(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給湯装置は、運転オン状態であっても、出湯停止が検知されると給湯動作が停止されて待機状態となる。待機状態では、ガスバーナ等の熱源機構への燃料供給が停止されるため、熱交換器への熱量の入力が停止される。
【0007】
待機状態におけるユーザの開栓による再出湯時には、待機状態で給湯装置内部に滞留された湯が、まず出力される。さらに、最小作動流量MOQが検出されるまでは、給湯動作は開始されないので、ガスバーナ等の熱源機構から熱交換器へ熱量が入力されない。したがって、再出湯時には、最小作動流量MOQの検出に応じて実際に昇温が開始されるまでの出湯量が、待機状態での給湯装置内部の保持熱量に対して大き過ぎると、出湯温度の低下を招くことが懸念される。
【0008】
高層住宅の上層階に設置される等により入水圧が低い環境で使用される給湯装置では、再出湯時における初期流量が小さくなるため、最小作動流量MOQを速やかに検出できなくなる可能性がある。これにより、給湯動作の再開が遅れることによって、上述のような再出湯時における出湯温度低下の可能性が増加する。特に、近年では、環境指向等の社会背景もあり、コンパクト化された給湯装置のニーズも高まっている。コンパクト化された給湯装置では、待機状態での内部保持湯量、すなわち、保持熱量も小さくなるので、再出湯時における出湯温度低下の問題がさらに懸念される。
【0009】
特許文献1に記載された給湯装置では、低水圧時にも、最小作動流量MOQが検出されるまで水量調整弁を開放する制御により、最小作動流量MOQを確保して給湯動作を速やかに再開できることが記載されている。しかしながら、特許文献1では、水量調整弁は開方向に一律に駆動される。
【0010】
したがって、上述したコンパクト化された給湯装置に特許文献1の制御が適用されると、低水圧での再出湯時には、最小作動流量MOQを速やかに確保できる一方で、実際に昇温が開始されるまでの間における出湯量が過大となることによって、出湯温度が低下する虞がある。
【0011】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、給湯装置への入水圧が低い場合においても、運転オン状態での出湯停止後における再出湯時に、給湯動作の再開遅れ抑制と、出湯温度の低下抑制とを両立するように、水量調整弁の開度を制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明による給湯装置は、熱交換器と、水量調整弁と、流量検出器と、制御装置とを備える。熱交換器は、熱源機構によって発生された熱量によって通水路を通過する水を加熱するように構成される。水量調整弁は、通水路の流量を調整する。流量検出器は、通水路の流量を検出する。制御装置は、熱源機構および水量調整弁を制御する。制御装置は、流量検出器によって最小作動流量を超えた流量が検出されたときに給湯動作を実行するように前記熱源機構を制御するための手段と、熱源機構が停止された給湯停止後に水量調整弁を第1の開度に設定するための手段と、水量調整弁が第1の開度に設定された状態において、流量が最小作動流量よりも低く、かつ、最小作動流量より低い所定流量を超えたときに、水量調整弁を第1の開度よりも流量が増加する第2の開度に設定するための手段とを含む。
【0013】
上記給湯装置によれば、給湯停止後において、再出湯に備えた水量調整弁の待機開度を2段階(第1/第2の開度)に設定することにより、入水圧が低い場合であっても、待機開度を切換えることによって最小作動流量(MOQ)超の通流遅れを抑制するとともに、給湯動作によって昇温が再開されるまでの出湯量を抑制することができる。したがって、コンパクト化された給湯装置を入水圧が低い環境で使用しても、再出湯時において、給湯動作の再開遅れ抑制と出湯温度の低下抑制との両方を図ることができる。
【0014】
好ましくは、制御装置は、水量調整弁が第2の開度に設定された状態において、流量が最小作動流量に達しないときに、水量調整弁の開度を流量が増加する方向へ制御するための手段をさらに含む。
【0015】
このようにすると、水量調整弁を第2の開度に設定しても最小作動水量(MOQ)が検知できないときには、水量調整弁の開度を自動的に制御して流量を増加することができる。したがって、入水圧が低い場合でも、再出湯時における給湯動作の再開遅れを抑制することができる。
【0016】
さらに好ましくは、第1の開度は、給湯装置への入水圧が所定の標準水圧である場合に、最小作動流量が通水路を通過可能な開度に設定される。第2の開度は、給湯装置への入水圧が、標準水圧よりも低い所定の最低作動水圧である場合に、最小作動流量が通水路を通過可能な開度に設定される。第2の開度は、最大開度よりも流量が小さい開度である。
【0017】
このように構成すると、入水圧が標準水圧および低水圧(最低作動水圧時)のいずれである場合にも、再出湯時に、最小作動流量(MOQ)超の通流遅れを抑制するとともに、給湯装置の昇温機能が回復するまでの出湯量が過大になることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、給湯装置の入水圧が低い場合にも、運転オン状態での出湯停止後における再出湯時に、給湯動作の再開遅れ抑制と、出湯温度の低下抑制とを両立するように、水量調整弁の開度を制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯装置の概略構成図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る給湯装置100は、給湯配管110と、バイパス配管120と、ガスバーナ130と、熱交換器140と、ガス比例弁150と、水量調整弁160と、制御装置200とを含む。
【0022】
給湯配管110は、入水口から給湯口までを連結するように構成される。すなわち、給湯配管110によって「通水路」が構成される。水量調整弁160は、給湯配管110に介挿接続される。制御装置200により水量調整弁160の開度を調整することによって、給湯配管110の流量を制御することができる。通常の給湯時には、過流出防止機能(最大流量の制限と出湯温度の調整)のために、すなわち、給湯配管110の流量Q(l/min)が過大にならないように、制御装置200は、水量調整弁160の開度を制御する。
【0023】
ガスバーナ130は、図示しないガス配管から供給されたガスと、図示しない燃焼ファンから供給された空気との混合気を燃焼することによって、熱量を発生する。ガスバーナ130に供給されるガス圧(すなわち、単位時間当たりのガス供給量)は、ガス比例弁150の開度に応じて制御される。なお、燃焼ファンからの供給空気量は、ガスバーナ130での燃焼における空燃比を一定に維持するように制御される。
【0024】
ガスバーナ130での燃焼により発生された熱量は、熱交換器140を経由して、給湯配管110を流れる水の温度上昇に用いられる。すなわち、ガスバーナ130は「熱源機構」の一実施例である。
【0025】
なお、
図1に例示した給湯装置100は、熱交換器140の出力と、熱交換器140を非通過とするためのバイパス配管120の出力とを混合して出湯するように構成されているが、バイパス配管120は配置されなくてもよい。
【0026】
また、
図1の構成例に加えて、バイパス配管120にバイパス流量調整弁を設けてもよい。あるいは、バイパス配管120と給湯配管110との合流点145に湯水混合比の調整弁を設けることも可能である。これらの構成では、熱交換器140の下流で、かつ、合流点145の上流側に、缶体温度センサが設けられる。
【0027】
給湯配管110には、流量センサ210と、温度センサ220,230とが設けられる。流量センサ210によって、給湯配管110の流量Qが検出される。温度センサ220は、熱交換器140の上流側に設けられて、入水温度Tcを検出する。温度センサ230は、熱交換器140の下流側に設けられて、出湯温度Thを検出する。検出された流量Q、入水温度Tcおよび出湯温度Thは、制御装置200に入力される。すなわち、流量センサ210は「流量検出器」の一実施例に対応する。
【0028】
制御装置200は、たとえば、マイクロコンピュータ等によって構成されて、給湯装置100の動作を制御する。具体的には、給湯装置100がユーザ操作によって運転オン状態に設定されていると、流量センサ210によって検出された流量Qが、所定の最小作動流量MOQよりも大きい間、すなわち、最小作動流量MOQ超の通流が検出される間、給湯動作を実行する。給湯動作の実行時には、ガスバーナ130でのガスの燃焼によって、熱交換器140へ熱量が入力される。なお、最低作動流量は、燃焼(給湯動作)を開始するためのMOQ(オン流量)と、燃焼(給湯動作)を停止するためのMOQ(オフ流量)との2つを区別して両者にヒステリシスを設けることが好ましい(MOQ(オン流量)>MOQ(オフ流量))。このようにすると、燃焼開始および燃焼停止が短時間に頻繁に繰り返されるハンチングを防止することができる。
【0029】
給湯動作中には、制御装置200は、設定湯温Trに従って出湯温度Thを制御するための温度制御に従って、ガスバーナ130へのガス供給を実行する。たとえば、制御装置200は、当該湯温制御のために必要とされるガスバーナ130での発生熱量である要求発生熱量を算出するとともに、当該要求発生熱量に従ってガス比例弁150の開度を制御する。
【0030】
給湯装置100が運転オン状態のままユーザがカラン等を閉栓すると、流量Qが最小作動流量MOQよりも低下することに応じて、制御装置200は、出湯停止を検知して、給湯動作を停止する。これにより、給湯装置100は、待機状態となる。待機状態では、ガスバーナ130へのガス供給が停止されるため、出湯の熱源は、給湯装置100の内部での保持熱量のみとなる。
【0031】
出湯停止後にユーザがカラン等を開栓すると、入水圧によって給湯配管110の通流が再開される。このときの流量Qは、水量調整弁160の開度、カラン等の開度、および入水圧によって決まる。このような出湯停止後の再出湯時には、待機状態時に給湯配管110に残留した湯が、まず給湯装置100から出力される。再出湯時には、流量Qが最小作動流量MOQを超えるまで給湯動作が再開されない。
【0032】
したがって、再出湯時には、最小作動流量MOQの検出に応じて昇温が再開されるまでの出湯量が過大となることによって出湯温度が低下しないように、水量調整弁160の開度を適切に制御することが必要である。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る給湯装置における運転オン状態での再出湯時における水量調整弁の開度制御を説明するためのフローチャートである。
【0034】
図2を参照して、制御装置200は、給湯装置100が運転オン状態で出湯が停止されると(S100のYES判定時)、再出湯に備えるための待機状態における水量調整弁160の制御を開始する。たとえば、給湯装置100が運転オン状態のときに、流量センサ210によって検出された流量Qが最小作動流量MOQよりも低下すると、ステップS100はYES判定とされる。
【0035】
ステップS100のNO判定時には、ステップS110以降の水量調整弁160の制御は実行されない。なお、給湯装置100が運転オフ状態とされると、水量調整弁160は、全開状態とされる。
【0036】
制御装置200は、待機状態(S100のYES判定時)には、再出湯に備えて水量調整弁160を所定の待機開度P1に設定する(S110)。
【0037】
たとえば、待機開度P1は、全閉(流量最小開度)および全開(流量最大開度)の間の中間開度であり、給湯装置100への入水圧が、所定の標準水圧であるときに、流量Qが最小作動流量MOQに達するような開度に設定される。標準水圧は、給湯装置100のスペック値としての推奨入水圧に相当する。実機実験等によって、待機開度P1は予め求めることができる。
【0038】
制御装置200は、ステップS120では、水量調整弁160が待機開度P1に設定された状態(S110)における流量センサ210の検出値に従って、流量Qと最小作動流量MOQとを比較する。
【0039】
入水圧が標準水圧程度確保されている場合には、この段階で、流量Qが最小作動流量MOQに達する(S120がYES判定)。このため、制御装置200は、最小作動流量MOQ超の通流を検出して、給湯動作を再開することができる(S160)。これにより、ガスバーナ130から熱交換器140へ熱量が入力されるので、昇温が再開される。
【0040】
ステップS120がYES判定とされる標準水圧時には、再出湯時にも、比較的短時間で昇温が再開される。このとき、給湯動作が開始されるまでの待機状態での流量Qは、水量調整弁160が待機開度P1に設定されることによって制限されているので、再出湯時に出湯温度が低下することを防止できる。なお、出湯温度の低下をより確実に防止するためには、給湯動作開始直後の所定期間において、水量調整弁160の開度を絞る、具体的には、開方向(流量増加方向)への水量調整弁160の駆動速度ないし開度を制限することが好ましい。
【0041】
一方、高層住宅の上層階に設置される等により、給湯装置100への入水圧が低い場合には、水量調整弁160が待機開度P1に設定された状態(S110)では、流量Qが最小作動流量MOQに達しない可能性がある(すなわち、ステップS120がNO判定)。この場合には、最小作動流量MOQ超の通流が検出されないため、ステップS160によって給湯動作を再開することができない。
【0042】
制御装置200は、Q>MOQが検出されないとき(ステップS120のNO判定時)には、ステップS130により、流量Qを低流量の検出閾値Q*と比較する。閾値Q*は、最小作動流量MOQよりも低い所定値である。Q*は、入水圧が低い場合であっても、水量調整弁160が待機開度P1に設定された状態(S110)で通流が発生していることを検出できるように設定される。たとえば、MOQが1.7(L/min)程度であるのに対して、Q*は、0.25(L/min)程度に設定することができる。
【0043】
制御装置200は、Q>Q*の状態が所定の一定時間T1(たとえばT1=1.5秒)継続すると、低流量での通流を検出して、ステップS130をYES判定とする。制御装置200は、低流量での通流の非検出時(S130のNO判定時)には、処理をステップS110に戻して、水量調整弁160の開度を待機開度P1に維持する。
【0044】
制御装置200は、低流量での通流が検出されると(S130のYES判定時)、水量調整弁160の開度を待機開度P2に設定する(S140)。たとえば、待機開度P2は、上記標準水圧よりも低い所定水圧(たとえば、給湯装置100のスペック値としての最低作動水圧)であるときに、流量Qが最小作動流量MOQに達するような開度に設定される。待機開度P2についても、待機開度P1と同様に、実機実験等によって予め求めることができる。待機開度P2は、待機開度P1と同様に中間開度であり、全開(流量最大開度)よりも流量が小さい開度に設定される。
【0045】
さらに、制御装置200は、ステップS150により、水量調整弁160が待機開度P2に設定された状態(S140)における流量センサ210の検出値に従って、流量Qと最小作動流量MOQとを比較する。そして、制御装置200は、流量Qが最小作動流量MOQに達すると(S150のYES判定時)、最小作動流量MOQ超の通流を検出して給湯動作を再開する(S160)。一方で、流量Qが最小作動流量MOQに達するまで(S150のNO判定時)、水量調整弁160の開度は、待機開度P2に維持される(S140)。
【0046】
図3は、発明の実施の形態に係る給湯装置の運転オン状態での再出湯時における概略的な動作波形である。すなわち、
図3には、
図2に示したフローチャートに従って水量調整弁160を制御したときの給湯装置100の動作が示される。
【0047】
図3を参照して、出湯停止後の待機状態において、水量調整弁160の開度は、待機開度P1に設定されている。時刻t0において、ユーザがカランを開栓すると、給湯配管110に通流が生じる(Q>0)。このとき、給湯装置100への入水圧が低い場合には、待機開度P1における流量Qが最小作動流量MOQに達しない。
【0048】
しかしながら、流量Qは、時刻t1において、待機開度P1において入水圧が低い場合であっても、通流が検出できるように設定された閾値Q*に達する。したがって、時刻t1から一定時間T1が経過した時刻t2において、低流量での通流を検出することができる(
図2のS130)。
【0049】
これに応じて、水量調整弁160の開度は、待機開度P1から待機開度P2へ向けて開放される。時刻t3において、水量調整弁160の開度は待機開度P2に達する。時刻t2以降においても、
図2のS150による最小作動流量MOQの検出が継続的に実行される。
【0050】
流量Qは、時刻t2以降において、水量調整弁160の開度増加に応じて徐々に増加する。そして、時刻t4で、流量Qが最小作動流量MOQに達すると、最小作動流量MOQ超の通流が検出されることにより、給湯動作が再開される(
図2のS160)。そして、一定の時間遅れ(ΔT)を有して、ガスバーナ130の燃焼が開始されることにより、時刻t5において、熱交換器140への入力熱量HTが立ち上がる。したがって、時刻t5以降では、給湯装置100は、熱交換器140による昇温機能を回復する。すなわち、実際に昇温が開始される。
【0051】
図3中には、比較例として、時刻t2における低流量での通流検出に応じて、最小作動流量MOQを検出するまで、水量調整弁160の開度を一律に開方向(流量増方向)へ駆動する制御が点線で示される。比較例は、特許文献1に記載された、待機状態での水量調整弁の開度制御と類似する。
【0052】
水量調整弁160の流量の変化と、流量Qの変化との間には、流体の慣性による一定の応答遅れが発生するため、水量調整弁16の開度一定下でも流量Qは緩やかに増加する。ただし、本実施の形態では、待機開度P2を維持することにより、流量Qの増加を抑制できる。これに対して、比較例に従って水量調整弁160を制御した場合には、時刻t3以降での流量Qが増大することが懸念される。すなわち、比較例に従って、水量調整弁160の開度が開方向に一律に変化される場合には、本実施の形態よりも流量Qの増加レートが大きくなることによって、最小作動流量MOQが検出されるまでの出湯量(流量Qの積算値に相当)が過大になることが懸念される。さらに、最小作動流量MOQの検出から実際に昇温が開始されるまでの時間遅れ(時刻t4〜t5)における出湯量が、本実施の形態のように待機開度P2を維持する場合と比較して、大きくなることが懸念される。
【0053】
したがって、比較例に従った水量調整弁160の開度制御では、本実施の形態による制御と比較して、最小作動流量MOQの検出は早くなるものの、再出湯時に給湯装置100が実際に昇温を開始するまでの出湯量が、待機状態における給湯装置100の保持熱量に対して過大になる虞がある。この結果、給湯装置100がコンパクト化されていると、再出湯時に出湯温度が低下する虞がある。
【0054】
これに対して、本実施の形態に従う給湯装置では、再出湯に備えた水量調整弁160の待機開度を2段階に設定することにより、入水圧が低い場合であっても、待機開度を切換えることによって最小作動流量MOQ超の通流遅れを抑制するとともに、最小作動流量MOQが検出されて給湯装置100が昇温を再開するまでの出湯量を抑制することができる。したがって、コンパクト化された給湯装置を入水圧が低い環境で使用しても、再出湯時において、最小作動流量MOQ超の通流遅れ抑制と出湯温度の低下抑制との両方を図ることができる。
【0055】
特に、待機開度P1を標準水圧時に最小作動流量MOQを検出するための開度に設定するとともに、待機開度P2を低水圧時(最低作動水圧時)に最小作動流量MOQを検出するための開度に設定することにより、入水圧が標準水圧および低水圧(最低作動水圧時)のいずれであっても、再出湯時に、最小作動流量MOQ超の通流遅れを抑制できるとともに、昇温機能が回復するまでの出湯量が過大になることを抑制することができる。
【0056】
なお、給湯装置100への入水圧が想定よりも低いときでも再出湯時に給湯動作を確実に再開させるために、水量調整弁160の開度制御を以下のように変形してもよい。
【0057】
図4は、発明の実施の形態に係る給湯装置における運転オン状態での再出湯時における水量調整弁の開度制御の変形例を説明するためのフローチャートである。
【0058】
図4を
図3と比較して、変形例に従う水量調整弁の開度制御では、水量調整弁160を待機開度P2に設定しても最小作動流量MOQが検出されないとき(S150のNO判定時)に、ステップS170およびS180がさらに実行される。
図4中のステップS100〜S160による処理は、
図2と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0059】
制御装置200は、ステップS170により、水量調整弁160が待機開度P2に設定されてから一定時間T2が経過したか否かを判定する。すなわち、ステップS170は、
図3での時刻t3からの経過時間が一定時間T2を超えるとYES判定とされる一方で、それまではNO判定とされる。
【0060】
制御装置200は、上記経過時間が一定時間T2を超えるまで(S170のNO判定時)には、処理をステップS140に戻して、水量調整弁160の開度を待機開度P2に維持する。
【0061】
これに対して、制御装置200は、上記経過時間が一定時間T2を超えると(S170のYES判定時)、ステップS180に処理を進めて、水量調整弁160の開度を増加させる。すなわち、流量Qが増加する方向に水量調整弁160の開度を駆動する。
【0062】
そして、ステップS150による最小作動流量の検出は、ステップS170のYES判定時およびNO判定時のいずれにおいても、Q>MOQが検出されるまで一定周期で繰り返し実行される。
【0063】
したがって、
図4に示された変形例に従う水量調整弁の開度制御によれば、給湯装置100への入水圧が想定よりも低いために、再出湯時に水量調整弁160を待機開度P2に設定しても最小作動流量MOQが検出されないときには、水量調整弁160の開度を自動的に増加することができる。したがって、
図2に示された水量調整弁の開度制御による効果に加えて、待機開度P2を設定する際の想定水圧よりも入水圧が低い場合にも、再出湯時に最小作動流量MOQを検出することができる。すなわち、待機状態からより確実に復帰して、再出湯のための給湯動作を再開することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、給湯配管110内の水を加熱するための熱量を発生する「熱源機構」としてガスバーナ130を例示したが、本発明の適用はこのような構成に限定されるものではない点を確認的に記載する。すなわち、制御装置200によって、待機状態で停止され、給湯動作時に作動して熱交換器に熱量を入力するように制御可能に構成されるものであれば、任意の「熱源機構」を採用することが可能である。たとえば、ガスバーナに代えて、石油を燃焼する石油バーナ、あるいはヒートポンプ機構等の任意の熱源を適用可能である。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。