(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような照明装置では、発熱するLED等の光源部を冷却するために熱交換器が用いられる場合がある。熱交換器を備え、この熱交換器を発熱している部分に近づけて配置することで、温められた部分や周囲の空気を効率的に熱交換して冷やすことができる。しかしながら、発熱する光源部等の熱源部は基板に実装されているため、熱交換器は熱源部から一定の距離だけ離して配置する必要がある。そのため、熱交換器の性能を十分に発揮させることが難しく、熱源部を効果的に冷却することが困難であるという課題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、筐体に収容された熱源部を、熱交換器を利用して効果的に冷却することが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様における照明装置は、筐体と、前記筐体の内部に設けられて発熱する光源部を含む熱源部と、前記筐体の内部と外部との熱交換を行う熱交換器と、前記筐体の内部に設けられ、配線が内部に収容される配線ダクトと、を備え、前記熱源部及び前記熱交換器と面し、前記配線ダクトの周方向に沿って流体を循環させることが可能な流路が、前記筐体の内部に形成される。
【0009】
このような照明装置によれば、配線ダクトが、周方向に沿って筐体の内部に流路を形成することで、限られたスペースで配線ダクトの設置スペースを確保しつつ、冷却するための流体の流れを効果的に生じさせることができる。そして、配線ダクトにより形成される流路が、熱源部と熱交換器とに面していることで、流路を流れる流体により熱源部を冷却し、熱源部によって温められた流体を熱交換器によって冷却し、冷却された流体により熱源部を冷却するという冷却サイクルを構成することができる。このため、熱源部によって温められた流体を筐体の内部において滞留させることなく、効率的に熱交換器に送り込んで冷やすことができる。
【0010】
また、本発明の他の態様における照明装置では、前記流路に沿って、流体を強制的に循環させる流体循環部を備えていてもよい。
【0011】
このような照明装置によれば、流体循環部によって流路を流通する流体をより効率的に循環させることできる。これにより、筐体の内部をより効果的に冷却することができる。
【0012】
さらに、本発明の他の態様における照明装置では、前記配線として、前記光源部に電力を供給する電力用ケーブルと、前記光源部を制御処理するための信号を送る信号用ケーブルとを有し、前記配線ダクトは、前記電力用ケーブルが収容される電力用ケーブル収容部と、前記信号用ケーブルが収容される信号用ケーブル収容部との少なくとも二つに前記配線ダクトの内部の空間を区画する区画板を有していてもよい。
【0013】
このような照明装置によれば、配線ダクトの内部において、区画板によって電力用ケーブル収容部と信号用ケーブル収容部との少なくとも二つに区画することで、電力用ケーブルと信号用ケーブルとを配線ダクトの内部で離して収容することができる。そのため、配線ダクトによって形成される流路による冷却効果を得つつ、電力用ケーブルからの放射ノイズが信号用ケーブルによって送られる信号に重畳してしまうことを抑えることができる。
【0014】
さらに、本発明の他の態様における照明装置では、前記区画板が金属材料により形成されてもよい。
【0015】
このような照明装置によれば、区画板が金属材料により形成されていることで、電力用ケーブルと信号用ケーブルとの間を電気的に遮蔽して収容することができる。そのため、電力用ケーブルからの放射ノイズが信号用ケーブルによって送られる信号に重畳してしまうことをより効果的に抑えることができる。
【0016】
また、本発明の第二の態様における車両撮影システムは、前記照明装置と、車両の少なくとも一部の対象部分を撮影する撮影装置と、を備え、前記照明装置は、前記撮影装置の撮影範囲を照明する。
【0017】
このような車両撮影システムによれば、筐体の内部を効率的に冷やすことができるため、照明装置の冷却構造をコンパクト化しつつ、照明装置により対象部分を照明し、撮影装置により対象部分を鮮明に撮影することができる。
【0018】
さらに、本発明の第三の態様における筐体は、照明装置に用いられる筐体であって、発熱する光源部を含む熱源部が設けられる熱源設置部と、熱交換を行う熱交換器が設けられる熱交換器設置部と、配線を内部に収容するための配線ダクトが設けられるダクト設置部と、を備え、前記熱源設置部に設置される前記熱源部と前記熱交換器設置部に設けられる前記熱交換器とに面し、前記ダクト設置部に設けられる前記配線ダクトの周方向に沿って流体を循環させることが可能な流路が、内部に形成される。
【0019】
このような筐体によれば、ダクト設置部に設けられる配線ダクトが、周方向に沿って筐体の内部に流路を形成することで、限られたスペースで配線ダクトの設置スペースを確保しつつ、冷却するための流体の流れを効果的に生じさせることができる。このため、熱源設置部に設けられる熱源部によって温められた流体を筐体の内部において滞留させることなく、効率的に熱交換器設置部に設けられる熱交換器に送り込んで冷やすことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の照明装置によれば、配線ダクトによって筐体内に流体の循環する流路を形成することで、筐体の内部を効率的に冷却し、熱交換器を利用して熱源部を効果的に冷却することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について
図1から
図4を参照して説明する。
第一実施形態の照明装置2は、照明装置2が有する面状の光源部210を複数(例えば横に3つの)小領域に分割し、当該小領域に含まれる光源ごとに発光強度を独立して調整可能とする照明装置2である。
【0023】
[全体構成]
図1は、第一実施形態における車両撮影システムであるナンバープレート認識システムの全体構成を示す図である。
ナンバープレート認識システム100(車両撮影システム)は、撮影装置1、照明装置2及びこれらを支持する取付支柱3と、他のエリアに設置された不図示の情報収集装置と、を備えている。
【0024】
ナンバープレート認識システム100は、
図1に示すように、一般道路や有料道路等の車線102上に設置される設備である。ナンバープレート認識システム100は、例えば、車線102の路面S上を走行する車両101の進行方向の前方側から車両101の前側のナンバープレートを撮影し、当該撮影データから車両101の車両番号情報等を取得する。
【0025】
撮影装置1は、車両101の少なくとも一部の対象部分を撮影可能とされている。本実施形態の撮影装置1は、路面S上の所定の撮影範囲を撮影可能なように、取付支柱3に設置され、車線102を走行する車両101の進行方向の前方側からナンバープレートを含むように撮影する。ここで「撮影範囲」とは、撮影装置1が取得する撮影データ内に含まれる路面S上の範囲である。したがって、撮影装置1は、車両101の対象部分として、当該撮影範囲内を走行する車両101のナンバープレートを撮影可能とする。
車両101のナンバープレートが撮影された撮影データ等は、有線または無線通信を介して、他のエリア(例えば、料金所事務所等)に設置された不図示の情報収集装置に出力される。
【0026】
照明装置2は、路面S上の所定の照射範囲を照射可能なように、撮影装置1とともに取付支柱3に設置される。ここで「照射範囲」とは、照明装置2が路面S上を明るく照らすことが可能な範囲である。なお、照明装置2の照射範囲は、撮影装置1の撮影範囲を全て含むように配置される。
なお、照明装置2の具体的な構成については後述する。
【0027】
取付支柱3は、その基端が車線102の外側の路面Sに固定設置され、上方において車線102の内側に延伸する片持ちの設置柱である。取付支柱3は、上述した撮影装置1及び照明装置2を設置する。
なお、取付支柱3は、例として、
図1に示すような片持ちのカンチレバーでもよいし、車線102を幅方向に跨ぐように設置されるガントリー等であってもよい。
【0028】
[照明装置の構成]
図2から
図4は、第一実施形態における照明装置の構造を示す図である。
図2に示すように、本実施形態における照明装置2は、照明装置2の筐体20と、筐体20の前面20aを向くように配置される光源部210とを備えている。また、照明装置2は、
図3及び
図4に示すように、光源部210に電力を供給するための電源部22と、筐体20の内部を冷却するための熱交換器23と、筐体20の内部で配線Cを収容する配線ダクト24と、筐体20の流体である空気を循環させる流体循環部25とを備えている。ここで、光源部210及び電源部22は、筐体20の内部で発熱する熱源部30である。
【0029】
[筐体の構成]
筐体20は、水平方向(図におけるX方向)に延びる直方状をなす箱部材である。筐体20は、取付支柱3に対して車線102を走行する車両101の前方に向かって前面20aを向けて固定されている。本実施形態の筐体20は、内部に電源部22等が配置可能な密閉された空間が形成されており、不図示の電子部品を含む照明装置2の各種部品を収容している。
【0030】
具体的には、本実施形態の筐体20は、熱源部30が設けられる熱源設置部として、前面20aを構成する水平方向の前方の壁部に光源部210を設けるための第一熱源設置部201と、鉛直方向(図におけるZ方向)の下方の壁部に電源部22を設けるための第二熱源設置部202とを有する。さらに、筐体20は、その内部の概中心に配線ダクト24が設けられるダクト設置部203と、水平方向の後方の壁部に熱交換器23を設けるための熱交換器設置部204と、鉛直方向の上方の壁部に流体循環部25を設けるための流体循環部設置部205とを有する。
【0031】
[光源部の構成]
光源部210は、本実施形態では赤外波長領域の光を放射可能とする。光源部210は、赤外線LED210aに直流電流が供給されることで当該直流電流に応じた発光強度の赤外光が放射され、所定の照射範囲を照射可能とする。ここで「発光強度」とは、赤外線LED210aから放射される光の強さ度合いであって、一般的な物理量としては、「放射束」(単位:W)等によって示されるものである。なお、光源部210が可視光を放射する場合は、当該「発光強度」は、「光束」(単位:ルーメン)等で示されてもよい。本実施形態の光源部210は、水平方向に三個並列して配置される。
【0032】
光源部210は、筐体20の前面20a側の壁部を貫通するように第一熱源設置部201に取り付けられる。光源部210は、赤外線LED210aと、赤外線LED210aが実装される実装基板210bとを有する。光源部210は、赤外線LED210aが赤外光を放射して発光することで発熱する熱源部30であり、平板状の背面である実装基板210bの背面から放熱している。なお、直流電流の供給量の増減に相当する分だけ光源部210の発光強度が増減し、それに伴い発熱量も増減する。
【0033】
より具体的には、本実施形態の光源部210は、平板状の実装基板210bの一面に赤外線LED210aが多数実装されて構成されている。光源部210は、筐体20の前面20aを形成する壁部と一体に実装基板210bが取り付けられている。即ち、光源部210は、筐体20の前面20aにおいて、筐体20の内部及び外部に面するように配置されている。複数の光源部210は、各々独立して赤外光の発光強度を調整できるようになっている。複数の光源部210は、照明装置2の照射範囲を複数に分割した照明範囲の各々を照射する。
【0034】
[電源部の構成]
電源部22は、光源部210に必要な電力を供給する。本実施形態の電源部22は、光源部210の赤外線LED210aを発光させるために必要な直流電流を電力に基づいて生成して供給する。また、電源部22は、光源部210に直流電流を供給することで発熱する熱源部30である。電源部22は、筐体20の内部において、鉛直方向の下方の底部に載置されるように、第二熱源設置部202に取り付けられている。なお、電源部22は、例えば、接続された電力系統から電力の入力を受け付ける受電回路や、照明装置2に内蔵される蓄電池、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0035】
[熱交換器の構成]
熱交換器23は、筐体20の内部と外部との熱交換を行うことで筐体20の内部を冷却する。熱交換器23は、熱交換器設置部204で、筐体20の背面を形成する壁部の内側と外側とに取り付けられている。即ち、熱交換器23は、筐体20の背面において、筐体20の内部及び外部に面するように配置されている。本実施形態の熱交換器23は、二つのヒートシンク23aによって構成されている。より具体的には、ヒートシンク23aは、平板状をなす熱交換器本体231と、熱交換器本体231から奥行方向(図におけるY方向)に延びる複数のフィン部232とを有する。熱交換器23は、本実施形態では、筐体20の背面を形成する壁部の内側の面と外側の面とに、それぞれ熱交換器本体231を対向させて面同士を貼り合せている。これにより、筐体20の内部及び外部に向かってフィン部232が延びように二つのヒートシンク23aを筐体20の壁部に取り付けている。
なお、熱交換器本体231の面と壁部の内側の面や外側の面とを貼り合せる際に、熱伝導率の高いグリスを塗布したり、熱伝導率の高いシートを挟み込んだりすることで、二つのヒートシンク23aと筐体20の壁部との間で熱が効率よく伝導するように取り付けることが好ましい。
【0036】
熱交換器本体231は、奥行方向に矩形状をなす面を向けて水平方向に延びることで、平板状に形成されている。熱交換器本体231は、アルミニウム等の伝熱性の高い材料によって形成されている。本実施形態の筐体20の内部側に配置されるヒートシンク23aの熱交換器本体231は、奥行方向の一方の面が筐体20の内部に面し、他方の面が筐体20の外部に面している。
【0037】
フィン部232は、熱交換器本体231と一体に形成されており、水平方向に一定の間隔ずつ離れて並列して複数配置される。フィン部232は、水平方向に矩形状をなす面を向けて鉛直方向に延びる平板状をなしている。即ち、本実施形態の筐体20の内部側に配置されるヒートシンク23aのフィン部232は、熱交換器本体231の筐体20の内部を向く面から、筐体20の内部に向かって複数延びている。フィン部232は、熱交換器本体231と同一の材料で形成されている。
【0038】
なお、熱交換器23は、本実施形態のようにフィン部232が形成されたヒートシンク23aに限定されるものではなく、筐体20の内部と外部との熱交換ができればよい。即ち、熱交換器23は、熱伝導率の高い材料で構成されたブロック状の部材や、ヒートパイプや、冷却回路等であってもよい。
【0039】
[配線ダクトの構成]
配線ダクト24は、照明装置2に用いられる配線Cを筐体20の内部で収容している。配線ダクト24は、断面形状が矩形状をなして水平方向に延びる管状の部材であり、内部に配線Cを収容する空間が形成されている。配線ダクト24は、ダクト設置部203である筐体20の内部の概中心に配置される。配線ダクト24は、周方向にわたって電源部22、光源部210及び熱交換器23と面する流路Fを筐体20の内部に形成している。即ち、配線ダクト24は、配線ダクト24の周方向に沿って流体である空気を循環させることが可能な流路を筐体20の内部に形成している。具体的には、配線ダクト24は、その外面と筐体20の壁部の内側の面と間に、水平方向と直交する断面形状が環状をなす流路Fを形成している。また、配線ダクト24は、金属材料により形成されている。配線ダクト24は、筐体20の内部に配置された電源部22や光源部210に対して、収容している配線Cをつなぐための不図示の開口が奥行方向を向く面に形成されている。
【0040】
ここでいう配線Cとは、照明装置2に用いられる光源部210やその他の不図示の各電子部品に対して電力や信号を送るためのケーブルである。本実施形態の配線Cは、電源部22から光源部210に電力を供給する電力用ケーブルC1と、不図示の制御部から光源部210を制御処理するための信号を送る信号用ケーブルC2とを有する。
【0041】
[流体循環部の構成]
流体循環部25は、筐体20の内部に配置され、流路Fに沿って筐体20の内部の空気を強制的に循環させる。具体的には、本実施形態の流体循環部25は、筐体20の内部に配置されるファンであり、筐体20の内部の流体である空気に風を送る。流体循環部25は、筐体20の内部において、鉛直方向の上方である上部の奥行方向の熱交換器23側に寄った位置に固定されるように、流体循環部設置部205に取り付けられる。即ち、本実施形態の流体循環部25は、熱交換器23に対して鉛直方向の上方から鉛直方向の下方に向かって風を送ることが可能なように配置されている。より具体的には、流体循環部25は、筐体20の内部の空気を光源部210側から吸気して、熱交換器23に向かって吸気した空気を押し出すことで風を送る。
【0042】
[作用効果]
次に、第一実施形態の構成の照明装置2の作用について説明する。
上記のような第一実施形態の照明装置2では、電源部22から供給される電力に基づいて直流電流が光源部210に供給される。光源部210では、供給された直流電流の供給量に応じて赤外線LED210aが発光し、車線102の照射範囲が照らされる。赤外線LED210aが発光することで、光源部210は発熱し、光源部210の背面から筐体20の内部に放熱する。また、電力を供給している電源部22も筐体20の内部で発熱することで、筐体20の内部に放熱する。そのため、筐体20の内部の光源部210や電源部22の周辺の空気が温められて、筐体20の内部の温度が上昇する。温められた空気は、光源部210や電源部22の周辺から鉛直方向の上方に向かって上昇する。
【0043】
一方、筐体20の内部で温められた空気のうち、熱交換器23の内部側のヒートシンク23aの熱交換器本体231やフィン部232に面する空気は、筐体20の壁部を介して外部側のヒートシンク23aによって筐体20の外部と熱交換が行われて冷やされる。また、流体循環部25によって、熱交換器23に対して鉛直方向の上方から下方に向かって空気が送られることで、筐体20の内部における配線ダクト24に対して奥行方向の熱交換器23側では、熱交換器23に向かう流れが生じる。そのため、温められて筐体20の上部に向かった空気は、流体循環部25によって熱交換器23に向かって送られる。その結果、温められた空気は、フィン部232や熱交換器本体231の筐体20の内部を向く面に接し、筐体20の内部に面するヒートシンク23aから筐体20の壁部を介して外部に面するヒートシンク23aに熱が伝導することで筐体20の外部と熱交換が行われ、冷却された空気となる。冷却された空気は、筐体20の内部の鉛直方向の下方に向かって下降し、筐体20の底部に配置された電源部22や光源部210に向かって流れ、電源部22や光源部210を冷却する。これらを繰り返すことで、筐体20の内部では、流路Fに沿って、電源部22から光源部210を介して筐体20の上部に流れ、熱交換器23によって冷やされることで電源部22に向かって流れるように、空気が配線ダクト24を中心として周方向に循環する。
【0044】
上記のような照明装置2によれば、筐体20の内部において配線ダクト24が、その周りに周方向にわたって流路Fを形成することで、筐体20の内部に限られたスペースに配線ダクト24の設置スペースを確保しつつ、光源部210や電源部22等の熱源部30を冷却するための空気の流れを効果的に生じさせることができる。
【0045】
具体的には、配線ダクト24が筐体20の概中心に配置されていない場合、筐体20の内部に流路Fを形成できず、流体循環部25のようなファンなどを用いて強制的に内部に空気を循環させようとしても、筐体20内を周回するように空気を循環させることが難しい。その結果、筐体20の内部に、空気がよどむ部分が発生し、その部分の温度が上昇してしまうおそれがある。また、配線ダクト24がないことで配線Cを収容するスペースが無いため、筐体20の壁部の内面に沿う形で配線Cの配線路が形成されてしまう。そして、この配線路から光源部210や電源部22や流体循環部25等に配線Cを接続する場合には、筐体20の内部の空間を横切るように配線Cが配置されてしまうおそれがある。その結果、配線Cが筐体20の内部の空気の流れを遮り、空気の循環を阻害してしまうおそれがある。さらに、配線Cにノイズ対策用のフェライトコア等の部品が設けられたり、実装基板210bのような基板や電源部22に配線Cが接触しないように保持するため保持部材が設けられていたりする場合がある。これらの部品が筐体20の内部の空気の流れを遮り、空気の循環をさらに阻害してしまうおそれもある。
【0046】
一方、本実施形態では、配線ダクト24が筐体20の概中心に配置され、配線ダクト24により形成される流路Fが、光源部210や電源部22や熱交換器23に面している。このため、流路Fを流れる空気により光源部210や電源部22等の熱源部30を冷却し、熱源部30によって温められた空気を熱交換器23によって冷却し、冷却された空気により熱源部30を再び冷却するという冷却サイクルを構成することができる。したがって、本実施形態の照明装置2の筐体20のように、外部から空気を吸気したり排気したりすることが難しい密閉された空間であっても、光源部210や電源部22によって温められた空気を筐体20の内部において鉛直方向の上方の上部などに滞留させ、空気の淀みが生じることを抑えることができる。また、配線ダクト24を筐体の内部の概中央に設けて内部に配線Cを配置することで、光源部210や電源部22や流体循環部25等に対して最短距離の位置から必要最低限の配線Cのみを引き出して接続することができる。その結果、配線Cが筐体20の内部の空気の流れを遮り、空気の循環を阻害してしまうことを抑えることができる。さらに、配線ダクト24内にノイズ対策の部品や保持用の部品等を配置することができる。そのため、配線Cが筐体20の内部の空気の流れを遮り、空気の循環を阻害してしまうことをより抑えることができる。したがって、効率的に熱交換器23に送り込んで冷やすことができ、筐体20の内部を効率的に冷却することができる。これにより、冷却された空気を循環させて、光源部210や電源部22に向かって効率的に送り込むことができ、熱交換器23を利用して熱源部30を効果的に冷却することができる。
【0047】
また、流体循環部25としてファンを用いて風を起こすことで、流路Fに沿って空気を強制的に流通させて、流路Fを流通する空気をより効率的に循環させることできる。特に、熱交換器23に向かって風を送るようにして、鉛直方向の上方に配置された流体循環部25の周囲の空気を強制的に熱交換器23に送ることで、筐体20の内部の温められた空気を熱交換器23に送り込んで効率的に冷やすことができる。これにより、筐体20の内部の空気をより効果的に冷却することができる。
【0048】
さらに、配線ダクト24が金属材料により形成され、内部に電力用ケーブルC1や信号用ケーブルC2を収容していることで、配線Cから生じる放射ノイズが筐体20の内部に配置された電子部品等への信号等に重畳してしまうことを抑えることができ、他の電子部品への影響を低減できる。
【0049】
また、照明装置2を備えるナンバープレート認識システム100(車両撮影システム)によれば、筐体20の内部を効率的に冷やすことができるため、照明装置2の冷却構造をコンパクト化しつつ、照明装置2により対象部分を照明し、撮影装置1により対象部分を鮮明に撮影することができる。具体的には、例えば、照射する光の発光強度の高い照明装置2であって、光源部210の発熱量が大きい場合であっても、筐体20の内部を効率的に冷やすことができることで、熱交換器23等の冷却構造を大規模な構造とせずにコンパクト化することができる。
【0050】
さらに、熱交換器23を二つのヒートシンク23aを筐体20の壁部に貼り合せて形成することで、筐体20の背面に開口を形成する必要が無くなり、筐体20の気密性を高めることができる。
【0051】
《第二実施形態》
次に、
図5を参照して第二実施形態の照明装置2aについて説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の照明装置2aは、配線ダクト24の内部が分割されている点について第一実施形態と相違する。
【0052】
[区画配線ダクトの構成]
即ち、第二実施形態の照明装置2aは、内部の空間が収容する配線Cに合わせて区画された区画配線ダクト240を備える。
区画配線ダクト240は、第一実施形態の配線ダクト24と同様に、断面形状が矩形状をなして水平方向に延びる管状の部材であり、金属材料により形成される。区画配線ダクト240は、内部の空間を少なくとも二つ以上の空間に区画する区画板240aを有する。
【0053】
[区画板の構成]
区画板240aは、区画配線ダクト240の内部の空間を鉛直方向に二つに分割する。本実施形態では、区画板240aによって区画された区画配線ダクト240の内部の鉛直方向の上方の空間を電力用ケーブルC1が収容される電力用ケーブル収容部A1、区画板240aによって区画された区画配線ダクト240の内部の鉛直方向の下方の空間を信号用ケーブルC2が収容される信号用ケーブル収容部A2とする。区画板240aは、区画配線ダクト240を形成する材料と同じ、金属材料によって形成されている。
【0054】
上記のような照明装置2aは、区画配線ダクト240の内部において、電力用ケーブルC1が電力用ケーブル収容部A1に収容され、信号用ケーブルC2が信号用ケーブル収容部A2に収容されることで、電力用ケーブルC1と信号用ケーブルC2とを区画配線ダクト240の内部で離して収容することができる。そのため、区画配線ダクト240によって形成される流路Fによる冷却効果を得つつ、電力用ケーブルC1からの放射ノイズが信号用ケーブルC2によって送られる信号に重畳してしまうことを抑えることができる。
【0055】
また、区画板240aが金属材料により形成されていることで、区画板240aがシールドの役割をして、電力用ケーブルC1と信号用ケーブルC2との間を電気的に遮蔽して、収容することができる。そのため、電力用ケーブルC1からの放射ノイズが信号用ケーブルC2によって送られる信号に重畳してしまうことをより効果的に抑えることができる。
【0056】
さらに、区画配線ダクト240及び区画板240aが金属材料で形成され、電力用ケーブルC1及び信号用ケーブルC2が完全に囲われていることで、配線Cから生じる放射ノイズが筐体20の内部に配置された電子部品等への信号等に重畳してしまうことをより一層抑えることができ、他の電子部品への影響をより一層低減できる。
【0057】
なお、区画板240aは、本実施形態のように区画配線ダクト240の内部の空間を電力用ケーブル収容部A1と信号用ケーブル収容部A2との二つの空間に分割する構造に限定されるものではなく、複数の種類の配線Cをそれぞれ区画するように、区画配線ダクト240の内部の空間を二以上の空間に区画する構成としてもよい。例えば、区画板240aは、電力用ケーブルC1が交流と直流との二種類ある場合に、これらをさらに別々に収容するように区画する構造としてもよい。また、区画板240aは、信号用ケーブルC2が高周波信号用や低周波信号用等のノイズの発生源となるケーブルとノイズの影響を受け易いケーブルとのように複数の種類がある場合に、それぞれのケーブルをさらに別々に収容するよう区画する構造としてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0059】
なお、配線ダクト24の形状は本実施形態のように、断面形状が矩形状をなして水平方向に延びる管状の部材に限定されるものではなく、筐体20の内部において周囲に流路Fが形成できればよい。例えば、配線ダクト24は、水平方向に延びる円環状をなしていたり、筐体20の一部で立方状をなしていたりしてもよい。
【0060】
また、筐体20は、本実施形態のように内部の空間が密閉されている構成に限定されるものではなく、配線ダクト24との間に流路Fが形成できる空間が形成されていればよい。即ち、筐体20に点検用の開口や換気用の開口が形成されており、筐体20の内部が完全に密閉されてない構成であってもよい。
【0061】
さらに、筐体20の内部に配置される光源部210や熱交換器23等の位置は、本実施形態の位置に限定されるものではなく、筐体20の内部に配置されていればよい。例えば、熱交換器23が筐体20の上部に配置されていたり、光源部210が筐体20の底部に配置されていたりしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態のように流体循環部25を設けることに限定されるものではなく、流体循環部25のように強制的に空気を循環させる構成を有していなくともよい。例えば、上記実施形態において、流体循環部25を有しておらず、流路Fの内部の温度差等によって自然に空気が流れて生じる自然対流を利用する構成としてもよい。
【0063】
さらに、熱源部30は、上記実施形態のように光源部210や電源部22に限定されるものではなく、筐体20の内部で発熱するものであればよい。例えば、熱源部30としては、電源部22の中でも、外部より供給されるAC電源を赤外線LED210aや,制御基板動作に必要なDC電源に変換するスイッチングレギュレータ、もしくは、トランスや整流回路等であってもよい。