特許第6260061号(P6260061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6260061多種エラストマー配合物で構成されたトレッドを有するタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6260061
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】多種エラストマー配合物で構成されたトレッドを有するタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20180104BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20180104BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20180104BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20180104BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B60C11/00 D
   B60C11/00 C
   B60C1/00 A
   B60C11/00 B
   B60C11/03 Z
   C08K3/04
   C08L21/00
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-519094(P2015-519094)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2015-522471(P2015-522471A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】EP2013063528
(87)【国際公開番号】WO2014005925
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】1256482
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ボンデュ リュシアン
(72)【発明者】
【氏名】アルル フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンカルヴ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ベラン セシール
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−052506(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/080111(WO,A1)
【文献】 特開平03−010906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00−19/12
C08K 3/04
C08L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向カーカス補強材を備えたタイヤであって、それ自体半径方向にトレッドが被せられたクラウン補強材を有し、前記トレッドは、2つのビードによってサイドウォールに連結され、前記トレッドは、半径方向に重ね合わされると共に軸方向外側部分のところよりも中央部分の方が小さいボイド比を有する配合エラストマーコンパウンドの少なくとも2つの層を有する、タイヤにおいて、前記トレッドの配合エラストマーコンパウンドの第1の層は、第1の配合エラストマーコンパウンドで作られていて、少なくとも、赤道面の領域内に延びる部分と、第2の配合エラストマーコンパウンドで作られた少なくとも2つの軸方向外側部分とで構成され、第1の配合エラストマーコンパウンドは、65よりも大きなマクロ分散度Z‐値及び0.150よりも小さいtan(δ)maxで示される最大tan(δ)値を有し、前記第2の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率は、前記第1の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い値を有
前記第1の配合エラストマーコンパウンドは、補強用充填剤として、10〜70phrの含有量で使用されるカーボンブラックを少なくとも含み、前記カーボンブラックは、140m2/gよりも大きなBET比表面積を有する、タイヤ。
【請求項2】
前記第1の配合エラストマーコンパウンドのMSA300/MSA100の比は、前記第2の配合エラストマーコンパウンドのMSA300/MSA100の比よりも少なくとも15%高い値を有する、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記第1の配合エラストマーコンパウンドは、補強用充填剤として、140m2/gよりも高いBET比表面積を備えたカーボンブラックと白色充填剤のブレンドを含み、前記補強用充填剤は、10〜90phrの含有量で用いられ、白色充填剤に対するカーボンブラックの比は、2.7よりも大きい、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第1の配合エラストマーコンパウンドの100℃における複素動的剪断弾性率G*1%は、2.10よりも高い、請求項1〜のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記配合エラストマーコンパウンドの前記第1の層は、第1の配合エラストマーコンパウンドで作られていて、少なくとも、赤道面の領域内に延びる部分と、第2の配合エラストマーコンパウンドで作られた少なくとも2つの軸方向外側部分とで構成され、前記第1の層は、前記トレッドの半径方向外側層を形成している、請求項1〜のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1の層と接触状態にある半径方向内側の第2の層を構成する前記配合エラストマーコンパウンドは、100℃における引裂き性試験において前記第1の層の前記第1の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率値を有する、請求項記載のタイヤ。
【請求項7】
前記トレッドの前記半径方向外側層を形成する前記第1の層と接触状態にある半径方向外側の第2の層を構成する前記配合エラストマーコンパウンドは、65よりも大きなマクロ分散度Z‐値及び0.150よりも小さいtan(δ)maxで示される最大tan(δ)値を有する、請求項1〜のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記トレッドは、前記第1の層と接触状態にある半径方向内側の第3の層を有し、前記第3の層を構成する前記配合エラストマーコンパウンドは、100℃における引裂き性試験において前記第1の層の前記第1の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率値を有する、請求項記載のタイヤ。
【請求項9】
前記タイヤのサイズは、57インチ(144.78cm)以下であり、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した前記配合エラストマーコンパウンドの前記第2の層の厚さは、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの前記第1の層の厚さの50%を超える、請求項又は記載のタイヤ。
【請求項10】
前記タイヤのサイズは、57インチ(144.78cm)以下であり、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの前記第3の層の厚さは、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの前記第1の層の厚さの25%を超える、請求項記載のタイヤ。
【請求項11】
前記タイヤのサイズは、正確に57インチ(144.78cm)を超え、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの前記第2の層の厚さは、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの前記第1の層の厚さの10%を超える、請求項又は記載のタイヤ。
【請求項12】
前記タイヤのサイズは、正確に57インチ(144.78cm)を超え、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの前記第3の層の厚さは、前記タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの前記第1の層の厚さの35%を超える、請求項記載のタイヤ。
【請求項13】
前記タイヤは、前記トレッドの半径方向最も内側の位置に配合エラストマーコンパウンドの追加の層を有し、前記追加の層の前記配合エラストマーコンパウンドは、0.100未満のtan(δ)maxで示された最大tan(δ)値を有する、請求項1〜12のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重車両、例えば輸送車両又は「産業」車両に取り付けられるようになった半径方向カーカス補強材付きのタイヤに関する。本発明は、特に、37インチ(93.98cm)を超える軸方向幅を有するタイヤに関する。
【0002】
本発明は、この種の用途には限定されないが、直径が3.5mを超え、軸方向幅が37インチを超えるタイヤを備えた重さが300トンを超える「ダンパ」型の車両(「ダンプ車」とも呼ばれる)に関して本発明を具体的に説明する。
【背景技術】
【0003】
一般に重量物を運搬するようになったかかるタイヤは、半径方向カーカス補強材及び非伸長性補強要素で形成された少なくとも2つのワーキング又は実働クラウンプライで構成されたクラウン補強材を有し、非伸長性補強要素は、1つのプライと次のプライとの間でクロス掛け関係をなし且つ円周方向と10°〜45°の等しい又は等しくない角度をなしている。
【0004】
産業車両用のタイヤの通常の設計に関する限り、各ビード内に繋留される半径方向カーカス補強材は、金属補強要素の少なくとも1つの層で構成され、これら金属補強要素は、この層中で互いに実質的に平行である。カーカス補強材の上には通常、金属補強要素の少なくとも2つのワーキングクラウン層で構成されたクラウン補強材が載っているが、これらは、1つの層と次の層との間でクロス掛け関係をなし且つ円周方向と10°〜65°の角度をなしている。カーカス補強材とワーキングクラウン層との間には通常、1つのプライと次のプライとの間でクロス掛け関係をなし且つ12°よりも小さい角度をなす補強要素の2つの層が設けられ、これら補強要素層の幅は、通常、ワーキング層の幅よりも小さい。ワーキング層の半径方向外側には、保護層も又設けられ、かかる保護層の補強要素は、互いに10°〜65°の角度をなしている。
【0005】
クラウン補強材の半径方向外側には通常、タイヤが路面と接触関係をなす接触パッチ内で路面に接触するようになったポリマー材料で構成されているトレッドが存在する。
【0006】
コードは、かかるコードが破断力の10%に等しい引張り力を受けたときに、多くとも0.2%に等しい相対伸び率を示す場合に非伸長性であると呼ばれる。
【0007】
コードは、かかるコードが破断荷重に等しい引張り力を受けたときに、最大接線モジュラスが150GPaに等しい状態で少なくとも3%に等しい相対伸び率を示す場合に弾性であると呼ばれる。
【0008】
タイヤの円周方向又は長手方向は、タイヤの周囲に対応し且つタイヤの走行方向により定められる方向である。
【0009】
タイヤの回転軸線は、タイヤが通常の使用中に回転する中心となる軸線である。
【0010】
半径方向平面又は子午面は、タイヤの回転軸線を含む平面である。
【0011】
円周方向中間平面又は赤道面は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つタイヤを2つの半部に区分する平面である。
【0012】
タイヤの横方向又は軸方向は、タイヤの回転軸線に平行である。軸方向距離は、軸方向に測定される。「〜の軸方向内側又は〜の軸方向外側」という表現は、それぞれ、「赤道面から測定した〜の軸方向距離が〜よりも小さい又は大きい」ことを意味している。
【0013】
半径方向は、タイヤの回転軸線と交差し且つこれに垂直な方向である。半径方向距離は、半径方向に測定される。「〜の半径方向内側又は〜の半径方向外側」という表現は、それぞれ、「タイヤの回転軸線から測定した〜の軸方向距離が〜よりも小さい又は大きい」ことを意味している。
【0014】
車両、特に積荷を運搬するために鉱山又は採石場で用いられるようになった車両の場合、接近ルート及び採算性の要件に関する問題点により、これら車両の製造業者は、車両の積荷運搬能力を高めている。その結果として、車両は、ますます大型になり、従って、これら車両自体がますます重くなり、従って、これら車両は、ますます重い積み荷を運搬することができるようになっている。現時点において、これら車両は、数百トンの重量に達している場合があり、従って、運搬されるべき積荷の重量も又同様であり、従って、総重量が600トンという重いものになっている場合がある。
【0015】
したがって、タイヤについて課される要求がますます高くなっている。それと同時にタイヤは、耐摩耗性の面で良好な性能を示すと共に必要なトルクを伝えることができ、特に軌道上で遭遇する岩石からの攻撃に耐えることができなければならない。
【0016】
かくして、仏国特許第1445678号明細書は、トレッドを形成するために軸方向に互いに異なる材料を選択することを提案している。中央部分は、側方部分よりも耐摩耗性の高い材料で作られるのが良い。
【0017】
通常、耐摩耗性材料にはヒステリシス特性の面で不利益がある。かくして、タイヤのトレッドを2つの互いに異なる材料の半径方向重ね合わせで構成することも又慣例であり、その目的は、耐摩耗性とヒステリシス特性との間に意図した用途にとって満足のいく妥協点を見出すことにある。
【0018】
かかるタイヤは、例えば、米国特許6,247,512号明細書に記載されている。この特許文献は、トレッドを形成するために2つの材料層の重ね合わせを記載しており、路面に接触する外側の材料は、特に、耐摩耗性の面で良好な性能を示し、内側の材料は、クラウン領域中のタイヤ温度の増大を制限することができるヒステリシス特性を有する。
【0019】
この種のタイヤに関し、トレッド上に存在するパターンは、軸方向にも変化している場合があり、かくして、トルクを伝達するため、そして更に岩石を取り除くのが困難な中央部分に対する攻撃を回避するために中央部分のボイド比を小さくすることが慣例である。
【0020】
トレッドのボイド比は、本発明によれば、サイプ又は溝の表面積とトレッドの全面積の比によって定められる。かくして、トレッドの部分のボイド比は、本発明によれば、トレッドのこの部分中に存在するサイプ又は溝の表面積とトレッドのこの部分の全表面積の比によって定められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】仏国特許第1445678号明細書
【特許文献2】米国特許6,247,512号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明者は、自らに、耐摩耗性、耐攻撃性及び耐久性の種々の性能の観点相互間の一層良好な妥協点をタイヤに与える仕事に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明によれば、この目的は、半径方向カーカス補強材を備えたタイヤであって、それ自体半径方向にトレッドが被せられたクラウン補強材を有し、トレッドは、2つのビードによってサイドウォールに連結され、トレッドは、半径方向に重ね合わされると共に軸方向外側部分のところよりも中央部分の方が小さいボイド比を有する配合エラストマーコンパウンドの少なくとも2つの層を有する、タイヤにおいて、トレッドの配合エラストマーコンパウンドの第1の層は、第1の配合エラストマーコンパウンドで作られていて、少なくとも、赤道面の付近中に延びる部分と、第2の配合エラストマーコンパウンドで作られた少なくとも2つの軸方向外側部分とで構成され、第1の配合エラストマーコンパウンドは、65よりも大きなマクロ分散度Z‐値及び0.150よりも小さいtan(δ)maxで示される最大tan(δ)値を有し、第2の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験(tearability test)下の破断時伸び率(elongation at break)は、第1の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い値を有することを特徴とするタイヤを用いて達成された。
【0024】
好ましくは、第2の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率は、第1の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率の値よりも少なくとも30%高い値を有する。
【0025】
充填剤入り配合エラストマーコンパウンドについて65よりも大きなマクロ分散度Z‐値は、充填剤が65以上の分散Z‐値で配合物のエラストマーマトリックス中に分散していることを意味している。
【0026】
本明細書における説明では、エラストマーマトリックス中の充填剤の分散度は、架橋後、ISO規格11345に準拠したエス・オットー等(S. Otto et al),「カウトゥシュック・グンミ・クンストゥストッフェ(Kautschuk Gummi Kunststoffe)」,58ヤーガング(Jahrgang),エヌアール(NR)7‐8,2005年に記載された方法を用いて測定されるZ‐値によって特徴付けられる。
【0027】
Z‐値計算は、充填剤がディニスコ(Dynisco)社によって操作手順及び“disperDATA”開発ソフトウェアが提供されている“disperGRADER+”装置によって次式を用いて測定して分散されていない表面積の百分率(「非分散度%面積」)に基づいている。
Z=100−(非分散度%面積)/0.35
【0028】
非分散度百分率面積は、それ自体、30°の角度をなして入射した光の下で試験体の表面を見るカメラを用いて測定される。淡色箇所は、充填剤及び凝集部と関連し、暗色箇所は、ゴムマトリックスと関連しており、ディジタル処理操作により、画像が白黒画像に変換されると共に非分散度面積百分率を上述の文献中においてエス・オットーにより説明された仕方で求めることができる。
【0029】
Z‐値が高ければ高いほど、ゴムマトリックス中の充填剤の分散度がそれだけ一層良好になる(100というZ‐値は、完全な分散度に対応しており、0というZ‐値は、可もなく不可もない分散度に対応している)。65以上というZ‐値は、エラストマーマトリックス中における充填剤の良好な分散度に対応しているとみなされる。
【0030】
トレッドの構成材料である配合エラストマーコンパウンドは、既知の方法を用いて調製される。
【0031】
65を超えるマクロ分散度Z‐値を達成するため、半径方向外側部分を構成している配合エラストマーコンパウンドは、有利には、ジエンエラストマー及び補強用充填剤のマスターバッチを形成することによって調製されるのが良い。
【0032】
本発明の意味の範囲内において、「マスターバッチ(master batch)」(この英語による表現は、一般に用いられている)は、充填剤が導入されたエラストマーを主成分とする複合材を意味している。
【0033】
ジエンエラストマー及び補強用充填剤のマスターバッチを得るには種々の方法が存在する。特に、1つの解決形式は、エラストマーマトリックス中における充填剤の分散度を向上させるため、エラストマーと充填剤を「液」相で混合することである。このようにするため、水中に分散させたエラストマーの粒子の形態を取るラテックスの形態をしたエラストマー及び充填剤の水性分散液、即ち水中に分散させた充填剤(一般に、「スラリ」と呼ばれる)が用いられる。
【0034】
かくして、本発明の変形形態のうちの1つによれば、マスターバッチは、液相混合によって、天然ゴムを含むジエンエラストマーラテックス及びカーボンブラックを含む充填剤の水性分散液から得られる。
【0035】
さらにより好ましくは、本発明のマスターバッチは、エラストマーマトリックス中における充填剤の極めて良好な分散度を得ることができるようにする以下のプロセスステップを用いて得られる。
‐ジエンエラストマーラテックスの連続した第1の流れを、混合ゾーンと出口との間に延びる細長い凝固ゾーンを備えた凝固反応器の混合ゾーンに供給し、
‐凝固反応器の上述の混合ゾーンに圧力下で充填剤を含む流体の第2の連続した流れを供給し、エラストマーラテックスが出口の前で充填剤と共に凝固するようにするのに十分活発に混合ゾーン内で第1の流体と第2の流体を混合することによってエラストマーラテックスとの混合物を形成し、この混合物は、連続した流れとして出口ゾーンに向かって流れ、充填剤は、エラストマーラテックスを凝固させることができ、
‐反応器の出口のところに、連続した流れの形態で先に得られた凝塊を集めてこれを乾燥させ、それによりマスターバッチを回収する。
【0036】
マスターバッチを液相で調製するかかる方法は、例えば、国際公開第97/36724号パンフレットに記載されている。
【0037】
損失係数(ロスファクタ)tan(δ)は、ゴム混合物の層の動的性質である。これは、規格ASTM・D5992‐96に従って粘度分析装置(Metravib VA4000)で測定される。10Hzの振動数、100℃の温度で単純な交番正弦剪断応力を受けた加硫済み配合物のサンプル(厚さ4mm、断面積400mm2の円筒形試験体)の応答を記録する。変形量(歪)の振幅が0.1%から50%にスイープし(外方サイクル)、次に50%から1%にスイープする(戻りサイクル)。利用する結果は、複素(complex)動的剪断弾性率(G*)及び損失係数tan(δ)である。戻りサイクルに関し、観察されるtan(δ)の最大値(tan(δ)maxで表される)が示される。
【0038】
転がり抵抗は、タイヤが転動しているときに生じる抵抗であり、タイヤの上昇温度を示している。かくして、転がり抵抗は、一回転中におけるタイヤの変形量と関連したヒステリシスロスによって表される。用いられる材料のtan(δ)の値は、タイヤの転動によって生じる種々の変形頻度の効果を取り込むために10kHz、30〜100℃で測定される。かくして、100℃におけるtan(δ)の値は、転動中におけるタイヤの転がり抵抗の指標に対応している。
【0039】
引裂き性指数は、100℃で測定される。具体的に言えば、破断部(FRD)を得るために及ぼさなければならない力は、厚さのN/mmで求められ、破断時伸び率(ARD)は、5mmの深さにわたって長さに沿いその中心に切り欠きが設けられた寸法10×105×2.5mmの試験体について百分率として測定される。
【0040】
まだ全く走行していない新品のタイヤについて種々の測定が行われる。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、トレッドの中央部分のボイド比は、2〜15%、好ましくは10%未満である。
【0042】
また、好ましくは、トレッドの軸方向外側部分のボイド比は、20〜40%であり、好ましくは30%未満である。
【0043】
少なくとも一部が最も低いボイド比を備えた領域に一致するトレッドの第1の層の中央部分のための材料として65を超えるマクロ分散度Z‐値を有する第1の充填剤入り配合エラストマーコンパウンドと、少なくとも一部が最も高いボイド比を備えた領域に一致するタイヤの軸方向外側部分のための材料として100℃における引裂き性試験下の第1の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い100℃における引裂き性試験下の第2の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値を有する第2の配合エラストマーコンパウンドの組み合わせにより、耐摩耗性と耐攻撃性との間の妥協点が見出されると同時にトルクの伝達が有利になることを実証することができた。
【0044】
具体的に説明すると、上述したように、トレッドの中間部のボイド比は、軸方向外側部分と比較して低い。トレッドの中央部分のボイド比のこの減少により、クラウン補強材を攻撃から守ることができる。なお、石をトレッドのこの中央部分から取り除くことは、特に込み入った作業である。
【0045】
次に、トレッドの中央部分のための材料として65よりも大きいマクロ分散度Z‐値を備えた第1の充填剤入り配合エラストマーコンパウンドを選択することにより、耐摩耗性がかかるタイヤの使用の面で特に有利であり、本発明者は、最も顕著な摩耗がトルク伝達時に最も重い重量を受ける部分であるトレッドの中央部分で起こることを実証することができた。
【0046】
トレッドの軸方向外側部分のための材料として100℃における引裂き性試験下において第1のエラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い100℃における引裂き性試験下における第2の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値を有する第2の配合エラストマーコンパウンドを選択することも又、特に最も高いボイド比を有するトレッドの部分におけるタイヤの良好な耐攻撃性に寄与する。これにより生じることとして、第2の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値により、トレッドパターン内でぎっしりと詰まり状態になった石の存在の結果として生じる場合のある開始状態の亀裂の広がりを制限することができるように思われる。事実、第2の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率特性は、第2の配合エラストマーコンパウンドに耐攻撃性に望ましい凝集特性を与える。
【0047】
最後に、これ又0.150以下のtan(δ)max値を有するトレッド中央部分のための材料として65を超えるマクロ分散度Z‐値を有する第1の充填剤入り配合エラストマーコンパウンドを選択することにより、タイヤの加熱を少なくするのに好都合であるヒステリシス特性及びかくして良好なタイヤ耐久性が得られる。
【0048】
有利には、本発明によれば、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の少なくとも2つの軸方向外側部分を形成する第2の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率は、350%を超え、好ましくは400%以上に等しい。
【0049】
また、有利には、本発明によれば、少なくとも、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の赤道面の付近中に延びる部分を形成する第1の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下における破断時伸び率は、350%未満である。
【0050】
有利には、本発明によれば、第1の配合エラストマーコンパウンドの比MSA300/MSA100は、第2の配合エラストマーコンパウンドの比MSA300/MSA100の値よりも少なくとも15%高い値を有する。
【0051】
引張り試験により、破断時における弾性応力及び特性を求めることができる。この引張り試験は、1988年9月の仏国規格NF T 46-002に従って実施される。引張り試験の結果を処理することにより、伸び率の関数として弾性率の曲線をプロットすることができる。ここで用いられる弾性率は、試験体の初期断面に関して計算された第1の伸びの際に測定される公称(又は見かけ上の)割線モジュラスである。公称割線モジュラス(又は見かけ上の応力、単位MPa)は、MSA100及びMSA300とそれぞれ呼ばれている100%における第1の伸び及び300%における第1の伸びで測定される。破断時応力(単位MPa)及び破断時伸び率(単位%)は、規格NF T 46-002に従って23℃±2℃及び100℃±2℃で測定される。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の赤道面の付近中に延びる部分を形成する第1の配合エラストマーコンパウンドは、補強用充填剤として、少なくとも、10〜70phrの比率で用いられる120m2/gを超えるBET比表面積を備えたカーボンブラックを含む。
【0053】
また、好ましくは、少なくとも、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の赤道面の付近中に延びる部分を形成する第1の配合エラストマーコンパウンドの補強用充填剤は、補強用充填剤として、上述したカーボンブラックと白色充填剤のブレンドを含み、充填剤の全体的レベルは、10〜90phrであり、カーボンブラックと白色充填剤の比は、2.7を超える。
【0054】
上述したような充填剤の選択により、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の第1の配合エラストマーコンパウンドの耐摩耗性を一段と向上させることができる。
【0055】
また、有利には、本発明によれば、少なくとも、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の赤道面の付近中に延びる部分を形成する第1の配合エラストマーコンパウンドの100℃における複素動的剪断弾性率G*1%は、2.10を超える。
【0056】
本発明の第1の実施形態によれば、本発明のタイヤは、配合エラストマーコンパウンドの少なくとも2つの半径方向に重ね合わされた層を有し、第1の配合エラストマーコンパウンドで作られていて、少なくとも、赤道面の付近中に延びる部分及び第2の配合エラストマーコンパウンドで作られた少なくとも2つの軸方向外側部分を有する上述の第1の層は、トレッドの半径方向外側層を形成し、この半径方向外側層は、路面に接触するようになっている。
【0057】
この第1の実施形態によれば、第1の層の半径方向内側に位置し且つこの第1の層と接触状態にある配合エラストマーコンパウンドの第2の層は、有利には、100℃における引裂き性試験中に測定された破断時伸び率の値を有する配合エラストマーコンパウンドで構成されるが、この破断時伸び率の値は、第1の層の第1の配合エラストマーコンパウンドの100℃における引裂き性試験下における破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い。
【0058】
また、有利には、第1の層の半径方向内側に位置し且つ第1の層と接触状態にある配合エラストマーコンパウンドの第2の層は、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の軸方向外側部分を形成する第2の配合エラストマーコンパウンドと同一である配合エラストマーコンパウンドで構成される。
【0059】
この第2の配合エラストマーコンパウンドが第1の層、特にその中央部分の半径方向内側に位置して設けられることにより、第1の層の上述の中央部分のトレッドパターンの底部に現れる場合のある亀裂の広がりを制限し、従って、トレッドの良好な耐攻撃性に好都合であるようにすることができる。
【0060】
本発明の第2の実施形態によれば、本発明のタイヤは、配合エラストマーコンパウンドの少なくとも2つの半径方向に重ね合わされた層を有し、第1の配合エラストマーコンパウンドで作られていて、少なくとも、赤道面の付近中に延びる部分及び第2の配合エラストマーコンパウンドで作られた少なくとも2つの軸方向外側部分を有する上述の第1の層は、トレッドの半径方向内側層を形成する。トレッドのかかる層は、1つ又は複数個の半径方向最も外側の層が消えるようにさせた所与の量だけトレッドが摩滅した後にのみ路面に接触するようになっている。
【0061】
この第2の実施形態によれば、好ましくは第1の層と接触状態にある配合エラストマーコンパウンドの半径方向外側の第2の層は、有利には、65よりも大きいマクロ分散度Z‐値及び0.150よりも低いtan(δ)maxで示される最大tan(δ)値を有する配合エラストマーコンパウンドで構成される。
【0062】
また、有利には、第1の層と接触状態にある配合エラストマーコンパウンドの半径方向外側の第2の層は、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の中央部分を形成する第1の配合エラストマーコンパウンドと同一の配合エラストマーコンパウンドで構成される。
【0063】
この第1の配合エラストマーコンパウンドが第1の層、特にその軸方向外側部分の半径方向外側に位置することにより、トレッドの耐摩耗性を向上させることができる場合がある。本発明者は、コーナリングの際、軸方向幅が37インチを超えるダンパ型の産業車両のタイヤの軸方向外側部分が特に過酷な応力を受けることを実証することができた。また、これは、これら応力が加わる深刻さは、タイヤのサイズにつれて変化する場合であることが分かっており、加わる応力の量は、特に、サイドウォールの高さとタイヤの幅の比と一致して増大する。
【0064】
かくして、本発明のこの第2の実施形態としての配合エラストマーコンパウンドのこの第2の層の厚さは、有利には、タイヤのサイズに従って様々であって良い。本発明によれば、トレッドの半径方向外側部分を形成するこの第2の層の厚さは、有利には、タイヤの幅が増大するにつれて減少する。さらに、この厚さは、有利には、第2の層がパターン中のトレッドブロックの可動性の減少を招く応力の加わる量の相当な減少及びタイヤの横方向剛性の増大をもたらした摩耗に続いて消えるよう定められ、なお、かかる減少及びかかる増大は、コーナリングの際に望ましい。
【0065】
57インチ(144.78cm)(タイヤのビードのベース間で測定された直径)以下のタイヤの場合、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した本発明のこの第2の実施形態としての配合エラストマーコンパウンドの第2の層の厚さは、好ましくは、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの第1の層の厚さの50%を超える。
【0066】
57インチ(タイヤのビードのベース間で測定された直径)を超えるタイヤの場合、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した本発明のこの第2の実施形態としての配合エラストマーコンパウンドの第2の層の厚さは、好ましくは、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの第1の層の厚さの10%を超える。
【0067】
また、好ましくは、本発明のこの第2の実施形態によれば、トレッドは、第1の層の半径方向内側に位置し且つこれと接触状態にあり、有利には、100℃における引裂き性試験において第1の層の第1の配合エラストマーコンパウンドの破断時伸び率の値よりも少なくとも10%高い100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率値を有する配合エラストマーコンパウンドの第3の層を有する。
【0068】
また、有利には、第1の層の半径方向内側に位置し且つこれと接触状態にある配合エラストマーコンパウンドの第3の層は、配合エラストマーコンパウンドの第1の層の軸方向外側部分を形成する第2の配合エラストマーコンパウンドと同一の配合エラストマーコンパウンドで構成されている。
【0069】
第1の実施形態の場合と同様、かかる半径方向内側層は、特に、トレッドの第1の層の中央部分のトレッドパターンの底部への石の存在の結果として現れる場合のある発生後の亀裂の広がりを制限することができるようになっている。
【0070】
トレッドの全厚は、タイヤの要望及び使用と関連したパラメータによって定められるので、トレッドを構成する種々の層の厚さは、上述したようにタイヤのサイズにつれて変化しなければならない。
【0071】
57インチ(タイヤのビードのベース間で測定された直径)以下のタイヤの場合、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した本発明のこの第2の実施形態としての配合エラストマーコンパウンドの第3の層の厚さは、好ましくは、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの第1の層の厚さの25%を超える。
【0072】
57インチ(タイヤのビードのベース間で測定された直径)を超えるタイヤの場合、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した本発明のこの第2の実施形態としての配合エラストマーコンパウンドの第3の層の厚さは、好ましくは、タイヤの子午線断面で見て、半径方向最も外側のワーキング層である層の端のところで半径方向に測定した配合エラストマーコンパウンドの第1の層の厚さの35%を超える。
【0073】
また、上述した実施形態のいずれか1つによる本発明の有利な一変形形態では、配合エラストマーコンパウンドの追加の層がトレッド中の半径方向最も内側の位置に、従ってタイヤのクラウン補強材と接触関係をなして設けられ、この配合エラストマーコンパウンドは、0.100未満のtan(δ)maxで示される最大tan(δ)値を有する。
【0074】
この追加の層をトレッドの内側寄りに半径方向最も遠くに設けることにより、トレッド温度の増大を更に一層減少させ、従ってタイヤの耐久性にとって有利にすることができる。
【0075】
また、この追加の層をトレッドの内側寄りに半径方向最も遠くに設けることにより、タイヤのクラウン領域の動作温度を減少させてタイヤの転がり抵抗を減少させることができるようにすることができる。
【0076】
ワーキング層の端部のところで半径方向に測定してタイヤの子午線断面で見て半径方向最も外側に位置する配合エラストマーコンパウンドのこの追加の層の厚さは、有利には、ワーキング層の端部のところで半径方向に測定して、タイヤの子午線断面で見て半径方向最も外側のトレッド全体の厚さの15%〜25%である。
【0077】
本発明によれば、上述の厚さの測定値は、走行しておらず、従ってトレッドの摩耗が全くない新品状態のタイヤから取られている。
【0078】
本発明の別の細部及び別の有利な特徴は、図1図3を参照して行われる本発明の幾つかの実施形態の説明から以下において明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明のタイヤの概略子午線断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態としての図1のタイヤのトレッドの概略子午線図である。
図3】本発明の第2の実施形態としての図1のタイヤのトレッドの概略子午線図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
分かりやすくするために、図は、縮尺通りには描かれていない。
【0081】
図1は、ダンパ型の車両に使用されるようになったタイヤ1を概略的に示している。このタイヤは、2つのビード3内でビードワイヤ4周りに繋留された半径方向カーカス補強材2を有している。カーカス補強材2は、金属コードの層で形成されている。カーカス補強材2は、それ自体トレッド6が被されたクラウン補強材5によってたが掛けされている。トレッド6は、本発明によれば、少なくとも、赤道面XX′の付近中に延びる中央部分7及び2つの軸方向外側部分8,9で構成されている。
【0082】
本発明によれば、トレッド6の中央部分7は、軸方向外側部分8,9のボイド比よりも小さいボイド比(トレッドパターンは、図には示されていない)を有する。
【0083】
図2及び図3は、互いに異なるサイズの2本のタイヤのためのトレッド6の構成を極めて概略的に示しており、トレッド6は、本発明によれば、配合エラストマーコンパウンドの少なくとも2つの半径方向に重ね合わされた層で構成され、配合エラストマーコンパウンドの第1の層が、第1の配合エラストマーコンパウンドで作られていて、少なくとも、赤道面の付近中に延びる部分と、第2の配合エラストマーコンパウンドで作られた少なくとも2つの軸方向外側部分とで構成されている。
【0084】
図2は、サイズ53/80R63のタイヤのトレッド6を概略的に示している。
【0085】
トレッドの中央部分のボイド比は、3%である。トレッド6の軸方向外側部分のボイド比は、29%である。
【0086】
本発明によれば、トレッド6は、第1の層61で構成され、第1の層61は、第1の配合エラストマーコンパウンドM1で作られていて、少なくとも、赤道面XX′の付近中に延びる部分61a及び第2の配合エラストマーコンパウンドM2で作られた少なくとも2つの軸方向外側部分61bで構成されている。
【0087】
充填剤入り配合エラストマーコンパウンドM1は、80というマクロ分散度Z‐値及び0.133というtan(δ)max値を有している。
【0088】
配合エラストマーコンパウンドM2は、447%という100℃における引裂き性試験下における破断時伸び率を有する。
【0089】
配合エラストマーコンパウンドM1は、316%という100℃における引裂き性試験下における破断時伸び率を有する。
【0090】
エラストマーコンパウンドM2の100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率の値は、配合エラストマーコンパウンドM1の100℃における引裂き性試験下の破断時伸び率の値よりも41%大きく、従って、本発明によれば、少なくとも10%大きく、好ましくは30%大きい。
【0091】
トレッド6は、路面に接触するようになっていてコンパウンドM1で構成された半径方向外側の第2の層62を有している。
【0092】
トレッド6は、配合コンパウンドM2で構成された第1の層61と接触状態にある半径方向内側の第3の層63を更に有している。
【0093】
トレッド6は、tan(δ)max値が0.060の配合エラストマーコンパウンドM3で構成された半径方向最も内側の層64を更に有している。
【0094】
コンパウンドM1,M2,M3が多くのこれらの特性と一緒に以下の表に記載されている。
【0095】
第1の層61の厚さd61は、64mmである。
【0096】
第2の層62の厚さd62は、14mmである。
【0097】
第3の層63の厚さd63は、28mmである。
【0098】
追加の層64の厚さd64は、22mmである。
【0099】
第2の層62の厚さd62と第1の層61の厚さd61の比は、22%であり、従って10%よりも高い。
【0100】
第3の層63の厚さd63と第1の層61の厚さd61の比は、44%であり、従って35%よりも高い。
【0101】
追加の層64の厚さd64とトレッドの全厚、即ち厚さの合計(d61+d62+d63+d64)の比は、17%であり、従って15〜25%である。
【0102】
厚さは、新品状態のタイヤの子午線断面について半径方向最も外側のワーキング層の端部のところで半径方向に測定される。
【0103】
図3は、サイズ40.00R57のタイヤのトレッド6を概略的に示している。
【0104】
トレッド6の中央部分のボイド比は、3%である。トレッド6の軸方向外側部分のボイド比は、33%である。
【0105】
本発明によれば、トレッド26は、少なくとも、第1の層261を有し、第1の層261は、第1の配合エラストマーコンパウンドM21で作られていて、少なくとも、赤道面XX′の付近中に延びる部分261a及び第2の配合エラストマーコンパウンドM22で作られた少なくとも2つの軸方向外側部分261bで構成されている。
【0106】
トレッド26は、路面に接触し、コンパウンドM21で構成された半径方向外側の第2の層262を有している。
【0107】
トレッド26は、第1の層261と接触状態にあり、コンパウンドM22で構成された半径方向内側の第3の層263を更に有する。
【0108】
トレッド26は、tan(δ)max値が0.060の配合エラストマーコンパウンドM23で構成された半径方向最も内側の追加の層264を更に有している。
【0109】
コンパウンドM21,M22,M23は、図2に対応したコンパウンドM1,M2,M3と同一である。
【0110】
第1の層261の厚さd261は、32mmである。
【0111】
第2の層262の厚さd262は、46mmである。
【0112】
第3の層263の厚さd263は、14mmである。
【0113】
追加の層264の厚さd264は、22mmである。
【0114】
第2の層262の厚さd262と第1の層261の厚さd261の比は、140%であり、従って50%よりも高い。
【0115】
第3の層263の厚さd263と第1の層261の厚さd261の比は、44%であり、従って25%よりも高い。
【0116】
追加の層264の厚さd264とトレッドの全厚、即ち厚さの合計(d261+d262+d263+d264)の比は、19%であり、従って15〜25%である。
【0117】
図2の場合と同様、厚さ測定値は、新品状態のタイヤの子午線断面について半径方向最も外側のワーキング層の端部のところで半径方向に取られる。
【0118】
本発明のタイヤの耐摩耗性を評価するために本発明のタイヤを履いた車両を用いて試験を実施した。
【0119】
これら試験では、車両の被動リヤアクスルに取り付けられたタイヤを走行させる。車両を1500時間という全持続時間にわたり14%で連続的に傾斜した軌道に沿って登り坂及び下り坂で駆動させる。軌道は、大きさが15〜30mmの石で構成されている。
【0120】
一方において、P1(サイズ53/80R63)で示された図2の記載によるタイヤ及びP2(サイズ40.00R57)で示された図3の記載によるタイヤについてこれら試験を実施した。
【0121】
サイズ53/80R63のタイヤP1を7barの圧力までインフレートさせ、そしてこれに87.5トンの荷重をかける。
【0122】
サイズ40.00R57のタイヤP2を7barの圧力までインフレートさせ、そしてこれに64.5トンの荷重をかける。
【0123】
これらタイヤをそれぞれ、同一車両にそれぞれ取り付けられた基準タイヤR1,R2と比較する。タイヤR1,R2は、この種の用途について知られているタイヤである。
【0124】
タイヤR1は、タイヤP1と同一サイズのものであり、タイヤR2は、タイヤP2と同一サイズのものである。
【0125】
基準タイヤR1,R2のトレッドを同じ仕方で製造し、これらトレッドは、2つの半径方向に重ね合わされた層、即ち、第1の材料A1で構成された半径方向外側の層及び材料A2で構成された半径方向内側の層を有する。
【0126】
タイヤR1では、材料A1で構成された半径方向外側の層の厚さは、106mmであり、材料A2で構成された半径方向内側の層の厚さは、22mmである。
【0127】
タイヤR2では、材料A1で構成された半径方向外側の層の厚さは、92mmであり、材料A2で構成された半径方向内側の層の厚さは、22mmである。
【0128】
これら材料の構成及び特性が以下の表に記載されている。
【0129】
上述の条件下で走行したときに得られた結果は、基準タイヤと比較して本発明のタイヤについて15〜20%の耐摩耗性の向上を実証した。
【0130】
耐攻撃性に関して本発明のタイヤの特性を評価するために本発明のタイヤを履いた車両を用いて別の試験を実施した。
【0131】
この後者の試験では、サイズが145〜200mmの石で構成された長さ50メートルの領域を含むループ状の500メートル軌道に沿って車両を走行させた。走行は、石ころだらけの領域の外側でサーキット上において15km/hの速度で及び上述の石ころだらけの領域上で5km/hの速度で500時間にわたって続いた。
【0132】
サイズ53/80R63の本発明のタイヤP1を7barの圧力までインフレートさせ、これに74トンの荷重をかける。
【0133】
サイズ40.00R57の本発明のタイヤP2を7barの圧力までインフレートさせ、これに54トンの荷重をかける。
【0134】
走行後、タイヤを剥ぎ取り、クラウン補強材に達した亀裂の数を数える。クラウン補強材に達した亀裂の数は、タイヤがどれほど良く攻撃に抵抗したかの指標である。
【0135】
第1の試験の場合と同様、本発明のタイヤP1,P2をそれぞれ上述すると共にそれぞれ同一の車両に取り付けた基準タイヤR1,R2と比較する。
【0136】
これら試験中に得られた結果は、基準タイヤと比較して本発明のタイヤの耐攻撃性の面で20%オーダの向上を実証した。
【0137】
これら2つの種類の試験結果の示すところによれば、本発明のタイヤにより、良好な耐摩耗性と良好な耐攻撃性の妥協点が見出される。
図1
図2
図3