(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の半導体ウェーハを収容可能な収納容器を支持し、その収納容器のドアを第1方向から当該第1方向と異なる第2方向へと相互に移動させることで開閉するロードポート装置において、
前記収納容器のドアを保持するドア保持部材と、
このドア保持部材に一端が回動可能に連結された主動リンクを有するリンク機構と、
第1方向から第2方向に屈曲して延在し、前記主動リンクの一端を案内する案内手段と、
前記主動リンクの他端が回動可能に連結される駆動部材を少なくとも1つ有し、前記ドア保持部材を往復移動可能とする往復移動手段と、
第2方向に延在し、その延在方向に前記駆動部材を移動させるための主軸と、
前記駆動部材を前記主軸に沿って駆動させる駆動手段と、を備え、
前記リンク機構は、前記主動リンクの他端が第2方向へ移動している状態で、前記主動リンクの一端が前記案内手段に沿って第1方向から第2方向または第2方向から第1方向へ移動することを許容するように構成されるとともに、
前記往復移動手段は、前記駆動部材と離間して前記主軸によって第2方向に移動自在に支持された従動部材をさらに有し、
前記リンク機構は、一端が前記主動リンクに回動可能に連結され、他端が前記従動部材に回動可能に連結された従動リンクをさらに有し、
前記ドア保持部材は、前記従動部材に第1方向へ移動可能に支持されていることを特徴とするロードポート装置。
前記リンク機構及び案内手段は、前記ドアの閉止に向けて前記主動リンクの他端が第2方向に移動しつつ、一端が第1方向に移動する際にトグル作用を発揮する締付け機構を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、半導体ウェーハ表面に形成される配線がますます精密化(微細化)しており、わずかなパーティクルが付着しても半導体ウェーハの品質が低下して目的とする半導体の性能が得られなくなるおそれがある。
【0007】
特許文献1に開示のロードポート装置のように、ドアの開閉に関する駆動機構と昇降に関する駆動機構とが個別に設けられていると、各ガイドレール同士を連結する連結箇所でパーティクルが発生するという問題がある。具体的には、2つの駆動機構を備えていることから構造が複雑になり、滑らかな開閉動作を実現することが困難になるため、ガイドレールの連結箇所に負担が掛かり、パーティクルが発生しやすくなる。また、一方の駆動機構を動作させることで、他方の駆動機構にも振動や衝撃が伝わり、各駆動機構の内部からもパーティクルが発生する場合がある。さらには、2つの駆動機構を用いて行うドアの開閉動作が円滑に行われないことで、ドアを保持するドア保持部材においてもパーティクルが発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には、フープのドアを開閉する際に、ガイドレール等の軸の連結箇所におけるパーティクルの発生を抑制することが可能であるとともにドアの開閉動作を滑らかに行うことが可能なロードポート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明のロードポート装置は、複数の半導体ウェーハを収容可能な収納容器を支持し、その収納容器のドアを第1方向から当該第1方向と異なる第2方向へと相互に移動させることで開閉するものであり、前記収納容器のドアを保持するドア保持部材と、このドア保持部材に一端が回動可能に連結された主動リンクを有するリンク機構と、第1方向から第2方向に屈曲して延在し、前記主動リンクの一端を案内する案内手段と、前記主動リンクの他端が回動可能に連結される駆動部材を少なくとも1つ有し、前記ドア保持部材を往復移動可能とする往復移動手段と、第2方向に延在し、その延在方向に前記駆動部材を移動させるための主軸と、前記駆動部材を前記主軸に沿って駆動させる駆動手段と、を備え、前記リンク機構は、前記主動リンクの他端が第2方向へ移動している状態で、前記主動リンクの一端が前記案内手段に沿って第1方向から第2方向または第2方向から第1方向へ移動することを許容するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成であるため、駆動部材の第2方向への往復移動に連動して、主動リンクの一端が案内手段に沿って第1方向から第2方向へ、又は第2方向から第1方向へ移動する。そのため、駆動部材を1つの主軸上で動作させるだけで各部材を円滑に移動させて、ドア保持部材に保持された収納容器のドアを開閉することができ、2軸の連結箇所でパーティクルが発生することを抑制できるとともにドアの開閉動作を滑らかに行うことができる。また、駆動部材の第2方向への移動力をドア保持部材の第1方向から第2方向への移動力に変換するために主動リンクを用いることで、この変換を円滑に行うことができ、これによってパーティクルの発生を一層抑制することができる。さらに主軸が1つで済むことから、装置構成を簡単にできるとともに駆動源を1つにすることもでき、製造コストを抑制することができる。
【0012】
また、前記往復移動手段が、前記駆動部材と離間して前記主軸によって第2方向に移動可能とされた従動部材をさらに有し、前記リンク機構は、一端が前記主動リンクに回動可能に連結され、他端が前記従動部材に回動可能に連結された従動リンクをさらに有し、前記ドア保持部材は、前記従動部材に第1方向へ移動可能に支持されている
ため、ドア保持部材を円滑かつ安定して第1方向及び第2方向へ移動させてパーティクルの発生を一層防止することができる。
【0014】
別途に締付け機構を設けることなく、ドア保持部材に高い締め付け力を付与するためには、前記リンク機構及び案内手段は、ドアの閉止に向けて前記主動リンクの他端が第2方向に移動しつつ、一端が第1方向に移動する際にトグル作用を発揮する締付け機構を構成するものであることが望ましい。
【0015】
さらに、前述のトグル作用を通じたドアの閉止力を高めるためには、前記第1方向が、収納容器におけるドアの取付面にほぼ直交する方向であることが望ましい。
【0016】
仮に主軸等からパーティクルが発生したとしても、半導体処理装置の内部にそのパーティクルが進入しにくい装置とするためには、一面に前記案内
手段及び前記主軸が固定された板状のベース部材をさらに備え、このベース部材において、第2方向に延在し、前記ドア保持部材が挿通する部材挿通開口が形成されており、前記ドア保持部材は、この部材挿通開口を介して前記ベース部材の一面側から他面側に延びて、前記一面側で前記主動リンクの一端に連結されるとともに前記他面側でドアを保持するように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、駆動部材を1つの主軸上で動作させるだけで、ドア保持部材を第1方向及び第2方向に移動させてフープのドアを開閉させることができるとともに、リンク機構を用いることでドアの開閉に伴う各部材の移動を円滑にすることができることから、パーティクルの発生を抑制できるロードポート装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態であるロードポート装置10は、半導体処理装置20の取り付け面21に固定して利用されるものであり、載置テーブル11に支持されたフープ30のドア31をドア保持部材12に保持させ、そのドア保持部材12を取り付け面21に直交する方向(水平方向)及び取り付け面21に平行な方向(鉛直方向)に移動させることでドア31を開閉する。なお、以下では、取り付け面21に直交する方向(水平方向)を第1方向X、取り付け面21に平行な方向(鉛直方向)を第2方向Yとも記載する。
【0021】
フープ30は、内部に半導体ウェーハを水平方向に収納するための空間が形成された本体32と、本体32の開口を閉止するドア31とを備え、本体32の内部に収納された半導体ウェーハは、バネ等によって構成される図示しないリテーナにより本体32内部に安定して支持されている。
【0022】
載置テーブル11は、その上面にフープ支持機構11aを介してフープ30を支持する。フープ支持機構11aは、支持するフープ30を固定した状態で第1方向Xに往復移動可能に構成されており、フープ30を
図1に示す状態から
図5に示す状態となるように半導体処理装置20に近接させたり、半導体処理装置20から離間させることができる。
【0023】
図1〜4に示すドア保持部材12は、フープ30のドア31を保持するロードポートドア120と、ロードポートドア120をその一端121aに固定する接続部121と、この接続部121の他端121bに固定されたリンク連結部122と、リンク連結部122を介して接続部121の他端121bに固定された開閉軸係合部123とから構成される。ロードポートドア120は、フープ30のドア31と略同一の大きさを有する略矩形状の部材であり、ドア31を保持するための図示しないドア保持機構が設けられる。接続部121は、その一端121aから鉛直方向下方に延びて第1方向Xに屈曲する部材であり、第1方向Xに延びた部分の先端部(他端121b)の下面にリンク連結部122が配置される。リンク連結部122は、正面視逆L字状であり、下方に屈曲した部分に挿入孔122a(
図4参照)が形成される。なお、この挿入孔122aは、後述する主動リンク131の一端131dに設けられた連結軸131bが挿入されるものである。開閉軸係合部123には、第1方向Xに延びて下向きに開放された溝123aが形成されている。この溝123aは、開口部から内部に向かって一時的に狭くなりそれよりも奥に向かって広がっていくような形状であり、後述する従動ブロック134に設けられたガイドレールとしてのドア開閉軸134bに係合される。
【0024】
図3,4等に示すように、主動リンク131は、一端131dが案内
手段としてのガイド14に案内されるとともにドア保持部材12に回動可能に連結され、他端131eが駆動ブロック133に回動可能に連結されたものである。主動リンク131は、一端132bが主動リンク131の略中央に回動可能に連結され、他端132aが従動ブロック134に回動可能に連結された従動リンク132とともにリンク機構130を構成する。主動リンク131の一面131fには、その一端131dに前述の連結軸131bが設けられており、他端131eに連結軸131cが設けられている。なお、この連結軸131cは、駆動ブロック133のリンク連結部133aに形成された挿入孔133abに挿入される。また、従動リンク132は主動リンク131の一面131fと対向しており、従動リンク132の他端132aには連結軸132gが設けられている。この連結軸132gは、従動リンク132において主動リンク131と対向する面と反対側の面132hに設けられ、駆動ブロック133の図示しない挿入孔に挿入される。主動リンク131の他面における一端131dには、ガイド14の溝14aに嵌まり込み、この溝14a内を移動するガイドローラ131aが回転可能に連結されている。ガイド14は、第2方向Yに延びる垂直部142と垂直部142の上端から第1方向Xに突出する水平部141とを有する逆L字状の部材であり、前記溝14aは主動リンク131の他面と対向するように垂直部142及び水平部141に形成される。主動リンク131の一端131dがこのような構成のガイド14に沿って移動することから、主動リンク131の一端131dに連結されたドア保持部材12は、フープ30の載置位置と同程度の高さ位置ある場合には水平方向に移動し、フープ30の載置位置又はそれよりも下方の高さ位置にある場合には鉛直方向に移動する。
【0025】
図3、4等に示す主動リンク131の一端131dに連結される駆動ブロック133は、第2方向Yに延在する主軸としてのドア昇降軸15に沿って駆動手段17により往復移動する。駆動手段17は、駆動モータ170の駆動により回転する駆動軸172a(
図2参照)と、この駆動軸172aに対して第2方向Yに離間して回転可能に設けられた従動軸172b(
図2参照)とによって無端状の歯付きベルト171を支持し、この歯付きベルト171を回転可能に構成される。駆動ブロック133は、この歯付きベルト171に固定されたベルト固定部133cと、第2方向Yに延びてドア昇降軸15に向かって開放された溝133bcが形成された主軸係合部133bと、ベルト固定部133cと主軸係合部133bとの間に介在するリンク連結部133aとで構成される。ベルト固定部133cには、歯付きベルト171をその厚さ方向に挟み込むための開口133cdが形成されており、リンク連結部133aには、
図4に示す前記連結軸131cが挿入される挿入孔133abが形成されている。主軸係合部133bに形成された溝133bc、及び、後述する主軸係合部134cに形成された溝134cdは、開口部から内部に向かって一時的に狭くなり奥に向かって広がっていく形状である。なお、駆動モータ170は、所定の回転数(パルス数)だけ動作する数値制御駆動モータ170である。
【0026】
前記従動リンク132の他端132aに連結される従動ブロック134は、
図3,4等に示す駆動ブロック133に従動して第2方向Yに往復移動するものである。
図2に示すように、従動ブロック134は、駆動ブロック133とともに、リンク機構130を往復移動させる往復移動手段13を構成するものであり、主動リンク131の一端131dが連結されるリンク連結部分134aと、このリンク連結部分134aに固定され、第2方向Yに延びてドア昇降軸15に向かって開放された溝134cdが形成された主軸係合部134cと、リンク連結部分134aの上面134abに設けられ、第2方向Yに延在するドア開閉軸134bとで構成される。このドア開閉軸134bはその両側面の中央部が延在方向にわたって凹んだ形状であり、
図3,4に示すように、前記開閉軸係合部123の溝123aはこのような形状のドア開閉軸134bと係合するように形成されていることから、従動ブロック134を下方に移動させたとしても開閉軸係合部123との係合状態が外れることはなく、従動ブロック134の移動に伴ってドア保持部材12を移動させることができる。ドア昇降軸15もドア開閉軸134bと同様にその両側面の中央部が延在方向にわたって凹んだ形状であり、
図3,4に示すように、駆動ブロック133の主軸係合部133bに形成された溝133bc、及び、従動ブロック134の主軸係合部134cに形成された溝134cdも上記のような形状のドア昇降軸15と係合するように形成されている。そのため、駆動ブロック133及び従動ブロック134がドア昇降軸15に対して第1方向Xに外れることがなく、ドア昇降軸15は駆動ブロック133及び従動ブロック134を移動自在に支持することができる。なお、このドア開閉軸134b及び前記ガイド14の水平部141に形成される溝14aは、ドア保持部材12の第1方向Xへの移動距離以上の長さで延在し、ガイド14の垂直部142に形成される溝14a及びドア昇降軸15は、ドア保持部材12の第1方向Xへの移動距離以上の長さで延在している。
【0027】
図1、2、3に示すように、前記ドア昇降軸15、ガイド14及び駆動モータ170は、板状のベース部材18の一面180に固定されている。このベース部材18はロードポート装置10の一壁面を構成するものであり、ロードポート装置10はベース部材18の他面181が取り付け面21に当接した状態で半導体処理装置20に固定される。ベース部材18には、ドア開閉軸134bとガイド14との間において第2方向Yに延びる部材挿通開口16が形成されている。前記ドア保持部材12は、この部材挿通開口16を介してベース部材18の一面180側から他面181側に延びて、一面180側で主動リンク131の一端131dに連結されるとともに他面181側でドア保持部材12を保持する。また、ドア保持部材12は、この部材挿通開口16に沿って第2方向Yに移動する。
【0028】
なお、載置テーブル11の下部には、ベース部材18の一面180側に配置された上記の各部材を覆う図示しないカバーが配置されている。
【0029】
以上のようなロードポート装置10において、フープ30のドア31を開放するドア開動作では、駆動モータ170を駆動して歯付きベルト171が回転移動することで、歯付きベルト171と連結している駆動ブロック133がドア昇降軸15に沿って下降を開始する。このとき、主動リンク131の一端131dに固定されているガイドローラ131aはガイド14の水平部141の溝14aに嵌り込んでいるので下方向に移動することはできず、
図3等に示すベース部材18に向けて水平方向に動き出す。ガイドローラ131aのこの移動に伴って、主動リンク131はドア保持部材12及び駆動ブロック133に対して回動しながら
図5に示す状態から
図6に示す状態となるように鉛直方向に対する傾きを小さくしていく。また、従動リンク132も主動リンク131及び従動ブロック134に対して回動しながら
図5に示す状態から
図6に示す状態となるように鉛直方向に対する傾きを小さくしていく。さらに、主動リンク131の一端131dに連結されたドア保持部材12は、
図3等に示す従動ブロック134のドア開閉軸134b(
図4参照)に沿って水平方向に移動する。これによってドア31が第1方向Xに移動する。
【0030】
図6,7等に示すガイドローラ131aがガイド14の垂直部142に差し掛かると従動ブロック134もドア昇降軸15に沿って下降し始めて、ドア31は開動作から下降動作に移行する。下降動作では、駆動ブロック133及び従動ブロック134が共にドア昇降軸15に沿って下降し、ガイドローラ131aはガイド14の垂直部142を下降する。このとき、主動リンク131及び従動リンク132は、
図6に示す状態から
図7に示す状態となるようにガイド14の垂直部142に差し掛かった時点での傾きを変化させることなく下降していく。これによって、ドア31が下降すなわち第2方向Yに移動する。
【0031】
次に、フープ30のドア31を閉止するドア閉止動作時では、駆動モータ170が前述の開動作時とは逆方向に駆動して歯付きベルト171を逆回転移動させることで、
図3等に示す駆動ブロック133及び従動ブロック134がドア昇降軸15に沿って共に上昇し、
図6,7等に示すガイドローラ131aはガイド14の垂直部142を上昇して、ドア31が上昇する。このとき、主動リンク131及び従動リンク132は、
図7に示す状態から
図6に示す状態となるように傾きを変化させることなく上昇していく。ガイドローラ131aがガイド14の水平部141に進入すると、従動ブロック134は上昇することができなくなり、ドア31は閉動作に移行する。閉動作では、駆動ブロック133が上昇してもガイドローラ131aはガイド14の水平部141の溝14aに嵌り込んでいるので上方向に移動することができず、
図3等に示すベース部材18から離間するように水平方向に動き出す。ガイドローラ131aのこの移動に伴って、主動リンク131はドア保持部材12及び駆動ブロック133に対して回動しながら
図6に示す状態から
図5に示す状態になるように鉛直方向に対する傾きを大きくしていく。また、従動リンク132も主動リンク131及び従動ブロック134に対して回動しながら
図6に示す状態から
図5に示す状態となるように鉛直方向に対する傾きを大きくしていく。さらに、ドア保持部材12は、従動ブロック134のドア開閉軸134bに沿って水平方向に移動する。このとき、
図3,4等に示すリンク機構130及びガイド14は、トグル作用を発揮する締付け機構50を構成するものであり、駆動ブロック133に伝達された上方向の駆動力を、主動リンク131が傾くことでドア保持部材12による第1方向Xへの押圧力に変換することができる。このような締付け機構50では、主動リンク131の傾きが水平に近くなることで、原理的には無限大の極めて大きな押圧力を得ることが可能となる。数値制御駆動モータ170である駆動モータ170は、所定の回転数(パルス数)だけ駆動すると停止し、これによってドア31が設定された位置で停止する。
【0032】
以上のように本実施形態のロードポート装置10は、複数の半導体ウェーハを収容可能な収納容器としてのフープ30を支持し、そのフープ30のドア31を第1方向Xである水平方向から第2方向である鉛直方向へと相互に移動させることで開閉するものであり、フープ30のドア31を保持するドア保持部材12と、このドア保持部材12に一端が回動可能に連結された主動リンク131を有するリンク機構130と、水平方向から鉛直方向に屈曲して延在し、主動リンク131の一端131dを案内する案内手段としてのガイド14と、主動リンク131の他端131eが回動可能に連結される駆動部材としての駆動ブロック133を少なくとも1つ有し、ドア保持部材12を往復移動可能とする往復移動手段13と、鉛直方向に延在し、その延在方向に駆動ブロック133を移動させるための主軸としてのドア昇降軸15と、前記駆動ブロック133をドア昇降軸15に沿って駆動させる駆動手段17と、を備え、リンク機構130は、主動リンク131の他端131eが鉛直方向へ移動している状態で、主動リンク131の一端131dがガイド14に沿って水平方向から鉛直方向または鉛直方向から水平方向へ移動することを許容するように構成されている。
【0033】
このように構成されているため、駆動ブロック133の鉛直方向への往復移動に連動して、主動リンク131の一端131dがガイド14に沿って水平方向から鉛直方向へ、又は鉛直方向から水平方向へ移動する。そのため、駆動ブロック133を1つのドア昇降軸15上で動作させるだけで各部材133,134,130を円滑に移動させて、ドア保持部材12に保持されたフープ30のドア31を開閉することができ、パーティクルが発生することを抑制できるとともにドア31の開閉動作を滑らかに行うことができる。また、駆動ブロック133の鉛直方向への移動力をドア保持部材12の鉛直方向への移動力に変換するために主動リンクを用いることで、この変換を円滑に行うことができ、これによってパーティクルの発生を一層抑制することができる。さらにドア昇降軸15が1つで済むことから、装置構成を簡単にできるとともに駆動源を1つにすることもでき、製造コストを抑制することができる。
【0034】
具体的な構成としては、往復移動手段13が、前記駆動ブロック133と離間してドア昇降軸15によって鉛直方向に移動可能とされた従動ブロック134をさらに有し、リンク機構130は、一端132bが主動リンク131に回動可能に連結され、他端132aが従動ブロック134に回動可能に連結された従動リンク132をさらに有し、ドア保持部材12は、従動ブロック134に水平方向へ移動可能に支持されている。
【0035】
そのため、駆動ブロック133及び主動リンク131の一端131dが鉛直方向へ移動する場合には、主動リンク131及び従動リンク132を介して駆動ブロック133に接続された従動ブロック134も鉛直方向へ移動することから、この従動ブロック134に支持されたドア保持部材12を鉛直方向へ円滑かつ安定して移動させることができる。また、駆動ブロック133の鉛直方向への移動に伴って主動リンク131の一端131dが水平方向へ移動する場合には、従動リンク132に対する主動リンク131の角度が変化することから、従動ブロック134の位置は変化しない。そのため、主動リンク131の一端131dに連結されているドア保持部材12を、従動ブロック134に支持されている状態で水平方向に移動させることができ、ドア保持部材12を水平方向へ円滑かつ安定して移動させることができる。
【0036】
また、リンク機構130及びガイド14は、ドア31の閉止に向けて主動リンク131の他端131eが鉛直方向に移動しつつ、一端131dが水平方向に移動する際にトグル作用を発揮する締付け機構50を構成するものであることから、このトグル作用によってドア保持部材12に高い締め付け力を付与することができ、閉止時にドア31をフープ30に対して強い力で押し付けることができる。このため、別途に締付け機構を構成することを不要にすることができる。また、ドア31をフープ30に対して強い力で押し付けることで、前記リテーナがフープ30のドア31を外側に押し付ける力に打ち勝って、フープ30のドア31を閉止することができるようになる。加えて、開閉時にドア保持部材12がフープ30のドア31の取付面32aに対して直交する方向へ移動することから、前述のトグル作用を通じたドア31の閉止力を高めることができる。
【0037】
加えて、一面180にガイド14及びドア昇降軸15が固定された板状のベース部材18をさらに備え、このベース部材18において、鉛直方向に延在し、ドア保持部材12が挿通する部材挿通開口16が形成されており、ドア保持部材12は、この部材挿通開口16を介してベース部材18の一面180側から他面181側に延びて、一面180側で主動リンク131の一端131dに連結されるとともに他面181側でドア保持部材12を保持するように構成されていることから、仮にドア昇降軸15等からパーティクルが発生したとしても、半導体処理装置20の内部にそのパーティクルが進入しにくい装置とすることができる。
【0038】
その理由としては、ドア保持部材12は、主動リンク131が水平方向へ移動する際には、部材挿通開口16内で水平方向に移動する一方、主動リンク131が鉛直方向へ移動する際には、部材挿通開口16内を鉛直方向へ移動する。このように、ベース部材18の一面180側に配置されたリンク機構130を移動させることで、他面181側に配置されたドア保持部材12を移動させることができるため、
図1に示すように、本発明のロードポート装置10を半導体処理装置20に取り付けた場合には、装置内部にドア保持部材12を配置でき、そのドア保持部材12を装置外部に配置したリンク機構130およびドア昇降軸15等により移動させることができる。したがって、装置外部で浮遊するパーティクルが装置内部に進入しにくく、装置内部にある半導体ウェーハのパーティクルによる汚染を抑制できる。
【0039】
また、本発明のロードポート装置10が取り付けられている半導体処理装置20は、
図1に示すように装置内部に気体を供給する気体供給手段22を備え、装置内部の圧力Paを装置外部Pbよりも高く設定することができるものである。このため、装置外部の気体が装置内部に流れ込みにくく、装置外部に浮遊するパーティクルが装置内部に侵入することを一層抑制できるので、半導体ウェーハの汚染を一層抑制することができる。さらに、本発明のロードポート装置10はドア31の開閉に伴う装置の振動を抑制できることから、半導体処理装置20からフープ30の本体32内部に流れ込む気流を安定させることができ、ドア保持部材12が振動して気流が乱れることによるパーティクルの発生をも抑制することができる。
【0040】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0041】
例えば、本実施形態では第1方向を水平方向に設定し、第2方向を鉛直方向に設定していたが、水平方向、鉛直方向と異なる方向に設定してもよい。
【0042】
また、本実施形態では駆動ブロック133は歯付きベルト171の回転に伴って移動するが、駆動ブロック133を移動させるものとして例えばボールねじや上下方向に往復移動する昇降装置を用いてもよい。
【0043】
さらに、主動リンク131のみでリンク機構を構成してもよく、また、リンク機構として
図8に示すような平行リンク機構230を構成するものを用いてもよい。この場合、例えば、往復移動手段を、従動ブロック134を有さず、駆動ブロック133(
図3等参照)と同様の構成の第1の駆動ブロックと、駆動手段17に駆動されてドア昇降軸15に沿って鉛直方向に移動可能とされた第2の駆動ブロックとを有するものとする。また、ガイド19を、同一形状の第1案内部191と第1案内部191の上方に連続する第2案内部190を有するものとする。そして、平行リンク機構230が、一端231aが第2案内部190に案内され、他端231bが第2の駆動ブロックに回動可能に連結されたリンク231と、一端232aが第1案内部191に案内され、他端232bが第1の駆動ブロックに回動可能に連結された主動リンク232と、リンク231の一端231aと主動リンク232の一端232aとに回動可能に連結されたリンク233と、前記第1の駆動ブロック及び前記第2の駆動ブロックがそれぞれ接続する歯付きベルト171(
図3等参照)とを含む。ここで、リンク231と主動リンク232とが平行リンクを構成し、リンク233と歯付きベルト171とが平行リンクを構成する。さらに、第2の駆動ブロックとドア保持部材12との間に、第2の駆動ブロックが鉛直方向に移動している状態でドア保持部材12が第1方向Xへ移動可能とするための図示しない機構を設けて、ドア保持部材12が第2の駆動ブロックに第1方向Xへ移動可能に支持されるような構成とする。
【0044】
このような平行リンク機構230を備える構成とすることで、第1の駆動ブロック、第2の駆動ブロック及び各リンク231,232の一端231a,232aが鉛直方向へ移動する場合には、第2の駆動ブロックに支持されたドア保持部材12を鉛直方向へ円滑かつ安定して移動させることができる。また、駆動ブロック133及び第2の駆動ブロックの鉛直方向への移動に伴って各リンク231,232の一端231a,232aが水平方向へ移動する場合には、各リンク231,232が第1の駆動ブロック又は第2の駆動ブロックに対して回動して傾きが変化することから、これらの駆動ブロックの位置は変化しない。そのため、リンク231の一端131dに連結したドア保持部材12を、第2の駆動ブロックに支持されている状態で水平方向に移動させることができ、ドア保持部材12を水平方向へ円滑かつ安定して移動させることができる。
【0045】
また上記構成において、リンク231及び主動リンク232は、それらの他端231b,232b同士が歯付きベルト171ではなく他のリンクを介して連結されていてもよい。さらに、リンク233は、リンク231の一端231aと主動リンク232の一端232aとを連結する構成に限らず、これらのリンク231,232の中央部を連結する構成であってもよい。
【0046】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。