特許第6260187号(P6260187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6260187-箱方向転換装置 図000002
  • 特許6260187-箱方向転換装置 図000003
  • 特許6260187-箱方向転換装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6260187
(24)【登録日】2017年12月22日
(45)【発行日】2018年1月17日
(54)【発明の名称】箱方向転換装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20180104BHJP
   B65G 47/244 20060101ALI20180104BHJP
【FI】
   B65G47/28 C
   B65G47/244
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-214710(P2013-214710)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-78026(P2015-78026A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】393028357
【氏名又は名称】シブヤマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】西田 渉
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−219123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/244
B65G 47/248
B65G 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される箱の前面一側に当接する当接部材とを備え、上記搬送手段によって搬送される箱の前面一側を上記当接部材に当接させることにより該箱を回転させてその方向を転換させるようにした箱方向転換装置において、
上記当接部材に当接して回転される箱に向けて、該回転を促進する方向に液体を噴射する噴射手段が設けられていることを特徴とする箱方向転換装置。
【請求項2】
上記噴射手段は、上記当接部材に当接して回転を開始した上記箱の後面他側に向けて液体を噴射することにより該箱の回転初期の回転を促進する上流側噴射ノズルを備えることを特徴とする請求項1に記載の箱方向転換装置。
【請求項3】
上記噴射手段は、上記当接部材に当接して回転された上記箱の後面他側に向けて液体を噴射することにより該箱の回転後期の回転を促進する下流側噴射ノズルを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の箱方向転換装置。
【請求項4】
上記噴射手段から噴射された液体を回収して貯留する液タンクを備えており、該液タンクに貯留された液体を噴射手段に循環して使用することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の箱方向転換装置。
【請求項5】
箱を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される箱の前面一側に当接する当接部材とを備え、上記搬送手段によって搬送される箱の前面一側を上記当接部材に当接させることにより該箱を回転させてその方向を転換させるようにした箱方向転換装置において、
上記当接部材に当接して回転される箱に向けて、該回転を促進する方向に流体を噴射する噴射手段が設けられ、
上記噴射手段は、上記当接部材に当接して回転を開始した上記箱の後面他側に向けて流体を噴射することにより該箱の回転初期の回転を促進する上流側噴射ノズルと、該上流側噴射ノズルによって回転初期の回転が促進された箱の後面他側に向けて流体を噴射することにより該箱の回転後期の回転を促進する下流側噴射ノズルとを備えることを特徴とする箱方向転換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は箱の方向を転換させる箱方向転換装置に関し、より詳しくは、速やかに箱の方向を転換させることができるようにした箱方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箱方向転換装置として、箱を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される箱の前面一側に当接する当接部材とを備え、上記搬送手段によって搬送される箱の前面一側を上記当接部材に当接させることにより該箱を回転させてその方向を転換させるようにしたものが知られている(特許文献1)。
また従来、搬送手段の搬送経路に略十字形状のアームを有する回転手段を設け、箱に当接したアームを回転させて箱を回転させるようにした箱方向転換装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−217117号公報
【特許文献2】特開2005−193128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前者の箱方向転換装置では、搬送手段によって搬送される箱の前面一側を当接部材に当接させることにより該箱を回転させるようにしていたため、箱を回転させるのに時間がかかるのに加え、回転も不安定であった。
他方、後者の箱方向転換装置では、略十字形状のアームを間欠的に回転させることによって箱を回転させるようにしているので、連続的に箱の方向転換ができず、高速化には限界があった。かつ、上記略十字形状のアームは間欠的に高速で箱と当接することとなるので回転手段の故障や破損が多く、その都度修理やメンテナンスが必要となっていた。
本発明は上述した事情に鑑み、箱の回転の高速化が可能で、かつ修理やメンテナンスの必要性を低減することができる箱方向転換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明は、箱を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される箱の前面一側に当接する当接部材とを備え、上記搬送手段によって搬送される箱の前面一側を上記当接部材に当接させることにより該箱を回転させてその方向を転換させるようにした箱方向転換装置において、
上記当接部材に当接して回転される箱に向けて、該回転を促進する方向に液体を噴射する噴射手段を設けたことを特徴とするものである。
また請求項5の発明は、箱を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される箱の前面一側に当接する当接部材とを備え、上記搬送手段によって搬送される箱の前面一側を上記当接部材に当接させることにより該箱を回転させてその方向を転換させるようにした箱方向転換装置において、
上記当接部材に当接して回転される箱に向けて、該回転を促進する方向に流体を噴射する噴射手段が設けられ、
上記噴射手段は、上記当接部材に当接して回転を開始した上記箱の後面他側に向けて流体を噴射することにより該箱の回転初期の回転を促進する上流側噴射ノズルと、該上流側噴射ノズルによって回転初期の回転が促進された箱の後面他側に向けて流体を噴射することにより該箱の回転後期の回転を促進する下流側噴射ノズルとを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、上記当接部材に当接して回転される箱に向けて、該回転を促進する方向に液体を噴射する噴射手段を設けているので、上述した前者の方向転換装置に比較して、箱の高速回転が可能で回転も安定する。
また請求項5の発明によれば、流体を噴射する噴射手段は、箱の回転初期の回転を促進する上流側噴射ノズルと箱の回転後期の回転を促進する下流側噴射ノズルとを備えているので、両噴射ノズルからの流体によって箱のより高速の回転が可能で回転も安定する。
そして箱の回転を促進するためには、上記噴射手段から流体又は液体を箱に向けて噴射するだけでよいので、後者の方向転換装置ように略十字形状のアームを有する回転手段を設ける場合に比較して、箱を連続的に方向転換することができて高速化を可能とし、かつ、修理やメンテナンスの必要性を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例を示す平面図
図2図1と異なる状態を示す平面図
図3図1と更に異なる状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、箱方向転換装置1は図示しない箱の洗浄装置内に設けられ、直方体形状の箱2を図1の左方から右方へ連続的に搬送する搬送手段3を備えている。この搬送手段3としては、トップチェーンコンベア、ローラコンベヤ等を用いることができる。
上記搬送手段3の両側には、箱方向転換装置1よりも上流側に、箱2の搬送方向両側面をガイドする上流側ガイド部材4a、4bを設けてあり、この上流側ガイド部材4a、4bによって箱2が搬送手段3から脱落したり、回転したりするのを防止している。
【0009】
図示実施例では、図1の紙面の下方側となる上流側ガイド部材4aは箱方向転換装置1の入り口まで設けてあり、該上流側ガイド部材4の先端部に当接部材7を配設固定してある。この当接部材7は搬送手段3による箱2の搬送方向と直交する方向に配置されており、その先端部7aは搬送手段3上に突出して、搬送手段3によって搬送されてきた箱2の前面一側に当接するようになっている。
したがって、搬送手段3によって搬送されてきて上記当接部材7に当接した箱2は、搬送手段3による搬送に伴って、上記当接部材7の先端部7aを中心として時計方向に回転されるようになる(図2図3参照)。
【0010】
上記先端部7aには、搬送方向上流側に突出するストッパ部7bを設けてあり、該ストッパ部7bを箱2に形成された図示しない補強用リブに係合させることができるようにしてある。
上記ストッパ部7bが箱2のリブに係合すると、箱2は当接部材7の先端部7aに対して滑りながら逃げることができないので、箱2はストッパ部7bとリブとの係合部を中心として確実に回転されるようになり、これによって箱2の回転を迅速かつ確実なものとすることができる。
そして箱2の回転が進むとストッパ部7bとリブとの係合部は自然に解消されて、箱2は下流側に向けて搬送されるようになる。
また図1の紙面の上方側となる上流側ガイド部材4bは、当接部材7の先端部7aに当接して回転される箱2の回転を阻害しないように、当接部材7の先端部7aに当接した箱2の後面よりも、手前側となる位置まで設けてある。
【0011】
上記箱方向転換装置1の出口から下流側にかけて、箱2の搬送方向両側面をガイドする下流側ガイド部材8a、8bを設けてある。
図1の紙面の下方側となる下流側ガイド部材8aは、当接部材7の先端部7aの位置から下流側に向けて、搬送手段3の搬送方向と平行となるように配設固定してある。
これに対し図1の紙面の上方側となる下流側ガイド部材8bにおける上流側部分は、上記当接部材7の先端部7aに当接して回転される箱2の回転を阻害しないように、上流側ガイド部材4aや下流側ガイド部材8aから離隔させて配置してあり、そこから箱2の回転に伴って下流側ガイド部材8aとの間隔を狭めてある。
そして箱2が90度回転された後は、当該箱2の搬送方向両側面をガイドして、箱2が搬送手段3から脱落したり、回転したりするのを防止することができるようになっている。
【0012】
上記上流側ガイド部材4a、4bの上流側両側位置には、図示しない水や洗浄液などの液体を噴射する噴射ノズルを設けてあり、各噴射ノズルから噴射される液体により箱2の搬送方向両面のラベルを剥離するなどの洗浄を行うことができるようになっている。
また下流側ガイド部材8a、8bの下流側両側位置には、図示しない水や洗浄液などの液体を噴射する噴射ノズルを設けてあり、各噴射ノズルから噴射される液体により、上記箱方向転換装置1によって90度回転された箱2の搬送方向両面を洗浄することができるようにしてある。
その他、箱の洗浄装置内には、箱2の内面や底面など、箱2の全面を洗浄するための噴射ノズルを複数設けてあることは勿論である。
【0013】
さらに上記箱方向転換装置1は、上記当接部材7に当接して回転される箱2に向けて、該回転を促進する方向に流体としての液体を噴射する噴射手段11を備えており、本実施例では上記噴射手段11は、当接部材7よりも上流側に配設した上流側噴射ノズル11Aと下流側に配設した下流側噴射ノズル11Bとから構成されている。
上記上流側噴射ノズル11Aは、上記当接部材7に前面一側が当接した箱2の後面よりも僅かに上流側となる位置に設けてあり、かつ図2に示すように、当接部材7に当接して回転を開始した箱2の後面他側に向けて、搬送方向とほぼ平行に、僅かに搬送手段3の中心側に向けて液体を噴射することができるようになっている。
これにより、当接部材7に当接して回転を開始した箱2における回転初期の回転を効果的に促進することができるようにしてある。
【0014】
これに対し、上記下流側噴射ノズル11Bは、図3に示すように、上記当接部材7に当接して45度以上回転した箱2の上述した後面他側に向けて、搬送方向とほぼ直交する方向に向けて液体を噴射することができるようになっている。これにより、当接部材7に当接して回転される箱2の回転後期の回転を効果的に促進することができるようにしてある。
さらに上記噴射手段11から噴射された液体や、上述した図示しない箱洗浄用の噴射ノズルから噴射された液体は、図示しない液タンクに回収して貯留されるようになっており、この液タンクに貯留された液体を上記噴射手段11や箱洗浄用の噴射ノズルに循環して使用することができるようになっている。
【0015】
以上の構成において、上流側ガイド部材4a、4bによって両側面をガイドされながら搬送手段3によって搬送されてきた箱2は、その前面一側が当接部材7に当接するとその当接部分を中心として時計方向に回転されるようになる。
上記各噴射ノズル11A、11Bは連続して液体を噴射しており、上流側噴射ノズル11Aから噴射された液体は、当接部材7に当接して僅かに回転を開始した箱2の後面他側に噴射されて箱2の回転初期の回転を促進するようになる(図2参照)。
そして箱2の回転が進んで該箱2が45度程度以上回転されるようになると、下流側噴射ノズル11Bから噴射された液体が箱2の上述した後面他側に噴射されて箱2における回転後期の回転を継続して促進するようになる(図3参照)、
これにより箱2は迅速に90度回転されて、下流側ガイド部材8a、8bによって両側面をガイドされながら搬送手段3によって下流側に搬送されるようになる。
【0016】
なお、上記噴射ノズル11A、11Bはいずれか一方を省略してもよく、あるいは箱2の回転をより促進できるように、より多くの噴射ノズルを設けてもよいことは勿論である。
また、上記噴射ノズル11A、11Bの取り付け位置やその向きは箱2の形状に応じて適宜調整することができる。
さらに、上記実施例では流体として液体を用いているがこれに限定されるものではない。例えば、流体としてのエアを噴射して箱を方向転換させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0017】
1 箱方向転換装置 2 箱
3 搬送手段 7 当接部材
11 噴射手段 11A 上流側噴射ノズル
11B 下流側噴射ノズル
図1
図2
図3