(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6260069
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】歩行補助兼用移乗車
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20180104BHJP
A61G 7/14 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
A61H3/04
A61G7/14
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-107735(P2017-107735)
(22)【出願日】2017年5月31日
【審査請求日】2017年5月31日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715009189
【氏名又は名称】堀江 清
(72)【発明者】
【氏名】堀江清
【審査官】
須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−236997(JP,A)
【文献】
特開2010−279396(JP,A)
【文献】
特開2015−119789(JP,A)
【文献】
特開2014−171693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H3/04
A61G7/14
B62B1/00−5/08
A61G1/00−5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、本体フレームに対して可動支持された身体載せ台と、一端部が身体載せ台に対して係合可能であり、他端部が本体フレームに回動自在に支持されたL型アームの一辺に対して係合可能である上下作動棒と、L型アームの他辺の端部と連結し、一端部が接地可能な支持棒と、支持棒を接地面方向に付勢する付勢手段とを備え、歩行補助車として用いられる場合に、身体載せ台の一端部が本体フレームに対して回動可能であり、他端部がL型アームの一辺に対して係合可能であり、移乗車として用いられる場合に、身体載せ台の一端部が本体フレームに対して上下動可能であり、他端部が本体フレームに係合することを特徴とする歩行補助兼用移乗車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行が困難になった方の歩行を助ける歩行補助車や被介護者を移動させるための移乗車に関するものであり、特に安全ブレーキを備えた歩行補助兼用移乗車に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
歩行者や被介護者が乗り降りする際に、歩行補助車や移乗車が意図しない動きをすることがあり危険であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−171693
【特許文献2】特開2015−119789
【特許文献3】特開2016−053236
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移乗車により被介護者を他の場所に移動させるため、被介護者を移乗車に乗せる際に、ブレーキ機構がないと移乗車が勝手に移動してしまったりすることがあった。また、自立歩行の補助としての歩行補助車を使用する際に、やはりブレーキ機構がないと歩行補助車が勝手に動いてしまうことがあった。ブレーキ機構を設ければ上記課題は解消するのだが、ブレーキ操作を介護者や被介護者が自ら行わなくてはならず、煩わしかった。そこで、移乗車や歩行補助車の使用開始までは停止状態を維持し、使用時には自動的にブレーキが解除される装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、本発明の歩行補助兼用移乗車は、本体フレームと、本体フレームに対して可動支持された身体載せ台と、一端部が身体載せ台に係合し、他端部が本体フレームに回動自在に支持されたL型アームの一辺と係合する上下作動棒と、L型アームの他辺の端部と連結し、一端部が接地可能な支持棒と、支持棒を接地面方向に付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の歩行補助兼用移乗車によれば、被介護者が体力的に歩行補助での使用が困難になった場合には、移乗車として使用することができるとともに、ブレーキ操作を介護者や被介護者が自ら行わなくても、使用時には自動的にブレーキが解除されるため、被介護者が安全な位置に乗るまで歩行補助兼用移乗車の停止状態が保持される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の歩行補助兼用移乗車の概略を示す斜視図である。
【
図2】本発明の歩行補助兼用移乗車の身体載せ台のフレームに対する可動支持状態を示す拡大図である。
【
図3】本発明の歩行補助兼用移乗車の身体乗せ板上を移動する補助台を示す図である。
【
図4】
図2の補助台の他の実施例を示す図であり、(a)は自走式の補助台、(b)はベルトコンベア式の補助台を示す。
【
図5】本発明の歩行補助兼用移乗車のブレーキ作動を示す説明図であり、(a)は移乗車として使用する際の人を乗せる前の状態の図、(b)は移乗車として使用する際の人を乗せた状態の図、(c)は歩行補助車として使用する際の使用前の状態の図、(d)は歩行補助車として使用する際の使用中の状態を示す図である。
【
図6】本発明の歩行補助兼用移乗車の使用状態を示す図であり、(a)は歩行補助車として使用する場合の図、(b)は移乗車として使用する場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1ないし
図3は本発明の歩行補助兼用移乗車の構造に係わる図面である。
図1において、1は本体フレームであり、2は身体載せ台である。また、
図2に示すように、身体載せ台2の側面に形成された突起3が本体フレーム1に固定されたガイドレール4内のガイド溝4aと係合することにより、身体載せ板2の一端部2aは本体フレーム1に対して可動支持されている。さらに、上下作動棒5の一端部5aが身体載せ台2と当接している。
図3に示す身体乗せ板2上を移動する補助台6は必要に応じて設置することができる。被介護者を身体載せ板2の中央付近まで移動させる場合等に、被介護者を補助台6にうつ伏せ状態で載せた後に、補助台6を電動モータ7の動力を利用してワイヤー8を介して所定の位置まで移動させる。
【0009】
図4は補助台の他の実施例を示す図であり、
図4(a)は補助台6内に動力及び自走機構が内蔵されており、補助台6が自ら被介護者を載せた状態で身体載せ台2の中央付近まで移動できるものである。
図4(b)は補助台6の表面がベルトコンベア様になっており、補助台6自体は移動しないが、被介護者を補助台6に乗せてベルトコンベアを作動させれば、被介護者を身体載せ板2の中央付近まで移動させることができる。
【0010】
図5は本発明の歩行補助兼用移乗車のブレーキ作動を示す説明図である。
図5(a)は移乗車として使用する際の人を載せる前の状態図であり、上下作動棒5の他端部5bが、本体フレーム1に回動自在に支持されたL型アーム9の一辺9aと当接している。L型アーム9の回動支点9bはL型アーム9の角部である。L型アーム9の他辺9cの先端部9dには、支持棒10の一端部10aが連結されており、支持棒10の他端部10bには足部11が結合されコイルバネ12により接地面方向に付勢されている。この状態だと足部11が接地しているため、移乗車はブレーキがかかった状態となり移動が妨げられる。
【0011】
図5(b)は移乗車として使用する際の人を載せた状態の図であり、人の体重により身体載せ台2が下方に沈むことにより、身体載せ台2と当接している上下作動棒5も下方に移動するため、上下作動棒5の他端部5bがL型アーム9の一辺9aを押しながら、L型アーム9が回動支点9bを中心に図において反時計方向に回動する。このことにより、L型アーム9の他辺9cの先端部9dに連結された支持棒10がコイルバネ12の付勢力に抗して持ち上がり、その結果、支持棒10の他端部10bに結合された足部11が接地面から離れるため、移乗車はブレーキが解除された状態となり移動可能となる。
【0012】
図5(c)は歩行補助車として使用する際の使用前の状態図であり、身体載せ台2を本体フレーム1に対して回動させて身体載せ台2を固定する直前の状態を示している。この図において、身体載せ台2の他端部2bとL型アーム9とはまだ当接していないので、
図5(a)の状態と同じように歩行補助車はブレーキがかかった状態となっている。
【0013】
図5(d)は歩行補助車として使用する際の使用中の状態を示す図であり、
図5(c)の状態からさらに、身体載せ台2を本体フレーム1に対して回動させると、身体載せ台2の他端部2bが、L型アーム9の一辺9aを押すため、
図5(b)の状態と同じように歩行補助車はブレーキが解除された状態となり移動可能となる。L型アーム9の一辺9aには切欠き部9eが設けられており、身体載せ台2の他端部2bと係合してロック状態となるため、移動中は常にブレーキが解除された状態を維持する。
【0014】
図6は本発明の歩行補助兼用移乗車の使用状態を示す図であり、
図6(a)は歩行補助車として使用する場合、
図6(b)は移乗車として使用する場合を示している。
【符号の説明】
【0015】
1 本体フレーム
2 身体載せ台
3 突起
4 ガイドレール
5 上下作動棒
6 補助台
7 電動モータ
8 ワイヤー
9 L型アーム
10 支持棒
11 足部
12 コイルバネ
【要約】
【課題】歩行訓練者や被介護者が歩行補助車や移乗車を使用する際に、歩行補助車や移乗車が意図しない動きをすることがあり危険であった。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決する為に、被介護者が体力的に歩行補助での使用が困難になった場合には、移乗車として使用することができるとともに、ブレーキ操作を介護者や被介護者が自ら行わなくても、使用時には自動的にブレーキが解除される歩行補助兼用移乗車である。
【選択図】
図1