特許第6260111号(P6260111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6260111
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】抗しわ組成物及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20180104BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180104BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q19/08
   A61K8/73
   A61K8/34
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-110159(P2013-110159)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-227400(P2014-227400A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年5月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081514
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】関根 愛実
(72)【発明者】
【氏名】大川 洋
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−022006(JP,A)
【文献】 特開2007−119374(JP,A)
【文献】 特開2012−206971(JP,A)
【文献】 特開2013−001673(JP,A)
【文献】 特開2007−131687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
A61K31/33−33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式(1)で表される重量平均分子量5,000〜100,000の高分子化合物、
(B)カルボキシメチルデキストランナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、コーンスターチ、デキストリン、及びポリビニルピロリドンから選択される1種以上の水溶性高分子化合物、
(C)1,3−ブチレングリコール、及び
(D)グリセリン、からなる組成物であって、
前記(A)1質量部に対して、前記(B)が1〜20質量部、前記(C)が5〜30質量部、及び前記(D)が5〜30質量部である、
抗しわ組成物。
【化1】
(m、nは構成単位のモル比を示すための数字であり、モル比でm/n=65/35〜55/45である。)
【請求項2】
請求項1に記載の前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分、並びに(E)ステアリン酸スクロース、オクテニルコハク酸デキストリンナトリウム、及びオクテニルコハク酸デキストリントリエタノールアミンから選択される1種以上の界面活性剤、からなる組成物であって、
前記(A)1質量部に対して、前記(B)が1〜20質量部、前記(C)が5〜30質量部、前記(D)が5〜30質量部、及び前記(E)が0.01〜5質量部である、
抗しわ組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の抗しわ組成物を0.01〜30質量%含有することを特徴とする化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に塗布することで優れた抗しわ効果及びハリ感を実現し、同時に使用感や配合性にも優れる抗しわ組成物、並びに同組成物を用いることで良好な抗しわ効果及び使用感を実現する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚にハリや弾力を与え、しわを改善する化粧料には、水溶性高分子化合物を使用したパック化粧料、マッサージ化粧料が使用されている。例えば、特許文献1及び2には、水溶性高分子化合物により形成したゲルを用いたパック化粧料が提案されている。また、特許文献3には水溶性高分子化合物により粘度を調整したマッサージ化粧料が提案されている。しかし、これらは有効成分の浸透を促進することにより、抗しわ効果を発揮するものであるため、効果が現れるまでには長期間を必要とし、その効果は十分ではない。
【0003】
また、特許文献4には、分子構造中にグリセロール基とウレタン結合とを両方あわせ持ち、セラミドの化学構造に類似した構造の単量体である、グリセロール(メタ)アクリレートと、ステアリルメタクリレートとの共重合体及びそれを配合した化粧料が提案されている。しかし、抗しわ素材としての有用性については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−63230号公報
【特許文献2】特開2004−149463号公報
【特許文献3】特開2007−63212号公報
【特許文献4】特開2007−119374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、塗布直後から皮膚にハリ感を与え、抗しわ効果を発揮し、使用感や配合性にも優れる抗しわ組成物及び化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定組成の共重合体からなる高分子化合物、水溶性高分子化合物、及び特定のヒドロキシル基含有低分子化合物を有する、顕著な抗しわ効果と優れた使用感を両立する組成物を開発し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明によれば、(A)下記式(1)で表される重量平均分子量5,000〜100,000の高分子化合物、(B)カルボキシメチルデキストランナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、コーンスターチ、デキストリン、及びポリビニルピロリドンから選択される1種以上の水溶性高分子化合物、(C)1,3−ブチレングリコール、及び(D)グリセリン、からなる組成物であって、前記(A)1質量部に対して、前記(B)が1〜20質量部、前記(C)が5〜30質量部、及び前記(D)が5〜30質量部である抗しわ組成物が提供される。
【0008】
【化1】
(m、nは構成単位のモル比を示すための数字であり、モル比でm/n=65/35〜55/45である。)
【0009】
また、(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分、並びに(E)ステアリン酸スクロース、オクテニルコハク酸デキストリンナトリウム、及びオクテニルコハク酸デキストリントリエタノールアミンから選択される1種以上の界面活性剤、からなる組成物であって、(A)1質量部に対して、前記(B)が1〜20質量部、前記(C)が5〜30質量部、前記(D)が5〜30質量部、及び前記(E)が0.01〜5質量部である、抗しわ組成物とすることが好ましい。
【0010】
更に、本発明によれば、上記抗しわ組成物を0.01〜30質量%含有することを特徴とする化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の抗しわ組成物は、上記(A)〜(D)成分が配合されていることにより、皮膚へのハリ感、抗しわ効果、及び良好な使用感に加えて、組成物の配合安定性に優れる。特に(A)成分の疎水性高分子化合物と(B)成分の水溶性高分子化合物を組み合わせることにより、塗布直後に皮膚表面に水素結合による緻密な被膜を形成させ、即時的な強いハリ感と抗しわ効果を実現したものである。更に、(A)成分は(B)成分の硬い使用感をなめらかにする効果を発揮する。
また、本発明の抗しわ組成物は配合安定性に優れる効果を有しているので、化粧水、乳液、クリーム等広範な化粧料の組成物として応用が可能であり、当該本発明の化粧料は、組成物同様、ハリ感や抗しわ効果が高く、かつ使用感に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の抗しわ組成物は、上記式(1)で表される疎水性高分子化合物を含む[(A)成分]。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は5,000〜500,000であり、好ましくは10,000〜100,000である。Mwが5,000未満では十分な被膜形成能が発現しない恐れがあり、Mwが500,000以上ではハンドリング性が悪くなる恐れがあるので好ましくない。
【0013】
(A)成分の重量平均分子量は、例えば、次のようにして測定することができる。
(分子量測定)
(A)成分の測定溶液を、次のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)の条件により測定する。測定溶液の調製は、まず、(A)成分を0.5質量%の臭化リチウムを含むクロロホルム/メタノール(=6/4、v/v)混合溶媒に溶解させる。次いで、0.5質量%の(A)成分溶液を調製し、この溶液を0.45μmのメンブランフィルターで濾過して測定する。
(GPC分析の条件)
カラム;Plge 15μm MIXED−C、2本直列(ポリマー・ラボラトリー社製)、溶出溶媒;0.5質量%の臭化リチウムを含むクロロホルム/メタノール(=6/4、v/v)混合溶媒、検出;示差屈折計、重量平均分子量(Mw)測定の際の標準物質;PMMA(ポリマー・ラボラトリー社製)、流速;1.0mL/分、測定溶液使用量;20μL、カラム温度;40℃、東ソー社製インテグレーター内蔵分子量計算プログラム(SC−8020用GPCプログラム)を用いる。
【0014】
(A)成分は、化粧品の成分表示名称において、「メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリルコポリマー」と定義される化合物である。同化合物は、既知の方法、例えば、特開2007−119374号公報の合成例5に示された方法に準拠して製造することができる。あるいは市販のものを用いても良い。市販品の例としては、セラキュート(Ceracute)(登録商標)−F(日油株式会社製)が挙げられる。
【0015】
本発明の抗しわ組成物は、また、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、コーンスターチ、デキストリン、及びポリビニルピロリドンから選択される1種以上の水溶性高分子化合物を含む[(B)成分]。
これらの中でも、ポリビニルピロリドンがハリ感及び抗しわ効果の観点から最も好ましい。
【0016】
(B)成分の含有割合は(A)成分1質量部に対して1〜20質量部、好ましくは5〜10質量部の割合である。(A)成分に対する含有割合が1質量部より少ない場合は、皮膚へ塗布時の被膜形成性が不十分となり、ハリ感及び抗しわ効果が不十分となる。また、20質量部より多い場合も、皮膚へ塗布時の被膜形成性が不十分となり、ハリ感及び抗しわ効果が不十分となる。
【0017】
本発明の抗しわ組成物は、更に、1,3−ブチレングリコールを含む[(C)成分]。
(C)成分の含有割合は、(A)成分1質量部に対して5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部である。(A)成分に対する含有割合が5質量部より少ない場合は、皮膚へ塗布時の被膜形成性が不十分となり、ハリ感及び抗しわ効果が不十分となる。また、30質量部より多い場合も、皮膚へ塗布時の被膜形成性が不十分となり、ハリ感及び抗しわ効果が不十分となる。
【0018】
本発明の抗しわ組成物は、また、グリセリンを含む[(D)成分]。
(D)成分の含有割合は、(A)成分1質量部に対して5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部である。(A)成分に対する含有割合が5質量部より少ない場合は、皮膚へ塗布時の被膜形成性が不十分となり、ハリ感及び抗しわ効果が不十分となる。また、30質量部より多い場合も、皮膚へ塗布時の被膜形成性が不十分となり、ハリ感及び抗しわ効果が不十分となる。
【0019】
本発明の抗しわ組成物は、その効果を阻害することなく、皮膚へ塗布時のすべりやなじみを向上させるため、所望により、下記の(E)成分を含有させることができる。
当該(E)成分として、ステアリン酸スクロース、オクテニルコハク酸デキストリンナトリウム、及びオクテニルコハク酸デキストリントリエタノールアミンから選択される1種以上の界面活性剤を挙げることができる。
(E)成分を含有する場合、その割合は、(A)成分1質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜1質量部である。(E)成分の含有割合が0.01〜5質量部の範囲であると、皮膚へ塗布時のすべりやなじみが更に良好となる。
【0020】
次に、本発明の抗しわ組成物の製造方法について説明する。
上記(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分を有する本発明の抗しわ組成物は、ハンドリング性の点で、通常、水を加えて水溶液として取り扱うことが好ましい。水としては、精製水、純水、イオン交換水、上水等を用いることができる。
該製造方法としては、次のような方法を例示することができるが、最終的に(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分を有する均一な組成物を得ることができればよく、下記方法に限定されない。
【0021】
(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分、及び水を配合槽等の容器に投入し、室温〜100℃の温度にて撹拌することにより、本発明の抗しわ組成物の水溶液を得ることができる。撹拌時間及び撹拌方法には特に限定はなく、均一な水溶液(好ましくは透明)となる程度に、常法に従って撹拌すればよい。上記各成分及び水は、同時に投入してもよく、各成分を順次投入してもよい。効率性の点で、水を最初に仕込んだ後、各成分を投入することが好ましい。
【0022】
なお、水は、本発明の抗しわ組成物において必須成分とする必要はなく、(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分を混合した混合物も本発明の範囲内である。
【0023】
本発明の別の観点において、化粧料が提供され、該化粧料は上記本発明の抗しわ組成物を特定割合で含有する。
本発明の化粧料において、本発明の抗しわ組成物の含有割合は0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。0.01%未満である場合、本発明の抗しわ組成物の特徴である、ハリ感や抗しわ効果が現れにくく、30質量%より多い場合、べたつきのない良好な感触が損なわれるおそれがある。
【0024】
本発明の化粧料は、化粧料の種類に応じて、通常化粧料に常用される、本発明の抗しわ組成物以外の各種他の成分を適宜配合することができる。当該他の成分としては、本発明の目的を妨げない限り特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、色材、アルコール類、紫外線防止剤、アミノ酸類、ビタミン類、美白剤、有機酸、無機塩類、酵素、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤、香料、色素、水が挙げられる。
【0025】
本発明の化粧料の形態は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、ファンデーション等の形態でスキンケア化粧料やメーキャップ化粧料、マッサージ化粧料、パック化粧料に用いることができる。特に、配合性が良好であるため、透明性の高い化粧水や美容液としても本発明の抗しわ組成物を用いることができる。
【実施例】
【0026】
次に本発明について実施例及び比較例により、本発明及びその効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0027】
実施例1:抗しわ組成物の配合及び性能評価(1)
実施例1−1
(A)成分:(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー(分子量:40,000、m/n=60/40);1g、(B)成分:カルボキシメチルデキストランナトリウム;7g、(C)成分:1,3−ブチレングリコール;15g、(D)成分:グリセリン;15g、水;62gを250mLのガラスビーカーにとり、70℃の温浴中にて30分間スターラー撹拌することにより、抗しわ組成物の水溶液100gを得た。この抗しわ組成物に関して、下記に示す抗しわ効果の評価、並びにハリ感、すべり、及びなじみの評価を行った。結果を表1に示す。なお、各成分の商品名等は表1欄外に示す。
【0028】
<抗しわ効果の評価>
35〜65歳の女性20人を対象として、恒温・恒湿環境下に十分馴化させた後、座位にて軽く眼を閉じた状態で目尻の皮膚のレプリカを採取した。各被験者の顔面の半分に、作製した抗しわ組成物の1%水溶液を塗布し、1時間後、同様に同部位のレプリカを再度採取した。採取したレプリカをレプリカ解析システム(ASA−03R,(株)アサヒテクノラボ製)を用いて解析した。以下の方法により、しわ面積率としわ最大深さを算出した。それぞれ塗布前の値を1としたときの塗布後の相対値を算出し、20名の平均をとり判定した。値が低いほどしわ面積率としわ最大深さの減少率が多く、抗しわ効果に優れる。
(しわ面積率)
レプリカに30°から投射光を当て、10mm×10mmの特定の領域を撮影する。得られた画像を二値化処理し、以下の式より求めた。
しわ面積率=(しわに由来した影の総面積)/(解析領域の総面積)
(しわ最大深さ)
解析領域中に存在するしわの中で最大の影面積を生じる一本のしわを最大しわとする。この最大しわの影部の幅(d)及び投射光角度(θ)より、以下の式を用いてしわ最大深さを求めた。
しわ最大深さ=d×tanθ
【0029】
<ハリ感の評価>
35〜65歳の女性20人(モニター)を対象として、下記の評価基準に従い、抗しわ組成物の1%水溶液塗布前と塗布1時間後の肌のハリの状態を評価した。20名の平均をとり判定した。
(判断基準)
5:肌のはりが非常に増した、4:肌のハリが増した、3:肌のハリは変化なし、2:肌のハリが減少した、1:肌のハリが非常に減少した
【0030】
<すべり、なじみの評価>
同モニターについて、抗しわ組成物の1%水溶液塗布時のすべり、肌へのなじみについて、下記基準により評価した。20名の平均をとり判定した。
(判断基準)
5:非常に良好、4:良好、3:普通、2:不良、1:非常に不良
【0031】
実施例1−2〜1−11
(B)成分として表1に示す各原料を用いた以外は、実施例1−1と同様な方法にて各抗しわ組成物の水溶液の作製を行った。得られた抗しわ組成物について、上記の各評価方法に準じて測定した結果を表1に示す。
【0032】
比較例1−1〜1−10
表2に示す組成で実施例1−1と同様な方法にて比較例用の各組成物の水溶液の作製を行った。得られた組成物について、上記の各評価方法に準じて測定した結果を表2に示す。なお、各成分の商品名等は表1欄外に示したものと同じである。
【0033】
表1及び2より、実施例で用いた抗しわ組成物は比較例で用いた組成物と比較して、抗しわ効果、ハリ感、すべり、なじみのいずれの評価項目においても優れていることが分かった。中でも(B)成分としてポリビニルピロリドンを使用した抗しわ組成物は、特に抗しわ効果、ハリ感に優れていることが明らかになった。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
実施例2:抗しわ組成物の配合及び性能評価(2)
実施例2−1
(A)成分:(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー(分子量:40,000、m/n=60/40);1.0g、(B)成分:カルボキシメチルデキストランナトリウム;7.0g、(C)成分:1,3−ブチレングリコール;15.0g、(D)成分:グリセリン;15.0g、(E)成分:ステアリン酸スクロース;0.1g、水;61.9gを250mLのガラスビーカーにとり、70℃の温浴中にて30分間スターラー撹拌することにより、抗しわ組成物の水溶液100.0gを得た。この抗しわ組成物に関して、実施例1−1と同様に抗しわ効果の評価、ハリ感、すべり、なじみの評価を行った。結果を表3に示す。なお、(E)成分の商品名等は表3欄外に示す。また、(E)成分以外の各成分の商品名等は表1欄外に示したものと同じである。
【0037】
実施例2−2〜2−7
(E)成分として表3に示す各原料を用いた以外は、実施例2−1と同様な方法にて各抗しわ組成物の水溶液を作製した。得られた抗しわ組成物について、上記の各評価方法に準じて測定した結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
実施例3:化粧水の調製及び性能評価
実施例3−1〜3−18
表4の処方に従い、イの各成分を室温下にて溶解した。また、実施例1−1〜1−11、及び2−1〜2−7に示した各抗しわ組成物を含む、ロの各成分を60℃にて均一に溶解し、これをかき混ぜながらイの成分を加え、実施例3−1〜3−18の各化粧水を調製した。得られた各化粧水に関して下記に示す抗しわ効果の評価、並びにハリ感、すべり、及びなじみの評価を行った。結果を表4に示す。
【0040】
<抗しわ効果の評価>
35〜65歳の女性20人を対象として、各被験者の顔面の半分に、作製した化粧水を塗布し、実施例1−1と同様にレプリカの採取、解析を実施した。
<ハリ感の評価>
35〜65歳の女性20人を対象として、作製した化粧水塗布前後の肌のハリの状態を実施例1−1と同様に評価した。
<すべり、なじみの評価>
35〜65歳の女性20人を対象として、作製した化粧水塗布時のすべり、肌のなじみについて実施例1−1と同様に評価した。
【0041】
比較例3−1〜3−10
表5の処方に従い、比較例1−1〜1−10に示した各組成物を含む比較例3−1〜3−10の各化粧水を実施例3と同様に調製した。得られた各化粧水に関して実施例3と同様に性能評価試験を実施した。結果を表5に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
実施例4:クリームの調製及び性能評価
実施例4−1〜4−18
表6の処方に従い、イの各成分を70℃にて均一に溶解した。また、実施例1−1〜1−11、及び2−1〜2−7に示した各抗しわ組成物を含む、ロの各成分を70℃にて均一に溶解し、イを徐々に加えて予備乳化した。70℃に温度を保ちながらホモミキサーにて均一に乳化した。これをかき混ぜながら冷却し、実施例4−1〜4−18の各クリームを調製した。得られた各クリームに関して実施例3と同様に性能評価試験を実施した。
【0045】
比較例4−1〜4−10
表7の処方に従い、比較例1−1〜1−10に示した各組成物を含む比較例4−1〜4−10の各クリームを実施例4と同様に調製した。得られた各クリームに関して実施例3と同様に性能評価試験を実施した。結果を表7に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
表4〜表7より、本発明の各実施例の化粧料は、各比較例の組成物を用いた化粧料と比較して、抗しわ効果、ハリ感、すべり、なじみのいずれの評価項目においても優れていることが分かった。中でもポリビニルピロリドンを使用した抗しわ組成物配合化粧料は、特に抗しわ効果、ハリ感に優れていることが明らかになった。