスト信号を前記電力線ネットワーク上に配信し、前記複数の子機PLCモデムのうち前記第1のブロードキャスト信号を受信した子機PLCモデムは、前記第1のブロードキャスト信号に対する第1の応答信号を前記電力線ネットワーク上に送信し、前記親機PLCモデムは、前記第1の応答信号を返信してきた子機PLCモデムの中から少なくとも一つの子機PLCモデムを選択して、当該子機PLCモデムが前記第1のブロードキャスト信号と同一内容の第2のブロードキャスト信号を配信するように指示する指示信号を送信し、前記第2のブロードキャスト信号を配信するように指示された子機PLCモデムは、前記子機PLCモデムによって中継されないように設定された前記第2のブロードキャスト信号を前記電力線ネットワーク上に配信し、前記複数の子機PLCモデムのうち
、前記第1のブロードキャスト信号を受信して前記第1の応答信号を送信した子機PLCモデムは、前記第2のブロードキャスト信号を受信してもこれを無視し、前記第1のブロードキャスト信号を受信せず且つ前記第2のブロードキャスト信号を
初めて受信した子機PLCモデムは、前記第2のブロードキャスト信号に対する第2の応答信号を前記電力線ネットワーク上に送信し、前記第2のブロードキャスト信号を配信した子機PLCモデムは、前記第2の応答信号を前記親機PLCモデムに転送する。
【0011】
本発明によれば、親機PLCモデムからのブロードキャスト信号を直接受信できない遠方の子機に対しては当該子機の近くに位置し、すでにブロードキャスト信号を受信済みの子機PLCモデムから配信されたブロードキャスト信号を配信するので、すべての子機にブロードキャスト信号を確実に配信することができる。また、親機PLCモデムからブロードキャスト信号を受け取った多数の子機PLCモデムは、当該ブロードキャスト信号を再配信しないので、ブロードキャストストームの発生を抑えることができ、ブロードキャスト信号を効率よく配信することができる。
【0012】
本発明において、前記親機PLCモデムは、前記電力線ネットワーク上のすべての子機PLCモデムからの前記第1又は第2の応答信号を受信するまで、前記第1の応答信号を返信してきた子機PLCモデムの中から選択された子機PLCモデムに前記第2のブロードキャスト信号を配信するように指示する処理を繰り返すことが好ましい。この場合において、前記第2の応答信号を送信する子機PLCモデムは、前記第1のブロードキャスト信号を受信せず且つ前記第2のブロードキャスト信号を初めて受信した子機PLCモデムであることが好ましい。これによれば、電力線ネットワーク上への不要な応答信号の送出を防止することができ、電力線ネットワーク上での信号の衝突をできるだけ少なくすることができる。
【0013】
本発明において、前記親機PLCモデムは、前記第1の応答信号の受信レベルに基づいて前記少なくとも一つの子機モデムを選択することが好ましい。これによれば、親機から見て遠方の子機モデムを非常に簡単な方法で選択することができる。
【0014】
本発明による電力線通信システムは、前記複数の子機PLCモデムに対応して設けられ、前記電力線ネットワークを構成する電力線に接続された複数の電力メータをさらに備え、前記複数の電力メータの各々が測定した検針データは、対応する子機PLCモデムから電力線ネットワークを経由して前記親機PLCモデムに送信されることが好ましい。いわゆる自動検針システムにおいては一つの親機PLCモデムに対して多数の子機PLCモデムが設けられることから、各子機PLCモデムに対してブロードキャスト信号を確実に送信することができ、本発明による効果が顕著である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電力線ネットワークの混雑を防止しながら、親機PLCモデムからのブロードキャスト信号をすべての子機PLCモデムに確実に配信することが可能な電力線通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明による電力線通信システムが適用される自動検針システムの構成の一例を示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、この自動検針システム1は、例えば集合住宅9の各戸9a〜9dの電力使用量を検針するためのものであり、電柱2等に設置された親機PLCモデム11(以下、単に「親機モデム」という)と、各戸の電力メータ12a〜12dにそれぞれ内蔵された子機PLCモデム13a〜13d(以下、単に「子機モデム」という)とを備えている。そして、親機モデム11と複数の子機モデム13a〜13dとの間の電力線通信によって電力使用量の遠隔検針が実現される。
【0020】
変電所3から供給される電力は柱上トランス4、電力引き込み線5a、電力メータ12a〜12dおよびブレーカ16a〜16dを経由して各需要者a〜dの家電機器8a〜8dにそれぞれ供給される。親機モデム11の一方の通信端子は例えば光ネットワーク6を介して検針サーバ7(第1のサーバ)に接続されており、他方の通信端子は電力引き込み線5aに接続されている。
【0021】
子機モデム13a〜13dの一方の通信端子は対応する電力メータ12a〜12dのコントローラ15a〜15dにそれぞれ接続されており、他方の通信端子は電力引き込み線5aに接続されている。なお、各子機モデム13a〜13dが電力メータ12a〜12d内に内蔵されている場合、コントローラ15a〜15bはそれらの子機モデムに対する狭義の電力メータとして位置付けられる。
【0022】
図2は、PLCモデムの構成を機能的に示すブロック図である。このPLCモデム20は、親機モデム11と子機モデム13a〜13dの両方に対して共通に用いることができる汎用的なものである。
【0023】
図2に示すように、PLCモデム20は、制御部21、メモリ22、インターフェース(I/F)23、通信部24、変調部25、送信部26、復調部27、受信部28およびマルチプレクサ29を有している。
【0024】
制御部21は、上位装置から各種の情報を取得し、取得した情報に基づいてPLCモデム20の各部を制御する。ここにいう上位装置とは、親機モデム11であれば検針サーバ7、子機モデム13aであれば電力メータ12aのコントローラ15aである。
【0025】
メモリ22は、制御部21の指示に従い、上位装置から入力されるデータを記憶する記憶手段である。またメモリ22には設定情報を含む各種情報が記録されている。
【0026】
インターフェース部23は、上位装置とのインターフェースであり、上位装置から上位レイヤデータを受け取り、通信部24に出力する。また、通信部24から上位レイヤデータの入力を受け、上位装置に出力する。
【0027】
通信部24はヘッダーを含む送受信信号の処理を行う機能部であり、例えばDSP(Digital Signal Processor)によって構成される。具体的な処理としては、インターフェース部23から送信すべき上位レイヤデータの供給を受け、パイロットデータや宛先MACアドレスなどを含むヘッダーと誤り訂正のための冗長データとを付加し、送信データとして変調部25に送出する。特に、ブロードキャスト信号を送信する場合には、ヘッダーにブロードキャスト信号であることを示すフラグや最大中継数(中継数データ)が含められる。また、復調部27からヘッダーと上位レイヤデータとを含む受信データの入力を受け、その中のヘッダーに応じた処理および誤り訂正処理を行うとともに、上位レイヤデータのインターフェース部23への出力を行う。
【0028】
変調部25は、制御部21の指示に従い、OFDM変調方式並びに位相変調方式の中から一の変調方式を選択する。そして、選択した一の変調方式を用い、送信データに基づいて搬送波信号を変調し、変調方式に応じた既知の同期信号を含む所定のプリアンブルを付加するとともに、電波法施行規則の規定(搬送波出力)に則り変調処理に用いた通信方式に応じて信号の振幅を制御した後、送信部26に出力する。
【0029】
送信部26は、変調部25から入力された信号を電力線に送出可能な信号に変換してから、電力線に送出する機能を有する。具体的には、変調部25から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換するとともに、バンドパスフィルタを用いて不要な周波数帯の成分を取り除き、さらに所定の増幅率で増幅して、マルチプレクサ29を介して電力線に送出する。
【0030】
上位装置から出力レベル設定情報を受け取ったPLCモデム20の制御部21は、出力レベルの設定情報をメモリ22に保存する。送信部26はメモリ22に保存されている出力レベルの設定情報に従って送信信号を増幅し、電力線に送出する。
【0031】
受信部28は、電力線に到来した信号を受信してデジタル信号に変換し、復調部27に出力する機能を有する。具体的には、マルチプレクサ29を介して受信された信号からバンドパスフィルタを用いて不要な高低周波成分を取り除き、さらに所定の増幅率で増幅した後、サンプリングしてデジタル信号に変換し、復調部27に出力する。
【0032】
復調部27は、受信部28から入力されるデジタル信号を、OFDM変調方式および位相変調方式を用いて復調する機能を有する。復調部27は、復調によって得た信号を通信部24に出力する。また復調部27は、受信部28から入力された信号から既知の同期信号を検出する同期検出機能を有している。ここで検出される同期信号は、OFDM変調方式の同期信号又は位相変調方式の同期信号であり、復調部27は、検出した同期信号から復調に用いる変調方式を決定する。
【0033】
本実施形態によるPLCモデムは、ブロードキャスト信号を生成して配信する機能を有している。またPLCモデムは、受信したブロードキャスト信号のヘッダーに含まれる中継数データに基づいてブロードキャスト信号を再配信する機能を有している。
【0034】
図3は、
図1の遠隔検針システムによって実現される電力線通信システムの構成の一例を示す略ブロック図である。また、
図4は、
図3に示す電力線通信システム10における電力線ネットワークのトポロジーを示す図である。
【0035】
図3及び
図4に示すように、本実施形態による電力線通信システム10は、親機モデム11と複数の子機モデム13とを備えている。一般的な集合住宅の電力線ネットワーク5はメッシュ型のトポロジーを構成しており、親機モデム11は電力線ネットワーク5を介して各電力メータ内の子機モデム13に接続されている。親機モデム11からのブロードキャスト信号は電力線ネットワーク5を介して各子機モデム13に届けられる。
【0036】
電力線通信の信号伝送特性は良好であり、親機モデム11からの1回目のブロードキャスト配信で非常に多く(例えば7〜8割)の子機モデムに信号を届けることができる。一方、ブロードキャスト信号を直接届けることができない遠方の子機モデム13に対しては、中継機として機能する特定の子機モデム13を経由したブロードキャスト配信が行われる。
【0037】
電力線ネットワーク5上の子機モデム13は親機モデム11からの距離に応じて複数のグループに分けられる。本実施形態においては、親機モデム11からの信号が届く一定範囲内に設けられた第1グループG1の子機モデムT1〜T12,T19〜T26と、第1グループG1の子機モデムよりも遠方の一定範囲内に設けられた第2グループG2の子機モデムT13〜T18,T27〜T32と、第2グループG2の子機モデムよりも遠方の一定範囲内に設けられた第3グループG3の子機モデムT33〜T36とに分けられる。このような電力線ネットワーク5は、例えばZigbee(登録商標)等の小電力無線ネットワークに比べて親機モデム11から直接アクセスできる子機モデムの数が多いので、ツリー構造の段数が少なく、本実施形態ではわずかに3段である。
【0038】
親機モデム11はブロードキャスト信号の最大中継数を任意に設定することができ、各子機モデムT1〜T36はブロードキャスト信号に含まれる中継数データに基づいてブロードキャスト信号を再配信する機能を有している。ただし、本実施形態では最大中継数が「0」に設定される。この設定は、たとえ親機モデム11からブロードキャスト信号を直接受信したとしても子機モデムの各々はブロードキャスト信号を再配信しない設定である。代わりに、親機モデム11は、ブロードキャスト信号を受信できた子機モデムの中から遠方の子機モデムを選択し、当該子機モデムに対してブロードキャスト信号を再配信するように指示する。そしてすべての子機モデムT1〜T36にブロードキャスト信号が届くまでこのステップが繰り返される。以下、フローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図5は、親機−子機モデム間の通信動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
図5に示すように、親機モデム11はまずブロードキャスト信号(第1のブロードキャスト信号)を電力線ネットワーク5上に配信する(ステップS11)。親機モデム11はブロードキャスト信号にその最大中継数を設定することができるが、ここでは子機モデムが中継機として機能しないように最大中継数は「0」に設定される。
【0041】
ブロードキャスト信号を受信することができた第1グループG1の子機モデムT1〜T12,T19〜T26は、ブロードキャスト信号に対する応答信号(第1の応答信号)を電力線ネットワーク5上に送信する(ステップS12)。上記のように、ブロードキャスト信号の中継数は「0」に設定されているので、子機モデムT1〜T12,T19〜T26はブロードキャスト信号の再配信を行わない。このようにブロードキャスト信号の中継を制限することで、電力線ネットワーク5上でのブロードキャスト信号の迷走を抑制することができる。
【0042】
次に親機モデム11は、すべての子機モデムから応答信号が送られてきたかどうかを確認し(ステップS13)、送られてきた場合にはブロードキャスト信号の配信を終了する(ステップS13Y)。また、送られてきていない場合には、子機モデムを経由したブロードキャスト信号の再配信を行う(ステップS13N,S14〜S16)。
【0043】
ブロードキャスト信号の再配信では、親機モデム11は、応答信号を送ってきた複数の子機モデムT1〜T12,T19〜T26の中から少なくとも一台の子機モデムを選択して(ステップS14)、当該子機モデムに対してブロードキャスト信号を配信するように指示する指示信号を送信する(ステップS15)。このとき選択される子機モデムは、親機モデム11から見てできるだけ遠方に位置するものであることが望ましく、例えば、応答信号の信号レベルを比較してレベルが最も低い応答信号を送ってきた子機モデムを選択する。
図3及び
図4では、グループG1内の2つの子機モデムT11,T26が中継機(代理親機)として選択されている。
【0044】
次に、中継機として選択されて指示信号を受け取った特定の子機モデムT11,T26は、2回目のブロードキャスト信号(第2のブロードキャスト信号)を電力線ネットワーク5上にそれぞれ配信する(ステップS16)。そして2回目のブロードキャスト信号を受信することができた子機モデムのうち、親機モデム11からの1回目のブロードキャスト信号を受信することができなかった子機モデムT13〜T18,T27〜T32(ブロードキャスト信号を初めて受信した子機モデム)は、2回目のブロードキャスト信号に対する応答信号(第2の応答信号)を電力線ネットワーク5上に送信する(ステップS17)。一方、親機モデム11からのブロードキャスト信号をすでに受信済みの子機モデム(例えばT7〜T11,T12,T21〜T25)は、2回目のブロードキャスト信号を無視し、応答信号を送信しない。
【0045】
次に、2回目のブロードキャスト信号を配信した中継機としての子機モデムT11,T26は、周囲の子機モデムから送られてくる応答信号を受け取り、この受け取った応答信号を親機モデムに向けて転送するか、あるいは受け取った応答信号を集計してから親機モデムに送信する(ステップS18)。
【0046】
2回目のブロードキャスト信号の配信が完了した時点では、親機モデムはまだすべての子機モデムからの応答信号を受信していない(ステップS13N)。
図3では、グループG3の子機モデムT33〜T36がまだブロードキャスト信号を受信できておらず、応答信号を送信していない子機モデムである。そのため、親機モデム11は、電力線ネットワーク5上のすべての子機モデムからの応答信号を受信するまで子機モデム経由でのブロードキャスト信号の再配信を繰り返す(ステップS13N、S14〜S17)。
【0047】
3回目のブロードキャスト信号の配信では、親機モデム11は、応答信号を送信してきた子機の中から少なくとも一台の子機モデムを選択して(ステップS14)、当該子機モデムに対してブロードキャスト信号を配信するように指示する指示信号を送信する(ステップS15)。上記の通り、このとき選択される子機モデムは、中継機である子機モデムT11,T26から見てできるだけ遠方に設置されているものであることが望ましく、例えば、応答信号の信号レベルを比較してレベルが最も低い応答信号を中継機T11,T26に送ってきた子機モデムを選択する。また、子機モデムを選択する際に用いられる応答信号の信号レベルは、子機モデムT11,T26によってそれぞれ取得され、親機モデム11に応答信号またはその集計結果と共に送られる。
図3及び
図4では、グループG2内の子機モデムT17,T31が中継機(代理親機)として選択されるものである。指示信号は、2回目のブロードキャスト信号の配信時に中継機として選択された子機モデムT11,T26経由で子機モデムT17,T31にそれぞれ送られる。
【0048】
次に、中継機として選択されて指示信号を受け取った特定の子機モデムT17,T31は、3回目のブロードキャスト信号(第2のブロードキャスト信号)を電力線ネットワーク5上に配信する(ステップS16)。そして3回目のブロードキャスト信号を受信することができた子機モデムのうち、親機モデムからの1回目のブロードキャスト信号又は子機モデムT11からの2回目のブロードキャスト信号を受信することができなかった子機モデム(ブロードキャスト信号を初めて受信した子機モデム)は、ブロードキャスト信号に対する応答信号を電力線ネットワーク5上に送信する(ステップS17)。一方、親機モデム又は子機モデムからのブロードキャスト信号をすでに受信済みの子機モデムは3回目のブロードキャスト信号を無視し、応答信号を送信しない。
図3では、破線G3で示された範囲内の子機モデムがブロードキャスト信号を初めて受信した子機モデムのグループG3である。子機モデムT17からのブロードキャスト信号の受信が初めてのブロードキャスト信号の受信となる子機モデムは存在しない。
【0049】
次に、3回目のブロードキャスト信号を配信した中継機としての子機モデムT31は、周囲の子機モデムから送られてくる応答信号を受け取り、この受け取った応答信号を親機モデム11に向けて転送するか、あるいは受け取った応答信号を集計してから親機モデム11に送信する(ステップS17)。その際、子機モデムT31からの応答信号又は集計結果は、中継機としての子機モデムT26を経由して親機モデム11に送られる。こうしてすべての子機モデムT1〜T36からの応答信号を受け取った親機モデム11は、ブロードキャスト信号の再配信動作を終了する(ステップS13Y)。
【0050】
上記のように、電力線通信は小電力無線通信と比べてネットワークトポロジの1段目の幅(親機モデム11からの信号が直接届く範囲)が広く、段数が浅いという特徴を有している。そのため、上記の方法が非常に有効であり、通常は1〜4回の再配信ですべての子機モデム11にブロードキャスト信号を届けることができる。
【0051】
このように、本実施形態においては、親機モデムからのブロードキャスト信号を受信できない子機モデムに対しては、ブロードキャスト信号を受信することができた特定の子機モデム経由でブロードキャスト信号を配信するので、すべての子機モデムに対してブロードキャスト信号を確実に配信することが可能となる。また、本実施形態によれば、親機モデム又は中継機としての子機モデムが送信するブロードキャスト信号の最大中継数が「0」に設定されるので、いわゆるブロードキャストストームを防止することができ、ブロードキャスト信号をすべての子機モデムに効率よく配信することができる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【実施例】
【0053】
例えば、上記実施形態においては、遠隔検針システムにおいて適用された電力線通信システムを例に挙げたが、本発明はそのような電力線通信システムに限定されず、種々の電力線通信システムに適用することが可能である。また、電力線ネットワークの構成や子機PLCモデムの接続形態も特に限定されず、種々の形態をとることができる。